台本概要
138 views
タイトル | 空の青さを知る者たちは |
---|---|
作者名 | さくまとかげ |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(男3) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
あの日の空の色を覚えているだろうか。 それぞれの戦場で生きた、3人の男たちの話。 30~40分。 以前あげていた台本の再編です。 138 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
オースティン | 男 | 72 | カエルレウス王国騎士団長(回想では団員) |
イーサン | 男 | 45 | ルベル帝国軍人。元カエルレウス王国騎士団員。 |
ブレンダン | 男 | 48 | カエルレウス王国諜報部所属。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:登場人物
:
オースティン:カエルレウス王国騎士団長(回想では団員)
イーサン:ルベル帝国軍人。元カエルレウス王国騎士団員。
ブレンダン:カエルレウス王国諜報部所属。
:
0:カエルレウス王国・騎士団長私室。
:
オースティン:……何をこそこそしている、ブレンダン・ベインズ。
ブレンダン:おっと、すぐ気が付いたな。さすが騎士団長様。感覚が鋭敏でおられる。
オースティン:ふ……それは煽り(あおり)言葉か?それとも褒め言葉か?
オースティン:まあいい、何の用だ?よもや命を取りに来たわけでもあるまい。
ブレンダン:いやなに、ただ幼馴染に会いに来ただけよ。
ブレンダン:25回目の誕生日と、騎士団長就任おめでとう。オースティン・フォン・アーヴィング。
オースティン:……わざわざそれを言いに?
ブレンダン:ああ。おかしいかい?
オースティン:いや。珍しいなと思っただけだ。
ブレンダン:そうかい?友の誕生日はおめでたいものさ。
ブレンダン:僕も君も、いつまで生きているかわからないから。伝えられるうちにね。
オースティン:ふ、確かにな。
ブレンダン:それにしても25才で騎士団長とは……随分と先に行かれてしまったものだ。
オースティン:私よりも上の人間が、先の戦争で斃れて(たおれて)しまっただけさ。それに、アーヴィングの家名の影響もある。実力ではないよ。
ブレンダン:それでも君が、選ばれたんだ、誇りに思え。
ブレンダン:あの戦争を生き延びたこと。現在騎士団長であること。
ブレンダン:……相手が友であろうと、剣を鈍らせなかったこと。
オースティン:……。
ブレンダン:あの日も確か――空はこんな鈍色だったね。
:
0:窓の外に視線を向ける二人。
:
0:回想・ある夜
:
:
オースティン:……イーサンが、ルベル帝国へ?
ブレンダン:ああ。つい先日戦争が始まったばかりのこのタイミングで、ね。
:
0:愕然とした様子のオースティン。淡々と事実を伝えるブレンダン。
:
オースティン:その情報は確かなんだな?勘違いとか、そういうことは……
ブレンダン:僕の仕事が信用できないかい?
オースティン:いや……それでは、イーサンは。
ブレンダン:亡命者扱いになる。つまり、僕の暗殺対象だ。
オースティン:ブレンダン!
ブレンダン:仕方ないだろう?それが僕の仕事なんだから。
ブレンダン:相手が誰であろうと、それを疎かには出来ない。アーヴィング家の人間とはいえ、現時点での機密情報漏らしてやってるだけ、有難いと思ってくれ。
オースティン:何故だ、よりによってお前が何故……
オースティン:……ブレンダン。お前は、イーサンの足取りを掴んでいるのか。
ブレンダン:そりゃね。それも仕事の一部だし。
ブレンダン:ただ、これ以上は何も言えないよ。僕が処罰されちゃう。わかってくれるよね?
オースティン:……わかった。ここから先は、自力で調べよう。
オースティン:イーサン……何を考えているんだ。
:
:
0:回想・戦場
:
:
オースティン:ようやく見えたな(まみえたな)!イーサン・ボールドウィン!
イーサン:……あぁ、オースティンか。久しいな。
イーサン:ブレンダンは元気か?……はは、そういえば先日返り討ちにしたっけ。
:
0:回想・ブレンダン帰還
:
0:地に倒れ、体を引きずりながら進み、オースティンの部屋の窓を叩くブレンダン。
:
:
ブレンダン:……オース、ティン……
オースティン:……!ブレンダン!何があった!傷だらけじゃないか……!一体誰がこんなことを!
ブレンダン:……イーサン、だ。
オースティン:……は?
ブレンダン:あぁ、なんていうか、仕事、だったんだ。イーサンの、暗殺。
ブレンダン:あっけなく、返り討ちに、されてしまったよ……はは、やっぱりイーサンは、強いな……
ブレンダン:げほっ、げほっ、がはっ!
:
0:咳き込み、吐血するブレンダン。
:
オースティン:もう喋るな!すぐに医者を呼ぶ!
ブレンダン:……いや、それよりも、やらなきゃならないことが、ある。
オースティン:まずは傷を癒さねば何もできまい!
ブレンダン:それは、べつに、報告した後でいくらでも、できるから。
ブレンダン:大事な、ことなんだ。……君にも、頼めない。僕が、やらないと。
オースティン:ブレンダン……!
ブレンダン:ここ、とおると、はやいんだよね……許してよ。……ああ、そうだ。
オースティン:なんだ!
ブレンダン:オースティン……イーサンは、裏切って、ないよ。それだけ、知ってて。
オースティン:……それは、どういう。
ブレンダン:はぁ……諜報部の人間が、私情(しじょう)を挟むなんて……
ブレンダン:まだまだ僕も、甘いな……げほっ、げほっ!
オースティン:ブレンダン!しっかりしろ!おい!
オースティン:そこに誰かいるか!……お前がいてくれたか、セバスチャン!
オースティン:誰にも悟られぬよう、優秀な医師をここへ呼べ!……ああ、急ぎだ!騒ぎにはしたくない!
:
0:荒い呼吸と咳を繰り返すブレンダン。
:
オースティン:死なせはしないぞ、ブレンダン……!
:
:
0:戦場の回想へ戻る。
:
:
オースティン:まさか、本当にお前がブレンダンを……ブレンダンはお前は裏切っていないと言っていたのに。
イーサン:ブレンダンがそんなことを?変だなぁ、そんなこと言いそうにないと思ってたのに。まぁでも、間違ってないか。
オースティン:間違ってない?
イーサン:俺は、確かに裏切ってはないよ。
オースティン:お前が着ているのは、帝国軍の緋き軍装(あかきぐんそう)だ!
イーサン:ああ、そうだな。お前たちの蒼とは似ても似つかない色だろう。
オースティン:その姿が裏切りではないというならば、いったい何だというのだ!
イーサン:簡単な事さ。俺は、初めからルベルの人間なんだよ。
オースティン:……何?
イーサン:お前は、俺の父親を知っているな。
オースティン:あ、ああ。何度もあったことがある。それがどうした?
イーサン:父はルベル帝国の軍家に連なる人間だ。ボールドウィンだって本名じゃない。俺の本名は、イーサン・エッジワース。
イーサン:つまり俺は!初めからカエルレウスの、お前たちの敵だったんだ。
イーサン:お前と仲良くなったのも軍略のうち。まぁ、それなりに楽しませてもらったよ。
オースティン:そんな……そんな話は信じられない!
オースティン:お前と私は、そしてブレンダンは!幼い頃から共に歩んできた!将来の話もした!
オースティン:騎士団の入団試験に合格したときは、手を取り合って喜んだ!それなのに……!
オースティン:私たちのこれまでの想い出全てが、偽物だというのか!
:
:
0:回想・入団試験後のシーン
:
:
オースティン:おーい、ブレンダン!
ブレンダン:お、その感じだとお前も合格かい?
オースティン:ああ!お前も、ということは……
イーサン:ブレンダンも俺も、合格だよ。
オースティン:イーサン!そうか、やったな!
オースティン:これで私たちの目標に一つ近付いたぞ!
ブレンダン:大げさだな、いうなればまだ入り口を叩いただけだってのに。
イーサン:でも、確実に一歩進んだ。俺達が目指す、平和な世の中に向かって。
ブレンダン:まぁな。もう後には退けないよ。途中で逃げ出すような男ではないと思っているけど。
オースティン:逃げ出すものか!私は何があっても騎士であり続けよう!
オースティン:この国を守るために、まずは騎士団長を目指さねばなるまい!立ち止まる時間などないぞ!
ブレンダン:熱いねぇ。そういうとこ、君らしいっていうかなんていうか。
イーサン:だな。じゃあ俺は、オースティンを陰から支える参謀でも目指そうかな?
ブレンダン:イーサンは参謀ってタイプじゃないでしょ、どっちかっていうと特攻隊長?
イーサン:お、言ってくれるなぁ。まあ確かに、頭のいい役回りはブレンダンに任せた方がよさそうだ。
ブレンダン:ま、二人に比べれば非力だし……僕は違う道から君たちを追いかけることにするさ。
オースティン:どのような道を巡ろうと、辿りつく場所は同じだ。
オースティン:私たちは、あの日の誓いを忘れない!共に太平の世(たいへいのよ)を目指そう!
ブレンダン:その暑苦しい感じ、まぁ嫌いじゃないよ僕。
イーサン:ははは、俺も。オースティンはこうじゃなきゃ。
オースティン:よくわからんがありがとう!
ブレンダン:わかってないんかよ。……お。さて、そろそろ行かないと。入団式に遅れてしまう。
イーサン:そうだね。行こう!第一歩目から躓くわけにはいかないよ!
:
:
0:再び戦場の回想に戻る。
:
:
イーサン:……あぁ、そんなこともあったような気がするなぁ。何だ、そんなものに縋っているのか?
イーサン:思い出がなんだというのだ。今俺とお前は敵同士。あるのは、その事実だけだ。
オースティン:イーサン……!
イーサン:剣を構えろオースティン。ここは戦場だ。俺かお前、どちらかが斃れる(たおれる)まで終わらないぞ。
:
0:剣を構えるイーサン。躊躇いながらも同じく構えるオースティン。
:
オースティン:君は本当に私と戦うつもりなのか、イーサン!これが君の本心からの行為なのか!
イーサン:そんな言葉よりも簡単に伝わるものがあるぞ。これまでも何かあれば……こうして!
オースティン:ぐ……っ!
イーサン:互いにぶつかり合ってきたじゃあないか!そうだろう!
オースティン:本気の剣……っ、それしか、道はないのか!
:
0:打ち合いが続く。実力は互角、いや、イーサンの方がわずかに上手。
:
イーサン:道は前にしかない!後戻りなどできん!気を抜くな、前を見ろ、その足でしっかりと踏みしめて歩け!はぁっ!
オースティン:そんなことは……言われなくとも、わかっている!ふんっ!
イーサン:ほぉ!しばらく合わないうちに腕をあげたじゃあないか!
オースティン:当たり前だ!あの日の誓いの為、私は!いつ何時(なんどき)も鍛錬を欠かさなかった!
イーサン:それでこそだ、オースティン!だが……まだ届かないぞ!だぁぁ!!
オースティン:ぐっ、この……!
:
0:イーサンは何処かこの戦いを楽しんでいるように見える。
:オースティンはイーサンの動きについていくのに必死になっている。
:
オースティン:私は!まだ!終わるわけにはいかんのだ!うおおお!
イーサン:その程度か、オースティン!お前ならもっとやれるはずだ!はぁっ!
オースティン:ぐぅっ!……無論!この程度で斃れて(たおれて)は、太平の世など夢のまた夢!
オースティン:この戦いが致し方なしというのならば……私は!かつての友だろうと打ち倒し、その命も背負って未来へと進もう!おおお!
イーサン:ぐあっ!……ははは!お前に背負えるか、俺の命が!
オースティン:背負えるかどうかではない!背負うのだ!それが、命への責任だ!
イーサン:言うようになったじゃあないか、オースティン!!
オースティン:イィィィィサァァァァン!!
:
ブレンダン:(M)僕が辿りつくころには、多くの者たちがひしめき合う戦場で、彼らは二人だけの世界を作り上げていた。
ブレンダン:(M)その瞬間、彼らの世界は光り輝いていた。互いがいれば、それだけで十分だったのだろう。
ブレンダン:(M)凄まじい光景。あれは、あの激突は、戦争ではなかった。言うなれば、友との語らいだろうか。
ブレンダン:(M)互いから流れる血が大地を、服を、肌を汚していくことすら厭わず(いとわず)駆け抜けた二人の姿は、恐ろしくも美しかった。
ブレンダン:(M)ああ、僕は、彼らと共に過ごしたこの生が誇らしい。
ブレンダン:(M)あの語らいの時を、僕は死したとて忘れないだろう。
:
オースティン:はぁ……!はぁ……!
オースティン:そろそろ……終わりの時だ!わかっているだろうイーサン!
イーサン:……っ、ふぅ、そうだな、これが……最後、そう最後だ。
イーサン:来い、オースティン!俺は俺の未来を……掴み取る!
オースティン:それは……私とて、同じことだぁぁぁ!!!
:
0:打ち合いが何度か続く。
:
ブレンダン:(M)オースティンの剣と、イーサンの剣。二つの刃は何度もぶつかり合い……
:
イーサン:……ぐぅっ!!
オースティン:な……っ!
:
ブレンダン:(M)やがてオースティンの剣がイーサンの緋(あか)を切り裂いたことで止まった。
:
オースティン:な……何故だ!何故剣をおろしたイーサン!
イーサン:はは……何言ってんるだ。剣は、はじかれたんだ……げほっ!
:
0:崩れ落ちたイーサンを抱えるオースティン。
:
オースティン:そんなわけがあるか……!お前の一撃は最後まで重たいままだった!
オースティン:あのまま続ければ、はじかれるのは俺の剣であったはずだ!
イーサン:実際、はじかれたんだから……仕方ないだろ……
オースティン:イーサン、俺は……!
イーサン:どうした、口調が乱れているぞ、オースティン……お父上に知られたら大目玉だったろう。
オースティン:俺の話なんて今はどうでもいい!イーサン、頼む、しっかりしてくれ!俺を見ろ!
イーサン:……いいんだ。これで、すべてうまくいく。俺は俺の未来を、掴み取った。
オースティン:な……何を言っているんだ?
イーサン:ブレンダンは、無事か。
オースティン:え?……ああ、生きている。ひどい傷だったが。
イーサン:そうか……やりすぎてすまないと、伝えてくれ。
ブレンダン:もう伝わったよ、イーサン。……そうか、君は結局その道を選んだのか。
:
0:歩み寄ってくるブレンダン。オースティンは驚く。
:
オースティン:ブレンダン!何故ここに!まだ療養中だと……!
ブレンダン:すまない。それは偽の情報だ。……いろいろあってね。
:
:
0:回想・ブレンダン帰還前
:
:
イーサン:ブレンダン、すまない。俺は今、お前たちとのつながりを疑われている。
イーサン:……信用が欲しくば、友を殺せと。次の戦場で、オースティンを。お前の事も、じきに調べられるだろう。
ブレンダン:そうか、それはよろしくないね。困ったことだ。
イーサン:でも、俺はお前たちを傷つけたくない……頼む。今俺を斬って、そのまま撤退してくれ。そうすれば、次の戦には出なくて済む。
ブレンダン:ふむ……いや、そうじゃない方がいい。
イーサン:何?
ブレンダン:君が、僕を、斬るんだ。
イーサン:な、にを……!そんなことは!
ブレンダン:君がこの屋敷での立場を守るためには、君が負けてはいけないんだ、イーサン。
イーサン:ブレンダン……
ブレンダン:わざと騒ぎを起こせ。僕を斬る瞬間を見せつけなければ。殺す気で、手加減はするな。下手に手を抜けば疑われるぞ。
ブレンダン:なぁに、虫の息程度でも命を残してくれれば、後はこちらで何とかするさ。
イーサン:……すまない。すまない、ブレンダン……!
:
0:戦場の回想へ
:
イーサン:あのとき……俺の道は、きまった……
オースティン:何故、なぜ俺にはひとつも……!
ブレンダン:……オースティン、詳しい話はまた。僕は伝令役だ。……君の母親は無事だよ、イーサン。情報も、無事に届いた。
オースティン:母、親……?
イーサン:あぁ、そうか……それを聞けただけで、安心して逝けるというものだ……
オースティン:答えてくれ!いったい何の話をしているんだ、ブレンダン!
ブレンダン:……オースティン。彼は君を信じて、僕を信じた。今言えるのは、それだけだ。
オースティン:信じた……
:
0:状況の掴めないオースティン。ブレンダンはそれ以上何も言わない。
:
イーサン:すまない……これまで、何も話せなくて。酷なことをしたと、おもう……
イーサン:けど、よかった……最期に会えたのが、君たちで。
オースティン:お前……はじめから此処で、俺に斬られて死ぬつもりで?
イーサン:さぁ、ね……げほっ、げほっ!
オースティン:イーサン!すまない、俺は…っ!
イーサン:はぁ……っ、オースティン。君は、歩き続けろ。俺の命も、背負ってくれるんだろう。そのまま未来へ、連れていけ。
オースティン:……イーサン……
イーサン:ブレンダン。……ひどいことをして、ごめん。
ブレンダン:なに、誇るがいい。君は一度として、あの日の誓いを違わなかった(たがわなかった)。
イーサン:そうか……そうだな。
イーサン:……あぁ、空が、蒼いなぁ。
:
オースティン:(M)その一言を最後に、イーサンの堅く閉じられた瞼は二度と開かなかった。
オースティン:(M)事の詳細が私に知らされたのは、すべてが終わり、私が騎士団長になることが決まった頃だ。
オースティン:(M)もう少し時間稼ぎができれば、あの時剣を下ろさなければ、皆で生きて未来を見ることができたはずなのに。イーサンは、それを望まなかった。
オースティン:(M)それは、彼なりのけじめであり、その選択も含めたすべてが、彼の人生だったのだ。
オースティン:(M)そしてここからは、私の――
:
0:現在の時間軸。
:
:
ブレンダン:さ、時間だ。誕生日に任命式と就任パーティなんて、君も大変だね。
オースティン:仕方ないさ。騎士団長不在のままでは、蒼穹騎士団も困ってしまうからな。
オースティン:……なぁ、ブレンダン。
ブレンダン:うん?
オースティン:……空は、今も蒼いだろうか。
ブレンダン:うーん……どうだろうね。蒼いと思うならば、空は蒼いものなんじゃないか。
オースティン:全ては自己の認識次第だと、そういうことか。
ブレンダン:君の見る空、僕の見る空……彼の見た空。すべて同じとは限らない。
ブレンダン:けれどそれでも……僕はこれからも、僕の見た空は蒼かったと語り続けるよ。
ブレンダン:イーサンがあの日見た空が、蒼かったようにさ。
オースティン:……そうか。ならば私も語り続けねばなるまい。
オースティン:あの日奴が見た空の色も、その思いも、命も……背負うと決めたのだからな。
:
ブレンダン:……おや、晴れたね。綺麗な青空だ。
オースティン:ふ……これもまた人生、か。
オースティン:……さあ行くぞブレンダン!皆が待っている!
ブレンダン:そうだね。行こう、どこまでも。空が続く限り、ね。
オースティン:ああ!
:
:
0:完
0:登場人物
:
オースティン:カエルレウス王国騎士団長(回想では団員)
イーサン:ルベル帝国軍人。元カエルレウス王国騎士団員。
ブレンダン:カエルレウス王国諜報部所属。
:
0:カエルレウス王国・騎士団長私室。
:
オースティン:……何をこそこそしている、ブレンダン・ベインズ。
ブレンダン:おっと、すぐ気が付いたな。さすが騎士団長様。感覚が鋭敏でおられる。
オースティン:ふ……それは煽り(あおり)言葉か?それとも褒め言葉か?
オースティン:まあいい、何の用だ?よもや命を取りに来たわけでもあるまい。
ブレンダン:いやなに、ただ幼馴染に会いに来ただけよ。
ブレンダン:25回目の誕生日と、騎士団長就任おめでとう。オースティン・フォン・アーヴィング。
オースティン:……わざわざそれを言いに?
ブレンダン:ああ。おかしいかい?
オースティン:いや。珍しいなと思っただけだ。
ブレンダン:そうかい?友の誕生日はおめでたいものさ。
ブレンダン:僕も君も、いつまで生きているかわからないから。伝えられるうちにね。
オースティン:ふ、確かにな。
ブレンダン:それにしても25才で騎士団長とは……随分と先に行かれてしまったものだ。
オースティン:私よりも上の人間が、先の戦争で斃れて(たおれて)しまっただけさ。それに、アーヴィングの家名の影響もある。実力ではないよ。
ブレンダン:それでも君が、選ばれたんだ、誇りに思え。
ブレンダン:あの戦争を生き延びたこと。現在騎士団長であること。
ブレンダン:……相手が友であろうと、剣を鈍らせなかったこと。
オースティン:……。
ブレンダン:あの日も確か――空はこんな鈍色だったね。
:
0:窓の外に視線を向ける二人。
:
0:回想・ある夜
:
:
オースティン:……イーサンが、ルベル帝国へ?
ブレンダン:ああ。つい先日戦争が始まったばかりのこのタイミングで、ね。
:
0:愕然とした様子のオースティン。淡々と事実を伝えるブレンダン。
:
オースティン:その情報は確かなんだな?勘違いとか、そういうことは……
ブレンダン:僕の仕事が信用できないかい?
オースティン:いや……それでは、イーサンは。
ブレンダン:亡命者扱いになる。つまり、僕の暗殺対象だ。
オースティン:ブレンダン!
ブレンダン:仕方ないだろう?それが僕の仕事なんだから。
ブレンダン:相手が誰であろうと、それを疎かには出来ない。アーヴィング家の人間とはいえ、現時点での機密情報漏らしてやってるだけ、有難いと思ってくれ。
オースティン:何故だ、よりによってお前が何故……
オースティン:……ブレンダン。お前は、イーサンの足取りを掴んでいるのか。
ブレンダン:そりゃね。それも仕事の一部だし。
ブレンダン:ただ、これ以上は何も言えないよ。僕が処罰されちゃう。わかってくれるよね?
オースティン:……わかった。ここから先は、自力で調べよう。
オースティン:イーサン……何を考えているんだ。
:
:
0:回想・戦場
:
:
オースティン:ようやく見えたな(まみえたな)!イーサン・ボールドウィン!
イーサン:……あぁ、オースティンか。久しいな。
イーサン:ブレンダンは元気か?……はは、そういえば先日返り討ちにしたっけ。
:
0:回想・ブレンダン帰還
:
0:地に倒れ、体を引きずりながら進み、オースティンの部屋の窓を叩くブレンダン。
:
:
ブレンダン:……オース、ティン……
オースティン:……!ブレンダン!何があった!傷だらけじゃないか……!一体誰がこんなことを!
ブレンダン:……イーサン、だ。
オースティン:……は?
ブレンダン:あぁ、なんていうか、仕事、だったんだ。イーサンの、暗殺。
ブレンダン:あっけなく、返り討ちに、されてしまったよ……はは、やっぱりイーサンは、強いな……
ブレンダン:げほっ、げほっ、がはっ!
:
0:咳き込み、吐血するブレンダン。
:
オースティン:もう喋るな!すぐに医者を呼ぶ!
ブレンダン:……いや、それよりも、やらなきゃならないことが、ある。
オースティン:まずは傷を癒さねば何もできまい!
ブレンダン:それは、べつに、報告した後でいくらでも、できるから。
ブレンダン:大事な、ことなんだ。……君にも、頼めない。僕が、やらないと。
オースティン:ブレンダン……!
ブレンダン:ここ、とおると、はやいんだよね……許してよ。……ああ、そうだ。
オースティン:なんだ!
ブレンダン:オースティン……イーサンは、裏切って、ないよ。それだけ、知ってて。
オースティン:……それは、どういう。
ブレンダン:はぁ……諜報部の人間が、私情(しじょう)を挟むなんて……
ブレンダン:まだまだ僕も、甘いな……げほっ、げほっ!
オースティン:ブレンダン!しっかりしろ!おい!
オースティン:そこに誰かいるか!……お前がいてくれたか、セバスチャン!
オースティン:誰にも悟られぬよう、優秀な医師をここへ呼べ!……ああ、急ぎだ!騒ぎにはしたくない!
:
0:荒い呼吸と咳を繰り返すブレンダン。
:
オースティン:死なせはしないぞ、ブレンダン……!
:
:
0:戦場の回想へ戻る。
:
:
オースティン:まさか、本当にお前がブレンダンを……ブレンダンはお前は裏切っていないと言っていたのに。
イーサン:ブレンダンがそんなことを?変だなぁ、そんなこと言いそうにないと思ってたのに。まぁでも、間違ってないか。
オースティン:間違ってない?
イーサン:俺は、確かに裏切ってはないよ。
オースティン:お前が着ているのは、帝国軍の緋き軍装(あかきぐんそう)だ!
イーサン:ああ、そうだな。お前たちの蒼とは似ても似つかない色だろう。
オースティン:その姿が裏切りではないというならば、いったい何だというのだ!
イーサン:簡単な事さ。俺は、初めからルベルの人間なんだよ。
オースティン:……何?
イーサン:お前は、俺の父親を知っているな。
オースティン:あ、ああ。何度もあったことがある。それがどうした?
イーサン:父はルベル帝国の軍家に連なる人間だ。ボールドウィンだって本名じゃない。俺の本名は、イーサン・エッジワース。
イーサン:つまり俺は!初めからカエルレウスの、お前たちの敵だったんだ。
イーサン:お前と仲良くなったのも軍略のうち。まぁ、それなりに楽しませてもらったよ。
オースティン:そんな……そんな話は信じられない!
オースティン:お前と私は、そしてブレンダンは!幼い頃から共に歩んできた!将来の話もした!
オースティン:騎士団の入団試験に合格したときは、手を取り合って喜んだ!それなのに……!
オースティン:私たちのこれまでの想い出全てが、偽物だというのか!
:
:
0:回想・入団試験後のシーン
:
:
オースティン:おーい、ブレンダン!
ブレンダン:お、その感じだとお前も合格かい?
オースティン:ああ!お前も、ということは……
イーサン:ブレンダンも俺も、合格だよ。
オースティン:イーサン!そうか、やったな!
オースティン:これで私たちの目標に一つ近付いたぞ!
ブレンダン:大げさだな、いうなればまだ入り口を叩いただけだってのに。
イーサン:でも、確実に一歩進んだ。俺達が目指す、平和な世の中に向かって。
ブレンダン:まぁな。もう後には退けないよ。途中で逃げ出すような男ではないと思っているけど。
オースティン:逃げ出すものか!私は何があっても騎士であり続けよう!
オースティン:この国を守るために、まずは騎士団長を目指さねばなるまい!立ち止まる時間などないぞ!
ブレンダン:熱いねぇ。そういうとこ、君らしいっていうかなんていうか。
イーサン:だな。じゃあ俺は、オースティンを陰から支える参謀でも目指そうかな?
ブレンダン:イーサンは参謀ってタイプじゃないでしょ、どっちかっていうと特攻隊長?
イーサン:お、言ってくれるなぁ。まあ確かに、頭のいい役回りはブレンダンに任せた方がよさそうだ。
ブレンダン:ま、二人に比べれば非力だし……僕は違う道から君たちを追いかけることにするさ。
オースティン:どのような道を巡ろうと、辿りつく場所は同じだ。
オースティン:私たちは、あの日の誓いを忘れない!共に太平の世(たいへいのよ)を目指そう!
ブレンダン:その暑苦しい感じ、まぁ嫌いじゃないよ僕。
イーサン:ははは、俺も。オースティンはこうじゃなきゃ。
オースティン:よくわからんがありがとう!
ブレンダン:わかってないんかよ。……お。さて、そろそろ行かないと。入団式に遅れてしまう。
イーサン:そうだね。行こう!第一歩目から躓くわけにはいかないよ!
:
:
0:再び戦場の回想に戻る。
:
:
イーサン:……あぁ、そんなこともあったような気がするなぁ。何だ、そんなものに縋っているのか?
イーサン:思い出がなんだというのだ。今俺とお前は敵同士。あるのは、その事実だけだ。
オースティン:イーサン……!
イーサン:剣を構えろオースティン。ここは戦場だ。俺かお前、どちらかが斃れる(たおれる)まで終わらないぞ。
:
0:剣を構えるイーサン。躊躇いながらも同じく構えるオースティン。
:
オースティン:君は本当に私と戦うつもりなのか、イーサン!これが君の本心からの行為なのか!
イーサン:そんな言葉よりも簡単に伝わるものがあるぞ。これまでも何かあれば……こうして!
オースティン:ぐ……っ!
イーサン:互いにぶつかり合ってきたじゃあないか!そうだろう!
オースティン:本気の剣……っ、それしか、道はないのか!
:
0:打ち合いが続く。実力は互角、いや、イーサンの方がわずかに上手。
:
イーサン:道は前にしかない!後戻りなどできん!気を抜くな、前を見ろ、その足でしっかりと踏みしめて歩け!はぁっ!
オースティン:そんなことは……言われなくとも、わかっている!ふんっ!
イーサン:ほぉ!しばらく合わないうちに腕をあげたじゃあないか!
オースティン:当たり前だ!あの日の誓いの為、私は!いつ何時(なんどき)も鍛錬を欠かさなかった!
イーサン:それでこそだ、オースティン!だが……まだ届かないぞ!だぁぁ!!
オースティン:ぐっ、この……!
:
0:イーサンは何処かこの戦いを楽しんでいるように見える。
:オースティンはイーサンの動きについていくのに必死になっている。
:
オースティン:私は!まだ!終わるわけにはいかんのだ!うおおお!
イーサン:その程度か、オースティン!お前ならもっとやれるはずだ!はぁっ!
オースティン:ぐぅっ!……無論!この程度で斃れて(たおれて)は、太平の世など夢のまた夢!
オースティン:この戦いが致し方なしというのならば……私は!かつての友だろうと打ち倒し、その命も背負って未来へと進もう!おおお!
イーサン:ぐあっ!……ははは!お前に背負えるか、俺の命が!
オースティン:背負えるかどうかではない!背負うのだ!それが、命への責任だ!
イーサン:言うようになったじゃあないか、オースティン!!
オースティン:イィィィィサァァァァン!!
:
ブレンダン:(M)僕が辿りつくころには、多くの者たちがひしめき合う戦場で、彼らは二人だけの世界を作り上げていた。
ブレンダン:(M)その瞬間、彼らの世界は光り輝いていた。互いがいれば、それだけで十分だったのだろう。
ブレンダン:(M)凄まじい光景。あれは、あの激突は、戦争ではなかった。言うなれば、友との語らいだろうか。
ブレンダン:(M)互いから流れる血が大地を、服を、肌を汚していくことすら厭わず(いとわず)駆け抜けた二人の姿は、恐ろしくも美しかった。
ブレンダン:(M)ああ、僕は、彼らと共に過ごしたこの生が誇らしい。
ブレンダン:(M)あの語らいの時を、僕は死したとて忘れないだろう。
:
オースティン:はぁ……!はぁ……!
オースティン:そろそろ……終わりの時だ!わかっているだろうイーサン!
イーサン:……っ、ふぅ、そうだな、これが……最後、そう最後だ。
イーサン:来い、オースティン!俺は俺の未来を……掴み取る!
オースティン:それは……私とて、同じことだぁぁぁ!!!
:
0:打ち合いが何度か続く。
:
ブレンダン:(M)オースティンの剣と、イーサンの剣。二つの刃は何度もぶつかり合い……
:
イーサン:……ぐぅっ!!
オースティン:な……っ!
:
ブレンダン:(M)やがてオースティンの剣がイーサンの緋(あか)を切り裂いたことで止まった。
:
オースティン:な……何故だ!何故剣をおろしたイーサン!
イーサン:はは……何言ってんるだ。剣は、はじかれたんだ……げほっ!
:
0:崩れ落ちたイーサンを抱えるオースティン。
:
オースティン:そんなわけがあるか……!お前の一撃は最後まで重たいままだった!
オースティン:あのまま続ければ、はじかれるのは俺の剣であったはずだ!
イーサン:実際、はじかれたんだから……仕方ないだろ……
オースティン:イーサン、俺は……!
イーサン:どうした、口調が乱れているぞ、オースティン……お父上に知られたら大目玉だったろう。
オースティン:俺の話なんて今はどうでもいい!イーサン、頼む、しっかりしてくれ!俺を見ろ!
イーサン:……いいんだ。これで、すべてうまくいく。俺は俺の未来を、掴み取った。
オースティン:な……何を言っているんだ?
イーサン:ブレンダンは、無事か。
オースティン:え?……ああ、生きている。ひどい傷だったが。
イーサン:そうか……やりすぎてすまないと、伝えてくれ。
ブレンダン:もう伝わったよ、イーサン。……そうか、君は結局その道を選んだのか。
:
0:歩み寄ってくるブレンダン。オースティンは驚く。
:
オースティン:ブレンダン!何故ここに!まだ療養中だと……!
ブレンダン:すまない。それは偽の情報だ。……いろいろあってね。
:
:
0:回想・ブレンダン帰還前
:
:
イーサン:ブレンダン、すまない。俺は今、お前たちとのつながりを疑われている。
イーサン:……信用が欲しくば、友を殺せと。次の戦場で、オースティンを。お前の事も、じきに調べられるだろう。
ブレンダン:そうか、それはよろしくないね。困ったことだ。
イーサン:でも、俺はお前たちを傷つけたくない……頼む。今俺を斬って、そのまま撤退してくれ。そうすれば、次の戦には出なくて済む。
ブレンダン:ふむ……いや、そうじゃない方がいい。
イーサン:何?
ブレンダン:君が、僕を、斬るんだ。
イーサン:な、にを……!そんなことは!
ブレンダン:君がこの屋敷での立場を守るためには、君が負けてはいけないんだ、イーサン。
イーサン:ブレンダン……
ブレンダン:わざと騒ぎを起こせ。僕を斬る瞬間を見せつけなければ。殺す気で、手加減はするな。下手に手を抜けば疑われるぞ。
ブレンダン:なぁに、虫の息程度でも命を残してくれれば、後はこちらで何とかするさ。
イーサン:……すまない。すまない、ブレンダン……!
:
0:戦場の回想へ
:
イーサン:あのとき……俺の道は、きまった……
オースティン:何故、なぜ俺にはひとつも……!
ブレンダン:……オースティン、詳しい話はまた。僕は伝令役だ。……君の母親は無事だよ、イーサン。情報も、無事に届いた。
オースティン:母、親……?
イーサン:あぁ、そうか……それを聞けただけで、安心して逝けるというものだ……
オースティン:答えてくれ!いったい何の話をしているんだ、ブレンダン!
ブレンダン:……オースティン。彼は君を信じて、僕を信じた。今言えるのは、それだけだ。
オースティン:信じた……
:
0:状況の掴めないオースティン。ブレンダンはそれ以上何も言わない。
:
イーサン:すまない……これまで、何も話せなくて。酷なことをしたと、おもう……
イーサン:けど、よかった……最期に会えたのが、君たちで。
オースティン:お前……はじめから此処で、俺に斬られて死ぬつもりで?
イーサン:さぁ、ね……げほっ、げほっ!
オースティン:イーサン!すまない、俺は…っ!
イーサン:はぁ……っ、オースティン。君は、歩き続けろ。俺の命も、背負ってくれるんだろう。そのまま未来へ、連れていけ。
オースティン:……イーサン……
イーサン:ブレンダン。……ひどいことをして、ごめん。
ブレンダン:なに、誇るがいい。君は一度として、あの日の誓いを違わなかった(たがわなかった)。
イーサン:そうか……そうだな。
イーサン:……あぁ、空が、蒼いなぁ。
:
オースティン:(M)その一言を最後に、イーサンの堅く閉じられた瞼は二度と開かなかった。
オースティン:(M)事の詳細が私に知らされたのは、すべてが終わり、私が騎士団長になることが決まった頃だ。
オースティン:(M)もう少し時間稼ぎができれば、あの時剣を下ろさなければ、皆で生きて未来を見ることができたはずなのに。イーサンは、それを望まなかった。
オースティン:(M)それは、彼なりのけじめであり、その選択も含めたすべてが、彼の人生だったのだ。
オースティン:(M)そしてここからは、私の――
:
0:現在の時間軸。
:
:
ブレンダン:さ、時間だ。誕生日に任命式と就任パーティなんて、君も大変だね。
オースティン:仕方ないさ。騎士団長不在のままでは、蒼穹騎士団も困ってしまうからな。
オースティン:……なぁ、ブレンダン。
ブレンダン:うん?
オースティン:……空は、今も蒼いだろうか。
ブレンダン:うーん……どうだろうね。蒼いと思うならば、空は蒼いものなんじゃないか。
オースティン:全ては自己の認識次第だと、そういうことか。
ブレンダン:君の見る空、僕の見る空……彼の見た空。すべて同じとは限らない。
ブレンダン:けれどそれでも……僕はこれからも、僕の見た空は蒼かったと語り続けるよ。
ブレンダン:イーサンがあの日見た空が、蒼かったようにさ。
オースティン:……そうか。ならば私も語り続けねばなるまい。
オースティン:あの日奴が見た空の色も、その思いも、命も……背負うと決めたのだからな。
:
ブレンダン:……おや、晴れたね。綺麗な青空だ。
オースティン:ふ……これもまた人生、か。
オースティン:……さあ行くぞブレンダン!皆が待っている!
ブレンダン:そうだね。行こう、どこまでも。空が続く限り、ね。
オースティン:ああ!
:
:
0:完