台本概要

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タイトル しにたくない、を知りたくない
作者名 よぉげるとサマー  (@gerutohoukai)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 不問、ひとり読み台本です。
ちょっと他の作品の要素も詰まってます。
でも気にせずー。

基本、非商用利用は連絡不要です。
劇の音声が残るようにしてくれる場合は、
「よぉげるとサマー」と作者名を、X(旧Twitter)の投稿とか配信名に記載してくれると嬉しいです。
是非、聴きたいです。
あと、感想もくれると喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ケルン 不問 18 人類最後の配信者、なのかも。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ケルン:はーいっ、どーもっ。 ケルン:終わる世界に、こんにちわー。 ケルン:今日も、今日とて、映像を、垂れ流して行こー! ケルン:ってことで。この配信は、チャンネル45140で、キャッチ出来ますので、登録お願いしやーす。 ケルン:チャンネル番号は、45140で、45140(よっこいしょ)って覚えてくださいーいっ、よろしくっ。 ケルン:さてさて、本日なんと……快晴です。 ケルン:いやー、何をするにも良い天気だね。 ケルン:山登るなら尚更……良いっ。 ケルン:ってーことで、昨日までの続きからスタートっ。 ケルン:だいぶ……いやぁ、マジで結構、高いとこまで来たなぁ。 ケルン:ほら、見てっ、ちょー景色が良いっ。 ケルン:頂上とか、もっと凄いんだろなぁ……。 ケルン:こっからが本番か……いやぁ、大丈夫か不安だけど、頑張ってみまーす。 ケルン:……山歩いてて……いや、登ってて? ケルン:ははっ……やっぱ、ここでも人に会わないですねー。 ケルン:平地にも……山にも……いないって、ははっ、どこにいるんだー? ケルン:いや、居ないんだろうな……そゆことでしょうね。 ケルン:……いや、って言いつつ、これ聴いてる皆さん居たら、すみません。 ケルン:周りにね、居ないってだけな可能性がね、まだあると。 ケルン:……いつまでが……まだ、なんですかね。 ケルン:……はぁ……いやーっ、それでね、皆さん。 ケルン:もう、何度も言ってますけどね。 ケルン:人が、居ないってことは、インフラを整備する人も、当然居ないんですねー。 ケルン:だから、ガタガタになったアスファルトなんかより、いまじゃ剥き出しの地面の方が歩きやすいからね。 ケルン:どっちも、疲れるのは変わんないけど……。 ケルン:てかっ、山道だとね、整備されてないの、やばいですね。 ケルン:かろうじて……なんか……獣道以下、みたいな……うっすらと道だったのかなー……って形跡があるんで……そこ進むしか無いっていうね。 ケルン:なんか、ロープウェイとか、あればねー。 ケルン:あーでも……そういう、乗り物もねー、山以外……平地……ってなんか表現変な感じするけど、まあ、平地か。 ケルン:そこ移動する時は、自転車とか……そういう、燃料やらを使わないやつしか、流石にもう使えなかったな。 ケルン:いや、なんなら……それも希少だよね。タイヤもフレームも、いろんなとこが、自然にぃ……ふぅ……えっと、壊れて、というか、劣化していってるから。 ケルン:自分も最初の頃は、自転車で移動してたんですよ。たまたま見つけてさ。 ケルン:でも、空気入れが……もう、全然気づいてなくて、必要だってこと。 ケルン:そんで、街とか、見かける度に探してみたんですけどね……いやぁ、先にパンクしちゃった。 ケルン:パンクするとさ、なんであんなに振動するんだろう。全然乗ってらんなくなったよね。 ケルン:いやぁ、それに懲りた……って訳じゃないけど。 ケルン:もう乗り物は良いやってなったねー。 ケルン:まあ、でも……それからも、少し乗り物に乗ったけどさ。 ケルン:こだわらなくなったね。なんかさ。 ケルン:どーせ、誰もいないし。時間も無い訳じゃない。 ケルン:体ひとつで、まあ……なんとかなった。 ケルン:健康には、気をつけないとって感じだけどさ。 ケルン:それもまあ……べつに、こだわらなくて良いし。 ケルン:……もしも、このチャンネルを登録してくれてる、悲しい生き残りの誰かが居て……こんな暇つぶしを楽しんでくれてるとか……そんなことがあるんなら。 ケルン:……申し訳ないなって、少し思うけどさ。 ケルン:なんかっ……テキトーに生きてるだけだし。 ケルン:ま、べつに……いつ……はぁ、少しここ、辛いな……ははっ、えっと……いつ、居なくなっても……やめても、良いかなーって。 ケルン:……はぁ……よっと……うん、思って、ます。 ケルン:…………やー、ちょっとこれ……しばらく登るのに集中するね。 ケルン:はぁ……よしっ、ごめんだけどー、そゆことでっ、よろしくお願いしまーす。 ケルン:……どうせ、誰も見てないし、聞いてないし、コメントも無いと思うけどね。 ケルン:……ははっ、ではー、クライミング……スタートっ。 0:3カウント――― ケルン:……ふう……あー、やーっと、休めるー! ケルン:はぁー……疲れた……あぁ……もう、難所は終わったと信じたい……。 ケルン:ちょーっと、休憩ターイム。 ケルン:あー……映像切っても良いなぁ。 ケルン:……まあ、いいや、少しお付き合い下さい。 ケルン:はぁ…………晴れてるなぁ……。 ケルン:ははっ……鳥の鳴き声がする……。 ケルン:……あのさ、動物とか、虫とかにさ……お前らは良いよなぁ、って。思ったことない? ケルン:……正直、ずっとだよ。 ケルン:……ずーーーっと。羨ましくて、恨めしい。 ケルン:……ただの、八つ当たりだけどさ。 ケルン:…………すぅーっ、はぁーっ。(深呼吸) ケルン:……人は居ないのになぁ。 ケルン:…………居るよーって、これを聴いて思ってる誰かが居たらー……ははっ……是非、チャンネル登録を、お願いしますねー。 ケルン:はははっ…………本当、世界にひとりきりって、くらい……。 ケルン:……静かだ。 0:3カウント――― ケルン:……さてさて。登山を再開してから、良い感じに……難所が来ましたよぉ……きっつぅ。 ケルン:……よいしょ……うぉわっ、やっばっ! ケルン:あっぶな……うぇー、崩れんなよぉ……ビビるぅ……。 ケルン:いや、やばいよ、ここ。アレかも。 ケルン:えっと……アレ。うん……。 ケルン:…………死ぬかも。 ケルン:……ははっ! まあ、それもアリ! ケルン:うん、てか、その為に登ってるんだろって! ケルン:……あ、これ、初出し情報じゃん。 ケルン:ははっ……べつに良いんだけどさー。 ケルン:……いやぁ、でも、やっぱさ。出来れば、頂上見たいよなぁ。 ケルン:なんか、悔いが残ってさ、地縛霊? みたいな、そんな事になったら、ほんと……。 ケルン:ははっ……ほんと、最悪だし。 ケルン:……よっし、四の五の(しのごの)言ってないで、気合い入れて、行きますかぁっ! ケルン:集中します! また後で! ケルン:……ふっ! ……うわっ、やべぇ……っ、うおっ! ケルン:……はぁ……はぁ…………つっ……くっそ……。 ケルン:……おっ……あー…………いや、意外……と。 ケルン:……うわっ、こわっ! えぇー……。 ケルン:………………お願いお願いお願いっ……よっしっ! ケルン:……いや……よかったぁ……。 ケルン:…………はぁい……何とか、生きてまぁす。 ケルン:……つっかれたぁ……あー……ははっ……。 ケルン:なーんで……こんな必死になってんのかなぁ……。 ケルン:痛つつ……はぁ、ちょい休憩……。 ケルン:あー……いてぇ……少し、足に負担かけ過ぎたかもなぁ……。 ケルン:…………ハロー。 ケルン:……誰か、聴いてますか? ケルン:……まあ、べつに期待なんか……してないって。 ケルン:……疲れたなぁ。 ケルン:ほんと……ずっと、疲れたままだ。 ケルン:…………誰かに会えた時……言葉も忘れてそうだから、って……こんな、誰も聴いてない配信始めたけどさ……。 ケルン:……やっと……こんなの、意味が無いって……気付いたんだ……最近。 ケルン:……どんどん、あの時から……人が居なくなって……。 ケルン:一緒に居た奴も……引き離されて……。 ケルン:あぁ……生きてんのかなぁ……。 ケルン:そうそう……ひとり、看取った奴がね……言ってたんだよ、最後らへんに。 ケルン:……死にたくない、ってさ。 ケルン:…………いや、なんだろ。そりゃ……そういうの、分かるけど。 ケルン:……こっちは……そんな風には、思えないって。 ケルン:……でもさー、言ったって、しょうがないじゃん? ケルン:……だから。色々、飲み込んで。 ケルン:……うん、大丈夫だろ……いまは寝とけ……起こしてやるから……とか、言っちゃったんだよな。 ケルン:…………ダメだなぁ……ダメだ。 ケルン:……羨ましいとか……どっかで、思ってたんだよ。 ケルン:……楽に、なりたかった。 ケルン:……自分からじゃなくて、仕方なく……勇気なんか要らないで……気付いたら……とか。 ケルン:ははっ……あ、ははっ……。 ケルン:……そんなんだから、こんな目にあってるんだろうな。 ケルン:……最悪だ。本当に……最悪だよ。 0:3カウント――― ケルン:はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。 ケルンM:……教えて欲しい、って。思ってた。 ケルン:はぁ……。 ケルンM:ずっと、足を動かしながら。前に、雑然と進みながら。 ケルン:はぁ……。 ケルンM:どこまでも、続いて行く、目の前の景色を見ながら。 ケルン:はぁ……っ。 ケルンM:ひとりで、どこまで行けばいいのか。 ケルンM:それだけを、誰かに、教えて欲しかった。 ケルンM:生きるだけ、生きて。進むだけ、進み。 ケルンM:その先に、答えをくれる誰かが居る、なんて。 ケルン:はぁ……ははっ……。 ケルンM:期待しちゃ、いなかったし。実際、居なかった、のだろう。 ケルン:……ははっ……はぁ……っ。 ケルンM:けれど、どうして……諦めることは、簡単じゃなかったんだろう。 ケルン:はぁ……はぁ……っ。 ケルンM:そんなことにだって……どうしても、勇気が必要だった。 ケルン:はぁ……はぁ…………はぁ……。 ケルンM:気が付けば、随分長いこと、歩いていた。 ケルンM:どれくらい経ったのか。そんなことを考えても仕方ない程に。 ケルン:……長い……長い……時間が。 ケルンM:振り返ると、遠く、深い地上の方に、街だった物が、見えた。 ケルン:……はぁ…………はぁ……。 ケルンM:なんだか、綺麗だと、思った。 ケルン:……だいぶ、もう……頂上が近いのか……スゲェ…………高いとこまで、来たんだな……。 ケルンM:ふっ、と。不思議な気持ちが湧いた。 ケルン:……いや……そんなん、今更だって。 ケルンM:そうだ。そんな気持ち。 ケルン:……知りたくない。 0:カウント3――― ケルン:……はぁ……はぁ……っ、うわ……うわぁっ……うわぁあああっ! ケルン:はぁ、はぁ、うおっ! くっ、はぁ、はぁっ…………っ……やったぁぁぁあ! 頂上だぁぁあああっ! ケルン:……はぁ……はぁ……あっはははっ……はぁ……はぁ……っ。 ケルン:……どうですか、見てくれてるっ? ケルン:見といた方が良いよっ……これ……やべぇって! ケルン:……はぁ……はぁ……いや、やばい……マジで……ははっ、絶景だわぁぁぁあ! ケルン:…………疲れた……はぁぁぁ……つっかれたぁぁぁ……あーあ。 ケルン:…………皆、知ってたぁ? ……どんだけ高いとこでも……空見上げれば……あんま変わんないって……ふふっ、ははははっ……。 ケルン:……はぁ……達成感えぐい……。 ケルン:…………これは、チャンネル登録するでしょ、皆さん。ねぇ? ケルン:…………静かなのは、変わらないなぁ。 ケルン:……ふふっ。 ケルン:…………前にさ。天国に近いところから……神様に文句を言ってやるって……山に登る話をさ……読んだんだよ。 ケルン:…………確かに、ここからなら……なんて思ったけど……誰も居ないし……まだ足りないみたいだわ。 ケルン:…………なんで、こんな世界に。 ケルン:…………ひとりぼっちに、したんだよ。 ケルン:…………なぁ? ハロー? ケルン:…………聴こえて……ないか。 ケルン:…………知ってた。 ケルン:…………よっ、と。 ケルン:……皆も、空ばっかは、飽きたでしょ? ケルン:……本当に……登って来たんだな……。 ケルン:…………天国に近いって……本当なら、さ。 ケルン:…………会えるのかな、とか……思ったんだ。 ケルン:…………ははっ……馬鹿だよなぁ……。 ケルン:…………ハロー。 ケルン:…………よし……うん……わかった。 ケルン:……さてっ、そろそろ! えー、配信終了のお時間とー、なりました! ケルン:ひとり登山チャレンジ、見事成功っ! いぇーい! ケルン:……ってことでね! いやぁ……頑張りました。 ケルン:頑張って……頑張って……もう、頑張るのも、終わりにして、良いね……これは。 ケルン:うん……最後に、大迫力の映像を……いやぁ……はぁ……お見せ、して……ね。 ケルン:…………終わろうと、思います。 ケルン:…………ここからさ、来た道戻るのも……ツラいしさ。 ケルン:…………なんか……あー……配信見てくれてる……誰かさん。 ケルン:もし、もしね……居たらさ……ありがとう。 ケルン:生きがいに、なれてたんなら…………ごめん。 ケルン:……あ、あと、最後にグロイ映像見せるかも……あぁ……先に機材だけ遠くに投げてからにするか……ははっ、配慮配慮。 ケルン:…………まあ、そちらはさ……出来れば、もう少し、生きてみてよ。 ケルン:……なんか、お前が言ってもなぁ‥…って感じだけどさ。 ケルン:…………ははっ。 ケルン:…………終わる世界に……さようならーっ、見てくれてありがとうございましたぁ! ケルン:…………ばいばい。 ケルン:……………………あっ! ケルン:…………うわぁ、ははっ……めっちゃ……下手くそだったわ、投げるの。 ケルン:……うわっ、しかも配信止まってねぇんかーいっ! ケルン:うげ、顔映った……っ……くっ……ははっ…………はははっ…………なんだよ……その顔……っ。 ケルン:…………馬鹿みてぇ……本当……最悪だ……っ。 ケルン:…………なんだ、これ……死にたく、ねえぇ……。 ケルン:…………っ。 0:3カウント――― ケルン:……はーいっ、どーもっ。 ケルン:終わる世界に、こんにちわー。 ケルン:今日も、今日とて、映像を、垂れ流して行こー! ケルン:ってことで。この配信は、チャンネル45140で、キャッチ出来ますので、登録お願いしやーす。 ケルン:チャンネル番号は、45140で、45140(よっこいしょ)って覚えてくださいーいっ、よろしくっ。 ケルン:では……今日はぁ……あははっ……何をしましょうか。

ケルン:はーいっ、どーもっ。 ケルン:終わる世界に、こんにちわー。 ケルン:今日も、今日とて、映像を、垂れ流して行こー! ケルン:ってことで。この配信は、チャンネル45140で、キャッチ出来ますので、登録お願いしやーす。 ケルン:チャンネル番号は、45140で、45140(よっこいしょ)って覚えてくださいーいっ、よろしくっ。 ケルン:さてさて、本日なんと……快晴です。 ケルン:いやー、何をするにも良い天気だね。 ケルン:山登るなら尚更……良いっ。 ケルン:ってーことで、昨日までの続きからスタートっ。 ケルン:だいぶ……いやぁ、マジで結構、高いとこまで来たなぁ。 ケルン:ほら、見てっ、ちょー景色が良いっ。 ケルン:頂上とか、もっと凄いんだろなぁ……。 ケルン:こっからが本番か……いやぁ、大丈夫か不安だけど、頑張ってみまーす。 ケルン:……山歩いてて……いや、登ってて? ケルン:ははっ……やっぱ、ここでも人に会わないですねー。 ケルン:平地にも……山にも……いないって、ははっ、どこにいるんだー? ケルン:いや、居ないんだろうな……そゆことでしょうね。 ケルン:……いや、って言いつつ、これ聴いてる皆さん居たら、すみません。 ケルン:周りにね、居ないってだけな可能性がね、まだあると。 ケルン:……いつまでが……まだ、なんですかね。 ケルン:……はぁ……いやーっ、それでね、皆さん。 ケルン:もう、何度も言ってますけどね。 ケルン:人が、居ないってことは、インフラを整備する人も、当然居ないんですねー。 ケルン:だから、ガタガタになったアスファルトなんかより、いまじゃ剥き出しの地面の方が歩きやすいからね。 ケルン:どっちも、疲れるのは変わんないけど……。 ケルン:てかっ、山道だとね、整備されてないの、やばいですね。 ケルン:かろうじて……なんか……獣道以下、みたいな……うっすらと道だったのかなー……って形跡があるんで……そこ進むしか無いっていうね。 ケルン:なんか、ロープウェイとか、あればねー。 ケルン:あーでも……そういう、乗り物もねー、山以外……平地……ってなんか表現変な感じするけど、まあ、平地か。 ケルン:そこ移動する時は、自転車とか……そういう、燃料やらを使わないやつしか、流石にもう使えなかったな。 ケルン:いや、なんなら……それも希少だよね。タイヤもフレームも、いろんなとこが、自然にぃ……ふぅ……えっと、壊れて、というか、劣化していってるから。 ケルン:自分も最初の頃は、自転車で移動してたんですよ。たまたま見つけてさ。 ケルン:でも、空気入れが……もう、全然気づいてなくて、必要だってこと。 ケルン:そんで、街とか、見かける度に探してみたんですけどね……いやぁ、先にパンクしちゃった。 ケルン:パンクするとさ、なんであんなに振動するんだろう。全然乗ってらんなくなったよね。 ケルン:いやぁ、それに懲りた……って訳じゃないけど。 ケルン:もう乗り物は良いやってなったねー。 ケルン:まあ、でも……それからも、少し乗り物に乗ったけどさ。 ケルン:こだわらなくなったね。なんかさ。 ケルン:どーせ、誰もいないし。時間も無い訳じゃない。 ケルン:体ひとつで、まあ……なんとかなった。 ケルン:健康には、気をつけないとって感じだけどさ。 ケルン:それもまあ……べつに、こだわらなくて良いし。 ケルン:……もしも、このチャンネルを登録してくれてる、悲しい生き残りの誰かが居て……こんな暇つぶしを楽しんでくれてるとか……そんなことがあるんなら。 ケルン:……申し訳ないなって、少し思うけどさ。 ケルン:なんかっ……テキトーに生きてるだけだし。 ケルン:ま、べつに……いつ……はぁ、少しここ、辛いな……ははっ、えっと……いつ、居なくなっても……やめても、良いかなーって。 ケルン:……はぁ……よっと……うん、思って、ます。 ケルン:…………やー、ちょっとこれ……しばらく登るのに集中するね。 ケルン:はぁ……よしっ、ごめんだけどー、そゆことでっ、よろしくお願いしまーす。 ケルン:……どうせ、誰も見てないし、聞いてないし、コメントも無いと思うけどね。 ケルン:……ははっ、ではー、クライミング……スタートっ。 0:3カウント――― ケルン:……ふう……あー、やーっと、休めるー! ケルン:はぁー……疲れた……あぁ……もう、難所は終わったと信じたい……。 ケルン:ちょーっと、休憩ターイム。 ケルン:あー……映像切っても良いなぁ。 ケルン:……まあ、いいや、少しお付き合い下さい。 ケルン:はぁ…………晴れてるなぁ……。 ケルン:ははっ……鳥の鳴き声がする……。 ケルン:……あのさ、動物とか、虫とかにさ……お前らは良いよなぁ、って。思ったことない? ケルン:……正直、ずっとだよ。 ケルン:……ずーーーっと。羨ましくて、恨めしい。 ケルン:……ただの、八つ当たりだけどさ。 ケルン:…………すぅーっ、はぁーっ。(深呼吸) ケルン:……人は居ないのになぁ。 ケルン:…………居るよーって、これを聴いて思ってる誰かが居たらー……ははっ……是非、チャンネル登録を、お願いしますねー。 ケルン:はははっ…………本当、世界にひとりきりって、くらい……。 ケルン:……静かだ。 0:3カウント――― ケルン:……さてさて。登山を再開してから、良い感じに……難所が来ましたよぉ……きっつぅ。 ケルン:……よいしょ……うぉわっ、やっばっ! ケルン:あっぶな……うぇー、崩れんなよぉ……ビビるぅ……。 ケルン:いや、やばいよ、ここ。アレかも。 ケルン:えっと……アレ。うん……。 ケルン:…………死ぬかも。 ケルン:……ははっ! まあ、それもアリ! ケルン:うん、てか、その為に登ってるんだろって! ケルン:……あ、これ、初出し情報じゃん。 ケルン:ははっ……べつに良いんだけどさー。 ケルン:……いやぁ、でも、やっぱさ。出来れば、頂上見たいよなぁ。 ケルン:なんか、悔いが残ってさ、地縛霊? みたいな、そんな事になったら、ほんと……。 ケルン:ははっ……ほんと、最悪だし。 ケルン:……よっし、四の五の(しのごの)言ってないで、気合い入れて、行きますかぁっ! ケルン:集中します! また後で! ケルン:……ふっ! ……うわっ、やべぇ……っ、うおっ! ケルン:……はぁ……はぁ…………つっ……くっそ……。 ケルン:……おっ……あー…………いや、意外……と。 ケルン:……うわっ、こわっ! えぇー……。 ケルン:………………お願いお願いお願いっ……よっしっ! ケルン:……いや……よかったぁ……。 ケルン:…………はぁい……何とか、生きてまぁす。 ケルン:……つっかれたぁ……あー……ははっ……。 ケルン:なーんで……こんな必死になってんのかなぁ……。 ケルン:痛つつ……はぁ、ちょい休憩……。 ケルン:あー……いてぇ……少し、足に負担かけ過ぎたかもなぁ……。 ケルン:…………ハロー。 ケルン:……誰か、聴いてますか? ケルン:……まあ、べつに期待なんか……してないって。 ケルン:……疲れたなぁ。 ケルン:ほんと……ずっと、疲れたままだ。 ケルン:…………誰かに会えた時……言葉も忘れてそうだから、って……こんな、誰も聴いてない配信始めたけどさ……。 ケルン:……やっと……こんなの、意味が無いって……気付いたんだ……最近。 ケルン:……どんどん、あの時から……人が居なくなって……。 ケルン:一緒に居た奴も……引き離されて……。 ケルン:あぁ……生きてんのかなぁ……。 ケルン:そうそう……ひとり、看取った奴がね……言ってたんだよ、最後らへんに。 ケルン:……死にたくない、ってさ。 ケルン:…………いや、なんだろ。そりゃ……そういうの、分かるけど。 ケルン:……こっちは……そんな風には、思えないって。 ケルン:……でもさー、言ったって、しょうがないじゃん? ケルン:……だから。色々、飲み込んで。 ケルン:……うん、大丈夫だろ……いまは寝とけ……起こしてやるから……とか、言っちゃったんだよな。 ケルン:…………ダメだなぁ……ダメだ。 ケルン:……羨ましいとか……どっかで、思ってたんだよ。 ケルン:……楽に、なりたかった。 ケルン:……自分からじゃなくて、仕方なく……勇気なんか要らないで……気付いたら……とか。 ケルン:ははっ……あ、ははっ……。 ケルン:……そんなんだから、こんな目にあってるんだろうな。 ケルン:……最悪だ。本当に……最悪だよ。 0:3カウント――― ケルン:はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。 ケルンM:……教えて欲しい、って。思ってた。 ケルン:はぁ……。 ケルンM:ずっと、足を動かしながら。前に、雑然と進みながら。 ケルン:はぁ……。 ケルンM:どこまでも、続いて行く、目の前の景色を見ながら。 ケルン:はぁ……っ。 ケルンM:ひとりで、どこまで行けばいいのか。 ケルンM:それだけを、誰かに、教えて欲しかった。 ケルンM:生きるだけ、生きて。進むだけ、進み。 ケルンM:その先に、答えをくれる誰かが居る、なんて。 ケルン:はぁ……ははっ……。 ケルンM:期待しちゃ、いなかったし。実際、居なかった、のだろう。 ケルン:……ははっ……はぁ……っ。 ケルンM:けれど、どうして……諦めることは、簡単じゃなかったんだろう。 ケルン:はぁ……はぁ……っ。 ケルンM:そんなことにだって……どうしても、勇気が必要だった。 ケルン:はぁ……はぁ…………はぁ……。 ケルンM:気が付けば、随分長いこと、歩いていた。 ケルンM:どれくらい経ったのか。そんなことを考えても仕方ない程に。 ケルン:……長い……長い……時間が。 ケルンM:振り返ると、遠く、深い地上の方に、街だった物が、見えた。 ケルン:……はぁ…………はぁ……。 ケルンM:なんだか、綺麗だと、思った。 ケルン:……だいぶ、もう……頂上が近いのか……スゲェ…………高いとこまで、来たんだな……。 ケルンM:ふっ、と。不思議な気持ちが湧いた。 ケルン:……いや……そんなん、今更だって。 ケルンM:そうだ。そんな気持ち。 ケルン:……知りたくない。 0:カウント3――― ケルン:……はぁ……はぁ……っ、うわ……うわぁっ……うわぁあああっ! ケルン:はぁ、はぁ、うおっ! くっ、はぁ、はぁっ…………っ……やったぁぁぁあ! 頂上だぁぁあああっ! ケルン:……はぁ……はぁ……あっはははっ……はぁ……はぁ……っ。 ケルン:……どうですか、見てくれてるっ? ケルン:見といた方が良いよっ……これ……やべぇって! ケルン:……はぁ……はぁ……いや、やばい……マジで……ははっ、絶景だわぁぁぁあ! ケルン:…………疲れた……はぁぁぁ……つっかれたぁぁぁ……あーあ。 ケルン:…………皆、知ってたぁ? ……どんだけ高いとこでも……空見上げれば……あんま変わんないって……ふふっ、ははははっ……。 ケルン:……はぁ……達成感えぐい……。 ケルン:…………これは、チャンネル登録するでしょ、皆さん。ねぇ? ケルン:…………静かなのは、変わらないなぁ。 ケルン:……ふふっ。 ケルン:…………前にさ。天国に近いところから……神様に文句を言ってやるって……山に登る話をさ……読んだんだよ。 ケルン:…………確かに、ここからなら……なんて思ったけど……誰も居ないし……まだ足りないみたいだわ。 ケルン:…………なんで、こんな世界に。 ケルン:…………ひとりぼっちに、したんだよ。 ケルン:…………なぁ? ハロー? ケルン:…………聴こえて……ないか。 ケルン:…………知ってた。 ケルン:…………よっ、と。 ケルン:……皆も、空ばっかは、飽きたでしょ? ケルン:……本当に……登って来たんだな……。 ケルン:…………天国に近いって……本当なら、さ。 ケルン:…………会えるのかな、とか……思ったんだ。 ケルン:…………ははっ……馬鹿だよなぁ……。 ケルン:…………ハロー。 ケルン:…………よし……うん……わかった。 ケルン:……さてっ、そろそろ! えー、配信終了のお時間とー、なりました! ケルン:ひとり登山チャレンジ、見事成功っ! いぇーい! ケルン:……ってことでね! いやぁ……頑張りました。 ケルン:頑張って……頑張って……もう、頑張るのも、終わりにして、良いね……これは。 ケルン:うん……最後に、大迫力の映像を……いやぁ……はぁ……お見せ、して……ね。 ケルン:…………終わろうと、思います。 ケルン:…………ここからさ、来た道戻るのも……ツラいしさ。 ケルン:…………なんか……あー……配信見てくれてる……誰かさん。 ケルン:もし、もしね……居たらさ……ありがとう。 ケルン:生きがいに、なれてたんなら…………ごめん。 ケルン:……あ、あと、最後にグロイ映像見せるかも……あぁ……先に機材だけ遠くに投げてからにするか……ははっ、配慮配慮。 ケルン:…………まあ、そちらはさ……出来れば、もう少し、生きてみてよ。 ケルン:……なんか、お前が言ってもなぁ‥…って感じだけどさ。 ケルン:…………ははっ。 ケルン:…………終わる世界に……さようならーっ、見てくれてありがとうございましたぁ! ケルン:…………ばいばい。 ケルン:……………………あっ! ケルン:…………うわぁ、ははっ……めっちゃ……下手くそだったわ、投げるの。 ケルン:……うわっ、しかも配信止まってねぇんかーいっ! ケルン:うげ、顔映った……っ……くっ……ははっ…………はははっ…………なんだよ……その顔……っ。 ケルン:…………馬鹿みてぇ……本当……最悪だ……っ。 ケルン:…………なんだ、これ……死にたく、ねえぇ……。 ケルン:…………っ。 0:3カウント――― ケルン:……はーいっ、どーもっ。 ケルン:終わる世界に、こんにちわー。 ケルン:今日も、今日とて、映像を、垂れ流して行こー! ケルン:ってことで。この配信は、チャンネル45140で、キャッチ出来ますので、登録お願いしやーす。 ケルン:チャンネル番号は、45140で、45140(よっこいしょ)って覚えてくださいーいっ、よろしくっ。 ケルン:では……今日はぁ……あははっ……何をしましょうか。