台本概要

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タイトル この恋は、青春と呼ぶには苦く、悲恋と呼ぶには甘すぎる
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 青春の1ページ。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
綾香 62 ちょっと悪い雰囲気の子
優恵 57 生徒会長。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:ある高校の屋上に続く扉には、鍵が閉まっている。 0:しかし、生徒が望めば鍵の貸し出しを行なっていた。 0:案外、貸し出しを希望する生徒は少なく 0:そこには、ある2人の生徒の溜まり場になっていた。 0:そんな、屋上でーーー。 綾香:私さ、話したいことがあるんだけど 優恵:うん 優恵:お弁当、食べ終わってからでもいい? 綾香:別に食べながら聞いても大丈夫だけど 優恵:そう? 綾香:……それにしても、似合わないね 優恵:この場所が?私に? 綾香:品行方正、生徒会長 綾香:中間は学年三位だっけ? 優恵:二位 綾香:あ、そう 綾香:なーんで、私なんかと一緒にいてくれるの? 優恵:声かけてきたのはそっち 優恵:別にいい子になりたいわけじゃないし 優恵:で、話はそれ? 綾香:私さ、好きな人ができた 優恵:そうなんだ 綾香:それだけ? 優恵:何が? 綾香:いや、もっとほら! 綾香:女子っぽいやつ! 綾香:誰々ー!?もしかして、あの人!?とか 優恵:それ、私に求める? 優恵:恋愛の話なんて、別に興味ないし 優恵:そういうのは、ほら 綾香:何? 優恵:別のオトモダチがいるでしょ? 綾香:その言い方、優恵っぽいけどさ 綾香:いいじゃん、興味持とうよ 綾香:もう高三だよ? 優恵:……別に、高三は関係ないし 綾香:……私の好きな人はね? 綾香:吉田くんだよ 優恵:………… 0:明らかな動揺を見せ、箸が地面に落ちる音が響いた 綾香:ね?興味出てきた? 優恵:吉田、 綾香:吉田 翔くん 綾香:野球部の 優恵:……そ、そう 綾香:去年の大会ではピッチャーで三番だっけ? 綾香:私、野球詳しくないけど凄いよね 綾香:ほら、二刀流ってやつ? 綾香:それに勉強も中間で上の方にいたし 優恵:それは…… 優恵:何で、好きなの? 綾香:そりゃあ、悪い理由がないじゃん? 綾香:顔もイケメンだと思うし 優恵:…… 綾香:別に、私だけが好きってわけでもないしさ 綾香:モテるのも分かってるっていうか 優恵:っ…… 綾香:……ぷっ、ふふ、あっはは 優恵:……何? 綾香:あはは、いや…分かりやすいって! 優恵:えっ? 綾香:好きなんでしょ?吉田くんのこと 優恵:えっ!?は!?なんで!! 綾香:ごめん、あんまり興味持ってくれないからさ 綾香:意地悪した 綾香:私さ、人間観察好きなんだ 優恵:どういうこと? 綾香:優恵と話すようになって 綾香:教室での優恵を見てたらさ 綾香:目で追ってるの、自覚してる? 優恵:……嘘 綾香:ほんと 優恵:……私、そんなこと、してた? 綾香:全然興味ないって感じなのに 綾香:ねぇ、どこが好きなの? 優恵:…… 綾香:いいじゃん、話してもさ 綾香:ここは私と優恵しかいないよ 優恵:……優しかった 綾香:へぇ? 優恵:私、ほら……友達いないし 優恵:2年の時、困ったことがあって 優恵:それを助けてくれて……それで… 綾香:意識しだした? 優恵:うん 優恵:それから、かな 優恵:スポーツが好きで、野球部で 優恵:次のキャプテンだってみんな話してて 綾香:それで? 優恵:私とは別世界の人だと思った 優恵:だけど、みんなからも信頼されてるし 優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて…… 優恵:その……す、好きに、なって…た 綾香:そっか 綾香:ねぇ、告白しないの? 優恵:なんで!?意味わかんない 優恵:告白、なんて…… 綾香:付き合いたいとか思わないの? 綾香:もう三年だしさ 綾香:大学に行くってなったら 綾香:もう会えるかも分かんないんだよ? 優恵:……それ、は… 綾香:断られても、もしOKでも 綾香:それって何かさ、青春って感じじゃない? 優恵:青春…わ 優恵:綾香は、その、どうなの? 綾香:あー、私? 綾香:そうだねぇ…今は伊藤くんとか 綾香:ちょっといいなって 優恵:サッカー部の? 綾香:そう 優恵:なんか、綾香っぽい 綾香:あっは、そうかな? 綾香:私もさ、青春…してみようかなって 綾香:人生は一度きりなんだしさ 綾香:後悔はしたくないよね 優恵:……告白、して……いいのかな 綾香:ダメな理由はないじゃん 優恵:そう、なのかな 綾香:人間観察、好きだからさ 綾香:わかるんだよなぁ、私 優恵:何が? 綾香:吉田くん 綾香:優恵みたいな人がタイプなんだろうなーって 優恵:嘘!嘘、嘘!絶対! 綾香:そんなに否定する? 優恵:根暗で、勉強しかしてなくて 優恵:教室でも誰とも話さないし 優恵:私なんか、どこを…… 綾香:人の好みなんて分かんないよ 綾香:根暗って、お淑やかに見えてるかもしれない 綾香:勉強が得意な人が好きかもしれない 綾香:そうでしょ? 優恵:…… 綾香:自信持ちなよ、恋愛にもさ 綾香:優恵は、可愛いよ 綾香:私なんかより 綾香:今もいい顔してる 優恵:青春、か 優恵:私には無いものと思ってた 優恵:だけど……考えとく 綾香:……うん 優恵:昼休み、終わるね 綾香:戻りますかー 優恵:なんか、戻るの恥ずかしい…… 綾香:あっはは、観察してようかなー 優恵:ばか! 0: 0: 綾香:……私の好きな人はね? 綾香:吉田くんだよ 綾香:ね?興味出てきた? 優恵:吉田、 綾香:吉田 翔くん 綾香:野球部の 優恵:……そ、そう 綾香:(好きなんだよね、知ってるよ 綾香:だってさ……) 0: 0: 綾香:(私の方が先に好きになったんだから) 0: 綾香:優恵と話すようになって 綾香:教室での優恵を見てたらさ 綾香:目で追ってるの、自覚してる? 優恵:……嘘 優恵:……私、そんなこと、してた? 綾香:(ずっと目で追ってた、教室から出て行く彼を見る目 綾香:何度も、何度も見てきたよ) 優恵:2年の時、困ったことがあって 優恵:それを助けてくれて……それで… 優恵:それから、かな 優恵:みんなからも信頼されてるし 優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて…… 優恵:その……す、好きに、なって…た 綾香:(それも知ってる 綾香:優しいよね、私も助けられた 綾香:あはは、好きになった理由も似てるんだもんな 綾香:本当、ライバルは多そうだね 綾香:……だけど、あなただけは違う) 優恵:なんで!?意味わかんない 優恵:告白、なんて…… 綾香:(できない、よね 綾香:興味のないフリは、自信の無さだもん 綾香:見てたら分かるよ) 綾香:付き合いたいとか思わないの? 綾香:大学に行くってなったら 綾香:もう会えるかも分かんないんだよ? 優恵:……それ、は… 綾香:(何で私は背中を押そうとしてるんだろう 綾香:絶対、ダメなのに、分かってるのに 綾香:……あっはは… 綾香:『もし』の方にOKを持ってくる辺り 綾香:性格が悪いよね、ごめんね) 優恵:綾香は、その、どうなの? 綾香:(ここで、私もだよって言ったら 綾香:どんな顔するんだろうな 綾香:悔しがるのかな、負けたって顔するのかな 綾香:……私はそんな上等な人間じゃないよ) 優恵:サッカー部の? 優恵:なんか、綾香っぽい 綾香:(私っぽい、か 綾香:知らないわけないのにね 綾香:女の子の噂が絶えない人だよ 綾香:確かにモテはするだろうけどさ 綾香:……そうだね、私っぽいよね) 優恵:……告白、して……いいのかな 綾香:(……あーあ、まぁ、そうなるよね) 優恵:嘘!嘘、嘘!絶対! 優恵:根暗で、勉強しかしてなくて 優恵:教室でも誰とも話さないし 優恵:私なんか、どこを…… 綾香:(分かるよ、だって一年の時から見てたから 綾香:あなたより先に好きになって 綾香:知らない野球ことも覚えて、少しでも近づきたくて 綾香:だけど、彼が目で追ってるのはいつも別の人で 綾香:……本当、人の趣味って分からない 綾香:ずっと追ってるのは、あなただった) 優恵:青春、か 優恵:私には無いものと思ってた 優恵:だけど……考えとく 綾香:(本当に可愛いよ 綾香:私なんかよりずっと純粋で 綾香:素直で、真面目で、自分で思ってるより 綾香:ずっと、『いい子』なんだよ) 優恵:昼休み、終わるね 優恵:なんか、戻るの恥ずかしい…… 綾香:(そういうところに惹かれていくんだろうな 綾香:私は、なんでこうなったんだろう 綾香:人の恋を応援するようなことをして 綾香:腹の中では、叶わないことを願っていて 綾香:屋上に誘ったのも、一緒に過ごすのも 綾香:全部打算で、少しでも私を彼の目の中に入れたくて 綾香:あなたから彼の話を聞きたくなくて 綾香:でも、聞きたくて 綾香:いつか、諦めたり、別の人を好きになるんじゃないかって 綾香:恋愛の話題を振ったりして 綾香:それでも純粋に一途で、変わらなくて 綾香:自信がなくて、逃げることが多いけど 綾香:そんなあなたのことが好きで 綾香:応援したいのか、壊したいのかグチャグチャで 綾香:私は……) 優恵:綾香 綾香:ん?何? 優恵:私……頑張ってみるよ 優恵:青春 綾香:………… 綾香:うん 優恵:ありがとう 優恵:こんな話、初めてで 優恵:少し……楽しかった 綾香:(あぁ…あなたにとって、この恋は 綾香:甘酸っぱい青春の1ページで 綾香:その酸っぱさに顔を顰めることもあるだろう 綾香:だけど、その甘さに頬は溶け落ちて 綾香:口角は自分の意思に反して上がるだろう) 0: 綾香:(私は 綾香:私にとってこの恋は 綾香:青春と呼ぶには苦くて、悲恋と呼ぶには甘すぎる恋だ) 0:終

0:ある高校の屋上に続く扉には、鍵が閉まっている。 0:しかし、生徒が望めば鍵の貸し出しを行なっていた。 0:案外、貸し出しを希望する生徒は少なく 0:そこには、ある2人の生徒の溜まり場になっていた。 0:そんな、屋上でーーー。 綾香:私さ、話したいことがあるんだけど 優恵:うん 優恵:お弁当、食べ終わってからでもいい? 綾香:別に食べながら聞いても大丈夫だけど 優恵:そう? 綾香:……それにしても、似合わないね 優恵:この場所が?私に? 綾香:品行方正、生徒会長 綾香:中間は学年三位だっけ? 優恵:二位 綾香:あ、そう 綾香:なーんで、私なんかと一緒にいてくれるの? 優恵:声かけてきたのはそっち 優恵:別にいい子になりたいわけじゃないし 優恵:で、話はそれ? 綾香:私さ、好きな人ができた 優恵:そうなんだ 綾香:それだけ? 優恵:何が? 綾香:いや、もっとほら! 綾香:女子っぽいやつ! 綾香:誰々ー!?もしかして、あの人!?とか 優恵:それ、私に求める? 優恵:恋愛の話なんて、別に興味ないし 優恵:そういうのは、ほら 綾香:何? 優恵:別のオトモダチがいるでしょ? 綾香:その言い方、優恵っぽいけどさ 綾香:いいじゃん、興味持とうよ 綾香:もう高三だよ? 優恵:……別に、高三は関係ないし 綾香:……私の好きな人はね? 綾香:吉田くんだよ 優恵:………… 0:明らかな動揺を見せ、箸が地面に落ちる音が響いた 綾香:ね?興味出てきた? 優恵:吉田、 綾香:吉田 翔くん 綾香:野球部の 優恵:……そ、そう 綾香:去年の大会ではピッチャーで三番だっけ? 綾香:私、野球詳しくないけど凄いよね 綾香:ほら、二刀流ってやつ? 綾香:それに勉強も中間で上の方にいたし 優恵:それは…… 優恵:何で、好きなの? 綾香:そりゃあ、悪い理由がないじゃん? 綾香:顔もイケメンだと思うし 優恵:…… 綾香:別に、私だけが好きってわけでもないしさ 綾香:モテるのも分かってるっていうか 優恵:っ…… 綾香:……ぷっ、ふふ、あっはは 優恵:……何? 綾香:あはは、いや…分かりやすいって! 優恵:えっ? 綾香:好きなんでしょ?吉田くんのこと 優恵:えっ!?は!?なんで!! 綾香:ごめん、あんまり興味持ってくれないからさ 綾香:意地悪した 綾香:私さ、人間観察好きなんだ 優恵:どういうこと? 綾香:優恵と話すようになって 綾香:教室での優恵を見てたらさ 綾香:目で追ってるの、自覚してる? 優恵:……嘘 綾香:ほんと 優恵:……私、そんなこと、してた? 綾香:全然興味ないって感じなのに 綾香:ねぇ、どこが好きなの? 優恵:…… 綾香:いいじゃん、話してもさ 綾香:ここは私と優恵しかいないよ 優恵:……優しかった 綾香:へぇ? 優恵:私、ほら……友達いないし 優恵:2年の時、困ったことがあって 優恵:それを助けてくれて……それで… 綾香:意識しだした? 優恵:うん 優恵:それから、かな 優恵:スポーツが好きで、野球部で 優恵:次のキャプテンだってみんな話してて 綾香:それで? 優恵:私とは別世界の人だと思った 優恵:だけど、みんなからも信頼されてるし 優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて…… 優恵:その……す、好きに、なって…た 綾香:そっか 綾香:ねぇ、告白しないの? 優恵:なんで!?意味わかんない 優恵:告白、なんて…… 綾香:付き合いたいとか思わないの? 綾香:もう三年だしさ 綾香:大学に行くってなったら 綾香:もう会えるかも分かんないんだよ? 優恵:……それ、は… 綾香:断られても、もしOKでも 綾香:それって何かさ、青春って感じじゃない? 優恵:青春…わ 優恵:綾香は、その、どうなの? 綾香:あー、私? 綾香:そうだねぇ…今は伊藤くんとか 綾香:ちょっといいなって 優恵:サッカー部の? 綾香:そう 優恵:なんか、綾香っぽい 綾香:あっは、そうかな? 綾香:私もさ、青春…してみようかなって 綾香:人生は一度きりなんだしさ 綾香:後悔はしたくないよね 優恵:……告白、して……いいのかな 綾香:ダメな理由はないじゃん 優恵:そう、なのかな 綾香:人間観察、好きだからさ 綾香:わかるんだよなぁ、私 優恵:何が? 綾香:吉田くん 綾香:優恵みたいな人がタイプなんだろうなーって 優恵:嘘!嘘、嘘!絶対! 綾香:そんなに否定する? 優恵:根暗で、勉強しかしてなくて 優恵:教室でも誰とも話さないし 優恵:私なんか、どこを…… 綾香:人の好みなんて分かんないよ 綾香:根暗って、お淑やかに見えてるかもしれない 綾香:勉強が得意な人が好きかもしれない 綾香:そうでしょ? 優恵:…… 綾香:自信持ちなよ、恋愛にもさ 綾香:優恵は、可愛いよ 綾香:私なんかより 綾香:今もいい顔してる 優恵:青春、か 優恵:私には無いものと思ってた 優恵:だけど……考えとく 綾香:……うん 優恵:昼休み、終わるね 綾香:戻りますかー 優恵:なんか、戻るの恥ずかしい…… 綾香:あっはは、観察してようかなー 優恵:ばか! 0: 0: 綾香:……私の好きな人はね? 綾香:吉田くんだよ 綾香:ね?興味出てきた? 優恵:吉田、 綾香:吉田 翔くん 綾香:野球部の 優恵:……そ、そう 綾香:(好きなんだよね、知ってるよ 綾香:だってさ……) 0: 0: 綾香:(私の方が先に好きになったんだから) 0: 綾香:優恵と話すようになって 綾香:教室での優恵を見てたらさ 綾香:目で追ってるの、自覚してる? 優恵:……嘘 優恵:……私、そんなこと、してた? 綾香:(ずっと目で追ってた、教室から出て行く彼を見る目 綾香:何度も、何度も見てきたよ) 優恵:2年の時、困ったことがあって 優恵:それを助けてくれて……それで… 優恵:それから、かな 優恵:みんなからも信頼されてるし 優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて…… 優恵:その……す、好きに、なって…た 綾香:(それも知ってる 綾香:優しいよね、私も助けられた 綾香:あはは、好きになった理由も似てるんだもんな 綾香:本当、ライバルは多そうだね 綾香:……だけど、あなただけは違う) 優恵:なんで!?意味わかんない 優恵:告白、なんて…… 綾香:(できない、よね 綾香:興味のないフリは、自信の無さだもん 綾香:見てたら分かるよ) 綾香:付き合いたいとか思わないの? 綾香:大学に行くってなったら 綾香:もう会えるかも分かんないんだよ? 優恵:……それ、は… 綾香:(何で私は背中を押そうとしてるんだろう 綾香:絶対、ダメなのに、分かってるのに 綾香:……あっはは… 綾香:『もし』の方にOKを持ってくる辺り 綾香:性格が悪いよね、ごめんね) 優恵:綾香は、その、どうなの? 綾香:(ここで、私もだよって言ったら 綾香:どんな顔するんだろうな 綾香:悔しがるのかな、負けたって顔するのかな 綾香:……私はそんな上等な人間じゃないよ) 優恵:サッカー部の? 優恵:なんか、綾香っぽい 綾香:(私っぽい、か 綾香:知らないわけないのにね 綾香:女の子の噂が絶えない人だよ 綾香:確かにモテはするだろうけどさ 綾香:……そうだね、私っぽいよね) 優恵:……告白、して……いいのかな 綾香:(……あーあ、まぁ、そうなるよね) 優恵:嘘!嘘、嘘!絶対! 優恵:根暗で、勉強しかしてなくて 優恵:教室でも誰とも話さないし 優恵:私なんか、どこを…… 綾香:(分かるよ、だって一年の時から見てたから 綾香:あなたより先に好きになって 綾香:知らない野球ことも覚えて、少しでも近づきたくて 綾香:だけど、彼が目で追ってるのはいつも別の人で 綾香:……本当、人の趣味って分からない 綾香:ずっと追ってるのは、あなただった) 優恵:青春、か 優恵:私には無いものと思ってた 優恵:だけど……考えとく 綾香:(本当に可愛いよ 綾香:私なんかよりずっと純粋で 綾香:素直で、真面目で、自分で思ってるより 綾香:ずっと、『いい子』なんだよ) 優恵:昼休み、終わるね 優恵:なんか、戻るの恥ずかしい…… 綾香:(そういうところに惹かれていくんだろうな 綾香:私は、なんでこうなったんだろう 綾香:人の恋を応援するようなことをして 綾香:腹の中では、叶わないことを願っていて 綾香:屋上に誘ったのも、一緒に過ごすのも 綾香:全部打算で、少しでも私を彼の目の中に入れたくて 綾香:あなたから彼の話を聞きたくなくて 綾香:でも、聞きたくて 綾香:いつか、諦めたり、別の人を好きになるんじゃないかって 綾香:恋愛の話題を振ったりして 綾香:それでも純粋に一途で、変わらなくて 綾香:自信がなくて、逃げることが多いけど 綾香:そんなあなたのことが好きで 綾香:応援したいのか、壊したいのかグチャグチャで 綾香:私は……) 優恵:綾香 綾香:ん?何? 優恵:私……頑張ってみるよ 優恵:青春 綾香:………… 綾香:うん 優恵:ありがとう 優恵:こんな話、初めてで 優恵:少し……楽しかった 綾香:(あぁ…あなたにとって、この恋は 綾香:甘酸っぱい青春の1ページで 綾香:その酸っぱさに顔を顰めることもあるだろう 綾香:だけど、その甘さに頬は溶け落ちて 綾香:口角は自分の意思に反して上がるだろう) 0: 綾香:(私は 綾香:私にとってこの恋は 綾香:青春と呼ぶには苦くて、悲恋と呼ぶには甘すぎる恋だ) 0:終