声劇台本置き場

0： 0：ベットで横になっている美咲。人を待っている。 美咲：あ、来た来た。 美咲：もう、いつもより遅いから、なにかあったのかと思って心配したよ。 美咲：あー、道混んでたのか…。 美咲：今日は、さざんか祭りの日だもんね。しょうがないなぁ、許す！ 美咲：え、忘れてたの？　……ほんと、あなたって忘れっぽいんだから(笑) 美咲：まぁ……、立ち話もなんだし、とりあえず座りなよ。 0：誠(あなた)タンブラーを取り出す 美咲：ん、そのタンブラーもしかして……。 美咲：あ、やっぱり！お手製のコーヒー！　……わぁ、待ってました！ 美咲：もー、こういうところは用意周到よね。 美咲：なになに、いつもと違う豆なの？ 美咲：へぇー……。味の違いはよく、分からないけど……。 美咲：ん、何探してるの？　……え、紙コップ？ 美咲：そこの戸棚の二番目の引き出しに入ってる。もう、よく使ってるんだからいい加減覚えなよ～(笑) 美咲：あら、紙コップあと一個だったか…。 美咲：あー、いいよ。 美咲：今度お母さんが買ってきてくれるらしいから、大丈夫。お気遣いありがとね。 美咲：まったく。あなたって、いつもあと一歩が惜しいのよね…。 美咲：今度はちゃんと持ってくる、ってそれ前にも言ってたよ(笑) 美咲：もう、さっきから謝ってばっかり。いいってば。 0：誠(あなた)コーヒーを注ぐ。 美咲：うんうん……。いい匂い……！ 美咲：ん……？　温度はこのくらいがちょうどいいと思うけど……。 美咲：あ、そうだー、猫舌だったね。淹れたてのコーヒーが飲めないなんて人生の半分、いや七割は損してるね。 美咲：ふふっ。猫舌って、ただ飲むのが下手なだけなんだよ。治る治らないの話じゃないんだって。 美咲：……ふふっ、そうだね、勝手に治ってくれたら、ね。(悲しげに笑う) 美咲：あ、そこに置いておいて。うん、ありがとう。 0： 美咲：今日はどんな話を聞かせてくれるの？ 美咲：あ、さざんか祭りの話、いいね。 美咲：もう一年前の話になるんだね……。あっという間だな。 美咲：私、人混み苦手だけど、さざんか祭りの雰囲気は好きだな。 美咲：うん、むしろ人混みが無いと、お祭りって感じしないよね。 0： 美咲：あーお祭りと言ったら屋台だよね。 美咲：私、ちょこバナナも好きだよ。じゃんけんなかなか勝てないけど。あれ、どうやったら勝てるんだろ。 美咲：とにかく美味しいものいっぱいあるからさぁ、目移りしちゃうよね(笑) 美咲：そうだ、今川焼！！あれも美味しいよねぇ……あんこがたくさん入ってて……。名前がややこしいけど。 美咲：あ、れ、は！　今川焼！　……もう、全国的に統一すればいいのになぁ。 美咲：何より、さざんか祭りのメインイベントって言ったらイルミネーションよね。 美咲：それを見ながら飲んでたコーヒーがすごく美味しくてさ……。あの味は格別だった……。 美咲：あ、あなたの淹れるコーヒーももちろんすっごく美味しいよ。……また飲みたいな。 美咲：あ、そうだそうだ。その時あなたが私のコーヒー飲んで「熱っ！」って焦ってる顔、すっごく面白かった！　今思い出しても笑えるもん。 美咲：あはは（思い出し笑い） 美咲：……いつになったらまた行けるだろうね。 0： 美咲：あなたの話を聞いてたらあっという間に時間が過ぎちゃうな。あなたが来ない日は退屈なんだもん。 美咲：また何とか焼きとか何とか飴、制覇しようね。 美咲：今度こそ、ちょこバナナのじゃんけん、絶対勝つんだから。 0： 美咲：あ、そろそろ時間じゃない？ 美咲：また、来てね。……今度はもう少し早く来てほしいな(笑) 美咲：次はどんな話をするんだろ。 美咲：お、旅行の計画ね……ふふっ、未来の話、か。 美咲：あ、紙コップはいいってば。もう、気遣い屋さんなんだから……。お母さん来た時またびっくりしちゃうって。 美咲：別に、コップは何でもいいよ。……どうせ、飲めないんだもん。 0： 美咲：(Ｍ)あなたは紙コップに淹れたコーヒーを飲み干し、私の病室を出ていく。 美咲：(Ｍ)私のコーヒーはいつも冷めたまま。