台本概要
368 views
タイトル | うずまく |
---|---|
作者名 | やまさん (@minimam1239) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 7人用台本(男3、女3、不問1) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
サークル、宅飲み、男女混合、会話、恋愛、片想い、告白、玉砕。 6人の男女が一部屋で繰り広げる会話劇。 368 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
木島 | 男 | 48 | 木島(キシマ)は、朱美は(アケミ)が好き。 |
朱美 | 女 | 24 | 朱美(アケミ)は、瑞生(ミズキ)が好き。 |
優里 | 女 | 47 | 優里(ユリ)は、瑞生(ミズキ)が好き。 |
瑞生 | 男 | 88 | 瑞生(ミズキ)は、祐希(ユウキ)が好き。 |
祐希 | 女 | 39 | 祐希(ユウキ)は、琢磨(タクマ)が好き。 |
琢磨 | 男 | 53 | なんか優しい人。 |
ナレ | 男 | 13 | ナレーション。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
【P】
◯木島宅
木島:「ほいほいほいほいできたよ〜」
朱美:「うわすごい!」
瑞生:「やば」
琢磨:「おお・・・」
優里:「さすが板前さん」
木島:「見習いよ」
祐希:「もうお店行かなくても木島さんの家でいいね」
木島:「いやいや結構材料高いんだよ?そんな頻繁には作れないって」
瑞生:「いやでもこれまじやばいっすよ。ほんとに良いんすか?」
木島:「良いも何も食べてもらわないともったいないよ」
朱美:「早く食べたーい」
木島:「ほいほいちょっと待ってね」
優里:「瑞樹、写メとろ?」
瑞生:「ん?ああ・・・」
朱美:「・・・」
優里:「ほらもうちょっと寄って」
瑞生:「いやてかみんなで撮ろうよ、せっかくだし」
優里:「うんそれも後で撮る」
瑞生:「えどゆこと?」
優里:「良いから」
朱美:「ねえ優里・・・」
優里:「ん?」
木島:「お待たせえ〜、純米大吟醸酒で〜す」
瑞生:「うおすげえ!」
祐希:「日本酒だぁ」
琢磨:「おお・・・」
祐希:「買ったんですか?」
木島:「うんん、お店でもらったの。キープしてたお客さん来れなくなったみたいで」
瑞生:「それなんて読むんですか?」
木島:「ええっと獺祭(だっさい)・・・だったかな?」
琢磨:「おお・・・」
木島:「じゃあとりあえず入れてきますよぉー」
朱美:「あ、私入れますよ」
木島:「ああ良いの良いの、今日は俺がみんな呼んだから。はい、じゃあ朱美ちゃんから」
朱美:「ありがとうございます」
ナレ:「木島が好きなのは、朱美」
優里:「あ、てかさっき朱美何言いかけたの?」
朱美:「え、ああ・・・なんでもない」
ナレ:「朱美と優里が好きなのは瑞生」
優里:「あ、てか瑞生写メ・・・」
瑞生:「ああそうだ、みんなで写メ撮りましょうよ。めっちゃ映えますよこの料理は」
祐希:「ああ私パス。色々言われるから」
瑞生:「ええなんでだよ〜」
ナレ:「瑞生が好きなのは、祐希」
琢磨:「祐希さん事務所入ってるもんね」
祐希:「ん〜ていうか変な追っかけが最近いてさ、ちょっとめんどくさいんだよね」
琢磨:「え、それ大丈夫?」
祐希:「まあ大丈夫だけど、なんかありそうだったら相談していい?」
琢磨:「え・・・うん」
ナレ:「祐希が好きなのは、琢磨」
木島:「よし、グラス空の人いないよね?」
瑞生:「大丈夫でーす」
朱美:「ありがとうございます」
琢磨:「あ、木島さんの入れますよ」
木島:「ああ良いよ良いよ。まだ俺作るから」
ナレ:「琢磨が好きなのは・・・」
木島:「じゃあみなさん、俺の板前独り立ちと、料理研究会3年全員の今後を祈って・・・」
朱美:「あ、あの・・・!ちょっと、ごめんなさい」
木島:「ん?」
瑞生:「どしたん」
朱美:「その・・・ちょっと・・・言いたくて」
木島:「ああ、全然いいよ」
祐希:「え、朱美ここ?」
朱美:「うん。その・・・私・・・瑞生くんが好きです!」
瑞生:「・・・え」
優里:「は?」
木島:「まじ?」
琢磨:「おお・・・」
優里:「ちょっと何言ってんの朱美」
朱美:「それだけ・・・言いたくて」
瑞生:「え・・・俺?」
祐希:「ほら瑞生、答えてあげなよ」
瑞生:「ええ・・・何それ」
優里:「どうなの?」
瑞生:「いや、ええ・・・今?」
祐希:「しかないでしょ」
瑞生:「・・・え、っと・・・うん。純粋に、嬉しい・・・でも、ちょっと・・・そういうの・・・乾杯の音頭の時じゃなくね?」
優里:「・・・つまり?」
瑞生:「いや・・・え・・・あの・・・ごめん、なさい」
朱美:「・・・(すすり泣き)・・・乾杯」
木島 優里 瑞生 祐希 琢磨:「・・・乾杯」
ナレ:「サークル、宅飲み、男女混合、会話、恋愛、片想い、告白、玉砕。6人の男女、感情が渦巻く一室、気まずい空気。ワンシチュエーション男女恋愛活劇、『うずまく』」
⦅本編⦆
◯木島宅・夜
優里:「何分?」
琢磨:「えっと、30分」
木島:「長いな」
瑞生:「ちょっと俺呼んでくるわ」
優里:「いやいいっていいってやめなって」
瑞生:「いやでもまずいっしょ、トイレに30分は長いって」
優里:「だからって振った本人が行ってどうすんの。追い討ちかけるだけだから」
瑞生:「じゃあどうすりゃいいの」
優里:「こういうのはもう何もしないのが正解なの。ほっといたら帰るから」
瑞生:「いやそれもおかしいだろ」
木島:「俺行くわ」
優里:「ええいいですよ」
木島:「いや気になるからさ・・・どうせなら料理食べて欲しいし」
優里:「普通に戻ってこられてもなんだけど・・・(ボソッと)」
木島:「行ってくるわ・・・あ、普通に食べてていいけど朱美ちゃんの分お皿に取り分けといて」
瑞生:「あ、はい」
琢磨:「やっときます」
ナレ:「木島、退出」
祐希:「はあ・・・」
琢磨:「木島さん優しいね」
祐希:「うん・・・」
瑞生:「いやあマジでビビった」
優里:「タイミングやばかったね」
瑞生:「ああ・・・ていうかそういう感情あるとか知らんかったわ」
祐希:「瑞生はさ・・・あれ本音なの?」
瑞生:「え、まあ・・・そうだけど」
祐希:「ああだよねえ。みんなの前だから恥ずかしくて言ったとかじゃないんだ」
瑞生:「うん・・・てか急すぎてああいうしかなかったわ」
優里:「いやまあ正解だと思うよ?嘘ついてもあれだし」
祐希:「朱美頑張ったんだけどねえ、タイミングがね」
琢磨:「え、なんか知ってたの?朱美さんのそういうの」
祐希:「うん、前々から相談受けてて、今日告白するのは知ってたんだけどさ、まさか初っ端にするとは思ってなかったから」
優里:「祐希ちゃん知ってたんだ」
祐希:「うん」
瑞生:「え、それ祐希は応援してたの?」
祐希:「え?」
瑞生:「あいや、違うわなんだろ・・・いやなんでもない」
数秒の間
琢磨:「あそうだ、朱美さんの分取り分けないと」
瑞生:「そうだね、俺やるよ」
琢磨:「ありがと」
優里:「ん?今の何?」
琢磨:「え?」
優里:「いや琢磨じゃなくて・・・瑞生」
瑞生:「ん?」
優里:「応援してたのって」
瑞生:「え、ああ・・・」
優里:「どういうこと?恋愛相談受けてたら当たり前じゃん応援するのとか」
瑞生:「うん。そうだね、確かに・・・」
優里:「え、何、祐希ちゃんが応援してるのが嫌なの?」
瑞生:「いや別に・・・」
優里:「そう聞こえるんだけど」
瑞生:「なんだよいいだろ間違えただけだって」
祐希:「え、もしかして瑞生・・・私のこと好きなの?」
琢磨:「うわ言った」
瑞生:「は!?いやちげえよ何言ってんの」
祐希:「まあね〜私モデルだしねえ、惚れるのは仕方ない」
瑞生:「だからちげえから、勝手に膨らますんじゃねえよ」
祐希:「でも私好きな人別にいるから」
瑞生:「は、まじ?」
祐希:「うわ食いついた」
琢磨:「へえ〜誰?学内の人?」
祐希:「琢磨〜」
琢磨:「え」
瑞生:「は!?」
優里:「嘘・・・」
祐希:「いやなんかもう朱美が頑張ってたからさ、勇気もらっちゃった」
瑞生:「いや冗談だろ、琢磨だぜ?」
琢磨:「え」
優里:「そうだよ、祐希ちゃんとかもっとイケメン食い漁れるじゃん」
琢磨:「ああ酷いな」
祐希:「んん〜私そこまで面食いじゃないんだよね」
琢磨:「遠回しにくるなぁそれ」
祐希:「でも私は、琢磨の顔好きだから」
琢磨:「あ・・・ありがとう」
祐希:「女の子『さん』付けで呼んだり、背ちっちゃいところとか、笑ったら可愛いとことか」
瑞生:「マジかよ・・・」
優里:「琢磨勝ち組じゃん」
祐希:「急にごめんね、こんなこと言って・・・私と付き合ってくれる?」
琢磨:「あ、はい。ごめんなさい」
祐希:「え」
瑞生:「は!?」
琢磨:「祐希さんに、そういう気持ちはなくて・・・」
祐希:「・・・そっか」
優里:「え・・・マジで言ってる?」
数秒の間
祐希:「・・・ちょっと、タバコ吸ってくる」
琢磨:「あ、じゃあベランダ使う?窓開けるよ」
優里:「馬鹿」
琢磨:「え?」
祐希:「ううん大丈夫、ちょっと・・・遠くまで」
琢磨:「あ・・・そう」
ナレ:「祐希、退出」
琢磨:「いやあ、びっくりしたぁ」
優里:「バカバカバカバカ!何やってんの!」
琢磨:「え!?え!?」
優里:「なんで!?なんで振ったの!?有り得なくない?祐希ちゃんだよ!?」
瑞生:「ざけんなよなんで琢磨なんだよおかしいだろそんなの!」
琢磨:「いやだって・・・」
優里:「てか瑞生、祐希ちゃんのこと好きなの?」
瑞生:「好きだよ、好きに決まってんだろあんな可愛かったら!てかそもそもこのサークル入ったのも祐希目当てだったしよ」
優里:「嘘・・・」
琢磨:「なんか、ごめん」
瑞生:「ほんとだよふざけんなよ。琢磨がタイプなのかよ詐欺だろそんなん」
優里:「詐欺はどっちよ」
瑞生:「・・・は?」
優里:「なんで祐希ちゃんなの?おかしいでしょ」
瑞生:「おかしくねえよなんでだよ」
優里:「私としたじゃん!」
琢磨:「え」
瑞生:「おい!」
優里:「好きだから私!瑞生の事!1年の頃からずっと!」
数秒の間
琢磨:「おお・・・」
瑞生:「マジで・・・?」
優里:「返事は・・・?」
瑞生:「え・・・」
優里:「返事は!?」
瑞生:「えっと・・・ご、ごめん。そういう感情は・・・ない、かな」
優里:「・・・あっそ」
瑞生:「ごめん」
優里:「帰る」
瑞生:「え」
優里:「それとサークル辞める」
琢磨:「え・・・」
瑞生:「おいなんでだよ」
優里:「付き合えないなら居る意味ないから、私だって瑞生目当てでサークル入ったんだからね」
瑞生:「マジか・・・なんか、ありがと」
優里:「うざ」
ナレ:「優里、退出」
数秒の間
瑞生:「・・・何なんだよ今日」
琢磨:「火がついたんだよ」
瑞生:「は?」
琢磨:「朱美さんが瑞生に告白したのをみんな見て、火がついたんだよ」
瑞生:「何それ・・・」
琢磨:「僕も言う」
瑞生:「え、お前も!?」
琢磨:「うん。ずっと好きだったから」
瑞生:「はあ・・・もうここまできたらなんでもいいよ」
朱美・木島、入り
朱美:「何なんですかほんとやめてください!警察呼びますよ!」
木島:「ちょちょちょちょちょ、違うってそんなつもりじゃないから」
瑞生:「どうしたん!?」
朱美:「はあ、はあ・・・トイレで木島さんに・・・キス、されそうになった」
琢磨:「え」
瑞生:「マジで!?」
木島:「いやいやいや、何言ってんの朱美ちゃん。そんなことするわけないじゃん」
朱美:「頭思いっきり掴んできた・・・」
瑞生:「いや嘘でしょ」
朱美:「はあ本当・・・もう帰ります」
木島:「いやいや違うって、ずっと狭い所で話聞いてたからさ、体勢崩したの。それだけ」
瑞生:「ああそういうこと?」
朱美:「嘘つかないでください。その後何度もしようとしてきたじゃないですか」
瑞生:「え、どっち?」
朱美:「もう帰る」
木島:「ちょっと待ってって・・・あほら、朱美ちゃんの分も料理あるから、食べようよ」
朱美:「いいですもう帰りますから」
木島:「だから・・・」
瑞生:「ちょっと木島さん、一旦ここは帰らせた方が良いんじゃないですか?」
木島:「うるせえお前が帰れよ!」
瑞生:「・・・はい?」
木島:「朱美ちゃん振ってんじゃねえよ。俺のアイドルだぞ」
瑞生:「・・・え・・・どうしたんすか」
木島:「朱美ちゃんも朱美ちゃんでなんだよ・・・相談乗ってやったのにさ」
朱美:「・・・すみません帰ります・・・あと、もうラインもしません、さようなら」
木島:「はいはい・・・」
朱美:「瑞生君も、祐希ちゃん好きなんだってね」
瑞生:「え、なんで」
朱美:「祐希ちゃん、それ私に言って外出てった・・・めっちゃムカつく」
瑞生:「ええ・・・」
朱美:「じゃあね・・・」
ナレ:「朱美、退出」
木島:「・・・はあ」
瑞生:「え・・・木島さん、今のやつ・・・マジすか?」
木島:「・・・マジに見える?」
瑞生:「ああ・・・いや、んん・・・まあ」
木島:「マジだよ、おおマジ」
瑞生:「ああ・・・」
木島:「朱美ちゃんと最近ずっとラインしててさ、今回の会で瑞生に初っ端告れって誘導したの俺なんだよ。絶対うまく行くしそっからふたりで楽しめるじゃんって」
瑞生:「え!?マジすか!?」
木島:「本当はどうせ振られるだろうからその後を狙ってたんだけど・・・まさか乾杯の音頭の時にみんなの前で言うとか・・・馬鹿正直すぎだろ」
瑞生:「いやあ・・・でもトイレでキスはないっすね」
木島:「焦ってたんだよ俺も。帰られると思って」
瑞生:「木島さん童貞すか?」
木島:「あ?」
瑞生:「すみません」
祐希、入り
祐希:「ただいまあ〜」
瑞生:「おお・・・」
祐希:「あれ、朱美と優里は?」
瑞生:「ああいやぁ、色々あって」
祐希:「色々?」
琢磨:「好きです!付き合ってください!」
瑞生:「え今!?」
祐希:「嘘・・・ほんと?」
琢磨:「ずっと前から好きでした・・・みんな見て勇気出ました!やっぱ自分の気持ちに嘘つけなくて」
祐希:「えええええ〜嬉しい」
木島:「え何、祐希ちゃん琢磨のこと好きだったの?」
瑞生:「うわぁマジかよ、結局そうなんのかよ」
琢磨:「ああいや・・・じゃなくて・・・木島さんの事が」
祐希:「は?」
瑞生:「え」
木島:「え俺?」
琢磨:「はい。昔からずっと憧れてて・・・そう言う気持ちになってて」
瑞生:「え琢磨そっち!?」
琢磨:「木島さんにだけだよ?」
瑞生:「なんでちょっと嬉しそうなんだよ」
祐希:「私、ちょっとタバコ吸ってくる」
瑞生:「ええまた?」
琢磨:「あ祐希さん、行ってらっしゃい」
瑞生:「おい!」
祐希:「私・・・もう恋愛しない」
ナレ:「祐希、退出」
琢磨:「それで・・・返事は?」
木島:「え・・・ああ・・・」
瑞生:「ああちょっと、俺祐希見に行ってきます」
木島:「おいお前逃げんなよ」
瑞生:「大丈夫・・・木島さんだったらいけます」
木島:「何が?」
瑞生:「じゃ。俺はちょっと祐希慰め作戦行ってくるんで、頑張ってください」
ナレ:「瑞生、退出」
木島:「はあ・・・」
琢磨:「みんな行っちゃいましたね」
木島:「あ、ああ・・・まあ、仕方ないよ」
琢磨:「木島さんの料理本当に美味しいです・・・ずっと食べてたい」
木島:「・・・ありがとう」
琢磨:「このセリフ、朱美さんに言って欲しかったんですよね?」
木島:「えぐるなぁお前」
琢磨:「良いですよ別に、お返事は無理だって分かってるんで」
木島:「・・・」
琢磨:「でも、どんな形であれ朱美さんの勇気ある行動・・・僕は尊敬します」
木島:「うん・・・」
琢磨:「お酒、飲みません?」
木島:「・・・ああ」
ナレ:「サークル、宅飲み、男女混合、会話、恋愛、片想い、告白、玉砕。6人の男女、感情が渦巻き気まずい一室・・・一変、ひとりの男の勇気ある行動とともに、優しき空間へ。告白とは、相手の時期とその場のムードがもっとも大切である。6人の渦巻きは、儚くも中に舞った。若く阿呆(あほう)な男女、これからの渦巻く姿に乞うご期待。ワンシチュエーション男女恋愛活劇、『うずまく』。おしまい」
=『うずまく』・完=
【P】
◯木島宅
木島:「ほいほいほいほいできたよ〜」
朱美:「うわすごい!」
瑞生:「やば」
琢磨:「おお・・・」
優里:「さすが板前さん」
木島:「見習いよ」
祐希:「もうお店行かなくても木島さんの家でいいね」
木島:「いやいや結構材料高いんだよ?そんな頻繁には作れないって」
瑞生:「いやでもこれまじやばいっすよ。ほんとに良いんすか?」
木島:「良いも何も食べてもらわないともったいないよ」
朱美:「早く食べたーい」
木島:「ほいほいちょっと待ってね」
優里:「瑞樹、写メとろ?」
瑞生:「ん?ああ・・・」
朱美:「・・・」
優里:「ほらもうちょっと寄って」
瑞生:「いやてかみんなで撮ろうよ、せっかくだし」
優里:「うんそれも後で撮る」
瑞生:「えどゆこと?」
優里:「良いから」
朱美:「ねえ優里・・・」
優里:「ん?」
木島:「お待たせえ〜、純米大吟醸酒で〜す」
瑞生:「うおすげえ!」
祐希:「日本酒だぁ」
琢磨:「おお・・・」
祐希:「買ったんですか?」
木島:「うんん、お店でもらったの。キープしてたお客さん来れなくなったみたいで」
瑞生:「それなんて読むんですか?」
木島:「ええっと獺祭(だっさい)・・・だったかな?」
琢磨:「おお・・・」
木島:「じゃあとりあえず入れてきますよぉー」
朱美:「あ、私入れますよ」
木島:「ああ良いの良いの、今日は俺がみんな呼んだから。はい、じゃあ朱美ちゃんから」
朱美:「ありがとうございます」
ナレ:「木島が好きなのは、朱美」
優里:「あ、てかさっき朱美何言いかけたの?」
朱美:「え、ああ・・・なんでもない」
ナレ:「朱美と優里が好きなのは瑞生」
優里:「あ、てか瑞生写メ・・・」
瑞生:「ああそうだ、みんなで写メ撮りましょうよ。めっちゃ映えますよこの料理は」
祐希:「ああ私パス。色々言われるから」
瑞生:「ええなんでだよ〜」
ナレ:「瑞生が好きなのは、祐希」
琢磨:「祐希さん事務所入ってるもんね」
祐希:「ん〜ていうか変な追っかけが最近いてさ、ちょっとめんどくさいんだよね」
琢磨:「え、それ大丈夫?」
祐希:「まあ大丈夫だけど、なんかありそうだったら相談していい?」
琢磨:「え・・・うん」
ナレ:「祐希が好きなのは、琢磨」
木島:「よし、グラス空の人いないよね?」
瑞生:「大丈夫でーす」
朱美:「ありがとうございます」
琢磨:「あ、木島さんの入れますよ」
木島:「ああ良いよ良いよ。まだ俺作るから」
ナレ:「琢磨が好きなのは・・・」
木島:「じゃあみなさん、俺の板前独り立ちと、料理研究会3年全員の今後を祈って・・・」
朱美:「あ、あの・・・!ちょっと、ごめんなさい」
木島:「ん?」
瑞生:「どしたん」
朱美:「その・・・ちょっと・・・言いたくて」
木島:「ああ、全然いいよ」
祐希:「え、朱美ここ?」
朱美:「うん。その・・・私・・・瑞生くんが好きです!」
瑞生:「・・・え」
優里:「は?」
木島:「まじ?」
琢磨:「おお・・・」
優里:「ちょっと何言ってんの朱美」
朱美:「それだけ・・・言いたくて」
瑞生:「え・・・俺?」
祐希:「ほら瑞生、答えてあげなよ」
瑞生:「ええ・・・何それ」
優里:「どうなの?」
瑞生:「いや、ええ・・・今?」
祐希:「しかないでしょ」
瑞生:「・・・え、っと・・・うん。純粋に、嬉しい・・・でも、ちょっと・・・そういうの・・・乾杯の音頭の時じゃなくね?」
優里:「・・・つまり?」
瑞生:「いや・・・え・・・あの・・・ごめん、なさい」
朱美:「・・・(すすり泣き)・・・乾杯」
木島 優里 瑞生 祐希 琢磨:「・・・乾杯」
ナレ:「サークル、宅飲み、男女混合、会話、恋愛、片想い、告白、玉砕。6人の男女、感情が渦巻く一室、気まずい空気。ワンシチュエーション男女恋愛活劇、『うずまく』」
⦅本編⦆
◯木島宅・夜
優里:「何分?」
琢磨:「えっと、30分」
木島:「長いな」
瑞生:「ちょっと俺呼んでくるわ」
優里:「いやいいっていいってやめなって」
瑞生:「いやでもまずいっしょ、トイレに30分は長いって」
優里:「だからって振った本人が行ってどうすんの。追い討ちかけるだけだから」
瑞生:「じゃあどうすりゃいいの」
優里:「こういうのはもう何もしないのが正解なの。ほっといたら帰るから」
瑞生:「いやそれもおかしいだろ」
木島:「俺行くわ」
優里:「ええいいですよ」
木島:「いや気になるからさ・・・どうせなら料理食べて欲しいし」
優里:「普通に戻ってこられてもなんだけど・・・(ボソッと)」
木島:「行ってくるわ・・・あ、普通に食べてていいけど朱美ちゃんの分お皿に取り分けといて」
瑞生:「あ、はい」
琢磨:「やっときます」
ナレ:「木島、退出」
祐希:「はあ・・・」
琢磨:「木島さん優しいね」
祐希:「うん・・・」
瑞生:「いやあマジでビビった」
優里:「タイミングやばかったね」
瑞生:「ああ・・・ていうかそういう感情あるとか知らんかったわ」
祐希:「瑞生はさ・・・あれ本音なの?」
瑞生:「え、まあ・・・そうだけど」
祐希:「ああだよねえ。みんなの前だから恥ずかしくて言ったとかじゃないんだ」
瑞生:「うん・・・てか急すぎてああいうしかなかったわ」
優里:「いやまあ正解だと思うよ?嘘ついてもあれだし」
祐希:「朱美頑張ったんだけどねえ、タイミングがね」
琢磨:「え、なんか知ってたの?朱美さんのそういうの」
祐希:「うん、前々から相談受けてて、今日告白するのは知ってたんだけどさ、まさか初っ端にするとは思ってなかったから」
優里:「祐希ちゃん知ってたんだ」
祐希:「うん」
瑞生:「え、それ祐希は応援してたの?」
祐希:「え?」
瑞生:「あいや、違うわなんだろ・・・いやなんでもない」
数秒の間
琢磨:「あそうだ、朱美さんの分取り分けないと」
瑞生:「そうだね、俺やるよ」
琢磨:「ありがと」
優里:「ん?今の何?」
琢磨:「え?」
優里:「いや琢磨じゃなくて・・・瑞生」
瑞生:「ん?」
優里:「応援してたのって」
瑞生:「え、ああ・・・」
優里:「どういうこと?恋愛相談受けてたら当たり前じゃん応援するのとか」
瑞生:「うん。そうだね、確かに・・・」
優里:「え、何、祐希ちゃんが応援してるのが嫌なの?」
瑞生:「いや別に・・・」
優里:「そう聞こえるんだけど」
瑞生:「なんだよいいだろ間違えただけだって」
祐希:「え、もしかして瑞生・・・私のこと好きなの?」
琢磨:「うわ言った」
瑞生:「は!?いやちげえよ何言ってんの」
祐希:「まあね〜私モデルだしねえ、惚れるのは仕方ない」
瑞生:「だからちげえから、勝手に膨らますんじゃねえよ」
祐希:「でも私好きな人別にいるから」
瑞生:「は、まじ?」
祐希:「うわ食いついた」
琢磨:「へえ〜誰?学内の人?」
祐希:「琢磨〜」
琢磨:「え」
瑞生:「は!?」
優里:「嘘・・・」
祐希:「いやなんかもう朱美が頑張ってたからさ、勇気もらっちゃった」
瑞生:「いや冗談だろ、琢磨だぜ?」
琢磨:「え」
優里:「そうだよ、祐希ちゃんとかもっとイケメン食い漁れるじゃん」
琢磨:「ああ酷いな」
祐希:「んん〜私そこまで面食いじゃないんだよね」
琢磨:「遠回しにくるなぁそれ」
祐希:「でも私は、琢磨の顔好きだから」
琢磨:「あ・・・ありがとう」
祐希:「女の子『さん』付けで呼んだり、背ちっちゃいところとか、笑ったら可愛いとことか」
瑞生:「マジかよ・・・」
優里:「琢磨勝ち組じゃん」
祐希:「急にごめんね、こんなこと言って・・・私と付き合ってくれる?」
琢磨:「あ、はい。ごめんなさい」
祐希:「え」
瑞生:「は!?」
琢磨:「祐希さんに、そういう気持ちはなくて・・・」
祐希:「・・・そっか」
優里:「え・・・マジで言ってる?」
数秒の間
祐希:「・・・ちょっと、タバコ吸ってくる」
琢磨:「あ、じゃあベランダ使う?窓開けるよ」
優里:「馬鹿」
琢磨:「え?」
祐希:「ううん大丈夫、ちょっと・・・遠くまで」
琢磨:「あ・・・そう」
ナレ:「祐希、退出」
琢磨:「いやあ、びっくりしたぁ」
優里:「バカバカバカバカ!何やってんの!」
琢磨:「え!?え!?」
優里:「なんで!?なんで振ったの!?有り得なくない?祐希ちゃんだよ!?」
瑞生:「ざけんなよなんで琢磨なんだよおかしいだろそんなの!」
琢磨:「いやだって・・・」
優里:「てか瑞生、祐希ちゃんのこと好きなの?」
瑞生:「好きだよ、好きに決まってんだろあんな可愛かったら!てかそもそもこのサークル入ったのも祐希目当てだったしよ」
優里:「嘘・・・」
琢磨:「なんか、ごめん」
瑞生:「ほんとだよふざけんなよ。琢磨がタイプなのかよ詐欺だろそんなん」
優里:「詐欺はどっちよ」
瑞生:「・・・は?」
優里:「なんで祐希ちゃんなの?おかしいでしょ」
瑞生:「おかしくねえよなんでだよ」
優里:「私としたじゃん!」
琢磨:「え」
瑞生:「おい!」
優里:「好きだから私!瑞生の事!1年の頃からずっと!」
数秒の間
琢磨:「おお・・・」
瑞生:「マジで・・・?」
優里:「返事は・・・?」
瑞生:「え・・・」
優里:「返事は!?」
瑞生:「えっと・・・ご、ごめん。そういう感情は・・・ない、かな」
優里:「・・・あっそ」
瑞生:「ごめん」
優里:「帰る」
瑞生:「え」
優里:「それとサークル辞める」
琢磨:「え・・・」
瑞生:「おいなんでだよ」
優里:「付き合えないなら居る意味ないから、私だって瑞生目当てでサークル入ったんだからね」
瑞生:「マジか・・・なんか、ありがと」
優里:「うざ」
ナレ:「優里、退出」
数秒の間
瑞生:「・・・何なんだよ今日」
琢磨:「火がついたんだよ」
瑞生:「は?」
琢磨:「朱美さんが瑞生に告白したのをみんな見て、火がついたんだよ」
瑞生:「何それ・・・」
琢磨:「僕も言う」
瑞生:「え、お前も!?」
琢磨:「うん。ずっと好きだったから」
瑞生:「はあ・・・もうここまできたらなんでもいいよ」
朱美・木島、入り
朱美:「何なんですかほんとやめてください!警察呼びますよ!」
木島:「ちょちょちょちょちょ、違うってそんなつもりじゃないから」
瑞生:「どうしたん!?」
朱美:「はあ、はあ・・・トイレで木島さんに・・・キス、されそうになった」
琢磨:「え」
瑞生:「マジで!?」
木島:「いやいやいや、何言ってんの朱美ちゃん。そんなことするわけないじゃん」
朱美:「頭思いっきり掴んできた・・・」
瑞生:「いや嘘でしょ」
朱美:「はあ本当・・・もう帰ります」
木島:「いやいや違うって、ずっと狭い所で話聞いてたからさ、体勢崩したの。それだけ」
瑞生:「ああそういうこと?」
朱美:「嘘つかないでください。その後何度もしようとしてきたじゃないですか」
瑞生:「え、どっち?」
朱美:「もう帰る」
木島:「ちょっと待ってって・・・あほら、朱美ちゃんの分も料理あるから、食べようよ」
朱美:「いいですもう帰りますから」
木島:「だから・・・」
瑞生:「ちょっと木島さん、一旦ここは帰らせた方が良いんじゃないですか?」
木島:「うるせえお前が帰れよ!」
瑞生:「・・・はい?」
木島:「朱美ちゃん振ってんじゃねえよ。俺のアイドルだぞ」
瑞生:「・・・え・・・どうしたんすか」
木島:「朱美ちゃんも朱美ちゃんでなんだよ・・・相談乗ってやったのにさ」
朱美:「・・・すみません帰ります・・・あと、もうラインもしません、さようなら」
木島:「はいはい・・・」
朱美:「瑞生君も、祐希ちゃん好きなんだってね」
瑞生:「え、なんで」
朱美:「祐希ちゃん、それ私に言って外出てった・・・めっちゃムカつく」
瑞生:「ええ・・・」
朱美:「じゃあね・・・」
ナレ:「朱美、退出」
木島:「・・・はあ」
瑞生:「え・・・木島さん、今のやつ・・・マジすか?」
木島:「・・・マジに見える?」
瑞生:「ああ・・・いや、んん・・・まあ」
木島:「マジだよ、おおマジ」
瑞生:「ああ・・・」
木島:「朱美ちゃんと最近ずっとラインしててさ、今回の会で瑞生に初っ端告れって誘導したの俺なんだよ。絶対うまく行くしそっからふたりで楽しめるじゃんって」
瑞生:「え!?マジすか!?」
木島:「本当はどうせ振られるだろうからその後を狙ってたんだけど・・・まさか乾杯の音頭の時にみんなの前で言うとか・・・馬鹿正直すぎだろ」
瑞生:「いやあ・・・でもトイレでキスはないっすね」
木島:「焦ってたんだよ俺も。帰られると思って」
瑞生:「木島さん童貞すか?」
木島:「あ?」
瑞生:「すみません」
祐希、入り
祐希:「ただいまあ〜」
瑞生:「おお・・・」
祐希:「あれ、朱美と優里は?」
瑞生:「ああいやぁ、色々あって」
祐希:「色々?」
琢磨:「好きです!付き合ってください!」
瑞生:「え今!?」
祐希:「嘘・・・ほんと?」
琢磨:「ずっと前から好きでした・・・みんな見て勇気出ました!やっぱ自分の気持ちに嘘つけなくて」
祐希:「えええええ〜嬉しい」
木島:「え何、祐希ちゃん琢磨のこと好きだったの?」
瑞生:「うわぁマジかよ、結局そうなんのかよ」
琢磨:「ああいや・・・じゃなくて・・・木島さんの事が」
祐希:「は?」
瑞生:「え」
木島:「え俺?」
琢磨:「はい。昔からずっと憧れてて・・・そう言う気持ちになってて」
瑞生:「え琢磨そっち!?」
琢磨:「木島さんにだけだよ?」
瑞生:「なんでちょっと嬉しそうなんだよ」
祐希:「私、ちょっとタバコ吸ってくる」
瑞生:「ええまた?」
琢磨:「あ祐希さん、行ってらっしゃい」
瑞生:「おい!」
祐希:「私・・・もう恋愛しない」
ナレ:「祐希、退出」
琢磨:「それで・・・返事は?」
木島:「え・・・ああ・・・」
瑞生:「ああちょっと、俺祐希見に行ってきます」
木島:「おいお前逃げんなよ」
瑞生:「大丈夫・・・木島さんだったらいけます」
木島:「何が?」
瑞生:「じゃ。俺はちょっと祐希慰め作戦行ってくるんで、頑張ってください」
ナレ:「瑞生、退出」
木島:「はあ・・・」
琢磨:「みんな行っちゃいましたね」
木島:「あ、ああ・・・まあ、仕方ないよ」
琢磨:「木島さんの料理本当に美味しいです・・・ずっと食べてたい」
木島:「・・・ありがとう」
琢磨:「このセリフ、朱美さんに言って欲しかったんですよね?」
木島:「えぐるなぁお前」
琢磨:「良いですよ別に、お返事は無理だって分かってるんで」
木島:「・・・」
琢磨:「でも、どんな形であれ朱美さんの勇気ある行動・・・僕は尊敬します」
木島:「うん・・・」
琢磨:「お酒、飲みません?」
木島:「・・・ああ」
ナレ:「サークル、宅飲み、男女混合、会話、恋愛、片想い、告白、玉砕。6人の男女、感情が渦巻き気まずい一室・・・一変、ひとりの男の勇気ある行動とともに、優しき空間へ。告白とは、相手の時期とその場のムードがもっとも大切である。6人の渦巻きは、儚くも中に舞った。若く阿呆(あほう)な男女、これからの渦巻く姿に乞うご期待。ワンシチュエーション男女恋愛活劇、『うずまく』。おしまい」
=『うずまく』・完=