台本概要
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タイトル | あーるぴーじーっ! |
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作者名 | 桜蛇あねり(おうじゃあねり) (@aneri_writer) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 8人用台本(男4、女4) |
時間 | 50 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ファンタジーの世界で繰り広げられる、人間vs魔王の最終決戦! 勝つのは魔王サイドか、人間サイドか……。 「ぼーいずるーむっ!」と「がーるずるーむっ!」の登場人物がもしファンタジーの世界で出会っていたら…。 というifストーリーになります。 この作品を読んでいなくても内容はわかるようになっています。……たぶん(笑) ※名前変更、一人称、語尾変更、アドリブ、改変、自由にどうぞ! 節度を守って楽しく演じましょう! 【るーむシリーズ】 ・ぼーいずるーむっ! ・がーるずるーむっ! ・ぼーいずるーむっ!-Best Life- ・ぼーいず あんど がーるず るーむっ! ・あーるぴーじーっ! 216 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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ゆりか | 女 | 78 | ディア村いちの戦士。 世界を平和にするために、魔王を倒しに行く。 |
リュウタロウ | 男 | 59 | 先代魔王を倒した英雄リュウキの息子。 恋人を殺した魔王を倒しに行く。 |
みき | 女 | 62 | 名の知れた盗賊の娘。 仲間を連れ去った魔王を倒しに行く。 |
せいら | 女 | 53 | ヴェント王国の王女。 父を殺した魔王を倒しに行く。 |
アキラ | 男 | 74 | 魔王。 世界のほとんどを侵略した。 |
シュウ | 男 | 40 | 悪魔族。 アキラの側近。 |
ヒロ | 男 | 44 | 悪魔族。 アキラの側近。 |
もも | 女 | 37 | 悪魔族。 アキラの側近。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:『あーるぴーじーっ!』
ゆりか:ここは魔族と人間が暮らす世界。魔王アキラによって統治された、魔族の世界だ。かつて、英雄リュウキによって魔王は倒され、世界は平和になったかと思われた。しかし、魔王の後継者であるアキラがすぐに新魔王として君臨し、先代よりも優れた手腕であっという間に数々の国を侵略し、人間をドレイとしていった。
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ゆりか:私、ゆりかが住んでいるここディア村も...魔王によって侵略されてしまうのは時間の問題だ...。
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ゆりか:だから!!そうなる前に!ディア村いちの戦士、ゆりかが!魔王を倒し、この村をまもり、世界を平和へと導こう...!というわけで!村のみんな、私は行ってくる。身よりもない私のことをこの村で育ててくれた恩は必ず返すと誓う!だからみんな、信じて待っていてくれ!いってきます!
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0:間
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ゆりか:さて、意気込んで出てきたはいいけど、さすがに単身で乗り込むのはよくないわよね。どこかで仲間探さないと....そうだ、確か山を超えたところに大きな国、ヴェント王国があったわ!そこならきっと強い仲間が...
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リュウタロウ:そこのお嬢ちゃん、強い仲間をお探し?
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ゆりか:っ!誰!?
リュウタロウ:おっと、そんな警戒しないでくれよ。怪しいものじゃねぇぜ。
ゆりか:怪しいものほど、そう言うもんよ。目的は何?戦うというのなら、相手になるわ!
リュウタロウ:好戦的だねぇ。だが、オレはたぶん、君の敵にはなり得ないさ。目的が一緒だろうからな。
ゆりか:目的が一緒?じゃああなたの目的を聞かせてもらおうかしら?
リュウタロウ:オレの目的は1つ。魔王を倒すことだ。
ゆりか:ふぅん…なるほどね。あなたも魔王を倒したい、と。
リュウタロウ:そう。オレの大事な人が魔王に殺されてな。その仇討ちってとこだ。
ゆりか:かたき討ち、ね…。ふむ……。いいわ。信じてあげる。一緒に行きましょう。私はゆりか。あなたは?
リュウタロウ:オレはリュウタロウ。
ゆりか:リュウタロウ!?もしかして、あなた...英雄リュウキの子供!?
リュウタロウ:へえ、こんなとこまで広まってるんだな。そうさ、オレはかつて魔王を倒した英雄、リュウキの息子、リュウタロウだ!ばばんっ!
ゆりか:先にその名前を言ってくれたら疑うこともなかったのに…。ま、でもそういうことなら心強いわ。よろしくね、リュウタロウ。
リュウタロウ:おう、こちらこそ、よろしくな!ゆりか!
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0:魔王城
:
アキラ:ここは世界の中心、魔王城。そして俺がこの世界の頂点に君臨する魔王、アキラだ。世界のほとんどは俺の手中にある。この世界全てを支配するのも....そう遠くない未来だ。
:
アキラ:と、まぁそんな順風満帆なように聞こえるが、最近、ドレイからの献上物が減っているように思う。俺は側近たちを呼び出した。
:
アキラ:ヒロ!
ヒロ:はーい!アキラ、どしたのー?
アキラ:最近、魔王である俺への献上物が少なくないか?ちゃんとドレイの人間どもから巻き上げているんだろうな!
ヒロ:当たり前じゃん!ちゃーんと脅しに脅して、逆らう人間には酷い目に遭わせて、搾り取れるとこまで搾り取ってるよ!
アキラ:ふむ...まぁ、お前がそう言うなら、そうなのか。うぅむ、搾取しすぎて尽き果ててきたか...?
ヒロ:生存ギリギリのラインで巻き上げてるよ?
アキラ:そうか。....ところでヒロ、お前のその黄金のブレスレット、どうした?
ヒロ:おっ!さーすがアキラ!よく気がついたな!かっこいいだろ!特注なんだぜ!ほら、ここにおれのイニシャル入れてもらってんだぜ!!
アキラ:そーかそーか。そのピアスもか?
ヒロ:そう!これもなー!おれの好きな魔界石(まかいせき)をあしらってもらっててなー!特注なんだぜ!
アキラ:そーかそーか。その費用はどっから持ってきた?
ヒロ:なーに言ってんだよアキラ!おれは魔王の側近だぜ?このくらいはした金だっての!
アキラ:おーう、そうか。よし、ヒロ、そこに正座しろ。どこの金か吐くまで痛めつける。
ヒロ:えっ!?ちょ、アキラ!?や、やめろって!毎月貯めたオレのお金だってば!いたい、いたいって!
アキラ:ぜってぇちげえよなぁ!おま、俺の分からせしめてんだろ!
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もも:アキラー!何してんの?やめなってば!
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アキラ:もも。止めてくれるな、コイツは横領をだな......おい、もも。その服どーした。
もも:あぁこれ?かわいいでしょ!黄金のドレス!輝かしいあたしにピッタリのドレスよね!特注で作ってもらったのよ!
アキラ:お前もか!
ヒロ:アキラ、ごめんなさい....。おれ、どうしてもアキラみたいにカッコよくなりたくて...アキラ献上品でかっこいい装飾品身につけてるのいいなって思って...つい....っ!
アキラ:あぁ?そりゃ俺がつけてるもんは、魔王としての威厳を示すためのだな....
ヒロ:ごめんなさい、ごめんなさぁぁい!(号泣)
もも:ごめんなさい、あたしもヒロに便乗しちゃって。かっこいい魔王様の側近として、かっこよくいたかっただけなの、あたしたちは。
アキラ:うっ.....まぁ、俺に憧れてくれてるのは嬉しい、からな....
ヒロ:うぅ、うぅ〜。
アキラ:いや、悪かったって。ちょっとやりすぎた.....あれ?...なぁおいヒロ、そのポケットに入ってるナイフ、よく見せてくれるか?
ヒロ:げっ!やべ、はみ出してた!
アキラ:やっぱり!このナイフ、俺が無くした、唯一無二の武器、いにしえのドラゴンナイフじゃねぇか!お前がとってたのか!ヒロぉっ!!
もも:ちょ、やめてよアキラ!ヒロに乱暴しないで!
アキラ:うん、んでお前もだよなぁ、もも!さっきからずっと言おうとしてたんだが、お前の両手の指全部にある指輪!それ全部俺のだよなぁ!お前に至っては隠す気もねぇよなぁ!ナイフも指輪も無くして落ち込んでたのに、お前らがとってたのかよ!
もも:あーあ、バレちゃった。ヒロ、もうちょっと上手に隠しなさいよ。
ヒロ:ももだけには言われたくねぇよ!これみよがしに指輪つけやがって!
アキラ:こんの...くそ泥棒悪魔どもがぁぁっ!!
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0:とある山道
:
ゆりか:えぇっ!?悪魔族と恋に落ちて村を追放された!?英雄の子が?悪魔族の子と?マジで?なんなの?バカなの?
リュウタロウ:うるさいな!そんなに言わなくてもいいだろ!
ゆりか:なるほどねー。そんで、その恋に落ちた悪魔族の子が、魔王に殺されちゃったわけだ。
リュウタロウ:そういうこと。だからオレは絶対に魔王を倒すって決めたんだ..!
ゆりか:英雄と悪魔がねぇ…。まぁ理由は違えど、目的は一緒だからね。必ず魔王を倒して、世界を救いましょう。.......そういえば、この山、最近盗賊が出るって噂を聞いたわ。気を抜かないようにね。
リュウタロウ:盗賊?そりゃ物騒だな。わかった、気をつけ.....
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みき:残念っ!もうロックオンしてるよっ!
:
リュウタロウ:なっ!上!?くっ!
みき:っとぉ!さーすが、いい装備してるだけあって、反応が早いねぇ!
リュウタロウ:躊躇なく急所を狙ってきた...!かなりの手練だな!
みき:最近獲物が少なくて困ってんだ。身ぐるみ全部、置いていきな!そしたら命は取らないでおくよ!
リュウタロウ:こっちだって、生きてやらなきゃいけないことがあるんでね!どっちもごめんだ!
みき:おっけー!じゃあ戦闘開始だ.....ああああああ!?!?
(足になにか引っかかり、頭上から降ってきた網に捕まる)
リュウタロウ:へっ?急にロープが降ってきた...?
みき:くっそ、なんだよこのトラップ!くそ!動けねぇ!
ゆりか:ふふふ。
みき:おい!お前か!?そこの女ァ!お前がやったのか!外せ!!
ゆりか:私はトラップマスターゆりか。こんな危ない山道ですもの。歩きながらあらゆる所にトラップを仕掛けてあるわ。
リュウタロウ:マジで!?そんなことしてたの?気づかなかったんだけど!?
ゆりか:残念ながら、盗賊さん、あなたがいた場所は私たちより後ろ。つまり、私のしかけた罠がそこには存在する、ってこと。わかるかしら?
みき:くそ、くそっ!この私がこんな罠に!
ゆりか:さぁ、選びなさい。ここで私たちに殺されるか、私に服従を誓い、ともに魔王を倒すか!
みき:え.....魔王を、倒す....?
ゆりか:そう。私たちは魔王を倒すために旅をしているの。魔王を倒して、この世界を平和にするためにね。
みき:そっか....だったら私の選択は1つだ!あんたたちに付いてく!
リュウタロウ:そう言って、解放されたらまたすぐ襲うんじゃないか?ゆりか、こいつはここで抹殺しといた方がいいって。
ゆりか:いいえ。私の勘だけど、この子はとても戦力になると思うの。なにか、特別な力を秘めている...そんな気がする。
みき:頼む。私の仲間が魔王に囚われてるんだ...。一緒に、連れてってくれないか!
ゆりか:あなたもまた、魔王を倒す理由がある、ってことね。いいわ。一緒に行きましょう。
みき:ありがとう!私、みきってんだ。よろしくな!
ゆりか:私はゆりか。よろしくね、みき。そしてこっちが、
リュウタロウ:リュウタロウだ。言っとくけど、オレはまだお前のこと信用してないからな!
みき:悪かったって。もう変なことしないからさ!よろしくな!リュウタロウ!
リュウタロウ:ふん!ま、信用できるかどうかはこれからの旅路で決めてやる。
ゆりか:さ!ヴェント王国まであと少しよ!がんばりましょ!
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0:魔王城
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アキラ:おい!シュウ!来い!
シュウ:なんだ、アキラ。
アキラ:なぁ。どーでもいいけどさ、お前らもっと魔王様敬おうよ。なんで側近みんな俺の事呼び捨てな上にタメ語なの。
シュウ:いいじゃないか、アットホームで。
アキラ:アットホーム言うな。アットホームを謳い文句にしているとこはほとんどブラックだって相場は決まってる。
シュウ:ブラック?相場?なんのことだ?
アキラ:いや、なんでもない。そういう事を言いたいんじゃないんだよ!シュウ!お前、ドレイからの献上品管理を任せてたよな!
シュウ:あぁ。任されてるな。
アキラ:ヒロとももがくすねてるせいで、俺への献上品が減ってんだよ!どういう管理してんだ!
ヒロ:少しくらいいいじゃんかー!
もも:そーだそーだ!
アキラ:お前らは黙ってろ!
シュウ:そんな固いことを言うなよ、アキラ。ヒロもももも頑張ってくれてんだから。減ってるとは言え、十分に贅沢できる量は入っているだろう。
アキラ:まぁ、そーだけどさ。
シュウ:それともなんだ。アキラは頑張っている私たちに褒美を与えないような、そんな酷い魔王様なのか?
ヒロ:アキラはオレたちには優しい魔王様だって、知ってるぞー!
もも:そうそう。だからあたし達も、一生魔王様についてくって決意したんだもんね!
アキラ:うぐっ。
シュウ:全ての魔物や魔族に褒美をやれとは言わん。だが、1番近くで、アキラの側近として頑張っている私たちには、少しくらい褒美をくれてもいいんじゃないか?
アキラ:.....そう、だな。シュウの言う通りだ。すまん、俺が間違っていた。
ヒロ:いいんだよ、アキラ!気にすんなって!
もも:そーだよ!アキラのそう言う、威厳を大切にしてるところも、私たちは好きだからさ!
アキラ:ヒロ...もも...。
シュウ:そんなわけだ。今回のことは不問にしてやれ。
アキラ:あぁ、わかったよ。
シュウ:それから、これからはもう少し私たちに褒美を渡せ。
アキラ:あぁ、わかっ.....あれ?
ヒロ:よっし!アキラもそう言ってくれた事だし!おれ、遊びに行ってくる!
もも:あ!私も私も!
シュウ:さて、私も少し外出してくるかな。それじゃあな、アキラ。
アキラ:......小賢しい悪魔どもめがぁぁぁぁぁ!!!
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0:ヴェント王国
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せいら:ここはヴェント王国。いまだ魔王に侵略されず残っている国の中で1番大きな国。そして、魔王を倒すべく有力な戦士たちが集まる国でもあります。そして、この国を統治しているのがこのワタクシ、せいらでございますわ。
みき:うん、わかりやすいこの国の説明だったね!ありがと!
ゆりか:この国の王女様自ら説明してくれるとはね。
リュウタロウ:なあ、どうして何処の馬の骨ともわからないオレたちと謁見する気になったんだ?こういう大きい王国の王女様にオレらみたいな旅人が会って話をするなんて普通出来ないだろ?
せいら:うふふ。理由は単純明快。魔王を倒したいと、ワタクシも強く思っているからですわ。
ゆりか:どうやら、あなたにも魔王を倒したい理由があるようね?私たちと同じように。
せいら:えぇ。ま、どこにでもある話ですわ。わたくしの父、先代のヴェント王国国王が、魔王の手によって殺されてしまったのです。
リュウタロウ:オレと同じだな。仇討ちってことか。
せいら:お父様はとても素晴らしい王でした。優しい王で、国民のことを第一に考えて自己犠牲もいとわない、そんな王でした。ですが、その優しさゆえに、国民を庇って命を.....。
みき:そっかぁ。それはつらかったな。
せいら:国民を命を賭して護ったお父様を誇りに思います。ですが、お父様を殺した魔王は絶対に許しませんわ。
リュウタロウ:わかるよ、その気持ち。オレも一緒だからな。
せいら:お願いです。ワタクシを一緒に連れて行ってくださいませんか?ある程度の魔術と体術は心得ております。
リュウタロウ:オレは賛成だね。ゆりか、みき、どうする?
みき:私もさんせー!戦力は多い方がいいもんなっ!
ゆりか:いいわ。一緒に行きましょう。そして、ともに魔王を討ち、世界を平和に導きましょう!
せいら:ありがとうございます!ヴェント王国の王女せいら、必ず魔王を討ち取ってみせますわ!!よろしくお願いしますね!
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ゆりか:こうして、志を共にする仲間たちと共に私たちの過酷な旅は始まった。魔物を討伐し、様々な国や村の問題を解決し、4人で協力しながら魔王城を目指した。そして....
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ゆりか:ついに来たわね、魔王城..。
せいら:えぇ。長い道のりでしたわ。
みき:大変だったけど、私たちすごく強くなったよね。
リュウタロウ:あぁ。それに、今のオレ達には強さだけじゃない。強い絆もある。この強さと絆があれば、どんな強敵だろうと倒せるさ。
ゆりか:そうね!みんな、準備はいい?
せいら:えぇ!
みき:うん!
リュウタロウ:もちろんだ!
ゆりか:行くわよ!
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0:魔王城
:
ゆりか:魔王アキラ!私の名はゆりか!この世界の平和をまもるため、お前を倒しに来た!さぁ!姿を現せ!
アキラ:くっくっくっ。よくぞきたな、勇ましき英雄たちよ。ここまでたどり着いたこと、褒めてやろう。
リュウタロウ:お前が魔王アキラか!やっぱり魔王だけあって、強そうだな...。
せいら:臆することはありません。ワタクシたちには強さと絆がある、とおっしゃっていたではありませんか。
リュウタロウ:そうだな!信じ合う絆があれば!魔王になんか負けねぇよ!
アキラ:これはこれは、どこぞの英雄の子までもいるとはな。よく見れば、なかなかに豪華なメンツではないか。英雄の子、名の知れた盗賊の娘、大きな王国ヴェント王国の王女。これは楽しい戦闘になりそうだ。
みき:私たちは、絶対にあんたを倒す!覚悟しな!魔王!
アキラ:さすがに多勢に無勢....こちらも仲間を呼ぶとしよう。来い、我が愛しの悪魔たちよ。
ヒロ:っしゃぁ!久しぶりのバトルだぁっ!
もも:あははははっ!思う存分に暴れちゃうから!
シュウ:あまり油断するなよ、ヒロ、もも。
リュウタロウ:.....っ!!
ゆりか:これは...なかなかに強そうな悪魔が三体も...みんな、気をつけ.....
リュウタロウ:シュウ!?シュウ!!
ゆりか:....え?
リュウタロウ:シュウ、だよな!お前、生きてたのか....!!
ゆりか:え、ちょっとまってなんか嫌な予感がする。
シュウ:リュウタロウ....久しぶり、だな。
リュウタロウ:シュウっ!!
(シュウに駆け寄る)
みき:あ、おい!リュウタロウ!
リュウタロウ:うわぁぁぁぁ!生きてたんだなぁぁぁぁ!!シュウぅぅぅ!!よかったぁぁぁぁ!!
せいら:この...展開は...ワタクシの勘が正しければ....かなり危ない展開ではないですこと?
ゆりか:うん、私も同じこと思ってる。
みき:あたしも...。
シュウ:リュウタロウ、すまない。私は実は生きていたのだ。わけあって、魔王に殺されたように見せたのだが....実はこうして、魔王の元で生きていた。騙すような真似をしてすまなかった。
リュウタロウ:いいんだよそんなことはぁ!お前が元気に生きているだけでオレは、オレはぁぁぁぁ!
シュウ:ありがとう、リュウタロウ。愛している。
リュウタロウ:オレもだぁぁ!愛してる、シュウ!!
ヒロ:へへ、感動の再会ってやつだな!こっちまで、泣けてくるぜ!
もも:シュウ、よかったね!愛しの恋人にまた会えて!
みき:おい!リュウタロウ!なにやってんだよ!さっさとこっち戻って来いって!
リュウタロウ:みんな....ごめん。
みき:は、はぁ!?
リュウタロウ:オレ、シュウのことが1番大切なんだ。シュウと一緒にいれるなら、オレは魔王側につく。
せいら:ちょ、何言ってますの!?あなたが1番仲間の絆を謳ってましたわよね!?なんで1番に裏切ってるんですの!?
アキラ:ふはははは!計画通りだ。シュウが英雄の子と恋に落ちたと聞いた時はどうしようかと思ったが...それを逆に利用させてもらった。英雄の子リュウタロウは、俺たちのものだ。
リュウタロウ:ごめんな、みんな。オレはもうシュウの側を離れたくないんだ。
シュウ:私もだよ、リュウタロウ。一緒になれた今、私ももうお前を離さない。
ヒロ:ひゅーひゅー!アツいねぇ!
もも:ほら、ちゅー!ちゅー!
アキラ:ヒロ、もも、茶化すのはあとにしろ。
ゆりか:....リュウタロウ。最後に一つだけ聞くわ。
リュウタロウ:なんだ、ゆりか。
ゆりか:あなたは魔王側についた、これで間違いないわね?
リュウタロウ:.....あぁ。
みき:そんな、リュウタロウ!
せいら:考え直してくださいまし!
ゆりか:みき、せいら、いいよ。答えはわかった。ならば、私がやることはひとつ。
みき:ゆりか!もう少し考えようよ!私、リュウタロウと闘うの、嫌だよ!
せいら:ワタクシもですわ!なんとかこちら側に....!
ゆりか:みき、せいら、下がって。私がやる。
みき:ゆりか...。
せいら:わかり、ましたわ...。
ゆりか:あなたたちは私が倒す...この最大の魔法を使ってね!!
ヒロ:来るぞ!構えろ!
もも:護りの唄「黒壁(こくへき)」!これで防御力をあげるっ!
ゆりか:これで...終わりよ。…この世界は魔王のものだっ!.......闇と終焉の焔で全てを包め....ラスト・ブラック!
(黒い炎がみきとせいらを襲う)
みき:なっ!?
せいら:これは黒い炎!?ゆりか!?これはどういう...ああぁぁぁぁぁっ!!
みき:ぐっ...くるし....!
ゆりか:ごめんなさいね、みき、せいら。
みき:ゆり...か....どういう、こと、だよ...。
アキラ:ご苦労だったな、ゆりか。
ゆりか:うふふ。まさか英雄の子が先にそっち側につくとは思わなかったけど、まぁ国の王女を消せるのは大きいわ。
せいら:ゆりか!?あなたは一体...!
アキラ:ゆりかはな、先代魔王の血を引く人間だ。
みき:なん...だって...?
ゆりか:先代魔王が用意した後継者は2人いたの。現魔王のアキラと、この私、ゆりか。そして、アキラの侵略が最終段階に入った時、私は残った土地をまわりながら、魔王の脅威となりそうな人物を探し、ここへ連れてくるのが使命。そして、ここで一緒に消し去ろうっていう魂胆だったの。
ヒロ:へっへー、人間ども!お前らは騙されたんだよ!
もも:あっははは!ねぇねぇ!信頼してた仲間2人に裏切られるのは、どんな気持ち?ねぇ!ねぇ!教えてよ!あはははは!!!
せいら:くっ...!そんな、リュウタロウだけじゃなく、ゆりかまでも...うぅ、この炎、動け、ない...!
アキラ:さぁ、終焉だ!お前たちを消して!俺は世界全てを支配する!!
せいら:ここ..まで....
みき:まだだっ!!
せいら:っ!みき!?
みき:魔王っ!悪いけど、私の仲間を返してもらうよ!
アキラ:はっ!無駄だ。お前たちの仲間をもう完全に...
みき:そっちじゃない!....甦れ、我らが記憶っ!共鳴せよ!記憶のペンダント!!
(みきが付けていたペンダントをかかげた)
ヒロ:はっ!その、ペンダントは!俺とももと同じペンダント!?
もも:あっ!ペンダントが光って...!うっ!頭、が...!
みき:思い出して、ヒロ!もも!あんたたちは私と一緒に盗賊してた悪魔でしょ!一緒に過ごしてた仲間でしょ!
ヒロ:うっ...!この、記憶は...魔王城に来る前の...失ってた記憶...!
もも:そう、だ。あたしとヒロは先代魔王に追放されていた弱小悪魔だった...。それをみきの姉御が拾ってくれて...それで!
みき:一緒に帰ろう、ヒロ、もも!今の魔王に記憶を封じられて連れ戻されていたけど、私はあんたたちとまた一緒に過ごしたいんだ!
ヒロ:うっうぅっ...!姉御っ!!
もも:姉御ぉぉっ!ごめんなさい、ごめんなさい、ずっと忘れてた...っ!ごめんなさぁい!!
みき:えっへへ、いいんだよ、思い出してくれたんだから。2人とも、元気だった?
ヒロ:うんっ!
もも:元気だったよ!
みき:よしっ!じゃあ、一緒に魔王倒して、帰ろっか!
ヒロ:あぁ!
もも:うんっ!
アキラ:ちっ。記憶を戻す術をもっていたか..!
せいら:なんだかわかりませんが、これで仲間の数は戻りましたわ。さぁ、魔王、覚悟なさい!
ゆりか:ふん!そんな弱小悪魔がそっちの手に渡ったところでなんの痛手もないわ!
シュウ:ヒロ!もも!お前ら、裏切るのか?
ヒロ:アキラ、シュウ!悪いが、おれたちは姉御と一緒に行く!覚悟しろ!
シュウ:そうか、ならば容赦はしない。お前たち共々消し去ってくれる。
リュウタロウ:シュウ、オレも一緒に闘う。かつて一緒に磨き上げたコンビネーションで、やるぞ!
シュウ:あぁ!リュウタロウ、行くぞ....
:
もも:シュウ。
:
シュウ:?なんだ、もも、命乞いなら聞かな...
もも:あたしね、今の記憶のペンダントの影響で...思い出したことがあるの。
シュウ:私には関係ないだろう。時間稼ぎのつもりなら....
:
もも:アイト。
:
シュウ:っ!?それ、は....!
もも:そう、前世の記憶。全ては思い出せないけど、あたしとシュウ、あたしたちは2人でその”アイト”というものを護っていたの。そしてあたしたちは恋人だった。
シュウ:うっ..!前世の、記憶...!そう、だ。私は大切な恋人ともに、世界を護っていた。絶大な敵から世界を護っていた!君とともに!!
リュウタロウ:おい、シュウ、何言って...!シュウ!?どうしてそっちに行くんだよ...!
シュウ:すまない、リュウタロウ。私は全て思い出してしまった。私はももと共にあるべきだ。
もも:シュウ。また一緒に、闘えるね。
シュウ:あぁ。共にこの世界を魔王の脅威から護ろう。
リュウタロウ:行くな、シュウ!お願いだ、せっかく会えたんだよ..もう離さないって決めたのに!
シュウ:そうだな、リュウタロウ。お前と離れ離れになって、またこうして一緒に会えた。でもな、私とももは前世からの絆があるんだ。だから、すまない、リュウタロウ。
リュウタロウ:そんな、そんな、シュウ!!!オレは!お前のこと、本気で愛しているのにっ!!!
もも:ごめんね、リュウタロウ。シュウはあたしのものになっちゃった。
リュウタロウ:あ、あ、うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!
ゆりか:リュウタロウから闇と絶望のオーラが...。闇堕ちしてしまったみたいね、まぁ好都合だわ。魔王側で闇と絶望の力を宿した人間は使える。
アキラ:だが、あちら側の勢力の方が多くなってしまったな...。....えっと、結局今、誰がどの勢力なんだ??
ゆりか:えっと、魔王サイドが、私ゆりかと、アキラ、リュウタロウ。んで、勇者サイド?人間サイド?が、せいら、シュウ、もも、ヒロ、みき.....
みき:う、うわぁぁぁっ!!!
ヒロ:っ!みきのあねご!?どうしたんですか!あねご!しっかり!
みき:アタマ、が...!くっ、記憶のペンダントで....もっと前の記憶....前世の記憶、までっ!
せいら:みき!しっかりしてください!
みき:私は....わた、し、は.....。.....。
せいら:みき...?
みき:(静かな足取りでゆりかのもとへ歩く)そうだ、私は...。
ヒロ:みきのあねご!行かないで!どうして魔王側へ行こうとしてるんだ!
みき:離せ!邪魔な小悪魔め!(止めようとするヒロを払い除ける)
ヒロ:いたっ!あ、あねご...?
みき:悪いねぇ。やーっとこの世界に転生できた!みきとして生まれ変わって、ずっと記憶を封じ込めていたけど、今!封印は解けた!
もも:そんな....もしかして、乗っ取られてる...?
みき:ごめんなぁ、君たちが慕っていた優しい盗賊のみきはもういない。私は、かつて魔王様に仕えていた、いにしえの竜族、みきだ。
ヒロ:そんなっ!おい!返せ!アネゴを返せよォ!
もも:やだ!せっかく思い出せたのに!アネゴっ!!!
みき:そういうわけだ。私が本来仕えていた主君とは違うが、魔王であるあなたたちのために、力、貸すよ!アキラ、ゆりか!
ゆりか:やっぱり。私の見たては間違ってなかったのね。あなたは特別な力を秘めていると思ってたのよ、みき。さ、アキラ。これで勢力は均衡した。力で言えばこちらが上なはず。さぁ、戦闘開始...
アキラ:待て。待ってくれ。
ゆりか:なに?どうしたのよ、頭なんて押えて。まさか、あんたも前世の記憶、とか言うつもりないでしょうね?
アキラ:違う、違うんだ。なにか、大切なことを思い出せそうな気がするんだ。俺は...なにか大切なことを忘れている、気がする...。
ゆりか:はぁ?何言って...
せいら:やっと、自分の正体に気づき始めたようですね。アキラ。
アキラ:....っ!...ヴェント王国王女...うっ!
せいら:あなたは本当に、この世界を支配しようとする魔王ですか?アキラ。
アキラ:俺は...先代魔王から次期魔王に命じられ、そして先代魔王が倒されたから、俺が魔王になって...
せいら:次期魔王として任命される前の記憶はありますか?
アキラ:そうだ...そこの記憶が俺にはないんだ。魔王になってからの記憶しかない...思い出せ、俺は何をしていた?...俺は..確か...。はっ!そうだ、俺は王国の次期王として王女とともに国を統治していた!
せいら:ふふ、よく思い出してくれました。そう。あなたは、ヴェント王国の時期国王、アキラ・ヴェント。
ゆりか:おっとぉ?これはまた不穏な空気が?
アキラ:そうだ!俺は人間だった!ヴェント王国に住む人間だった!そして王女...ソフィア王女と共に国を管理していた!...ん?ソフィア王女...?だが、君の名前は確か...。
せいら:ソフィア王女は先代の名前。今の王女はワタクシ、せいらです。ソフィア王女とあなたが統治していた王国は先代魔王によって侵略され、ソフィア王女は命を落とし、そしてあなたは先代魔王の洗脳により、次期魔王としての記憶と使命を植え付けられた。
アキラ:そう、だったのか...。ソフィア王女は、魔王に...。くそっ!魔王め、許さない!この俺にそんなことを!!せいら王女、俺の本当の記憶を呼び覚ましてくれてありがとう。礼を言う。
せいら:いえ。思い出せてよかったですわ。
ゆりか:あんた、魔王の血を引いてなかったってこと!?
アキラ:俺は人間だ!そして魔王は倒すべき存在!ゆりか!魔王の血を引く貴様を、俺は倒す!
ゆりか:ちっ!じゃあ私が魔王になったってことよね!いいわ、人間や小悪魔ごときが束になってかかってこようと、全部蹴散らしてやるわ!
せいら:待ってください!まだ話は終わっておりませんわ!
ゆりか:はぁ?アキラの記憶は戻ったんでしょ?これ以上なんかあるの?ただでさえ色んな情報が渋滞してて私もよくわかってないのに!
せいら:それはワタクシも同じなのですが、アキラ。ひとつ、お伝えしなければならないことがあります。
アキラ:なんだ、せいら王女。
せいら:ヴェント王国は魔王に攻めいられた時に....完全に滅んでおりますわ。
アキラ:.....は?
ゆりか:......え?
せいら:王…アキラは魔王として連れ去られ、王女は亡き者に。そして王国の民も全て魔王の力の生け贄とされたために、ヴェント王国は滅亡したのです。
アキラ:ちょっと待て。じゃあ君は一体なんなんだ?ヴェント王国の王女じゃないのか?
ゆりか:ヴェント王国、ちゃんと国としてあったわよね?、そこで私たちとせいらが出会ったわけで...。
せいら:それが全て、幻だった、と考えたら、どうですか?
ゆりか:まぼ、ろし...?
アキラ:どういうことだ!説明しろ!
せいら:うふふふふふ、ワタクシの本当の姿をお見せする時がきましたわね。
アキラ:なん...だと...?姿が変わって...!
ゆりか:っ!あなたは!
せいら:ワタクシは幻惑術を操る魔族、サキュバスのせいら、ですわ。
もも:サキュバス!?あたしたち悪魔族の最上位の悪魔じゃない!
ヒロ:サキュバスのせいら!聞いたことがある、サキュバスの中でもさらに強力な幻惑術を使えると噂の悪魔!
せいら:ゆりか、あなた方が訪れたヴェント王国はすべて、このワタクシが作った幻の国。本当のヴェント王国は、ずっとまえに滅亡していたのですわ!
ゆりか:な、なんだって!?
みき:あれ、全部まぼろしだったってことか!?くっ、完全に騙されていた..!
リュウタロウ:シュウ...どうして...オレはこんなにも愛しているのに。あぁ...シュウ...。
ゆりか:......で、そのまぼろしを見せたのはなんで?
せいら:勇者側のパーティと接触して、魔王と対峙するタイミングでワタクシの正体を明かして裏切るためですわ。
みき:うん...。ってことは、せいらは魔王側ってこと?
せいら:えぇ。ワタクシの一族は先祖代々、魔王の元で仕えている悪魔ですからね。
ゆりか:.........。
みき:.......。
リュウタロウ:許さない。オレからシュウを奪ったやつも、オレを裏切ったシュウも、許さない...。全部壊してやる...。全部、全部。
せいら:……勇者側の仲間が全員魔王側になっていますわ!?
ゆりか:そーなのよね、裏切るも何もないのよ。
せいら:じゃあワタクシは何のために幻惑を使ったのですか!?意味が無いじゃないですの!
シュウ:えっと、とりあえず今の状況を整理しようか。まず勇者サイド。1人ずつ言っていけ。まずは私、前世の記憶を思い出し、ももについて行くと誓った悪魔、シュウ。
ヒロ:えっと、盗賊のみきのあねごとの記憶を思い出して、おれたちを追い出した魔王を倒して人間界で暮らしたいと思ってる悪魔、ヒロ。
もも:同じく、みきのあねごとの記憶とシュウとの前世の記憶を思い出して、魔王を倒そうと思ってる悪魔、もも。
アキラ:あー、魔王だと思ってたけど、実は先代魔王に操られていた亡きヴェント王国の王、アキラ。
シュウ:よし、勇者サイドはこの4人だ。それで、魔王サイドは?
ゆりか:えっとぉ...実は魔王の血を継いでいて、現魔王のアキラが自分の正体を思い出したために、急遽魔王になったゆりか。
みき:盗賊みきとして生まれ変わったけど、前世の記憶でこの体を乗っ取った、先代魔王の右腕、みき。
せいら:ワタクシは、魔王によって滅ぼされたヴェント王国のまぼろしを見せて勇者たちを騙そうとしていた、魔王に仕えるサキュバス、せいら。
リュウタロウ:破壊を!絶望を!俺はもう何も信じない!すべてをこわしてやる!!!
ゆりか:で、恋人の仇を打つために魔王を倒しに来たけど、その恋人はじつは生きており、魔王側だったけども、その恋人の前世の記憶により裏切られて闇堕ちしてしまった、英雄の子、リュウタロウ。...魔王サイドはこの4人ね。
全員:..........。
アキラ:結局全員パーティ内容かわんねぇじゃねぇか!勇者か魔王かが変わっただけだよ!?敵味方は変わってねぇよ!?
ゆりか:なにこのイカれた情報過多空間!カオスすぎる!
シュウ:アキラ、ヒロ、もも!やることは変わらねぇ!奴らを討つ!目的は違えど、結果は一緒だ!うおおおお!くらえ!サードクラスレボリューション!!!
せいら:くっ!させません!守れ!アース!
ゆりか:ナイス!せいら!リュウタロウ、あんた闇魔法使えるでしょ!合わせなさい!
リュウタロウ:あぁ!すべて壊してやる!!
ゆりか:闇と絶望の力を!
:
ゆりか&リュウタロウ:ブラックディストピア!
:
もも:危ない!護りの唄「防壁」!
ヒロ:攻撃はおれに任せろ!レジェンドオブエースっ!!!
せいら:泡沫!アクアレーゲン!みき!力を開放なさい!
みき:おっけー!うおぉぉぉぉっ!!これが私の本当の姿だ!
シュウ:っ!白のドラゴンになった!?いにしえの竜族ってやつか!
みき:さぁ!ドラゴンの一撃!耐えられるかな!!
ヒロ:速いっ!じゃあこっちだって、加速だ!炎と風の力を!火炎疾風!うおおおおおお!
みき:っとぉ!やるねぇ!だが、まだ遅いっ!
ヒロ:ぐあっ!
みき:さあ、トドメだ…っ!
アキラ:いくらドラゴンと言えど、爆発には耐えられるまい。
みき:なっ!?どうして私の弱点を!?
アキラ:俺には相手の弱点を見破る技、"スペクトル・アイ"がある!お前の弱点はお見通しだ!
みき:くそっ!
アキラ:集え!地水火風の精霊よ!猛ける轟き!ビッグバン・テラ!!!
みき:ぐぁぁぁぁぁっ!!
ヒロ:アキラ、助かった!
せいら:なんという威力...っ!
ゆりか:くっ!
リュウタロウ:ぐあっ!
シュウ:隙ができた!ヒロ!もも!力を貸せ!
ヒロ:おう!頼むぜ!シュウ!
もも:決めてよね!
シュウ:我らの力、ここに集いてその真なる力解放せよ!三位一体!アルティメットソード!!
ヒロ:うおおおおぉ!
もも:はぁぁぁぁぁっ!!
シュウ:終わりだっ!!!!
ゆりか:きゃぁぁぁぁっ!!
せいら:いやぁぁぁぁぁっ!!
みき:あああぁぁぁっ!!!
リュウタロウ:ぐぁぁぁぁぁっ!!
0:間
アキラ:終わった、な。
ヒロ:みきのあねごっ!
もも:あねごっ!無事!?ねぇ!
みき:う...。ヒロ、もも...。あれ、私、は...。
ヒロ:よかったぁ!みきのあねごだ!
もも:あねごぉ!また一緒にいようね!
みき:へへ。2人とも、そんなに泣くなって。よしよし。
シュウ:リュウ、タロウ。
リュウタロウ:ん...。シュウ...。ちっ!なんでオレのとこに来てんだよ!あっち行けよ!お前はもうオレの事なんかどうでもいいんだろっ!
シュウ:リュウタロウ、聞いてくれ!すまなかった。前世の記憶が戻った直後は、いろいろ困惑していて、前世の私の気持ちが強かったのだが...今は違う!今、この世界にいるのは私だ!お前を、リュウタロウを愛した、1人の悪魔、シュウだ。
リュウタロウ:シュウ...。
シュウ:すまなかった!リュウタロウ!私が1番愛しているのはお前だ!リュウタロウ!許されないことをしたのはわかっている...だが...私はお前と一緒にいたい...!
リュウタロウ:シュウ...っ!バカ!当たり前だ!オレだって!お前のことずっと愛し続けるからな!ずっと一緒にいてくれ!
シュウ:リュウタロウ!
リュウタロウ:シュウ!
せいら:あーあ、負けちゃいましたわね。ゆりか、無事ですか?
ゆりか:なんとかね。でももう、反撃するほどの力は残ってないわ。
アキラ:魔王ゆりか。そしてその従者サキュバスせいら。お前たちの負けだ。この世界は魔王の統治から解放され、自由な世界となる。それを邪魔するのであれば、今ここでお前たちを排除する。
ゆりか:元と言えば、あんたが侵略した世界でしょ?...まぁいいわ。好きにしなさい。私は別に国を侵略しようなんて思ってないし、それを信じて欲しいとも言わない。生かすも殺すも、好きにしなさいよ。
せいら:ゆりか....。
アキラ:そうか。それならば....ゆりか、せいら、ともにヴェント王国を再建しないか?
ゆりか:え?
せいら:ヴェント王国、を?
アキラ:ヴェント王国を滅ぼしたのは先代の魔王だ。君たちにその仇を討とうとは思わん。どうあがいても、滅んでしまったヴェント王国は元に戻らない。だから、新しく、作り直すんだ。
みき:なぁ、そのヴェント王国の再建、私たち手伝うからさ、その国に住まわせてくれない?私もヒロも、ももも、住む場所ないんだよ。
アキラ:あぁ。いいとも。一緒に国を作り上げていこう。
シュウ:アキラ。私と、リュウタロウも良いだろうか?
アキラ:もちろんだ。
ゆりか:ふぅん。悪くない、わね。
せいら:わたくしも、尽力いたしますわ。
アキラ:決まり、だな!ここにいる8人で、力を合わせて、新しい国を作ろう!
:
0:間
:
ゆりか:こうして、私たちは8人で協力しながら、新たな国アキランドを作り上げて....ねぇ、アキランドって国名ダサくない?
アキラ:うるせぇな、いいからさっさと締めろ。
ゆりか:いや、さすがにアキランドはダサすぎる。他の名前にしよ。
アキラ:いいじゃねぇか、俺が王になるんだから、俺の国、アキランド。シンプルで分かりやすくていいネーミングだろうが。
ヒロ:いや...おれもダサいなって思ってた。
アキラ:はぁ!?ヒロ!?
もも:ごめん。あたしも。
アキラ:えっ...えっ...。
リュウタロウ:さすがにアキランドはねぇよなぁ。
シュウ:激しく同意。
せいら:もっと素敵な名前にしましょ?
みき:そーだそーだ!かっこいい名前にしようぜ!
アキラ:えぇー...そんなにダメ?え、泣いていい?
ヒロ:なぁなぁ、”クリムゾン・クインテット”とかどうかな?
リュウタロウ:却下。中二病すぎるだろ。あと、クインテットは5人だぞ。3人どこ行った。
もも:じゃあさ、じゃあさ、”ブルーハーツ”とかどうよっ!あたしの好きなブルーに、心って意味のハーツ、を掛け合わせてさ!
せいら:それはあなた中心すぎないかしら?ヴェント王国、でいいのではないですか?もともとアキラはヴェントの住人でしたわけですし。
ゆりか:えー!やだー!せっかくだから新しい名前つけよーよ!ね、ね、"ウロボロス"とかかっこよくない!?
シュウ:お前も中二病に走るな。"アイト"はどうだろうか?なんかこう、一つの世界、的な意味合いがあるようなないような気がする。
みき:ねー!"アングウィス"って響きかっこよくない?"アングウィス"とかどーよ!
アキラ:やっぱアキランド…。
リュウタロウ:"ブラック・ディストピア"とかでもよくないか?あえてこう、闇っぽい感じをだな。
もも:じゃあ"ステノア"は?なんか国っぽくない!?
ヒロ:"レジェンドオブエース"なら文句ないだろ!
せいら:国っぽい名前でしたら"ハウラ国"とか…。
シュウ:今何となくピンときたが"ロクド国"なんてどうだ。
ゆりか:だったら…!
みき:それならさ…!
アキラ:こうして、名前の決まらない俺たちの国は、騒がしくも楽しい国へと発展していくのであった。
ゆりか:あー!締めは私が言いたかったのに!
リュウタロウ:あーるぴーじーっ!完!
0:『あーるぴーじーっ!』
ゆりか:ここは魔族と人間が暮らす世界。魔王アキラによって統治された、魔族の世界だ。かつて、英雄リュウキによって魔王は倒され、世界は平和になったかと思われた。しかし、魔王の後継者であるアキラがすぐに新魔王として君臨し、先代よりも優れた手腕であっという間に数々の国を侵略し、人間をドレイとしていった。
:
ゆりか:私、ゆりかが住んでいるここディア村も...魔王によって侵略されてしまうのは時間の問題だ...。
:
ゆりか:だから!!そうなる前に!ディア村いちの戦士、ゆりかが!魔王を倒し、この村をまもり、世界を平和へと導こう...!というわけで!村のみんな、私は行ってくる。身よりもない私のことをこの村で育ててくれた恩は必ず返すと誓う!だからみんな、信じて待っていてくれ!いってきます!
:
0:間
:
ゆりか:さて、意気込んで出てきたはいいけど、さすがに単身で乗り込むのはよくないわよね。どこかで仲間探さないと....そうだ、確か山を超えたところに大きな国、ヴェント王国があったわ!そこならきっと強い仲間が...
:
リュウタロウ:そこのお嬢ちゃん、強い仲間をお探し?
:
ゆりか:っ!誰!?
リュウタロウ:おっと、そんな警戒しないでくれよ。怪しいものじゃねぇぜ。
ゆりか:怪しいものほど、そう言うもんよ。目的は何?戦うというのなら、相手になるわ!
リュウタロウ:好戦的だねぇ。だが、オレはたぶん、君の敵にはなり得ないさ。目的が一緒だろうからな。
ゆりか:目的が一緒?じゃああなたの目的を聞かせてもらおうかしら?
リュウタロウ:オレの目的は1つ。魔王を倒すことだ。
ゆりか:ふぅん…なるほどね。あなたも魔王を倒したい、と。
リュウタロウ:そう。オレの大事な人が魔王に殺されてな。その仇討ちってとこだ。
ゆりか:かたき討ち、ね…。ふむ……。いいわ。信じてあげる。一緒に行きましょう。私はゆりか。あなたは?
リュウタロウ:オレはリュウタロウ。
ゆりか:リュウタロウ!?もしかして、あなた...英雄リュウキの子供!?
リュウタロウ:へえ、こんなとこまで広まってるんだな。そうさ、オレはかつて魔王を倒した英雄、リュウキの息子、リュウタロウだ!ばばんっ!
ゆりか:先にその名前を言ってくれたら疑うこともなかったのに…。ま、でもそういうことなら心強いわ。よろしくね、リュウタロウ。
リュウタロウ:おう、こちらこそ、よろしくな!ゆりか!
:
0:魔王城
:
アキラ:ここは世界の中心、魔王城。そして俺がこの世界の頂点に君臨する魔王、アキラだ。世界のほとんどは俺の手中にある。この世界全てを支配するのも....そう遠くない未来だ。
:
アキラ:と、まぁそんな順風満帆なように聞こえるが、最近、ドレイからの献上物が減っているように思う。俺は側近たちを呼び出した。
:
アキラ:ヒロ!
ヒロ:はーい!アキラ、どしたのー?
アキラ:最近、魔王である俺への献上物が少なくないか?ちゃんとドレイの人間どもから巻き上げているんだろうな!
ヒロ:当たり前じゃん!ちゃーんと脅しに脅して、逆らう人間には酷い目に遭わせて、搾り取れるとこまで搾り取ってるよ!
アキラ:ふむ...まぁ、お前がそう言うなら、そうなのか。うぅむ、搾取しすぎて尽き果ててきたか...?
ヒロ:生存ギリギリのラインで巻き上げてるよ?
アキラ:そうか。....ところでヒロ、お前のその黄金のブレスレット、どうした?
ヒロ:おっ!さーすがアキラ!よく気がついたな!かっこいいだろ!特注なんだぜ!ほら、ここにおれのイニシャル入れてもらってんだぜ!!
アキラ:そーかそーか。そのピアスもか?
ヒロ:そう!これもなー!おれの好きな魔界石(まかいせき)をあしらってもらっててなー!特注なんだぜ!
アキラ:そーかそーか。その費用はどっから持ってきた?
ヒロ:なーに言ってんだよアキラ!おれは魔王の側近だぜ?このくらいはした金だっての!
アキラ:おーう、そうか。よし、ヒロ、そこに正座しろ。どこの金か吐くまで痛めつける。
ヒロ:えっ!?ちょ、アキラ!?や、やめろって!毎月貯めたオレのお金だってば!いたい、いたいって!
アキラ:ぜってぇちげえよなぁ!おま、俺の分からせしめてんだろ!
:
もも:アキラー!何してんの?やめなってば!
:
アキラ:もも。止めてくれるな、コイツは横領をだな......おい、もも。その服どーした。
もも:あぁこれ?かわいいでしょ!黄金のドレス!輝かしいあたしにピッタリのドレスよね!特注で作ってもらったのよ!
アキラ:お前もか!
ヒロ:アキラ、ごめんなさい....。おれ、どうしてもアキラみたいにカッコよくなりたくて...アキラ献上品でかっこいい装飾品身につけてるのいいなって思って...つい....っ!
アキラ:あぁ?そりゃ俺がつけてるもんは、魔王としての威厳を示すためのだな....
ヒロ:ごめんなさい、ごめんなさぁぁい!(号泣)
もも:ごめんなさい、あたしもヒロに便乗しちゃって。かっこいい魔王様の側近として、かっこよくいたかっただけなの、あたしたちは。
アキラ:うっ.....まぁ、俺に憧れてくれてるのは嬉しい、からな....
ヒロ:うぅ、うぅ〜。
アキラ:いや、悪かったって。ちょっとやりすぎた.....あれ?...なぁおいヒロ、そのポケットに入ってるナイフ、よく見せてくれるか?
ヒロ:げっ!やべ、はみ出してた!
アキラ:やっぱり!このナイフ、俺が無くした、唯一無二の武器、いにしえのドラゴンナイフじゃねぇか!お前がとってたのか!ヒロぉっ!!
もも:ちょ、やめてよアキラ!ヒロに乱暴しないで!
アキラ:うん、んでお前もだよなぁ、もも!さっきからずっと言おうとしてたんだが、お前の両手の指全部にある指輪!それ全部俺のだよなぁ!お前に至っては隠す気もねぇよなぁ!ナイフも指輪も無くして落ち込んでたのに、お前らがとってたのかよ!
もも:あーあ、バレちゃった。ヒロ、もうちょっと上手に隠しなさいよ。
ヒロ:ももだけには言われたくねぇよ!これみよがしに指輪つけやがって!
アキラ:こんの...くそ泥棒悪魔どもがぁぁっ!!
:
0:とある山道
:
ゆりか:えぇっ!?悪魔族と恋に落ちて村を追放された!?英雄の子が?悪魔族の子と?マジで?なんなの?バカなの?
リュウタロウ:うるさいな!そんなに言わなくてもいいだろ!
ゆりか:なるほどねー。そんで、その恋に落ちた悪魔族の子が、魔王に殺されちゃったわけだ。
リュウタロウ:そういうこと。だからオレは絶対に魔王を倒すって決めたんだ..!
ゆりか:英雄と悪魔がねぇ…。まぁ理由は違えど、目的は一緒だからね。必ず魔王を倒して、世界を救いましょう。.......そういえば、この山、最近盗賊が出るって噂を聞いたわ。気を抜かないようにね。
リュウタロウ:盗賊?そりゃ物騒だな。わかった、気をつけ.....
:
みき:残念っ!もうロックオンしてるよっ!
:
リュウタロウ:なっ!上!?くっ!
みき:っとぉ!さーすが、いい装備してるだけあって、反応が早いねぇ!
リュウタロウ:躊躇なく急所を狙ってきた...!かなりの手練だな!
みき:最近獲物が少なくて困ってんだ。身ぐるみ全部、置いていきな!そしたら命は取らないでおくよ!
リュウタロウ:こっちだって、生きてやらなきゃいけないことがあるんでね!どっちもごめんだ!
みき:おっけー!じゃあ戦闘開始だ.....ああああああ!?!?
(足になにか引っかかり、頭上から降ってきた網に捕まる)
リュウタロウ:へっ?急にロープが降ってきた...?
みき:くっそ、なんだよこのトラップ!くそ!動けねぇ!
ゆりか:ふふふ。
みき:おい!お前か!?そこの女ァ!お前がやったのか!外せ!!
ゆりか:私はトラップマスターゆりか。こんな危ない山道ですもの。歩きながらあらゆる所にトラップを仕掛けてあるわ。
リュウタロウ:マジで!?そんなことしてたの?気づかなかったんだけど!?
ゆりか:残念ながら、盗賊さん、あなたがいた場所は私たちより後ろ。つまり、私のしかけた罠がそこには存在する、ってこと。わかるかしら?
みき:くそ、くそっ!この私がこんな罠に!
ゆりか:さぁ、選びなさい。ここで私たちに殺されるか、私に服従を誓い、ともに魔王を倒すか!
みき:え.....魔王を、倒す....?
ゆりか:そう。私たちは魔王を倒すために旅をしているの。魔王を倒して、この世界を平和にするためにね。
みき:そっか....だったら私の選択は1つだ!あんたたちに付いてく!
リュウタロウ:そう言って、解放されたらまたすぐ襲うんじゃないか?ゆりか、こいつはここで抹殺しといた方がいいって。
ゆりか:いいえ。私の勘だけど、この子はとても戦力になると思うの。なにか、特別な力を秘めている...そんな気がする。
みき:頼む。私の仲間が魔王に囚われてるんだ...。一緒に、連れてってくれないか!
ゆりか:あなたもまた、魔王を倒す理由がある、ってことね。いいわ。一緒に行きましょう。
みき:ありがとう!私、みきってんだ。よろしくな!
ゆりか:私はゆりか。よろしくね、みき。そしてこっちが、
リュウタロウ:リュウタロウだ。言っとくけど、オレはまだお前のこと信用してないからな!
みき:悪かったって。もう変なことしないからさ!よろしくな!リュウタロウ!
リュウタロウ:ふん!ま、信用できるかどうかはこれからの旅路で決めてやる。
ゆりか:さ!ヴェント王国まであと少しよ!がんばりましょ!
:
0:魔王城
:
アキラ:おい!シュウ!来い!
シュウ:なんだ、アキラ。
アキラ:なぁ。どーでもいいけどさ、お前らもっと魔王様敬おうよ。なんで側近みんな俺の事呼び捨てな上にタメ語なの。
シュウ:いいじゃないか、アットホームで。
アキラ:アットホーム言うな。アットホームを謳い文句にしているとこはほとんどブラックだって相場は決まってる。
シュウ:ブラック?相場?なんのことだ?
アキラ:いや、なんでもない。そういう事を言いたいんじゃないんだよ!シュウ!お前、ドレイからの献上品管理を任せてたよな!
シュウ:あぁ。任されてるな。
アキラ:ヒロとももがくすねてるせいで、俺への献上品が減ってんだよ!どういう管理してんだ!
ヒロ:少しくらいいいじゃんかー!
もも:そーだそーだ!
アキラ:お前らは黙ってろ!
シュウ:そんな固いことを言うなよ、アキラ。ヒロもももも頑張ってくれてんだから。減ってるとは言え、十分に贅沢できる量は入っているだろう。
アキラ:まぁ、そーだけどさ。
シュウ:それともなんだ。アキラは頑張っている私たちに褒美を与えないような、そんな酷い魔王様なのか?
ヒロ:アキラはオレたちには優しい魔王様だって、知ってるぞー!
もも:そうそう。だからあたし達も、一生魔王様についてくって決意したんだもんね!
アキラ:うぐっ。
シュウ:全ての魔物や魔族に褒美をやれとは言わん。だが、1番近くで、アキラの側近として頑張っている私たちには、少しくらい褒美をくれてもいいんじゃないか?
アキラ:.....そう、だな。シュウの言う通りだ。すまん、俺が間違っていた。
ヒロ:いいんだよ、アキラ!気にすんなって!
もも:そーだよ!アキラのそう言う、威厳を大切にしてるところも、私たちは好きだからさ!
アキラ:ヒロ...もも...。
シュウ:そんなわけだ。今回のことは不問にしてやれ。
アキラ:あぁ、わかったよ。
シュウ:それから、これからはもう少し私たちに褒美を渡せ。
アキラ:あぁ、わかっ.....あれ?
ヒロ:よっし!アキラもそう言ってくれた事だし!おれ、遊びに行ってくる!
もも:あ!私も私も!
シュウ:さて、私も少し外出してくるかな。それじゃあな、アキラ。
アキラ:......小賢しい悪魔どもめがぁぁぁぁぁ!!!
:
0:ヴェント王国
:
せいら:ここはヴェント王国。いまだ魔王に侵略されず残っている国の中で1番大きな国。そして、魔王を倒すべく有力な戦士たちが集まる国でもあります。そして、この国を統治しているのがこのワタクシ、せいらでございますわ。
みき:うん、わかりやすいこの国の説明だったね!ありがと!
ゆりか:この国の王女様自ら説明してくれるとはね。
リュウタロウ:なあ、どうして何処の馬の骨ともわからないオレたちと謁見する気になったんだ?こういう大きい王国の王女様にオレらみたいな旅人が会って話をするなんて普通出来ないだろ?
せいら:うふふ。理由は単純明快。魔王を倒したいと、ワタクシも強く思っているからですわ。
ゆりか:どうやら、あなたにも魔王を倒したい理由があるようね?私たちと同じように。
せいら:えぇ。ま、どこにでもある話ですわ。わたくしの父、先代のヴェント王国国王が、魔王の手によって殺されてしまったのです。
リュウタロウ:オレと同じだな。仇討ちってことか。
せいら:お父様はとても素晴らしい王でした。優しい王で、国民のことを第一に考えて自己犠牲もいとわない、そんな王でした。ですが、その優しさゆえに、国民を庇って命を.....。
みき:そっかぁ。それはつらかったな。
せいら:国民を命を賭して護ったお父様を誇りに思います。ですが、お父様を殺した魔王は絶対に許しませんわ。
リュウタロウ:わかるよ、その気持ち。オレも一緒だからな。
せいら:お願いです。ワタクシを一緒に連れて行ってくださいませんか?ある程度の魔術と体術は心得ております。
リュウタロウ:オレは賛成だね。ゆりか、みき、どうする?
みき:私もさんせー!戦力は多い方がいいもんなっ!
ゆりか:いいわ。一緒に行きましょう。そして、ともに魔王を討ち、世界を平和に導きましょう!
せいら:ありがとうございます!ヴェント王国の王女せいら、必ず魔王を討ち取ってみせますわ!!よろしくお願いしますね!
:
ゆりか:こうして、志を共にする仲間たちと共に私たちの過酷な旅は始まった。魔物を討伐し、様々な国や村の問題を解決し、4人で協力しながら魔王城を目指した。そして....
:
ゆりか:ついに来たわね、魔王城..。
せいら:えぇ。長い道のりでしたわ。
みき:大変だったけど、私たちすごく強くなったよね。
リュウタロウ:あぁ。それに、今のオレ達には強さだけじゃない。強い絆もある。この強さと絆があれば、どんな強敵だろうと倒せるさ。
ゆりか:そうね!みんな、準備はいい?
せいら:えぇ!
みき:うん!
リュウタロウ:もちろんだ!
ゆりか:行くわよ!
:
0:魔王城
:
ゆりか:魔王アキラ!私の名はゆりか!この世界の平和をまもるため、お前を倒しに来た!さぁ!姿を現せ!
アキラ:くっくっくっ。よくぞきたな、勇ましき英雄たちよ。ここまでたどり着いたこと、褒めてやろう。
リュウタロウ:お前が魔王アキラか!やっぱり魔王だけあって、強そうだな...。
せいら:臆することはありません。ワタクシたちには強さと絆がある、とおっしゃっていたではありませんか。
リュウタロウ:そうだな!信じ合う絆があれば!魔王になんか負けねぇよ!
アキラ:これはこれは、どこぞの英雄の子までもいるとはな。よく見れば、なかなかに豪華なメンツではないか。英雄の子、名の知れた盗賊の娘、大きな王国ヴェント王国の王女。これは楽しい戦闘になりそうだ。
みき:私たちは、絶対にあんたを倒す!覚悟しな!魔王!
アキラ:さすがに多勢に無勢....こちらも仲間を呼ぶとしよう。来い、我が愛しの悪魔たちよ。
ヒロ:っしゃぁ!久しぶりのバトルだぁっ!
もも:あははははっ!思う存分に暴れちゃうから!
シュウ:あまり油断するなよ、ヒロ、もも。
リュウタロウ:.....っ!!
ゆりか:これは...なかなかに強そうな悪魔が三体も...みんな、気をつけ.....
リュウタロウ:シュウ!?シュウ!!
ゆりか:....え?
リュウタロウ:シュウ、だよな!お前、生きてたのか....!!
ゆりか:え、ちょっとまってなんか嫌な予感がする。
シュウ:リュウタロウ....久しぶり、だな。
リュウタロウ:シュウっ!!
(シュウに駆け寄る)
みき:あ、おい!リュウタロウ!
リュウタロウ:うわぁぁぁぁ!生きてたんだなぁぁぁぁ!!シュウぅぅぅ!!よかったぁぁぁぁ!!
せいら:この...展開は...ワタクシの勘が正しければ....かなり危ない展開ではないですこと?
ゆりか:うん、私も同じこと思ってる。
みき:あたしも...。
シュウ:リュウタロウ、すまない。私は実は生きていたのだ。わけあって、魔王に殺されたように見せたのだが....実はこうして、魔王の元で生きていた。騙すような真似をしてすまなかった。
リュウタロウ:いいんだよそんなことはぁ!お前が元気に生きているだけでオレは、オレはぁぁぁぁ!
シュウ:ありがとう、リュウタロウ。愛している。
リュウタロウ:オレもだぁぁ!愛してる、シュウ!!
ヒロ:へへ、感動の再会ってやつだな!こっちまで、泣けてくるぜ!
もも:シュウ、よかったね!愛しの恋人にまた会えて!
みき:おい!リュウタロウ!なにやってんだよ!さっさとこっち戻って来いって!
リュウタロウ:みんな....ごめん。
みき:は、はぁ!?
リュウタロウ:オレ、シュウのことが1番大切なんだ。シュウと一緒にいれるなら、オレは魔王側につく。
せいら:ちょ、何言ってますの!?あなたが1番仲間の絆を謳ってましたわよね!?なんで1番に裏切ってるんですの!?
アキラ:ふはははは!計画通りだ。シュウが英雄の子と恋に落ちたと聞いた時はどうしようかと思ったが...それを逆に利用させてもらった。英雄の子リュウタロウは、俺たちのものだ。
リュウタロウ:ごめんな、みんな。オレはもうシュウの側を離れたくないんだ。
シュウ:私もだよ、リュウタロウ。一緒になれた今、私ももうお前を離さない。
ヒロ:ひゅーひゅー!アツいねぇ!
もも:ほら、ちゅー!ちゅー!
アキラ:ヒロ、もも、茶化すのはあとにしろ。
ゆりか:....リュウタロウ。最後に一つだけ聞くわ。
リュウタロウ:なんだ、ゆりか。
ゆりか:あなたは魔王側についた、これで間違いないわね?
リュウタロウ:.....あぁ。
みき:そんな、リュウタロウ!
せいら:考え直してくださいまし!
ゆりか:みき、せいら、いいよ。答えはわかった。ならば、私がやることはひとつ。
みき:ゆりか!もう少し考えようよ!私、リュウタロウと闘うの、嫌だよ!
せいら:ワタクシもですわ!なんとかこちら側に....!
ゆりか:みき、せいら、下がって。私がやる。
みき:ゆりか...。
せいら:わかり、ましたわ...。
ゆりか:あなたたちは私が倒す...この最大の魔法を使ってね!!
ヒロ:来るぞ!構えろ!
もも:護りの唄「黒壁(こくへき)」!これで防御力をあげるっ!
ゆりか:これで...終わりよ。…この世界は魔王のものだっ!.......闇と終焉の焔で全てを包め....ラスト・ブラック!
(黒い炎がみきとせいらを襲う)
みき:なっ!?
せいら:これは黒い炎!?ゆりか!?これはどういう...ああぁぁぁぁぁっ!!
みき:ぐっ...くるし....!
ゆりか:ごめんなさいね、みき、せいら。
みき:ゆり...か....どういう、こと、だよ...。
アキラ:ご苦労だったな、ゆりか。
ゆりか:うふふ。まさか英雄の子が先にそっち側につくとは思わなかったけど、まぁ国の王女を消せるのは大きいわ。
せいら:ゆりか!?あなたは一体...!
アキラ:ゆりかはな、先代魔王の血を引く人間だ。
みき:なん...だって...?
ゆりか:先代魔王が用意した後継者は2人いたの。現魔王のアキラと、この私、ゆりか。そして、アキラの侵略が最終段階に入った時、私は残った土地をまわりながら、魔王の脅威となりそうな人物を探し、ここへ連れてくるのが使命。そして、ここで一緒に消し去ろうっていう魂胆だったの。
ヒロ:へっへー、人間ども!お前らは騙されたんだよ!
もも:あっははは!ねぇねぇ!信頼してた仲間2人に裏切られるのは、どんな気持ち?ねぇ!ねぇ!教えてよ!あはははは!!!
せいら:くっ...!そんな、リュウタロウだけじゃなく、ゆりかまでも...うぅ、この炎、動け、ない...!
アキラ:さぁ、終焉だ!お前たちを消して!俺は世界全てを支配する!!
せいら:ここ..まで....
みき:まだだっ!!
せいら:っ!みき!?
みき:魔王っ!悪いけど、私の仲間を返してもらうよ!
アキラ:はっ!無駄だ。お前たちの仲間をもう完全に...
みき:そっちじゃない!....甦れ、我らが記憶っ!共鳴せよ!記憶のペンダント!!
(みきが付けていたペンダントをかかげた)
ヒロ:はっ!その、ペンダントは!俺とももと同じペンダント!?
もも:あっ!ペンダントが光って...!うっ!頭、が...!
みき:思い出して、ヒロ!もも!あんたたちは私と一緒に盗賊してた悪魔でしょ!一緒に過ごしてた仲間でしょ!
ヒロ:うっ...!この、記憶は...魔王城に来る前の...失ってた記憶...!
もも:そう、だ。あたしとヒロは先代魔王に追放されていた弱小悪魔だった...。それをみきの姉御が拾ってくれて...それで!
みき:一緒に帰ろう、ヒロ、もも!今の魔王に記憶を封じられて連れ戻されていたけど、私はあんたたちとまた一緒に過ごしたいんだ!
ヒロ:うっうぅっ...!姉御っ!!
もも:姉御ぉぉっ!ごめんなさい、ごめんなさい、ずっと忘れてた...っ!ごめんなさぁい!!
みき:えっへへ、いいんだよ、思い出してくれたんだから。2人とも、元気だった?
ヒロ:うんっ!
もも:元気だったよ!
みき:よしっ!じゃあ、一緒に魔王倒して、帰ろっか!
ヒロ:あぁ!
もも:うんっ!
アキラ:ちっ。記憶を戻す術をもっていたか..!
せいら:なんだかわかりませんが、これで仲間の数は戻りましたわ。さぁ、魔王、覚悟なさい!
ゆりか:ふん!そんな弱小悪魔がそっちの手に渡ったところでなんの痛手もないわ!
シュウ:ヒロ!もも!お前ら、裏切るのか?
ヒロ:アキラ、シュウ!悪いが、おれたちは姉御と一緒に行く!覚悟しろ!
シュウ:そうか、ならば容赦はしない。お前たち共々消し去ってくれる。
リュウタロウ:シュウ、オレも一緒に闘う。かつて一緒に磨き上げたコンビネーションで、やるぞ!
シュウ:あぁ!リュウタロウ、行くぞ....
:
もも:シュウ。
:
シュウ:?なんだ、もも、命乞いなら聞かな...
もも:あたしね、今の記憶のペンダントの影響で...思い出したことがあるの。
シュウ:私には関係ないだろう。時間稼ぎのつもりなら....
:
もも:アイト。
:
シュウ:っ!?それ、は....!
もも:そう、前世の記憶。全ては思い出せないけど、あたしとシュウ、あたしたちは2人でその”アイト”というものを護っていたの。そしてあたしたちは恋人だった。
シュウ:うっ..!前世の、記憶...!そう、だ。私は大切な恋人ともに、世界を護っていた。絶大な敵から世界を護っていた!君とともに!!
リュウタロウ:おい、シュウ、何言って...!シュウ!?どうしてそっちに行くんだよ...!
シュウ:すまない、リュウタロウ。私は全て思い出してしまった。私はももと共にあるべきだ。
もも:シュウ。また一緒に、闘えるね。
シュウ:あぁ。共にこの世界を魔王の脅威から護ろう。
リュウタロウ:行くな、シュウ!お願いだ、せっかく会えたんだよ..もう離さないって決めたのに!
シュウ:そうだな、リュウタロウ。お前と離れ離れになって、またこうして一緒に会えた。でもな、私とももは前世からの絆があるんだ。だから、すまない、リュウタロウ。
リュウタロウ:そんな、そんな、シュウ!!!オレは!お前のこと、本気で愛しているのにっ!!!
もも:ごめんね、リュウタロウ。シュウはあたしのものになっちゃった。
リュウタロウ:あ、あ、うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!
ゆりか:リュウタロウから闇と絶望のオーラが...。闇堕ちしてしまったみたいね、まぁ好都合だわ。魔王側で闇と絶望の力を宿した人間は使える。
アキラ:だが、あちら側の勢力の方が多くなってしまったな...。....えっと、結局今、誰がどの勢力なんだ??
ゆりか:えっと、魔王サイドが、私ゆりかと、アキラ、リュウタロウ。んで、勇者サイド?人間サイド?が、せいら、シュウ、もも、ヒロ、みき.....
みき:う、うわぁぁぁっ!!!
ヒロ:っ!みきのあねご!?どうしたんですか!あねご!しっかり!
みき:アタマ、が...!くっ、記憶のペンダントで....もっと前の記憶....前世の記憶、までっ!
せいら:みき!しっかりしてください!
みき:私は....わた、し、は.....。.....。
せいら:みき...?
みき:(静かな足取りでゆりかのもとへ歩く)そうだ、私は...。
ヒロ:みきのあねご!行かないで!どうして魔王側へ行こうとしてるんだ!
みき:離せ!邪魔な小悪魔め!(止めようとするヒロを払い除ける)
ヒロ:いたっ!あ、あねご...?
みき:悪いねぇ。やーっとこの世界に転生できた!みきとして生まれ変わって、ずっと記憶を封じ込めていたけど、今!封印は解けた!
もも:そんな....もしかして、乗っ取られてる...?
みき:ごめんなぁ、君たちが慕っていた優しい盗賊のみきはもういない。私は、かつて魔王様に仕えていた、いにしえの竜族、みきだ。
ヒロ:そんなっ!おい!返せ!アネゴを返せよォ!
もも:やだ!せっかく思い出せたのに!アネゴっ!!!
みき:そういうわけだ。私が本来仕えていた主君とは違うが、魔王であるあなたたちのために、力、貸すよ!アキラ、ゆりか!
ゆりか:やっぱり。私の見たては間違ってなかったのね。あなたは特別な力を秘めていると思ってたのよ、みき。さ、アキラ。これで勢力は均衡した。力で言えばこちらが上なはず。さぁ、戦闘開始...
アキラ:待て。待ってくれ。
ゆりか:なに?どうしたのよ、頭なんて押えて。まさか、あんたも前世の記憶、とか言うつもりないでしょうね?
アキラ:違う、違うんだ。なにか、大切なことを思い出せそうな気がするんだ。俺は...なにか大切なことを忘れている、気がする...。
ゆりか:はぁ?何言って...
せいら:やっと、自分の正体に気づき始めたようですね。アキラ。
アキラ:....っ!...ヴェント王国王女...うっ!
せいら:あなたは本当に、この世界を支配しようとする魔王ですか?アキラ。
アキラ:俺は...先代魔王から次期魔王に命じられ、そして先代魔王が倒されたから、俺が魔王になって...
せいら:次期魔王として任命される前の記憶はありますか?
アキラ:そうだ...そこの記憶が俺にはないんだ。魔王になってからの記憶しかない...思い出せ、俺は何をしていた?...俺は..確か...。はっ!そうだ、俺は王国の次期王として王女とともに国を統治していた!
せいら:ふふ、よく思い出してくれました。そう。あなたは、ヴェント王国の時期国王、アキラ・ヴェント。
ゆりか:おっとぉ?これはまた不穏な空気が?
アキラ:そうだ!俺は人間だった!ヴェント王国に住む人間だった!そして王女...ソフィア王女と共に国を管理していた!...ん?ソフィア王女...?だが、君の名前は確か...。
せいら:ソフィア王女は先代の名前。今の王女はワタクシ、せいらです。ソフィア王女とあなたが統治していた王国は先代魔王によって侵略され、ソフィア王女は命を落とし、そしてあなたは先代魔王の洗脳により、次期魔王としての記憶と使命を植え付けられた。
アキラ:そう、だったのか...。ソフィア王女は、魔王に...。くそっ!魔王め、許さない!この俺にそんなことを!!せいら王女、俺の本当の記憶を呼び覚ましてくれてありがとう。礼を言う。
せいら:いえ。思い出せてよかったですわ。
ゆりか:あんた、魔王の血を引いてなかったってこと!?
アキラ:俺は人間だ!そして魔王は倒すべき存在!ゆりか!魔王の血を引く貴様を、俺は倒す!
ゆりか:ちっ!じゃあ私が魔王になったってことよね!いいわ、人間や小悪魔ごときが束になってかかってこようと、全部蹴散らしてやるわ!
せいら:待ってください!まだ話は終わっておりませんわ!
ゆりか:はぁ?アキラの記憶は戻ったんでしょ?これ以上なんかあるの?ただでさえ色んな情報が渋滞してて私もよくわかってないのに!
せいら:それはワタクシも同じなのですが、アキラ。ひとつ、お伝えしなければならないことがあります。
アキラ:なんだ、せいら王女。
せいら:ヴェント王国は魔王に攻めいられた時に....完全に滅んでおりますわ。
アキラ:.....は?
ゆりか:......え?
せいら:王…アキラは魔王として連れ去られ、王女は亡き者に。そして王国の民も全て魔王の力の生け贄とされたために、ヴェント王国は滅亡したのです。
アキラ:ちょっと待て。じゃあ君は一体なんなんだ?ヴェント王国の王女じゃないのか?
ゆりか:ヴェント王国、ちゃんと国としてあったわよね?、そこで私たちとせいらが出会ったわけで...。
せいら:それが全て、幻だった、と考えたら、どうですか?
ゆりか:まぼ、ろし...?
アキラ:どういうことだ!説明しろ!
せいら:うふふふふふ、ワタクシの本当の姿をお見せする時がきましたわね。
アキラ:なん...だと...?姿が変わって...!
ゆりか:っ!あなたは!
せいら:ワタクシは幻惑術を操る魔族、サキュバスのせいら、ですわ。
もも:サキュバス!?あたしたち悪魔族の最上位の悪魔じゃない!
ヒロ:サキュバスのせいら!聞いたことがある、サキュバスの中でもさらに強力な幻惑術を使えると噂の悪魔!
せいら:ゆりか、あなた方が訪れたヴェント王国はすべて、このワタクシが作った幻の国。本当のヴェント王国は、ずっとまえに滅亡していたのですわ!
ゆりか:な、なんだって!?
みき:あれ、全部まぼろしだったってことか!?くっ、完全に騙されていた..!
リュウタロウ:シュウ...どうして...オレはこんなにも愛しているのに。あぁ...シュウ...。
ゆりか:......で、そのまぼろしを見せたのはなんで?
せいら:勇者側のパーティと接触して、魔王と対峙するタイミングでワタクシの正体を明かして裏切るためですわ。
みき:うん...。ってことは、せいらは魔王側ってこと?
せいら:えぇ。ワタクシの一族は先祖代々、魔王の元で仕えている悪魔ですからね。
ゆりか:.........。
みき:.......。
リュウタロウ:許さない。オレからシュウを奪ったやつも、オレを裏切ったシュウも、許さない...。全部壊してやる...。全部、全部。
せいら:……勇者側の仲間が全員魔王側になっていますわ!?
ゆりか:そーなのよね、裏切るも何もないのよ。
せいら:じゃあワタクシは何のために幻惑を使ったのですか!?意味が無いじゃないですの!
シュウ:えっと、とりあえず今の状況を整理しようか。まず勇者サイド。1人ずつ言っていけ。まずは私、前世の記憶を思い出し、ももについて行くと誓った悪魔、シュウ。
ヒロ:えっと、盗賊のみきのあねごとの記憶を思い出して、おれたちを追い出した魔王を倒して人間界で暮らしたいと思ってる悪魔、ヒロ。
もも:同じく、みきのあねごとの記憶とシュウとの前世の記憶を思い出して、魔王を倒そうと思ってる悪魔、もも。
アキラ:あー、魔王だと思ってたけど、実は先代魔王に操られていた亡きヴェント王国の王、アキラ。
シュウ:よし、勇者サイドはこの4人だ。それで、魔王サイドは?
ゆりか:えっとぉ...実は魔王の血を継いでいて、現魔王のアキラが自分の正体を思い出したために、急遽魔王になったゆりか。
みき:盗賊みきとして生まれ変わったけど、前世の記憶でこの体を乗っ取った、先代魔王の右腕、みき。
せいら:ワタクシは、魔王によって滅ぼされたヴェント王国のまぼろしを見せて勇者たちを騙そうとしていた、魔王に仕えるサキュバス、せいら。
リュウタロウ:破壊を!絶望を!俺はもう何も信じない!すべてをこわしてやる!!!
ゆりか:で、恋人の仇を打つために魔王を倒しに来たけど、その恋人はじつは生きており、魔王側だったけども、その恋人の前世の記憶により裏切られて闇堕ちしてしまった、英雄の子、リュウタロウ。...魔王サイドはこの4人ね。
全員:..........。
アキラ:結局全員パーティ内容かわんねぇじゃねぇか!勇者か魔王かが変わっただけだよ!?敵味方は変わってねぇよ!?
ゆりか:なにこのイカれた情報過多空間!カオスすぎる!
シュウ:アキラ、ヒロ、もも!やることは変わらねぇ!奴らを討つ!目的は違えど、結果は一緒だ!うおおおお!くらえ!サードクラスレボリューション!!!
せいら:くっ!させません!守れ!アース!
ゆりか:ナイス!せいら!リュウタロウ、あんた闇魔法使えるでしょ!合わせなさい!
リュウタロウ:あぁ!すべて壊してやる!!
ゆりか:闇と絶望の力を!
:
ゆりか&リュウタロウ:ブラックディストピア!
:
もも:危ない!護りの唄「防壁」!
ヒロ:攻撃はおれに任せろ!レジェンドオブエースっ!!!
せいら:泡沫!アクアレーゲン!みき!力を開放なさい!
みき:おっけー!うおぉぉぉぉっ!!これが私の本当の姿だ!
シュウ:っ!白のドラゴンになった!?いにしえの竜族ってやつか!
みき:さぁ!ドラゴンの一撃!耐えられるかな!!
ヒロ:速いっ!じゃあこっちだって、加速だ!炎と風の力を!火炎疾風!うおおおおおお!
みき:っとぉ!やるねぇ!だが、まだ遅いっ!
ヒロ:ぐあっ!
みき:さあ、トドメだ…っ!
アキラ:いくらドラゴンと言えど、爆発には耐えられるまい。
みき:なっ!?どうして私の弱点を!?
アキラ:俺には相手の弱点を見破る技、"スペクトル・アイ"がある!お前の弱点はお見通しだ!
みき:くそっ!
アキラ:集え!地水火風の精霊よ!猛ける轟き!ビッグバン・テラ!!!
みき:ぐぁぁぁぁぁっ!!
ヒロ:アキラ、助かった!
せいら:なんという威力...っ!
ゆりか:くっ!
リュウタロウ:ぐあっ!
シュウ:隙ができた!ヒロ!もも!力を貸せ!
ヒロ:おう!頼むぜ!シュウ!
もも:決めてよね!
シュウ:我らの力、ここに集いてその真なる力解放せよ!三位一体!アルティメットソード!!
ヒロ:うおおおおぉ!
もも:はぁぁぁぁぁっ!!
シュウ:終わりだっ!!!!
ゆりか:きゃぁぁぁぁっ!!
せいら:いやぁぁぁぁぁっ!!
みき:あああぁぁぁっ!!!
リュウタロウ:ぐぁぁぁぁぁっ!!
0:間
アキラ:終わった、な。
ヒロ:みきのあねごっ!
もも:あねごっ!無事!?ねぇ!
みき:う...。ヒロ、もも...。あれ、私、は...。
ヒロ:よかったぁ!みきのあねごだ!
もも:あねごぉ!また一緒にいようね!
みき:へへ。2人とも、そんなに泣くなって。よしよし。
シュウ:リュウ、タロウ。
リュウタロウ:ん...。シュウ...。ちっ!なんでオレのとこに来てんだよ!あっち行けよ!お前はもうオレの事なんかどうでもいいんだろっ!
シュウ:リュウタロウ、聞いてくれ!すまなかった。前世の記憶が戻った直後は、いろいろ困惑していて、前世の私の気持ちが強かったのだが...今は違う!今、この世界にいるのは私だ!お前を、リュウタロウを愛した、1人の悪魔、シュウだ。
リュウタロウ:シュウ...。
シュウ:すまなかった!リュウタロウ!私が1番愛しているのはお前だ!リュウタロウ!許されないことをしたのはわかっている...だが...私はお前と一緒にいたい...!
リュウタロウ:シュウ...っ!バカ!当たり前だ!オレだって!お前のことずっと愛し続けるからな!ずっと一緒にいてくれ!
シュウ:リュウタロウ!
リュウタロウ:シュウ!
せいら:あーあ、負けちゃいましたわね。ゆりか、無事ですか?
ゆりか:なんとかね。でももう、反撃するほどの力は残ってないわ。
アキラ:魔王ゆりか。そしてその従者サキュバスせいら。お前たちの負けだ。この世界は魔王の統治から解放され、自由な世界となる。それを邪魔するのであれば、今ここでお前たちを排除する。
ゆりか:元と言えば、あんたが侵略した世界でしょ?...まぁいいわ。好きにしなさい。私は別に国を侵略しようなんて思ってないし、それを信じて欲しいとも言わない。生かすも殺すも、好きにしなさいよ。
せいら:ゆりか....。
アキラ:そうか。それならば....ゆりか、せいら、ともにヴェント王国を再建しないか?
ゆりか:え?
せいら:ヴェント王国、を?
アキラ:ヴェント王国を滅ぼしたのは先代の魔王だ。君たちにその仇を討とうとは思わん。どうあがいても、滅んでしまったヴェント王国は元に戻らない。だから、新しく、作り直すんだ。
みき:なぁ、そのヴェント王国の再建、私たち手伝うからさ、その国に住まわせてくれない?私もヒロも、ももも、住む場所ないんだよ。
アキラ:あぁ。いいとも。一緒に国を作り上げていこう。
シュウ:アキラ。私と、リュウタロウも良いだろうか?
アキラ:もちろんだ。
ゆりか:ふぅん。悪くない、わね。
せいら:わたくしも、尽力いたしますわ。
アキラ:決まり、だな!ここにいる8人で、力を合わせて、新しい国を作ろう!
:
0:間
:
ゆりか:こうして、私たちは8人で協力しながら、新たな国アキランドを作り上げて....ねぇ、アキランドって国名ダサくない?
アキラ:うるせぇな、いいからさっさと締めろ。
ゆりか:いや、さすがにアキランドはダサすぎる。他の名前にしよ。
アキラ:いいじゃねぇか、俺が王になるんだから、俺の国、アキランド。シンプルで分かりやすくていいネーミングだろうが。
ヒロ:いや...おれもダサいなって思ってた。
アキラ:はぁ!?ヒロ!?
もも:ごめん。あたしも。
アキラ:えっ...えっ...。
リュウタロウ:さすがにアキランドはねぇよなぁ。
シュウ:激しく同意。
せいら:もっと素敵な名前にしましょ?
みき:そーだそーだ!かっこいい名前にしようぜ!
アキラ:えぇー...そんなにダメ?え、泣いていい?
ヒロ:なぁなぁ、”クリムゾン・クインテット”とかどうかな?
リュウタロウ:却下。中二病すぎるだろ。あと、クインテットは5人だぞ。3人どこ行った。
もも:じゃあさ、じゃあさ、”ブルーハーツ”とかどうよっ!あたしの好きなブルーに、心って意味のハーツ、を掛け合わせてさ!
せいら:それはあなた中心すぎないかしら?ヴェント王国、でいいのではないですか?もともとアキラはヴェントの住人でしたわけですし。
ゆりか:えー!やだー!せっかくだから新しい名前つけよーよ!ね、ね、"ウロボロス"とかかっこよくない!?
シュウ:お前も中二病に走るな。"アイト"はどうだろうか?なんかこう、一つの世界、的な意味合いがあるようなないような気がする。
みき:ねー!"アングウィス"って響きかっこよくない?"アングウィス"とかどーよ!
アキラ:やっぱアキランド…。
リュウタロウ:"ブラック・ディストピア"とかでもよくないか?あえてこう、闇っぽい感じをだな。
もも:じゃあ"ステノア"は?なんか国っぽくない!?
ヒロ:"レジェンドオブエース"なら文句ないだろ!
せいら:国っぽい名前でしたら"ハウラ国"とか…。
シュウ:今何となくピンときたが"ロクド国"なんてどうだ。
ゆりか:だったら…!
みき:それならさ…!
アキラ:こうして、名前の決まらない俺たちの国は、騒がしくも楽しい国へと発展していくのであった。
ゆりか:あー!締めは私が言いたかったのに!
リュウタロウ:あーるぴーじーっ!完!