台本概要

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タイトル 私の初恋の人(女性一人読み用)
作者名 くま@甘党
ジャンル ラブストーリー
演者人数 4人用台本(女4)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 初恋シリーズの女性版です。元々あった短編台本に肉付けした台本になります。わかりやすくセリフを役で分けてありますが、全て一人で読む台本です。元の短編台本には①~⑩の番号を振ってあります。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
彩希 9
彩希M 29
お母さん - 読まなくて大丈夫です
店員 2 読まなくて大丈夫です
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
私の初恋の人 0: ①:「あ…今日も来てくれた」 ①:私の働くカフェに時々来てくれる ①:ちょっと年上風なお兄さん ①:注文はいつも ①:コーヒーとガトーショコラ ①:私の初恋の人は ①:ちょっとクールで大人っぽい人 0: 彩希:「(背伸び)んーーーっ!今日も良い天気だねぇー!さてさて、バイト行きますか!」 彩希M:私は永野彩希。 彩希M:華の女子大生!なんて浮かれてる訳にも行かなくなった、就活に追われる4回生。 彩希M:まだ内定が決まらず、ちょっと焦っている。 彩希M:だけど私のバイト先のカフェ、人手不足でなかなか休めない。 彩希M:それともう1つ、休みたくない理由がある。 店員:(永野さん、オーダー入ったよ、またいつものね!) 彩希:「あ、はーい!…ふふ、今日も同じオーダーだ。あの人…甘党なのかな?それともチョコ中毒とか…?」 彩希M:私の休みたくない理由。 彩希M:それは、ここに来る常連さんの中に、かっこいいあの人が居るから。 彩希M:キッチンにオーダーが流れてくるとすぐわかる。 0:ブレンドコーヒー、ガトーショコラ 彩希M:初めて来店した時から今まで、これ以外の注文はした事がないそうだ。他のスタッフには割と有名なお客さん。 彩希M:名前も声も知らないけど、つい見とれてしまうくらい、かっこいい人。 彩希M:これが、私の初恋だった。 0: ②:「あれ…?髪切ったのかな?」 ②:彼は短髪がよく似合う ②:おまたせしましたの一言に ②:ちょっと頷くくらいの反応だけど ②:それだけでも私は嬉しい ②:私の初恋の人は ②:今日もコーヒーとガトーショコラ 0: 店員:(永野さん、悪いけど今日はもう上がっていいよ!) 彩希:「あ、はーい、わかりました!お先に失礼しまーす!」 彩希M:たまにある事だが、お客さんの入り(いり)が悪い日は、早上がりになる。 彩希:「ふぅ、帰って履歴書でも書こうかな。……あの人、何の仕事してるんだろ? 彩希:…一緒に働けたら1日中スーツ姿見てられるんだ……。 彩希:コーヒーとガトーショコラです。少し休憩したらどうですか?なーんて、、あぁぁ、ダメダメ、色々と妄想しちゃう///」 彩希M:私は恥ずかしいくらいに… 彩希M:いつの間にかあの人に夢中だ… 0: ③:「声を…聴いてみたい!」 ③:注文はタッチパネルだから ③:まだ1度も聴いた事がない彼の声 ③:どうやったら聴けるかな…? ③:「ガトーショコラ、お口に合いましたか?」 ③:会計の時に思い切って聞いたけど ③:ちょっと驚いた顔をした後 ③:やっぱり頷くだけで帰っていった… ③:私の初恋の人は ③:無口だけど、でもかっこいい! 0: 彩希:「うーーーーん、どうしたら声聴けるかなー? 彩希:今日のは惜しかった気がする!もう少し質問変えないと…。絶対に返答をもらう質問……。」 彩希M:色々と考えているうちに家に着いた。 母:(あんた、ちゃんと就活してるの?バイトなんてしてる場合じゃないんじゃないの?) 彩希:「うるさいな、ちゃんとやってるよ!!」 彩希M:私のお母さんは、超が付くくらいの真面目人間。 彩希M:何事も計画的で、効率良く、損得ばかりを考えている。 彩希M:最近は家に居ると、いちいち口うるさく小言を言ってくるお母さんに、 彩希M:私はついイライラしてしまう。 彩希M:そして次の日。 彩希M:そのイライラと、彼への質問を考えるという集中力の無さが原因で、思わぬ失態を犯してしまう。 0: ④:「申し訳ありませんでした!」 ④:やってしまった…… ④:彼の目の前で、他のお客様のオーダーを間違えてしまった ④:うぅ…こんな所 見られたくなかった… ④:幻滅してないかな…? ④:私の初恋の人は ④:それでも無口で、頷いて帰っていく 0: 彩希M:うぅん…絶対見てたよね……。 彩希M:はぁ……まぬけな女って思われたかなぁ…。 彩希M:余計な事ばっかり考えてて、おつりは渡し忘れるし…オーダーも間違えるし…。 彩希M:今日はズタボロだったな…。 彩希M:あーーーもう!!!やめやめ!! 彩希M:次に会えた時は、何の仕事してるか聞くの! 彩希M:そしたらきっと答えてくれる! 彩希M:声が聴ける!! …よし。 彩希M:今日、自分のミスのせいで聞けなかった質問を、 彩希M:数日後には彼にすると決めていたのに、 彩希M:人生とは、思い通りにはいかないものだ…。 0: ⑤:「あの人……もう来ないのかな…」 ⑤:あれから1ヶ月半 ⑤:1度も彼は店に来なかった ⑤:もしかして…私のミスが原因で…? ⑤:あーーそれとも事故とか…? ⑤:うぅぅぅ 頭がグルグルするー ⑤:私の初恋の人は ⑤:なんの前触れもなく ⑤:何処かへ行ってしまった… 0: 彩希M:どうして来ないんだろ……。 彩希M:あれからもう2ヶ月経った。 彩希M:学校に行くことも少なくなり、バイトに入れる日も増えた。 彩希M:今日こそは会えるかなと、出勤の日になる度に再会を期待していたが…彼が現れることは無かった。 彩希M:そろそろ期待も薄れてきてしまった…。 0: ⑥:「いらっしゃいませっ!!」 ⑥:とうとう3ヶ月が経ち、もう諦めかけていた ⑥:でも今日、彼がお店にやってきた! ⑥:髪も伸びてて、ちょっと髭も生えてる… ⑥:「あ、あの、、お久しぶりですね」 ⑥:「…あぁ、ちょっと出張に行ってて」 ⑥:私の初恋の人は ⑥:私の問いに、遂に言葉で返してくれた 0: 彩希M:その日の私は、誰が見ても異常な程ニヤニヤしていた。 彩希M:他のスタッフからも、何か良いことあった?と聞かれるくらい、顔に出てしまっていた。 彩希M:でもそれは仕方のない事。 彩希M:だって、だって…、やっと彼と再会できたんだ! 彩希M:しかも声まで聴けた……! 彩希M:私は一生分の運を使い果たしたかのように思えた。 彩希M:彼の声……やっぱりかっこよかった……。 彩希M:どうしよう…、次はなんて話し掛けよう…。 彩希M:あんな声で応えられたら…私どうなっちゃうんだろう…。 彩希M:数日後、また彼が来てくれた日。 彩希M:結局私は あれから声を掛けられずにいた。 彩希M:そして何故か 声を聞く前以上に緊張していた。 彩希M:意識し過ぎていた…。 0: ⑦:「あの、すいません。」 ⑦:突然彼に呼ばれた日、静かな店内に ⑦:私の裏返った声が響いた ⑦:恥ずかし過ぎて帰りたかった… ⑦:「あ、やっぱりいいです」 ⑦:驚いた彼は ちょっと焦りながらそう言った ⑦:私の初恋の人は ⑦:それから私に話し掛ける事は無かった 0: 彩希M:び……びっくりした……! 彩希M:ホールを回っていると、突然彼から声を掛けてくるなんて…。 彩希M:あんなの反則だよ……! 彩希M:心の準備もできていなかったし…恥ずかしいいい……!! 彩希M:私が変な声出したせいで、あの人すっごい驚いてたな…。 彩希M:でも、向こうから話し掛けてきてくれたって事は…それだけ心を開いてくれたって事だよね? 彩希M:私の存在を認識してるって事だよね…? 彩希:「……ぃよしっ!これからはどんどん話し掛けて 慣れていかなきゃ!!」 彩希M:そんな意気込みも虚しく、彼の異変に気付くのに時間は掛からなかった。 0: ⑧:「あの、おかわりも…良かったら…」 ⑧:あれからも彼は通ってくれている ⑧:最近は週に2回か3回来てくれる時も ⑧:けど、彼は言葉で返す事は無く ⑧:だんだん寂しい気持ちが溢れてきた ⑧:私の初恋の人は ⑧:ぎこちなく話し掛ける私を ⑧:疎ましく思ってる…? 0: 彩希M:また…頷くだけになっちゃった……。 彩希M:どうして?私…嫌われた…? 彩希M:思い当たる節はある…。 彩希M:オーダーを間違えて、お客さんに謝ってるとこを見られたから? 彩希M:それともあの時変な声を出しちゃったから…? 彩希M:もう…声…聴けないのかな。 彩希M:彼の事を考えていると複雑な気持ちになり、就活の面接に行ってもうまく話せなかった。 彩希M:このままじゃ…受かるものも受からない。 彩希M:うん…、切り替えよう! 彩希M:私は今、就活生なんだ。 彩希M:かっこ悪いとこを見られちゃったなら、ちゃんと内定をもらって次はかっこいいとこ見せないと! 彩希M:私は、私を振った彼氏を見返してやる!という妄想をし、 彩希M:彼を振り向かせる!という体(てい)で気合いを入れて就活に臨んだ。 彩希M:それが功を奏したのか、見事に作戦は成功した。 0: ⑨:「私、今月で辞める事になりました。」 ⑨:就活の末、企業の内定をもらった ⑨:わざと彼に聞こえるように ⑨:他のアルバイトの子に言った ⑨:「これ。良かったら…。」 ⑨:会計の時、いつもみたいに頷いて帰ると思ったら、メモを渡してきた彼。 ⑨:夢かと思った… ⑨:私の初恋の人は ⑨:連絡先を渡してきてくれた 0: 彩希:っっよし!!! 彩希M:辞める事になったって言った時、彼がこっちを見たのに気付いた。 彩希M:「聞こえたな」という確信はあったが…まさか連絡先を渡してくるとは…! 彩希M:嬉し過ぎる誤算だった。 彩希:「私は初めてあなたがお店に来た日から、ずっと会えるのを楽しみに働いていました。私の名前は永野彩希です。私がバイトを辞めた後も、あなたに会いたいです。」 彩希M:この最初のメッセージで彼との距離は一気に縮まり、私は見事ゴールインした。 彩希M:後から聞いた話だが、実は彼の方が先に私に気付いていたそう。 彩希M:私が初めて彼を見た日は、彼にとっては2度目の来店。 彩希M:最初に来店した時、キッチンでガトーショコラを作っていた私を見て気になっていたらしい。 彩希M:それから来る度に、私が居る居ない関係無しにガトーショコラを注文していたという。 彩希M:「気になるあの子の手料理を食べている」そんな妄想をしていたらしい。 彩希M:お店で話せなかったのは、ナンパしてるみたいで恥ずかしかった。 彩希M:嫌がられたらどうしようと不安になって、なかなか声を出せなかったそう。 彩希M:私を呼び止めて、声が裏返ったあの日、 彩希M:恥ずかし過ぎて帰りたいって思ったのは、どうやらお互い同じだったみたい。 0: ⑩:私の初恋の人は ⑩:ちょっとクールで大人っぽい人 ⑩:私の気持ちに気付きながら ⑩:恥ずかしくて奥手になっていた ⑩:可愛いところがある 無口な人 ⑩:私の初恋の人は ⑩:私の愛する旦那さん ⑩:今でもこの頃の話をすると ⑩:恥ずかしがる照れ屋な旦那さん

私の初恋の人 0: ①:「あ…今日も来てくれた」 ①:私の働くカフェに時々来てくれる ①:ちょっと年上風なお兄さん ①:注文はいつも ①:コーヒーとガトーショコラ ①:私の初恋の人は ①:ちょっとクールで大人っぽい人 0: 彩希:「(背伸び)んーーーっ!今日も良い天気だねぇー!さてさて、バイト行きますか!」 彩希M:私は永野彩希。 彩希M:華の女子大生!なんて浮かれてる訳にも行かなくなった、就活に追われる4回生。 彩希M:まだ内定が決まらず、ちょっと焦っている。 彩希M:だけど私のバイト先のカフェ、人手不足でなかなか休めない。 彩希M:それともう1つ、休みたくない理由がある。 店員:(永野さん、オーダー入ったよ、またいつものね!) 彩希:「あ、はーい!…ふふ、今日も同じオーダーだ。あの人…甘党なのかな?それともチョコ中毒とか…?」 彩希M:私の休みたくない理由。 彩希M:それは、ここに来る常連さんの中に、かっこいいあの人が居るから。 彩希M:キッチンにオーダーが流れてくるとすぐわかる。 0:ブレンドコーヒー、ガトーショコラ 彩希M:初めて来店した時から今まで、これ以外の注文はした事がないそうだ。他のスタッフには割と有名なお客さん。 彩希M:名前も声も知らないけど、つい見とれてしまうくらい、かっこいい人。 彩希M:これが、私の初恋だった。 0: ②:「あれ…?髪切ったのかな?」 ②:彼は短髪がよく似合う ②:おまたせしましたの一言に ②:ちょっと頷くくらいの反応だけど ②:それだけでも私は嬉しい ②:私の初恋の人は ②:今日もコーヒーとガトーショコラ 0: 店員:(永野さん、悪いけど今日はもう上がっていいよ!) 彩希:「あ、はーい、わかりました!お先に失礼しまーす!」 彩希M:たまにある事だが、お客さんの入り(いり)が悪い日は、早上がりになる。 彩希:「ふぅ、帰って履歴書でも書こうかな。……あの人、何の仕事してるんだろ? 彩希:…一緒に働けたら1日中スーツ姿見てられるんだ……。 彩希:コーヒーとガトーショコラです。少し休憩したらどうですか?なーんて、、あぁぁ、ダメダメ、色々と妄想しちゃう///」 彩希M:私は恥ずかしいくらいに… 彩希M:いつの間にかあの人に夢中だ… 0: ③:「声を…聴いてみたい!」 ③:注文はタッチパネルだから ③:まだ1度も聴いた事がない彼の声 ③:どうやったら聴けるかな…? ③:「ガトーショコラ、お口に合いましたか?」 ③:会計の時に思い切って聞いたけど ③:ちょっと驚いた顔をした後 ③:やっぱり頷くだけで帰っていった… ③:私の初恋の人は ③:無口だけど、でもかっこいい! 0: 彩希:「うーーーーん、どうしたら声聴けるかなー? 彩希:今日のは惜しかった気がする!もう少し質問変えないと…。絶対に返答をもらう質問……。」 彩希M:色々と考えているうちに家に着いた。 母:(あんた、ちゃんと就活してるの?バイトなんてしてる場合じゃないんじゃないの?) 彩希:「うるさいな、ちゃんとやってるよ!!」 彩希M:私のお母さんは、超が付くくらいの真面目人間。 彩希M:何事も計画的で、効率良く、損得ばかりを考えている。 彩希M:最近は家に居ると、いちいち口うるさく小言を言ってくるお母さんに、 彩希M:私はついイライラしてしまう。 彩希M:そして次の日。 彩希M:そのイライラと、彼への質問を考えるという集中力の無さが原因で、思わぬ失態を犯してしまう。 0: ④:「申し訳ありませんでした!」 ④:やってしまった…… ④:彼の目の前で、他のお客様のオーダーを間違えてしまった ④:うぅ…こんな所 見られたくなかった… ④:幻滅してないかな…? ④:私の初恋の人は ④:それでも無口で、頷いて帰っていく 0: 彩希M:うぅん…絶対見てたよね……。 彩希M:はぁ……まぬけな女って思われたかなぁ…。 彩希M:余計な事ばっかり考えてて、おつりは渡し忘れるし…オーダーも間違えるし…。 彩希M:今日はズタボロだったな…。 彩希M:あーーーもう!!!やめやめ!! 彩希M:次に会えた時は、何の仕事してるか聞くの! 彩希M:そしたらきっと答えてくれる! 彩希M:声が聴ける!! …よし。 彩希M:今日、自分のミスのせいで聞けなかった質問を、 彩希M:数日後には彼にすると決めていたのに、 彩希M:人生とは、思い通りにはいかないものだ…。 0: ⑤:「あの人……もう来ないのかな…」 ⑤:あれから1ヶ月半 ⑤:1度も彼は店に来なかった ⑤:もしかして…私のミスが原因で…? ⑤:あーーそれとも事故とか…? ⑤:うぅぅぅ 頭がグルグルするー ⑤:私の初恋の人は ⑤:なんの前触れもなく ⑤:何処かへ行ってしまった… 0: 彩希M:どうして来ないんだろ……。 彩希M:あれからもう2ヶ月経った。 彩希M:学校に行くことも少なくなり、バイトに入れる日も増えた。 彩希M:今日こそは会えるかなと、出勤の日になる度に再会を期待していたが…彼が現れることは無かった。 彩希M:そろそろ期待も薄れてきてしまった…。 0: ⑥:「いらっしゃいませっ!!」 ⑥:とうとう3ヶ月が経ち、もう諦めかけていた ⑥:でも今日、彼がお店にやってきた! ⑥:髪も伸びてて、ちょっと髭も生えてる… ⑥:「あ、あの、、お久しぶりですね」 ⑥:「…あぁ、ちょっと出張に行ってて」 ⑥:私の初恋の人は ⑥:私の問いに、遂に言葉で返してくれた 0: 彩希M:その日の私は、誰が見ても異常な程ニヤニヤしていた。 彩希M:他のスタッフからも、何か良いことあった?と聞かれるくらい、顔に出てしまっていた。 彩希M:でもそれは仕方のない事。 彩希M:だって、だって…、やっと彼と再会できたんだ! 彩希M:しかも声まで聴けた……! 彩希M:私は一生分の運を使い果たしたかのように思えた。 彩希M:彼の声……やっぱりかっこよかった……。 彩希M:どうしよう…、次はなんて話し掛けよう…。 彩希M:あんな声で応えられたら…私どうなっちゃうんだろう…。 彩希M:数日後、また彼が来てくれた日。 彩希M:結局私は あれから声を掛けられずにいた。 彩希M:そして何故か 声を聞く前以上に緊張していた。 彩希M:意識し過ぎていた…。 0: ⑦:「あの、すいません。」 ⑦:突然彼に呼ばれた日、静かな店内に ⑦:私の裏返った声が響いた ⑦:恥ずかし過ぎて帰りたかった… ⑦:「あ、やっぱりいいです」 ⑦:驚いた彼は ちょっと焦りながらそう言った ⑦:私の初恋の人は ⑦:それから私に話し掛ける事は無かった 0: 彩希M:び……びっくりした……! 彩希M:ホールを回っていると、突然彼から声を掛けてくるなんて…。 彩希M:あんなの反則だよ……! 彩希M:心の準備もできていなかったし…恥ずかしいいい……!! 彩希M:私が変な声出したせいで、あの人すっごい驚いてたな…。 彩希M:でも、向こうから話し掛けてきてくれたって事は…それだけ心を開いてくれたって事だよね? 彩希M:私の存在を認識してるって事だよね…? 彩希:「……ぃよしっ!これからはどんどん話し掛けて 慣れていかなきゃ!!」 彩希M:そんな意気込みも虚しく、彼の異変に気付くのに時間は掛からなかった。 0: ⑧:「あの、おかわりも…良かったら…」 ⑧:あれからも彼は通ってくれている ⑧:最近は週に2回か3回来てくれる時も ⑧:けど、彼は言葉で返す事は無く ⑧:だんだん寂しい気持ちが溢れてきた ⑧:私の初恋の人は ⑧:ぎこちなく話し掛ける私を ⑧:疎ましく思ってる…? 0: 彩希M:また…頷くだけになっちゃった……。 彩希M:どうして?私…嫌われた…? 彩希M:思い当たる節はある…。 彩希M:オーダーを間違えて、お客さんに謝ってるとこを見られたから? 彩希M:それともあの時変な声を出しちゃったから…? 彩希M:もう…声…聴けないのかな。 彩希M:彼の事を考えていると複雑な気持ちになり、就活の面接に行ってもうまく話せなかった。 彩希M:このままじゃ…受かるものも受からない。 彩希M:うん…、切り替えよう! 彩希M:私は今、就活生なんだ。 彩希M:かっこ悪いとこを見られちゃったなら、ちゃんと内定をもらって次はかっこいいとこ見せないと! 彩希M:私は、私を振った彼氏を見返してやる!という妄想をし、 彩希M:彼を振り向かせる!という体(てい)で気合いを入れて就活に臨んだ。 彩希M:それが功を奏したのか、見事に作戦は成功した。 0: ⑨:「私、今月で辞める事になりました。」 ⑨:就活の末、企業の内定をもらった ⑨:わざと彼に聞こえるように ⑨:他のアルバイトの子に言った ⑨:「これ。良かったら…。」 ⑨:会計の時、いつもみたいに頷いて帰ると思ったら、メモを渡してきた彼。 ⑨:夢かと思った… ⑨:私の初恋の人は ⑨:連絡先を渡してきてくれた 0: 彩希:っっよし!!! 彩希M:辞める事になったって言った時、彼がこっちを見たのに気付いた。 彩希M:「聞こえたな」という確信はあったが…まさか連絡先を渡してくるとは…! 彩希M:嬉し過ぎる誤算だった。 彩希:「私は初めてあなたがお店に来た日から、ずっと会えるのを楽しみに働いていました。私の名前は永野彩希です。私がバイトを辞めた後も、あなたに会いたいです。」 彩希M:この最初のメッセージで彼との距離は一気に縮まり、私は見事ゴールインした。 彩希M:後から聞いた話だが、実は彼の方が先に私に気付いていたそう。 彩希M:私が初めて彼を見た日は、彼にとっては2度目の来店。 彩希M:最初に来店した時、キッチンでガトーショコラを作っていた私を見て気になっていたらしい。 彩希M:それから来る度に、私が居る居ない関係無しにガトーショコラを注文していたという。 彩希M:「気になるあの子の手料理を食べている」そんな妄想をしていたらしい。 彩希M:お店で話せなかったのは、ナンパしてるみたいで恥ずかしかった。 彩希M:嫌がられたらどうしようと不安になって、なかなか声を出せなかったそう。 彩希M:私を呼び止めて、声が裏返ったあの日、 彩希M:恥ずかし過ぎて帰りたいって思ったのは、どうやらお互い同じだったみたい。 0: ⑩:私の初恋の人は ⑩:ちょっとクールで大人っぽい人 ⑩:私の気持ちに気付きながら ⑩:恥ずかしくて奥手になっていた ⑩:可愛いところがある 無口な人 ⑩:私の初恋の人は ⑩:私の愛する旦那さん ⑩:今でもこの頃の話をすると ⑩:恥ずかしがる照れ屋な旦那さん