声劇台本置き場

　： 　： 0：部活後の帰り道(場所未定　電車か教室) 　： 夏希：ねぇ 弥江：ん？　なに？ 夏希：今度さ、どっか遊びに行かない？ 弥江：えー？　……あぁ、まぁ良いけど。珍しいね夏希から誘ってくんの 夏希：いやぁさ、再来週の日曜、練習試合あんじゃん？　しかもさめっっっちゃ格上(かくうえ)との。 　もうぜんっぜんモチベあがんないからさぁ～おいしいものとか食べに行きたいなぁって 弥江：モチベあげようとするだけえらいよ……私そもそも勝つ気ないもん 夏希：そこはわんちゃん狙おうよ。弥江だってそこそこ強いのに 弥江：嫌だね、勝てないと分かり切ってる試合は　最初から無理に勝負しない主義なの 夏希：あ、そうなの……それでよく部活続けてられるね 弥江：部活自体は好きだからね～、ま、そんな試合の為にモチベあげとこうとまでは思わないけど。でも、いいよー－ 夏希：ところがどっこい！ 弥江：な、なにさ急に 夏希：一つ問題があるんだよなぁ～！！ 弥江：は、はぁ……なに 夏希：お、聞いてくれるかい？　……私が出掛ける日は、たいてい雨なの 弥江：……は？ 夏希：だから、私が出掛けたい！　って思った日は絶対に雨なんだよぉ！ 弥江：圧が強いなっ！　なんだそれ、つまりは雨女ってこと？ 夏希：……いや、私の雨属性はレベルが違う。そうだなぁ～、たとえば、今週の木曜日！ 弥江：え！？　あ、はい……(スマホで天気を調べる)　 　……あ、雨だ 夏希：ね？ 弥江：い、いや、まぐれでしょ…… 夏希：来週の土曜日！！ 弥江：来週の土曜……わ、雨だ 夏希：な？？ 弥江：……し、しかし確率的にはまだまだ信用に値しない！　 夏希：え、何でそんな頑固なの？　……じゃあこれならどうだ！　再来週の月曜！ 弥江：お、今出るギリギリの天気予報攻めて来たな……あ！？　雨だぁー！！ 夏希：でしょぉー？ 弥江：しかも、土曜の夜中に雨が上がって、日曜快晴の月曜土砂降り……こいつはぁ……本物だ……！ 　……というか、今月普通に梅雨入りなのでは？ 夏希：……のんのん、雨が降るのは私が指定した曜日だけなのだよ弥江君。もっかい見てみたまえ 弥江：え……ちょ、マジじゃん、え……引く…… 夏希：ふふーん、どう、認める気になった？ 弥江：……いや、ここ２週間の天気予報を暗記して、それっぽく言ってるだけかもしれない 夏希：もう、そんなにつっかかってこないでよ～！　こういう話は、「あーすごい」か「えーかわいそう」でとっくに終わってんの普通！ 弥江：……夏希をこんなことで称賛したくもないし、同情したくもない 夏希：なにそのプライド 弥江：第一、日曜空いてるでしょ？　来週の日曜日でいいじゃん。ちょうど晴れみたいだし、試合１週間前だし。 夏希：日曜はバイトなんだよぉ～ 弥江：え、夏希バイト始めたの？ 夏希：あれ、言ってなかったっけ。個人営業の喫茶店。あんまり客入らないから楽よ～ 弥江：き、喫茶店！？　え！？　夏希が！？ 夏希：なに、悪い？ 弥江：いや、別に悪くないけど、なんか、思ってた感じと違うっていうか…… 夏希：誰か来たら「らーしゃーせー」「お会計何円っす」 弥江：もう接客してないじゃん、何でバイト雇ったのその店主、人件費無駄じゃない？ 夏希：すんごいやる気ないしなぁ、マスター。お客さん来ない方が生き生きしてるまである 弥江：それ、飲食店としてどうなの 夏希：あ、今度来る？　あの店のミックスジュースとナポリタンはめっちゃおいしい。 弥江：え、喫茶店といえば、マスターこだわりのブレンドコーヒー！　……じゃないの？ 夏希：コーヒーはおいしくない、苦すぎる。 弥江：……それ、夏希の味覚も評価に影響しているのでは？ 夏希：いや、バイト先の話はどうでもいいって。いつ遊べるか、弥江決めてくんない？ 弥江：はぁ！？　私決めんの！？　あんたから誘ってきたのに？　土曜日１日練だしなぁ……日曜ダメなんでしょ…・・・？　したらいつ行けるのさ 夏希：いや、ダメとは言ってない 弥江：は？ 夏希：ふつーにいつでも休めるし。なんならドタキャンも可 弥江：どうなってんだそのお店の勤務形態…… 夏希：よくも悪くもテキトーなんだよ、何となく休みたいので休みます、とか言っとけば万事すべてよし 弥江：よくはないけどね？　そんなに世の中甘くないのだよ？　……行くと決めたバイトはちゃんと行こうね？ 夏希：あ、２６日の日曜日バイト休みだ 弥江：試合終わった次の週ね……、うん、いいよ！　私も空いてる。　 　場所は、どうする？ 夏希：んー、甘いもの食べに行きたいかも 弥江：あぁ、いいね。どこの何食べる？ 夏希：いや、それも弥江決めて 弥江：え？ 夏希：……問題その二 弥江：その二？ 夏希：私が行こうとするお店、たいてい定休日か、臨時休業か潰れてるの 弥江：……いやもうそれちゃんと調べてから行きな？ 夏希：お気に入りの店は大体つぶれるんだよ……私センスないのかなぁ 弥江：えーかわいそう 夏希：……なんかちょっと腹立つ 弥江：あんたが言えって言ったんでしょ！ 夏希：とにかく、弥江が店決めてよ。知ってるお店増やしたいし 弥江：わかった……わかったよ！　調べりゃいいんでしょ！？ 夏希：うん、よろしくー。……あ、そういえば、再来週の試合って雨天中止だよね？ 弥江：あー、そうだけど 夏希：私が出掛けるイコール雨ってことはさぁ、……ねぇ？ 弥江：ない。九十九パーセントない 夏希：何で再来週の日曜の天気分かんのよ 弥江：さっき調べたでしょ、土曜雨、日曜快晴、月曜雨。ね？　日曜の降水確率はゼロパーセント 夏希：あぁそっか……、そうだった……あ、あのさ！ 弥江：ん？　 夏希：日曜さ、雨降ったらこれはもう正真正銘、私はナンバーワン雨属性だよね？ 弥江：ナンバーワンかどうかまでは分かりませんけども……、晴れ予報が雨になったら……悔しいが、認めざるを得ない 夏希：だからなんで弥江が悔しがるのよ 　つまり、雨が降れば私は雨属性であることが証明されるし、試合は中止、そして私はみんなの救世主に！ 弥江：……うん、そうだね、うん、そうだそうだ！！(なげやり) 夏希：よし……私ちょっと本気出すわ 弥江：おう、健闘を祈る 0：場面転換　 0： 0：二週間後、日曜日 0：朝の環境音　雨　 0：着信　電話の音(もしくはLINE風加工) 夏希：ねぇ弥江！　メール見た！？ 弥江：見た見た！！！(以下、顧問からのメール)「本日、雨天のため練習試合中止」……！ 　すごいよ……夏希すごいよ！！！　訳わかんない雨降らしも役に立つときあるんだね！！ 夏希：ま、まぁね！　私の手にかかれば朝飯前よ！　……でも、ここまでくると逆に怖い(小声) 弥江：……はぁ、急に予定空いたね 夏希：だね 弥江：そうだ、練習試合を台無しにしてくれた記念にどっかご飯食べに行かない？ 夏希：なんかそう言われるととんでもなく不名誉に聞こえる 弥江：ねぇ、夏希のバイト先の喫茶店、あの後調べてみたんだけど、めっちゃ雰囲気いいじゃん、近いし 夏希：あぁ……うん、行ってみる？　あんまり期待しない方が良いかもだけど。じゃあとりあえず、公園の前集合ね 0： 0：二人合流する　喫茶店の前 0： 夏希：ここ。あー……やっぱり 弥江：え、「臨時……休業……雨でやる気が出ないので、どうせ客も来ないだろうしお休みします」……！？ 弥江：なんだよもう！！！！