台本概要
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タイトル | 漂流郵便局 |
---|---|
作者名 | 気分屋 (@Kodokusensi) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 2人用台本(男1、不問1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
文明が衰退した世界で、行き場をなくした手紙を届ける為に今日も2人は歩き続ける。 ※登場人物の名前がABとなっていますが、ご自身のお名前もしくは思いついた名前を使っていただいて構いません。 一部男性風女性風の言い回しの変更可です。 シナリオを改変するような過度なアドリブはお控えいただくようお願い致します。 508 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
A | 不問 | 64 | 少し間抜けなところがある、真面目な配達員 |
B | 男 | 62 | 適当そうに見えるが、非常に賢い配達員 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
A:いつまでサボってるつもりだい?
B:……ハァ、別に良いだろうが。俺たちはついさっき『旧・東京市街地』に配達を終えたばかりだ。もう少し休んだって許されるはずだろ?
A:何が「ついさっき」だ。配達を終えたのは昨日だろう。もう始業時間1時間オーバーだよ
B:始業時間って言ったって、ここの支部で働いてるのは俺とお前だけ。ノルマも無けりゃ、その始業時間だって俺たちが勝手に決めてるもんだろうが
A:屁理屈を言う気力があるならとっとと手を動かしてくれ。午前中のうちに、今日どこに配達行くのか決めなきゃいけないんだから
B:また手紙の送り主もしくは送り先を割り出す作業をしろってんだろ?…あぁ、めんどくせ
A:仕方がないだろう?そうやって届けることも、送り返すことも出来ない手紙を配達するのが『漂流郵便局』の仕事なんだから
B:へいへい
A:さ、作業の続きだ。今私が終わらせてるのが2通で、片方は『津留ヶ丘(つるがおか)』。もう片方は『岩岸町(いわぎしちょう)』だったから……
B:合計で津留ヶ丘が5通で岩岸町が8通
A:流石、よく覚えてるね。毎度驚かされちゃうよ
B:俺は1時間で2通しか解読出来てないお前に驚かされてるよ
A:はいはい、わかったから。じゃあその賢い頭を使ってさっさとお仕事してくださいね
B:あと何通あるんだ?
A:え〜っと…あと11
B:…ま、午前中には終わんだろ。3通くらいはできるだろ?
A:8通もやってくれんの?ヒュー、やっさしー
B:うるさい、さっさと手を動かせ
A:はいはーい。こっちの方が早く終わったら手伝ってあげるよ
B:あぁそうかい……期待しないで待っとくよ
A:任せなさい!この道10年の大ベテランだからね!
B:まだ5年も経ってないだろうが
0:数時間後
B:それで?あれだけいきがっておきながら、2通しか終わらなかったと
A:いやー、なんと言うか…適材適所的な?
B:このスタミナ馬鹿が。脳みそ空っぽすぎんだよ
A:仕方ないじゃないか。こんなちょっとのヒントでわかる方がおかしいんだよ
B:お前は1から10まで読むせいで時間かかるし、読解力が足らないから解読できないんだ。何回言ったらわかるんだ?
A:言われてどうにかなるもんじゃないの。何はともあれ、午前中に終わったんだから良いじゃん
B:ったく…まぁなんとなく予測は出来てたが、岩岸町が多かったな
A:今日行くのは岩岸町で決定だね。……意外と『久下坂(くげざか)』とかも結構溜まってきてるね
B:今日だけで3通もあったからな
A:どんどん配達しちゃわないとだね
B:おい、まさか…2箇所同時に、なんて面倒くさいこと言わないだろうな?配達に行くのは1日1回ひとエリア。此処ではそう言うルールだろ
A:もちろん言わないよ。ルールだからね。でも、どっかの誰かさんは始業時間のルール守らなかったし…ねぇ?
B:それとこれとは別だろう。俺は始めるのが遅くたって、時間内に作業を終わらせてるわけだしな
A:はいはい、わかったよ。とりあえず今日の分の配達に行きますよ
B:うし、んじゃ準備してくるわ
A:了解、先に出口のところで待ってるね
B:おう
A:───あれ?岩岸町ってどの出口から行けばいいんだっけ?前に行った時は……北だったっけ?
B:……何馬鹿やってんだ?ほら、お前の分の携帯食
A:お!バリカタスナックじゃん!私これ好きなんだよね
B:まだ食うなよ?
A:……わかってるよ
B:そんじゃ、行くとしますか
A:岩岸町に行くのって、こっちの道で合ってったっけ?
B:さぁな
A:さぁなって……相変わらず君は適当だね
B:別にどう行ったって変わらんだろ。道は必ず繋がってるんだからよ
A:まぁそれはそうなんだけどさ……でも、なるべく早く届く事に越したことはないだろう?
B:いいんだよ。どうせ俺たちの所に来るまでに、もう何年も経ってるんだ。書いた本人も覚えてねぇだろうさ
A:そうでもないさ。大事な手紙なら、ずっと覚えているものだよ。何十年経っていたとしてもね
B:…そういうもんか
A:そういうもんだよ
B:……んじゃ、さっさと行くぞ
A:え?なんでそっちに行くの?
B:行くんだろ?岩岸町。……南口方面の道からなら5時間くらい歩けば着く。一番の近道だ
A:…今出ようとしてたの北口だったんだけど?
0:先に歩き出していたBが少し遠くから声をかける
B:───どうした?行かないのか?
A:はいはい、今行きますよ。……この『あまのじゃく』め
B:…何か言ったか?
A:いいや、なんにも。5時間くらいだっけ?補給も含めたら往復で日帰りは無理そうかな
B:だろうな。軽く泊まれる場所探しつつ歩くぞ。幸い、しばらく雨は降らないらしい
A:そりゃ良かった。それじゃ、出発!
0:出発から暫くして
A:そういえばさ、Bがこの仕事をしてる理由って、手紙を探してるからって言ってたけど…まだ見つからないの?
B:全然。手がかりの欠片すら見当たらねぇよ
A:ちなみにどんな内容なの?
B:教えねぇ。特にお前には、絶対に
A:ケチ
B:うるせぇ
A:……じゃあさ、その手紙が見つかった後はどうするの?
B:さぁな
A:辞めちゃったりとか…しちゃうの?
B:……さぁな
A:そっか
0:少しの沈黙と共に、暗い雲が太陽を隠す
B:雲行きが怪しくなってきたな。こりゃひと雨降るぞ
A:降らないんじゃなかったの?
B:文句ならデタラメな予報をしたあのラジオのパーソナリティーに言え。…外套(がいとう)はあるな?
A:降らないって言ってたからどうしようかと思ったけど、ちゃんと持ってきてたよ
B:よし、予定変更だ。配達後に宿に行く予定だったが、先に宿へ行くぞ。手紙が濡れちまったら、元もこうもないからな
A:了解
0:2人が急いで移動し始めてから間もなくして雨が降り出す
B:やっぱり降ったか
A:もうすぐ宿だよね?急ごう!
B:あ、おい待てって!また転んでも知らねぇぞ!
0:急な雨に濡れつつ、2人は宿へ到着する
A:いやぁ、濡れた濡れた
B:……よし、手紙は濡れてないな。良かった……ん?なにニヤニヤしてんだ?
A:え?そんなに顔に出てた?
B:アホっぽさが3割増しな顔だったぞ
A:ひっど!……べっつに〜、ただ相変わらず君はツンデレだな〜って思っただけ
B:……は?
A:仕事始めるの遅かったりとか、手紙を届けるのは遅くてもいいとか言って、興味無さそうなフリしてるくせに
A:解読は真面目にするし、手紙が濡れてないか心配するし……なんやかんやこの仕事好きだよね
B:……うっせぇ
A:好きならこの仕事続けたって良いじゃん
B:なんだ、まだそんなこと考えてたのか?
A:君にとっては「そんなこと」程度の事だとしても、私にとっては重要なことなんだが?
B:あのなぁ、もう何年も見つかってない手紙なんだぞ?そういきなり「はい見つかりました」なんてなる訳ないだろ?どんだけ先の事考えてんだっつうの。それに、俺は辞めるなんて一言も言ってないしな
0:Aがムッとした顔でBを睨む
A:この『あまのじゃく』め……あ〜あ、心配して損した。続けてくれるんなら最初から素直に───
B:ま、続けるとも言ってないけどな
A:……ケチ
B:まぁとは言え、他にする事もないし……辞めないんじゃないか?それに、解読のできないおバカさんひとりじゃ心配だからな
A:言ったね!?言質取ったからね!手紙見つけても絶対辞めさせてあげないからね!
B:はいはい
A:よーし、明日の配達頑張るぞー!
B:相変わらず、単純なのは昔から変わんねぇな…ほんと
0:次の日、配達も終わり支部へと帰還した2人
A:ふぃ〜、無事帰還っと
B:あ〜…疲れた〜、クッソアチィし
0:AとBが郵便を届ける鞄を置いた時、Aの鞄から手紙が落ちる
A:あれ?まだ手紙残ってた?
B:おいおい、勘弁しろよ
A:でもこれって、岩岸町用の便箋じゃないよね
B:ん?……あぁ、まだ未解読のじゃねぇか
A:これは……
B:どうした?またおかしなもんでも入ってたか?
A:いや……ふっ、アハハハハ!
B:なんだよ急に、考えすぎてとうとういかれちまったか?
A:違うよ、そうじゃない。……こんなにも書き手と送り先が分かり易い手紙は、初めてだったものだからね
B:なんだそりゃ?宛先とかが書いてあったのか?いや、だとしたら此処には送られてこねぇか
A:宛先とかは書いてないよ。まぁ私だから分かったようなものだからね
B:で、どんな手紙なんだ?
A:読めばわかるよ
B:俺にもか?
A:そう、君にも。なんだったら、君の方がよくわかると思う
B:ふーん
0:Aがチラつかせている手紙を自分も読もうとBが手を伸ばす
A:おっと、ちょっと待った
B:おい、変に勿体ぶるんじゃねぇよ
A:いいからいいから
0:Aがわざとらしく咳払いをする
A:お待たせしました。漂流郵便局の者です。
A:貴方に渡すべき手紙が届いておりましたので、お届けに参りました。
A:送り主は貴方。そして、送り先は貴方にとって大切なお方です。
A:どうぞお受け取り下さい
A:いつまでサボってるつもりだい?
B:……ハァ、別に良いだろうが。俺たちはついさっき『旧・東京市街地』に配達を終えたばかりだ。もう少し休んだって許されるはずだろ?
A:何が「ついさっき」だ。配達を終えたのは昨日だろう。もう始業時間1時間オーバーだよ
B:始業時間って言ったって、ここの支部で働いてるのは俺とお前だけ。ノルマも無けりゃ、その始業時間だって俺たちが勝手に決めてるもんだろうが
A:屁理屈を言う気力があるならとっとと手を動かしてくれ。午前中のうちに、今日どこに配達行くのか決めなきゃいけないんだから
B:また手紙の送り主もしくは送り先を割り出す作業をしろってんだろ?…あぁ、めんどくせ
A:仕方がないだろう?そうやって届けることも、送り返すことも出来ない手紙を配達するのが『漂流郵便局』の仕事なんだから
B:へいへい
A:さ、作業の続きだ。今私が終わらせてるのが2通で、片方は『津留ヶ丘(つるがおか)』。もう片方は『岩岸町(いわぎしちょう)』だったから……
B:合計で津留ヶ丘が5通で岩岸町が8通
A:流石、よく覚えてるね。毎度驚かされちゃうよ
B:俺は1時間で2通しか解読出来てないお前に驚かされてるよ
A:はいはい、わかったから。じゃあその賢い頭を使ってさっさとお仕事してくださいね
B:あと何通あるんだ?
A:え〜っと…あと11
B:…ま、午前中には終わんだろ。3通くらいはできるだろ?
A:8通もやってくれんの?ヒュー、やっさしー
B:うるさい、さっさと手を動かせ
A:はいはーい。こっちの方が早く終わったら手伝ってあげるよ
B:あぁそうかい……期待しないで待っとくよ
A:任せなさい!この道10年の大ベテランだからね!
B:まだ5年も経ってないだろうが
0:数時間後
B:それで?あれだけいきがっておきながら、2通しか終わらなかったと
A:いやー、なんと言うか…適材適所的な?
B:このスタミナ馬鹿が。脳みそ空っぽすぎんだよ
A:仕方ないじゃないか。こんなちょっとのヒントでわかる方がおかしいんだよ
B:お前は1から10まで読むせいで時間かかるし、読解力が足らないから解読できないんだ。何回言ったらわかるんだ?
A:言われてどうにかなるもんじゃないの。何はともあれ、午前中に終わったんだから良いじゃん
B:ったく…まぁなんとなく予測は出来てたが、岩岸町が多かったな
A:今日行くのは岩岸町で決定だね。……意外と『久下坂(くげざか)』とかも結構溜まってきてるね
B:今日だけで3通もあったからな
A:どんどん配達しちゃわないとだね
B:おい、まさか…2箇所同時に、なんて面倒くさいこと言わないだろうな?配達に行くのは1日1回ひとエリア。此処ではそう言うルールだろ
A:もちろん言わないよ。ルールだからね。でも、どっかの誰かさんは始業時間のルール守らなかったし…ねぇ?
B:それとこれとは別だろう。俺は始めるのが遅くたって、時間内に作業を終わらせてるわけだしな
A:はいはい、わかったよ。とりあえず今日の分の配達に行きますよ
B:うし、んじゃ準備してくるわ
A:了解、先に出口のところで待ってるね
B:おう
A:───あれ?岩岸町ってどの出口から行けばいいんだっけ?前に行った時は……北だったっけ?
B:……何馬鹿やってんだ?ほら、お前の分の携帯食
A:お!バリカタスナックじゃん!私これ好きなんだよね
B:まだ食うなよ?
A:……わかってるよ
B:そんじゃ、行くとしますか
A:岩岸町に行くのって、こっちの道で合ってったっけ?
B:さぁな
A:さぁなって……相変わらず君は適当だね
B:別にどう行ったって変わらんだろ。道は必ず繋がってるんだからよ
A:まぁそれはそうなんだけどさ……でも、なるべく早く届く事に越したことはないだろう?
B:いいんだよ。どうせ俺たちの所に来るまでに、もう何年も経ってるんだ。書いた本人も覚えてねぇだろうさ
A:そうでもないさ。大事な手紙なら、ずっと覚えているものだよ。何十年経っていたとしてもね
B:…そういうもんか
A:そういうもんだよ
B:……んじゃ、さっさと行くぞ
A:え?なんでそっちに行くの?
B:行くんだろ?岩岸町。……南口方面の道からなら5時間くらい歩けば着く。一番の近道だ
A:…今出ようとしてたの北口だったんだけど?
0:先に歩き出していたBが少し遠くから声をかける
B:───どうした?行かないのか?
A:はいはい、今行きますよ。……この『あまのじゃく』め
B:…何か言ったか?
A:いいや、なんにも。5時間くらいだっけ?補給も含めたら往復で日帰りは無理そうかな
B:だろうな。軽く泊まれる場所探しつつ歩くぞ。幸い、しばらく雨は降らないらしい
A:そりゃ良かった。それじゃ、出発!
0:出発から暫くして
A:そういえばさ、Bがこの仕事をしてる理由って、手紙を探してるからって言ってたけど…まだ見つからないの?
B:全然。手がかりの欠片すら見当たらねぇよ
A:ちなみにどんな内容なの?
B:教えねぇ。特にお前には、絶対に
A:ケチ
B:うるせぇ
A:……じゃあさ、その手紙が見つかった後はどうするの?
B:さぁな
A:辞めちゃったりとか…しちゃうの?
B:……さぁな
A:そっか
0:少しの沈黙と共に、暗い雲が太陽を隠す
B:雲行きが怪しくなってきたな。こりゃひと雨降るぞ
A:降らないんじゃなかったの?
B:文句ならデタラメな予報をしたあのラジオのパーソナリティーに言え。…外套(がいとう)はあるな?
A:降らないって言ってたからどうしようかと思ったけど、ちゃんと持ってきてたよ
B:よし、予定変更だ。配達後に宿に行く予定だったが、先に宿へ行くぞ。手紙が濡れちまったら、元もこうもないからな
A:了解
0:2人が急いで移動し始めてから間もなくして雨が降り出す
B:やっぱり降ったか
A:もうすぐ宿だよね?急ごう!
B:あ、おい待てって!また転んでも知らねぇぞ!
0:急な雨に濡れつつ、2人は宿へ到着する
A:いやぁ、濡れた濡れた
B:……よし、手紙は濡れてないな。良かった……ん?なにニヤニヤしてんだ?
A:え?そんなに顔に出てた?
B:アホっぽさが3割増しな顔だったぞ
A:ひっど!……べっつに〜、ただ相変わらず君はツンデレだな〜って思っただけ
B:……は?
A:仕事始めるの遅かったりとか、手紙を届けるのは遅くてもいいとか言って、興味無さそうなフリしてるくせに
A:解読は真面目にするし、手紙が濡れてないか心配するし……なんやかんやこの仕事好きだよね
B:……うっせぇ
A:好きならこの仕事続けたって良いじゃん
B:なんだ、まだそんなこと考えてたのか?
A:君にとっては「そんなこと」程度の事だとしても、私にとっては重要なことなんだが?
B:あのなぁ、もう何年も見つかってない手紙なんだぞ?そういきなり「はい見つかりました」なんてなる訳ないだろ?どんだけ先の事考えてんだっつうの。それに、俺は辞めるなんて一言も言ってないしな
0:Aがムッとした顔でBを睨む
A:この『あまのじゃく』め……あ〜あ、心配して損した。続けてくれるんなら最初から素直に───
B:ま、続けるとも言ってないけどな
A:……ケチ
B:まぁとは言え、他にする事もないし……辞めないんじゃないか?それに、解読のできないおバカさんひとりじゃ心配だからな
A:言ったね!?言質取ったからね!手紙見つけても絶対辞めさせてあげないからね!
B:はいはい
A:よーし、明日の配達頑張るぞー!
B:相変わらず、単純なのは昔から変わんねぇな…ほんと
0:次の日、配達も終わり支部へと帰還した2人
A:ふぃ〜、無事帰還っと
B:あ〜…疲れた〜、クッソアチィし
0:AとBが郵便を届ける鞄を置いた時、Aの鞄から手紙が落ちる
A:あれ?まだ手紙残ってた?
B:おいおい、勘弁しろよ
A:でもこれって、岩岸町用の便箋じゃないよね
B:ん?……あぁ、まだ未解読のじゃねぇか
A:これは……
B:どうした?またおかしなもんでも入ってたか?
A:いや……ふっ、アハハハハ!
B:なんだよ急に、考えすぎてとうとういかれちまったか?
A:違うよ、そうじゃない。……こんなにも書き手と送り先が分かり易い手紙は、初めてだったものだからね
B:なんだそりゃ?宛先とかが書いてあったのか?いや、だとしたら此処には送られてこねぇか
A:宛先とかは書いてないよ。まぁ私だから分かったようなものだからね
B:で、どんな手紙なんだ?
A:読めばわかるよ
B:俺にもか?
A:そう、君にも。なんだったら、君の方がよくわかると思う
B:ふーん
0:Aがチラつかせている手紙を自分も読もうとBが手を伸ばす
A:おっと、ちょっと待った
B:おい、変に勿体ぶるんじゃねぇよ
A:いいからいいから
0:Aがわざとらしく咳払いをする
A:お待たせしました。漂流郵便局の者です。
A:貴方に渡すべき手紙が届いておりましたので、お届けに参りました。
A:送り主は貴方。そして、送り先は貴方にとって大切なお方です。
A:どうぞお受け取り下さい