台本概要
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タイトル | 誘われた先には |
---|---|
作者名 | 明桜 リア (@ria_meiou) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 4人用台本(不問4) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
※グロテスクな表現がございます。 ホラーチックな内容ではあるのかもしれません。 このレストランは貴方を迎え入れるレストラン。 誰でも迎え入れてくれます。 さぁ、入っていらっしゃい。 *使用について* ・使用許可は要りません。 ・配信に使っていただいても構いませんが、もし使うよーって言ってくださったら、飛んで見に行きます。 ・こちらは、商用利用時は一言お声かけください。 ・自作発言はお控えください。 ・一人称、語尾の改変などは可能です。(世界観を壊さない程度によろしくお願いいたします。) 後は、とにかく楽しんで演じてください! 259 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ナレーション | 不問 | 16 | 説明者。語っていくものは一体なんなのだろうか。 |
先輩 | 不問 | 36 | しっかりとした先輩。後輩をちゃんと導こうとしている。バリキャリタイプ。後輩のことを心配しているいい人。 |
後輩 | 不問 | 35 | あっけらかんとしている後輩。好奇心が人よりもあるワンコタイプ。 何かの鍵を握ってる…? |
ウェイター | 不問 | 13 | とあるレストランに一人だけ存在している。強かな雰囲気を持っている。怪しい人物。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
ナレーション:そこはある料理店。
ナレーション:人は皆、秘境のレストランと呼ぶ。
ナレーション:料理は不思議なものが溢れ出る。
ナレーション:誰も見なことがないものが来るという。
ナレーション:しかし、それは決して外に*漏《も》れることは無い。
ナレーション:どんな物が出てくるのかも、どんなところにあるのかもわからない。
0:
ナレーション:さぁ、今日のお客さんはどんな方?
0:
後輩:あー!!疲れたぁ!!!
先輩:コラコラ、まだ山の中*腹《ちゅふく》辺りだぞ。
先輩:しっかりしなさい。
後輩:もう動くの無理ですよ…。
後輩:はぁ…ん?…あ、先輩。
先輩:どうした?どこか痛めた?
後輩:疲れてはいますが、痛めてはないです。
後輩:そうじゃなくて、左側に看板たってますよ?
先輩:看板?そんなのさっきあったか?
後輩:覚えてないですが…なんか、書いてるの見てる感じ、レストランっぽいですよ。
先輩:レストラン…?こんな所に?
後輩:行ってみませんか?休憩がてらに!
先輩:いや、こんな所にあるレストランなんて怪しい。
後輩:きっと俺たちみたいな登山初心者の人が来れるようにしてるんですよ!
先輩:そんな事ないだろうに…。
後輩:いいから!行きましょ!!早く早く!
先輩:分かった、分かったから押すな。
0:
ナレーション:2人はそう言いながら、左手側にある*鬱蒼《うっそう》とした道を進んでいく。
ナレーション:参道のような道は、多くの木々に*覆《おお》われている。
0:
先輩:おい、大丈夫なのか?進んでいって…。
後輩:きっと大丈夫ですよ!…多分!
先輩:お前のその言葉は不安しかない…。
後輩:あ!見えてきましたよ!
先輩:本当にあったのか…。
0:
ナレーション:鬱蒼とした森の先にあったのは、ポツンと佇む古民家。
ナレーション:だが、お世辞にも綺麗とは言えない。
ナレーション:改装はされてるようには見えず、ツタに絡まれ今にも崩れそうだった。
ナレーション:決して、レストランとは思えない。
0:
先輩:…ほ、本当にここがレストラン…なのか…?
後輩:そうなんじゃないですか?まぁ、入ってみましょ!!
先輩:お、おい!!待て!!警戒心を持て!!
0:
ナレーション:先輩の静止も聞かず、後輩はボロボロで空くかも分からない引き戸をガタガタといわせながら、強引に開けようとする。
ナレーション:後輩が格闘すること数分で何とか扉が開く。
ナレーション:開いた事に喜びを覚えた後輩は、中へと陽気に入っていった。
0:
後輩:おじゃましまーす!
先輩:だから、待たないか…!って、おや…?
0:
ナレーション:見た目のオンボロさとは相まって、中は西洋風の店内になっていた。
ナレーション:それだけは無い。外観よりも中のホールとても広々としている。
ナレーション:奥がどこにあるのかが分からない程に。
0:
先輩:何故こんなにも広いんだ…。外観はボロ小屋だったはず…。
後輩:おぉー…すごいっすね…。
ウェイター:いらっしゃいませ。
先輩:うわ!い、いつの間に居たんだ!?
後輩:何言ってんすか、最初からいましたよ。
先輩:そんな…気が付かなかったぞ…。
後輩:疲れてるんですよ。
ウェイター:何名様でしょうか?
後輩:あ、2名で。ローストビーフな感じの焼き加減で、後、裏メニューお願いしまぁす。
ウェイター:かしこまりました。では、お席にご案内させていただきます。
後輩:よろしくお願いしまーす!
先輩:ちょ、ちょっと待て!
0:
ナレーション:ウェイターに着いて行こうとする後輩を先輩が慌てた様子で止める。
ナレーション:そんな先輩を面倒くさそうに後輩は見つめた。
0:
後輩:なんですか?腹減ったから食べたいんすけど…。
先輩:気持ちはわかるが、ここは危ないのではないか!?
先輩:まるで、変な場所に迷い込んだような…。
先輩:それと君は前に来たことがあるような口ぶりだったが、そうなのか?
後輩:そんなわけないじゃないですかぁ!
後輩:何となくそれっぽい事を言っただけ!
後輩:と言うのは嘘で、入り口のメニューに書いていたんですよ。それを言ってみただけです!
先輩:本当に…そうなのか…?
後輩:当たり前じゃないですか!!
後輩:それよりも、早く行きましょ!腹減りましたぁ…。
先輩:(ため息)わかった…。彼について行こう。
ウェイター:お話は終わりましたでしょうか?
先輩:あ、あぁ…。
ウェイター:それは、ようございました。
ウェイター:では、ご案内致します。
0:
ナレーション:ウェイターは戸惑っている先輩を気にすることなく、席に案内をしていく。
ナレーション:後輩は嬉しそうに、先輩は恐る恐るウェイターに着いて行った。
ナレーション:案内された席は、*迎賓館《げいひんかん》にありそうなほど*絢爛豪華《けんらんごうか》ナイスに丸型のテーブルには上に白のテーブルクロスの下から赤のテーブルクロスが見えている。
ナレーション:想像を超えるほど豪華な椅子と机に2人は別々の反応をした。
0:
後輩:うわぁ!!すっごいすねぇ!!
先輩:ほ、本当だな…。これほどの机で食べる事なんてない…。
先輩:どうやって、ここに運んできたんだ…。
ウェイター:喜んでいただけたようで何よりでございます。
ウェイター:では、料理をお運びいたしますので、お待ち下さい。
後輩:お願いします!
ウェイター:それでは。
0:
ナレーション:ウェイターは小さく*お辞儀《おじぎ》をした後、広いホールの奥の方へと去っていった。
ナレーション:ウェイターを見送った後、焦った様に先輩が後輩に詰め寄る。
0:
先輩:本当に大丈夫なんだろうな…!!
後輩:きっと大丈夫ですって!!…そんな怖い事なんて起きませんよ…。
先輩:ん?…今何か言ったか?
後輩:え?何も言ってませんって!
後輩:何が来るか楽しみですね!!
先輩:あ、あぁ…そう、だな…。
0:
ナレーション:会話の後に、二人はソワソワとしていた。
ナレーション:方や楽しそうに、方やおびえたように。
ナレーション:そこからは会話もせず待っていると、ウェイターが二つのお皿の上に大きな何かを黒い布で覆った状態で二人に運んできた。
0:
ウェイター:お待たせいたしました。前を失礼致します。
ウェイター:こちらがご注文いただいたウェルダンの『あの』お肉を使った料理にございます。
後輩:え?俺、そんなこと言いましたっけ…?
先輩:何を言ってるんだ、自分の言ったことを忘れたのか?
後輩:そんなはずないんすけど…まぁいっか!!
後輩:うーん、なんかいい匂いしますね!!
先輩:あぁ…そうだな…。
先輩:ウェイター、頼めるか?
後輩:え?
ウェイター:かしこまりました。
0:
ナレーション:突然、冷静になりウェイターに頼む先輩を見て、今度は後輩が困惑する。
ナレーション:そんな後輩をウェイターは置き去りにして、布を取る。
ナレーション:そこには、おぞましい光景が広がっていた。
0:
後輩:うっ…!!おえっ…ゲホッゲホッ…!!
先輩:どうしたんだ?
先輩:君が望んでいた料理が来たぞ?
先輩:早く食べるといい。
後輩:こ、こんなの…食べられるわけが無い…!!!
先輩:こんなのとは失礼ではないか。
先輩:さぁ、食べなさい。この、とても良い表情をしている顔を!!
0:
ナレーション:先程とは打って変わる先輩。
ナレーション:後輩が吐くのも無理がないと言えよう。
ナレーション:二人の前に出されたのは、少し焼かれた状態にされた怯えた表情をしている人の顔であったのだから。
0:
ウェイター:なんと素晴らしい反応なのでしょうか。
ウェイター:そうですよね、オーナー。
先輩:あぁ、そうだな。
先輩:こういう表情が見られるから、怯えた振りをしてここへ連れてくるのは止められないなぁ…。
ウェイター:左様でございますね。
後輩:あ、あんた…何言って…
先輩:あぁ、言ってなかったね。
先輩:ここは人肉専門レストラン、『カニバライゼンション』。
先輩:そして…私がここのオーナーだ。
後輩:そんな…!!先輩がオーナーだって!?
後輩:こんなところにお店があるなんて、確かにおかしいとは思ったけど…何でか好奇心が前に出でて、何も考えずに入って目の前のメニューを読み、上げ…た…って、まさか…!
0:
ナレーション:絶望の表情を向ける後輩に先輩である者は、いや、先輩であった者は*恍惚《こうこつ》な表情をしている。
ナレーション:暫く見つめあっていると、この店のオーナーがゆっくりと口を開いた。
0:
先輩:気がついたか?
先輩:そうだ。私が君の気が付かないうちに誘導していた。
先輩:まるで、自らの意思で言っているように。
後輩:そんな…。
先輩:よく思い出してみるといい。ここまでの記憶はどれくらいあるのか。
後輩:そんなの!…あ、あれ…どうやって、ここまで来たんだ…?
先輩:君は全て私の*掌《てのひら》の中にいたんだよ。
先輩:最初から全て…ね。
後輩:どうして、こんなことを…。
先輩:私は人の絶望した表情や怯えた表情がとても好みなんだよ。そして、その人間達を美味しくいただくこと、それが美学だ!
ウェイター:オーナーのいう通りです。
後輩:く、狂ってる…!
先輩:狂ってる?何を言っている!!これは芸術だ!
先輩:さぁ…君も芸術になろう…。ウェイター。
ウェイター:かしこまりした。
ウェイター:では、失礼致します。お客様。
後輩:や、やめ…!うわぁぁぁぁぁぁ!!!
ナレーション:ここは狂気のレストラン。
ナレーション:踏み入れたら最後、出ることは叶いません。
ナレーション:ここは*殺戮《さつりく》のレストラン。
ナレーション:案内人にお気をつけください。
ナレーション:連れられたら、*終の道《ついのみち》。
ナレーション:行きは良い良い、帰りは怖い。
ナレーション:それでも興味がおありなら、行ってみなさい。
0:
ナレーション:きっと、あなたは皿の…。
0:
ナレーション:いえ、料理の一部となりましょう。
0:
0:
ナレーション:そこはある料理店。
ナレーション:人は皆、秘境のレストランと呼ぶ。
ナレーション:料理は不思議なものが溢れ出る。
ナレーション:誰も見なことがないものが来るという。
ナレーション:しかし、それは決して外に*漏《も》れることは無い。
ナレーション:どんな物が出てくるのかも、どんなところにあるのかもわからない。
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ナレーション:さぁ、今日のお客さんはどんな方?
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後輩:あー!!疲れたぁ!!!
先輩:コラコラ、まだ山の中*腹《ちゅふく》辺りだぞ。
先輩:しっかりしなさい。
後輩:もう動くの無理ですよ…。
後輩:はぁ…ん?…あ、先輩。
先輩:どうした?どこか痛めた?
後輩:疲れてはいますが、痛めてはないです。
後輩:そうじゃなくて、左側に看板たってますよ?
先輩:看板?そんなのさっきあったか?
後輩:覚えてないですが…なんか、書いてるの見てる感じ、レストランっぽいですよ。
先輩:レストラン…?こんな所に?
後輩:行ってみませんか?休憩がてらに!
先輩:いや、こんな所にあるレストランなんて怪しい。
後輩:きっと俺たちみたいな登山初心者の人が来れるようにしてるんですよ!
先輩:そんな事ないだろうに…。
後輩:いいから!行きましょ!!早く早く!
先輩:分かった、分かったから押すな。
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ナレーション:2人はそう言いながら、左手側にある*鬱蒼《うっそう》とした道を進んでいく。
ナレーション:参道のような道は、多くの木々に*覆《おお》われている。
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先輩:おい、大丈夫なのか?進んでいって…。
後輩:きっと大丈夫ですよ!…多分!
先輩:お前のその言葉は不安しかない…。
後輩:あ!見えてきましたよ!
先輩:本当にあったのか…。
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ナレーション:鬱蒼とした森の先にあったのは、ポツンと佇む古民家。
ナレーション:だが、お世辞にも綺麗とは言えない。
ナレーション:改装はされてるようには見えず、ツタに絡まれ今にも崩れそうだった。
ナレーション:決して、レストランとは思えない。
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先輩:…ほ、本当にここがレストラン…なのか…?
後輩:そうなんじゃないですか?まぁ、入ってみましょ!!
先輩:お、おい!!待て!!警戒心を持て!!
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ナレーション:先輩の静止も聞かず、後輩はボロボロで空くかも分からない引き戸をガタガタといわせながら、強引に開けようとする。
ナレーション:後輩が格闘すること数分で何とか扉が開く。
ナレーション:開いた事に喜びを覚えた後輩は、中へと陽気に入っていった。
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後輩:おじゃましまーす!
先輩:だから、待たないか…!って、おや…?
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ナレーション:見た目のオンボロさとは相まって、中は西洋風の店内になっていた。
ナレーション:それだけは無い。外観よりも中のホールとても広々としている。
ナレーション:奥がどこにあるのかが分からない程に。
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先輩:何故こんなにも広いんだ…。外観はボロ小屋だったはず…。
後輩:おぉー…すごいっすね…。
ウェイター:いらっしゃいませ。
先輩:うわ!い、いつの間に居たんだ!?
後輩:何言ってんすか、最初からいましたよ。
先輩:そんな…気が付かなかったぞ…。
後輩:疲れてるんですよ。
ウェイター:何名様でしょうか?
後輩:あ、2名で。ローストビーフな感じの焼き加減で、後、裏メニューお願いしまぁす。
ウェイター:かしこまりました。では、お席にご案内させていただきます。
後輩:よろしくお願いしまーす!
先輩:ちょ、ちょっと待て!
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ナレーション:ウェイターに着いて行こうとする後輩を先輩が慌てた様子で止める。
ナレーション:そんな先輩を面倒くさそうに後輩は見つめた。
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後輩:なんですか?腹減ったから食べたいんすけど…。
先輩:気持ちはわかるが、ここは危ないのではないか!?
先輩:まるで、変な場所に迷い込んだような…。
先輩:それと君は前に来たことがあるような口ぶりだったが、そうなのか?
後輩:そんなわけないじゃないですかぁ!
後輩:何となくそれっぽい事を言っただけ!
後輩:と言うのは嘘で、入り口のメニューに書いていたんですよ。それを言ってみただけです!
先輩:本当に…そうなのか…?
後輩:当たり前じゃないですか!!
後輩:それよりも、早く行きましょ!腹減りましたぁ…。
先輩:(ため息)わかった…。彼について行こう。
ウェイター:お話は終わりましたでしょうか?
先輩:あ、あぁ…。
ウェイター:それは、ようございました。
ウェイター:では、ご案内致します。
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ナレーション:ウェイターは戸惑っている先輩を気にすることなく、席に案内をしていく。
ナレーション:後輩は嬉しそうに、先輩は恐る恐るウェイターに着いて行った。
ナレーション:案内された席は、*迎賓館《げいひんかん》にありそうなほど*絢爛豪華《けんらんごうか》ナイスに丸型のテーブルには上に白のテーブルクロスの下から赤のテーブルクロスが見えている。
ナレーション:想像を超えるほど豪華な椅子と机に2人は別々の反応をした。
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後輩:うわぁ!!すっごいすねぇ!!
先輩:ほ、本当だな…。これほどの机で食べる事なんてない…。
先輩:どうやって、ここに運んできたんだ…。
ウェイター:喜んでいただけたようで何よりでございます。
ウェイター:では、料理をお運びいたしますので、お待ち下さい。
後輩:お願いします!
ウェイター:それでは。
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ナレーション:ウェイターは小さく*お辞儀《おじぎ》をした後、広いホールの奥の方へと去っていった。
ナレーション:ウェイターを見送った後、焦った様に先輩が後輩に詰め寄る。
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先輩:本当に大丈夫なんだろうな…!!
後輩:きっと大丈夫ですって!!…そんな怖い事なんて起きませんよ…。
先輩:ん?…今何か言ったか?
後輩:え?何も言ってませんって!
後輩:何が来るか楽しみですね!!
先輩:あ、あぁ…そう、だな…。
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ナレーション:会話の後に、二人はソワソワとしていた。
ナレーション:方や楽しそうに、方やおびえたように。
ナレーション:そこからは会話もせず待っていると、ウェイターが二つのお皿の上に大きな何かを黒い布で覆った状態で二人に運んできた。
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ウェイター:お待たせいたしました。前を失礼致します。
ウェイター:こちらがご注文いただいたウェルダンの『あの』お肉を使った料理にございます。
後輩:え?俺、そんなこと言いましたっけ…?
先輩:何を言ってるんだ、自分の言ったことを忘れたのか?
後輩:そんなはずないんすけど…まぁいっか!!
後輩:うーん、なんかいい匂いしますね!!
先輩:あぁ…そうだな…。
先輩:ウェイター、頼めるか?
後輩:え?
ウェイター:かしこまりました。
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ナレーション:突然、冷静になりウェイターに頼む先輩を見て、今度は後輩が困惑する。
ナレーション:そんな後輩をウェイターは置き去りにして、布を取る。
ナレーション:そこには、おぞましい光景が広がっていた。
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後輩:うっ…!!おえっ…ゲホッゲホッ…!!
先輩:どうしたんだ?
先輩:君が望んでいた料理が来たぞ?
先輩:早く食べるといい。
後輩:こ、こんなの…食べられるわけが無い…!!!
先輩:こんなのとは失礼ではないか。
先輩:さぁ、食べなさい。この、とても良い表情をしている顔を!!
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ナレーション:先程とは打って変わる先輩。
ナレーション:後輩が吐くのも無理がないと言えよう。
ナレーション:二人の前に出されたのは、少し焼かれた状態にされた怯えた表情をしている人の顔であったのだから。
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ウェイター:なんと素晴らしい反応なのでしょうか。
ウェイター:そうですよね、オーナー。
先輩:あぁ、そうだな。
先輩:こういう表情が見られるから、怯えた振りをしてここへ連れてくるのは止められないなぁ…。
ウェイター:左様でございますね。
後輩:あ、あんた…何言って…
先輩:あぁ、言ってなかったね。
先輩:ここは人肉専門レストラン、『カニバライゼンション』。
先輩:そして…私がここのオーナーだ。
後輩:そんな…!!先輩がオーナーだって!?
後輩:こんなところにお店があるなんて、確かにおかしいとは思ったけど…何でか好奇心が前に出でて、何も考えずに入って目の前のメニューを読み、上げ…た…って、まさか…!
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ナレーション:絶望の表情を向ける後輩に先輩である者は、いや、先輩であった者は*恍惚《こうこつ》な表情をしている。
ナレーション:暫く見つめあっていると、この店のオーナーがゆっくりと口を開いた。
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先輩:気がついたか?
先輩:そうだ。私が君の気が付かないうちに誘導していた。
先輩:まるで、自らの意思で言っているように。
後輩:そんな…。
先輩:よく思い出してみるといい。ここまでの記憶はどれくらいあるのか。
後輩:そんなの!…あ、あれ…どうやって、ここまで来たんだ…?
先輩:君は全て私の*掌《てのひら》の中にいたんだよ。
先輩:最初から全て…ね。
後輩:どうして、こんなことを…。
先輩:私は人の絶望した表情や怯えた表情がとても好みなんだよ。そして、その人間達を美味しくいただくこと、それが美学だ!
ウェイター:オーナーのいう通りです。
後輩:く、狂ってる…!
先輩:狂ってる?何を言っている!!これは芸術だ!
先輩:さぁ…君も芸術になろう…。ウェイター。
ウェイター:かしこまりした。
ウェイター:では、失礼致します。お客様。
後輩:や、やめ…!うわぁぁぁぁぁぁ!!!
ナレーション:ここは狂気のレストラン。
ナレーション:踏み入れたら最後、出ることは叶いません。
ナレーション:ここは*殺戮《さつりく》のレストラン。
ナレーション:案内人にお気をつけください。
ナレーション:連れられたら、*終の道《ついのみち》。
ナレーション:行きは良い良い、帰りは怖い。
ナレーション:それでも興味がおありなら、行ってみなさい。
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ナレーション:きっと、あなたは皿の…。
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ナレーション:いえ、料理の一部となりましょう。
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