台本概要
265 views
タイトル | 零れ落ちた一輪花 |
---|---|
作者名 | 幸重 (@yukie80508241) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女1、不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
役者を目指す樹(いつき)と、その夢を支える美花(みか)。 しかし運命はそんな二人に冷たかった。 10分程度のラブ?ストーリーです。 演者様の性別不問。 265 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
樹 | 男 | 31 | いつき。美花の恋人。役者を目指している。 |
美花 | 女 | 19 | みか。樹の恋人。働きながら樹の夢を応援している。 |
??? | 不問 | 22 | ねぇ、あなたの望みは何? 性別不問。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
???:ねぇ、あなたの望みは何?
???:さあ、言ってごらん?
???:言えないの?それとも言いたくないのかな?
???:まずは思い出してみようか。あなたの望みを―
:
:
:
:
:
美花:おはよう。
美花:…どうしたの?ぼーっとして。ほら、朝ごはん食べようよ。
美花:ねぇ、樹?
:
樹:美花…。
樹:美花…!(美花を抱きしめる)会いたかった!会いたかったんだ…!
:
美花:え、ちょっと樹!?
美花:どうしちゃったの?怖い夢でも見たの?
美花:よしよし、大丈夫だよー。
:
樹:美花…。
樹:怖い夢…そうだね。怖い夢を見ていたんだ。
樹:君が、いなくなってしまう夢を…。
:
美花:あら、そうだったのね。
美花:ふふ、酷い夢を見ちゃったね。
美花:でもそんなに取り乱してくれるなら、あなたには悪いけど、ちょっとうれしくなっちゃうかも。
美花:愛されてるなって。
:
樹:愛してるよ。美花、君を、愛してる。
樹:だから、いなくならないでくれ…。
:
美花:ふふ、大丈夫。私はいなくなったりなんかしないわ。
美花:ずっと樹と一緒。
美花:…ね?
美花:それよりも。
美花:ほらほら、早く朝ごはん食べて支度しないと稽古に遅れちゃうよ!
:
樹:あ、ああ。
樹:そうか。そうだった…。
:
???:そうだよ。君は今度はどちらを選ぶのかな…?
:
樹:!お前は…。
樹:美花!美花は!?
:
???:大丈夫。ちゃんと君のそばにいるさ。今は、ね…?
???:それよりもいいの?大事な大事な稽古に遅刻しちゃうよ…?
:
樹:そうだ、稽古。稽古に行かなくちゃ…。
樹:…え。
樹:いや、俺は…俺は……。
:
美花:樹?いーつーきー?
:
樹:!美花!?
樹:俺は、一体何を見て…?
:
美花:もー、樹ってばまだ寝ぼけてるの?
美花:本当に遅刻しちゃうよー?
:
樹:ご、ごめん!すぐに支度する!!
:
:
:
???:樹と美花。
???:二人は恋人同士。
???:樹は役者を目指し、美花は働いてそんな樹を支えていた。
???:けれども二人は…。
???:くくく。さて、どんな結末になるんだろうねぇ?
:
:
:
樹:はぁ、今日の稽古もダメダメだったな…。
樹:最初はただ芝居をすることが楽しかったはずなのに…。
樹:最近は、なんだろう。空虚な感じがする。
樹:自分が空っぽな人間なんだと、思い知らされる…。
樹:こんなんじゃ…駄目だよな。
樹:俺の夢を応援してくれている美花のためにも、もっとがんばらなきゃ…。
樹:ただいまー。
:
美花:おかえり。
美花:外、寒かったでしょ?まずはお風呂に入って温まってよ。
:
樹:ありがとう。
樹:いい匂い…。この匂いは…シチュー?
:
美花:正解!
美花:今日は寒いから温まるようにって思って。
美花:たくさん作ったから、しっかり食べてね。
美花:樹、最近食欲落ちてるみたいだし…。
:
樹:そ、そうかな…?
:
美花:そうだよ!
美花:何か、嫌なことでもあった?
美花:私、話聞くよ?
美花:ねぇ、悩んでることがあったら、聞かせてよ。
:
樹:…実は…っくしゅんっ。
:
美花:あ、ごめん!
美花:まずはお風呂入って温まってきて!
美花:それでご飯食べてから、ゆっくりお話ししよう?
:
樹:そう、だな。
樹:ありがとう。風呂、入ってくる。
:
:
:
???:そう、あなたは話をすることに決めた。
???:心に留めていたことを打ち明けることに決めた。
???:さあ、それからどうなった?
:
:
:
樹:あの、さ。俺、最近思うんだよね…。
樹:役者、向いてないんじゃないかって…。
:
美花:そんなことない!!
:
樹:そう言ってくれるのは嬉しい。ありがとう。
樹:でも、さ。
樹:最初は、ただ演じることが楽しかった。
樹:けど、そのうちそれだけじゃ駄目なんだって気づいた。
樹:今更だよな。
樹:こんなにも美花に支えてもらってるのに…。
:
美花:私のことはいいの!
美花:私が樹の夢を応援したいの!!
:
樹:いいわけない!!
樹:美花にばっか働かせて、自分は好きなことばっかやって…。
樹:そのくせ芽なんて全然出なくて…。
樹:そんなの…そんなのいいわけがないんだよ…。
:
美花:…役者目指すの、嫌になっちゃった?
:
樹:…ならない。嫌になんてなれないんだ。
樹:全く役をもらえなくても。
樹:自分が空っぽな人間だって思い知らされても。
樹:…美花に迷惑をかけてるってわかっていても…。
樹:それでも、俺は役者になる夢を捨てられない…!!
:
美花:なら、いいじゃん。
:
樹:美花…?
:
美花:目指そうよ。夢、追いかけようよ。
美花:正直、私には夢なんてないから、樹の気持ち、ちゃんとわかってあげられないかもしれない。
美花:けど、私は夢を追いかけてる樹が好き。
美花:情けなくて、みっともなくて、結果を出せなかったとしても、諦めないあなたが好き。
:
樹:美花…。
樹:ありがとう。
樹:美花がいてくれるからこそ、俺はがんばれるんだと思う。
:
:
:
???:そう、美花さんがいるからこそあなたはがんばれる。
:
樹:!お前…。
:
???:では、もしも美花さんがいなくなったら?
???:どうなるのでしょうねぇ…?
:
樹:美花が、いなくなる?そんなわけっ…ぁ。
:
???:思い出しましたか?
:
樹:そんな、そんな…。
:
???:ええ、美花さんはもう、亡くなっておりますねぇ。
:
樹:嘘、だ…。
:
???:嘘なんかじゃありませんよ。ええ!
???:あなたは!美花さんが交通事故に遭い!瀕死の重傷なのにもかかわらず!
:
樹:ぁ、ぁぁぁ…。
:
???:ようやく与えられた舞台を諦められず!
:
樹:嫌だ、やめてくれ…。
:
???:美花さんを見捨てたのです!!
:
樹:ああああああああ!!
樹:そう、そうだ…。
樹:俺がすぐ駆けつけていれば。輸血が間に合っていれば。
樹:美花は、助かっていたかもしれない…。
樹:俺が、俺が美花を殺したんだ…。
:
???:思い出しましたね?
???:さあ、あなたの望みは何ですか?
???:役者として成功すること?それとも…。
???:美花さんを取り戻すこと?
:
樹:そんなの決まってる!
:
???:本当に?
???:美花さんを選んだ時、役者になるという夢を完全に失うとしても…?
:
樹:…え?
:
???:ふふふ、迷いましたね?
:
樹:ち、違う!!
:
???:違わないでしょう?
???:現にあなたは美花さんと夢とを秤にかけ、あまつさえ夢を選ぼうとした。
???:違いますか?
:
樹:違わない。その通りだ。
樹:けど!今度は間違えない!!
:
???:ふふふ、あははははははははは!!
???:今度?また今度があると?
???:まさか、やり直せるなどと思っているのですか?
???:できるわけないでしょう?
???:時間は戻らない!死人は生き返らない!!
???:あなたは最愛の人を失った苦しみを抱えて生きていくのです!!
:
樹:そんな…。
樹:美花、美花…。嘘だと言ってくれ……。
樹:あの日、きちんと君を選んでいたら。選べていたら…。
樹:ああああああああ。
:
:
:
:
:
???:これで、満足ですか?
:
美花:ええ、これで、私は樹の中に永遠に残れるでしょう。
:
???:いいのですか?
:
美花:…これが、私の望みだもの。
美花:樹の中で、私は永遠に生き続けるの。
美花:エゴだと嗤えばいいわ。
:
???:いいえ、嗤うなど。
:
美花:そう。それじゃ私は行くわね。
:
???:ええ、ご利用ありがとうございました。
:
美花:さようなら、悪魔さん。
:
:
:
:
:
???:零れ落ちた一輪花。
???:それが地に落ちた時。
???:その花を、美しいと思えるのでしょうか…?
:
:
:
:
:
0:終。
???:ねぇ、あなたの望みは何?
???:さあ、言ってごらん?
???:言えないの?それとも言いたくないのかな?
???:まずは思い出してみようか。あなたの望みを―
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:
美花:おはよう。
美花:…どうしたの?ぼーっとして。ほら、朝ごはん食べようよ。
美花:ねぇ、樹?
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樹:美花…。
樹:美花…!(美花を抱きしめる)会いたかった!会いたかったんだ…!
:
美花:え、ちょっと樹!?
美花:どうしちゃったの?怖い夢でも見たの?
美花:よしよし、大丈夫だよー。
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樹:美花…。
樹:怖い夢…そうだね。怖い夢を見ていたんだ。
樹:君が、いなくなってしまう夢を…。
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美花:あら、そうだったのね。
美花:ふふ、酷い夢を見ちゃったね。
美花:でもそんなに取り乱してくれるなら、あなたには悪いけど、ちょっとうれしくなっちゃうかも。
美花:愛されてるなって。
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樹:愛してるよ。美花、君を、愛してる。
樹:だから、いなくならないでくれ…。
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美花:ふふ、大丈夫。私はいなくなったりなんかしないわ。
美花:ずっと樹と一緒。
美花:…ね?
美花:それよりも。
美花:ほらほら、早く朝ごはん食べて支度しないと稽古に遅れちゃうよ!
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樹:あ、ああ。
樹:そうか。そうだった…。
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???:そうだよ。君は今度はどちらを選ぶのかな…?
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樹:!お前は…。
樹:美花!美花は!?
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???:大丈夫。ちゃんと君のそばにいるさ。今は、ね…?
???:それよりもいいの?大事な大事な稽古に遅刻しちゃうよ…?
:
樹:そうだ、稽古。稽古に行かなくちゃ…。
樹:…え。
樹:いや、俺は…俺は……。
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美花:樹?いーつーきー?
:
樹:!美花!?
樹:俺は、一体何を見て…?
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美花:もー、樹ってばまだ寝ぼけてるの?
美花:本当に遅刻しちゃうよー?
:
樹:ご、ごめん!すぐに支度する!!
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???:樹と美花。
???:二人は恋人同士。
???:樹は役者を目指し、美花は働いてそんな樹を支えていた。
???:けれども二人は…。
???:くくく。さて、どんな結末になるんだろうねぇ?
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:
樹:はぁ、今日の稽古もダメダメだったな…。
樹:最初はただ芝居をすることが楽しかったはずなのに…。
樹:最近は、なんだろう。空虚な感じがする。
樹:自分が空っぽな人間なんだと、思い知らされる…。
樹:こんなんじゃ…駄目だよな。
樹:俺の夢を応援してくれている美花のためにも、もっとがんばらなきゃ…。
樹:ただいまー。
:
美花:おかえり。
美花:外、寒かったでしょ?まずはお風呂に入って温まってよ。
:
樹:ありがとう。
樹:いい匂い…。この匂いは…シチュー?
:
美花:正解!
美花:今日は寒いから温まるようにって思って。
美花:たくさん作ったから、しっかり食べてね。
美花:樹、最近食欲落ちてるみたいだし…。
:
樹:そ、そうかな…?
:
美花:そうだよ!
美花:何か、嫌なことでもあった?
美花:私、話聞くよ?
美花:ねぇ、悩んでることがあったら、聞かせてよ。
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樹:…実は…っくしゅんっ。
:
美花:あ、ごめん!
美花:まずはお風呂入って温まってきて!
美花:それでご飯食べてから、ゆっくりお話ししよう?
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樹:そう、だな。
樹:ありがとう。風呂、入ってくる。
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???:そう、あなたは話をすることに決めた。
???:心に留めていたことを打ち明けることに決めた。
???:さあ、それからどうなった?
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樹:あの、さ。俺、最近思うんだよね…。
樹:役者、向いてないんじゃないかって…。
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美花:そんなことない!!
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樹:そう言ってくれるのは嬉しい。ありがとう。
樹:でも、さ。
樹:最初は、ただ演じることが楽しかった。
樹:けど、そのうちそれだけじゃ駄目なんだって気づいた。
樹:今更だよな。
樹:こんなにも美花に支えてもらってるのに…。
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美花:私のことはいいの!
美花:私が樹の夢を応援したいの!!
:
樹:いいわけない!!
樹:美花にばっか働かせて、自分は好きなことばっかやって…。
樹:そのくせ芽なんて全然出なくて…。
樹:そんなの…そんなのいいわけがないんだよ…。
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美花:…役者目指すの、嫌になっちゃった?
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樹:…ならない。嫌になんてなれないんだ。
樹:全く役をもらえなくても。
樹:自分が空っぽな人間だって思い知らされても。
樹:…美花に迷惑をかけてるってわかっていても…。
樹:それでも、俺は役者になる夢を捨てられない…!!
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美花:なら、いいじゃん。
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樹:美花…?
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美花:目指そうよ。夢、追いかけようよ。
美花:正直、私には夢なんてないから、樹の気持ち、ちゃんとわかってあげられないかもしれない。
美花:けど、私は夢を追いかけてる樹が好き。
美花:情けなくて、みっともなくて、結果を出せなかったとしても、諦めないあなたが好き。
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樹:美花…。
樹:ありがとう。
樹:美花がいてくれるからこそ、俺はがんばれるんだと思う。
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???:そう、美花さんがいるからこそあなたはがんばれる。
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樹:!お前…。
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???:では、もしも美花さんがいなくなったら?
???:どうなるのでしょうねぇ…?
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樹:美花が、いなくなる?そんなわけっ…ぁ。
:
???:思い出しましたか?
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樹:そんな、そんな…。
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???:ええ、美花さんはもう、亡くなっておりますねぇ。
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樹:嘘、だ…。
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???:嘘なんかじゃありませんよ。ええ!
???:あなたは!美花さんが交通事故に遭い!瀕死の重傷なのにもかかわらず!
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樹:ぁ、ぁぁぁ…。
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???:ようやく与えられた舞台を諦められず!
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樹:嫌だ、やめてくれ…。
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???:美花さんを見捨てたのです!!
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樹:ああああああああ!!
樹:そう、そうだ…。
樹:俺がすぐ駆けつけていれば。輸血が間に合っていれば。
樹:美花は、助かっていたかもしれない…。
樹:俺が、俺が美花を殺したんだ…。
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???:思い出しましたね?
???:さあ、あなたの望みは何ですか?
???:役者として成功すること?それとも…。
???:美花さんを取り戻すこと?
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樹:そんなの決まってる!
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???:本当に?
???:美花さんを選んだ時、役者になるという夢を完全に失うとしても…?
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樹:…え?
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???:ふふふ、迷いましたね?
:
樹:ち、違う!!
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???:違わないでしょう?
???:現にあなたは美花さんと夢とを秤にかけ、あまつさえ夢を選ぼうとした。
???:違いますか?
:
樹:違わない。その通りだ。
樹:けど!今度は間違えない!!
:
???:ふふふ、あははははははははは!!
???:今度?また今度があると?
???:まさか、やり直せるなどと思っているのですか?
???:できるわけないでしょう?
???:時間は戻らない!死人は生き返らない!!
???:あなたは最愛の人を失った苦しみを抱えて生きていくのです!!
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樹:そんな…。
樹:美花、美花…。嘘だと言ってくれ……。
樹:あの日、きちんと君を選んでいたら。選べていたら…。
樹:ああああああああ。
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???:これで、満足ですか?
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美花:ええ、これで、私は樹の中に永遠に残れるでしょう。
:
???:いいのですか?
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美花:…これが、私の望みだもの。
美花:樹の中で、私は永遠に生き続けるの。
美花:エゴだと嗤えばいいわ。
:
???:いいえ、嗤うなど。
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美花:そう。それじゃ私は行くわね。
:
???:ええ、ご利用ありがとうございました。
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美花:さようなら、悪魔さん。
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???:零れ落ちた一輪花。
???:それが地に落ちた時。
???:その花を、美しいと思えるのでしょうか…?
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0:終。