台本概要

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タイトル mimosa
作者名 橘りょう  (@tachibana390)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男2)
時間 60 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 本社から赴任してきたのは、中身も外見も整った年下のカリスマ上司。
そんな彼と期間限定で一つ屋根の下で過ごすことに。
スパダリ×ノンケの穏やかな関係の始まりのお話。

読み手の性別は不問、登場人物の性別変更は不可。
使用される場合は特にお知らせしていただかなくても大丈夫ですが、お知らせいただくと作者が小躍りして喜びます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
長峰 234 中間管理職の40歳。 周囲には慕われている。おっとりとした性格で和食好き。 世話焼きの面もあるが、少し鈍い性格でお付き合いしている女性は無し。
真鍋 239 本社から赴任してきた、外見中身共に整ったカリスマ上司。32歳 日頃ジムにも通っていて、料理は得意だが洋食に限る。丁寧で穏やか、ゲイであることは隠している。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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長峰 ながみね    中間管理職の40歳。    周囲には慕われている。おっとりとした性格で和食好き。    世話焼きの面もあるが、少し鈍い性格でお付き合いしている女性は無し。 真鍋 まなべ    本社から赴任してきた、外見中身共に整ったカリスマ上司。32歳    日頃ジムにも通っていて、料理は得意だが洋食に限る。    丁寧で穏やか、ゲイであることは隠している。 真鍋:不慣れなものでご迷惑をおかけするかと思います。皆さん、よろしくお願いします : 長峰:(M)本社から赴任してきたという、年下の新しい上司は柔らかい笑みを浮かべると深々と頭を下げた。すらりとした体躯に、彫刻のような彫りの深い端正な顔つき、低めの耳触りの良い声。女性社員から漏れた小さな歓声は、男性の自分からしても仕方ない、と思えるものだった。 長峰:(M)上役からは評判がいい、とは赴任前から風の噂を聞き及んでいたし、そういう人物が来る、という話も私には内密に知らされていた。年下の新しい上司と若手の間に挟まれる私を気遣ってくれたのであろう、と思う。 長峰:(M)何にせよ私はこの、居るだけで光を放っていそうな新しい上司の傍で働くこととなった。 : : 真鍋:長峰さん 長峰:はい、なんでしょう? 真鍋:今日の得意先への訪問、同行させて貰っていいですか? 長峰:それは構いませんが… 真鍋:電話での挨拶はしたんですが、まだ直接の挨拶が出来て無くて… 長峰:分かりました。午後一なので昼休み前に出るようになりますけど… 真鍋:また声かけて貰っていいですか? 長峰:分かりました 真鍋:じゃあ先に打ち合わせ済ませてきますね 長峰:なが(びきそうなら)… 真鍋:もし長引きそうなら早めに連絡を入れます 長峰:…分かりました :真鍋去る 長峰:出来た人だな… : : 長峰:では今後ともよろしくお願いいたします 真鍋:お時間いただきましてありがとうございます。私も精一杯長峰をサポートしてまいりますので :間 真鍋:お疲れ様でした 長峰:いえ、真鍋部長もお疲れ様です 真鍋:今日は無理を言って付いて来てしまって… 長峰:構いませんよ。私はいつも通りのことをするだけなので 真鍋:長峰さんが穏やかにお話されるので、とてもスムーズな打ち合わせでした 長峰:いや、特別なことは… 真鍋:特別ですよ 長峰:…… 真鍋:今までの積み重ねがあるからこそできることです。小手先で真似してできることではありません 長峰:そう、ですかね… 真鍋:そうですよ 長峰:はは、いかんせんのんびりした性格なもので 真鍋:良いことです。最近は世情もあるんでしょうけど…ピリピリしたことが多くて疲れてしまいますから 長峰:部長でもそう思われるんですね 真鍋:ええ、それはもちろん 長峰:あ、お腹すいたでしょう?昼食抜きで来たから… 真鍋:言われると確かに 長峰:時々行く店があるんですが、どうですか? 真鍋:おすすめのお店があるんですか? 長峰:ええ、安くて旨い定食屋なんですが… 真鍋:定食屋はあまり行くことが無いですね…というか、初めてです 長峰:部長は確かに定食というよりカフェって方が似合いそうですね。なら他の店を… 真鍋:いえ、長峰さんのおすすめ、教えてください 長峰:和食、お好きですか? 真鍋:はい。自分では作らないのでありがたいです 長峰:じゃあ行きましょうか。…こちらです 真鍋:ありがとうございます 長峰:部長は自炊、されるんですか 真鍋:えぇ、結構料理は好きですね、一人なので必要に駆られて、ですが 長峰:私も似たようなもんです。独り身は気楽でもありますが、全部自分でってなりますからね 真鍋:…長峰さんは独身だったんですね 長峰:えぇ。残念ながらご縁がなくて 真鍋:そうですか… 長峰:これから行く店、鯖の味噌煮が旨いんですよ 真鍋:味噌煮、ですか 長峰:生まれが海の近くなもので、魚料理が好きなんです 真鍋:なるほど 長峰:まぁ…女性社員を誘っては行きにくいかもしれませんけどね。その時は部長チョイスのお店で 真鍋:…そう、ですね 長峰:どうですか、もうすっかり慣れた様子ですが 真鍋:ええ、皆さんサポートして下さるので 長峰:いやいや、サポートはこちらがして貰ってますよ。さすがは本社のお墨付きだ 真鍋:…… 長峰:あ、嫌味に聞こえたらすみません、そういうつもりでは… 真鍋:分かってますよ、大丈夫です。…長峰さん 長峰:はい? 真鍋:…その、もしかしたらと思って 長峰:なん、でしょう? 真鍋:やりにくさとかは…無いですか? 長峰:…… 真鍋:…本社の方からありがたいことに、評価を頂いてるのは自覚があります。私なりに一生懸命やってきた結果という自負もあります。だからと言って皆さんが頑張っていないというわけではなく… 長峰:(遮って)その話は 真鍋:…… 長峰:食いながら、しましょうか。ここです 真鍋:…はい :間 長峰:先ほどのお話ですが 真鍋:はい 長峰:真鍋部長は凄い人だと、正直に思ってますよ 真鍋:……ありがとうございます 長峰:あなたが来たばかりの時、野心のある若手なんかは、すかした奴がー、なんて言ってたもんですが、今じゃすっかり懐いてあなたの存在が彼らのモチベーションに繋がっている 真鍋:…そうなら、有り難いですね 長峰:それに、褒めるときは人前で、お礼の言葉をはっきりと口にされる。気持ちのいいことです。ミスがあっても気負わせない物の言い方もお上手だと思います。なにかあってもさりげないフォローというのは、失敗してしまった側からすると心強いもんですよ 真鍋:…… 長峰:年の割に、というと失礼に聞こえるかもしれませんが、私があなたの年の時はそこまで広くものが見れなかった。目の前のことに必死でしたよ。…カリスマって言うんですかね、こういうの 真鍋:あの… 長峰:ん? 真鍋:褒め、すぎでは 長峰:ははっ、足りないくらいですよ。真鍋部長、いつもありがとうございます 真鍋:こちらこそです。長峰さんはどう思っているかわかりませんが、私は貴方がいつも穏やかでいてくれるので、そこに救われてるんですから 長峰:…くすぐったいですな。おっ、来ましたよ 真鍋:あぁ、良い匂いだ…美味しそうですね 長峰:旨いですよ。さ、食べてもうひと仕事頑張りましょう 真鍋:そうですね。いただきます 長峰:いただきます : : 真鍋:お疲れ様でした 長峰:お疲れ様です。今日はまっすぐお帰りですか? 真鍋:あ…いえ 長峰:ん? 真鍋:その…(辺りを見回して小声になる)実はしばらく家に帰れなくて 長峰:どうして? 真鍋:昨夜、マンションの火災あったの、ご存じですか? 長峰:ええ、ニュースで… 真鍋:実は、私の上の階だったんです 長峰:えっ!? 真鍋:幸い、大きな被害はなかったんですが…しばらくは修繕などで自宅に戻れなくて 長峰:じゃあどうしてるんですか? 真鍋:近くのホテルに泊まろうかと 長峰:災難でしたね… 真鍋:ええ、本当に 長峰:…… 真鍋:連泊を想定してなかったのでこれから今夜の宿泊先を… 長峰:あのっ 真鍋:はい? 長峰:もし良かったら、うちに来ませんか? 真鍋:えっ… 長峰:男の一人暮らしですから大したもてなしは出来ませんが…ホテルに泊まり続けるというのも大変でしょう? 真鍋:しかし…上司が一緒というのは気が休まらないのでは…? 長峰:私は特に…あ、でも部長が… 真鍋:私も特には……お言葉に甘えても、良いんでしょうか? 長峰:言い出したのは私の方です。それに以前弟が一緒に住んでまして、部屋が一部屋空いてるんですよ 真鍋:…ありがとうございます、助かります… : : 真鍋:お待たせしました : 長峰:(M)帰りに買い物をした彼は、泊めて貰うのだから、とキッチンに立った。自宅のキッチンに綺麗な顔の男が立っている…その光景だけでも十分に不思議な感覚だった : 真鍋:お口に合うかわかりませんが 長峰:これは…大したもんだ。これがいつもの我が家のテーブルですか 真鍋:魚がお好きとおっしゃってたので。アクアパッツァをメインに 長峰:こんなのは、食べたことがない。鮮やかできれいですね。それにサラダもなんか…まるで店みたいだ 真鍋:簡単なもので恐縮です 長峰:いやいや、十分すぎますよ。では…いただきます 真鍋:…… 長峰:ん…うん、うまい… 真鍋:良かった… 長峰:アサリの出汁が良く出てる…本当に店で食べてるみたいだ… 真鍋:煮込むだけなので簡単なんですよ。ワインにもよく合います 長峰:…このワイン、旨いですね 真鍋:口当たりがいいでしょう? 長峰:ええ、飲みすぎてしまいそうです :間 真鍋:長峰さん、長峰さん 長峰:ん…んん…(テーブルに突っ伏して寝ている) 真鍋:飲ませ、過ぎたかな。まぁ明日は休みだから良いけど… 長峰:(寝息を立てている) 真鍋:なにか…かけるもの…。すみません、勝手に部屋入らせてもらいますね : 長峰:長峰と申します、よろしくお願いします : 真鍋:…彼の、匂いがする… : 長峰:私で良ければ何でも聞いてください : 真鍋:少し…すこしだけ… : 長峰:真鍋部長、コーヒーでも飲みますか : 真鍋:…っ : :無人のベッドにダイブして深呼吸をする : 長峰:真鍋部長、いつもありがとうございます : 真鍋:長峰さん…の、匂い…はぁ… : :はっと正気に戻って立ち上がる : 真鍋:(長い溜息)…早く、出ていかなきゃ… : : 長峰:…ん、んー…コーヒーの…はっ! 真鍋:おはようございます(笑っている) 長峰:…お、はよう、ございます… 真鍋:すみません、昨夜はつい沢山飲ませてしまったみたいで 長峰:あ、いや…こちらこそ、だらしない真似を… 真鍋:いえ、ここは長峰さんのお宅ですから。さすがに部屋には運べなかったので、勝手に部屋から毛布を。客用布団もありがとうございます 長峰:うわぁ…かっこわるい… 真鍋:そんなことないですよ。あ、シャワーも借りました 長峰:…うぅ… 真鍋:大丈夫ですか?気分悪いですか? 長峰:いや、そうじゃなくて…どうぞといった手前、ろくにもてなしもせず… 真鍋:気にしないでください。泊まらせて貰っただけで本当に助かってるんですから 長峰:(水を飲みにキッチンへ)……あれ? 真鍋:? 長峰:あの…もしかして流し… 真鍋:あぁ、昨日お借りしたので 長峰:洗い物まで全部… 真鍋:泊まらせて貰っているので当然です 長峰:気を使わなくても… 真鍋:そういうんじゃなくて、本当に 長峰:部長に台所掃除させたなんて女の子が聞いたら怒られそうだ… 真鍋:そんなことはないでしょう 長峰:いや、可能性は高いです… 真鍋:(笑いながら)長峰さんが言わなければ誰にも知られませんよ 長峰:怖くて人に話せませんって…すみません、風呂に行ってきます 真鍋:どうぞ、ごゆっくり : : 長峰:真鍋部長 真鍋:はい 長峰:ちょっと…いいですか? 真鍋:? 長峰:(周囲を見回して)今日、先に帰っててもらっていいですか?取引先と飲みに行くことになって 真鍋:あぁ… 長峰:朝渡そうと思ってたのに、ポケットに入れたまま忘れてて…合鍵、お渡ししておきますね 真鍋:…… 長峰:どうか、しました? 真鍋:あ、いえ… 長峰:そんなに遅くはならないと思いますが。ゆっくりしていてください 真鍋:ありがとうございます 長峰:あと、いつも私の分まで食事作ってもらってすみません。今夜は良いので 真鍋:自分のを作るついでですから別に… 長峰:あなたの奥さんになる方は幸せですね 真鍋:……そう、ですかね 長峰:幸せだと思いますよ。(呼ばれる)あ、ちょっと待って、すぐ行く。…では 真鍋:はい : 真鍋:…っ(鍵を握りしめて、長く息を吐く)奥さん、か… : : 長峰:はー…疲れた…(ドアを開ける)かえりま…ん? 真鍋:お疲れ様でした 長峰:…まだ起きてらしたんですね 真鍋:えぇ、明日から三連休ですから 長峰:あの… 真鍋:…… 長峰:なにか、焦がしちゃいましたか? 真鍋:……掃除はしたんですが、匂いが抜けきらなくて 長峰:大丈夫ですか?火傷とか… 真鍋:それは大丈夫… 長峰:なにか考え事でも? 真鍋:いえ、そうではなくて…その、冷蔵庫のを焼こうと思って。取引先とならもしかしたらあまり食べられないのではないかと… 長峰:…私用(わたしよう)に、ですか? 真鍋:それが、思ったより早く焦げてしまいまして 長峰:あ、もしかして味醂干し… 真鍋:…和食系は全く作ったことがなかったので、あんなに早く焦げるのかと驚きました 長峰:…ふ、ふふ… 真鍋:長峰さん? 長峰:くく…(こらえきれずに笑いだす) 真鍋:ちょ…笑わないでくださいよ… 長峰:す、すみませ…くくくっ… 真鍋:誰でも失敗はあるものですよ 長峰:ええ、ええ、分かってます…でも意外で… 真鍋:そんなに、意外でしょうか 長峰:あぁ、すみません笑ってしまって…結構可愛らしい面もあるんだな、と少し安心しました 真鍋:そんなに笑われるとは思ってませんでした… 長峰:すみません 真鍋:まぁ…長峰さんの前だけということで。魚一つも焼けないのかと他の人にも笑われるのはごめんです 長峰:言いふらしたりなんてしませんよ。そんなことをしたら、みんなが憧れの敏腕部長に風呂掃除までさせたのかと、私が非難の的になってしまう 真鍋:…それは、私が好きでやっただけなので… 長峰:それにしても…なんでしょうね… 真鍋:なんですか? 長峰:いや、仕事はもちろん、家事の手際もいいし失敗したのを見たことがなかったので、完璧超人なんだと思ってました 真鍋:そんなのでは…無いですよ。ただの凡人です 長峰:凡人かどうかは置いておいて。だから、猶更と言いますか…そうやって少ししょげてる顔もできるんだな、と 真鍋:…え 長峰:私と同世代、それより上の人間もいる中であなたはしっかりとやって下さってますからね。今の部署はとてもまとまっていると思います。それもひとえにあなたの立ち回りのおかげな部分は非常に大きいと思います。ですが…無理してるんじゃないかと、思ってしまうんですよ 真鍋:…… 長峰:余計なお世話と言いますか…私では頼りない部分は大きいと思いますがそれでも少し、長く生きてますからね。アドバイスって程の事では無いですが、何か吐き出したいものがあれば。同じ釜の飯を食った仲、って事で 真鍋:…っ 長峰:私みたいなお節介おじさんで良ければ、ですけどね 真鍋:…長峰さんは、頼りになりますよ 長峰:そうですか?嬉しいなぁ 真鍋:私は、とても頼りにしてます…!! 長峰:部長… 真鍋:あの…帰ったら、役職外して貰っていいですか? 長峰:あぁ…確かに、それもそうですね。では…真鍋さん? 真鍋:…その方が、気楽です 長峰:実は私もです : : 真鍋:(電話中)…そうですか、分かりました。…いえ、大変お世話になりました。えぇ、ではそちらに寄らせて頂きます。はい…はい、では失礼します。 真鍋:(長い溜息)ようやく、か… :部屋を出る 真鍋:長峰さん、管理会社から電話がありまして 長峰:お。ということは修繕が終わったんですね 真鍋:えぇ、なので…自宅に戻ります 長峰:寂しくなりますねぇ 真鍋:ぇ… 長峰:帰って来て誰かがいる、とか嬉しかったですから。夜、言葉を交わす相手が居なくなると思うと 真鍋:…そう、ですか?家に帰ってまで上司が居るというのは… 長峰:そんなことはありません。楽しかったですよ、私は 真鍋:…… 長峰:それに、男の私でも見惚れるような綺麗な顔を眺めるというのもいいものです 真鍋:…なんですか、それは 長峰:若い子たちが真鍋さんを見て嬉しそうにしている気持ちがね、わかるなぁと 真鍋:は、はは… 長峰:もう今日すぐに戻られますか? 真鍋:…えぇ、そのつもりです 長峰:折角ですし修繕のお祝いでもしますか 真鍋:お祝い、ですか…。あの…明日また、来させて頂いても? 長峰:え? 真鍋:泊めていただいたお礼に食事を作らせて欲しいんです 長峰:お礼って程の事では…それにうちに来てからほとんど食事を作って下さっていたのは真鍋さんじゃないですか 真鍋:私がしたくてしたことです 長峰:困った時はお互いさま、でしょう? 真鍋:それはそうですが…ご迷惑でしょうか 長峰:迷惑だなんてとんでもない 真鍋:なら、決まりですね 長峰:う…じゃあ、お言葉に甘えて 真鍋:特別、腕によりをかけて作ります 長峰:自炊に戻れなくなりそうで怖いですねぇ 真鍋:そうなったら、また作りに来ますよ : : 長峰:何か手伝うことがあれば… 真鍋:良いんです、下拵えは終わってますし、長峰さんはゆっくり座っていてください 長峰:…自宅なのにこんなに座りが悪い日が来るなんて思わなかった… 真鍋:ははっ…テレビでも映画でも、好きに過ごして貰ってていいんですよ 長峰:…いや、でもやはり何か… 真鍋:長峰さん 長峰:…はい 真鍋:今日は、私があなたにお礼がしたいんです、わがままを聞いていただけませんか? 長峰:ノー、と言えば? 真鍋:駄目です、譲れません 長峰:…… 真鍋:…… 長峰:…~~っ、わかり、ました… 真鍋:それでよろしい。良かったらワインでも飲みながら待っててください 長峰:いや、でも… 真鍋:食前酒ですよ。どうぞ 長峰:…どうも 真鍋:そんなに時間はかかりませんから。いい子にしててください 長峰:いい子って… 真鍋:ふふっ 長峰:そうやって若い子を虜にするんですねぇ。ずるいなぁ 真鍋:そういうつもりは無いんですが 長峰:…もしかして、不愉快でしたか? 真鍋:え… 長峰:完璧だ、出来た人だと言われることが負担だったりしませんか? 真鍋:…身に余る評価を貰ってるな、とは思います。応えなくては、という気持ちもありますが負担、とまでは。ただ… 長峰:ただ? 真鍋:…周りと距離を感じることは多いです。仕事終わりの飲みとか誘われたことがなくて 長峰:それは…(小さく吹き出して笑い出す)贅沢な悩みだ 真鍋:長峰さんは私が赴任してから気にかけてくださってるなって思ってました。休憩の時に声をかけてくれたり、昼食に誘ってくれたり。…本当にありがたくて 長峰:そんな… 真鍋:本当に、嬉しかったです 長峰:またいつでも誘いますよ 真鍋:お願いします 長峰:あぁ、でもきっと真鍋さんに声をかけたい人は沢山いるはずですよ 真鍋:そうでしょうか 長峰:居ますよ、特に女の子たちは 真鍋:…… 長峰:どんな人がタイプ、とかありますか? 真鍋:えっ… 長峰:あれ、これはセクハラ発言になるのかな…コンプライアンス… 真鍋:…長峰さんも教えてくださるのであれば 長峰:こんなおじさんの好みを聞いても 真鍋:私に聞くなら、長峰さんも教えてください 長峰:……良いでしょう 真鍋:はい。そうですね、私は… :間 真鍋:好みは特にないです 長峰:おっと…それはズルくないですか? 真鍋:そんなことないですよ、事実ですから。…私は…好きな人と一緒に、お互いが寛げるような…生活が出来たらいいなと思うんです。肩の力を抜いて、ゆったり深呼吸できるような… 長峰:うん、それはいいですね 真鍋:でも実際…好きになる相手には見向きもされないんですけどね 長峰:もったいないなぁ 真鍋:そんなものです。想いは…伝わらないことの方が大半です。伝わっても受け止めて貰えないので、もう諦めてますよ 長峰:まだ若いのに諦めるのは早すぎませんか 真鍋:…長峰さんは、どんな人がタイプなんですか? 長峰:んー…私は…可愛らしい人がいいですね 真鍋:…… 長峰:あぁ、外見の話ではなくて。そうだなぁ…委員長タイプの子が実はド天然だった、みたいな 真鍋:ギャップってやつですか 長峰:そう、なんですかね。例えば真鍋さんのような 真鍋:っ!? 長峰:ほら、この間魚を焦がしたでしょう? 真鍋:あ、あぁ…ありましたね、そういうこと 長峰:仕事はできる、周りからの信頼も厚い、社交的でさらに顔も良い。そんな完璧が服を着て歩いているような貴方が、自分の失敗にしょんぼりしているのを見るとね…あぁ、可愛らしいんだなぁと思うわけですよ。そういうね、自分だけが知ってる一面って、特別感がないですか? 真鍋:分かり、ます 長峰:今はそうやって諦めてるなんて言いますけど、きっと貴方の隣を歩いてくれる素敵な女性が現れますよ。真鍋さんの可愛い所をきっと沢山見つけてくれるんじゃないでしょうか 真鍋:…そう、ですね… 長峰:? 真鍋:あっつ! 長峰:真鍋さん!? 真鍋:すみません、びっくりしただけで… 長峰:すぐに冷やして! 真鍋:大したことは…少しフライパンに… 長峰:ダメです!保冷剤出しますから水で冷やして! 真鍋:…… 長峰:疲れてるんじゃないですか?気をつけないと 真鍋:本当に大丈夫ですよ。料理していればこういうことも珍しくないですから 長峰:火傷を軽く見ちゃいけません。痕になったらどうするんですか 真鍋:…長峰さんの隣に立つ人は、幸せですね 長峰:えぇ?なんですか、急に 真鍋:そう思ったんです。あなたは周囲をとても大切にする人だから…きっと幸せだろうな、と 長峰:買い被りですよ 真鍋:いいえ 長峰:そんな相手、現れませんって。こんなおじさんに 真鍋:いいえ、きっと現れますよ……その人が、羨ましい 長峰:羨ましい…? 真鍋:羨ましいです 長峰:…… 真鍋:あなたの隣に立てる人が、私は羨ましい 長峰:えっと… 真鍋:…なんでもないです 長峰:…なにか、悩みでもあるんですか? 真鍋:…… 長峰:私じゃ頼りないでしょうが… 真鍋:…… 長峰:良ければ聞きますよ? 真鍋:…後悔するかもしれまんよ 長峰:後悔…? 真鍋:本当に…これだからあなたという人は 長峰:何のことです? 真鍋:長峰さんは、穏やかで気づかいのできる、頼りになる人です 長峰:そう、ですか? 真鍋:お人好しで、天然なところもあって… 長峰:あれ?そうですかね 真鍋:そんな所も含めて……好きです 長峰:ありがとうございます 真鍋:……(苦々しく笑う) 長峰:? 真鍋:違うんです、違うんですよ長峰さん 長峰:えっと… 真鍋:私は、あなたが、好きなんです 長峰:…… 真鍋:…どういう意味で、とは…聞かないんですね 長峰:そんな冗談を、言うとは思えなくて 真鍋:えぇ、本気ですから 長峰:…… 真鍋:…… 長峰:私は、年上だし、こんなどこにでもいるようなおじさんで… 真鍋:性別で拒絶しないんですね 長峰:ぁ…っと… :間 真鍋:…すみません。 長峰:え… 真鍋:何も聞かなかった振りをしてください 長峰:…… 真鍋:本当に自分勝手で申し訳ありません… 長峰:…… 真鍋:料理、出来たので置いておきます 長峰:ちょ…待っ… 真鍋:帰ります 長峰:待ってください…!(腕をつかんで引き留める) 真鍋:…… 長峰:話をしましょう 真鍋:長峰さん… 長峰:しましょう、話 真鍋:引き返せなくなってもいい、と? 長峰:…っ 真鍋:私は卑怯な男です、あなたの人の良さに…付け入ろうとしています。それでもいいんですか? 長峰:…そんな顔をさせたまま、帰らせるわけには行かないですよ… 真鍋:長峰さん… 長峰:それに、こっちが消化不良です。あなたはそれでいいかもしれないが…私はそんなに器用じゃない 真鍋:…… 長峰:だから… :ぐうぅ、と腹の音が鳴る : 長峰:…… 真鍋:……ふっ 長峰:…… 真鍋:ふ、くくっ…あはははっ…!(声をたてて笑う) 長峰:あー…はは 真鍋:す、すみませ…くくっ… 長峰:腹が、減りましたね 真鍋:そう、ですね 長峰:普段なら最悪と思う所ですが、今は腹の虫に助けられました 真鍋:…… 長峰:腕によりをかけてくれたんでしょう?なら、一緒に食べましょう。食べながら…話しませんか 真鍋:そう、ですね 長峰:…ちゃんと、向き合わせてください。答えが出るかは、分かりませんが… 真鍋:十分です : : 真鍋:拒絶しないでいてくれて、ありがとうございます 長峰:あ…いや、そういうのは思わなかっただけで 真鍋:それが、どれだけ大きいことか… 長峰:そうなんですか…そんなものですか… 真鍋:はい。急に態度が変わって、距離が出来て…人を好きになるということが、とても怖いことのように感じてました 長峰:…… 真鍋:長峰さんへの気持ちは、特に隠したいと思ってました 長峰:え… 真鍋:…穏やかで、柔らかいあなたの周りの空気は居心地が良くて…自分でも気づかない程、あなたに惹かれてました。だから気持ちを伝えたいとは思ってなかったんです。なのに… 長峰:…… 真鍋:羨ましい、と思ったら…堪らなくなってしまって… 長峰:そうでしたか… 真鍋:長峰さん、私は貴方が好きです 長峰:っ… 真鍋:でも…好きになって貰わなくていいとも思っています 長峰:そう、なんですか…? 真鍋:はい 長峰:…… 真鍋:あなたに何かを強要したい訳ではありません 長峰:……あの、その… 真鍋:はい…? 長峰:考える、時間をください。まだ正直、混乱してる部分が多くて 真鍋:ですよね、それもそうだ… 長峰:すみません。どうも、こういうのは慣れていなくて 真鍋:…ゆっくり考えてもらって構いません。ただ…あなたがあなた自身の気持ちに嘘をつくことだけはしないでください 長峰:分かりました 真鍋:時間が掛かって良いんです。こう見えて、結構気は長い方なので。…時間をかけて考えて、それでもやっぱり無理だと思えば、そう仰ってくれていいんです。無理されるよりずっといい 長峰:…はい 真鍋:あなたの、正直な気持ちを…いつか私に聞かせてください 長峰:…分かりました 真鍋:ただ 長峰:ただ? 真鍋:受け入れて貰ったら、その時は全力で甘やかします 長峰:…あ、甘やかす? 真鍋:はい。甘やかして甘やかして、私だけのあなたに染めたいと思います 長峰:そう、ですか…はは… 真鍋:はい。なのでそれも踏まえて考えて貰えると 長峰:…これは、覚悟が必要なようですねぇ 真鍋:今から覚悟しておいてくれるんですか? 長峰:いや、それは…もう少し後で… 真鍋:分かりました。気長に待ちます 長峰:お願い、します… 真鍋:長峰さん 長峰:はいっ 真鍋:…貴方を好きになって、良かったです : : :終

長峰 ながみね    中間管理職の40歳。    周囲には慕われている。おっとりとした性格で和食好き。    世話焼きの面もあるが、少し鈍い性格でお付き合いしている女性は無し。 真鍋 まなべ    本社から赴任してきた、外見中身共に整ったカリスマ上司。32歳    日頃ジムにも通っていて、料理は得意だが洋食に限る。    丁寧で穏やか、ゲイであることは隠している。 真鍋:不慣れなものでご迷惑をおかけするかと思います。皆さん、よろしくお願いします : 長峰:(M)本社から赴任してきたという、年下の新しい上司は柔らかい笑みを浮かべると深々と頭を下げた。すらりとした体躯に、彫刻のような彫りの深い端正な顔つき、低めの耳触りの良い声。女性社員から漏れた小さな歓声は、男性の自分からしても仕方ない、と思えるものだった。 長峰:(M)上役からは評判がいい、とは赴任前から風の噂を聞き及んでいたし、そういう人物が来る、という話も私には内密に知らされていた。年下の新しい上司と若手の間に挟まれる私を気遣ってくれたのであろう、と思う。 長峰:(M)何にせよ私はこの、居るだけで光を放っていそうな新しい上司の傍で働くこととなった。 : : 真鍋:長峰さん 長峰:はい、なんでしょう? 真鍋:今日の得意先への訪問、同行させて貰っていいですか? 長峰:それは構いませんが… 真鍋:電話での挨拶はしたんですが、まだ直接の挨拶が出来て無くて… 長峰:分かりました。午後一なので昼休み前に出るようになりますけど… 真鍋:また声かけて貰っていいですか? 長峰:分かりました 真鍋:じゃあ先に打ち合わせ済ませてきますね 長峰:なが(びきそうなら)… 真鍋:もし長引きそうなら早めに連絡を入れます 長峰:…分かりました :真鍋去る 長峰:出来た人だな… : : 長峰:では今後ともよろしくお願いいたします 真鍋:お時間いただきましてありがとうございます。私も精一杯長峰をサポートしてまいりますので :間 真鍋:お疲れ様でした 長峰:いえ、真鍋部長もお疲れ様です 真鍋:今日は無理を言って付いて来てしまって… 長峰:構いませんよ。私はいつも通りのことをするだけなので 真鍋:長峰さんが穏やかにお話されるので、とてもスムーズな打ち合わせでした 長峰:いや、特別なことは… 真鍋:特別ですよ 長峰:…… 真鍋:今までの積み重ねがあるからこそできることです。小手先で真似してできることではありません 長峰:そう、ですかね… 真鍋:そうですよ 長峰:はは、いかんせんのんびりした性格なもので 真鍋:良いことです。最近は世情もあるんでしょうけど…ピリピリしたことが多くて疲れてしまいますから 長峰:部長でもそう思われるんですね 真鍋:ええ、それはもちろん 長峰:あ、お腹すいたでしょう?昼食抜きで来たから… 真鍋:言われると確かに 長峰:時々行く店があるんですが、どうですか? 真鍋:おすすめのお店があるんですか? 長峰:ええ、安くて旨い定食屋なんですが… 真鍋:定食屋はあまり行くことが無いですね…というか、初めてです 長峰:部長は確かに定食というよりカフェって方が似合いそうですね。なら他の店を… 真鍋:いえ、長峰さんのおすすめ、教えてください 長峰:和食、お好きですか? 真鍋:はい。自分では作らないのでありがたいです 長峰:じゃあ行きましょうか。…こちらです 真鍋:ありがとうございます 長峰:部長は自炊、されるんですか 真鍋:えぇ、結構料理は好きですね、一人なので必要に駆られて、ですが 長峰:私も似たようなもんです。独り身は気楽でもありますが、全部自分でってなりますからね 真鍋:…長峰さんは独身だったんですね 長峰:えぇ。残念ながらご縁がなくて 真鍋:そうですか… 長峰:これから行く店、鯖の味噌煮が旨いんですよ 真鍋:味噌煮、ですか 長峰:生まれが海の近くなもので、魚料理が好きなんです 真鍋:なるほど 長峰:まぁ…女性社員を誘っては行きにくいかもしれませんけどね。その時は部長チョイスのお店で 真鍋:…そう、ですね 長峰:どうですか、もうすっかり慣れた様子ですが 真鍋:ええ、皆さんサポートして下さるので 長峰:いやいや、サポートはこちらがして貰ってますよ。さすがは本社のお墨付きだ 真鍋:…… 長峰:あ、嫌味に聞こえたらすみません、そういうつもりでは… 真鍋:分かってますよ、大丈夫です。…長峰さん 長峰:はい? 真鍋:…その、もしかしたらと思って 長峰:なん、でしょう? 真鍋:やりにくさとかは…無いですか? 長峰:…… 真鍋:…本社の方からありがたいことに、評価を頂いてるのは自覚があります。私なりに一生懸命やってきた結果という自負もあります。だからと言って皆さんが頑張っていないというわけではなく… 長峰:(遮って)その話は 真鍋:…… 長峰:食いながら、しましょうか。ここです 真鍋:…はい :間 長峰:先ほどのお話ですが 真鍋:はい 長峰:真鍋部長は凄い人だと、正直に思ってますよ 真鍋:……ありがとうございます 長峰:あなたが来たばかりの時、野心のある若手なんかは、すかした奴がー、なんて言ってたもんですが、今じゃすっかり懐いてあなたの存在が彼らのモチベーションに繋がっている 真鍋:…そうなら、有り難いですね 長峰:それに、褒めるときは人前で、お礼の言葉をはっきりと口にされる。気持ちのいいことです。ミスがあっても気負わせない物の言い方もお上手だと思います。なにかあってもさりげないフォローというのは、失敗してしまった側からすると心強いもんですよ 真鍋:…… 長峰:年の割に、というと失礼に聞こえるかもしれませんが、私があなたの年の時はそこまで広くものが見れなかった。目の前のことに必死でしたよ。…カリスマって言うんですかね、こういうの 真鍋:あの… 長峰:ん? 真鍋:褒め、すぎでは 長峰:ははっ、足りないくらいですよ。真鍋部長、いつもありがとうございます 真鍋:こちらこそです。長峰さんはどう思っているかわかりませんが、私は貴方がいつも穏やかでいてくれるので、そこに救われてるんですから 長峰:…くすぐったいですな。おっ、来ましたよ 真鍋:あぁ、良い匂いだ…美味しそうですね 長峰:旨いですよ。さ、食べてもうひと仕事頑張りましょう 真鍋:そうですね。いただきます 長峰:いただきます : : 真鍋:お疲れ様でした 長峰:お疲れ様です。今日はまっすぐお帰りですか? 真鍋:あ…いえ 長峰:ん? 真鍋:その…(辺りを見回して小声になる)実はしばらく家に帰れなくて 長峰:どうして? 真鍋:昨夜、マンションの火災あったの、ご存じですか? 長峰:ええ、ニュースで… 真鍋:実は、私の上の階だったんです 長峰:えっ!? 真鍋:幸い、大きな被害はなかったんですが…しばらくは修繕などで自宅に戻れなくて 長峰:じゃあどうしてるんですか? 真鍋:近くのホテルに泊まろうかと 長峰:災難でしたね… 真鍋:ええ、本当に 長峰:…… 真鍋:連泊を想定してなかったのでこれから今夜の宿泊先を… 長峰:あのっ 真鍋:はい? 長峰:もし良かったら、うちに来ませんか? 真鍋:えっ… 長峰:男の一人暮らしですから大したもてなしは出来ませんが…ホテルに泊まり続けるというのも大変でしょう? 真鍋:しかし…上司が一緒というのは気が休まらないのでは…? 長峰:私は特に…あ、でも部長が… 真鍋:私も特には……お言葉に甘えても、良いんでしょうか? 長峰:言い出したのは私の方です。それに以前弟が一緒に住んでまして、部屋が一部屋空いてるんですよ 真鍋:…ありがとうございます、助かります… : : 真鍋:お待たせしました : 長峰:(M)帰りに買い物をした彼は、泊めて貰うのだから、とキッチンに立った。自宅のキッチンに綺麗な顔の男が立っている…その光景だけでも十分に不思議な感覚だった : 真鍋:お口に合うかわかりませんが 長峰:これは…大したもんだ。これがいつもの我が家のテーブルですか 真鍋:魚がお好きとおっしゃってたので。アクアパッツァをメインに 長峰:こんなのは、食べたことがない。鮮やかできれいですね。それにサラダもなんか…まるで店みたいだ 真鍋:簡単なもので恐縮です 長峰:いやいや、十分すぎますよ。では…いただきます 真鍋:…… 長峰:ん…うん、うまい… 真鍋:良かった… 長峰:アサリの出汁が良く出てる…本当に店で食べてるみたいだ… 真鍋:煮込むだけなので簡単なんですよ。ワインにもよく合います 長峰:…このワイン、旨いですね 真鍋:口当たりがいいでしょう? 長峰:ええ、飲みすぎてしまいそうです :間 真鍋:長峰さん、長峰さん 長峰:ん…んん…(テーブルに突っ伏して寝ている) 真鍋:飲ませ、過ぎたかな。まぁ明日は休みだから良いけど… 長峰:(寝息を立てている) 真鍋:なにか…かけるもの…。すみません、勝手に部屋入らせてもらいますね : 長峰:長峰と申します、よろしくお願いします : 真鍋:…彼の、匂いがする… : 長峰:私で良ければ何でも聞いてください : 真鍋:少し…すこしだけ… : 長峰:真鍋部長、コーヒーでも飲みますか : 真鍋:…っ : :無人のベッドにダイブして深呼吸をする : 長峰:真鍋部長、いつもありがとうございます : 真鍋:長峰さん…の、匂い…はぁ… : :はっと正気に戻って立ち上がる : 真鍋:(長い溜息)…早く、出ていかなきゃ… : : 長峰:…ん、んー…コーヒーの…はっ! 真鍋:おはようございます(笑っている) 長峰:…お、はよう、ございます… 真鍋:すみません、昨夜はつい沢山飲ませてしまったみたいで 長峰:あ、いや…こちらこそ、だらしない真似を… 真鍋:いえ、ここは長峰さんのお宅ですから。さすがに部屋には運べなかったので、勝手に部屋から毛布を。客用布団もありがとうございます 長峰:うわぁ…かっこわるい… 真鍋:そんなことないですよ。あ、シャワーも借りました 長峰:…うぅ… 真鍋:大丈夫ですか?気分悪いですか? 長峰:いや、そうじゃなくて…どうぞといった手前、ろくにもてなしもせず… 真鍋:気にしないでください。泊まらせて貰っただけで本当に助かってるんですから 長峰:(水を飲みにキッチンへ)……あれ? 真鍋:? 長峰:あの…もしかして流し… 真鍋:あぁ、昨日お借りしたので 長峰:洗い物まで全部… 真鍋:泊まらせて貰っているので当然です 長峰:気を使わなくても… 真鍋:そういうんじゃなくて、本当に 長峰:部長に台所掃除させたなんて女の子が聞いたら怒られそうだ… 真鍋:そんなことはないでしょう 長峰:いや、可能性は高いです… 真鍋:(笑いながら)長峰さんが言わなければ誰にも知られませんよ 長峰:怖くて人に話せませんって…すみません、風呂に行ってきます 真鍋:どうぞ、ごゆっくり : : 長峰:真鍋部長 真鍋:はい 長峰:ちょっと…いいですか? 真鍋:? 長峰:(周囲を見回して)今日、先に帰っててもらっていいですか?取引先と飲みに行くことになって 真鍋:あぁ… 長峰:朝渡そうと思ってたのに、ポケットに入れたまま忘れてて…合鍵、お渡ししておきますね 真鍋:…… 長峰:どうか、しました? 真鍋:あ、いえ… 長峰:そんなに遅くはならないと思いますが。ゆっくりしていてください 真鍋:ありがとうございます 長峰:あと、いつも私の分まで食事作ってもらってすみません。今夜は良いので 真鍋:自分のを作るついでですから別に… 長峰:あなたの奥さんになる方は幸せですね 真鍋:……そう、ですかね 長峰:幸せだと思いますよ。(呼ばれる)あ、ちょっと待って、すぐ行く。…では 真鍋:はい : 真鍋:…っ(鍵を握りしめて、長く息を吐く)奥さん、か… : : 長峰:はー…疲れた…(ドアを開ける)かえりま…ん? 真鍋:お疲れ様でした 長峰:…まだ起きてらしたんですね 真鍋:えぇ、明日から三連休ですから 長峰:あの… 真鍋:…… 長峰:なにか、焦がしちゃいましたか? 真鍋:……掃除はしたんですが、匂いが抜けきらなくて 長峰:大丈夫ですか?火傷とか… 真鍋:それは大丈夫… 長峰:なにか考え事でも? 真鍋:いえ、そうではなくて…その、冷蔵庫のを焼こうと思って。取引先とならもしかしたらあまり食べられないのではないかと… 長峰:…私用(わたしよう)に、ですか? 真鍋:それが、思ったより早く焦げてしまいまして 長峰:あ、もしかして味醂干し… 真鍋:…和食系は全く作ったことがなかったので、あんなに早く焦げるのかと驚きました 長峰:…ふ、ふふ… 真鍋:長峰さん? 長峰:くく…(こらえきれずに笑いだす) 真鍋:ちょ…笑わないでくださいよ… 長峰:す、すみませ…くくくっ… 真鍋:誰でも失敗はあるものですよ 長峰:ええ、ええ、分かってます…でも意外で… 真鍋:そんなに、意外でしょうか 長峰:あぁ、すみません笑ってしまって…結構可愛らしい面もあるんだな、と少し安心しました 真鍋:そんなに笑われるとは思ってませんでした… 長峰:すみません 真鍋:まぁ…長峰さんの前だけということで。魚一つも焼けないのかと他の人にも笑われるのはごめんです 長峰:言いふらしたりなんてしませんよ。そんなことをしたら、みんなが憧れの敏腕部長に風呂掃除までさせたのかと、私が非難の的になってしまう 真鍋:…それは、私が好きでやっただけなので… 長峰:それにしても…なんでしょうね… 真鍋:なんですか? 長峰:いや、仕事はもちろん、家事の手際もいいし失敗したのを見たことがなかったので、完璧超人なんだと思ってました 真鍋:そんなのでは…無いですよ。ただの凡人です 長峰:凡人かどうかは置いておいて。だから、猶更と言いますか…そうやって少ししょげてる顔もできるんだな、と 真鍋:…え 長峰:私と同世代、それより上の人間もいる中であなたはしっかりとやって下さってますからね。今の部署はとてもまとまっていると思います。それもひとえにあなたの立ち回りのおかげな部分は非常に大きいと思います。ですが…無理してるんじゃないかと、思ってしまうんですよ 真鍋:…… 長峰:余計なお世話と言いますか…私では頼りない部分は大きいと思いますがそれでも少し、長く生きてますからね。アドバイスって程の事では無いですが、何か吐き出したいものがあれば。同じ釜の飯を食った仲、って事で 真鍋:…っ 長峰:私みたいなお節介おじさんで良ければ、ですけどね 真鍋:…長峰さんは、頼りになりますよ 長峰:そうですか?嬉しいなぁ 真鍋:私は、とても頼りにしてます…!! 長峰:部長… 真鍋:あの…帰ったら、役職外して貰っていいですか? 長峰:あぁ…確かに、それもそうですね。では…真鍋さん? 真鍋:…その方が、気楽です 長峰:実は私もです : : 真鍋:(電話中)…そうですか、分かりました。…いえ、大変お世話になりました。えぇ、ではそちらに寄らせて頂きます。はい…はい、では失礼します。 真鍋:(長い溜息)ようやく、か… :部屋を出る 真鍋:長峰さん、管理会社から電話がありまして 長峰:お。ということは修繕が終わったんですね 真鍋:えぇ、なので…自宅に戻ります 長峰:寂しくなりますねぇ 真鍋:ぇ… 長峰:帰って来て誰かがいる、とか嬉しかったですから。夜、言葉を交わす相手が居なくなると思うと 真鍋:…そう、ですか?家に帰ってまで上司が居るというのは… 長峰:そんなことはありません。楽しかったですよ、私は 真鍋:…… 長峰:それに、男の私でも見惚れるような綺麗な顔を眺めるというのもいいものです 真鍋:…なんですか、それは 長峰:若い子たちが真鍋さんを見て嬉しそうにしている気持ちがね、わかるなぁと 真鍋:は、はは… 長峰:もう今日すぐに戻られますか? 真鍋:…えぇ、そのつもりです 長峰:折角ですし修繕のお祝いでもしますか 真鍋:お祝い、ですか…。あの…明日また、来させて頂いても? 長峰:え? 真鍋:泊めていただいたお礼に食事を作らせて欲しいんです 長峰:お礼って程の事では…それにうちに来てからほとんど食事を作って下さっていたのは真鍋さんじゃないですか 真鍋:私がしたくてしたことです 長峰:困った時はお互いさま、でしょう? 真鍋:それはそうですが…ご迷惑でしょうか 長峰:迷惑だなんてとんでもない 真鍋:なら、決まりですね 長峰:う…じゃあ、お言葉に甘えて 真鍋:特別、腕によりをかけて作ります 長峰:自炊に戻れなくなりそうで怖いですねぇ 真鍋:そうなったら、また作りに来ますよ : : 長峰:何か手伝うことがあれば… 真鍋:良いんです、下拵えは終わってますし、長峰さんはゆっくり座っていてください 長峰:…自宅なのにこんなに座りが悪い日が来るなんて思わなかった… 真鍋:ははっ…テレビでも映画でも、好きに過ごして貰ってていいんですよ 長峰:…いや、でもやはり何か… 真鍋:長峰さん 長峰:…はい 真鍋:今日は、私があなたにお礼がしたいんです、わがままを聞いていただけませんか? 長峰:ノー、と言えば? 真鍋:駄目です、譲れません 長峰:…… 真鍋:…… 長峰:…~~っ、わかり、ました… 真鍋:それでよろしい。良かったらワインでも飲みながら待っててください 長峰:いや、でも… 真鍋:食前酒ですよ。どうぞ 長峰:…どうも 真鍋:そんなに時間はかかりませんから。いい子にしててください 長峰:いい子って… 真鍋:ふふっ 長峰:そうやって若い子を虜にするんですねぇ。ずるいなぁ 真鍋:そういうつもりは無いんですが 長峰:…もしかして、不愉快でしたか? 真鍋:え… 長峰:完璧だ、出来た人だと言われることが負担だったりしませんか? 真鍋:…身に余る評価を貰ってるな、とは思います。応えなくては、という気持ちもありますが負担、とまでは。ただ… 長峰:ただ? 真鍋:…周りと距離を感じることは多いです。仕事終わりの飲みとか誘われたことがなくて 長峰:それは…(小さく吹き出して笑い出す)贅沢な悩みだ 真鍋:長峰さんは私が赴任してから気にかけてくださってるなって思ってました。休憩の時に声をかけてくれたり、昼食に誘ってくれたり。…本当にありがたくて 長峰:そんな… 真鍋:本当に、嬉しかったです 長峰:またいつでも誘いますよ 真鍋:お願いします 長峰:あぁ、でもきっと真鍋さんに声をかけたい人は沢山いるはずですよ 真鍋:そうでしょうか 長峰:居ますよ、特に女の子たちは 真鍋:…… 長峰:どんな人がタイプ、とかありますか? 真鍋:えっ… 長峰:あれ、これはセクハラ発言になるのかな…コンプライアンス… 真鍋:…長峰さんも教えてくださるのであれば 長峰:こんなおじさんの好みを聞いても 真鍋:私に聞くなら、長峰さんも教えてください 長峰:……良いでしょう 真鍋:はい。そうですね、私は… :間 真鍋:好みは特にないです 長峰:おっと…それはズルくないですか? 真鍋:そんなことないですよ、事実ですから。…私は…好きな人と一緒に、お互いが寛げるような…生活が出来たらいいなと思うんです。肩の力を抜いて、ゆったり深呼吸できるような… 長峰:うん、それはいいですね 真鍋:でも実際…好きになる相手には見向きもされないんですけどね 長峰:もったいないなぁ 真鍋:そんなものです。想いは…伝わらないことの方が大半です。伝わっても受け止めて貰えないので、もう諦めてますよ 長峰:まだ若いのに諦めるのは早すぎませんか 真鍋:…長峰さんは、どんな人がタイプなんですか? 長峰:んー…私は…可愛らしい人がいいですね 真鍋:…… 長峰:あぁ、外見の話ではなくて。そうだなぁ…委員長タイプの子が実はド天然だった、みたいな 真鍋:ギャップってやつですか 長峰:そう、なんですかね。例えば真鍋さんのような 真鍋:っ!? 長峰:ほら、この間魚を焦がしたでしょう? 真鍋:あ、あぁ…ありましたね、そういうこと 長峰:仕事はできる、周りからの信頼も厚い、社交的でさらに顔も良い。そんな完璧が服を着て歩いているような貴方が、自分の失敗にしょんぼりしているのを見るとね…あぁ、可愛らしいんだなぁと思うわけですよ。そういうね、自分だけが知ってる一面って、特別感がないですか? 真鍋:分かり、ます 長峰:今はそうやって諦めてるなんて言いますけど、きっと貴方の隣を歩いてくれる素敵な女性が現れますよ。真鍋さんの可愛い所をきっと沢山見つけてくれるんじゃないでしょうか 真鍋:…そう、ですね… 長峰:? 真鍋:あっつ! 長峰:真鍋さん!? 真鍋:すみません、びっくりしただけで… 長峰:すぐに冷やして! 真鍋:大したことは…少しフライパンに… 長峰:ダメです!保冷剤出しますから水で冷やして! 真鍋:…… 長峰:疲れてるんじゃないですか?気をつけないと 真鍋:本当に大丈夫ですよ。料理していればこういうことも珍しくないですから 長峰:火傷を軽く見ちゃいけません。痕になったらどうするんですか 真鍋:…長峰さんの隣に立つ人は、幸せですね 長峰:えぇ?なんですか、急に 真鍋:そう思ったんです。あなたは周囲をとても大切にする人だから…きっと幸せだろうな、と 長峰:買い被りですよ 真鍋:いいえ 長峰:そんな相手、現れませんって。こんなおじさんに 真鍋:いいえ、きっと現れますよ……その人が、羨ましい 長峰:羨ましい…? 真鍋:羨ましいです 長峰:…… 真鍋:あなたの隣に立てる人が、私は羨ましい 長峰:えっと… 真鍋:…なんでもないです 長峰:…なにか、悩みでもあるんですか? 真鍋:…… 長峰:私じゃ頼りないでしょうが… 真鍋:…… 長峰:良ければ聞きますよ? 真鍋:…後悔するかもしれまんよ 長峰:後悔…? 真鍋:本当に…これだからあなたという人は 長峰:何のことです? 真鍋:長峰さんは、穏やかで気づかいのできる、頼りになる人です 長峰:そう、ですか? 真鍋:お人好しで、天然なところもあって… 長峰:あれ?そうですかね 真鍋:そんな所も含めて……好きです 長峰:ありがとうございます 真鍋:……(苦々しく笑う) 長峰:? 真鍋:違うんです、違うんですよ長峰さん 長峰:えっと… 真鍋:私は、あなたが、好きなんです 長峰:…… 真鍋:…どういう意味で、とは…聞かないんですね 長峰:そんな冗談を、言うとは思えなくて 真鍋:えぇ、本気ですから 長峰:…… 真鍋:…… 長峰:私は、年上だし、こんなどこにでもいるようなおじさんで… 真鍋:性別で拒絶しないんですね 長峰:ぁ…っと… :間 真鍋:…すみません。 長峰:え… 真鍋:何も聞かなかった振りをしてください 長峰:…… 真鍋:本当に自分勝手で申し訳ありません… 長峰:…… 真鍋:料理、出来たので置いておきます 長峰:ちょ…待っ… 真鍋:帰ります 長峰:待ってください…!(腕をつかんで引き留める) 真鍋:…… 長峰:話をしましょう 真鍋:長峰さん… 長峰:しましょう、話 真鍋:引き返せなくなってもいい、と? 長峰:…っ 真鍋:私は卑怯な男です、あなたの人の良さに…付け入ろうとしています。それでもいいんですか? 長峰:…そんな顔をさせたまま、帰らせるわけには行かないですよ… 真鍋:長峰さん… 長峰:それに、こっちが消化不良です。あなたはそれでいいかもしれないが…私はそんなに器用じゃない 真鍋:…… 長峰:だから… :ぐうぅ、と腹の音が鳴る : 長峰:…… 真鍋:……ふっ 長峰:…… 真鍋:ふ、くくっ…あはははっ…!(声をたてて笑う) 長峰:あー…はは 真鍋:す、すみませ…くくっ… 長峰:腹が、減りましたね 真鍋:そう、ですね 長峰:普段なら最悪と思う所ですが、今は腹の虫に助けられました 真鍋:…… 長峰:腕によりをかけてくれたんでしょう?なら、一緒に食べましょう。食べながら…話しませんか 真鍋:そう、ですね 長峰:…ちゃんと、向き合わせてください。答えが出るかは、分かりませんが… 真鍋:十分です : : 真鍋:拒絶しないでいてくれて、ありがとうございます 長峰:あ…いや、そういうのは思わなかっただけで 真鍋:それが、どれだけ大きいことか… 長峰:そうなんですか…そんなものですか… 真鍋:はい。急に態度が変わって、距離が出来て…人を好きになるということが、とても怖いことのように感じてました 長峰:…… 真鍋:長峰さんへの気持ちは、特に隠したいと思ってました 長峰:え… 真鍋:…穏やかで、柔らかいあなたの周りの空気は居心地が良くて…自分でも気づかない程、あなたに惹かれてました。だから気持ちを伝えたいとは思ってなかったんです。なのに… 長峰:…… 真鍋:羨ましい、と思ったら…堪らなくなってしまって… 長峰:そうでしたか… 真鍋:長峰さん、私は貴方が好きです 長峰:っ… 真鍋:でも…好きになって貰わなくていいとも思っています 長峰:そう、なんですか…? 真鍋:はい 長峰:…… 真鍋:あなたに何かを強要したい訳ではありません 長峰:……あの、その… 真鍋:はい…? 長峰:考える、時間をください。まだ正直、混乱してる部分が多くて 真鍋:ですよね、それもそうだ… 長峰:すみません。どうも、こういうのは慣れていなくて 真鍋:…ゆっくり考えてもらって構いません。ただ…あなたがあなた自身の気持ちに嘘をつくことだけはしないでください 長峰:分かりました 真鍋:時間が掛かって良いんです。こう見えて、結構気は長い方なので。…時間をかけて考えて、それでもやっぱり無理だと思えば、そう仰ってくれていいんです。無理されるよりずっといい 長峰:…はい 真鍋:あなたの、正直な気持ちを…いつか私に聞かせてください 長峰:…分かりました 真鍋:ただ 長峰:ただ? 真鍋:受け入れて貰ったら、その時は全力で甘やかします 長峰:…あ、甘やかす? 真鍋:はい。甘やかして甘やかして、私だけのあなたに染めたいと思います 長峰:そう、ですか…はは… 真鍋:はい。なのでそれも踏まえて考えて貰えると 長峰:…これは、覚悟が必要なようですねぇ 真鍋:今から覚悟しておいてくれるんですか? 長峰:いや、それは…もう少し後で… 真鍋:分かりました。気長に待ちます 長峰:お願い、します… 真鍋:長峰さん 長峰:はいっ 真鍋:…貴方を好きになって、良かったです : : :終