台本概要
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タイトル | アカネコ②好奇心は猫をも殺すが天然たらしは仔猫をも褒め殺す。 |
---|---|
作者名 | みゃこ (@myako__385) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
――前話のあらすじ―― とりあえず、いちゃこらしてたらいつの間にか終わってたよね。 第一話→https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/3609 シリーズ作品になります。随時更新していこうと思うので、よろしければお付き合いください。 (N)はナレーション、一人語り。 ()で閉じられている箇所は、ト書き・ルビ・人物の心中での発言・作者のお遊び(←)などがあります。『人物の心中での発言』のみ読みます。判別できるよう気をつけているのでご容赦ください。 演者の性別不問、登場人物の性別変更不可。 語尾や若干の言い回し程度の、微少の改変は可。 一言裏話。 『い今起きたことをありのまま話すぜアクション要素強めの作品を書いていたはずなのにアクションのアの字も出てこないまま第二話が終わっちまった何を言っているかわからねーと思うがとりあえずコイツらイチャイチャしやがってちくせう(早口)(一言)』by作者 149 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
キティ | 女 | 39 | キティ・ナインテール。10代半ばくらい。感情表現が苦手なだけで内心穏やかでないタイプ。食いしん坊。猫に小判的な隠れブルジョアジー。 |
ラム | 男 | 39 | 外見は10代半ば~後半。キティに保護される以前の記憶がない。天然の人たらし。鈍感。超鈍感。え? わざと? ってくらい鈍感。シンプルにヒモ。 |
シルヴィア | 女 | 25 | シルヴィア・ハリスマン。20代前半。帝国軍大佐。デキる人、だけどぽんこつ。ツン:デレ=1:9。ぽんこつ、だけどデキる人。ホントウダヨ。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:翌日。
0:ラムの部屋に訪れるキティ。
キティ:(誇らしげに)今日は早起きした。
ラム:そうだね。いつもなら、起こされなければ日が沈むくらいまで寝ているもんね。
ラム:まさか、お昼ご飯の最中に来るとは僕も思わなかったな。
キティ:わたしのぶんは?
ラム:……はいはい、用意するよ。
ラム:余りものになっちゃうけど、そこは許してよ?
キティ:大丈夫。ラムの作るご飯ならなんでもおいしいから。許す。
ラム:恐ろしく自然な上から目線なんだよなぁ。
ラム:僕でなきゃ見逃しちゃうよ。
ラム:これ食べたら大佐のところに行くつもりだったんだけど、一緒に行く?
キティ:(咀嚼しながら)もっ……もっ……。(※そのまんま読んでくれていいんだからねっ。)
キティ:行く。
0:間。
0:シルヴィアの執務室前。ノックをする。
シルヴィア:入ってくれ。
ラム:失礼します。
シルヴィア:あぁ、ラムか。そちらから来るのはなかなか珍しい……と。
シルヴィア:おや、キティも一緒か。ちぇ。
キティ:ちぇ、って。ずいぶんなご挨拶じゃない。
キティ:わたしがいたらまずかった?
シルヴィア:そんなことあるものか。昨日はろくに話もできずに入れ違いになってしまったからな。
シルヴィア:わざわざ出向いてくれてうれしいよ。
キティ:とか言っておきながら、ラムと二人きりになれなくて残念がっているんじゃないの。
シルヴィア:さて、なにを言っているのかわからないな。
ラム:え……っと。あの、お二人はいったいなにを話しているのでしょうか?
キティ:(シルヴィアと同時に)ラムは気にしなくていい。
シルヴィア:(キティと同時に)ラムは気にしなくていい。
シルヴィア:(仕切り直すように咳払い)冗談はこれくらいにして……実際助かった。
シルヴィア:実は、昨日話し忘れていたことがあってな。
ラム:話し忘れていたこと。
キティ:どうして昨日私が帰ってきたときに言わなかったの。
シルヴィア:ラムが入れてくれたお茶を飲んだら満足して忘れてしまった。
ラム:えぇ……いろいろとダメすぎる……。
シルヴィア:(少しトーンを落として)老人たちがまたぞろ騒ぎ始めてな。『キティ・ナインテールの輝かしい功績を称え褒賞(ほうしょう)を用意したい』だとさ。
キティ:(心底イヤそうに)……また?
シルヴィア:頭の固さとツラの皮の厚さに定評がある御仁ばかりだ。
シルヴィア:お前のご機嫌が気になってしょうがないのだろうよ。
キティ:わたしと仲良くしたいのなら、ストーカーみたいに付きまとうのをやめて、ってシルヴィアから言ってよ。
シルヴィア:私だってそれとなく進言している……実のところ、この件だってずいぶん前から来ていることなんだ。
シルヴィア:ふぅ……。
ラム:(あー……これはだいぶ参ってそうだなぁ……)
キティ:(大きくため息を吐いて)……いつ?
シルヴィア:行ってくれるか。
キティ:そんな顔で頼まれたら、さすがに断れない。
シルヴィア:すまん、助かるよ。
シルヴィア:(招待状を取り出しつつ)式典は明後日の十六時から、本部基地の第三ホールで。終わったあとにはささやかな会食もあるらしいぞぅ、よかったなぁ。
キティ:憂鬱……。
ラム:ま、まぁまぁ。タダでおいしい食事を用意してくれるっていうんだから、少しの我慢だよ。
キティ:ラムの料理のほうがわたしは好き。
ラム:そう言ってくれるのはうれしいけどさ。
シルヴィア:で。迷惑ついでというわけではないが。
シルヴィア:今回はラムも同席してほしい。
ラム:はい? え、僕ですか?
ラム:な、なんでですか?
シルヴィア:先方のたっての希望だ。詳しいことは、すまないが知らん。
シルヴィア:一応忠告しておくと、ラム? これは大変名誉なことだよ? 対外的には、だがね。
シルヴィア:キティは別格として、軍人でない人間が名指しで老人たちに招かれることなど、本来は考えられない。
シルヴィア:別に恩義を感じる必要は毫(ごう)もないが、気に留めておいてくれ。きみのためにも。
ラム:う……わ、わかりました……。
キティ:ラムが一緒なら、わたしも退屈せずに済む。
ラム:えっと……そういう式典って、私服とかだとまずい……ですよね?
シルヴィア:当然だ?
ラム:ですよねー……。
キティ:わたしはおめかしなんてしたことない。
シルヴィア:キティを基準にされてもな。
シルヴィア:当日、本国までは部下に車で送らせる。ラムにとってははじめての本国だな。大きな町だ、少し早めに到着するように手配するから、二人で軽い観光でも楽しんでくるといい。
ラム:わ、わかりました。キティは僕が責任を持って連れていきます。
シルヴィア:苦労をかけるな。頼んだ。
キティ:呼ばれてるのわたしなんだけど。
シルヴィア:あぁ、そうだ。話は変わるんだが。
キティ:スルーされた……。
シルヴィア:本国といえば、名物『コーシカまんじゅう』が有名でね。私はそれに目がないのだ。
シルヴィア:生ものだから足が早いのが玉にキズだが、なに、車で送る部下に頼めばすぐに持って帰らせるからそこは心配いらない。
ラム:……要は、お土産に買ってこいってことですか。
シルヴィア:そうは言っていないよ? ただ、しかしそうだなぁ好意で買ってきてくれるというのであれば、それはそれ、受け取らざるをえないだろうなぁ。
ラム:部下の人に直接頼めばいいんじゃないですか?
シルヴィア:(小声で)……私は、ラムに買ってほしいのだ。
ラム:なにか言いました?
シルヴィア:なにも言ってないですぅ。
キティ:キャラ変わってる。
ラム:まぁ……大佐にはいつもお世話になっていますから。それくらいは全然かまいませんけど。
シルヴィア:やった。わーい。
キティ:……子どもみたい。
シルヴィア:食べものと見れば目の色を変えるキティに言われたくはないな。
キティ:たまたま、おなかに入るもののほとんどが好物なだけ。
ラム:それはたまたまとは言わないと思うよキティ……。
キティ:そろそろ行こう、ラム。礼服、買いに行かないとでしょ。
ラム:あぁそれも用意しないとか……。長居すると大佐に迷惑かかりそうだし。
ラム:そういうわけなので、大佐。僕たちはこれで。
シルヴィア:あぁ、なにかと面倒をかけるな。
シルヴィア:繰り返しになるが、当日はくれぐれも粗相(そそう)のないようにな。
0:間。場面転換。
0:シルヴィアらの拠点地から最寄りの繁華街に買い出しに来たキティとラム。
0:見るからに高級ブランド服の店の前で立ち尽くすラム。
ラム:……あのさ。キティ?
キティ:なに?
ラム:案内されるままについて来たけど……ここ?
キティ:そうだけど?
ラム:僕がお金ないの、わかってるよね?
キティ:? 当たり前でしょ。ラムの生活費出してるの、わたしだし。
ラム:……まぁ、うん。そうだね。きみがいいならいいんだ。うん。
ラム:(そういえばキティって、軍からめっちゃ褒賞もらってるんだよね……)
キティ:(店員に向かって)この人に似合う礼服を。適当に。
ラム:お、お手柔らかにお願いします……。
ラム:(これ一着で生活費三ヶ月分くらいするんだけど……胃が痛いなぁ……)
0:着せ替え人形にされるラム。それを遠巻きに退屈そうに眺めているキティ。
0:数名の店員に声をかけられるが取りつく島もない。
0:しばらくして解放されたラムがキティに近づく。
ラム:はぁ……つっかれたぁ……。
キティ:終わったの? おつかれさま。
ラム:着せ替え人形にされた気分だよ。夢に見そうだ(力なく笑う)
ラム:せっかくだから、キティもなにか買ってみたら?
ラム:さっきからずっと退屈そうだったじゃないか。
キティ:わたしはいい。堅苦しいのは苦手。
ラム:試着くらいならいいんじゃないの?
キティ:どうせ似合わないもの。
ラム:そうかなぁ。この白いドレスとか、似合うと思うけどな。
キティ:え。
ラム:フリルって言うんだっけ。こういうひらひらしたの。
ラム:これを着たキティはさぞかわいいんだろうな。
ラム:(想像して)……うん。お人形さんみたいで、すっごくかわいいと思う。
キティ:……………………………………………………。(とても悩んでいる。ラムのセリフの間じゅう悩んでいてくれてもいいんだよ。)
ラム:せっかくの機会なんだし、一度でいいから、こういうドレスを着ておめかししたキティを見てみたかったよ。
ラム:ま、イヤだって言うならしょうがないね。無理強いはよくないもんね。
キティ:……………………………………………………。(とてもとても悩んでいる。次のセリフまでずっと悩んでry)
ラム:あ。お会計の準備ができたみたいだ。それじゃキティ、悪いんだけど。
キティ:(食い気味に)ちょ、ちょっと待って!
ラム:え? ちょ、キティ!?
0:ドレスをわしづかみにするや、女性店員と一緒に店の奥に消えていくキティ。
ラム:……行っちゃった。どうしたんだろ。気が変わったのかな……。
ラム:ていうか……めっちゃ周りからの視線が痛い……はぁ。
0:間。完全に手持ち無沙汰なラム。
0:しばらくしてようやくキティが戻ってくる。
キティ:お、おまたせ……。
ラム:…………。
0:ドレスを綺麗に着付けられたキティに見惚れるラム。
キティ:ど、どうかな……似合う?
キティ:ぇぅぅ……動きづら……すーすーして落ち着かない……。
ラム:…………。
キティ:ら、ラム……? ど、どうしたの……なにか言ってよ……。
ラム:あ、あー、うん、うん、えっと、あのさ、キティ。
キティ:う、うん? にゃに、じゃない、なんだわん。
ラム:いや、猫とか犬とか、そういう問題じゃないんだけどさ……。
ラム:……ごめん。正直、言葉がなかった。その……見惚れちゃって、さ。
ラム:すごく、きれいだ。かわいい。お姫様みたい。似合ってるよ。
キティ:…………。
0:間。
0:顔を真っ赤にして破顔するキティ。
キティ:えへへ。
0:第三話へ続く。
0:翌日。
0:ラムの部屋に訪れるキティ。
キティ:(誇らしげに)今日は早起きした。
ラム:そうだね。いつもなら、起こされなければ日が沈むくらいまで寝ているもんね。
ラム:まさか、お昼ご飯の最中に来るとは僕も思わなかったな。
キティ:わたしのぶんは?
ラム:……はいはい、用意するよ。
ラム:余りものになっちゃうけど、そこは許してよ?
キティ:大丈夫。ラムの作るご飯ならなんでもおいしいから。許す。
ラム:恐ろしく自然な上から目線なんだよなぁ。
ラム:僕でなきゃ見逃しちゃうよ。
ラム:これ食べたら大佐のところに行くつもりだったんだけど、一緒に行く?
キティ:(咀嚼しながら)もっ……もっ……。(※そのまんま読んでくれていいんだからねっ。)
キティ:行く。
0:間。
0:シルヴィアの執務室前。ノックをする。
シルヴィア:入ってくれ。
ラム:失礼します。
シルヴィア:あぁ、ラムか。そちらから来るのはなかなか珍しい……と。
シルヴィア:おや、キティも一緒か。ちぇ。
キティ:ちぇ、って。ずいぶんなご挨拶じゃない。
キティ:わたしがいたらまずかった?
シルヴィア:そんなことあるものか。昨日はろくに話もできずに入れ違いになってしまったからな。
シルヴィア:わざわざ出向いてくれてうれしいよ。
キティ:とか言っておきながら、ラムと二人きりになれなくて残念がっているんじゃないの。
シルヴィア:さて、なにを言っているのかわからないな。
ラム:え……っと。あの、お二人はいったいなにを話しているのでしょうか?
キティ:(シルヴィアと同時に)ラムは気にしなくていい。
シルヴィア:(キティと同時に)ラムは気にしなくていい。
シルヴィア:(仕切り直すように咳払い)冗談はこれくらいにして……実際助かった。
シルヴィア:実は、昨日話し忘れていたことがあってな。
ラム:話し忘れていたこと。
キティ:どうして昨日私が帰ってきたときに言わなかったの。
シルヴィア:ラムが入れてくれたお茶を飲んだら満足して忘れてしまった。
ラム:えぇ……いろいろとダメすぎる……。
シルヴィア:(少しトーンを落として)老人たちがまたぞろ騒ぎ始めてな。『キティ・ナインテールの輝かしい功績を称え褒賞(ほうしょう)を用意したい』だとさ。
キティ:(心底イヤそうに)……また?
シルヴィア:頭の固さとツラの皮の厚さに定評がある御仁ばかりだ。
シルヴィア:お前のご機嫌が気になってしょうがないのだろうよ。
キティ:わたしと仲良くしたいのなら、ストーカーみたいに付きまとうのをやめて、ってシルヴィアから言ってよ。
シルヴィア:私だってそれとなく進言している……実のところ、この件だってずいぶん前から来ていることなんだ。
シルヴィア:ふぅ……。
ラム:(あー……これはだいぶ参ってそうだなぁ……)
キティ:(大きくため息を吐いて)……いつ?
シルヴィア:行ってくれるか。
キティ:そんな顔で頼まれたら、さすがに断れない。
シルヴィア:すまん、助かるよ。
シルヴィア:(招待状を取り出しつつ)式典は明後日の十六時から、本部基地の第三ホールで。終わったあとにはささやかな会食もあるらしいぞぅ、よかったなぁ。
キティ:憂鬱……。
ラム:ま、まぁまぁ。タダでおいしい食事を用意してくれるっていうんだから、少しの我慢だよ。
キティ:ラムの料理のほうがわたしは好き。
ラム:そう言ってくれるのはうれしいけどさ。
シルヴィア:で。迷惑ついでというわけではないが。
シルヴィア:今回はラムも同席してほしい。
ラム:はい? え、僕ですか?
ラム:な、なんでですか?
シルヴィア:先方のたっての希望だ。詳しいことは、すまないが知らん。
シルヴィア:一応忠告しておくと、ラム? これは大変名誉なことだよ? 対外的には、だがね。
シルヴィア:キティは別格として、軍人でない人間が名指しで老人たちに招かれることなど、本来は考えられない。
シルヴィア:別に恩義を感じる必要は毫(ごう)もないが、気に留めておいてくれ。きみのためにも。
ラム:う……わ、わかりました……。
キティ:ラムが一緒なら、わたしも退屈せずに済む。
ラム:えっと……そういう式典って、私服とかだとまずい……ですよね?
シルヴィア:当然だ?
ラム:ですよねー……。
キティ:わたしはおめかしなんてしたことない。
シルヴィア:キティを基準にされてもな。
シルヴィア:当日、本国までは部下に車で送らせる。ラムにとってははじめての本国だな。大きな町だ、少し早めに到着するように手配するから、二人で軽い観光でも楽しんでくるといい。
ラム:わ、わかりました。キティは僕が責任を持って連れていきます。
シルヴィア:苦労をかけるな。頼んだ。
キティ:呼ばれてるのわたしなんだけど。
シルヴィア:あぁ、そうだ。話は変わるんだが。
キティ:スルーされた……。
シルヴィア:本国といえば、名物『コーシカまんじゅう』が有名でね。私はそれに目がないのだ。
シルヴィア:生ものだから足が早いのが玉にキズだが、なに、車で送る部下に頼めばすぐに持って帰らせるからそこは心配いらない。
ラム:……要は、お土産に買ってこいってことですか。
シルヴィア:そうは言っていないよ? ただ、しかしそうだなぁ好意で買ってきてくれるというのであれば、それはそれ、受け取らざるをえないだろうなぁ。
ラム:部下の人に直接頼めばいいんじゃないですか?
シルヴィア:(小声で)……私は、ラムに買ってほしいのだ。
ラム:なにか言いました?
シルヴィア:なにも言ってないですぅ。
キティ:キャラ変わってる。
ラム:まぁ……大佐にはいつもお世話になっていますから。それくらいは全然かまいませんけど。
シルヴィア:やった。わーい。
キティ:……子どもみたい。
シルヴィア:食べものと見れば目の色を変えるキティに言われたくはないな。
キティ:たまたま、おなかに入るもののほとんどが好物なだけ。
ラム:それはたまたまとは言わないと思うよキティ……。
キティ:そろそろ行こう、ラム。礼服、買いに行かないとでしょ。
ラム:あぁそれも用意しないとか……。長居すると大佐に迷惑かかりそうだし。
ラム:そういうわけなので、大佐。僕たちはこれで。
シルヴィア:あぁ、なにかと面倒をかけるな。
シルヴィア:繰り返しになるが、当日はくれぐれも粗相(そそう)のないようにな。
0:間。場面転換。
0:シルヴィアらの拠点地から最寄りの繁華街に買い出しに来たキティとラム。
0:見るからに高級ブランド服の店の前で立ち尽くすラム。
ラム:……あのさ。キティ?
キティ:なに?
ラム:案内されるままについて来たけど……ここ?
キティ:そうだけど?
ラム:僕がお金ないの、わかってるよね?
キティ:? 当たり前でしょ。ラムの生活費出してるの、わたしだし。
ラム:……まぁ、うん。そうだね。きみがいいならいいんだ。うん。
ラム:(そういえばキティって、軍からめっちゃ褒賞もらってるんだよね……)
キティ:(店員に向かって)この人に似合う礼服を。適当に。
ラム:お、お手柔らかにお願いします……。
ラム:(これ一着で生活費三ヶ月分くらいするんだけど……胃が痛いなぁ……)
0:着せ替え人形にされるラム。それを遠巻きに退屈そうに眺めているキティ。
0:数名の店員に声をかけられるが取りつく島もない。
0:しばらくして解放されたラムがキティに近づく。
ラム:はぁ……つっかれたぁ……。
キティ:終わったの? おつかれさま。
ラム:着せ替え人形にされた気分だよ。夢に見そうだ(力なく笑う)
ラム:せっかくだから、キティもなにか買ってみたら?
ラム:さっきからずっと退屈そうだったじゃないか。
キティ:わたしはいい。堅苦しいのは苦手。
ラム:試着くらいならいいんじゃないの?
キティ:どうせ似合わないもの。
ラム:そうかなぁ。この白いドレスとか、似合うと思うけどな。
キティ:え。
ラム:フリルって言うんだっけ。こういうひらひらしたの。
ラム:これを着たキティはさぞかわいいんだろうな。
ラム:(想像して)……うん。お人形さんみたいで、すっごくかわいいと思う。
キティ:……………………………………………………。(とても悩んでいる。ラムのセリフの間じゅう悩んでいてくれてもいいんだよ。)
ラム:せっかくの機会なんだし、一度でいいから、こういうドレスを着ておめかししたキティを見てみたかったよ。
ラム:ま、イヤだって言うならしょうがないね。無理強いはよくないもんね。
キティ:……………………………………………………。(とてもとても悩んでいる。次のセリフまでずっと悩んでry)
ラム:あ。お会計の準備ができたみたいだ。それじゃキティ、悪いんだけど。
キティ:(食い気味に)ちょ、ちょっと待って!
ラム:え? ちょ、キティ!?
0:ドレスをわしづかみにするや、女性店員と一緒に店の奥に消えていくキティ。
ラム:……行っちゃった。どうしたんだろ。気が変わったのかな……。
ラム:ていうか……めっちゃ周りからの視線が痛い……はぁ。
0:間。完全に手持ち無沙汰なラム。
0:しばらくしてようやくキティが戻ってくる。
キティ:お、おまたせ……。
ラム:…………。
0:ドレスを綺麗に着付けられたキティに見惚れるラム。
キティ:ど、どうかな……似合う?
キティ:ぇぅぅ……動きづら……すーすーして落ち着かない……。
ラム:…………。
キティ:ら、ラム……? ど、どうしたの……なにか言ってよ……。
ラム:あ、あー、うん、うん、えっと、あのさ、キティ。
キティ:う、うん? にゃに、じゃない、なんだわん。
ラム:いや、猫とか犬とか、そういう問題じゃないんだけどさ……。
ラム:……ごめん。正直、言葉がなかった。その……見惚れちゃって、さ。
ラム:すごく、きれいだ。かわいい。お姫様みたい。似合ってるよ。
キティ:…………。
0:間。
0:顔を真っ赤にして破顔するキティ。
キティ:えへへ。
0:第三話へ続く。