台本概要

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タイトル 零れ落ちた一輪花
作者名 幸重  (@yukie80508241)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 役者を目指す樹(いつき)と、その夢を支える美花(みか)。
しかし運命はそんな二人に冷たかった。


10分程度のラブ?ストーリーです。

演者様の性別不問。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
31 いつき。美花の恋人。役者を目指している。
美花 19 みか。樹の恋人。働きながら樹の夢を応援している。
??? 不問 22 ねぇ、あなたの望みは何? 性別不問。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
???:ねぇ、あなたの望みは何? ???:さあ、言ってごらん? ???:言えないの?それとも言いたくないのかな? ???:まずは思い出してみようか。あなたの望みを― : : : : : 美花:おはよう。 美花:…どうしたの?ぼーっとして。ほら、朝ごはん食べようよ。 美花:ねぇ、樹? : 樹:美花…。 樹:美花…!(美花を抱きしめる)会いたかった!会いたかったんだ…! : 美花:え、ちょっと樹!? 美花:どうしちゃったの?怖い夢でも見たの? 美花:よしよし、大丈夫だよー。 : 樹:美花…。 樹:怖い夢…そうだね。怖い夢を見ていたんだ。 樹:君が、いなくなってしまう夢を…。 : 美花:あら、そうだったのね。 美花:ふふ、酷い夢を見ちゃったね。 美花:でもそんなに取り乱してくれるなら、あなたには悪いけど、ちょっとうれしくなっちゃうかも。 美花:愛されてるなって。 : 樹:愛してるよ。美花、君を、愛してる。 樹:だから、いなくならないでくれ…。 : 美花:ふふ、大丈夫。私はいなくなったりなんかしないわ。 美花:ずっと樹と一緒。 美花:…ね? 美花:それよりも。 美花:ほらほら、早く朝ごはん食べて支度しないと稽古に遅れちゃうよ! : 樹:あ、ああ。 樹:そうか。そうだった…。 : ???:そうだよ。君は今度はどちらを選ぶのかな…? : 樹:!お前は…。 樹:美花!美花は!? : ???:大丈夫。ちゃんと君のそばにいるさ。今は、ね…? ???:それよりもいいの?大事な大事な稽古に遅刻しちゃうよ…? : 樹:そうだ、稽古。稽古に行かなくちゃ…。 樹:…え。 樹:いや、俺は…俺は……。 : 美花:樹?いーつーきー? : 樹:!美花!? 樹:俺は、一体何を見て…? : 美花:もー、樹ってばまだ寝ぼけてるの? 美花:本当に遅刻しちゃうよー? : 樹:ご、ごめん!すぐに支度する!! : : : ???:樹と美花。 ???:二人は恋人同士。 ???:樹は役者を目指し、美花は働いてそんな樹を支えていた。 ???:けれども二人は…。 ???:くくく。さて、どんな結末になるんだろうねぇ? : : : 樹:はぁ、今日の稽古もダメダメだったな…。 樹:最初はただ芝居をすることが楽しかったはずなのに…。 樹:最近は、なんだろう。空虚な感じがする。 樹:自分が空っぽな人間なんだと、思い知らされる…。 樹:こんなんじゃ…駄目だよな。 樹:俺の夢を応援してくれている美花のためにも、もっとがんばらなきゃ…。 樹:ただいまー。 : 美花:おかえり。 美花:外、寒かったでしょ?まずはお風呂に入って温まってよ。 : 樹:ありがとう。 樹:いい匂い…。この匂いは…シチュー? : 美花:正解! 美花:今日は寒いから温まるようにって思って。 美花:たくさん作ったから、しっかり食べてね。 美花:樹、最近食欲落ちてるみたいだし…。 : 樹:そ、そうかな…? : 美花:そうだよ! 美花:何か、嫌なことでもあった? 美花:私、話聞くよ? 美花:ねぇ、悩んでることがあったら、聞かせてよ。 : 樹:…実は…っくしゅんっ。 : 美花:あ、ごめん! 美花:まずはお風呂入って温まってきて! 美花:それでご飯食べてから、ゆっくりお話ししよう? : 樹:そう、だな。 樹:ありがとう。風呂、入ってくる。 : : : ???:そう、あなたは話をすることに決めた。 ???:心に留めていたことを打ち明けることに決めた。 ???:さあ、それからどうなった? : : : 樹:あの、さ。俺、最近思うんだよね…。 樹:役者、向いてないんじゃないかって…。 : 美花:そんなことない!! : 樹:そう言ってくれるのは嬉しい。ありがとう。 樹:でも、さ。 樹:最初は、ただ演じることが楽しかった。 樹:けど、そのうちそれだけじゃ駄目なんだって気づいた。 樹:今更だよな。 樹:こんなにも美花に支えてもらってるのに…。 : 美花:私のことはいいの! 美花:私が樹の夢を応援したいの!! : 樹:いいわけない!! 樹:美花にばっか働かせて、自分は好きなことばっかやって…。 樹:そのくせ芽なんて全然出なくて…。 樹:そんなの…そんなのいいわけがないんだよ…。 : 美花:…役者目指すの、嫌になっちゃった? : 樹:…ならない。嫌になんてなれないんだ。 樹:全く役をもらえなくても。 樹:自分が空っぽな人間だって思い知らされても。 樹:…美花に迷惑をかけてるってわかっていても…。 樹:それでも、俺は役者になる夢を捨てられない…!! : 美花:なら、いいじゃん。 : 樹:美花…? : 美花:目指そうよ。夢、追いかけようよ。 美花:正直、私には夢なんてないから、樹の気持ち、ちゃんとわかってあげられないかもしれない。 美花:けど、私は夢を追いかけてる樹が好き。 美花:情けなくて、みっともなくて、結果を出せなかったとしても、諦めないあなたが好き。 : 樹:美花…。 樹:ありがとう。 樹:美花がいてくれるからこそ、俺はがんばれるんだと思う。 : : : ???:そう、美花さんがいるからこそあなたはがんばれる。 : 樹:!お前…。 : ???:では、もしも美花さんがいなくなったら? ???:どうなるのでしょうねぇ…? : 樹:美花が、いなくなる?そんなわけっ…ぁ。 : ???:思い出しましたか? : 樹:そんな、そんな…。 : ???:ええ、美花さんはもう、亡くなっておりますねぇ。 : 樹:嘘、だ…。 : ???:嘘なんかじゃありませんよ。ええ! ???:あなたは!美花さんが交通事故に遭い!瀕死の重傷なのにもかかわらず! : 樹:ぁ、ぁぁぁ…。 : ???:ようやく与えられた舞台を諦められず! : 樹:嫌だ、やめてくれ…。 : ???:美花さんを見捨てたのです!! : 樹:ああああああああ!! 樹:そう、そうだ…。 樹:俺がすぐ駆けつけていれば。輸血が間に合っていれば。 樹:美花は、助かっていたかもしれない…。 樹:俺が、俺が美花を殺したんだ…。 : ???:思い出しましたね? ???:さあ、あなたの望みは何ですか? ???:役者として成功すること?それとも…。 ???:美花さんを取り戻すこと? : 樹:そんなの決まってる! : ???:本当に? ???:美花さんを選んだ時、役者になるという夢を完全に失うとしても…? : 樹:…え? : ???:ふふふ、迷いましたね? : 樹:ち、違う!! : ???:違わないでしょう? ???:現にあなたは美花さんと夢とを秤にかけ、あまつさえ夢を選ぼうとした。 ???:違いますか? : 樹:違わない。その通りだ。 樹:けど!今度は間違えない!! : ???:ふふふ、あははははははははは!! ???:今度?また今度があると? ???:まさか、やり直せるなどと思っているのですか? ???:できるわけないでしょう? ???:時間は戻らない!死人は生き返らない!! ???:あなたは最愛の人を失った苦しみを抱えて生きていくのです!! : 樹:そんな…。 樹:美花、美花…。嘘だと言ってくれ……。 樹:あの日、きちんと君を選んでいたら。選べていたら…。 樹:ああああああああ。 : : : : : ???:これで、満足ですか? : 美花:ええ、これで、私は樹の中に永遠に残れるでしょう。 : ???:いいのですか? : 美花:…これが、私の望みだもの。 美花:樹の中で、私は永遠に生き続けるの。 美花:エゴだと嗤えばいいわ。 : ???:いいえ、嗤うなど。 : 美花:そう。それじゃ私は行くわね。 : ???:ええ、ご利用ありがとうございました。 : 美花:さようなら、悪魔さん。 : : : : : ???:零れ落ちた一輪花。 ???:それが地に落ちた時。 ???:その花を、美しいと思えるのでしょうか…? : : : : : 0:終。

???:ねぇ、あなたの望みは何? ???:さあ、言ってごらん? ???:言えないの?それとも言いたくないのかな? ???:まずは思い出してみようか。あなたの望みを― : : : : : 美花:おはよう。 美花:…どうしたの?ぼーっとして。ほら、朝ごはん食べようよ。 美花:ねぇ、樹? : 樹:美花…。 樹:美花…!(美花を抱きしめる)会いたかった!会いたかったんだ…! : 美花:え、ちょっと樹!? 美花:どうしちゃったの?怖い夢でも見たの? 美花:よしよし、大丈夫だよー。 : 樹:美花…。 樹:怖い夢…そうだね。怖い夢を見ていたんだ。 樹:君が、いなくなってしまう夢を…。 : 美花:あら、そうだったのね。 美花:ふふ、酷い夢を見ちゃったね。 美花:でもそんなに取り乱してくれるなら、あなたには悪いけど、ちょっとうれしくなっちゃうかも。 美花:愛されてるなって。 : 樹:愛してるよ。美花、君を、愛してる。 樹:だから、いなくならないでくれ…。 : 美花:ふふ、大丈夫。私はいなくなったりなんかしないわ。 美花:ずっと樹と一緒。 美花:…ね? 美花:それよりも。 美花:ほらほら、早く朝ごはん食べて支度しないと稽古に遅れちゃうよ! : 樹:あ、ああ。 樹:そうか。そうだった…。 : ???:そうだよ。君は今度はどちらを選ぶのかな…? : 樹:!お前は…。 樹:美花!美花は!? : ???:大丈夫。ちゃんと君のそばにいるさ。今は、ね…? ???:それよりもいいの?大事な大事な稽古に遅刻しちゃうよ…? : 樹:そうだ、稽古。稽古に行かなくちゃ…。 樹:…え。 樹:いや、俺は…俺は……。 : 美花:樹?いーつーきー? : 樹:!美花!? 樹:俺は、一体何を見て…? : 美花:もー、樹ってばまだ寝ぼけてるの? 美花:本当に遅刻しちゃうよー? : 樹:ご、ごめん!すぐに支度する!! : : : ???:樹と美花。 ???:二人は恋人同士。 ???:樹は役者を目指し、美花は働いてそんな樹を支えていた。 ???:けれども二人は…。 ???:くくく。さて、どんな結末になるんだろうねぇ? : : : 樹:はぁ、今日の稽古もダメダメだったな…。 樹:最初はただ芝居をすることが楽しかったはずなのに…。 樹:最近は、なんだろう。空虚な感じがする。 樹:自分が空っぽな人間なんだと、思い知らされる…。 樹:こんなんじゃ…駄目だよな。 樹:俺の夢を応援してくれている美花のためにも、もっとがんばらなきゃ…。 樹:ただいまー。 : 美花:おかえり。 美花:外、寒かったでしょ?まずはお風呂に入って温まってよ。 : 樹:ありがとう。 樹:いい匂い…。この匂いは…シチュー? : 美花:正解! 美花:今日は寒いから温まるようにって思って。 美花:たくさん作ったから、しっかり食べてね。 美花:樹、最近食欲落ちてるみたいだし…。 : 樹:そ、そうかな…? : 美花:そうだよ! 美花:何か、嫌なことでもあった? 美花:私、話聞くよ? 美花:ねぇ、悩んでることがあったら、聞かせてよ。 : 樹:…実は…っくしゅんっ。 : 美花:あ、ごめん! 美花:まずはお風呂入って温まってきて! 美花:それでご飯食べてから、ゆっくりお話ししよう? : 樹:そう、だな。 樹:ありがとう。風呂、入ってくる。 : : : ???:そう、あなたは話をすることに決めた。 ???:心に留めていたことを打ち明けることに決めた。 ???:さあ、それからどうなった? : : : 樹:あの、さ。俺、最近思うんだよね…。 樹:役者、向いてないんじゃないかって…。 : 美花:そんなことない!! : 樹:そう言ってくれるのは嬉しい。ありがとう。 樹:でも、さ。 樹:最初は、ただ演じることが楽しかった。 樹:けど、そのうちそれだけじゃ駄目なんだって気づいた。 樹:今更だよな。 樹:こんなにも美花に支えてもらってるのに…。 : 美花:私のことはいいの! 美花:私が樹の夢を応援したいの!! : 樹:いいわけない!! 樹:美花にばっか働かせて、自分は好きなことばっかやって…。 樹:そのくせ芽なんて全然出なくて…。 樹:そんなの…そんなのいいわけがないんだよ…。 : 美花:…役者目指すの、嫌になっちゃった? : 樹:…ならない。嫌になんてなれないんだ。 樹:全く役をもらえなくても。 樹:自分が空っぽな人間だって思い知らされても。 樹:…美花に迷惑をかけてるってわかっていても…。 樹:それでも、俺は役者になる夢を捨てられない…!! : 美花:なら、いいじゃん。 : 樹:美花…? : 美花:目指そうよ。夢、追いかけようよ。 美花:正直、私には夢なんてないから、樹の気持ち、ちゃんとわかってあげられないかもしれない。 美花:けど、私は夢を追いかけてる樹が好き。 美花:情けなくて、みっともなくて、結果を出せなかったとしても、諦めないあなたが好き。 : 樹:美花…。 樹:ありがとう。 樹:美花がいてくれるからこそ、俺はがんばれるんだと思う。 : : : ???:そう、美花さんがいるからこそあなたはがんばれる。 : 樹:!お前…。 : ???:では、もしも美花さんがいなくなったら? ???:どうなるのでしょうねぇ…? : 樹:美花が、いなくなる?そんなわけっ…ぁ。 : ???:思い出しましたか? : 樹:そんな、そんな…。 : ???:ええ、美花さんはもう、亡くなっておりますねぇ。 : 樹:嘘、だ…。 : ???:嘘なんかじゃありませんよ。ええ! ???:あなたは!美花さんが交通事故に遭い!瀕死の重傷なのにもかかわらず! : 樹:ぁ、ぁぁぁ…。 : ???:ようやく与えられた舞台を諦められず! : 樹:嫌だ、やめてくれ…。 : ???:美花さんを見捨てたのです!! : 樹:ああああああああ!! 樹:そう、そうだ…。 樹:俺がすぐ駆けつけていれば。輸血が間に合っていれば。 樹:美花は、助かっていたかもしれない…。 樹:俺が、俺が美花を殺したんだ…。 : ???:思い出しましたね? ???:さあ、あなたの望みは何ですか? ???:役者として成功すること?それとも…。 ???:美花さんを取り戻すこと? : 樹:そんなの決まってる! : ???:本当に? ???:美花さんを選んだ時、役者になるという夢を完全に失うとしても…? : 樹:…え? : ???:ふふふ、迷いましたね? : 樹:ち、違う!! : ???:違わないでしょう? ???:現にあなたは美花さんと夢とを秤にかけ、あまつさえ夢を選ぼうとした。 ???:違いますか? : 樹:違わない。その通りだ。 樹:けど!今度は間違えない!! : ???:ふふふ、あははははははははは!! ???:今度?また今度があると? ???:まさか、やり直せるなどと思っているのですか? ???:できるわけないでしょう? ???:時間は戻らない!死人は生き返らない!! ???:あなたは最愛の人を失った苦しみを抱えて生きていくのです!! : 樹:そんな…。 樹:美花、美花…。嘘だと言ってくれ……。 樹:あの日、きちんと君を選んでいたら。選べていたら…。 樹:ああああああああ。 : : : : : ???:これで、満足ですか? : 美花:ええ、これで、私は樹の中に永遠に残れるでしょう。 : ???:いいのですか? : 美花:…これが、私の望みだもの。 美花:樹の中で、私は永遠に生き続けるの。 美花:エゴだと嗤えばいいわ。 : ???:いいえ、嗤うなど。 : 美花:そう。それじゃ私は行くわね。 : ???:ええ、ご利用ありがとうございました。 : 美花:さようなら、悪魔さん。 : : : : : ???:零れ落ちた一輪花。 ???:それが地に落ちた時。 ???:その花を、美しいと思えるのでしょうか…? : : : : : 0:終。