声劇台本置き場

ナレーター(？？？)：皆さん、天ぷらで好きなのは、なんですか？私は、かき揚げが好きです。〇亀製麺とかにあるボリューム盛り盛りのやつや、薄めの形で大きく作るかきあげが大好きです。しかし、かき揚げとはあらゆる食材の集合体。それぞれ異なる具達が果たして、まとまることが出来るのか？とあるご家庭の様子を見ていきましょう。 0： 0： 0： ニンジン：おい、聞いたか？今回の集会のメンツ。 タマネギ：話は聞いているが、マジな話なのか？それ。 ニンジン：ああ。さっき、ゴボウのやつが見たって話だ。そうだろ？ ゴボウ：ああ。ただでさえ、全員が主役級の味を引き出せるってのに、このメンツにやつが来るってんだ。今日の集会、荒れるぞ。 ニンジン：おい、お母さん(ボス)が手になにか持ってないか？ タマネギ：まさか、本当に・・・ ゴボウ：来るぞ！！全員、備えろ！！ えび：(田舎者っぽく)・・・あの〜、本日の集会って、ここで合ってますけ？ タマネギ：お、おう。 えび：そらぁ、えがった、えがった。いやぁ、いきなり、スーパーから連れてこられて、気づいたら大層な方々が並んでる集会に放り込まれるって話なもんですけ、緊張すて、緊張すて・・・して、今回の集会、誰がメインで張るのか、決まったんですかいの？ ゴボウ：いや、まだだが・・・。 えび：なるほど、なるほど。そったら、皆さんに苦労かけるのは良ぐねえですけ、わしがメインを張らせていただきます。 ニンジン：待て待て待て！！後から来て、番を張るなんて、ふざけんじゃねぇぞ！？ ゴボウ：何様のつもりだ、こらぁっ！！ えび：何様ってぇ・・・(雰囲気が変わる)そこら辺の根っこごときが何を言っている？弁(わきま)えろ、根菜畜生共(こんさいちくしょうども)が。 ニンジン：な・・・コイツ・・・ タマネギ：やはり、噂では聞いていたが、傍若無人(ぼうぎゃくぶじん)な振る舞い、聞いてた通りだな、えび。 えび：見知った顔がいると思えば、玉ねぎか。今回の集会、お前なら分かっているだろ？お前らじゃ、インパクトに欠けるんだよ。せいぜい、各々(おのおの)で出せても甘みか香ばしさくらいか？ふん、笑わせる。 ニンジン：(ビビりながら)お、お前だって、同じようなもんだろ？ えび：お前らに磯の香りが出せるか？ ゴボウ：な・・・ えび：お前らにカリカリサクサク食感が出せるのか？ ニンジン：く・・・ えび：お前らに肉厚プリプリ食感が出せんのかあ！？ タマネギ：えび・・・。 えび：無理だよなあっ！？お前ら所詮(しょせん)似た仲間くらいしか用意出来ないよなあっ！？ ゴボウ：(ビビりながら)なんなんだよ、こいつ。 タマネギ：やつの仲間には、それほどの魅力を出せるやつがいるんだ。その層の厚さから付いた名前が「かき揚げの三千世界」えび。 ニンジン：くそ、俺の仲間と言ったら京都の金時(きんとき)さんくらいしか・・・。 タマネギ：ペコロスくらいしか・・・。 ゴボウ：仲間がいねえ・・・。 えび：わかったか？貴様らでは、俺に勝てない。 ニンジン：くそ！！こんな奴にメインを取られるってのかよ！？ ゴボウ：納得いかねえよ！！タマネギ！！どうにかなんねぇのか！？ タマネギ：もう、どうにも・・・ん？なんだ？お母さん(ボス)がまだ何か持って・・・おい！！何か降ってくるぞ！！ ニンジン：なんだ！？あの赤いやつ！！俺より赤い！！ ゴボウ：なんだ、この何とも言えない匂いは！！ えび：馬鹿な！？なんだ、俺の磯の香りが支配されていく！？ ？？？：ここが、今回の集会会場ですか？ タマネギ：な、なんだ、お前。 キムチ：キムチです。 ニンジン：誰！？ ゴボウ：どちら様！？ えび：はじめまして！？ タマネギ：アンニョンハセヨ！？ キムチ：おやおや、なかなかな顔ぶれですね。ここはとても居心地がいい。 タマネギ：待て待て待て、なんなんだ、お前。匂い凄いし、なんかピリピリするし、既に加工されてんじゃねえか！！ キムチ：そう言われましても、今回のかき揚げ集会、メインを張るように仰(おお)せつかってまして。 えび：ふざけるな！！なんなんだ、貴様！！ キムチ：ふざけるな、と言われましても・・・。 えび：お前もそこら辺の根菜共と変わらんだろうが！！この磯の香り、お前に出せ・・・なに！？奴からも磯の香りが！？ キムチ：磯の香り・・・ああ、私に使われているオキアミと同じやつですかね？ ニンジン：白菜のやつに似ているが、お前もえびの仲間か何かか！？ キムチ：ああ！！見た事あると思ったら、ニンジンさん！！ここにいるニンジンさんのお仲間の方ですよね？ ニンジン：(高音で)コンニチハ。 キムチ：ね？ ニンジン：細切りのちっちゃい俺がいる！？ ゴボウ：さっきから、ピリピリするんだが、なんなんだ、これ？ キムチ：それは私から出ている辛味ですね。 ゴボウ：なに、その感覚！？初めてすぎる！！ タマネギ：なぁ、キムチとやら。 キムチ：はい？なんですか？ タマネギ：お母さん(ボス)はたしかに、お前をメインと言ったのか？ キムチ：ええ。「今日はクッ〇パッドで見たキムチのかき揚げだ」と・・・。 タマネギ：そうか・・・。おい、お前ら！！聞け！！ ニンジン：んだよ？ タマネギ：これより、俺達はこいつ、キムチの傘下(さんか)に入る。 えび：なにぃ！？ タマネギ：お母さん(ボス )からの新たな挑戦だ！！この戦い、俺らで制することが出来れば、また食卓の座に陣取(じんど)れるかもしれねえ！！ ゴボウ：そう言われてもよぉ・・・ タマネギ：いいのか！？最近じゃがいもの野郎が肉じゃがやらコロッケやらで、俺らを裏切り、番張ることが増えてきて、俺らは所詮、サブ扱いだ！！お前らそれでいいのかよ！！ ニンジン：タマネギ・・・ タマネギ：ニンジン、辛かったよな？肉じゃがの時にいつも、アイツが我が物顔で居座って、俺らは隅(すみ)に追いやられる。あの悔しさ、忘れた訳じゃねぇだろ？ ニンジン：ああ。たしかに、このままだと、じゃがいもの野郎がつけ上がるばかりだ。 タマネギ：ゴボウ、お前も食卓で番張れたことないよな？きんぴらとかになっても、所詮、副菜扱いだ。悔しいよな！？ ゴボウ：・・・悔しいに決まってんだろ！！いつもいつも副菜として座る悲しさ。俺だって番張りてえよ！！テッペン取りてえよ！！ タマネギ：えび、お前は番を張れる実力はある。だが、価格の高騰(こうとう)とかで、なかなか食卓に立てない。今回も桜えびとして、ここに立っちゃいるが、内心、久々の晴れ舞台に、はしゃいでいたんだろうよ。でもな、お前は桜えびなんだよ。メインを張る場所なんてここしかねぇから必死にしがみつきてぇんだろ！？ えび：・・・。 タマネギ：誰がここでメインになるかなんて、俺はどうだっていい。かき揚げとして、1つの料理として食卓のテッペンを取りてぇんだ。だから、みんな、ここはキムチのやつを立てて、食卓で一花咲かせてやろうぜ！！ キムチ：タマネギさん・・・。不肖(ふしょう)ながら、私、キムチ。皆さんの思いを胸に、かき揚げとして、これから始まる食卓抗争(こうそう)のテッペンを取れるように、力、尽くさせていただきます！！何卒(なにとぞ)、皆さんの力、お貸しください！！お願いします！！ ニンジン：・・・なあ、キムチ。 キムチ：はい。 ニンジン：本当に俺達でテッペン取れんのか？ キムチ：皆さんのお力さえあれば。 ニンジン：そうか。みんな、聞いてくれ！！俺はキムチを今回のかき揚げ集会、メインとして立てることに賛成する！！こんなに血が騒いだのは久しぶりだ！！ キムチ：ニンジンさん・・・ ゴボウ：キムチ、お前がどんなやつか、まだわからねえ。でも、俺の香ばしさ。役に立てるなら使ってくれ。 キムチ：ゴボウさん・・・。 えび：ふん、新顔の貴様なんぞにメインをやるのは、口惜しいが、せいぜい、我々の力、無駄にするなよ？ キムチ：えびさん・・・。 タマネギ：だそうだ、皆、お前に力を貸してくれる。胸張ってけ。 キムチ：タマネギさん・・・。皆さん、ありがとうございます！！私、全力で食卓のテッペン、取りに行きます！！ タマネギ：いいか、お前ら！！これから始まんのは戦争だ！！覚悟決めてけよ！！まさか、こんだけ覚悟決めてんのに、ひよってるヤツいるぅ？いねぇよなあ！？ 全員：おう！！ タマネギ：なら、行くぞ！！食卓のテッペン、俺らがいただきだ！！ 全員：(思い思いにアドリブでやる気を見せたセリフお願いします。) 0： 0： 0： 0： ナレーター(？？？)：こうして、かき揚げって成り立っていると思うと美味しく感じますよね？彼らが食卓のテッペンを取れたのかどうか、それは皆様のご想像にお任せしますが、少なくとも私は、取れたと信じたいものです。え？ところで、さっきから話している私は誰かって？ふふふ、ただのかき揚げが好きな人間の1人ですよ。