台本概要
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タイトル | この恋は、青春と呼ぶには苦く、悲恋と呼ぶには甘すぎる |
---|---|
作者名 | てくす (@daihooon) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
青春の1ページ。 207 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
綾香 | 女 | 62 | ちょっと悪い雰囲気の子 |
優恵 | 女 | 57 | 生徒会長。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:ある高校の屋上に続く扉には、鍵が閉まっている。
0:しかし、生徒が望めば鍵の貸し出しを行なっていた。
0:案外、貸し出しを希望する生徒は少なく
0:そこには、ある2人の生徒の溜まり場になっていた。
0:そんな、屋上でーーー。
綾香:私さ、話したいことがあるんだけど
優恵:うん
優恵:お弁当、食べ終わってからでもいい?
綾香:別に食べながら聞いても大丈夫だけど
優恵:そう?
綾香:……それにしても、似合わないね
優恵:この場所が?私に?
綾香:品行方正、生徒会長
綾香:中間は学年三位だっけ?
優恵:二位
綾香:あ、そう
綾香:なーんで、私なんかと一緒にいてくれるの?
優恵:声かけてきたのはそっち
優恵:別にいい子になりたいわけじゃないし
優恵:で、話はそれ?
綾香:私さ、好きな人ができた
優恵:そうなんだ
綾香:それだけ?
優恵:何が?
綾香:いや、もっとほら!
綾香:女子っぽいやつ!
綾香:誰々ー!?もしかして、あの人!?とか
優恵:それ、私に求める?
優恵:恋愛の話なんて、別に興味ないし
優恵:そういうのは、ほら
綾香:何?
優恵:別のオトモダチがいるでしょ?
綾香:その言い方、優恵っぽいけどさ
綾香:いいじゃん、興味持とうよ
綾香:もう高三だよ?
優恵:……別に、高三は関係ないし
綾香:……私の好きな人はね?
綾香:吉田くんだよ
優恵:…………
0:明らかな動揺を見せ、箸が地面に落ちる音が響いた
綾香:ね?興味出てきた?
優恵:吉田、
綾香:吉田 翔くん
綾香:野球部の
優恵:……そ、そう
綾香:去年の大会ではピッチャーで三番だっけ?
綾香:私、野球詳しくないけど凄いよね
綾香:ほら、二刀流ってやつ?
綾香:それに勉強も中間で上の方にいたし
優恵:それは……
優恵:何で、好きなの?
綾香:そりゃあ、悪い理由がないじゃん?
綾香:顔もイケメンだと思うし
優恵:……
綾香:別に、私だけが好きってわけでもないしさ
綾香:モテるのも分かってるっていうか
優恵:っ……
綾香:……ぷっ、ふふ、あっはは
優恵:……何?
綾香:あはは、いや…分かりやすいって!
優恵:えっ?
綾香:好きなんでしょ?吉田くんのこと
優恵:えっ!?は!?なんで!!
綾香:ごめん、あんまり興味持ってくれないからさ
綾香:意地悪した
綾香:私さ、人間観察好きなんだ
優恵:どういうこと?
綾香:優恵と話すようになって
綾香:教室での優恵を見てたらさ
綾香:目で追ってるの、自覚してる?
優恵:……嘘
綾香:ほんと
優恵:……私、そんなこと、してた?
綾香:全然興味ないって感じなのに
綾香:ねぇ、どこが好きなの?
優恵:……
綾香:いいじゃん、話してもさ
綾香:ここは私と優恵しかいないよ
優恵:……優しかった
綾香:へぇ?
優恵:私、ほら……友達いないし
優恵:2年の時、困ったことがあって
優恵:それを助けてくれて……それで…
綾香:意識しだした?
優恵:うん
優恵:それから、かな
優恵:スポーツが好きで、野球部で
優恵:次のキャプテンだってみんな話してて
綾香:それで?
優恵:私とは別世界の人だと思った
優恵:だけど、みんなからも信頼されてるし
優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて……
優恵:その……す、好きに、なって…た
綾香:そっか
綾香:ねぇ、告白しないの?
優恵:なんで!?意味わかんない
優恵:告白、なんて……
綾香:付き合いたいとか思わないの?
綾香:もう三年だしさ
綾香:大学に行くってなったら
綾香:もう会えるかも分かんないんだよ?
優恵:……それ、は…
綾香:断られても、もしOKでも
綾香:それって何かさ、青春って感じじゃない?
優恵:青春…わ
優恵:綾香は、その、どうなの?
綾香:あー、私?
綾香:そうだねぇ…今は伊藤くんとか
綾香:ちょっといいなって
優恵:サッカー部の?
綾香:そう
優恵:なんか、綾香っぽい
綾香:あっは、そうかな?
綾香:私もさ、青春…してみようかなって
綾香:人生は一度きりなんだしさ
綾香:後悔はしたくないよね
優恵:……告白、して……いいのかな
綾香:ダメな理由はないじゃん
優恵:そう、なのかな
綾香:人間観察、好きだからさ
綾香:わかるんだよなぁ、私
優恵:何が?
綾香:吉田くん
綾香:優恵みたいな人がタイプなんだろうなーって
優恵:嘘!嘘、嘘!絶対!
綾香:そんなに否定する?
優恵:根暗で、勉強しかしてなくて
優恵:教室でも誰とも話さないし
優恵:私なんか、どこを……
綾香:人の好みなんて分かんないよ
綾香:根暗って、お淑やかに見えてるかもしれない
綾香:勉強が得意な人が好きかもしれない
綾香:そうでしょ?
優恵:……
綾香:自信持ちなよ、恋愛にもさ
綾香:優恵は、可愛いよ
綾香:私なんかより
綾香:今もいい顔してる
優恵:青春、か
優恵:私には無いものと思ってた
優恵:だけど……考えとく
綾香:……うん
優恵:昼休み、終わるね
綾香:戻りますかー
優恵:なんか、戻るの恥ずかしい……
綾香:あっはは、観察してようかなー
優恵:ばか!
0:
0:
綾香:……私の好きな人はね?
綾香:吉田くんだよ
綾香:ね?興味出てきた?
優恵:吉田、
綾香:吉田 翔くん
綾香:野球部の
優恵:……そ、そう
綾香:(好きなんだよね、知ってるよ
綾香:だってさ……)
0:
0:
綾香:(私の方が先に好きになったんだから)
0:
綾香:優恵と話すようになって
綾香:教室での優恵を見てたらさ
綾香:目で追ってるの、自覚してる?
優恵:……嘘
優恵:……私、そんなこと、してた?
綾香:(ずっと目で追ってた、教室から出て行く彼を見る目
綾香:何度も、何度も見てきたよ)
優恵:2年の時、困ったことがあって
優恵:それを助けてくれて……それで…
優恵:それから、かな
優恵:みんなからも信頼されてるし
優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて……
優恵:その……す、好きに、なって…た
綾香:(それも知ってる
綾香:優しいよね、私も助けられた
綾香:あはは、好きになった理由も似てるんだもんな
綾香:本当、ライバルは多そうだね
綾香:……だけど、あなただけは違う)
優恵:なんで!?意味わかんない
優恵:告白、なんて……
綾香:(できない、よね
綾香:興味のないフリは、自信の無さだもん
綾香:見てたら分かるよ)
綾香:付き合いたいとか思わないの?
綾香:大学に行くってなったら
綾香:もう会えるかも分かんないんだよ?
優恵:……それ、は…
綾香:(何で私は背中を押そうとしてるんだろう
綾香:絶対、ダメなのに、分かってるのに
綾香:……あっはは…
綾香:『もし』の方にOKを持ってくる辺り
綾香:性格が悪いよね、ごめんね)
優恵:綾香は、その、どうなの?
綾香:(ここで、私もだよって言ったら
綾香:どんな顔するんだろうな
綾香:悔しがるのかな、負けたって顔するのかな
綾香:……私はそんな上等な人間じゃないよ)
優恵:サッカー部の?
優恵:なんか、綾香っぽい
綾香:(私っぽい、か
綾香:知らないわけないのにね
綾香:女の子の噂が絶えない人だよ
綾香:確かにモテはするだろうけどさ
綾香:……そうだね、私っぽいよね)
優恵:……告白、して……いいのかな
綾香:(……あーあ、まぁ、そうなるよね)
優恵:嘘!嘘、嘘!絶対!
優恵:根暗で、勉強しかしてなくて
優恵:教室でも誰とも話さないし
優恵:私なんか、どこを……
綾香:(分かるよ、だって一年の時から見てたから
綾香:あなたより先に好きになって
綾香:知らない野球ことも覚えて、少しでも近づきたくて
綾香:だけど、彼が目で追ってるのはいつも別の人で
綾香:……本当、人の趣味って分からない
綾香:ずっと追ってるのは、あなただった)
優恵:青春、か
優恵:私には無いものと思ってた
優恵:だけど……考えとく
綾香:(本当に可愛いよ
綾香:私なんかよりずっと純粋で
綾香:素直で、真面目で、自分で思ってるより
綾香:ずっと、『いい子』なんだよ)
優恵:昼休み、終わるね
優恵:なんか、戻るの恥ずかしい……
綾香:(そういうところに惹かれていくんだろうな
綾香:私は、なんでこうなったんだろう
綾香:人の恋を応援するようなことをして
綾香:腹の中では、叶わないことを願っていて
綾香:屋上に誘ったのも、一緒に過ごすのも
綾香:全部打算で、少しでも私を彼の目の中に入れたくて
綾香:あなたから彼の話を聞きたくなくて
綾香:でも、聞きたくて
綾香:いつか、諦めたり、別の人を好きになるんじゃないかって
綾香:恋愛の話題を振ったりして
綾香:それでも純粋に一途で、変わらなくて
綾香:自信がなくて、逃げることが多いけど
綾香:そんなあなたのことが好きで
綾香:応援したいのか、壊したいのかグチャグチャで
綾香:私は……)
優恵:綾香
綾香:ん?何?
優恵:私……頑張ってみるよ
優恵:青春
綾香:…………
綾香:うん
優恵:ありがとう
優恵:こんな話、初めてで
優恵:少し……楽しかった
綾香:(あぁ…あなたにとって、この恋は
綾香:甘酸っぱい青春の1ページで
綾香:その酸っぱさに顔を顰めることもあるだろう
綾香:だけど、その甘さに頬は溶け落ちて
綾香:口角は自分の意思に反して上がるだろう)
0:
綾香:(私は
綾香:私にとってこの恋は
綾香:青春と呼ぶには苦くて、悲恋と呼ぶには甘すぎる恋だ)
0:終
0:ある高校の屋上に続く扉には、鍵が閉まっている。
0:しかし、生徒が望めば鍵の貸し出しを行なっていた。
0:案外、貸し出しを希望する生徒は少なく
0:そこには、ある2人の生徒の溜まり場になっていた。
0:そんな、屋上でーーー。
綾香:私さ、話したいことがあるんだけど
優恵:うん
優恵:お弁当、食べ終わってからでもいい?
綾香:別に食べながら聞いても大丈夫だけど
優恵:そう?
綾香:……それにしても、似合わないね
優恵:この場所が?私に?
綾香:品行方正、生徒会長
綾香:中間は学年三位だっけ?
優恵:二位
綾香:あ、そう
綾香:なーんで、私なんかと一緒にいてくれるの?
優恵:声かけてきたのはそっち
優恵:別にいい子になりたいわけじゃないし
優恵:で、話はそれ?
綾香:私さ、好きな人ができた
優恵:そうなんだ
綾香:それだけ?
優恵:何が?
綾香:いや、もっとほら!
綾香:女子っぽいやつ!
綾香:誰々ー!?もしかして、あの人!?とか
優恵:それ、私に求める?
優恵:恋愛の話なんて、別に興味ないし
優恵:そういうのは、ほら
綾香:何?
優恵:別のオトモダチがいるでしょ?
綾香:その言い方、優恵っぽいけどさ
綾香:いいじゃん、興味持とうよ
綾香:もう高三だよ?
優恵:……別に、高三は関係ないし
綾香:……私の好きな人はね?
綾香:吉田くんだよ
優恵:…………
0:明らかな動揺を見せ、箸が地面に落ちる音が響いた
綾香:ね?興味出てきた?
優恵:吉田、
綾香:吉田 翔くん
綾香:野球部の
優恵:……そ、そう
綾香:去年の大会ではピッチャーで三番だっけ?
綾香:私、野球詳しくないけど凄いよね
綾香:ほら、二刀流ってやつ?
綾香:それに勉強も中間で上の方にいたし
優恵:それは……
優恵:何で、好きなの?
綾香:そりゃあ、悪い理由がないじゃん?
綾香:顔もイケメンだと思うし
優恵:……
綾香:別に、私だけが好きってわけでもないしさ
綾香:モテるのも分かってるっていうか
優恵:っ……
綾香:……ぷっ、ふふ、あっはは
優恵:……何?
綾香:あはは、いや…分かりやすいって!
優恵:えっ?
綾香:好きなんでしょ?吉田くんのこと
優恵:えっ!?は!?なんで!!
綾香:ごめん、あんまり興味持ってくれないからさ
綾香:意地悪した
綾香:私さ、人間観察好きなんだ
優恵:どういうこと?
綾香:優恵と話すようになって
綾香:教室での優恵を見てたらさ
綾香:目で追ってるの、自覚してる?
優恵:……嘘
綾香:ほんと
優恵:……私、そんなこと、してた?
綾香:全然興味ないって感じなのに
綾香:ねぇ、どこが好きなの?
優恵:……
綾香:いいじゃん、話してもさ
綾香:ここは私と優恵しかいないよ
優恵:……優しかった
綾香:へぇ?
優恵:私、ほら……友達いないし
優恵:2年の時、困ったことがあって
優恵:それを助けてくれて……それで…
綾香:意識しだした?
優恵:うん
優恵:それから、かな
優恵:スポーツが好きで、野球部で
優恵:次のキャプテンだってみんな話してて
綾香:それで?
優恵:私とは別世界の人だと思った
優恵:だけど、みんなからも信頼されてるし
優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて……
優恵:その……す、好きに、なって…た
綾香:そっか
綾香:ねぇ、告白しないの?
優恵:なんで!?意味わかんない
優恵:告白、なんて……
綾香:付き合いたいとか思わないの?
綾香:もう三年だしさ
綾香:大学に行くってなったら
綾香:もう会えるかも分かんないんだよ?
優恵:……それ、は…
綾香:断られても、もしOKでも
綾香:それって何かさ、青春って感じじゃない?
優恵:青春…わ
優恵:綾香は、その、どうなの?
綾香:あー、私?
綾香:そうだねぇ…今は伊藤くんとか
綾香:ちょっといいなって
優恵:サッカー部の?
綾香:そう
優恵:なんか、綾香っぽい
綾香:あっは、そうかな?
綾香:私もさ、青春…してみようかなって
綾香:人生は一度きりなんだしさ
綾香:後悔はしたくないよね
優恵:……告白、して……いいのかな
綾香:ダメな理由はないじゃん
優恵:そう、なのかな
綾香:人間観察、好きだからさ
綾香:わかるんだよなぁ、私
優恵:何が?
綾香:吉田くん
綾香:優恵みたいな人がタイプなんだろうなーって
優恵:嘘!嘘、嘘!絶対!
綾香:そんなに否定する?
優恵:根暗で、勉強しかしてなくて
優恵:教室でも誰とも話さないし
優恵:私なんか、どこを……
綾香:人の好みなんて分かんないよ
綾香:根暗って、お淑やかに見えてるかもしれない
綾香:勉強が得意な人が好きかもしれない
綾香:そうでしょ?
優恵:……
綾香:自信持ちなよ、恋愛にもさ
綾香:優恵は、可愛いよ
綾香:私なんかより
綾香:今もいい顔してる
優恵:青春、か
優恵:私には無いものと思ってた
優恵:だけど……考えとく
綾香:……うん
優恵:昼休み、終わるね
綾香:戻りますかー
優恵:なんか、戻るの恥ずかしい……
綾香:あっはは、観察してようかなー
優恵:ばか!
0:
0:
綾香:……私の好きな人はね?
綾香:吉田くんだよ
綾香:ね?興味出てきた?
優恵:吉田、
綾香:吉田 翔くん
綾香:野球部の
優恵:……そ、そう
綾香:(好きなんだよね、知ってるよ
綾香:だってさ……)
0:
0:
綾香:(私の方が先に好きになったんだから)
0:
綾香:優恵と話すようになって
綾香:教室での優恵を見てたらさ
綾香:目で追ってるの、自覚してる?
優恵:……嘘
優恵:……私、そんなこと、してた?
綾香:(ずっと目で追ってた、教室から出て行く彼を見る目
綾香:何度も、何度も見てきたよ)
優恵:2年の時、困ったことがあって
優恵:それを助けてくれて……それで…
優恵:それから、かな
優恵:みんなからも信頼されてるし
優恵:凄い人だなって思ったら、意識してて……
優恵:その……す、好きに、なって…た
綾香:(それも知ってる
綾香:優しいよね、私も助けられた
綾香:あはは、好きになった理由も似てるんだもんな
綾香:本当、ライバルは多そうだね
綾香:……だけど、あなただけは違う)
優恵:なんで!?意味わかんない
優恵:告白、なんて……
綾香:(できない、よね
綾香:興味のないフリは、自信の無さだもん
綾香:見てたら分かるよ)
綾香:付き合いたいとか思わないの?
綾香:大学に行くってなったら
綾香:もう会えるかも分かんないんだよ?
優恵:……それ、は…
綾香:(何で私は背中を押そうとしてるんだろう
綾香:絶対、ダメなのに、分かってるのに
綾香:……あっはは…
綾香:『もし』の方にOKを持ってくる辺り
綾香:性格が悪いよね、ごめんね)
優恵:綾香は、その、どうなの?
綾香:(ここで、私もだよって言ったら
綾香:どんな顔するんだろうな
綾香:悔しがるのかな、負けたって顔するのかな
綾香:……私はそんな上等な人間じゃないよ)
優恵:サッカー部の?
優恵:なんか、綾香っぽい
綾香:(私っぽい、か
綾香:知らないわけないのにね
綾香:女の子の噂が絶えない人だよ
綾香:確かにモテはするだろうけどさ
綾香:……そうだね、私っぽいよね)
優恵:……告白、して……いいのかな
綾香:(……あーあ、まぁ、そうなるよね)
優恵:嘘!嘘、嘘!絶対!
優恵:根暗で、勉強しかしてなくて
優恵:教室でも誰とも話さないし
優恵:私なんか、どこを……
綾香:(分かるよ、だって一年の時から見てたから
綾香:あなたより先に好きになって
綾香:知らない野球ことも覚えて、少しでも近づきたくて
綾香:だけど、彼が目で追ってるのはいつも別の人で
綾香:……本当、人の趣味って分からない
綾香:ずっと追ってるのは、あなただった)
優恵:青春、か
優恵:私には無いものと思ってた
優恵:だけど……考えとく
綾香:(本当に可愛いよ
綾香:私なんかよりずっと純粋で
綾香:素直で、真面目で、自分で思ってるより
綾香:ずっと、『いい子』なんだよ)
優恵:昼休み、終わるね
優恵:なんか、戻るの恥ずかしい……
綾香:(そういうところに惹かれていくんだろうな
綾香:私は、なんでこうなったんだろう
綾香:人の恋を応援するようなことをして
綾香:腹の中では、叶わないことを願っていて
綾香:屋上に誘ったのも、一緒に過ごすのも
綾香:全部打算で、少しでも私を彼の目の中に入れたくて
綾香:あなたから彼の話を聞きたくなくて
綾香:でも、聞きたくて
綾香:いつか、諦めたり、別の人を好きになるんじゃないかって
綾香:恋愛の話題を振ったりして
綾香:それでも純粋に一途で、変わらなくて
綾香:自信がなくて、逃げることが多いけど
綾香:そんなあなたのことが好きで
綾香:応援したいのか、壊したいのかグチャグチャで
綾香:私は……)
優恵:綾香
綾香:ん?何?
優恵:私……頑張ってみるよ
優恵:青春
綾香:…………
綾香:うん
優恵:ありがとう
優恵:こんな話、初めてで
優恵:少し……楽しかった
綾香:(あぁ…あなたにとって、この恋は
綾香:甘酸っぱい青春の1ページで
綾香:その酸っぱさに顔を顰めることもあるだろう
綾香:だけど、その甘さに頬は溶け落ちて
綾香:口角は自分の意思に反して上がるだろう)
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綾香:(私は
綾香:私にとってこの恋は
綾香:青春と呼ぶには苦くて、悲恋と呼ぶには甘すぎる恋だ)
0:終