台本概要
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タイトル | ラプンツェルさんはあざと可愛い王子くんに構われたい! |
---|---|
作者名 | 瀬川こゆ (@hiina_segawa) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
あざと可愛い男の子を弄って構ってからかいたい用の台本ぱーとつーです。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ラプンツェル | 女 | 111 | 塔の中で引き篭っている恐らくお姫様。 |
王子 | 男 | 109 | 塔に囚われたお姫様を救いに来た筈の王子。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:むかしむかし、あるところに、
ラプンツェル:とある夫婦がおりました。
ラプンツェル:夫婦は長年子供に恵まれませんでしたが、
ラプンツェル:ある年、待望の子宝を授かりました。
ラプンツェル:けれど何故だか急に、
ラプンツェル:妊娠した妻は、
ラプンツェル:隣の家のラプンツェルが、
ラプンツェル:食べたくて食べたくて、
ラプンツェル:仕方がなくなってしまいました。
ラプンツェル:ラプンツェルを欲した妻は、
ラプンツェル:どんどんどんどん痩せ細っていきます。
ラプンツェル:見かねた夫は隣の家のラプンツェルを、
ラプンツェル:盗みに行くことにしました。
ラプンツェル:ラプンツェルの葉を数枚持って帰り、妻に食べさせると、
ラプンツェル:いくらか顔色は良くなりましたが、
ラプンツェル:やはり数枚足らずではとても足りません。
ラプンツェル:夫は何度も、庭に盗みに入り、
ラプンツェル:遂にその盗みがバレてしまいました。
ラプンツェル:実はこの庭は、
ラプンツェル:とても恐ろしい魔女の庭でした。
ラプンツェル:夫婦はラプンツェルを盗んだ罰として、
ラプンツェル:赤ん坊が産まれたら、
ラプンツェル:魔女に差し出す事を約束させられました。
ラプンツェル:そうして月日が経ち、
ラプンツェル:赤ん坊はラプンツェルと名付けられ、
ラプンツェル:高い高い塔の上に、
ラプンツェル:閉じ込められていました。
0:一拍。
王子:ラプンツェルさーん。
王子:ラプンツェルさん。
王子:金色の髪を窓から下ろしてくださいな〜。
ラプンツェル:へーい、どぞー。
王子:ありがとうございます!
ラプンツェル:はぁい。
ラプンツェル:あとは勝手にしてー。
王子:はい!
王子:よいっしょっ。
王子:よいしょっと。
ラプンツェル:うわ、あざといわぁ。
ラプンツェル:相変わらずあざといわこの王子。
王子:何か言いましたー?
ラプンツェル:いいえー空耳でーす。
王子:そうですかー。
王子:っと、着いた。
ラプンツェル:はぁいおめでとうございま……。
王子:いい加減ハシゴ掛けたりしません?
王子:登るの大変なんですけど。
ラプンツェル:うっ………。
王子:どうかしましたか?
ラプンツェル:え、ちょっと待って。
ラプンツェル:聞いてもいいかな?
王子:はい?
ラプンツェル:君は今朝、
ラプンツェル:鏡の類を見てきたのかな?
王子:はい?
ラプンツェル:鏡じゃなくてもいいよ?
ラプンツェル:最悪窓に写った自分の姿見たとかでもいい。
王子:はぁ?見ましたけど。
ラプンツェル:じゃあなんでそんな格好なのかな君は!!
王子:え、何かおかしいですか?
ラプンツェル:おかしいよ、やばいよ!
ラプンツェル:それはダメだって王子たん!
王子:具体的にどこが?
ラプンツェル:総合的に見て色々やばい。
王子:はぁ?
ラプンツェル:え、まじで分かってないの?
ラプンツェル:教えてあげるよ。
ラプンツェル:ほら、お姉さん優しいから。
王子:お願いします!
ラプンツェル:ひぇっっ素直に感謝されたぁ。
ラプンツェル:このボケ殺しいぃ!
王子:?
ラプンツェル:あ、まぁ、うん。
ラプンツェル:あのね。
王子:はい。
ラプンツェル:なーんで、その、さ。
王子:はい。
ラプンツェル:赤と白のしましまの服、
ラプンツェル:着てきちゃったのかな君は?
王子:おかしいですか?
ラプンツェル:うん、やばい。
ラプンツェル:城の人間誰も止めなかったの?
王子:ええ、まぁ。
ラプンツェル:嘘だろぉ。
ラプンツェル:無能じゃんけ。
王子:はぁ?
ラプンツェル:え、いや、まぁ、ね?
王子:はい。
ラプンツェル:あの、赤と白の、しましま。
ラプンツェル:は、この際いいですよ。
ラプンツェル:まぁ見逃しますよ、それだけなら。
王子:はい。
ラプンツェル:まぁ同じ柄の帽子をね、
ラプンツェル:被ってないのと、
ラプンツェル:あと、あの、眼鏡を、
ラプンツェル:掛けていないのも、
王子:はい。
ラプンツェル:あの、探さなくていいから、
ラプンツェル:まぁいいかなぁって思うわけでして。
王子:探す?ですか。
ラプンツェル:いや、ね、あの、そのさ。
ラプンツェル:赤と白のしましまに、
ラプンツェル:眼鏡と同じ柄の帽子。
ラプンツェル:これ揃っちゃうと。
王子:はい。
ラプンツェル:うぉぉんぉぉを、探せ!的な、
ラプンツェル:感じに、なっちゃうのさ。
王子:はぁ?
ラプンツェル:だから、まぁその辺のポイントは抑えていないから、
ラプンツェル:まぁ、そこはいいよ。
ラプンツェル:その予測は外す。
王子:はい。
ラプンツェル:だけどさ。
王子:はい。
ラプンツェル:なんで横縞なん?
ラプンツェル:しかもよくよく見たらさ、
王子:はい。
ラプンツェル:それ白に見える銀色じゃん。
王子:はい。
ラプンツェル:んで、その銀色と同じ感じの色のベルトを、
ラプンツェル:またいい感じの位置で、
ラプンツェル:締めちゃってるわけよ。
王子:ワンポイントあった方がいいかなぁって。
ラプンツェル:いや、お姉さんさ。
ラプンツェル:君の姿を視界に入れて、
ラプンツェル:すっっっごい思った事があるの。
王子:はい。
ラプンツェル:【自主規制だよぉ☆】じゃん!!
王子:え?
ラプンツェル:どっからどう見ても、
ラプンツェル:それは【自主規制だよぉ☆】じゃん!!
王子:【自主規制だよぉ☆】ってなんですか?
ラプンツェル:うえっっ?!
ラプンツェル:え、王子たん男の子だよね?!
王子:はい。
ラプンツェル:知らないの?!
王子:【自主規制だよぉ☆】ですか……。
王子:知らないですね。
王子:なんですか?それ。
ラプンツェル:やばい声のトーンが嘘じゃない。
ラプンツェル:本気で知らないんだこの子!
王子:【自主規制だよぉ☆】って、
王子:なんなんですか?
ラプンツェル:お姉さんが悪かったよぅ!!
王子:え?
ラプンツェル:ごめんて!お姉さんが悪かったよぅ!!
ラプンツェル:全面的にお姉さんが悪いよこれは!!
王子:はい?
ラプンツェル:そうだね、ピュアだもんね。
ラプンツェル:今時珍しいくらいにピュアだもんね、君は!!
王子:はぁ、
ラプンツェル:お姉さんの心が汚れてただけなんだぁ!!
王子:【自主規制だよぉ☆】がですか?
ラプンツェル:やーーめーーてーー!!
ラプンツェル:ごめんて!謝るから!!
ラプンツェル:なし!今のなし!!
ラプンツェル:忘れて!!
王子:あ、……分かりました。
ラプンツェル:…………とりあえず着替えようか。
王子:え?
ラプンツェル:やっぱどうしてもね、
ラプンツェル:気になっちゃうから。
ラプンツェル:着替えよう、いい子だから。
王子:自分、着替え持ってないんですが。
ラプンツェル:大丈夫安心して。
ラプンツェル:魔女のコレクションが腐るほどある。
王子:はぁ?
ラプンツェル:あざと可愛い王子たんにぴったりな、
ラプンツェル:あざと可愛い服探して来るからぁ!
王子:いやだから、あざと可愛いってなんですか!
王子:最近ずっと言ってきますけど!
ラプンツェル:あざと可愛いは、あざと可愛いだって。
ラプンツェル:とりあえず待ってて!!
王子:あ、ちょっっ、
0:一拍。
ラプンツェル:よーしよしよしよくやった私。
王子:これでいいんですか?
ラプンツェル:いいよ!
ラプンツェル:これぞあざと可愛いだ!
ラプンツェル:ないすぅー!
王子:はぁ?
ラプンツェル:さーて気が済んだ。
ラプンツェル:作業戻ろう。
王子:今日は何してたんですか?
ラプンツェル:今日?今日はね、
ラプンツェル:箱庭作って遊んでた!
王子:箱庭?
ラプンツェル:王子たんもやる?
ラプンツェル:お姉さんと遊ぶ?
王子:いや、自分は、
王子:箱庭作れる道具を持っていないので。
ラプンツェル:買ってよぅ!
ラプンツェル:箱庭キット買って遊ぼうよぅ!
王子:えー。
ラプンツェル:えーって何さ!
ラプンツェル:哀しいよぅ哀しいよぅ!
ラプンツェル:お姉さんと遊んでくれるのも、
ラプンツェル:沢山構ってくれるのも、
ラプンツェル:王子たんくらいなのにぃぃぃ。
王子:分かりました分かりました!!
王子:買います買えばいいんでしょ!!
ラプンツェル:言ったな!言質取ったからな!!
王子:うぅぅぅ。
ラプンツェル:やった!やった!
ラプンツェル:箱庭仲間♪
王子:あの、ラプンツェルさん。
ラプンツェル:お姉さん!
王子:……お姉さん。
ラプンツェル:なーに?
王子:ずっと疑問に思ってたんですけど。
ラプンツェル:うん。
王子:お姉さんなんでずっと、
王子:こんな塔の中に住んでるんですか?
ラプンツェル:めんどくさいから。
王子:え?
ラプンツェル:外出るのめんどくさいから。
ラプンツェル:動きたくないから。
ラプンツェル:ここならゴロゴロしてても怒られないから。
王子:とことん怠惰(たいだ)ですね。
ラプンツェル:なんとでも言え〜!
ラプンツェル:お姉さんは人間関係に疲れたんだぁ!
ラプンツェル:お世辞マシーンはもう嫌なんだぁ!
王子:お姉さん?
ラプンツェル:ちょっと前にお姉さんさ。
王子:はい。
ラプンツェル:お散歩してたのね、街で。
王子:はい。
王子:え、て言うかどうやって出たんですか?
ラプンツェル:エレベーター付いてるから、ここ。
王子:教えてくださいよ!!
ラプンツェル:だってだって仕方ないじゃん!
ラプンツェル:毎回一生懸命登ってくる王子たん。
ラプンツェル:あざてぇなぁ可愛いなぁって、
ラプンツェル:眺めるの好きなんだもん!
王子:本当は?
ラプンツェル:いつ気付くのかなぁこの子。
ラプンツェル:ほんとあざてぇなぁって思いながら、
ラプンツェル:内心からかって楽しんでた。
王子:お姉さん!!
ラプンツェル:君があざと可愛いの殿堂入り果たしたから悪いんですー。
ラプンツェル:お姉さん悪くないでーす。
王子:だからあざとくも可愛くもないんですって!!
王子:何回言えば分かってくれるんですかぁ!!
ラプンツェル:こっちのセリフですけどぉ!!
ラプンツェル:何回君はあざと可愛いと言えば、
ラプンツェル:分かってくれるんですかー!!
王子:何回言われても分かりませんよ!
王子:分かりたくないんですから!!
ラプンツェル:いい加減諦めようよぉ。
ラプンツェル:あざと可愛い王子たんは、
ラプンツェル:お姉さんには勝てないんだから。
王子:うっっ……確かにそうですけど。
王子:反撃しようものなら、
王子:倍になって返ってきますから。
ラプンツェル:だからあざと可愛いって認めた方が楽になるって。
王子:ぜっっっっったい嫌です!!
ラプンツェル:んで、そんなんどうでもいいの!
王子:どうでもいい事にしないでくださいよ!
ラプンツェル:話進まないじゃん!
王子:あ〜はい。分かりましたよ。
ラプンツェル:ほんでね、
王子:はい。
ラプンツェル:お姉さん街にお散歩行って。
王子:はい。
ラプンツェル:なんか、知らないカップルに絡まれたの。
王子:はい、凄い確率ですねそれ。
ラプンツェル:で、なんか、お茶しよーって言われて。
王子:はい、行かなきゃいいと思うんですけど。
ラプンツェル:まぁ行っちゃったんだけど。
王子:行っちゃったんですか!
ラプンツェル:断るの苦手なんだもん!
ラプンツェル:君と一緒だよぉ!
王子:まぁ確かに自分もそうなので、
王子:気持ちはよく分かりますけど。
ラプンツェル:それで、なんか。
王子:はい。
ラプンツェル:「彼氏くぅん可愛い♡」
ラプンツェル:「彼女ちゃんの方が可愛いよ♡」
ラプンツェル:「そんな事ないよぉ♡彼氏くんの方が可愛いのぉ♡」
ラプンツェル:「彼女ちゃんの方が可愛いってばぁ♡」
王子:お姉さん?
ラプンツェル:って、やり取りを、
ラプンツェル:目の前で延々と見せられまして。
王子:地獄ですね。
ラプンツェル:で、お姉さん気にしいだからさ。
王子:はい、そうですね。
ラプンツェル:内心、
ラプンツェル:なんでお姉さんここに居るんだろう?
ラプンツェル:とは、思ってたんだけど。
王子:はい。
ラプンツェル:でも、「あ、じゃあそろそろ帰りまーす」とは言えなくて。
王子:はい。
ラプンツェル:で、お姉さんはずっと。
王子:はい。
ラプンツェル:「あ、そうなんですね!」
ラプンツェル:「仲良いんですね!」
ラプンツェル:「あ、ほんと可愛いですねお二人共ー」
ラプンツェル:「あは、あはははは」
ラプンツェル:って。
王子:わぁ。
ラプンツェル:君達が可愛いか可愛くないかなんて、死ぬほどどうでもいいんじゃぁああああ!!
王子:ああああ落ち着いてお姉さん!
ラプンツェル:可愛いって言うのは、
ラプンツェル:王子たんみたいな子の事を言うんだよぅ。
ラプンツェル:天然無自覚あざと可愛い王子たんみたいな子が可愛いんだよぅ。
ラプンツェル:解釈違い過ぎて辛かったよぅ。
王子:あああああ色々否定したいですけど、
王子:大変でしたねとりあえず!
ラプンツェル:だからお姉さんはもう疲れたんで、
ラプンツェル:塔の外には出たくないんです。
ラプンツェル:王子たんが遊んで構ってくれればそれでいいんです。
ラプンツェル:お分かり頂けましたでしょうか?
王子:あ、はい。一応。
ラプンツェル:しつこいならしつこいって言えよぅ?
王子:いえ、別にしつこいとは思っていないので。
王子:まぁあざと可愛いに関しては、
王子:信じられないくらいしつこいですけど。
ラプンツェル:王子たんがあざと可愛いはお姉さん絶対に譲らない。
王子:そうですか。
王子:まぁ自分も遊んでもらうのは嬉しいので。
ラプンツェル:しつこくないと?
王子:はい。
王子:あざと可愛いに関しては、
王子:死ぬほどしつこいですけど。
ラプンツェル:なんでちょっと言い換えたん?!
王子:気付かれたぁ。
ラプンツェル:「たぁ」だって!
ラプンツェル:あざといなぁ。
ラプンツェル:あざといよこの子ほんとあざといわぁ!
王子:お姉さん!
ラプンツェル:はぁい。
王子:まぁ嫌じゃないので、
王子:別に自分の事は気にしないでください。
ラプンツェル:…………。
王子:お姉さん?
ラプンツェル:天使かな?
王子:は?
ラプンツェル:お姉さんいい事思い付いた!
王子:はい。
ラプンツェル:これからさ、王子たん自己紹介の時にさ、
王子:はい。
ラプンツェル:この世に舞い降りた、
ラプンツェル:ただ一人の大天使!
ラプンツェル:こと、王子です。
ラプンツェル:よろしくお願いしまーす。
ラプンツェル:って言おう!
王子:やですよ!
ラプンツェル:お願いお願い!
ラプンツェル:試しに言ってみてお願いだよぅ!
王子:うっ………。
ラプンツェル:お姉さんのわがままにぃ、
ラプンツェル:付き合ってくれるのはぁ、
王子:泣き落としやめてください!
王子:弱いんですよ、それほんとに!
ラプンツェル:じゃあ言って。
王子:分かりました……。
王子:なんでしたっけ?
0:王子、棒読みで口上。
王子:この世に舞い降りた、
王子:ただ一人の大天使。
王子:こと、王子です。
王子:よろしくお願いしまーす。
ラプンツェル:ちーがーうーよー!
ラプンツェル:なんでなん?!
ラプンツェル:なんで棒読みなん!!
ラプンツェル:真面目にやってよぅ!!
王子:(ため息)
王子:この世に舞い降りた、
王子:ただ一人の大天使!
王子:こと、王子です。
王子:よろしくお願いします☆
ラプンツェル:流石ー!!
王子:これで満足ですかー。
ラプンツェル:満足しましたありがとう!
0:一拍。
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:高い高い塔の上に、
ラプンツェル:閉じ込められていた、
ラプンツェル:引きこもりのラプンツェル。
ラプンツェル:けれどラプンツェルには、
ラプンツェル:なんだかんだ遊んでくれる王子様が居たので、
ラプンツェル:毎日楽しく過ごしたそうです。
0:一拍。
ラプンツェル:王子たんの箱庭の名前は、
ラプンツェル:「あざと可愛いひ島(とう)」にしようよ!!
王子:えぇっっ分かった分かりましたー。
王子:…………一生勝てないんだよなぁ。
ラプンツェル:なんか言った?
王子:いいえー。
王子:ほら、遊ぶんでしょー?
0:一拍。
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:めでたし、めでたし!
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:むかしむかし、あるところに、
ラプンツェル:とある夫婦がおりました。
ラプンツェル:夫婦は長年子供に恵まれませんでしたが、
ラプンツェル:ある年、待望の子宝を授かりました。
ラプンツェル:けれど何故だか急に、
ラプンツェル:妊娠した妻は、
ラプンツェル:隣の家のラプンツェルが、
ラプンツェル:食べたくて食べたくて、
ラプンツェル:仕方がなくなってしまいました。
ラプンツェル:ラプンツェルを欲した妻は、
ラプンツェル:どんどんどんどん痩せ細っていきます。
ラプンツェル:見かねた夫は隣の家のラプンツェルを、
ラプンツェル:盗みに行くことにしました。
ラプンツェル:ラプンツェルの葉を数枚持って帰り、妻に食べさせると、
ラプンツェル:いくらか顔色は良くなりましたが、
ラプンツェル:やはり数枚足らずではとても足りません。
ラプンツェル:夫は何度も、庭に盗みに入り、
ラプンツェル:遂にその盗みがバレてしまいました。
ラプンツェル:実はこの庭は、
ラプンツェル:とても恐ろしい魔女の庭でした。
ラプンツェル:夫婦はラプンツェルを盗んだ罰として、
ラプンツェル:赤ん坊が産まれたら、
ラプンツェル:魔女に差し出す事を約束させられました。
ラプンツェル:そうして月日が経ち、
ラプンツェル:赤ん坊はラプンツェルと名付けられ、
ラプンツェル:高い高い塔の上に、
ラプンツェル:閉じ込められていました。
0:一拍。
王子:ラプンツェルさーん。
王子:ラプンツェルさん。
王子:金色の髪を窓から下ろしてくださいな〜。
ラプンツェル:へーい、どぞー。
王子:ありがとうございます!
ラプンツェル:はぁい。
ラプンツェル:あとは勝手にしてー。
王子:はい!
王子:よいっしょっ。
王子:よいしょっと。
ラプンツェル:うわ、あざといわぁ。
ラプンツェル:相変わらずあざといわこの王子。
王子:何か言いましたー?
ラプンツェル:いいえー空耳でーす。
王子:そうですかー。
王子:っと、着いた。
ラプンツェル:はぁいおめでとうございま……。
王子:いい加減ハシゴ掛けたりしません?
王子:登るの大変なんですけど。
ラプンツェル:うっ………。
王子:どうかしましたか?
ラプンツェル:え、ちょっと待って。
ラプンツェル:聞いてもいいかな?
王子:はい?
ラプンツェル:君は今朝、
ラプンツェル:鏡の類を見てきたのかな?
王子:はい?
ラプンツェル:鏡じゃなくてもいいよ?
ラプンツェル:最悪窓に写った自分の姿見たとかでもいい。
王子:はぁ?見ましたけど。
ラプンツェル:じゃあなんでそんな格好なのかな君は!!
王子:え、何かおかしいですか?
ラプンツェル:おかしいよ、やばいよ!
ラプンツェル:それはダメだって王子たん!
王子:具体的にどこが?
ラプンツェル:総合的に見て色々やばい。
王子:はぁ?
ラプンツェル:え、まじで分かってないの?
ラプンツェル:教えてあげるよ。
ラプンツェル:ほら、お姉さん優しいから。
王子:お願いします!
ラプンツェル:ひぇっっ素直に感謝されたぁ。
ラプンツェル:このボケ殺しいぃ!
王子:?
ラプンツェル:あ、まぁ、うん。
ラプンツェル:あのね。
王子:はい。
ラプンツェル:なーんで、その、さ。
王子:はい。
ラプンツェル:赤と白のしましまの服、
ラプンツェル:着てきちゃったのかな君は?
王子:おかしいですか?
ラプンツェル:うん、やばい。
ラプンツェル:城の人間誰も止めなかったの?
王子:ええ、まぁ。
ラプンツェル:嘘だろぉ。
ラプンツェル:無能じゃんけ。
王子:はぁ?
ラプンツェル:え、いや、まぁ、ね?
王子:はい。
ラプンツェル:あの、赤と白の、しましま。
ラプンツェル:は、この際いいですよ。
ラプンツェル:まぁ見逃しますよ、それだけなら。
王子:はい。
ラプンツェル:まぁ同じ柄の帽子をね、
ラプンツェル:被ってないのと、
ラプンツェル:あと、あの、眼鏡を、
ラプンツェル:掛けていないのも、
王子:はい。
ラプンツェル:あの、探さなくていいから、
ラプンツェル:まぁいいかなぁって思うわけでして。
王子:探す?ですか。
ラプンツェル:いや、ね、あの、そのさ。
ラプンツェル:赤と白のしましまに、
ラプンツェル:眼鏡と同じ柄の帽子。
ラプンツェル:これ揃っちゃうと。
王子:はい。
ラプンツェル:うぉぉんぉぉを、探せ!的な、
ラプンツェル:感じに、なっちゃうのさ。
王子:はぁ?
ラプンツェル:だから、まぁその辺のポイントは抑えていないから、
ラプンツェル:まぁ、そこはいいよ。
ラプンツェル:その予測は外す。
王子:はい。
ラプンツェル:だけどさ。
王子:はい。
ラプンツェル:なんで横縞なん?
ラプンツェル:しかもよくよく見たらさ、
王子:はい。
ラプンツェル:それ白に見える銀色じゃん。
王子:はい。
ラプンツェル:んで、その銀色と同じ感じの色のベルトを、
ラプンツェル:またいい感じの位置で、
ラプンツェル:締めちゃってるわけよ。
王子:ワンポイントあった方がいいかなぁって。
ラプンツェル:いや、お姉さんさ。
ラプンツェル:君の姿を視界に入れて、
ラプンツェル:すっっっごい思った事があるの。
王子:はい。
ラプンツェル:【自主規制だよぉ☆】じゃん!!
王子:え?
ラプンツェル:どっからどう見ても、
ラプンツェル:それは【自主規制だよぉ☆】じゃん!!
王子:【自主規制だよぉ☆】ってなんですか?
ラプンツェル:うえっっ?!
ラプンツェル:え、王子たん男の子だよね?!
王子:はい。
ラプンツェル:知らないの?!
王子:【自主規制だよぉ☆】ですか……。
王子:知らないですね。
王子:なんですか?それ。
ラプンツェル:やばい声のトーンが嘘じゃない。
ラプンツェル:本気で知らないんだこの子!
王子:【自主規制だよぉ☆】って、
王子:なんなんですか?
ラプンツェル:お姉さんが悪かったよぅ!!
王子:え?
ラプンツェル:ごめんて!お姉さんが悪かったよぅ!!
ラプンツェル:全面的にお姉さんが悪いよこれは!!
王子:はい?
ラプンツェル:そうだね、ピュアだもんね。
ラプンツェル:今時珍しいくらいにピュアだもんね、君は!!
王子:はぁ、
ラプンツェル:お姉さんの心が汚れてただけなんだぁ!!
王子:【自主規制だよぉ☆】がですか?
ラプンツェル:やーーめーーてーー!!
ラプンツェル:ごめんて!謝るから!!
ラプンツェル:なし!今のなし!!
ラプンツェル:忘れて!!
王子:あ、……分かりました。
ラプンツェル:…………とりあえず着替えようか。
王子:え?
ラプンツェル:やっぱどうしてもね、
ラプンツェル:気になっちゃうから。
ラプンツェル:着替えよう、いい子だから。
王子:自分、着替え持ってないんですが。
ラプンツェル:大丈夫安心して。
ラプンツェル:魔女のコレクションが腐るほどある。
王子:はぁ?
ラプンツェル:あざと可愛い王子たんにぴったりな、
ラプンツェル:あざと可愛い服探して来るからぁ!
王子:いやだから、あざと可愛いってなんですか!
王子:最近ずっと言ってきますけど!
ラプンツェル:あざと可愛いは、あざと可愛いだって。
ラプンツェル:とりあえず待ってて!!
王子:あ、ちょっっ、
0:一拍。
ラプンツェル:よーしよしよしよくやった私。
王子:これでいいんですか?
ラプンツェル:いいよ!
ラプンツェル:これぞあざと可愛いだ!
ラプンツェル:ないすぅー!
王子:はぁ?
ラプンツェル:さーて気が済んだ。
ラプンツェル:作業戻ろう。
王子:今日は何してたんですか?
ラプンツェル:今日?今日はね、
ラプンツェル:箱庭作って遊んでた!
王子:箱庭?
ラプンツェル:王子たんもやる?
ラプンツェル:お姉さんと遊ぶ?
王子:いや、自分は、
王子:箱庭作れる道具を持っていないので。
ラプンツェル:買ってよぅ!
ラプンツェル:箱庭キット買って遊ぼうよぅ!
王子:えー。
ラプンツェル:えーって何さ!
ラプンツェル:哀しいよぅ哀しいよぅ!
ラプンツェル:お姉さんと遊んでくれるのも、
ラプンツェル:沢山構ってくれるのも、
ラプンツェル:王子たんくらいなのにぃぃぃ。
王子:分かりました分かりました!!
王子:買います買えばいいんでしょ!!
ラプンツェル:言ったな!言質取ったからな!!
王子:うぅぅぅ。
ラプンツェル:やった!やった!
ラプンツェル:箱庭仲間♪
王子:あの、ラプンツェルさん。
ラプンツェル:お姉さん!
王子:……お姉さん。
ラプンツェル:なーに?
王子:ずっと疑問に思ってたんですけど。
ラプンツェル:うん。
王子:お姉さんなんでずっと、
王子:こんな塔の中に住んでるんですか?
ラプンツェル:めんどくさいから。
王子:え?
ラプンツェル:外出るのめんどくさいから。
ラプンツェル:動きたくないから。
ラプンツェル:ここならゴロゴロしてても怒られないから。
王子:とことん怠惰(たいだ)ですね。
ラプンツェル:なんとでも言え〜!
ラプンツェル:お姉さんは人間関係に疲れたんだぁ!
ラプンツェル:お世辞マシーンはもう嫌なんだぁ!
王子:お姉さん?
ラプンツェル:ちょっと前にお姉さんさ。
王子:はい。
ラプンツェル:お散歩してたのね、街で。
王子:はい。
王子:え、て言うかどうやって出たんですか?
ラプンツェル:エレベーター付いてるから、ここ。
王子:教えてくださいよ!!
ラプンツェル:だってだって仕方ないじゃん!
ラプンツェル:毎回一生懸命登ってくる王子たん。
ラプンツェル:あざてぇなぁ可愛いなぁって、
ラプンツェル:眺めるの好きなんだもん!
王子:本当は?
ラプンツェル:いつ気付くのかなぁこの子。
ラプンツェル:ほんとあざてぇなぁって思いながら、
ラプンツェル:内心からかって楽しんでた。
王子:お姉さん!!
ラプンツェル:君があざと可愛いの殿堂入り果たしたから悪いんですー。
ラプンツェル:お姉さん悪くないでーす。
王子:だからあざとくも可愛くもないんですって!!
王子:何回言えば分かってくれるんですかぁ!!
ラプンツェル:こっちのセリフですけどぉ!!
ラプンツェル:何回君はあざと可愛いと言えば、
ラプンツェル:分かってくれるんですかー!!
王子:何回言われても分かりませんよ!
王子:分かりたくないんですから!!
ラプンツェル:いい加減諦めようよぉ。
ラプンツェル:あざと可愛い王子たんは、
ラプンツェル:お姉さんには勝てないんだから。
王子:うっっ……確かにそうですけど。
王子:反撃しようものなら、
王子:倍になって返ってきますから。
ラプンツェル:だからあざと可愛いって認めた方が楽になるって。
王子:ぜっっっっったい嫌です!!
ラプンツェル:んで、そんなんどうでもいいの!
王子:どうでもいい事にしないでくださいよ!
ラプンツェル:話進まないじゃん!
王子:あ〜はい。分かりましたよ。
ラプンツェル:ほんでね、
王子:はい。
ラプンツェル:お姉さん街にお散歩行って。
王子:はい。
ラプンツェル:なんか、知らないカップルに絡まれたの。
王子:はい、凄い確率ですねそれ。
ラプンツェル:で、なんか、お茶しよーって言われて。
王子:はい、行かなきゃいいと思うんですけど。
ラプンツェル:まぁ行っちゃったんだけど。
王子:行っちゃったんですか!
ラプンツェル:断るの苦手なんだもん!
ラプンツェル:君と一緒だよぉ!
王子:まぁ確かに自分もそうなので、
王子:気持ちはよく分かりますけど。
ラプンツェル:それで、なんか。
王子:はい。
ラプンツェル:「彼氏くぅん可愛い♡」
ラプンツェル:「彼女ちゃんの方が可愛いよ♡」
ラプンツェル:「そんな事ないよぉ♡彼氏くんの方が可愛いのぉ♡」
ラプンツェル:「彼女ちゃんの方が可愛いってばぁ♡」
王子:お姉さん?
ラプンツェル:って、やり取りを、
ラプンツェル:目の前で延々と見せられまして。
王子:地獄ですね。
ラプンツェル:で、お姉さん気にしいだからさ。
王子:はい、そうですね。
ラプンツェル:内心、
ラプンツェル:なんでお姉さんここに居るんだろう?
ラプンツェル:とは、思ってたんだけど。
王子:はい。
ラプンツェル:でも、「あ、じゃあそろそろ帰りまーす」とは言えなくて。
王子:はい。
ラプンツェル:で、お姉さんはずっと。
王子:はい。
ラプンツェル:「あ、そうなんですね!」
ラプンツェル:「仲良いんですね!」
ラプンツェル:「あ、ほんと可愛いですねお二人共ー」
ラプンツェル:「あは、あはははは」
ラプンツェル:って。
王子:わぁ。
ラプンツェル:君達が可愛いか可愛くないかなんて、死ぬほどどうでもいいんじゃぁああああ!!
王子:ああああ落ち着いてお姉さん!
ラプンツェル:可愛いって言うのは、
ラプンツェル:王子たんみたいな子の事を言うんだよぅ。
ラプンツェル:天然無自覚あざと可愛い王子たんみたいな子が可愛いんだよぅ。
ラプンツェル:解釈違い過ぎて辛かったよぅ。
王子:あああああ色々否定したいですけど、
王子:大変でしたねとりあえず!
ラプンツェル:だからお姉さんはもう疲れたんで、
ラプンツェル:塔の外には出たくないんです。
ラプンツェル:王子たんが遊んで構ってくれればそれでいいんです。
ラプンツェル:お分かり頂けましたでしょうか?
王子:あ、はい。一応。
ラプンツェル:しつこいならしつこいって言えよぅ?
王子:いえ、別にしつこいとは思っていないので。
王子:まぁあざと可愛いに関しては、
王子:信じられないくらいしつこいですけど。
ラプンツェル:王子たんがあざと可愛いはお姉さん絶対に譲らない。
王子:そうですか。
王子:まぁ自分も遊んでもらうのは嬉しいので。
ラプンツェル:しつこくないと?
王子:はい。
王子:あざと可愛いに関しては、
王子:死ぬほどしつこいですけど。
ラプンツェル:なんでちょっと言い換えたん?!
王子:気付かれたぁ。
ラプンツェル:「たぁ」だって!
ラプンツェル:あざといなぁ。
ラプンツェル:あざといよこの子ほんとあざといわぁ!
王子:お姉さん!
ラプンツェル:はぁい。
王子:まぁ嫌じゃないので、
王子:別に自分の事は気にしないでください。
ラプンツェル:…………。
王子:お姉さん?
ラプンツェル:天使かな?
王子:は?
ラプンツェル:お姉さんいい事思い付いた!
王子:はい。
ラプンツェル:これからさ、王子たん自己紹介の時にさ、
王子:はい。
ラプンツェル:この世に舞い降りた、
ラプンツェル:ただ一人の大天使!
ラプンツェル:こと、王子です。
ラプンツェル:よろしくお願いしまーす。
ラプンツェル:って言おう!
王子:やですよ!
ラプンツェル:お願いお願い!
ラプンツェル:試しに言ってみてお願いだよぅ!
王子:うっ………。
ラプンツェル:お姉さんのわがままにぃ、
ラプンツェル:付き合ってくれるのはぁ、
王子:泣き落としやめてください!
王子:弱いんですよ、それほんとに!
ラプンツェル:じゃあ言って。
王子:分かりました……。
王子:なんでしたっけ?
0:王子、棒読みで口上。
王子:この世に舞い降りた、
王子:ただ一人の大天使。
王子:こと、王子です。
王子:よろしくお願いしまーす。
ラプンツェル:ちーがーうーよー!
ラプンツェル:なんでなん?!
ラプンツェル:なんで棒読みなん!!
ラプンツェル:真面目にやってよぅ!!
王子:(ため息)
王子:この世に舞い降りた、
王子:ただ一人の大天使!
王子:こと、王子です。
王子:よろしくお願いします☆
ラプンツェル:流石ー!!
王子:これで満足ですかー。
ラプンツェル:満足しましたありがとう!
0:一拍。
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:高い高い塔の上に、
ラプンツェル:閉じ込められていた、
ラプンツェル:引きこもりのラプンツェル。
ラプンツェル:けれどラプンツェルには、
ラプンツェル:なんだかんだ遊んでくれる王子様が居たので、
ラプンツェル:毎日楽しく過ごしたそうです。
0:一拍。
ラプンツェル:王子たんの箱庭の名前は、
ラプンツェル:「あざと可愛いひ島(とう)」にしようよ!!
王子:えぇっっ分かった分かりましたー。
王子:…………一生勝てないんだよなぁ。
ラプンツェル:なんか言った?
王子:いいえー。
王子:ほら、遊ぶんでしょー?
0:一拍。
ラプンツェル:(M)
ラプンツェル:めでたし、めでたし!