台本概要
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タイトル | CrossRelife |
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作者名 | 愁有 (@syu_boikone) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 9人用台本(男4、女2、不問3) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
Crossシリーズ第7話 127 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
アグレス | 男 | 81 | 主人公 |
サーシャ | 女 | 84 | ヒロイン |
バラク | 男 | 62 | アグレスの心友 |
フォルグ | 男 | 63 | アグレスが住む孤児院の院長 |
リネアネ | 女 | 91 | アグレスが住む孤児院の副院長 |
ファルガ | 男 | 44 | ログルス帝国近衛師団団長 |
ジルメナス | 不問 | 25 | ログルス帝国帝王 |
クロム | 不問 | 20 | ログルスの裏の人間 骸 |
テスロ | 不問 | 10 | 謎多き子供 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
アグレス:ただいま
バラク:アグ!!
サーシャ:アグレス…無事でよかった……
バラク:無茶しやがって
アグレス:仕方ないだろう、こうするしかなかった
サーシャ:それでカールとケルミアは?
アグレス:あぁ無事だ
サーシャ:よかった…って酷い怪我!
アグレス:大丈夫だ
アグレス:ある程度の治療は済ませてある
アグレス:今は二人とも疲れて眠っているだけだ
アグレス:奥で寝かせてあげてくれ
サーシャ:分かったわ
アグレス:バラクお前には共有したいことがある
バラク:その前に少しくらい休んだらどうだ?
アグレス:大至急だ。休んでる暇はない
バラク:はぁ……そうなったら曲がらねぇか
バラク:分かった…飲み物準備してくる
バラク:そこで座ってまっ………
リネアネ:たっだいまーーー!
フォルグ:今戻った
アグレス:……
バラク:……
リネアネ:おんやー???どうした子どもたち??
リネアネ:もしかしてぇ……リネアネお姉ちゃんが居なく…て……えぇぇぇぇぇぇえええええ!?
アグレス:うるさい……今何時だと思っている
バラク:帰って早々に怒られるとは流石だな
リネアネ:うるさいなー……って、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?
フォルグ:アグレス何があった
アグレス:気にしないでください。大したことではありません
リネアネ:バカ!!その傷で大したことじゃない訳ないでしょ!
アグレス:そんな細かい事を気にしている暇はない
リネアネ:だけど……
フォルグ:アグレス
アグレス:っ……な、何ですか
フォルグ:答えなさい。何があった?
アグレス:……………
バラク:こりゃ答えた方がいいぞぉアグ
アグレス:だが……
バラク:俺と二人で処理しようとしてるんだろうが
バラク:人手は多いほうがいいだろ
アグレス:それはそうだが……
リネアネ:なんなのよー
リネアネ:吐きなさいよー
アグレス:なぜだろうな、リネアネに言われると
アグレス:答えたくなくなる
リネアネ:ムッキーーー!!!
リネアネ:なんなのよもーーーーーー!!
フォルグ:それで、その傷はどうした
アグレス:それが…先生がグレアに行っている間に
バラク:カールとケルミアが攫われた
リネアネ:はぁぁあああああああ!?
フォルグ:それは本当か
アグレス:はい、それで……
サーシャ:あ、フォルグ院長とナギね……リネアネ副院長
サーシャ:お帰りなさい
フォルグ:ただいま
リネアネ:サーシャちゃん!ただいまだよー!
サーシャ:アグレス、二人の治療と寝かしつけ終わったわ
アグレス:助かった、ありがとう
サーシャ:それじゃあ次は、あなたの番ね
アグレス:……………え?
リネアネ:二人…?攫われたんじゃないの?
バラク:最後まで聞かずに遮るからこうなんだよ
リネアネ:仕方ないじゃない!びっくりしたんだから!!
バラク:八つ当たんな、ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね、ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!
バラク:知らねぇよ!自分で考えろ!
リネアネ:ぐぬぬぬぬぬぬー
フォルグ:二人は無事なんだな
アグレス:はい
アグレス:この傷は、二人を助けに行ったときに
アグレス:起きた戦闘で負ったものです
サーシャ:アグレスったら一人で飛び出して行ったんです
フォルグ:一人で戦ったのか?
サーシャ:敵が何人いるかも分からないのにです
フォルグ:なに?
アグレス:さ、サーシャ?
リネアネ:あ、これ怖いやつだ…
バラク:それなぁ…ドンマイだぜアグ
アグレス:バラク!お前は助けてくれ……………
サーシャ:アグレス??
アグレス:は、はい……………
サーシャ:私は今、とっても怒っています
アグレス:……はい
サーシャ:迷わず助けに行ったのは凄くかっこよかった
アグレス:じゃあっ!
サーシャ:でも、そんな傷だらけで帰ってくるなんて聞いていません
アグレス:それは……俺もあんなに苦戦するとは思って……………
サーシャ:怪我は仕方ないわ
サーシャ:でも…治療を断るのは違うんじゃないかしら?
アグレス:……………ごもっともです
バラク:せんせぇ、役目取られたな
フォルグ:仕方あるまい、アグレスにはあれが一番効く
リネアネ:あれホントに怖いからね……
アグレス:だが、サーシャにギフトを使わせるわけにはいかない
サーシャ:ギフトを使わずに治療する方法なんていっぱいあるじゃない
アグレス:それはそうだけども……
サーシャ:そんなに私に治療されるのが嫌?
アグレス:そんな事はない!
サーシャ:なら何で断るのかしら?
アグレス:えっと………
バラク:ほらアグ頑張れぇ、負けんな!
サーシャ:バラク?何?
バラク:あ、やべ
バラク:ミスった
サーシャ:貴方もこっちに来なさい
バラク:いやだぁーーせんせぇ助けてぇ
フォルグ:はぁ………
フォルグ:サーシャそこまでにしておけ
フォルグ:これからの方針を固める、続きは後にしろ
サーシャ:分かりました
サーシャ:二人共……後でね?
バラク:マジか
アグレス:あぁ、マジだ
バラク:全然助かってねーじゃねぇか!
アグレス:諦めて覚悟を決めるしかない
バラク:マジか!
アグレス:マジだ
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0:<王城・法我の間>
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ファルガ:ただいま帰還致しました
ジルメナス:戻ったかミュルガイア。ご苦労だった
ファルガ:はっ、ありがとうございます
ジルメナス:して、ミィティアはどうした
ファルガ:はい、任務中に【明点】の天能贈与に罹り現在治療中です
ファルガ:また、途中で邪魔が入り、ミィティアも負傷したので
ファルガ:引き上げてきました
ジルメナス:ほう、天能贈与とな。あの孤児院に斯様な子供がいたとは
ファルガ:申し訳ありません。任務は失敗に終わりました
ジルメナス:構わん。どうせミィティアが勝手をしたのだろう
ファルガ:ありがとうございます
ジルメナス:だが二度目はない。心せよ
ファルガ:はっ!
ジルメナス:ネフェリムが治めているだけはある
ジルメナス:有望なギフテッドも多そうだ……
ジルメナス:ふむ……ミュルガイア、次の任務を与える
ファルガ:はっ
ジルメナス:再びフォレスに行き、ギフテッドを連れてこい
ファルガ:…畏まりました
ジルメナス:編成は追って通達するから……………
クロム:失礼致しますジルメナス様
ジルメナス:クロムか
クロム:はい、任務の詳細をお伝えに
ジルメナス:それは良いが、扉から入って来いと何度伝えたら分かる
クロム:申し訳ありません
クロム:ですが我々は闇に生きるもの
クロム:正面から堂々は性に合わないのです
ジルメナス:まぁ丁度良い。そこのミュルガイアと共に次の任を与える
クロム:承知しました
ジルメナス:骸も数人連れて行くとよい
ジルメナス:では行け
クロム:はっ
ファルガ:はっ
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ファルガ:……すまない
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0:<孤児院・大広間>
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フォルグ:それでこれからの事だが
フォルグ:私はもう一度グレアに行こうと思う
アグレス:何故ですか?
フォルグ:あの帝王の事だ、失敗したと分かったら、もう一度来る可能性が高い
バラク:わざわざ失敗したところに人員割くのか?
フォルグ:馬鹿だからな。意地になって刺客を送ってくるさ
リネアネ:まぁバカだもんね
サーシャ:そうね、おバカさんだわ
バラク:バカ認定されてるとか、可哀想な王だな
アグレス:仕方ないだろう。それだけ好かれてないってことだ
フォルグ:そうだな
フォルグ:あれに愛想を付かして、軍を辞めたものは多い
アグレス:先生もその一人ですしね
フォルグ:あぁ、だがそんな私にもまだ影響力は残っている
フォルグ:言うだけ言ってみるさ
リネアネ:あんた一人で行くの?
フォルグ:いや、アグレスとバラクはついてこい
バラク:あ?なんでぇ?
フォルグ:お前らの……特にアグレスの目的の為には
フォルグ:中を知っておくのは良いことだろう
バラク:なるほどなぁ。どうするアグ?
アグレス:バラクはともかく俺が入るのはまずいのでは?
フォルグ:ネリの【変装】を使う
サーシャ:ネリはギフトの扱いがまだ……
リネアネ:それがねー、ちゃんと使えるようになったのよ!
フォルグ:条件付きではあるがコントロール出来るようになったのだ
サーシャ:条件?
リネアネ:そう!一から想像して変装させるのは無理だけど
リネアネ:写真とか絵とか見て、その通りに見た目を作れるようになったの
アグレス:いつの間に……
リネアネ:へへーん、あたしの教え方が上手いのだ!
バラク:ギフトの上達と言えばケルミア!
バラク:孤児院全体の音消すとか聞いてねぇぞ
フォルグ:それは私も初耳だ
リネアネ:あ…あたしが仕込みましたー
バラク:はぁ!?仕込むつったってぇ限界があんだろぉ
リネアネ:いやー、ミアちゃん結界術の適正があってさー
リネアネ:ちょっと教えたら、こーちょちょいって出来るようになっちゃってー
リネアネ:たはーー!あたしが教えるの上手すぎるんだけどねー
フォルグ:んっんー…お前達もう出るぞ
フォルグ:こういうのは早いほうがいい
リネアネ:ああぁ!そうだった!ネリ君起こさないと!
バラク:いきなりでかい声出すな!ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね。ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな、調子崩れるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!!
アグレス:はぁ…お調子者のバカは放っておいて準備をするぞ
リネアネ:うっっっざぁ!!あたしバカじゃないんだけどぉ?
アグレス:お調子者は否定しないんだな
リネアネ:はぁぁあ!?うっざ、うっざぁ!
バラク:否定できなくて言語能力無くなっちったな
フォルグ:放っておけ。その内戻る
サーシャ:院長
フォルグ:ん?どうしたサーシャ
サーシャ:私はどうすればいいですか?
フォルグ:お前は子どもたちのことを見てやってくれ
サーシャ:……
フォルグ:…ん?どうかしたか?
サーシャ:またそうなるのね…
フォルグ:何か言ったか?
アグレス:サーシャ?っ……これは
バラク:あ?アグ大丈夫か
アグレス:いや……なんでもない
サーシャ:副院長と一緒に守れとは仰ってくださらないのですね
フォルグ:……あぁ、そうだな。お前に前線に出て戦闘をしろとは言えない
サーシャ:何故ですか?
フォルグ:知っているはずだ。今帝国が死に物狂いで【天喰】【天刻】を探していることを
サーシャ:知っています。でもだからと言って私も守られる理由にはなりません
リネアネ:サーシャちゃんどうしちゃったの?
サーシャ:私は……いつまで、守られる対象でいなくては行けないんですか?
バラク:おいおいどうした?そんなの今に始まった事じゃねーだろ
サーシャ:だからよ!!
アグレス:落ち着くんだサーシャ
アグレス:君を失う訳には行かないんだ。どんな状況でも君を守る。それがみんなで決めたことじゃないか
サーシャ:いつまで?
アグレス:……それは
サーシャ:あなた達が死ぬまで私は守られていなきゃダメなの?
サーシャ:戦う力だって身につけた
サーシャ:治癒術だって結界術も身につけた!
サーシャ:それなのになんで皆の横で並び立って居られないの…
サーシャ:私はまだ、守られなくてはいけないくらい弱いの…?
アグレス:……
バラク:そこまでだ
サーシャ:なんでよ…
フォルグ:あぁそこまでだな
バラク:なんでも何も、アグがお前のことを大事に思って決めたことだ
バラク:それに異論はねぇし俺もそう思ってる
バラク:それと、はぁ…あんま言いたかねーけどよ
バラク:サーシャ
サーシャ:なによ…
バラク:あと寿命どんくらい残ってる?
サーシャ:っ……それは
バラク:だよな、言えねーよな
アグレス:バラクどういう事だ!
バラク:アグには、バレないようにやってたみてーだが、俺は違う
バラク:子ども達の稽古後に、ギフト使って治してたろ。それも日常的にな
サーシャ:………
アグレス:サーシャ…どうして
アグレス:君の【天刻】は寿命を消費する!分かっているはずだ!どれだけ危険なギフトなのかを!
サーシャ:これしか…これしか貴方達の役に立つ術がないのよ!
アグレス:役に立つとか、そんなのどうだっていい!!君がそこに居てくれるだけで…っ!リネアネ何を……
リネアネ:アグレスの役に立ちたくて頑張ってくれた子に、その言い方はないでしょ
アグレス:ご…ごめんなさい
サーシャ:みんなに、私の為なんかに傷ついて欲しくないの…
サーシャ:ごめん…ごめんなさい
フォルグ:直ぐに立て直すのは無理だな
フォルグ:リネアネ、サーシャのフォローを頼む
リネアネ:分かったわ
フォルグ:バラク。お前は分かっているな
バラク:言われなくても
フォルグ:なら良い。1時間後に正門に集合だ
バラク:あいよ
バラク:アグ、行くぞ
アグレス:…あぁ
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バラク:あんま気にすんな。遅かれ早かれ、こうなってた
アグレス:俺は、サーシャに酷い事を言った
アグレス:身近にいる、女の子にすら目を配れないとは…王など夢のまた夢だな
バラク:…俺の夢はさ。お前なんだよ
アグレス:…は?
バラク:アグの夢が、俺の夢だ
バラク:王になったアグの姿を見るのが、俺の夢なんだよ
バラク:だからそんなこと言うな。俺に失礼だろうが
アグレス:………ははっ
アグレス:バラクが1番の友で良かった
アグレス:ありがとう
バラク:おう!じゃあ後は分かるな
アグレス:あぁ、ちゃんと謝ってくるよ
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サーシャ:ごめんなさい…ごめんなさい
リネアネ:うーん…えい!
サーシャ:……リネアネ副院長?
リネアネ:大丈夫…アグレスも分かってるわ
リネアネ:ここに来るまで、いっぱい傷ついてきたんでしょ?
リネアネ:少しくらい周りに甘えてもいいんじゃない?
サーシャ:私はこの孤児院のお姉ちゃんです
サーシャ:そんな姿見せるわけには…
リネアネ:あたしなんて失態だらけよ?こんなのが副院長なんだから、どんな姿でもいいのよ
サーシャ:でも……
リネアネ:えいえい!
サーシャ:な、なんで頬っぺを…?
リネアネ:サーシャちゃんには暗い顔似合わないわよー。こうしてあげるんだから!
サーシャ:や、やめてくだしゃい
リネアネ:ぷっ…あはははは
リネアネ:変な顔ー
リネアネ:…サーシャちゃんが悲しい顔してたらきっと、アグレスも悲しいわ
リネアネ:それにあたしも悲しい!
リネアネ:アグレス本気で戦えなくなっちゃうわよ
リネアネ:それでもいいの?
サーシャ:それは…良くないです
リネアネ:でしょー
リネアネ:ちゃんとアグレスと話しておいで
リネアネ:大丈夫。アグレスは分かってくれるわ
サーシャ:はい。ありがとうございます
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アグレス:サーシャ!その…さっきはごめんね
アグレス:君の気持ちを蔑ろにしていた
サーシャ:うんうん、良いの
サーシャ:私こそ約束を破ってごめんなさい
サーシャ:我儘ばかりでごめんなさい…
アグレス:いいんだ。君が居てくれればそれだけで俺は救われる…
サーシャ:アグレス…
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リネアネ:はぁ…お互い損な役回りね
バラク:ホントだよ。まぁ友達の為ならしゃーねーな
リネアネ:あら?吹っ切れたの?
バラク:俺はアイツらが好きだからな。アイツらが幸せならなんでもいい
リネアネ:大人ねー
リネアネ:さっさとくっ付いてくれたら楽なのに
バラク:そりゃそうだ
フォルグ:お前達もう良いのか?
バラク:だからぁ!いきなり出てこないでくれせんせぇ!びっくりするでしょうが
フォルグ:それはすまない
リネアネ:はぁ…
フォルグ:アグレス、こっちでネリにギフトを施して貰え
アグレス:分かりました
フォルグ:サーシャはリネアネと留守番だ。子ども達を頼んだぞ
サーシャ:はい
フォルグ:リネアネ、サーシャを頼んだぞ
リネアネ:はいはい、分かってるわよ
フォルグ:準備出来たな。それでは行く…
リネアネ:ちょっと待って
フォルグ:なんだ?
リネアネ:…貴方達に神のご加護があらんことを…神風纏与
リネアネ:念の為ね。ちゃんと帰ってきなさいよ
アグレス:ありがとうリネアネ。それじゃあサーシャ、行ってきます
サーシャ:行ってらっしゃい
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リネアネ:行ったわね。それじゃ!あたし達はあたし達の仕事をしましょうか
サーシャ:はい!
リネアネ:星海の瞬き
リネアネ:点と天を接ぐ光旋
リネアネ:地に満ち時よ待て
リネアネ:星天結界
サーシャ:繋ぐ
サーシャ:天加閤金
サーシャ:御門の門
サーシャ:邪気払い己が心を通す
サーシャ:神紋加嗣
リネアネ:ふぅ…これでよしっと!
リネアネ:あたしは外で警戒してるから、サーシャちゃんは中で、子ども達の様子見てきて
サーシャ:分かりました
0:
クロム:おやおや、結界を張られてしまいましたね
クロム:しかも、中々の強度だ
ファルガ:問題ない。結界は私が破壊しますので貴方は…えっと、何と呼べば?
クロム:任務中はダムナと呼んでください
ファルガ:分かりました。ダムナは、私があの娘を引き付けている間に、中に侵入し目標を達成してください
クロム:御意。念の為骸は、二部隊に分けておきます。また後で会いましょう
ファルガ:では行きます!
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サーシャ:!?
リネアネ:サーシャちゃんどうした…っ!
リネアネ:あんた誰?
ファルガ:どうもこんにちは
ファルガ:私はログルス帝国近衛師団団長、ファルガ・ミュルガイアと申します。
ファルガ:以後お見知りおきを
リネアネ:へぇ……そんな師団長様が何の用?
リネアネ:そんなに手下引き連れてさ
ファルガ:そうですね。王からここの子ども達を連れてくるよう仰せつかったので
リネアネ:ふぅん…子ども達をね
リネアネ:…そんなことさせると思ってるわけ??
ファルガ:簡単に出来るとは思っていません
ファルガ:しかしこの戦力差でそちらも勝てるとは思っていないでしょう?
リネアネ:舐めんじゃないわよ。この結界が見えないの?
ファルガ:確かに素晴らしい結界だ。並の相手なら太刀打ちできないでしょう
ファルガ:だが……
リネアネ:なっ!
サーシャ:噓…
ファルガ:私のギフトは【鑑定】。視た物の情報を全て知ることが出来る
ファルガ:どんなに素晴らしい結界でも弱点を小突けばこの通り
リネアネ:サーシャちゃん中に入ってもう一度結界張って
リネアネ:こいつらの相手はあたしがする
サーシャ:でもっ!
リネアネ:大丈夫、こう見えてもあたし結構強いんだから
ファルガ:いえ、その必要はありません
リネアネ:…なんで
ファルガ:貴方の結界は私には通じない、その上この戦力差。いくら何でも分が悪いのは理解しているでしょう
ファルガ:なので取引しませんか?
リネアネ:取引?
ファルガ:はい。私もなるべく争いたくないのでね。戦わずに目的が達成出来ることに越したことはない
リネアネ:ふーん。まぁ殺りあうのは変わらないだろうけど聞いてあげる
ファルガ:ありがとうございます。さて我々の目的は先ほども申した通りここの子供達の回収ですが…
リネアネ:それを、はいそうですかと言うわけがないよね
ファルガ:はい。ですので
ファルガ:…そこにいるサーシャ・スターシアをこちらに引き渡してください
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:っ!
ファルガ:サーシャ・スターシアを渡して頂ければ、二度とこちらには来ないと約束します
リネアネ:バッッッカじゃないのぉ!?そんなの余計出来るわけないじゃない!!
ファルガ:はぁ…まあそうですよね。やはり力尽くになりますか
リネアネ:サーシャちゃんさっき言った通りにして中に隠れてて
サーシャ:一人じゃ無理です!私も一緒に…
リネアネ:ダメ!
サーシャ:どうして…
リネアネ:大丈夫…あたし負けないから!
ファルガ:さて…後ろの気持ちが逸ってる連中を抑えていられるのも時間の問題なので
ファルガ:さっさとやってしまいますか
リネアネ:ふっふー…さぁ来なさい!!!
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クロム:本当にあの結界を単騎で破壊するとは、現師団長の名も伊達ではありませんね
クロム:さてさて、面倒なのでさっさと終わらせて帰りますか
テスロ:キミは誰?
クロム:!??
クロム:子供?
テスロ:お兄ちゃん達の知り合いでも、フォルグの友達でもなさそうだし…
テスロ:もしかして侵入者かな?
クロム:(おかしい。こんな小さな子供が、私に気配を悟らせることなく背後に立てるのでしょうか?)
クロム:(それにだ、なんだこの異質な気配は…ここまで異様な雰囲気を出しているのに、存在感を感じない)
クロム:(目では子どもと認識しているのに、全細胞がそれを否定している)
クロム:(これは…勝てませんね。どうしたものでしょうか)
テスロ:昨日、カール兄とミア姉が攫われかけたらしいけど、それ関係かな?
クロム:(これは誤魔化しても仕方ありませんね)
クロム:そうですね。王の勅命により貴女方を連れ去りに来ました
テスロ:そっかー。誰を連れていくか決めた?
クロム:貴方の後ろで寝ている数人を連れて行ければ、御の字ですかね
テスロ:うーーん、それは困るなぁ
テスロ:…あっ!いいこと考えついた!
クロム:それはなんでしょうか?
テスロ:ボクと、このネリを連れて行ってよ!
テスロ:そしたらキミのことは殺さないであげる
クロム:なるほど…それでいいでしょう
テスロ:ヤッター!
クロム:しかしながら、騒がれると困るので、そちらの子には気を失って頂きます
テスロ:オッケー!ごめんねネリ
クロム:(っ!自分の仲間をなんの躊躇いもなく…敵対しなくて正解でしたね)
クロム:それでは行きましょうか
テスロ:はーーい
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ジルメナス:よく来たなネフェリム。して要件とはなんだ?
フォルグ:昨晩、私が運営する孤児院にて、子ども二名が攫われる事件が起きた
フォルグ:何か知っているな
ジルメナス:はっ!我にそんな口調で話す人間は、この国ではもうお前一人くらいしかおらぬ。余程怒っていると見えるな
フォルグ:私が大事に育てている家族だ。怒るのは必然
ジルメナス:そうか。国をあげて、ギフテッドを集めているからという理由で、当たりをつけてここに来たのだな
フォルグ:そうだ
ジルメナス:なら一つ間違いを訂正しておこう
フォルグ:何?
ジルメナス:攫っているのではない。保護しているのだ
フォルグ:そんな冗談が罷り通るとでも?
ジルメナス:そもそもだ、我々国が攫ったという証拠でもあるのか?
フォルグ:それについては、後ろの一人が戦闘をした際に、ファルガという名を聞いたと言っている
ジルメナス:…ミィティアめ余計なことを
ジルメナス:元師団長のお前が、現師団長がそのような事をすると思っているのか
フォルグ:お前のギフトの力なら可能だろう
ジルメナス:ふふっ…はっはっはっは
ジルメナス:舐められたものよの。我が態々そのような命を下すと
フォルグ:私はお前の本性を知っている。誤魔化せると思うな
ジルメナス:ふむ、仕方ない
ジルメナス:穏便に納めたかったが、引くつもりは無いらしい
ジルメナス:少々手荒にお前を抑えて、我が旗下にでも加えるとしよう
フォルグ:私の力を知っている数少ない人間の内のお前が、【法典】如きで私を抑えられると思っているのか?
ジルメナス:そうよの、ワールドNOト……貴様は!
アグレス:!?
バラク:!?
アグレス:これは、ネリのギフトが解けたのか?
バラク:おいおい、まずくねぇーか?
ジルメナス:アグレス…なぜお前の様な砂利がこのようなところに…
フォルグ:アグレス、バラク今すぐフォレスに戻れ
アグレス:良いんですか?
フォルグ:ネリのギフトは、自身で解くか、気絶でもしない限り解かれることはない
フォルグ:私達が帰るまでは解かないよう言い聞かしてある
バラク:ってことは、まさか!
フォルグ:あぁ、孤児院に何かあったと考えるのが自然だろう
バラク:マジかよ、行くぞアグレス!
アグレス:くそ!
ジルメナス:逃がすとでも思っているのか?
ジルメナス:『止まれ。童共』
ジルメナス:…!?何故法典が聞かぬ!
フォルグ:あの二人は訳ありなんだ
ジルメナス:ぬぅ…
ジルメナス:だが良い。お前を捕らえてればこちらの勝ちよ
フォルグ:やってみるがいい!
0:
バラク:アグ!俺はここで衛兵共を引きつける
バラク:先に行け!
アグレス:バカ!一人では無理だ!
バラク:ここで二人して足止めくらったら間に合わねぇ
バラク:お前が行け!
アグレス:…分かった。必ず帰ってこいよ!!
バラク:当たり前だ!
アグレス:…みんな無事でいてくれ
0:
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リネアネ:はぁはぁはぁ……
ファルガ:ははっやりますね。まさか連れて来た[骸]を一人で倒してしまうとは
リネアネ:あんな弱い奴ら何人連れてきても無駄よ
リネアネ:それであんたは戦わないの?あたしは全然余裕なんだけど…
ファルガ:強がりが見え見えですよ…私はなるべく自分の手を汚したくないのですよ
リネアネ:こんなところにまで来ておいてよく言うわね
ファルガ:はい、だからわざわざこやつらを使ってスマートに仕事を終わらせようとしたんですけどね
ファルガ:まさかこんなにも強いとは思いませんでしたよ。ナギナ・リネアネ
リネアネ:あたしのことも調査済みってことね……それで?やるの?やらないの?
ファルガ:仕方ない。これも仕事ですからね…本気でやりますか
リネアネ:だよねー……そうなるわよね!!
クロム:お取り込み中の所すみません
リネアネ:!?
クロム:ファルガ殿、任務達成しました。私はこのまま即時帰還したいと思います
ファルガ:ありがとうございます。私はここで、追われないように足止めしてから戻ります
クロム:承知しました。それではご武運を
テスロ:ナギお姉ちゃん!!
リネアネ:テスロ!!ネリ!!
ファルガ:追わせませんよ
リネアネ:そこを退け!
ファルガ:隙だらけですね!
リネアネ:くっ…
リネアネ:もう一度言うわ…そこを退きなさい
ファルガ:ならばこちらももう一度言いましょう
ファルガ:追わせませんよ
リネアネ:なら…あんたを殺して追いかけるわ!!
サーシャ:落ち着いてください、リネアネ副院長!
リネアネ:離してサーシャちゃん。あたしはアイツを殺して、あの男を追う
サーシャ:今の副院長では勝てません!
リネアネ:だから何?それは追わない理由にはならない
リネアネ:あたしの大切な子どもを奪うだなんて許せない
サーシャ:それは私も同じです!
リネアネ:なら邪魔しないで
サーシャ:この分らずや!!
リネアネ:!!?さ、サーシャ…ちゃん?
サーシャ:私も一緒にたたかうっていってるんです!
リネアネ:言ってたっけ?
サーシャ:細かいことはいいんです!私がナギ姉を守ります
リネアネ:え…?今なんて?ナギ姉??
サーシャ:何度でも言ってあげます!やりますよ、ナギ姉
リネアネ:かぁあああ!!やる気出てきたーー!
サーシャ:一緒にボコボコにしてやりましょう!
ファルガ:随分と甘く見られているのは鼻につきますが、時間稼ぎにはちょうどいいので、付き合ってあげますよ!
0:
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バラク:よっと!いっちょ上がりっと
バラク:近衛師団もこんなもんかぁ
フォルグ:バラク、こんなとこで何してる
バラク:お、せんせぇじゃねぇか
バラク:アグの為に敵さん引き付けてたんだよ
フォルグ:私はフォレスに帰れと言ったはずだ
バラク:せんせぇ一人残して行くわけにもいかねぇだろぉ?
フォルグ:はぁ…全く
バラク:いいじゃねぇか。ここで敵減らしておけば、あとが楽になる
フォルグ:それもそうだな
バラク:おっ、次が来たぜぇ
フォルグ:私が前衛だ。いつも通りやるぞ
バラク:オッケーそれじゃあやります……か…!?
バラク:何だこのプレッシャー?
フォルグ:あのお方は……
フォルグ:バラク作戦変更だ。今すぐここを離脱する
フォルグ:急げ!
バラク:やっぱやばいのか?
フォルグ:追いつかれたら終わりだと思え
フォルグ:私はあのお方に勝てる者を知らない
バラク:せんせぇがそこまで言うかよ
バラク:一体誰なんだ?
フォルグ:アグレスの兄で、この国の次期帝王と名高い
フォルグ:アグレウス・ログルス様だ
0:
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リネアネ:ほっ!うりゃあ!
ファルガ:ぐっ……はぁあ!
サーシャ:させない!
ファルガ:(攻守共にバランスの取れた連携。崩すのは簡単ではないようですね)
リネアネ:隙あり!皇国流柔術参番・波紋
ファルガ:がっ!(それにこの打撃、受ければ体内に衝撃が走る。後一回でも受けたらまずいですね)
ファルガ:(ならば、無理矢理隙を作るまで!)はっ!
サーシャ:っ!?
リネアネ:サーシャちゃん!
リネアネ:(やばっ…間に合わない!)
アグレス:はぁあああああっ!
ファルガ:なにっ!?
サーシャ:アグレスどうして……
アグレス:遅くなってごめん。君が無事で良かった
サーシャ:そうじゃなくて!
アグレス:リネアネ
リネアネ:はい!
アグレス:後で説教な
リネアネ:ですよねぇ。あたし頑張ったのに…
アグレス:会うのは二度目だな
ファルガ:そうですね。今回は容赦しませんけ……………
アグレス:戯言はいい…さっさとこい
ファルガ:本当にどいつもこいつも、舐め腐ってくれますねぇっ!!
アグレス:(M)俺は過去に何があったか徐々に思い出していた
アグレス:(M)ここで何が起こるのかも明確に……
アグレス:(M)そんな未来は訪れさせない
アグレス:(ここで確実に勝つ!)
サーシャ:(M)私はこの後何が起こるかを知っている
サーシャ:(M)【天刻】は言うなれば魂の譲渡だ
サーシャ:(M)その魂は記憶を残す
サーシャ:(M)この世界も普通ではない
サーシャ:(M)きっと、アグレスが作り替えたのだろう
サーシャ:(それなのに私は、アグレスが必死に止めようとしていることを、否定しようとしている)
サーシャ:(M)アグレスに傷ついて欲しくない
サーシャ:(M)その一心で、歩みを速めていく
リネアネ:サーシャちゃん?……ダメ!!
アグレス:っ!こいつ
ファルガ:誰も一対一とは言ってませんよ!
アグレス:しまっ……
サーシャ:アグレス!
アグレス:サーシャ!?(何でこんなところに!)
ファルガ:これで終わりです!
サーシャ:(これでいい。これでいいの……ごめんねアグレス)
アグレス:あ”あ”あ”あ”あ”!!
アグレス:……………ごふっ
サーシャ:あぐ……れす……
サーシャ:アグレスどうして!
ファルガ:これで任務達成ですね。帰還しましょう
アグレス:……………
サーシャ:イヤッ!死んじゃやだぁ!
リネアネ:アグレスしっかりして
アグレス:………
サーシャ:待ってて……今私の全部あげるから
リネアネ:サーシャちゃんそれは…
サーシャ:刻福
サーシャ:天仙の海原
サーシャ:慈戒に人柱
サーシャ:苦我を廻氣
サーシャ:憩い
サーシャ:削魂に灯火を
サーシャ:貴殿に聖冠の施しを与えん
アグレス:(M)遠のく意識の中で朧気に、サーシャの言葉が聞こえる
アグレス:(あぁ…これはダメだ)
アグレス:(M)震える口、細く出る息、動かない体
アグレス:(そんなのは関係ない…声を出せ…体を動かせ……でなければ、また大切な人を目の前で失うぞ)
アグレス:(それでいいのか?アグレス・ログルス!!)
サーシャ:『 天慈戒刻天ノ…』
アグレス:だ…大丈夫だよサーシャ……
アグレス:君を置いて居なくなったりなんかしない
アグレス:永遠の約束だ…
アグレス:……
サーシャ:アグレス…
リネアネ:寝ちゃったみたいね…
リネアネ:中に運んで治療しましょ
リネアネ:もちろんギフトは使わずにね
サーシャ:はい…
サーシャ:アグレス…私貴方のことが大好き
サーシャ:死のうとしてごめんなさい
サーシャ:これからはずっと一緒に………
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サーシャ:これは止まっていた針が緩やかに重なり合う楽天の二刻≪CroosRelife≫
サーシャ:第七話【心冠の並刻】
サーシャ:貴方に想いを…これからはずっと一緒にいましょう。大好きよアグレス
アグレス:ただいま
バラク:アグ!!
サーシャ:アグレス…無事でよかった……
バラク:無茶しやがって
アグレス:仕方ないだろう、こうするしかなかった
サーシャ:それでカールとケルミアは?
アグレス:あぁ無事だ
サーシャ:よかった…って酷い怪我!
アグレス:大丈夫だ
アグレス:ある程度の治療は済ませてある
アグレス:今は二人とも疲れて眠っているだけだ
アグレス:奥で寝かせてあげてくれ
サーシャ:分かったわ
アグレス:バラクお前には共有したいことがある
バラク:その前に少しくらい休んだらどうだ?
アグレス:大至急だ。休んでる暇はない
バラク:はぁ……そうなったら曲がらねぇか
バラク:分かった…飲み物準備してくる
バラク:そこで座ってまっ………
リネアネ:たっだいまーーー!
フォルグ:今戻った
アグレス:……
バラク:……
リネアネ:おんやー???どうした子どもたち??
リネアネ:もしかしてぇ……リネアネお姉ちゃんが居なく…て……えぇぇぇぇぇぇえええええ!?
アグレス:うるさい……今何時だと思っている
バラク:帰って早々に怒られるとは流石だな
リネアネ:うるさいなー……って、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?
フォルグ:アグレス何があった
アグレス:気にしないでください。大したことではありません
リネアネ:バカ!!その傷で大したことじゃない訳ないでしょ!
アグレス:そんな細かい事を気にしている暇はない
リネアネ:だけど……
フォルグ:アグレス
アグレス:っ……な、何ですか
フォルグ:答えなさい。何があった?
アグレス:……………
バラク:こりゃ答えた方がいいぞぉアグ
アグレス:だが……
バラク:俺と二人で処理しようとしてるんだろうが
バラク:人手は多いほうがいいだろ
アグレス:それはそうだが……
リネアネ:なんなのよー
リネアネ:吐きなさいよー
アグレス:なぜだろうな、リネアネに言われると
アグレス:答えたくなくなる
リネアネ:ムッキーーー!!!
リネアネ:なんなのよもーーーーーー!!
フォルグ:それで、その傷はどうした
アグレス:それが…先生がグレアに行っている間に
バラク:カールとケルミアが攫われた
リネアネ:はぁぁあああああああ!?
フォルグ:それは本当か
アグレス:はい、それで……
サーシャ:あ、フォルグ院長とナギね……リネアネ副院長
サーシャ:お帰りなさい
フォルグ:ただいま
リネアネ:サーシャちゃん!ただいまだよー!
サーシャ:アグレス、二人の治療と寝かしつけ終わったわ
アグレス:助かった、ありがとう
サーシャ:それじゃあ次は、あなたの番ね
アグレス:……………え?
リネアネ:二人…?攫われたんじゃないの?
バラク:最後まで聞かずに遮るからこうなんだよ
リネアネ:仕方ないじゃない!びっくりしたんだから!!
バラク:八つ当たんな、ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね、ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!
バラク:知らねぇよ!自分で考えろ!
リネアネ:ぐぬぬぬぬぬぬー
フォルグ:二人は無事なんだな
アグレス:はい
アグレス:この傷は、二人を助けに行ったときに
アグレス:起きた戦闘で負ったものです
サーシャ:アグレスったら一人で飛び出して行ったんです
フォルグ:一人で戦ったのか?
サーシャ:敵が何人いるかも分からないのにです
フォルグ:なに?
アグレス:さ、サーシャ?
リネアネ:あ、これ怖いやつだ…
バラク:それなぁ…ドンマイだぜアグ
アグレス:バラク!お前は助けてくれ……………
サーシャ:アグレス??
アグレス:は、はい……………
サーシャ:私は今、とっても怒っています
アグレス:……はい
サーシャ:迷わず助けに行ったのは凄くかっこよかった
アグレス:じゃあっ!
サーシャ:でも、そんな傷だらけで帰ってくるなんて聞いていません
アグレス:それは……俺もあんなに苦戦するとは思って……………
サーシャ:怪我は仕方ないわ
サーシャ:でも…治療を断るのは違うんじゃないかしら?
アグレス:……………ごもっともです
バラク:せんせぇ、役目取られたな
フォルグ:仕方あるまい、アグレスにはあれが一番効く
リネアネ:あれホントに怖いからね……
アグレス:だが、サーシャにギフトを使わせるわけにはいかない
サーシャ:ギフトを使わずに治療する方法なんていっぱいあるじゃない
アグレス:それはそうだけども……
サーシャ:そんなに私に治療されるのが嫌?
アグレス:そんな事はない!
サーシャ:なら何で断るのかしら?
アグレス:えっと………
バラク:ほらアグ頑張れぇ、負けんな!
サーシャ:バラク?何?
バラク:あ、やべ
バラク:ミスった
サーシャ:貴方もこっちに来なさい
バラク:いやだぁーーせんせぇ助けてぇ
フォルグ:はぁ………
フォルグ:サーシャそこまでにしておけ
フォルグ:これからの方針を固める、続きは後にしろ
サーシャ:分かりました
サーシャ:二人共……後でね?
バラク:マジか
アグレス:あぁ、マジだ
バラク:全然助かってねーじゃねぇか!
アグレス:諦めて覚悟を決めるしかない
バラク:マジか!
アグレス:マジだ
0:
0:
0:<王城・法我の間>
0:
0:
ファルガ:ただいま帰還致しました
ジルメナス:戻ったかミュルガイア。ご苦労だった
ファルガ:はっ、ありがとうございます
ジルメナス:して、ミィティアはどうした
ファルガ:はい、任務中に【明点】の天能贈与に罹り現在治療中です
ファルガ:また、途中で邪魔が入り、ミィティアも負傷したので
ファルガ:引き上げてきました
ジルメナス:ほう、天能贈与とな。あの孤児院に斯様な子供がいたとは
ファルガ:申し訳ありません。任務は失敗に終わりました
ジルメナス:構わん。どうせミィティアが勝手をしたのだろう
ファルガ:ありがとうございます
ジルメナス:だが二度目はない。心せよ
ファルガ:はっ!
ジルメナス:ネフェリムが治めているだけはある
ジルメナス:有望なギフテッドも多そうだ……
ジルメナス:ふむ……ミュルガイア、次の任務を与える
ファルガ:はっ
ジルメナス:再びフォレスに行き、ギフテッドを連れてこい
ファルガ:…畏まりました
ジルメナス:編成は追って通達するから……………
クロム:失礼致しますジルメナス様
ジルメナス:クロムか
クロム:はい、任務の詳細をお伝えに
ジルメナス:それは良いが、扉から入って来いと何度伝えたら分かる
クロム:申し訳ありません
クロム:ですが我々は闇に生きるもの
クロム:正面から堂々は性に合わないのです
ジルメナス:まぁ丁度良い。そこのミュルガイアと共に次の任を与える
クロム:承知しました
ジルメナス:骸も数人連れて行くとよい
ジルメナス:では行け
クロム:はっ
ファルガ:はっ
0:
ファルガ:……すまない
0:
0:
0:<孤児院・大広間>
0:
0:
フォルグ:それでこれからの事だが
フォルグ:私はもう一度グレアに行こうと思う
アグレス:何故ですか?
フォルグ:あの帝王の事だ、失敗したと分かったら、もう一度来る可能性が高い
バラク:わざわざ失敗したところに人員割くのか?
フォルグ:馬鹿だからな。意地になって刺客を送ってくるさ
リネアネ:まぁバカだもんね
サーシャ:そうね、おバカさんだわ
バラク:バカ認定されてるとか、可哀想な王だな
アグレス:仕方ないだろう。それだけ好かれてないってことだ
フォルグ:そうだな
フォルグ:あれに愛想を付かして、軍を辞めたものは多い
アグレス:先生もその一人ですしね
フォルグ:あぁ、だがそんな私にもまだ影響力は残っている
フォルグ:言うだけ言ってみるさ
リネアネ:あんた一人で行くの?
フォルグ:いや、アグレスとバラクはついてこい
バラク:あ?なんでぇ?
フォルグ:お前らの……特にアグレスの目的の為には
フォルグ:中を知っておくのは良いことだろう
バラク:なるほどなぁ。どうするアグ?
アグレス:バラクはともかく俺が入るのはまずいのでは?
フォルグ:ネリの【変装】を使う
サーシャ:ネリはギフトの扱いがまだ……
リネアネ:それがねー、ちゃんと使えるようになったのよ!
フォルグ:条件付きではあるがコントロール出来るようになったのだ
サーシャ:条件?
リネアネ:そう!一から想像して変装させるのは無理だけど
リネアネ:写真とか絵とか見て、その通りに見た目を作れるようになったの
アグレス:いつの間に……
リネアネ:へへーん、あたしの教え方が上手いのだ!
バラク:ギフトの上達と言えばケルミア!
バラク:孤児院全体の音消すとか聞いてねぇぞ
フォルグ:それは私も初耳だ
リネアネ:あ…あたしが仕込みましたー
バラク:はぁ!?仕込むつったってぇ限界があんだろぉ
リネアネ:いやー、ミアちゃん結界術の適正があってさー
リネアネ:ちょっと教えたら、こーちょちょいって出来るようになっちゃってー
リネアネ:たはーー!あたしが教えるの上手すぎるんだけどねー
フォルグ:んっんー…お前達もう出るぞ
フォルグ:こういうのは早いほうがいい
リネアネ:ああぁ!そうだった!ネリ君起こさないと!
バラク:いきなりでかい声出すな!ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね。ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな、調子崩れるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!!
アグレス:はぁ…お調子者のバカは放っておいて準備をするぞ
リネアネ:うっっっざぁ!!あたしバカじゃないんだけどぉ?
アグレス:お調子者は否定しないんだな
リネアネ:はぁぁあ!?うっざ、うっざぁ!
バラク:否定できなくて言語能力無くなっちったな
フォルグ:放っておけ。その内戻る
サーシャ:院長
フォルグ:ん?どうしたサーシャ
サーシャ:私はどうすればいいですか?
フォルグ:お前は子どもたちのことを見てやってくれ
サーシャ:……
フォルグ:…ん?どうかしたか?
サーシャ:またそうなるのね…
フォルグ:何か言ったか?
アグレス:サーシャ?っ……これは
バラク:あ?アグ大丈夫か
アグレス:いや……なんでもない
サーシャ:副院長と一緒に守れとは仰ってくださらないのですね
フォルグ:……あぁ、そうだな。お前に前線に出て戦闘をしろとは言えない
サーシャ:何故ですか?
フォルグ:知っているはずだ。今帝国が死に物狂いで【天喰】【天刻】を探していることを
サーシャ:知っています。でもだからと言って私も守られる理由にはなりません
リネアネ:サーシャちゃんどうしちゃったの?
サーシャ:私は……いつまで、守られる対象でいなくては行けないんですか?
バラク:おいおいどうした?そんなの今に始まった事じゃねーだろ
サーシャ:だからよ!!
アグレス:落ち着くんだサーシャ
アグレス:君を失う訳には行かないんだ。どんな状況でも君を守る。それがみんなで決めたことじゃないか
サーシャ:いつまで?
アグレス:……それは
サーシャ:あなた達が死ぬまで私は守られていなきゃダメなの?
サーシャ:戦う力だって身につけた
サーシャ:治癒術だって結界術も身につけた!
サーシャ:それなのになんで皆の横で並び立って居られないの…
サーシャ:私はまだ、守られなくてはいけないくらい弱いの…?
アグレス:……
バラク:そこまでだ
サーシャ:なんでよ…
フォルグ:あぁそこまでだな
バラク:なんでも何も、アグがお前のことを大事に思って決めたことだ
バラク:それに異論はねぇし俺もそう思ってる
バラク:それと、はぁ…あんま言いたかねーけどよ
バラク:サーシャ
サーシャ:なによ…
バラク:あと寿命どんくらい残ってる?
サーシャ:っ……それは
バラク:だよな、言えねーよな
アグレス:バラクどういう事だ!
バラク:アグには、バレないようにやってたみてーだが、俺は違う
バラク:子ども達の稽古後に、ギフト使って治してたろ。それも日常的にな
サーシャ:………
アグレス:サーシャ…どうして
アグレス:君の【天刻】は寿命を消費する!分かっているはずだ!どれだけ危険なギフトなのかを!
サーシャ:これしか…これしか貴方達の役に立つ術がないのよ!
アグレス:役に立つとか、そんなのどうだっていい!!君がそこに居てくれるだけで…っ!リネアネ何を……
リネアネ:アグレスの役に立ちたくて頑張ってくれた子に、その言い方はないでしょ
アグレス:ご…ごめんなさい
サーシャ:みんなに、私の為なんかに傷ついて欲しくないの…
サーシャ:ごめん…ごめんなさい
フォルグ:直ぐに立て直すのは無理だな
フォルグ:リネアネ、サーシャのフォローを頼む
リネアネ:分かったわ
フォルグ:バラク。お前は分かっているな
バラク:言われなくても
フォルグ:なら良い。1時間後に正門に集合だ
バラク:あいよ
バラク:アグ、行くぞ
アグレス:…あぁ
0:
0:
バラク:あんま気にすんな。遅かれ早かれ、こうなってた
アグレス:俺は、サーシャに酷い事を言った
アグレス:身近にいる、女の子にすら目を配れないとは…王など夢のまた夢だな
バラク:…俺の夢はさ。お前なんだよ
アグレス:…は?
バラク:アグの夢が、俺の夢だ
バラク:王になったアグの姿を見るのが、俺の夢なんだよ
バラク:だからそんなこと言うな。俺に失礼だろうが
アグレス:………ははっ
アグレス:バラクが1番の友で良かった
アグレス:ありがとう
バラク:おう!じゃあ後は分かるな
アグレス:あぁ、ちゃんと謝ってくるよ
0:
0:
サーシャ:ごめんなさい…ごめんなさい
リネアネ:うーん…えい!
サーシャ:……リネアネ副院長?
リネアネ:大丈夫…アグレスも分かってるわ
リネアネ:ここに来るまで、いっぱい傷ついてきたんでしょ?
リネアネ:少しくらい周りに甘えてもいいんじゃない?
サーシャ:私はこの孤児院のお姉ちゃんです
サーシャ:そんな姿見せるわけには…
リネアネ:あたしなんて失態だらけよ?こんなのが副院長なんだから、どんな姿でもいいのよ
サーシャ:でも……
リネアネ:えいえい!
サーシャ:な、なんで頬っぺを…?
リネアネ:サーシャちゃんには暗い顔似合わないわよー。こうしてあげるんだから!
サーシャ:や、やめてくだしゃい
リネアネ:ぷっ…あはははは
リネアネ:変な顔ー
リネアネ:…サーシャちゃんが悲しい顔してたらきっと、アグレスも悲しいわ
リネアネ:それにあたしも悲しい!
リネアネ:アグレス本気で戦えなくなっちゃうわよ
リネアネ:それでもいいの?
サーシャ:それは…良くないです
リネアネ:でしょー
リネアネ:ちゃんとアグレスと話しておいで
リネアネ:大丈夫。アグレスは分かってくれるわ
サーシャ:はい。ありがとうございます
0:
0:
アグレス:サーシャ!その…さっきはごめんね
アグレス:君の気持ちを蔑ろにしていた
サーシャ:うんうん、良いの
サーシャ:私こそ約束を破ってごめんなさい
サーシャ:我儘ばかりでごめんなさい…
アグレス:いいんだ。君が居てくれればそれだけで俺は救われる…
サーシャ:アグレス…
0:
リネアネ:はぁ…お互い損な役回りね
バラク:ホントだよ。まぁ友達の為ならしゃーねーな
リネアネ:あら?吹っ切れたの?
バラク:俺はアイツらが好きだからな。アイツらが幸せならなんでもいい
リネアネ:大人ねー
リネアネ:さっさとくっ付いてくれたら楽なのに
バラク:そりゃそうだ
フォルグ:お前達もう良いのか?
バラク:だからぁ!いきなり出てこないでくれせんせぇ!びっくりするでしょうが
フォルグ:それはすまない
リネアネ:はぁ…
フォルグ:アグレス、こっちでネリにギフトを施して貰え
アグレス:分かりました
フォルグ:サーシャはリネアネと留守番だ。子ども達を頼んだぞ
サーシャ:はい
フォルグ:リネアネ、サーシャを頼んだぞ
リネアネ:はいはい、分かってるわよ
フォルグ:準備出来たな。それでは行く…
リネアネ:ちょっと待って
フォルグ:なんだ?
リネアネ:…貴方達に神のご加護があらんことを…神風纏与
リネアネ:念の為ね。ちゃんと帰ってきなさいよ
アグレス:ありがとうリネアネ。それじゃあサーシャ、行ってきます
サーシャ:行ってらっしゃい
0:
リネアネ:行ったわね。それじゃ!あたし達はあたし達の仕事をしましょうか
サーシャ:はい!
リネアネ:星海の瞬き
リネアネ:点と天を接ぐ光旋
リネアネ:地に満ち時よ待て
リネアネ:星天結界
サーシャ:繋ぐ
サーシャ:天加閤金
サーシャ:御門の門
サーシャ:邪気払い己が心を通す
サーシャ:神紋加嗣
リネアネ:ふぅ…これでよしっと!
リネアネ:あたしは外で警戒してるから、サーシャちゃんは中で、子ども達の様子見てきて
サーシャ:分かりました
0:
クロム:おやおや、結界を張られてしまいましたね
クロム:しかも、中々の強度だ
ファルガ:問題ない。結界は私が破壊しますので貴方は…えっと、何と呼べば?
クロム:任務中はダムナと呼んでください
ファルガ:分かりました。ダムナは、私があの娘を引き付けている間に、中に侵入し目標を達成してください
クロム:御意。念の為骸は、二部隊に分けておきます。また後で会いましょう
ファルガ:では行きます!
0:
サーシャ:!?
リネアネ:サーシャちゃんどうした…っ!
リネアネ:あんた誰?
ファルガ:どうもこんにちは
ファルガ:私はログルス帝国近衛師団団長、ファルガ・ミュルガイアと申します。
ファルガ:以後お見知りおきを
リネアネ:へぇ……そんな師団長様が何の用?
リネアネ:そんなに手下引き連れてさ
ファルガ:そうですね。王からここの子ども達を連れてくるよう仰せつかったので
リネアネ:ふぅん…子ども達をね
リネアネ:…そんなことさせると思ってるわけ??
ファルガ:簡単に出来るとは思っていません
ファルガ:しかしこの戦力差でそちらも勝てるとは思っていないでしょう?
リネアネ:舐めんじゃないわよ。この結界が見えないの?
ファルガ:確かに素晴らしい結界だ。並の相手なら太刀打ちできないでしょう
ファルガ:だが……
リネアネ:なっ!
サーシャ:噓…
ファルガ:私のギフトは【鑑定】。視た物の情報を全て知ることが出来る
ファルガ:どんなに素晴らしい結界でも弱点を小突けばこの通り
リネアネ:サーシャちゃん中に入ってもう一度結界張って
リネアネ:こいつらの相手はあたしがする
サーシャ:でもっ!
リネアネ:大丈夫、こう見えてもあたし結構強いんだから
ファルガ:いえ、その必要はありません
リネアネ:…なんで
ファルガ:貴方の結界は私には通じない、その上この戦力差。いくら何でも分が悪いのは理解しているでしょう
ファルガ:なので取引しませんか?
リネアネ:取引?
ファルガ:はい。私もなるべく争いたくないのでね。戦わずに目的が達成出来ることに越したことはない
リネアネ:ふーん。まぁ殺りあうのは変わらないだろうけど聞いてあげる
ファルガ:ありがとうございます。さて我々の目的は先ほども申した通りここの子供達の回収ですが…
リネアネ:それを、はいそうですかと言うわけがないよね
ファルガ:はい。ですので
ファルガ:…そこにいるサーシャ・スターシアをこちらに引き渡してください
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:っ!
ファルガ:サーシャ・スターシアを渡して頂ければ、二度とこちらには来ないと約束します
リネアネ:バッッッカじゃないのぉ!?そんなの余計出来るわけないじゃない!!
ファルガ:はぁ…まあそうですよね。やはり力尽くになりますか
リネアネ:サーシャちゃんさっき言った通りにして中に隠れてて
サーシャ:一人じゃ無理です!私も一緒に…
リネアネ:ダメ!
サーシャ:どうして…
リネアネ:大丈夫…あたし負けないから!
ファルガ:さて…後ろの気持ちが逸ってる連中を抑えていられるのも時間の問題なので
ファルガ:さっさとやってしまいますか
リネアネ:ふっふー…さぁ来なさい!!!
0:
クロム:本当にあの結界を単騎で破壊するとは、現師団長の名も伊達ではありませんね
クロム:さてさて、面倒なのでさっさと終わらせて帰りますか
テスロ:キミは誰?
クロム:!??
クロム:子供?
テスロ:お兄ちゃん達の知り合いでも、フォルグの友達でもなさそうだし…
テスロ:もしかして侵入者かな?
クロム:(おかしい。こんな小さな子供が、私に気配を悟らせることなく背後に立てるのでしょうか?)
クロム:(それにだ、なんだこの異質な気配は…ここまで異様な雰囲気を出しているのに、存在感を感じない)
クロム:(目では子どもと認識しているのに、全細胞がそれを否定している)
クロム:(これは…勝てませんね。どうしたものでしょうか)
テスロ:昨日、カール兄とミア姉が攫われかけたらしいけど、それ関係かな?
クロム:(これは誤魔化しても仕方ありませんね)
クロム:そうですね。王の勅命により貴女方を連れ去りに来ました
テスロ:そっかー。誰を連れていくか決めた?
クロム:貴方の後ろで寝ている数人を連れて行ければ、御の字ですかね
テスロ:うーーん、それは困るなぁ
テスロ:…あっ!いいこと考えついた!
クロム:それはなんでしょうか?
テスロ:ボクと、このネリを連れて行ってよ!
テスロ:そしたらキミのことは殺さないであげる
クロム:なるほど…それでいいでしょう
テスロ:ヤッター!
クロム:しかしながら、騒がれると困るので、そちらの子には気を失って頂きます
テスロ:オッケー!ごめんねネリ
クロム:(っ!自分の仲間をなんの躊躇いもなく…敵対しなくて正解でしたね)
クロム:それでは行きましょうか
テスロ:はーーい
0:
0:
0:
0:
0:
ジルメナス:よく来たなネフェリム。して要件とはなんだ?
フォルグ:昨晩、私が運営する孤児院にて、子ども二名が攫われる事件が起きた
フォルグ:何か知っているな
ジルメナス:はっ!我にそんな口調で話す人間は、この国ではもうお前一人くらいしかおらぬ。余程怒っていると見えるな
フォルグ:私が大事に育てている家族だ。怒るのは必然
ジルメナス:そうか。国をあげて、ギフテッドを集めているからという理由で、当たりをつけてここに来たのだな
フォルグ:そうだ
ジルメナス:なら一つ間違いを訂正しておこう
フォルグ:何?
ジルメナス:攫っているのではない。保護しているのだ
フォルグ:そんな冗談が罷り通るとでも?
ジルメナス:そもそもだ、我々国が攫ったという証拠でもあるのか?
フォルグ:それについては、後ろの一人が戦闘をした際に、ファルガという名を聞いたと言っている
ジルメナス:…ミィティアめ余計なことを
ジルメナス:元師団長のお前が、現師団長がそのような事をすると思っているのか
フォルグ:お前のギフトの力なら可能だろう
ジルメナス:ふふっ…はっはっはっは
ジルメナス:舐められたものよの。我が態々そのような命を下すと
フォルグ:私はお前の本性を知っている。誤魔化せると思うな
ジルメナス:ふむ、仕方ない
ジルメナス:穏便に納めたかったが、引くつもりは無いらしい
ジルメナス:少々手荒にお前を抑えて、我が旗下にでも加えるとしよう
フォルグ:私の力を知っている数少ない人間の内のお前が、【法典】如きで私を抑えられると思っているのか?
ジルメナス:そうよの、ワールドNOト……貴様は!
アグレス:!?
バラク:!?
アグレス:これは、ネリのギフトが解けたのか?
バラク:おいおい、まずくねぇーか?
ジルメナス:アグレス…なぜお前の様な砂利がこのようなところに…
フォルグ:アグレス、バラク今すぐフォレスに戻れ
アグレス:良いんですか?
フォルグ:ネリのギフトは、自身で解くか、気絶でもしない限り解かれることはない
フォルグ:私達が帰るまでは解かないよう言い聞かしてある
バラク:ってことは、まさか!
フォルグ:あぁ、孤児院に何かあったと考えるのが自然だろう
バラク:マジかよ、行くぞアグレス!
アグレス:くそ!
ジルメナス:逃がすとでも思っているのか?
ジルメナス:『止まれ。童共』
ジルメナス:…!?何故法典が聞かぬ!
フォルグ:あの二人は訳ありなんだ
ジルメナス:ぬぅ…
ジルメナス:だが良い。お前を捕らえてればこちらの勝ちよ
フォルグ:やってみるがいい!
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バラク:アグ!俺はここで衛兵共を引きつける
バラク:先に行け!
アグレス:バカ!一人では無理だ!
バラク:ここで二人して足止めくらったら間に合わねぇ
バラク:お前が行け!
アグレス:…分かった。必ず帰ってこいよ!!
バラク:当たり前だ!
アグレス:…みんな無事でいてくれ
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リネアネ:はぁはぁはぁ……
ファルガ:ははっやりますね。まさか連れて来た[骸]を一人で倒してしまうとは
リネアネ:あんな弱い奴ら何人連れてきても無駄よ
リネアネ:それであんたは戦わないの?あたしは全然余裕なんだけど…
ファルガ:強がりが見え見えですよ…私はなるべく自分の手を汚したくないのですよ
リネアネ:こんなところにまで来ておいてよく言うわね
ファルガ:はい、だからわざわざこやつらを使ってスマートに仕事を終わらせようとしたんですけどね
ファルガ:まさかこんなにも強いとは思いませんでしたよ。ナギナ・リネアネ
リネアネ:あたしのことも調査済みってことね……それで?やるの?やらないの?
ファルガ:仕方ない。これも仕事ですからね…本気でやりますか
リネアネ:だよねー……そうなるわよね!!
クロム:お取り込み中の所すみません
リネアネ:!?
クロム:ファルガ殿、任務達成しました。私はこのまま即時帰還したいと思います
ファルガ:ありがとうございます。私はここで、追われないように足止めしてから戻ります
クロム:承知しました。それではご武運を
テスロ:ナギお姉ちゃん!!
リネアネ:テスロ!!ネリ!!
ファルガ:追わせませんよ
リネアネ:そこを退け!
ファルガ:隙だらけですね!
リネアネ:くっ…
リネアネ:もう一度言うわ…そこを退きなさい
ファルガ:ならばこちらももう一度言いましょう
ファルガ:追わせませんよ
リネアネ:なら…あんたを殺して追いかけるわ!!
サーシャ:落ち着いてください、リネアネ副院長!
リネアネ:離してサーシャちゃん。あたしはアイツを殺して、あの男を追う
サーシャ:今の副院長では勝てません!
リネアネ:だから何?それは追わない理由にはならない
リネアネ:あたしの大切な子どもを奪うだなんて許せない
サーシャ:それは私も同じです!
リネアネ:なら邪魔しないで
サーシャ:この分らずや!!
リネアネ:!!?さ、サーシャ…ちゃん?
サーシャ:私も一緒にたたかうっていってるんです!
リネアネ:言ってたっけ?
サーシャ:細かいことはいいんです!私がナギ姉を守ります
リネアネ:え…?今なんて?ナギ姉??
サーシャ:何度でも言ってあげます!やりますよ、ナギ姉
リネアネ:かぁあああ!!やる気出てきたーー!
サーシャ:一緒にボコボコにしてやりましょう!
ファルガ:随分と甘く見られているのは鼻につきますが、時間稼ぎにはちょうどいいので、付き合ってあげますよ!
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バラク:よっと!いっちょ上がりっと
バラク:近衛師団もこんなもんかぁ
フォルグ:バラク、こんなとこで何してる
バラク:お、せんせぇじゃねぇか
バラク:アグの為に敵さん引き付けてたんだよ
フォルグ:私はフォレスに帰れと言ったはずだ
バラク:せんせぇ一人残して行くわけにもいかねぇだろぉ?
フォルグ:はぁ…全く
バラク:いいじゃねぇか。ここで敵減らしておけば、あとが楽になる
フォルグ:それもそうだな
バラク:おっ、次が来たぜぇ
フォルグ:私が前衛だ。いつも通りやるぞ
バラク:オッケーそれじゃあやります……か…!?
バラク:何だこのプレッシャー?
フォルグ:あのお方は……
フォルグ:バラク作戦変更だ。今すぐここを離脱する
フォルグ:急げ!
バラク:やっぱやばいのか?
フォルグ:追いつかれたら終わりだと思え
フォルグ:私はあのお方に勝てる者を知らない
バラク:せんせぇがそこまで言うかよ
バラク:一体誰なんだ?
フォルグ:アグレスの兄で、この国の次期帝王と名高い
フォルグ:アグレウス・ログルス様だ
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リネアネ:ほっ!うりゃあ!
ファルガ:ぐっ……はぁあ!
サーシャ:させない!
ファルガ:(攻守共にバランスの取れた連携。崩すのは簡単ではないようですね)
リネアネ:隙あり!皇国流柔術参番・波紋
ファルガ:がっ!(それにこの打撃、受ければ体内に衝撃が走る。後一回でも受けたらまずいですね)
ファルガ:(ならば、無理矢理隙を作るまで!)はっ!
サーシャ:っ!?
リネアネ:サーシャちゃん!
リネアネ:(やばっ…間に合わない!)
アグレス:はぁあああああっ!
ファルガ:なにっ!?
サーシャ:アグレスどうして……
アグレス:遅くなってごめん。君が無事で良かった
サーシャ:そうじゃなくて!
アグレス:リネアネ
リネアネ:はい!
アグレス:後で説教な
リネアネ:ですよねぇ。あたし頑張ったのに…
アグレス:会うのは二度目だな
ファルガ:そうですね。今回は容赦しませんけ……………
アグレス:戯言はいい…さっさとこい
ファルガ:本当にどいつもこいつも、舐め腐ってくれますねぇっ!!
アグレス:(M)俺は過去に何があったか徐々に思い出していた
アグレス:(M)ここで何が起こるのかも明確に……
アグレス:(M)そんな未来は訪れさせない
アグレス:(ここで確実に勝つ!)
サーシャ:(M)私はこの後何が起こるかを知っている
サーシャ:(M)【天刻】は言うなれば魂の譲渡だ
サーシャ:(M)その魂は記憶を残す
サーシャ:(M)この世界も普通ではない
サーシャ:(M)きっと、アグレスが作り替えたのだろう
サーシャ:(それなのに私は、アグレスが必死に止めようとしていることを、否定しようとしている)
サーシャ:(M)アグレスに傷ついて欲しくない
サーシャ:(M)その一心で、歩みを速めていく
リネアネ:サーシャちゃん?……ダメ!!
アグレス:っ!こいつ
ファルガ:誰も一対一とは言ってませんよ!
アグレス:しまっ……
サーシャ:アグレス!
アグレス:サーシャ!?(何でこんなところに!)
ファルガ:これで終わりです!
サーシャ:(これでいい。これでいいの……ごめんねアグレス)
アグレス:あ”あ”あ”あ”あ”!!
アグレス:……………ごふっ
サーシャ:あぐ……れす……
サーシャ:アグレスどうして!
ファルガ:これで任務達成ですね。帰還しましょう
アグレス:……………
サーシャ:イヤッ!死んじゃやだぁ!
リネアネ:アグレスしっかりして
アグレス:………
サーシャ:待ってて……今私の全部あげるから
リネアネ:サーシャちゃんそれは…
サーシャ:刻福
サーシャ:天仙の海原
サーシャ:慈戒に人柱
サーシャ:苦我を廻氣
サーシャ:憩い
サーシャ:削魂に灯火を
サーシャ:貴殿に聖冠の施しを与えん
アグレス:(M)遠のく意識の中で朧気に、サーシャの言葉が聞こえる
アグレス:(あぁ…これはダメだ)
アグレス:(M)震える口、細く出る息、動かない体
アグレス:(そんなのは関係ない…声を出せ…体を動かせ……でなければ、また大切な人を目の前で失うぞ)
アグレス:(それでいいのか?アグレス・ログルス!!)
サーシャ:『 天慈戒刻天ノ…』
アグレス:だ…大丈夫だよサーシャ……
アグレス:君を置いて居なくなったりなんかしない
アグレス:永遠の約束だ…
アグレス:……
サーシャ:アグレス…
リネアネ:寝ちゃったみたいね…
リネアネ:中に運んで治療しましょ
リネアネ:もちろんギフトは使わずにね
サーシャ:はい…
サーシャ:アグレス…私貴方のことが大好き
サーシャ:死のうとしてごめんなさい
サーシャ:これからはずっと一緒に………
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サーシャ:これは止まっていた針が緩やかに重なり合う楽天の二刻≪CroosRelife≫
サーシャ:第七話【心冠の並刻】
サーシャ:貴方に想いを…これからはずっと一緒にいましょう。大好きよアグレス