台本概要
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タイトル | ペアリング×デスゲーム〜双子の狂宴〜 |
---|---|
作者名 | Alice (@Alice15827178) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 6人用台本(男2、女2、不問2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【物語概要】 目が覚めるとそこは見知らぬ暗い部屋だった… 集められた二組の男女 無邪気に笑う謎の双子 さぁ…ゲームを始めよう…♪ 【お願い】 演者さまの性別:全役不問 役の性別:ディーとダムのみ不問 ※ディーとダムについて 双子設定ですが、ディーが男性・ダムが女性など性別が異なっても可、一人で二役演じるのも可 物語の大筋から逸れてしまうアドリブのみ不可 ※ディーとダムが同時にセリフを言う部分がありますが、前後で分ける、どちらか一人だけが言うなど自由にご変更ください 【ご注意・お知らせ】 自作5人劇『ペアリング×デスゲーム』のピエロ役を別役に変更し、6人劇に改変したシナリオです お話しの流れは一緒ですが、全役セリフが一部変わっています 652 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ディー | 不問 | 40 | ゲームマスター。ダムとは双子。無邪気で天真爛漫、故に残酷。怒ると口調が変わる。演者・役ともに男女不問 |
ダム | 不問 | 40 | ゲームマスター。ディーとは双子。無邪気で天真爛漫、故に残酷。怒ると口調が変わる。演者・役ともに男女不問 |
ハルカ | 女 | 47 | ナツキの彼女。心優しく他人を思いやれる性格 |
ナツキ | 男 | 42 | ハルカの彼氏。冷静で頭の回転が早い |
アキヨ | 女 | 36 | トウマの彼女。トウマに依存しており、逆らわない。考えが幼く、感情のコントロールが苦手で、パニックを起こしがち。一人称はアキ |
トウマ | 男 | 40 | アキヨの彼氏。俺様な性格で、自分の気持ちが最優先。腕っぷしは強いが、都合が悪くなると屁理屈で押し切ろうとする |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ディー:役者は揃った
ダム:彼らは僕たちの満足する結末を見せてくれるかな?
0:(同時に)
ディー:さぁ、ゲームの始まりだ!
ダム:さぁ、ゲームの始まりだ!
0:
0:間
0:
ナツキ:うっ…なんだ…ここ…?
ナツキ:(M)気がつくと僕は暗く冷たい部屋で目を覚ました
ナツキ:見知らぬ殺風景な部屋
ナツキ:その中央には、透明な板状のもので囲われた闘技場のような異様な空間がある
ナツキ:僕の隣には恋人のハルカが倒れており、同じように気を失っていた
ナツキ:ハルカを起こそうとした僕の耳に、女の子が、側にいる男を揺すりながら泣いている声が聞こえてくる
0:
アキヨ:トウマ!トウマ!ねぇ!起きて!?
0:
ナツキ:(M)頭がズキズキと痛み、クラクラする
ナツキ:首に違和感を感じ、手で触れると機械式の首輪のようなものがついていた
ナツキ:痛みで上手く回らない頭でも、異常事態だということはすぐに把握できた
0:
ナツキ:ハルカ!おい!起きろ!ハルカ!
ハルカ:う…ナツ…キ?
ナツキ:大丈夫か?
ハルカ:う…ん。頭痛い…ここどこ?
ナツキ:わからない、気づいたらここにいて…
アキヨ:トウマ!ねぇやだ!目開けてよぉ…
アキヨ:アキを一人にしないで…!
ハルカ:あの子は…?
ナツキ:わからない…目を覚ました時には一緒に、ここにいた…
ハルカ:あの…どうしたの?
アキヨ:ひっ…!嫌だ!来ないで!
ハルカ:ちょっと落ち着いて…!
ナツキ:大丈夫だよ、彼は気を失ってるだけみたいだから
アキヨ:やめて!トウマに触らないで!(手を払い除ける)
ナツキ:痛っ…!
ハルカ:ナツキ!大丈夫?
ナツキ:あ…あぁ、大したことないよ
ハルカ:ちょっとあなたいい加減に…!
トウマ:う…痛ってぇ…
アキヨ:…っ!トウマ!!
トウマ:アキヨ…?なんでお前が…ここに…?
アキヨ:ぅわぁぁぁぁん…!良かった!トウマ!アキ一人で怖かったよぉ…!
トウマ:おい!泣くな!頭に響く!
トウマ:っつうか、ここなんだ?どこだよ?
アキヨ:うぅ…わかんない…
アキヨ:目が覚めたらここにいて…ドア開かないし、首に変な装置ついてるし…
トウマ:はぁ!?マジかよ…
トウマ:つうか、お前らは?
ナツキ:僕たちも一緒だ。気付いたらここにいた
0:
0:モニターが点き、ディーとダムの姿が映し出される
0:
ディー:レディース&ジェントルメン!
ダム:お目覚めかな?仲睦まじい二組のカップルさん♪
ハルカ:…っ!なに?テレビ?
トウマ:ガキ…!?てめぇらが俺たちをここに連れてきたのか!?
ディー:わぁ、急に怒鳴ってきたよ!
ダム:怖いね!野蛮だね!
ディー:僕たちにはちゃんと、ディーとダムって言う名前があるのに!
ダム:「ガキ」、だなんて失礼しちゃうよねー
ディー:ちょっとは落ち着けないのかな?
ダム:これから説明してあげようとしてるのにねー
トウマ:こんなわけわかんねぇところに閉じ込められてて、落ち着いていられるか!!
アキヨ:やだぁトウマ!怖いよぉ…!
ナツキ:ここどこなんだい?何かの悪戯ならすぐにやめるんだ
ハルカ:そうよ!ここから出して!
ディー:(ハルカ達の話は聞いていない)そんなことよりさ、僕初めて「レディース&ジェントルメン!」って言ったよ!
ダム:僕も僕も!「仲睦まじい二組のカップルさん!」なーんて、なんだかこっちが照れちゃうよー
トウマ:てめぇら、こっちの話聞いてんのか!イカれたガキどもが!
0:(同時に)
ディー:うるさいな
ダム:うるさいな
トウマ:…っ!
ディー:揃いも揃ってぎゃあぎゃあ喚いて(わめいて)…
ダム:説明するって言ってるのに、「待て」もできないガキはお前たちだろうが
トウマ:っ!?んだと!
ナツキ:ちょっと…!抑えて…!様子がおかしい…!
ハルカ:あ…あのっ、ごめんなさい
騒いだのは謝ります…!
ハルカ:だから…話を聞かせてくれない…いえ聞かせてくれません…か?
ディー:…あはっ♪ハルカにナツキ、君たち二人はちゃーんと話が聞ける“いい大人”なんだね
ダム:それに比べてアキヨとトウマは揃いも揃って…、はぁ…(ため息)、いただけないね
トウマ:気安く呼んでんじゃねぇ!
ハルカ:待って…!なんで私たちの名前知って…
ナツキ:もしかして…無差別に攫われたわけじゃない…?
ディー;ピンポーン!大正解!
ダム:やっぱりナツキは頭がいいね!どっかの脳筋バカとは大違い!
トウマ:なんだと!?
ディー:ね?ナツキを選んで正解だったでしょ?
ダム:うんうん!その頭脳をゲームでどこまで活かしてくれるか楽しみだよ!
ナツキ:は…?ゲーム?
ディー:そう!君たち二組のカップルには、これからあるゲームに参加してもらうんだ
ダム:安心していいよ、難しいルールなんてなーんにもない、子供だってわかる簡単なゲーム
0:
ディー:2人1組に分かれて
ダム:お互いに殺し合ってもらうだけだから…♪
0:
0:間
0:
ハルカ:え…?
アキヨ:殺…し…?
ディー:直接殺し合うプレイヤーはハルカとアキヨ
ダム:殺しの舞台は部屋中央の仕切られたゲーム盤の上
ディー:ナツキとトウマは、首輪と特別な薬で、“ペア”の女性と精神的にも肉体的にも繋がった、一心同体の番(つがい)
ダム:大切な“パートナー”が死なないように命懸けでサポートしてあげてね
ナツキ:待ってくれ!意味がわからない!
ディー:あれ?難しかった?プレイヤーが傷ついたら番も傷つくって言うことだよ
ダム:大丈夫、実際にゲームが始まれば嫌でも分かるから
ディー:あ、そうだ。首輪と一緒に薬も君たちがここに連れてこられた時点で投与してあるから
ダム:どんなに足掻いても、今更どうにもならないんだけどね?
0:
ハルカ:ちょっと待ってよ…?何言ってるの…?
ナツキ:ハルカ、大丈夫か?顔真っ青だぞ…
ハルカ:ナツキ…どうしよう…震えが止まらない…
ディー:さぁ!次はお楽しみ、殺しの道具選びの時間だよー!
ダム:使いやすいものを選んでね!もちろん一つじゃないくてもいいよ
ディー:僕のオススメは銃・ナイフ・木刀・爆弾…この辺かなー
ダム:ディー、何勧めてるんだよ。普通の女の子はそんなの使ったことないだろ
ディー:あ、そっか!
ダム:まったく!
ダム:金槌やノコギリみたいな日常的なものもあるからね!
ダム:殺傷力には欠けるけど、こっちの方が馴染みがあって使いやすいと思うし、力の弱い女性にもオススメだよ
アキヨ:待って待ってよ…?え?殺し合い…?アキが…?あの子と…?
アキヨ:嘘だよ…そんなの…そんなのアキにできっこない
アキヨ:ト…トウマ…どうしよう…?
トウマ:…おい、クソガキども
ディー:…脳筋クズ野郎に、クソガキって言われる筋合いないんだけどー
ダム:まぁまぁ、喚く(わめく)しか脳のない、人の名前も覚えれないおばかさんだから仕方ないよ。ここは僕たちが大人になって聞いてあげよう
ダム:なにかな?
トウマ:…ようは、どっちかのペアしか生き残れねぇってことだな?
ディー:さっきからそう言ってるじゃないか
トウマ:殺し合いに勝ったペアはどうなる?
ダム:あ!大事なことを伝え忘れてた!トウマもただの直上馬鹿じゃなかったんだねー!
トウマ:余計なこと言ってねぇでさっさと教えろ
ディー:ノリが悪いなー
ディー:この手のゲームでよくあるご褒美だよ
ダム:勝ったペアはこの部屋から解放されて、日常生活に戻れる
ダム:殺人罪や教唆罪(きょうさざい)なんかで捕まることはないから安心してね♪
トウマ:ほんと、なんの捻りもねぇな。
トウマ:だが、それならやることは一つだ
トウマ:アキヨ!
アキヨ:えっ…
トウマ:あのハルカって女をぶっ殺せ
アキヨ:えっ…トウマ…?そんなことアキできな…
トウマ:できないんじゃなくてやるんだよ!!
アキヨ:ひっ…!
トウマ:お前がやらなきゃ俺たちはここで死ぬしかない
トウマ:アキヨお前ならやれる
アキヨ:で…でも…
トウマ:心配すんな、全部俺が指示してやる
トウマ:お前はその通りに動けばいい
トウマ:俺の言うこと聞くなんていつものことだろ?な?
アキヨ:う…うん
トウマ:よしっ、いい子だ
ハルカ:ちょっ…ちょっと待ってよ!殺し合いなんて本気でやるつもり!?
ナツキ:そうだよ!こんな非人道的なこと間違ってる!協力して他の方法を探すべきだ!
ハルカ:ここにある道具を使ったら、ドアの鍵を壊すことだってできるかもしれないし、抜け出す方法が見つかるかも…
ディー:残念だけどそんな時間はないよ
ハルカ:え…?
ダム:ゲーム開始から30分で決着がつかなければ、その部屋には毒ガスが噴射されちゃうからね♪
ナツキ:毒ガス…!?
ディー:窓もないその部屋じゃあ、全員仲良くあっという間…!
ダム:集団墓地の出来上がり!
ハルカ:そんな…助かるには殺し合いをするしか…ないの?
ナツキ:…っ!
ナツキ:なぁ…!プレイヤーを僕にすることはできないのか!?
ハルカ:ナツキ…!?
ナツキ:ハルカに人殺しをさせるなんてできない…
ナツキ:でもこのままじゃ毒ガスで二人とも死ぬ…
ナツキ:だったら、僕が戦って、一緒に生きてここから出る…!
ハルカ:ナツキ…
トウマ:名案だな、当然こっちも俺が出ていいんだろ?
トウマ:正直そっちの方が手っ取り早い
ナツキ:もちろん、そっちもトウマに変えてもらって構わない!だから…
ディー:ダメだ
ナツキ:え…
ディー:進行役である僕たちを無視して勝手に話を進めるな
ダム:そんな自分勝手なルール変更が認められると思っているのか?自分達の立場を弁えろ。
ダム:プレイヤーはハルカとアキヨ。変更は一切認めない
ナツキ:そんな…
トウマ:ちっ
ハルカ:ナツキ…ありがとう
ハルカ:大丈夫、私やれる…よ…?ナツキと生きてここから出る。そのためだったら私、どんなことでも頑張れる
ナツキ:ハルカ…
ハルカ:だから、私の後ろで一緒に戦って…?
ナツキ:わかった…
ナツキ:絶対にお前を死なせない…!なにがあっても全力で助ける!
ハルカ:うん…ありがとう…
0:
ディー:…わかってもらえたみたいで嬉しいよ
ディー:それじゃあ、ハルカとアキヨは好きな武器を選んだら盤上へ、ナツキとトウマは部屋の端へ
ダム:ゲーム開始と同時に、どちらかが死ぬまで盤上へは干渉できなくなっちゃうけど、声は聞こえるから何も心配いらないよ♪
0:
0:
0:間
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ディー:準備が整ったみたいだね
ディー:アキヨは銃、ハルカはナイフ…
ダム:ふふっ、どんな殺し合いが見られるのか楽しみだなぁ…
ダム:それじゃあ、
0:(同時に)
ディー:ゲームスタート
ダム:ゲームスタート
0:
トウマ:アキヨ!とにかく撃て!撃ちまくれ!
アキヨ:え…?え…?でもこんなの使ったこと…
トウマ:致命傷にはならなくても、数撃ちゃ当たる!
トウマ:ハルカを近づけさせず、擦り(かすり)でもすりゃあこっちのもんなんだよ!
トウマ:いいから引き金引け!
アキヨ:わ…わかった!
ナツキ:ハルカ!銃なんて早々当たらない!
ナツキ:焦らなくていい…!俺の声だけに集中して、ゆっくりアキヨに近づくんだ!
ハルカ:う…うん!
0:
ハルカ:(M)こうして、私達の死のゲームが始まった
ハルカ:銃もナイフも使ったことがない素人同士の殺し合い
ハルカ:トウマの怒号を浴びながら見様見真似で銃を乱射するアキヨちゃん
ハルカ:ナツキの指示に合わせながら震える足でアキヨちゃんに近づき、必死でナイフを振るう私
ハルカ:お互いに当たるわけもなく、恐怖と焦りが募り、刻一刻と時間だけが過ぎる平行線が続いた
ハルカ:モニターの中には楽しげに笑う双子の姿と、毒ガスまでのカウントダウン
ハルカ:このままじゃ時間切れで毒ガスが…
ハルカ:そう思って一瞬気が逸れたその時、彼女の放った銃弾が一発私の腕を掠めた(かすめた)
0:
アキヨ:やった!やったよトウマ!当たったよ!
ハルカ:ゔぁっ…、いっ…た…
ナツキ:ハルカ!大丈夫か!?
ハルカ:う…ん、大丈夫…腕を少し掠っただけだから…
ハルカ:ナツキも大丈夫…?
ナツキ:あぁ俺はぜんぜん…あれ?
ハルカ:ナツキ?
ナツキ:ハルカが怪我したのに、なんで俺は無傷なんだ?
ハルカ:え…?
トウマ:ぐわぁぁぁぁっ…
アキヨ:トウマ!?
トウマ:腕が抉(えぐ)られる…!
アキヨ:なんで!?アキ攻撃されてないのに、なんでトウマが怪我してるの!?
ハルカ:なに…?どういうこと…?
ナツキ:…!まさか…
ナツキ:ペアが…逆…!?
0:
ディー:ふふ…
ダム:あはは…
0:(同時に)
ディー:あはははははははっ
ダム:あはははははははっ
0:
ディー:ご名答!!さすがナツキ!
ダム:まさか一発で見破っちゃうなんて、期待以上だよ!
トウマ:どう…いうこと…だ!
ディー:ハルカとトウマ、アキヨとナツキがペアリングされているって言うことだよ
ハルカ:え…?
ダム:ちなみに、薬の効果で、痛みの強さはナツキとトウマの方が数倍上
ダム:蚊帳の外から殺し合いを見ているだけなんだから、それくらいなくちゃ不公平でしょう?
アキヨ:ちょっと待って!?わかんないよ!
ナツキ:つまり、ハルカが死ねばトウマが、アキヨが死ねば俺が死ぬってことだ…
ハルカ:え…じゃあどうすればいいの…!?
ナツキ:ペアリングが解除出来ない限り、俺たち二人が助かる方法はない…
ハルカ:そんな…!
アキヨ:トウマ!トウマ!大丈夫!?腕痛いよね?アキどうしたらいいの!?
トウマ:…アキヨ、…お前のせいだ!!
アキヨ:…え?
トウマ:お前の撃った銃弾のせいでこうなったんだ!
トウマ:どう責任取るつもりだよ!?
アキヨ:え…でも、だって…トウマがハルカを撃てって…
アキヨ:だから…、アキ怖くても頑張ったのに…
トウマ:あぁ!?お前の撃った銃のせいで俺の腕がダメになったことに変わりねぇだろ!
トウマ:結果的にお前のせいだろうが!口答えするな!
アキヨ:ひっ…ごめんなさい…
ディー:あはははは…!
ディー:責任転嫁も甚だしいね〜
ダム:自分のことを棚に上げて、恋人を一方的に責めるだけとか!
ダム:いいよートウマ!それこそが人間の本性だ!
トウマ:黙ってろ!イカレた双子が!
トウマ:クソ…!ハルカが死んだら俺も死ぬ!?
トウマ:どうすりゃあいい…!?このままじゃ…
トウマ:…!おい…アキヨ…!
アキヨ:な…何…?
トウマ:お前自分を撃て
アキヨ:え…?
ハルカ:ちょっ…待って…!それ…!
トウマ:うるせぇ!
アキヨ:ト…トウマ…?どういうこと…?
アキヨ:アキ…よくわかんなくて…
トウマ:アキヨ、お前の気持ちはちゃんとわかってる。お前は俺が好きだよな?
トウマ:だから、俺に痛い思いさせるの辛いだろ?
トウマ:お前の苦しみは俺が苦しむことだ
トウマ:俺も、アキヨにこれ以上無駄に苦しんで欲しくない
トウマ:だからその銃で自分を撃て
トウマ:こめかみで、ゼロ距離から引き金引いたら痛いって思う前に意識なくなるから、安心しろ
アキヨ:え…?え…?
ハルカ:あんた自分の彼女になんてこと言ってんの!?
ハルカ:自分が助かりたいだけでしょ!?
ハルカ:よくそんな酷いこと平然と言えるわね!
トウマ:部外者は黙ってろ!
トウマ:アキヨのこと一番わかってんのは俺なんだよ!
トウマ:なぁ?そうだろ?アキヨ
アキヨ:トウマの幸せが私の幸せ…?
アキヨ:トウマが痛い思いするのは嫌…?
アキヨ:トウマが痛い思いしないためには、アキは…自分を…撃つ…?
トウマ:そうだアキヨ、ちゃんとわかってるじゃないか
トウマ:いい子だな
ハルカ:アキヨちゃん!トウマの言うこと聞いちゃダメよ!
ハルカ:アキヨちゃんを犠牲にして生きようとしてるだけなんだから…!
トウマ:黙れ!!
トウマ:ハルカお前にとっても悪くねぇ話だろうが
トウマ:自分の手を汚さず生き残れるんだぜ?
トウマ:あぁ、ナツキが死んで一人ぼっちで寂しいってんなら、俺が付き合ってやろうか?
トウマ:デスゲーム生き残った者同士仲良くやっていけると思うぜ?俺たち
ハルカ:ふざけないで!!誰があんたなんかと…!
アキヨ:…トウマ?
アキヨ:…え?トウマあの子と付き合うの?アキを捨ててハルカのとこに行くの?
アキヨ:なんで…ねぇなんでなんでなんでなんで…!?
トウマ:お…おいアキヨ…?
アキヨ:許さない…ハルカになんかトウマを渡さない…!
アキヨ:トウマはアキだけのものなんだからぁぁ!
ナツキ:ハルカ!危ない!逃げろ!
アキヨ:あぁぁぁぁぁ…!!
ハルカ:きゃあっ!?
0:
ナツキ:(M)激昂し、錯乱したアキヨは喚きながら無闇矢鱈と銃を乱射し、手当たり次第にナイフや爆弾をめちゃくちゃに投げ飛ばし始めた
ナツキ:必死に逃げ惑うハルカを見ていることしか出来ず、無力で弱い自分がどうしようもなく嫌になる
ナツキ:どうすればいい…?
ナツキ:…自分の中で答えはとうに出ていた。ただ口に出す勇気がなかった
ナツキ:毒ガス噴射まであと5分。タイムリミットも迫っている
ナツキ:ハルカの顔を見つめ、僕は声を振り絞った
0:
0:
ナツキ:ハルカ!アキヨを殺せ!
ハルカ:…っ!何言ってるの!
ハルカ:そんなことしたら、彼女とペアリングされてるナツキまで死んじゃう…!
ハルカ:なんとかペアリングを解除する方法を…!
ナツキ:もう時間がない!毒ガス噴射まで5分を切った!
ナツキ:アキヨも正気じゃない…!
ナツキ:このままじゃ流れ弾が、いつハルカに当たってもおかしくないんだ!
ハルカ:…っ!それでも…私にはそんなことできない!
ナツキ:ハルカ!僕はハルカを死なせたくないんだ!
ハルカ:私だってナツキを死なせたくない!
アキヨ:ハルカぁ…?
アキヨ:アキのトウマのこと奪おうとしてるのに彼氏ともいちゃついてるなんて
アキヨ:許さない…許さない…
アキヨ:あんたなんかにトウマは渡さない…
アキヨ:こいつであんたを蜂の巣にしてやるんだからぁ…!
トウマ:マシンガン!?アキヨ!やめろ!やめるんだ!そんな銃使ったら…!
アキヨ:うわぁぁぁぁぁ!!
0:
ハルカ:(M)アキヨちゃんがマシンガンを連射しながら近づいてくる
ハルカ:銃の反動に振り回されてフラつきながらも、目だけはずっと私を睨みつけている
ハルカ:その視線に背筋が凍りつく
ハルカ:振り返ってナツキの顔を見た
ハルカ:ナツキは苦しくて泣きそうな歪んだ表情で私を見つめていた
ハルカ:心が締め付けられる
ハルカ:ナツキのこんな顔見たくない…
ハルカ:私は覚悟を決めた
ハルカ:ナツキを殺す勇気なんて私にはない
ハルカ:武器が力なく手から滑り落ちる
0:
ナツキ:…!?武器を拾え!ハルカ!
ハルカ:ナツキ…聞いて?
ハルカ:私ね、ナツキと出会えてよかった
ハルカ:もうナツキのいない人生なんて考えられない
ナツキ:ハルカ…!?お前何言って…?
ハルカ:聞いて!私いつもナツキに助けられてきた
ハルカ:私がどんなに弱音吐いても大丈夫だよって笑って励ましてくれた、側にいてくれた
ハルカ:あの笑顔見るとね、なんでもできた
ハルカ:そんなナツキに、私はまだ何一つお返しできないの
ハルカ:だからね?最期にナツキのこと助けさせて?
ハルカ:ナツキを死なせたくないの
ハルカ:私の精一杯の恩返し
ハルカ:なんて…これも結局、ナツキのいない世界で生きていけない、って言うただの私のわがままなんだけど
ナツキ:やめろ!ハルカ!お願いだやめてくれ!!武器を拾え!逃げろ!もうそこまで来てる!早く…!!
ハルカ:ナツキ…私と出会ってくれてありがとう
ハルカ:本当はもっと伝えたいこといっぱいあるけど上手く出てこないや…
ハルカ:ずっと…大好き…だ…よ
ナツキ:やめろぉぉぉぉ…!!
0:
ハルカ:(M)最期の言葉を言い終わるか否かの刹那、ナツキの絶叫と共に私の身体を無数の銃弾が貫いた
ハルカ:命を焼かれる痛みの中、虚ろになっていく視界にナツキの姿が映る
ハルカ:ナツキごめんね…泣かないで…
ハルカ:そんな顔させたいんじゃないの
ハルカ:ここから出られたらどうか笑って…?
ハルカ:私の大好きだったあの笑顔で…
0:
0:
ディー:(M)ゲームは終わった
0:
0:
ナツキ:ハルカ!ハルカ!おい!目開けろよ!?
ナツキ:ハルカ…!なんで…なんでこんなこと…
ナツキ:お前を犠牲にしてまで俺は生き残りたくなんかなかった…
ナツキ:俺だってお前がいなきゃ生きてる意味なんて…
0:
アキヨ:きゃははは!
アキヨ:トウマ!やったよアキ、ハルカを殺したの
アキヨ:アキを褒めてトウマ!
アキヨ:これでトウマはどこにも行かない…
アキヨ:トウマはアキだけのものなんだから…
アキヨ:これからも絶対誰にも奪わせないよ…
アキヨ:ね?トウマ…
0:
0:
ダム:(M)そこには同じように死体を抱きしめながらも、対照的な2つの存在があった
ディー:(M)一つは、正気の抜けた虚ろな目で涙を流し、後悔と愛しみで死体を抱きしめ、
ダム:(M)一つは、狂喜の笑い声を響かせながら、狂わされてしまった愛で死体を抱きしめる
0:
ディー:(M)これは一つの結末に過ぎない。恋人、友人、親子、兄弟…、人の数だけ違った結末がみられるだろう
ダム:(M)僕らはどんな結末を見れたら満足なんだろう。それが見つかるまでゲームは終わらない…
ディー:(M)さぁ、別の結末を探しに行かなくちゃ。参加者はいくらでもいる
ダム:(M)満足する結末を見せてくれるのは…
0:(同時に)
ディー:君たちかもしれない…ね?
ダム:君たちかもしれない…ね?
ディー:役者は揃った
ダム:彼らは僕たちの満足する結末を見せてくれるかな?
0:(同時に)
ディー:さぁ、ゲームの始まりだ!
ダム:さぁ、ゲームの始まりだ!
0:
0:間
0:
ナツキ:うっ…なんだ…ここ…?
ナツキ:(M)気がつくと僕は暗く冷たい部屋で目を覚ました
ナツキ:見知らぬ殺風景な部屋
ナツキ:その中央には、透明な板状のもので囲われた闘技場のような異様な空間がある
ナツキ:僕の隣には恋人のハルカが倒れており、同じように気を失っていた
ナツキ:ハルカを起こそうとした僕の耳に、女の子が、側にいる男を揺すりながら泣いている声が聞こえてくる
0:
アキヨ:トウマ!トウマ!ねぇ!起きて!?
0:
ナツキ:(M)頭がズキズキと痛み、クラクラする
ナツキ:首に違和感を感じ、手で触れると機械式の首輪のようなものがついていた
ナツキ:痛みで上手く回らない頭でも、異常事態だということはすぐに把握できた
0:
ナツキ:ハルカ!おい!起きろ!ハルカ!
ハルカ:う…ナツ…キ?
ナツキ:大丈夫か?
ハルカ:う…ん。頭痛い…ここどこ?
ナツキ:わからない、気づいたらここにいて…
アキヨ:トウマ!ねぇやだ!目開けてよぉ…
アキヨ:アキを一人にしないで…!
ハルカ:あの子は…?
ナツキ:わからない…目を覚ました時には一緒に、ここにいた…
ハルカ:あの…どうしたの?
アキヨ:ひっ…!嫌だ!来ないで!
ハルカ:ちょっと落ち着いて…!
ナツキ:大丈夫だよ、彼は気を失ってるだけみたいだから
アキヨ:やめて!トウマに触らないで!(手を払い除ける)
ナツキ:痛っ…!
ハルカ:ナツキ!大丈夫?
ナツキ:あ…あぁ、大したことないよ
ハルカ:ちょっとあなたいい加減に…!
トウマ:う…痛ってぇ…
アキヨ:…っ!トウマ!!
トウマ:アキヨ…?なんでお前が…ここに…?
アキヨ:ぅわぁぁぁぁん…!良かった!トウマ!アキ一人で怖かったよぉ…!
トウマ:おい!泣くな!頭に響く!
トウマ:っつうか、ここなんだ?どこだよ?
アキヨ:うぅ…わかんない…
アキヨ:目が覚めたらここにいて…ドア開かないし、首に変な装置ついてるし…
トウマ:はぁ!?マジかよ…
トウマ:つうか、お前らは?
ナツキ:僕たちも一緒だ。気付いたらここにいた
0:
0:モニターが点き、ディーとダムの姿が映し出される
0:
ディー:レディース&ジェントルメン!
ダム:お目覚めかな?仲睦まじい二組のカップルさん♪
ハルカ:…っ!なに?テレビ?
トウマ:ガキ…!?てめぇらが俺たちをここに連れてきたのか!?
ディー:わぁ、急に怒鳴ってきたよ!
ダム:怖いね!野蛮だね!
ディー:僕たちにはちゃんと、ディーとダムって言う名前があるのに!
ダム:「ガキ」、だなんて失礼しちゃうよねー
ディー:ちょっとは落ち着けないのかな?
ダム:これから説明してあげようとしてるのにねー
トウマ:こんなわけわかんねぇところに閉じ込められてて、落ち着いていられるか!!
アキヨ:やだぁトウマ!怖いよぉ…!
ナツキ:ここどこなんだい?何かの悪戯ならすぐにやめるんだ
ハルカ:そうよ!ここから出して!
ディー:(ハルカ達の話は聞いていない)そんなことよりさ、僕初めて「レディース&ジェントルメン!」って言ったよ!
ダム:僕も僕も!「仲睦まじい二組のカップルさん!」なーんて、なんだかこっちが照れちゃうよー
トウマ:てめぇら、こっちの話聞いてんのか!イカれたガキどもが!
0:(同時に)
ディー:うるさいな
ダム:うるさいな
トウマ:…っ!
ディー:揃いも揃ってぎゃあぎゃあ喚いて(わめいて)…
ダム:説明するって言ってるのに、「待て」もできないガキはお前たちだろうが
トウマ:っ!?んだと!
ナツキ:ちょっと…!抑えて…!様子がおかしい…!
ハルカ:あ…あのっ、ごめんなさい
騒いだのは謝ります…!
ハルカ:だから…話を聞かせてくれない…いえ聞かせてくれません…か?
ディー:…あはっ♪ハルカにナツキ、君たち二人はちゃーんと話が聞ける“いい大人”なんだね
ダム:それに比べてアキヨとトウマは揃いも揃って…、はぁ…(ため息)、いただけないね
トウマ:気安く呼んでんじゃねぇ!
ハルカ:待って…!なんで私たちの名前知って…
ナツキ:もしかして…無差別に攫われたわけじゃない…?
ディー;ピンポーン!大正解!
ダム:やっぱりナツキは頭がいいね!どっかの脳筋バカとは大違い!
トウマ:なんだと!?
ディー:ね?ナツキを選んで正解だったでしょ?
ダム:うんうん!その頭脳をゲームでどこまで活かしてくれるか楽しみだよ!
ナツキ:は…?ゲーム?
ディー:そう!君たち二組のカップルには、これからあるゲームに参加してもらうんだ
ダム:安心していいよ、難しいルールなんてなーんにもない、子供だってわかる簡単なゲーム
0:
ディー:2人1組に分かれて
ダム:お互いに殺し合ってもらうだけだから…♪
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0:間
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ハルカ:え…?
アキヨ:殺…し…?
ディー:直接殺し合うプレイヤーはハルカとアキヨ
ダム:殺しの舞台は部屋中央の仕切られたゲーム盤の上
ディー:ナツキとトウマは、首輪と特別な薬で、“ペア”の女性と精神的にも肉体的にも繋がった、一心同体の番(つがい)
ダム:大切な“パートナー”が死なないように命懸けでサポートしてあげてね
ナツキ:待ってくれ!意味がわからない!
ディー:あれ?難しかった?プレイヤーが傷ついたら番も傷つくって言うことだよ
ダム:大丈夫、実際にゲームが始まれば嫌でも分かるから
ディー:あ、そうだ。首輪と一緒に薬も君たちがここに連れてこられた時点で投与してあるから
ダム:どんなに足掻いても、今更どうにもならないんだけどね?
0:
ハルカ:ちょっと待ってよ…?何言ってるの…?
ナツキ:ハルカ、大丈夫か?顔真っ青だぞ…
ハルカ:ナツキ…どうしよう…震えが止まらない…
ディー:さぁ!次はお楽しみ、殺しの道具選びの時間だよー!
ダム:使いやすいものを選んでね!もちろん一つじゃないくてもいいよ
ディー:僕のオススメは銃・ナイフ・木刀・爆弾…この辺かなー
ダム:ディー、何勧めてるんだよ。普通の女の子はそんなの使ったことないだろ
ディー:あ、そっか!
ダム:まったく!
ダム:金槌やノコギリみたいな日常的なものもあるからね!
ダム:殺傷力には欠けるけど、こっちの方が馴染みがあって使いやすいと思うし、力の弱い女性にもオススメだよ
アキヨ:待って待ってよ…?え?殺し合い…?アキが…?あの子と…?
アキヨ:嘘だよ…そんなの…そんなのアキにできっこない
アキヨ:ト…トウマ…どうしよう…?
トウマ:…おい、クソガキども
ディー:…脳筋クズ野郎に、クソガキって言われる筋合いないんだけどー
ダム:まぁまぁ、喚く(わめく)しか脳のない、人の名前も覚えれないおばかさんだから仕方ないよ。ここは僕たちが大人になって聞いてあげよう
ダム:なにかな?
トウマ:…ようは、どっちかのペアしか生き残れねぇってことだな?
ディー:さっきからそう言ってるじゃないか
トウマ:殺し合いに勝ったペアはどうなる?
ダム:あ!大事なことを伝え忘れてた!トウマもただの直上馬鹿じゃなかったんだねー!
トウマ:余計なこと言ってねぇでさっさと教えろ
ディー:ノリが悪いなー
ディー:この手のゲームでよくあるご褒美だよ
ダム:勝ったペアはこの部屋から解放されて、日常生活に戻れる
ダム:殺人罪や教唆罪(きょうさざい)なんかで捕まることはないから安心してね♪
トウマ:ほんと、なんの捻りもねぇな。
トウマ:だが、それならやることは一つだ
トウマ:アキヨ!
アキヨ:えっ…
トウマ:あのハルカって女をぶっ殺せ
アキヨ:えっ…トウマ…?そんなことアキできな…
トウマ:できないんじゃなくてやるんだよ!!
アキヨ:ひっ…!
トウマ:お前がやらなきゃ俺たちはここで死ぬしかない
トウマ:アキヨお前ならやれる
アキヨ:で…でも…
トウマ:心配すんな、全部俺が指示してやる
トウマ:お前はその通りに動けばいい
トウマ:俺の言うこと聞くなんていつものことだろ?な?
アキヨ:う…うん
トウマ:よしっ、いい子だ
ハルカ:ちょっ…ちょっと待ってよ!殺し合いなんて本気でやるつもり!?
ナツキ:そうだよ!こんな非人道的なこと間違ってる!協力して他の方法を探すべきだ!
ハルカ:ここにある道具を使ったら、ドアの鍵を壊すことだってできるかもしれないし、抜け出す方法が見つかるかも…
ディー:残念だけどそんな時間はないよ
ハルカ:え…?
ダム:ゲーム開始から30分で決着がつかなければ、その部屋には毒ガスが噴射されちゃうからね♪
ナツキ:毒ガス…!?
ディー:窓もないその部屋じゃあ、全員仲良くあっという間…!
ダム:集団墓地の出来上がり!
ハルカ:そんな…助かるには殺し合いをするしか…ないの?
ナツキ:…っ!
ナツキ:なぁ…!プレイヤーを僕にすることはできないのか!?
ハルカ:ナツキ…!?
ナツキ:ハルカに人殺しをさせるなんてできない…
ナツキ:でもこのままじゃ毒ガスで二人とも死ぬ…
ナツキ:だったら、僕が戦って、一緒に生きてここから出る…!
ハルカ:ナツキ…
トウマ:名案だな、当然こっちも俺が出ていいんだろ?
トウマ:正直そっちの方が手っ取り早い
ナツキ:もちろん、そっちもトウマに変えてもらって構わない!だから…
ディー:ダメだ
ナツキ:え…
ディー:進行役である僕たちを無視して勝手に話を進めるな
ダム:そんな自分勝手なルール変更が認められると思っているのか?自分達の立場を弁えろ。
ダム:プレイヤーはハルカとアキヨ。変更は一切認めない
ナツキ:そんな…
トウマ:ちっ
ハルカ:ナツキ…ありがとう
ハルカ:大丈夫、私やれる…よ…?ナツキと生きてここから出る。そのためだったら私、どんなことでも頑張れる
ナツキ:ハルカ…
ハルカ:だから、私の後ろで一緒に戦って…?
ナツキ:わかった…
ナツキ:絶対にお前を死なせない…!なにがあっても全力で助ける!
ハルカ:うん…ありがとう…
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ディー:…わかってもらえたみたいで嬉しいよ
ディー:それじゃあ、ハルカとアキヨは好きな武器を選んだら盤上へ、ナツキとトウマは部屋の端へ
ダム:ゲーム開始と同時に、どちらかが死ぬまで盤上へは干渉できなくなっちゃうけど、声は聞こえるから何も心配いらないよ♪
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0:間
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ディー:準備が整ったみたいだね
ディー:アキヨは銃、ハルカはナイフ…
ダム:ふふっ、どんな殺し合いが見られるのか楽しみだなぁ…
ダム:それじゃあ、
0:(同時に)
ディー:ゲームスタート
ダム:ゲームスタート
0:
トウマ:アキヨ!とにかく撃て!撃ちまくれ!
アキヨ:え…?え…?でもこんなの使ったこと…
トウマ:致命傷にはならなくても、数撃ちゃ当たる!
トウマ:ハルカを近づけさせず、擦り(かすり)でもすりゃあこっちのもんなんだよ!
トウマ:いいから引き金引け!
アキヨ:わ…わかった!
ナツキ:ハルカ!銃なんて早々当たらない!
ナツキ:焦らなくていい…!俺の声だけに集中して、ゆっくりアキヨに近づくんだ!
ハルカ:う…うん!
0:
ハルカ:(M)こうして、私達の死のゲームが始まった
ハルカ:銃もナイフも使ったことがない素人同士の殺し合い
ハルカ:トウマの怒号を浴びながら見様見真似で銃を乱射するアキヨちゃん
ハルカ:ナツキの指示に合わせながら震える足でアキヨちゃんに近づき、必死でナイフを振るう私
ハルカ:お互いに当たるわけもなく、恐怖と焦りが募り、刻一刻と時間だけが過ぎる平行線が続いた
ハルカ:モニターの中には楽しげに笑う双子の姿と、毒ガスまでのカウントダウン
ハルカ:このままじゃ時間切れで毒ガスが…
ハルカ:そう思って一瞬気が逸れたその時、彼女の放った銃弾が一発私の腕を掠めた(かすめた)
0:
アキヨ:やった!やったよトウマ!当たったよ!
ハルカ:ゔぁっ…、いっ…た…
ナツキ:ハルカ!大丈夫か!?
ハルカ:う…ん、大丈夫…腕を少し掠っただけだから…
ハルカ:ナツキも大丈夫…?
ナツキ:あぁ俺はぜんぜん…あれ?
ハルカ:ナツキ?
ナツキ:ハルカが怪我したのに、なんで俺は無傷なんだ?
ハルカ:え…?
トウマ:ぐわぁぁぁぁっ…
アキヨ:トウマ!?
トウマ:腕が抉(えぐ)られる…!
アキヨ:なんで!?アキ攻撃されてないのに、なんでトウマが怪我してるの!?
ハルカ:なに…?どういうこと…?
ナツキ:…!まさか…
ナツキ:ペアが…逆…!?
0:
ディー:ふふ…
ダム:あはは…
0:(同時に)
ディー:あはははははははっ
ダム:あはははははははっ
0:
ディー:ご名答!!さすがナツキ!
ダム:まさか一発で見破っちゃうなんて、期待以上だよ!
トウマ:どう…いうこと…だ!
ディー:ハルカとトウマ、アキヨとナツキがペアリングされているって言うことだよ
ハルカ:え…?
ダム:ちなみに、薬の効果で、痛みの強さはナツキとトウマの方が数倍上
ダム:蚊帳の外から殺し合いを見ているだけなんだから、それくらいなくちゃ不公平でしょう?
アキヨ:ちょっと待って!?わかんないよ!
ナツキ:つまり、ハルカが死ねばトウマが、アキヨが死ねば俺が死ぬってことだ…
ハルカ:え…じゃあどうすればいいの…!?
ナツキ:ペアリングが解除出来ない限り、俺たち二人が助かる方法はない…
ハルカ:そんな…!
アキヨ:トウマ!トウマ!大丈夫!?腕痛いよね?アキどうしたらいいの!?
トウマ:…アキヨ、…お前のせいだ!!
アキヨ:…え?
トウマ:お前の撃った銃弾のせいでこうなったんだ!
トウマ:どう責任取るつもりだよ!?
アキヨ:え…でも、だって…トウマがハルカを撃てって…
アキヨ:だから…、アキ怖くても頑張ったのに…
トウマ:あぁ!?お前の撃った銃のせいで俺の腕がダメになったことに変わりねぇだろ!
トウマ:結果的にお前のせいだろうが!口答えするな!
アキヨ:ひっ…ごめんなさい…
ディー:あはははは…!
ディー:責任転嫁も甚だしいね〜
ダム:自分のことを棚に上げて、恋人を一方的に責めるだけとか!
ダム:いいよートウマ!それこそが人間の本性だ!
トウマ:黙ってろ!イカレた双子が!
トウマ:クソ…!ハルカが死んだら俺も死ぬ!?
トウマ:どうすりゃあいい…!?このままじゃ…
トウマ:…!おい…アキヨ…!
アキヨ:な…何…?
トウマ:お前自分を撃て
アキヨ:え…?
ハルカ:ちょっ…待って…!それ…!
トウマ:うるせぇ!
アキヨ:ト…トウマ…?どういうこと…?
アキヨ:アキ…よくわかんなくて…
トウマ:アキヨ、お前の気持ちはちゃんとわかってる。お前は俺が好きだよな?
トウマ:だから、俺に痛い思いさせるの辛いだろ?
トウマ:お前の苦しみは俺が苦しむことだ
トウマ:俺も、アキヨにこれ以上無駄に苦しんで欲しくない
トウマ:だからその銃で自分を撃て
トウマ:こめかみで、ゼロ距離から引き金引いたら痛いって思う前に意識なくなるから、安心しろ
アキヨ:え…?え…?
ハルカ:あんた自分の彼女になんてこと言ってんの!?
ハルカ:自分が助かりたいだけでしょ!?
ハルカ:よくそんな酷いこと平然と言えるわね!
トウマ:部外者は黙ってろ!
トウマ:アキヨのこと一番わかってんのは俺なんだよ!
トウマ:なぁ?そうだろ?アキヨ
アキヨ:トウマの幸せが私の幸せ…?
アキヨ:トウマが痛い思いするのは嫌…?
アキヨ:トウマが痛い思いしないためには、アキは…自分を…撃つ…?
トウマ:そうだアキヨ、ちゃんとわかってるじゃないか
トウマ:いい子だな
ハルカ:アキヨちゃん!トウマの言うこと聞いちゃダメよ!
ハルカ:アキヨちゃんを犠牲にして生きようとしてるだけなんだから…!
トウマ:黙れ!!
トウマ:ハルカお前にとっても悪くねぇ話だろうが
トウマ:自分の手を汚さず生き残れるんだぜ?
トウマ:あぁ、ナツキが死んで一人ぼっちで寂しいってんなら、俺が付き合ってやろうか?
トウマ:デスゲーム生き残った者同士仲良くやっていけると思うぜ?俺たち
ハルカ:ふざけないで!!誰があんたなんかと…!
アキヨ:…トウマ?
アキヨ:…え?トウマあの子と付き合うの?アキを捨ててハルカのとこに行くの?
アキヨ:なんで…ねぇなんでなんでなんでなんで…!?
トウマ:お…おいアキヨ…?
アキヨ:許さない…ハルカになんかトウマを渡さない…!
アキヨ:トウマはアキだけのものなんだからぁぁ!
ナツキ:ハルカ!危ない!逃げろ!
アキヨ:あぁぁぁぁぁ…!!
ハルカ:きゃあっ!?
0:
ナツキ:(M)激昂し、錯乱したアキヨは喚きながら無闇矢鱈と銃を乱射し、手当たり次第にナイフや爆弾をめちゃくちゃに投げ飛ばし始めた
ナツキ:必死に逃げ惑うハルカを見ていることしか出来ず、無力で弱い自分がどうしようもなく嫌になる
ナツキ:どうすればいい…?
ナツキ:…自分の中で答えはとうに出ていた。ただ口に出す勇気がなかった
ナツキ:毒ガス噴射まであと5分。タイムリミットも迫っている
ナツキ:ハルカの顔を見つめ、僕は声を振り絞った
0:
0:
ナツキ:ハルカ!アキヨを殺せ!
ハルカ:…っ!何言ってるの!
ハルカ:そんなことしたら、彼女とペアリングされてるナツキまで死んじゃう…!
ハルカ:なんとかペアリングを解除する方法を…!
ナツキ:もう時間がない!毒ガス噴射まで5分を切った!
ナツキ:アキヨも正気じゃない…!
ナツキ:このままじゃ流れ弾が、いつハルカに当たってもおかしくないんだ!
ハルカ:…っ!それでも…私にはそんなことできない!
ナツキ:ハルカ!僕はハルカを死なせたくないんだ!
ハルカ:私だってナツキを死なせたくない!
アキヨ:ハルカぁ…?
アキヨ:アキのトウマのこと奪おうとしてるのに彼氏ともいちゃついてるなんて
アキヨ:許さない…許さない…
アキヨ:あんたなんかにトウマは渡さない…
アキヨ:こいつであんたを蜂の巣にしてやるんだからぁ…!
トウマ:マシンガン!?アキヨ!やめろ!やめるんだ!そんな銃使ったら…!
アキヨ:うわぁぁぁぁぁ!!
0:
ハルカ:(M)アキヨちゃんがマシンガンを連射しながら近づいてくる
ハルカ:銃の反動に振り回されてフラつきながらも、目だけはずっと私を睨みつけている
ハルカ:その視線に背筋が凍りつく
ハルカ:振り返ってナツキの顔を見た
ハルカ:ナツキは苦しくて泣きそうな歪んだ表情で私を見つめていた
ハルカ:心が締め付けられる
ハルカ:ナツキのこんな顔見たくない…
ハルカ:私は覚悟を決めた
ハルカ:ナツキを殺す勇気なんて私にはない
ハルカ:武器が力なく手から滑り落ちる
0:
ナツキ:…!?武器を拾え!ハルカ!
ハルカ:ナツキ…聞いて?
ハルカ:私ね、ナツキと出会えてよかった
ハルカ:もうナツキのいない人生なんて考えられない
ナツキ:ハルカ…!?お前何言って…?
ハルカ:聞いて!私いつもナツキに助けられてきた
ハルカ:私がどんなに弱音吐いても大丈夫だよって笑って励ましてくれた、側にいてくれた
ハルカ:あの笑顔見るとね、なんでもできた
ハルカ:そんなナツキに、私はまだ何一つお返しできないの
ハルカ:だからね?最期にナツキのこと助けさせて?
ハルカ:ナツキを死なせたくないの
ハルカ:私の精一杯の恩返し
ハルカ:なんて…これも結局、ナツキのいない世界で生きていけない、って言うただの私のわがままなんだけど
ナツキ:やめろ!ハルカ!お願いだやめてくれ!!武器を拾え!逃げろ!もうそこまで来てる!早く…!!
ハルカ:ナツキ…私と出会ってくれてありがとう
ハルカ:本当はもっと伝えたいこといっぱいあるけど上手く出てこないや…
ハルカ:ずっと…大好き…だ…よ
ナツキ:やめろぉぉぉぉ…!!
0:
ハルカ:(M)最期の言葉を言い終わるか否かの刹那、ナツキの絶叫と共に私の身体を無数の銃弾が貫いた
ハルカ:命を焼かれる痛みの中、虚ろになっていく視界にナツキの姿が映る
ハルカ:ナツキごめんね…泣かないで…
ハルカ:そんな顔させたいんじゃないの
ハルカ:ここから出られたらどうか笑って…?
ハルカ:私の大好きだったあの笑顔で…
0:
0:
ディー:(M)ゲームは終わった
0:
0:
ナツキ:ハルカ!ハルカ!おい!目開けろよ!?
ナツキ:ハルカ…!なんで…なんでこんなこと…
ナツキ:お前を犠牲にしてまで俺は生き残りたくなんかなかった…
ナツキ:俺だってお前がいなきゃ生きてる意味なんて…
0:
アキヨ:きゃははは!
アキヨ:トウマ!やったよアキ、ハルカを殺したの
アキヨ:アキを褒めてトウマ!
アキヨ:これでトウマはどこにも行かない…
アキヨ:トウマはアキだけのものなんだから…
アキヨ:これからも絶対誰にも奪わせないよ…
アキヨ:ね?トウマ…
0:
0:
ダム:(M)そこには同じように死体を抱きしめながらも、対照的な2つの存在があった
ディー:(M)一つは、正気の抜けた虚ろな目で涙を流し、後悔と愛しみで死体を抱きしめ、
ダム:(M)一つは、狂喜の笑い声を響かせながら、狂わされてしまった愛で死体を抱きしめる
0:
ディー:(M)これは一つの結末に過ぎない。恋人、友人、親子、兄弟…、人の数だけ違った結末がみられるだろう
ダム:(M)僕らはどんな結末を見れたら満足なんだろう。それが見つかるまでゲームは終わらない…
ディー:(M)さぁ、別の結末を探しに行かなくちゃ。参加者はいくらでもいる
ダム:(M)満足する結末を見せてくれるのは…
0:(同時に)
ディー:君たちかもしれない…ね?
ダム:君たちかもしれない…ね?