台本概要
221 views
タイトル | プレミアファミリー |
---|---|
作者名 | じん |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
処女作なので生暖かい目で見守ってください。 教師が生徒の家庭訪問によって、生徒の抱える闇に飲み込まれる。 中国の昔話を参考にしました。 4/15 加筆修正 221 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
娘 | 女 | 20 | 闇を抱えている。中3 |
母 | 女 | 27 | 設定を理解した上で先生を取り込もうとしていることに留意して演じる。普通の母親らしく、父親とラブラブ |
父 | 男 | 8 | 設定を理解した上で先生を取り込もうとしていることに留意して演じる。普通の父親らしく、息子と兼ねてもいい |
息子 | 男 | 15 | 設定を理解した上で先生を取り込もうとしていることに留意して演じる。無邪気な中3 |
先生 | 男 | 31 | 厳しい先生 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
プレミアファミリー
娘:「ただいまー、学校疲れちゃったよ」
母:「おかえりなさい、学校で何かあったの?」
娘:「あのね、担任がスカートの丈が短いだの、スマホ禁止だのマジでうるさいの。やんなっちゃう」
母:「それは嫌よね。担任の先生とは今まで上手くやっていけてたの?」
娘:「ううん最初から最悪。家庭訪問の期間が始まってからもっと先生厳しくなったの。誰かの親がクレーム入れたのかな」
母:「あら、それはいけないわね。先生、うちにも来るのよねえ。お話しないと」
娘:「ありがとー、お母さん、頼むね。」
母:「任せといて、そろそろご飯の準備してくるわね。」
娘:「OK」
息子:「ふわぁー、お姉ちゃん、おかえりー。」
娘:「ただいま。そういえばもう夏休み入ってるんだっけ?うらやましー」
息子:「夏休み最高っ、お姉ちゃん大変そうだねー」
娘:「あんたも宿題大変なんじゃないのー?直前に苦しむのはやめときなさいよ」
息子:「ぎくっ、わかりましたー。気をつけます。」
父:「ただいまー、腹減った。」
母:「お帰りなさい。みんなー。お父さん帰ってきたからご飯にするわよー」
娘:「はーい。」
息子:「はーい。」
:場面は廊下からリビングに切り替わる。
父:「むしゃむしゃ、美味い美味い。母さんの作るチキン南蛮は最高だよ」
父:「ところでお前たち、最近なんか困ってることはないか」
娘:「はーい。聞いてよ。担任の先生が急にうざくなったの。どうにかして」
父:「おっ、母さんからメッセージで聞いたぞ。家庭訪問でその先生うちに来るらしいな。俺はその日仕事あるからなるべく早く帰るようにするよ」
娘:「よかった。話早くて助かる。」
息子:「お姉ちゃん少しは自重してよね。バレたら大変だよ」
娘:「何言ってたの、あんた消すわよ。」
息子:「うわ怖すぎ。流石僕たちのマザーなだけある」
娘:「何言ってんの?私はただのいたいけな女子よ」
息子:「今度、家庭訪問に来る先生と何もなければいいね」
娘:「どういうことよ、私はヘマしないわよ。」
息子:「確かに。僕たちの時は見事だったね。」
父:「こらこら喧嘩するな。みんなで仲良くな。」
母:「そうよ。せっかくこの生活を楽しめてるんだから。角立てないで」
息子:「はーい」
:場面は家庭訪問
先生:「お邪魔しまーす。家庭訪問に伺いました。」
母:「こんにちは。お待ちしてました。是非是非上がって行ってください」
息子:「こんにちはー。姉がいつもお世話になっています。」
先生:「お母様ですね。それによくできた弟さんだね。こんにちは。さて今日は娘さんのお話をしに来ました。」
母:「娘がいつもお世話になっております。ここで立ち話もなんですので居間にご案内しますね。」
先生:「ありがとうございます。ではお邪魔いたします。」
母:「どうぞどうぞ。こちらです。」
:場面は変わって居間
先生:「素敵な居間ですね。窓から見えるお庭も綺麗ですね。」
母:「実は庭に娘が大切に育てている朝顔があるんです。観察日記にするんですって、よかったら見ていきませんか」
先生:「本当ですか。せっかくなら拝見しようかな。お庭にお邪魔しますね。」
母:「是非是非、その間、お茶の準備してきますね。」
先生:「わかりました。よっと、どれどれ、これか。綺麗に育ってる。おや、観察日記も横に置いてるんだね。ちょっと拝見しようかな」
娘:「朝顔を育て始めた。朝顔の花言葉は愛情らしい。私の愛情が届いて咲いてくれるといいな。」
先生:「この子には、こんな一面もあったのか。意外だな。見直した.今日はあまりひどい話はしないでおくか」
先生:「その時、嫌な予感がした。何か重大なことを見逃しているような、そんな感じ」
先生:「もう一度、朝顔を見る。そこには三つの花が咲こうとしていた。つるが互いに絡みついている様は何か歪な愛情が込められている気がした。もう一度日記を見る」
娘:「近くの園芸店で会った人に綺麗な朝顔を育てる方法を教えてもらった。それによると花に愛情をかけ続けていると花に命が宿るらしい、そしてそれを保つ方法だ」
娘:「朝顔と気持ちが通じ合った気がする。朝顔と共に生きていきたい。そのためにはあの方法をやるしかないようだ。私に迷いはない。」
先生:「嫌な予感がする・・・この家に何かが起きようとしている。」
思わず、日記を取り落とした。自分が出てきた冊子窓を振り返る。その時、母がやってきた。
母:「お茶の準備ができたのでお話しましょう。」
先生:「(この人も前はどこかよそよそしかったよな、どこか優しくなった気がする。でもなぜか不気味だ。)ぜ、ぜひお話しを聞かせてください。」
母:「ではこちらにどうぞ、お茶をお出ししますね。」
先生:「よいしょっと、お茶いただきます。うん美味しい。渋みがいいですね。」
母:「それはよかった。ゴクリ。やっぱり美味しい。こだわって入れたお茶なんですよ」
先生:「ところで娘さんなのですが。最近、個性を出されているようでご家庭での様子をお聞きしたいんです」
母:「あの子はようやく自由になったんです。自分のしたいことをしているんですよ」
先生:「どういうことでしょうか。ご家庭での方針が変わったということでしょうか」
母:「そうですね。あの子のことをわかっている私たちの考えです。」
先生:「そうなんですね。前は厳しめな方にお見受けしましたが」
母:「以前はあの子はとても苦しそうでした。私はそれに耐えられなかったんです。だから変えたんです。」
先生:「でも、その原因を作っていたのはあなたではないのですか」
母:「ええそういうことになりますね」
先生:「あなたの厳格な家庭方針が彼女を追い詰めたということをわかっておられますか。どうしてそんな他人事になれるんですか」
母:「もう母親としての罪滅ぼしは終わっているからです。」
先生:「あの子があなた方を許し、あなた方はあの子を自由にしたということですか。」
母:「いいえ、あの子は許していないでしょうね。ただ満足しているだけです。」
先生:「許していないのに、その本人を目にして満足できているなんてことあるんですか。」
母:「ええ、あの子が私たちを変えたんですから。」
先生:「彼女があなた方ご家族に何かしたということですか。」
母:「ええ、あの子のおかげで私たちは生きられるのよ」
先生:「もしかして、あの子が何か家庭の生計を支えるバイトをしているということですか。例えば夜のお仕事であるとか。それなら最近の行動も説明がつく。教師としてそれは見過ごせないところですよ。」
母:「おほほ、先生は想像力豊かですわね。でもあの子にそんなことはさせません。大切なあの子にそんなことはさせられなくてよ。あの子は私たちに人間とは何かを教えてくれたのです。」
先生:「(・・・あの子は一体何をしたんだ。)」
息子:「お取り込み中のところ、おじゃましまーす。母さん、父さんが帰ってきたよ。今日は仲間が増えるんでしょ。父さんが言ってたよ」
母:「しっ。静かになさい。ごめんなさいね。夫と息子も同席させていいですか」
先生:「え、ええ。ご家族が多い方がお話聞きやすいですからね。」
息子:「わーい。先生、これからよろしくね」
先生:「あ、ああ。すぐ帰るけどよろしくね。」
息子:「何言ってんの。今日は一緒に晩御飯食べようよ!」
父:「ははは、お前は気が早いなあ。どうも先生、娘の話聞きに早退きしてきました。」
母:「あなたったら。もう。親バカなんだから。」
先生:「あっ、ははは、ところで肝心の娘さんはいつ頃来られるんですか?」
父:「時期がくれば来ると思います。あの子は余計なことも喋りますから、あまり先生にお会いしない方がいいかと思いまして。」
先生:「時期ですか・・・。困りましたね。娘さんにお伺いしたいこともあるのですが。いつ頃いらっしゃいますか。」
父:「娘にも話を聞きたいんですね。でも先生がお知りになりたいことはもうすぐわかると思いますよ。いつ頃・・・そうですね。ところで先生、お身体の調子はどうですか?お腹が痛くなったりフラフラしたりしませんか。」
先生:「私ですか。体の調子は大丈夫ですよ。なんの話をなさっているのですかっ・・・うっ・・・ぐっ・・・・」
母:「まあ、先生、急にどうされました。大丈夫ですか。お顔が青いですよ。お手洗いご案内しましょうか」
先生:「う・・・ん・・・大丈夫・・です・・・1人で行けます・・・。(トイレに行く)」
息子:「あれだけ苦しんでたらスムーズに交代できそうだね。お茶全部飲んじゃってるし。」
母:「そうね。頑張って作った甲斐があったわ。我が子を自らの手で犠牲にするのは断腸の思いだったけど。」
父:「あの子から連絡があった。そろそろ帰ってくるそうだ。いよいよ最終局面だな。」
息子:「お姉ちゃんも怖いこと知ってるよね。誰から教えてもらったんだろう。」
先生:「すみません。急に体調を崩してしまって、うーん視界がぐるぐるする。」
娘:「ただいまー。先生、こんにちは。もう仕上がってるね。」
先生:「君、何を企んでいるんだ。君も、君たちの家族もおかしいぞ。何をした。」
娘:「ふふふ教えてあげるね。私は前妻の子なの。だから家族にも馬鹿にされ、勉強もできないからあなたにも厳しく当たられて自分の居場所がなかった。何か心の拠り所が欲しくてペットは飼ってもらえなかったから植物を育てることにしたの。そこで園芸店に行って長く育てられる花を探してた。そしたら年配の女性に朝顔を勧められて、そこで面白い話を聞いたの。花に愛情を込めて丹精込めて育てると花は命を持つようになり、話をすることができるようになる。でもその花が生きられるのは花の寿命分だけ、長く生きることはできないの」
先生:「一体、なんの話をしているんだ。花に命?長く生かす?勝手にすればいいじゃないか」
娘:「まあまあ騙されたと思って最後まで聞いてよ。そのお婆さんの話によると花を生かすには他の生き物の命を使う必要がある。他の生き物の命を使うには命を吹き込まれた花が出す種を生き物に飲ませるといい。そこでおすすめなのは朝顔の種。朝顔の種には毒があって、その生物の魂を体から追い出して吸い取り、その生物を乗っ取る効果が期待できるらしいとね」
先生:「まさか君は・・・もしかして・・・全員。」
娘:「そう私を苦しめた人たちに飲ませて朝顔の精と入れ替わってもらったわ。今みんなはあの花壇の朝顔の花の養分になっているの。朝顔の種を飲ませるのには苦労したわ。そのままだとバレちゃうからすりつぶしてお茶にすることにしたの。いいアイデアでしょ。どうだった?お茶の味、意外と美味しかったようでよかった。」
先生:「君はなんてことを・・・。俺がもっと気にかけていれば・・君を止めれたのかもしれない・・・」
娘:「恩着せがましいこと言わないで!あんたは私を見捨てたのよ。せいぜい苦しみなさい。私の家族と一緒にね。はーせいせいした。私はこれから最高の家族に囲まれて過ごすのよ。」
:それは男が人間として聞いた最後のセリフとなった。
プレミアファミリー
娘:「ただいまー、学校疲れちゃったよ」
母:「おかえりなさい、学校で何かあったの?」
娘:「あのね、担任がスカートの丈が短いだの、スマホ禁止だのマジでうるさいの。やんなっちゃう」
母:「それは嫌よね。担任の先生とは今まで上手くやっていけてたの?」
娘:「ううん最初から最悪。家庭訪問の期間が始まってからもっと先生厳しくなったの。誰かの親がクレーム入れたのかな」
母:「あら、それはいけないわね。先生、うちにも来るのよねえ。お話しないと」
娘:「ありがとー、お母さん、頼むね。」
母:「任せといて、そろそろご飯の準備してくるわね。」
娘:「OK」
息子:「ふわぁー、お姉ちゃん、おかえりー。」
娘:「ただいま。そういえばもう夏休み入ってるんだっけ?うらやましー」
息子:「夏休み最高っ、お姉ちゃん大変そうだねー」
娘:「あんたも宿題大変なんじゃないのー?直前に苦しむのはやめときなさいよ」
息子:「ぎくっ、わかりましたー。気をつけます。」
父:「ただいまー、腹減った。」
母:「お帰りなさい。みんなー。お父さん帰ってきたからご飯にするわよー」
娘:「はーい。」
息子:「はーい。」
:場面は廊下からリビングに切り替わる。
父:「むしゃむしゃ、美味い美味い。母さんの作るチキン南蛮は最高だよ」
父:「ところでお前たち、最近なんか困ってることはないか」
娘:「はーい。聞いてよ。担任の先生が急にうざくなったの。どうにかして」
父:「おっ、母さんからメッセージで聞いたぞ。家庭訪問でその先生うちに来るらしいな。俺はその日仕事あるからなるべく早く帰るようにするよ」
娘:「よかった。話早くて助かる。」
息子:「お姉ちゃん少しは自重してよね。バレたら大変だよ」
娘:「何言ってたの、あんた消すわよ。」
息子:「うわ怖すぎ。流石僕たちのマザーなだけある」
娘:「何言ってんの?私はただのいたいけな女子よ」
息子:「今度、家庭訪問に来る先生と何もなければいいね」
娘:「どういうことよ、私はヘマしないわよ。」
息子:「確かに。僕たちの時は見事だったね。」
父:「こらこら喧嘩するな。みんなで仲良くな。」
母:「そうよ。せっかくこの生活を楽しめてるんだから。角立てないで」
息子:「はーい」
:場面は家庭訪問
先生:「お邪魔しまーす。家庭訪問に伺いました。」
母:「こんにちは。お待ちしてました。是非是非上がって行ってください」
息子:「こんにちはー。姉がいつもお世話になっています。」
先生:「お母様ですね。それによくできた弟さんだね。こんにちは。さて今日は娘さんのお話をしに来ました。」
母:「娘がいつもお世話になっております。ここで立ち話もなんですので居間にご案内しますね。」
先生:「ありがとうございます。ではお邪魔いたします。」
母:「どうぞどうぞ。こちらです。」
:場面は変わって居間
先生:「素敵な居間ですね。窓から見えるお庭も綺麗ですね。」
母:「実は庭に娘が大切に育てている朝顔があるんです。観察日記にするんですって、よかったら見ていきませんか」
先生:「本当ですか。せっかくなら拝見しようかな。お庭にお邪魔しますね。」
母:「是非是非、その間、お茶の準備してきますね。」
先生:「わかりました。よっと、どれどれ、これか。綺麗に育ってる。おや、観察日記も横に置いてるんだね。ちょっと拝見しようかな」
娘:「朝顔を育て始めた。朝顔の花言葉は愛情らしい。私の愛情が届いて咲いてくれるといいな。」
先生:「この子には、こんな一面もあったのか。意外だな。見直した.今日はあまりひどい話はしないでおくか」
先生:「その時、嫌な予感がした。何か重大なことを見逃しているような、そんな感じ」
先生:「もう一度、朝顔を見る。そこには三つの花が咲こうとしていた。つるが互いに絡みついている様は何か歪な愛情が込められている気がした。もう一度日記を見る」
娘:「近くの園芸店で会った人に綺麗な朝顔を育てる方法を教えてもらった。それによると花に愛情をかけ続けていると花に命が宿るらしい、そしてそれを保つ方法だ」
娘:「朝顔と気持ちが通じ合った気がする。朝顔と共に生きていきたい。そのためにはあの方法をやるしかないようだ。私に迷いはない。」
先生:「嫌な予感がする・・・この家に何かが起きようとしている。」
思わず、日記を取り落とした。自分が出てきた冊子窓を振り返る。その時、母がやってきた。
母:「お茶の準備ができたのでお話しましょう。」
先生:「(この人も前はどこかよそよそしかったよな、どこか優しくなった気がする。でもなぜか不気味だ。)ぜ、ぜひお話しを聞かせてください。」
母:「ではこちらにどうぞ、お茶をお出ししますね。」
先生:「よいしょっと、お茶いただきます。うん美味しい。渋みがいいですね。」
母:「それはよかった。ゴクリ。やっぱり美味しい。こだわって入れたお茶なんですよ」
先生:「ところで娘さんなのですが。最近、個性を出されているようでご家庭での様子をお聞きしたいんです」
母:「あの子はようやく自由になったんです。自分のしたいことをしているんですよ」
先生:「どういうことでしょうか。ご家庭での方針が変わったということでしょうか」
母:「そうですね。あの子のことをわかっている私たちの考えです。」
先生:「そうなんですね。前は厳しめな方にお見受けしましたが」
母:「以前はあの子はとても苦しそうでした。私はそれに耐えられなかったんです。だから変えたんです。」
先生:「でも、その原因を作っていたのはあなたではないのですか」
母:「ええそういうことになりますね」
先生:「あなたの厳格な家庭方針が彼女を追い詰めたということをわかっておられますか。どうしてそんな他人事になれるんですか」
母:「もう母親としての罪滅ぼしは終わっているからです。」
先生:「あの子があなた方を許し、あなた方はあの子を自由にしたということですか。」
母:「いいえ、あの子は許していないでしょうね。ただ満足しているだけです。」
先生:「許していないのに、その本人を目にして満足できているなんてことあるんですか。」
母:「ええ、あの子が私たちを変えたんですから。」
先生:「彼女があなた方ご家族に何かしたということですか。」
母:「ええ、あの子のおかげで私たちは生きられるのよ」
先生:「もしかして、あの子が何か家庭の生計を支えるバイトをしているということですか。例えば夜のお仕事であるとか。それなら最近の行動も説明がつく。教師としてそれは見過ごせないところですよ。」
母:「おほほ、先生は想像力豊かですわね。でもあの子にそんなことはさせません。大切なあの子にそんなことはさせられなくてよ。あの子は私たちに人間とは何かを教えてくれたのです。」
先生:「(・・・あの子は一体何をしたんだ。)」
息子:「お取り込み中のところ、おじゃましまーす。母さん、父さんが帰ってきたよ。今日は仲間が増えるんでしょ。父さんが言ってたよ」
母:「しっ。静かになさい。ごめんなさいね。夫と息子も同席させていいですか」
先生:「え、ええ。ご家族が多い方がお話聞きやすいですからね。」
息子:「わーい。先生、これからよろしくね」
先生:「あ、ああ。すぐ帰るけどよろしくね。」
息子:「何言ってんの。今日は一緒に晩御飯食べようよ!」
父:「ははは、お前は気が早いなあ。どうも先生、娘の話聞きに早退きしてきました。」
母:「あなたったら。もう。親バカなんだから。」
先生:「あっ、ははは、ところで肝心の娘さんはいつ頃来られるんですか?」
父:「時期がくれば来ると思います。あの子は余計なことも喋りますから、あまり先生にお会いしない方がいいかと思いまして。」
先生:「時期ですか・・・。困りましたね。娘さんにお伺いしたいこともあるのですが。いつ頃いらっしゃいますか。」
父:「娘にも話を聞きたいんですね。でも先生がお知りになりたいことはもうすぐわかると思いますよ。いつ頃・・・そうですね。ところで先生、お身体の調子はどうですか?お腹が痛くなったりフラフラしたりしませんか。」
先生:「私ですか。体の調子は大丈夫ですよ。なんの話をなさっているのですかっ・・・うっ・・・ぐっ・・・・」
母:「まあ、先生、急にどうされました。大丈夫ですか。お顔が青いですよ。お手洗いご案内しましょうか」
先生:「う・・・ん・・・大丈夫・・です・・・1人で行けます・・・。(トイレに行く)」
息子:「あれだけ苦しんでたらスムーズに交代できそうだね。お茶全部飲んじゃってるし。」
母:「そうね。頑張って作った甲斐があったわ。我が子を自らの手で犠牲にするのは断腸の思いだったけど。」
父:「あの子から連絡があった。そろそろ帰ってくるそうだ。いよいよ最終局面だな。」
息子:「お姉ちゃんも怖いこと知ってるよね。誰から教えてもらったんだろう。」
先生:「すみません。急に体調を崩してしまって、うーん視界がぐるぐるする。」
娘:「ただいまー。先生、こんにちは。もう仕上がってるね。」
先生:「君、何を企んでいるんだ。君も、君たちの家族もおかしいぞ。何をした。」
娘:「ふふふ教えてあげるね。私は前妻の子なの。だから家族にも馬鹿にされ、勉強もできないからあなたにも厳しく当たられて自分の居場所がなかった。何か心の拠り所が欲しくてペットは飼ってもらえなかったから植物を育てることにしたの。そこで園芸店に行って長く育てられる花を探してた。そしたら年配の女性に朝顔を勧められて、そこで面白い話を聞いたの。花に愛情を込めて丹精込めて育てると花は命を持つようになり、話をすることができるようになる。でもその花が生きられるのは花の寿命分だけ、長く生きることはできないの」
先生:「一体、なんの話をしているんだ。花に命?長く生かす?勝手にすればいいじゃないか」
娘:「まあまあ騙されたと思って最後まで聞いてよ。そのお婆さんの話によると花を生かすには他の生き物の命を使う必要がある。他の生き物の命を使うには命を吹き込まれた花が出す種を生き物に飲ませるといい。そこでおすすめなのは朝顔の種。朝顔の種には毒があって、その生物の魂を体から追い出して吸い取り、その生物を乗っ取る効果が期待できるらしいとね」
先生:「まさか君は・・・もしかして・・・全員。」
娘:「そう私を苦しめた人たちに飲ませて朝顔の精と入れ替わってもらったわ。今みんなはあの花壇の朝顔の花の養分になっているの。朝顔の種を飲ませるのには苦労したわ。そのままだとバレちゃうからすりつぶしてお茶にすることにしたの。いいアイデアでしょ。どうだった?お茶の味、意外と美味しかったようでよかった。」
先生:「君はなんてことを・・・。俺がもっと気にかけていれば・・君を止めれたのかもしれない・・・」
娘:「恩着せがましいこと言わないで!あんたは私を見捨てたのよ。せいぜい苦しみなさい。私の家族と一緒にね。はーせいせいした。私はこれから最高の家族に囲まれて過ごすのよ。」
:それは男が人間として聞いた最後のセリフとなった。