台本概要

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タイトル コズミック天ぷらユニバース
作者名 煮成 焼也(ニルナリヤクナリ)  (@nalinirunali)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(不問3)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 ◎コメディー台本

◎基本時間:10~15分

☆約束☆

・配信でご使用する際は許可を取る必要はありません。ご自由にご使用ください。

・番組名や説明欄にタイトルを書いて頂けたら助かります。

・演じられた後、コメントなどに演じた場所?(URLなど)教えて頂けたら嬉しいです。(覗きに行きたいので…)

・話口調を男性寄り、女性寄りに変更していただいても大丈夫です。アドリブとかも入れていただいて構いませんが、他の演者様が困るような事や結末を変えるなどはお控えください。

・みんなで楽しく声劇をしましょう!!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
橋本 不問 67 大将の天ぷらを食べに来た常連客。天ぷらを食べるのは月1の楽しみ。
大将 不問 36 天ぷら屋の大将。THE・職人。途中、兼ね役あります。
不問 22 天ぷら屋に来たお客様。途中、兼ね役あります。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
橋本:(扉、引き戸、自動扉、なんでもいいです。扉を開ける音をセルフでお願いします。) 大将:いらっしゃいませ。 橋本:予約した橋本です。 大将:お待ちしておりました。橋本様。 橋本:今日は何かいいネタありますか? 大将:今日はエビ、ナス、カボチャ、シソ、あとは梅ささみがありますね。 橋本:じゃあ、それでお願いします。 大将:他に追加で注文がありましたら、いつでも受けますので、遠慮なく言ってくださいね。 橋本:わかりました。その時はお願いします。 大将:かしこまりました。 橋本:いや〜、大将の天ぷらは本当に美味しいから、また、来ちゃいましたよ。 大将:ははは、ありがとうございます。これからも精進させていただきます。 橋本:大将は謙虚だなぁ。(笑いながらお茶を飲む) 客:(瞬間移動、もしくはワープみたいな感じの音をセルフでお願いします。)すみません、予約した・・・ 橋本:(お茶吹き出す)待って!?いま、どこから来た!? 客:え?あ、他にお客さんおられたんですね。 大将:いらっしゃいませ。 客:予約したトオイホシドコカイナです。 橋本:どこの方!? 客:え?太陽系から少し外れた星の・・・ 橋本:まさかの宇宙人!?遠路はるばるエクストラハードモードすぎません!? 大将:お待ちしておりました。トオイホシドコカイナ様。 客:いや〜、大将の天ぷらは本当に美味しいから、また、来ちゃいましたよ。 橋本:太陽系を超えて来ちゃうくらい美味いのはわかるけどもっ!? 大将:ははは、ありがとうございます。これからも精進させていただきます。 橋本:いかなる客が来ても、なお謙虚な大将の姿勢がすごい!! 客:今日は何かいいネタありますか? 大将:今日はヒゲガベチョリンヌ、アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサ、ハジッコノミミ、あとはコマゴマコゴトシュトメがありますね。 橋本:大将の発音が急に宇宙人になった!? 客:じゃあ、それでお願いします。 大将:他に追加で注文がありましたら、いつでも受けますので、遠慮なく言ってくださいね。 橋本:さっきまで、月一の贅沢、老舗の天ぷら屋だったのに、一気にユニバースコズミック天ぷら屋になっちゃった・・・。 大将:では、橋本様から、こちら、エビになります。愛知県の三河湾で採れた天然物です。甘みが強く、弾力がある身を軽めの衣で仕上げました。 橋本:(我に返るように)はっ!!そうだ。私は天ぷらを食べに来たんだ。たとえ、隣りで宇宙人が耳っぽいとこからお茶を飲んでいたとしても、気にせず楽しむんだ。じゃないと、せっかくの贅沢天ぷらデーが台無しになってしまう!!では、いただきます!!ぱくりんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想による回想 橋本:はっ!!こ、ここは!? エビ(客):橋本さん、ようこそ。エビ宮城(えびぐうじょう)へ。 橋本:エビ宮城(えびぐうじょう)!? エビ(客):ここの城主をしております。エビです。本日は心ゆくまで、エビで染めて差し上げましょう。 橋本:ぐはっ!!この甘み、弾力のプリプリ感、それを邪魔しない衣!!さ、最高だ!!最高の玉手箱やーーーー!!!! 0:回想終了 大将:橋本さん、おかえりなさい。 橋本:はっ!!わ、私は一体!? 大将:また、トリップされてましたよ。 橋本:また、やってしまったか・・・。でも、それほど、美味しかったです。さすが、大将!! 客:わかります。大将の天ぷらは日本一、いや、宇宙一ですもんね。大将の技術、早く味わいたいなぁ。 橋本:宇宙人からも太鼓判(たいこばん)を押されるなんて。さすが、大将。 大将:おまたせしました。ヒゲガベチョリンヌです。 客:わあ、きたきたぁ!! 橋本:なんだ、あの紫色の毛むくじゃらみたいなの・・・。 大将:スィックハイドロゴマイバ星(せい)の溶岩地帯で採れた天然物です。香りが強く、泥濘(でいねい)とした身を衣で重めに仕上げました。 橋本:ベチョベチョしてるって事だけはわかる・・・。 客:それじゃあ、いただきます。(感激しながら)・・・うん、美味しい。大将、とても・・・とても、美味しいです。 大将:ありがとうございます。 橋本:凄く喜んでいるのがわかる・・・。そんなに美味いのか、あの紫色の毛むくじゃらのやつ。見た目アウトなんだが・・・ 0:大将がヒゲガベチョリンヌの天ぷらを橋本の皿に置く。 橋本:え?大将、私は頼んで・・・ 大将:あちらのお客様からです。 客:(黙ってイイネな感じで親指を立てる)どうぞ。 橋本:いや、バーみたいなノリで来られても!? 大将:抹茶塩でどうぞ。 橋本:しかも、天ぷら通が使うようなマニアック調味料で勧められた・・・。 客:とても、美味しいですよ?宇宙を感じます。 橋本:でしょうね!?宇宙原産なんですもん!! 大将:ささ、グイッと。 橋本:そんな酒みたいな感じで・・・では、いただきます。ぱっくんちょ。(食べる) 0:以下味の感想による回想 父(橋本):すまねぇ、これで家にある米もぉ、これで最後だ。 子(客):おっとお、お腹空いたよぉ、ひもじいよぉ。 父(橋本):すまねぇ、すまねぇ。(すすり泣く) キュウリ(大将):お腹が空いたらキュウリざます!!お腹が空いたらキュウリざます!! 父(橋本):な、なんだっぺ!? 子(客):おっとお、怖いよぉ。怖いよぉ。 キュウリ(大将):お腹が空いたら・・・(自分の何かに気づく)あ、あああ、わし、ズッキーニやないかい!!どうしてくれるんじゃ、こらぁ!! 父(橋本):ひ、ひいいいいいい!! 子(客):お、おっとおーーーー!! キュウリ(大将):二毛作(にもうさく)も全部キュウリにしちゃらんかい!!今日から主食はキュウリでいくんじゃい!! 0:回想終了 橋本:(意識を取り戻す)はっ!!私はいったい・・・ 大将:大丈夫ですか? 客:どうですか?お味の方は? 橋本:なんか、こう・・・理不尽の荒波が押し寄せて来る、キュウリ、いや、ズッキーニ、いや、もっと違う何かみたいな味でした。 客:その風味がいいんですよね。 橋本:わぁ、外宇宙との文化の違いをひしひしと感じる・・・。 大将:こちら、ナス、そして、カボチャになります。ナスは京都の賀茂なす、カボチャは北海道の栗マロンかぼちゃを使用しています。ナスはトロっとした食感、カボチャは甘みが強いものを厳選し、塩だけで召し上がれるものにしました。 橋本:おお・・・輝いてる・・・天ぷらが輝いてる・・・!!いただきますっ!!むしゃんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想による回想 カボチャ(客):俺に溺れちゃいなよ? 橋本:カ、カボチャの声、あ、甘ぁい・・・。 ナス(大将):今夜は、俺らに身を委(ゆだ)ねちゃいなよ。 橋本:な、ナスさん・・・。こ、これは、と、とろけてしまう・・・。 0:回想終了 橋本:はっ!!私はまた・・・ 大将:トリップされていましたね。 橋本:大将の天ぷら美味しいんですもん。 大将:ははは、ありがとうございます。では、こちらも、アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサです。アレデツタワランナはケチャップで。ソコラヘンノクサはチョコソースでお召し上がりください。 橋本:ねぇ、天ぷら屋にあるまじき調味料出てきたんだけど。 客:(食べてから感激する)うん!!これこれ!!やっぱり、これを食べに地球に来た甲斐がありました!! 橋本:そんなに美味いんだ、アレ・・・。 大将:(橋本の前に出す)アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサです。 橋本:いや、大将?私、頼んでは・・・ 大将:あちらのお客様からです。 客:良ければ。 橋本:いや、すごく遠慮したい!!でも、グルメな自分が食ってみろという意志を出してくる!! 大将:橋本さん・・・。 客:橋本さん、僕を信じて。 橋本:くっ!!まず、この、モニョモニョ動くケチャップがかかった黄緑のやつから!!(食べる) 0:以下味の感想による回想 アレデツタワランナ(客):(色っぽく)ノチャパ、チャゴンソ・・・。 橋本:何言ってるかわかんないけど、すっごい酸っぱい匂いがする。 0:回想終了 橋本:はっ!! 大将:(ノリノリで)橋本さん、次、いきますよ。 橋本:大将、なんか生き生きしてません?くっ!!この明らか箱にしか見えないコズミックカラーのやつを・・・ぱっくんちょ(食べる) 0:以下味の感想による回想 ソコラヘンノクサ(大将):(色っぽく)ペチョンケ・・・トメチャランカイナ。 橋本:何言ってるかわかんないけど、なんだろう、このヤギと2日放置したサバみたいな匂い・・・。 ソコラヘンノクサ(大将):トリマチョコデイチャイナ?ダマテクエ? 橋本:それらを覆うチョコの香り・・・カカオだぁ。 0:回想終了 橋本:はっ!!私はいったい!? 大将:橋本さん、大丈夫ですか? 橋本:また、トリップしていましたか。 客:いいですね〜。脳波から、だいぶ宇宙が近くなってきてるのを感じますよ〜。 橋本:それ、ダメじゃないですか? 大将:(橋本の前に置く)こちら、仕上げのハジッコノミミとコマゴマコゴトシュトメです。 橋本:大将!?シソと梅ささみは!? 大将:そんな事はお気になさらず。 橋本:注文をそんな事扱いしないで!? 客:さあ、どうぞ。ここのハジッコノミミとコマゴマコゴトシュトメは絶品ですよ。 橋本:くっ・・・明らかヤバそうなのに食への探究心が止まらない!!これが、これが大将の天ぷらの力なのか!!ぱっくんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想の回想 橋本:うわーん、お腹すいたよー。 天ぷらマン(客):(〇〇パンマンみたいな感じで)ぼく、天ぷらマン!! 橋本:あ、天ぷらマン!!お腹すいたよー!!助けてよー!! 天ぷらマン(客):キミはまた、そうやって、ボクの顔を貪(むさぼ)るんだね。 橋本:え・・・? 天ぷらマン(客):キミがボクの頭を食べたいのはわかる。でも、ボクは天ぷらなんだ。1人前なんだよ。それともなにかい?衣(ころも)だけ持っていくつもりかい? 橋本:あ、いや、その・・・ 天ぷらマン(客):衣だけあげてもいいよ?でもね、そしたら、次、ボクの顔を食べる人は暖めただけの具を食べることになるんだ。どうするんだい?そうなるとボクは天ぷらマンじゃなくて、暖めたエビマンになるんだよ。どうだい?それでも、食べるかい? 橋本:(少し泣きながら)て、天ぷらマン・・・わ、私はそんなつもりじゃ・・・。 黄色ブドウ球菌マン(大将):なーにぬーねのー!!天ぷらマン!!今日こそ、お前を黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)に感染させてやるぞ!! 天ぷらマン(客):あ、キミは黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)マン!!また、みんなをゲリまみれのゲロまみれにするつもりだな!!許さないぞ!! 黄色ブドウ球菌マン(大将):なーにぬーねのー!!無駄だ、俺が存在するだけで半径5キロのやつ全員、食中毒を起こし、文字通り、ゲリまみれのゲロまみれになるのだあ!! 橋本:て、天ぷらマン・・・。 天ぷらマン(客):橋本・・・。これはどうにもならない。ボクにも無理なものはあるんだ。すまないけど、キミはいまから、ゲリまみれのゲロまみれになってしまう。 橋本:(絶望しながら)て、天ぷらマン・・・。 天ぷらマン(客):でもね、キミも悪いんだよ?こんな戦地に、そんな装備で来るのが悪いんだ。ボクはなんっにも悪くない。そうだろう?橋本? 0:回想終了 橋本:はっ!! 大将:橋本さん、大丈夫ですか? 客:どうでした?素晴らしかったでしょう? 大将:厳選素材を使っていますので、味の保証はいたします。いかがでしたか? 橋本:いままで食べたことない味でした。まるで、この世の全ての旨味を集めたような、そんな味・・・ 客:おお!! 橋本:そして、口の中をありとあらゆる水分、そう、優しさの中に厳しさも加わって、最高のマリアージュが口いっぱいに広がる。最高の天ぷらです。 大将:橋本さん。 橋本:こんな食材、初めてです。宇宙の食材でも、天ぷらにする事で奇跡が生まれる。これが天ぷらの可能性。 客:橋本さん、我々を、宇宙を受け入れて下さり、ありがとうございます。 橋本:トオイホシドコカイナさん・・・。 大将:橋本さん、今日、あなたに天ぷらを提供できて良かった。あなたなら、多少の食文化は違えど、彼らを受け入れてくれる。そう信じていました。天ぷら好きのあなたなら、そう信じて良かった。橋本さん、私からもお礼をさせて下さい。ありがとうございます。 橋本:大将・・・。 大将:橋本さん、次は何を揚げましょうか?旬のものから宇宙の変わり種、なんでもありますよ。 橋本:大将・・・とりあえず、トイレ借りてもいいですか?

橋本:(扉、引き戸、自動扉、なんでもいいです。扉を開ける音をセルフでお願いします。) 大将:いらっしゃいませ。 橋本:予約した橋本です。 大将:お待ちしておりました。橋本様。 橋本:今日は何かいいネタありますか? 大将:今日はエビ、ナス、カボチャ、シソ、あとは梅ささみがありますね。 橋本:じゃあ、それでお願いします。 大将:他に追加で注文がありましたら、いつでも受けますので、遠慮なく言ってくださいね。 橋本:わかりました。その時はお願いします。 大将:かしこまりました。 橋本:いや〜、大将の天ぷらは本当に美味しいから、また、来ちゃいましたよ。 大将:ははは、ありがとうございます。これからも精進させていただきます。 橋本:大将は謙虚だなぁ。(笑いながらお茶を飲む) 客:(瞬間移動、もしくはワープみたいな感じの音をセルフでお願いします。)すみません、予約した・・・ 橋本:(お茶吹き出す)待って!?いま、どこから来た!? 客:え?あ、他にお客さんおられたんですね。 大将:いらっしゃいませ。 客:予約したトオイホシドコカイナです。 橋本:どこの方!? 客:え?太陽系から少し外れた星の・・・ 橋本:まさかの宇宙人!?遠路はるばるエクストラハードモードすぎません!? 大将:お待ちしておりました。トオイホシドコカイナ様。 客:いや〜、大将の天ぷらは本当に美味しいから、また、来ちゃいましたよ。 橋本:太陽系を超えて来ちゃうくらい美味いのはわかるけどもっ!? 大将:ははは、ありがとうございます。これからも精進させていただきます。 橋本:いかなる客が来ても、なお謙虚な大将の姿勢がすごい!! 客:今日は何かいいネタありますか? 大将:今日はヒゲガベチョリンヌ、アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサ、ハジッコノミミ、あとはコマゴマコゴトシュトメがありますね。 橋本:大将の発音が急に宇宙人になった!? 客:じゃあ、それでお願いします。 大将:他に追加で注文がありましたら、いつでも受けますので、遠慮なく言ってくださいね。 橋本:さっきまで、月一の贅沢、老舗の天ぷら屋だったのに、一気にユニバースコズミック天ぷら屋になっちゃった・・・。 大将:では、橋本様から、こちら、エビになります。愛知県の三河湾で採れた天然物です。甘みが強く、弾力がある身を軽めの衣で仕上げました。 橋本:(我に返るように)はっ!!そうだ。私は天ぷらを食べに来たんだ。たとえ、隣りで宇宙人が耳っぽいとこからお茶を飲んでいたとしても、気にせず楽しむんだ。じゃないと、せっかくの贅沢天ぷらデーが台無しになってしまう!!では、いただきます!!ぱくりんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想による回想 橋本:はっ!!こ、ここは!? エビ(客):橋本さん、ようこそ。エビ宮城(えびぐうじょう)へ。 橋本:エビ宮城(えびぐうじょう)!? エビ(客):ここの城主をしております。エビです。本日は心ゆくまで、エビで染めて差し上げましょう。 橋本:ぐはっ!!この甘み、弾力のプリプリ感、それを邪魔しない衣!!さ、最高だ!!最高の玉手箱やーーーー!!!! 0:回想終了 大将:橋本さん、おかえりなさい。 橋本:はっ!!わ、私は一体!? 大将:また、トリップされてましたよ。 橋本:また、やってしまったか・・・。でも、それほど、美味しかったです。さすが、大将!! 客:わかります。大将の天ぷらは日本一、いや、宇宙一ですもんね。大将の技術、早く味わいたいなぁ。 橋本:宇宙人からも太鼓判(たいこばん)を押されるなんて。さすが、大将。 大将:おまたせしました。ヒゲガベチョリンヌです。 客:わあ、きたきたぁ!! 橋本:なんだ、あの紫色の毛むくじゃらみたいなの・・・。 大将:スィックハイドロゴマイバ星(せい)の溶岩地帯で採れた天然物です。香りが強く、泥濘(でいねい)とした身を衣で重めに仕上げました。 橋本:ベチョベチョしてるって事だけはわかる・・・。 客:それじゃあ、いただきます。(感激しながら)・・・うん、美味しい。大将、とても・・・とても、美味しいです。 大将:ありがとうございます。 橋本:凄く喜んでいるのがわかる・・・。そんなに美味いのか、あの紫色の毛むくじゃらのやつ。見た目アウトなんだが・・・ 0:大将がヒゲガベチョリンヌの天ぷらを橋本の皿に置く。 橋本:え?大将、私は頼んで・・・ 大将:あちらのお客様からです。 客:(黙ってイイネな感じで親指を立てる)どうぞ。 橋本:いや、バーみたいなノリで来られても!? 大将:抹茶塩でどうぞ。 橋本:しかも、天ぷら通が使うようなマニアック調味料で勧められた・・・。 客:とても、美味しいですよ?宇宙を感じます。 橋本:でしょうね!?宇宙原産なんですもん!! 大将:ささ、グイッと。 橋本:そんな酒みたいな感じで・・・では、いただきます。ぱっくんちょ。(食べる) 0:以下味の感想による回想 父(橋本):すまねぇ、これで家にある米もぉ、これで最後だ。 子(客):おっとお、お腹空いたよぉ、ひもじいよぉ。 父(橋本):すまねぇ、すまねぇ。(すすり泣く) キュウリ(大将):お腹が空いたらキュウリざます!!お腹が空いたらキュウリざます!! 父(橋本):な、なんだっぺ!? 子(客):おっとお、怖いよぉ。怖いよぉ。 キュウリ(大将):お腹が空いたら・・・(自分の何かに気づく)あ、あああ、わし、ズッキーニやないかい!!どうしてくれるんじゃ、こらぁ!! 父(橋本):ひ、ひいいいいいい!! 子(客):お、おっとおーーーー!! キュウリ(大将):二毛作(にもうさく)も全部キュウリにしちゃらんかい!!今日から主食はキュウリでいくんじゃい!! 0:回想終了 橋本:(意識を取り戻す)はっ!!私はいったい・・・ 大将:大丈夫ですか? 客:どうですか?お味の方は? 橋本:なんか、こう・・・理不尽の荒波が押し寄せて来る、キュウリ、いや、ズッキーニ、いや、もっと違う何かみたいな味でした。 客:その風味がいいんですよね。 橋本:わぁ、外宇宙との文化の違いをひしひしと感じる・・・。 大将:こちら、ナス、そして、カボチャになります。ナスは京都の賀茂なす、カボチャは北海道の栗マロンかぼちゃを使用しています。ナスはトロっとした食感、カボチャは甘みが強いものを厳選し、塩だけで召し上がれるものにしました。 橋本:おお・・・輝いてる・・・天ぷらが輝いてる・・・!!いただきますっ!!むしゃんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想による回想 カボチャ(客):俺に溺れちゃいなよ? 橋本:カ、カボチャの声、あ、甘ぁい・・・。 ナス(大将):今夜は、俺らに身を委(ゆだ)ねちゃいなよ。 橋本:な、ナスさん・・・。こ、これは、と、とろけてしまう・・・。 0:回想終了 橋本:はっ!!私はまた・・・ 大将:トリップされていましたね。 橋本:大将の天ぷら美味しいんですもん。 大将:ははは、ありがとうございます。では、こちらも、アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサです。アレデツタワランナはケチャップで。ソコラヘンノクサはチョコソースでお召し上がりください。 橋本:ねぇ、天ぷら屋にあるまじき調味料出てきたんだけど。 客:(食べてから感激する)うん!!これこれ!!やっぱり、これを食べに地球に来た甲斐がありました!! 橋本:そんなに美味いんだ、アレ・・・。 大将:(橋本の前に出す)アレデツタワランナ、ソコラヘンノクサです。 橋本:いや、大将?私、頼んでは・・・ 大将:あちらのお客様からです。 客:良ければ。 橋本:いや、すごく遠慮したい!!でも、グルメな自分が食ってみろという意志を出してくる!! 大将:橋本さん・・・。 客:橋本さん、僕を信じて。 橋本:くっ!!まず、この、モニョモニョ動くケチャップがかかった黄緑のやつから!!(食べる) 0:以下味の感想による回想 アレデツタワランナ(客):(色っぽく)ノチャパ、チャゴンソ・・・。 橋本:何言ってるかわかんないけど、すっごい酸っぱい匂いがする。 0:回想終了 橋本:はっ!! 大将:(ノリノリで)橋本さん、次、いきますよ。 橋本:大将、なんか生き生きしてません?くっ!!この明らか箱にしか見えないコズミックカラーのやつを・・・ぱっくんちょ(食べる) 0:以下味の感想による回想 ソコラヘンノクサ(大将):(色っぽく)ペチョンケ・・・トメチャランカイナ。 橋本:何言ってるかわかんないけど、なんだろう、このヤギと2日放置したサバみたいな匂い・・・。 ソコラヘンノクサ(大将):トリマチョコデイチャイナ?ダマテクエ? 橋本:それらを覆うチョコの香り・・・カカオだぁ。 0:回想終了 橋本:はっ!!私はいったい!? 大将:橋本さん、大丈夫ですか? 橋本:また、トリップしていましたか。 客:いいですね〜。脳波から、だいぶ宇宙が近くなってきてるのを感じますよ〜。 橋本:それ、ダメじゃないですか? 大将:(橋本の前に置く)こちら、仕上げのハジッコノミミとコマゴマコゴトシュトメです。 橋本:大将!?シソと梅ささみは!? 大将:そんな事はお気になさらず。 橋本:注文をそんな事扱いしないで!? 客:さあ、どうぞ。ここのハジッコノミミとコマゴマコゴトシュトメは絶品ですよ。 橋本:くっ・・・明らかヤバそうなのに食への探究心が止まらない!!これが、これが大将の天ぷらの力なのか!!ぱっくんちょ。(食べる) 0:以下、味の感想の回想 橋本:うわーん、お腹すいたよー。 天ぷらマン(客):(〇〇パンマンみたいな感じで)ぼく、天ぷらマン!! 橋本:あ、天ぷらマン!!お腹すいたよー!!助けてよー!! 天ぷらマン(客):キミはまた、そうやって、ボクの顔を貪(むさぼ)るんだね。 橋本:え・・・? 天ぷらマン(客):キミがボクの頭を食べたいのはわかる。でも、ボクは天ぷらなんだ。1人前なんだよ。それともなにかい?衣(ころも)だけ持っていくつもりかい? 橋本:あ、いや、その・・・ 天ぷらマン(客):衣だけあげてもいいよ?でもね、そしたら、次、ボクの顔を食べる人は暖めただけの具を食べることになるんだ。どうするんだい?そうなるとボクは天ぷらマンじゃなくて、暖めたエビマンになるんだよ。どうだい?それでも、食べるかい? 橋本:(少し泣きながら)て、天ぷらマン・・・わ、私はそんなつもりじゃ・・・。 黄色ブドウ球菌マン(大将):なーにぬーねのー!!天ぷらマン!!今日こそ、お前を黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)に感染させてやるぞ!! 天ぷらマン(客):あ、キミは黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)マン!!また、みんなをゲリまみれのゲロまみれにするつもりだな!!許さないぞ!! 黄色ブドウ球菌マン(大将):なーにぬーねのー!!無駄だ、俺が存在するだけで半径5キロのやつ全員、食中毒を起こし、文字通り、ゲリまみれのゲロまみれになるのだあ!! 橋本:て、天ぷらマン・・・。 天ぷらマン(客):橋本・・・。これはどうにもならない。ボクにも無理なものはあるんだ。すまないけど、キミはいまから、ゲリまみれのゲロまみれになってしまう。 橋本:(絶望しながら)て、天ぷらマン・・・。 天ぷらマン(客):でもね、キミも悪いんだよ?こんな戦地に、そんな装備で来るのが悪いんだ。ボクはなんっにも悪くない。そうだろう?橋本? 0:回想終了 橋本:はっ!! 大将:橋本さん、大丈夫ですか? 客:どうでした?素晴らしかったでしょう? 大将:厳選素材を使っていますので、味の保証はいたします。いかがでしたか? 橋本:いままで食べたことない味でした。まるで、この世の全ての旨味を集めたような、そんな味・・・ 客:おお!! 橋本:そして、口の中をありとあらゆる水分、そう、優しさの中に厳しさも加わって、最高のマリアージュが口いっぱいに広がる。最高の天ぷらです。 大将:橋本さん。 橋本:こんな食材、初めてです。宇宙の食材でも、天ぷらにする事で奇跡が生まれる。これが天ぷらの可能性。 客:橋本さん、我々を、宇宙を受け入れて下さり、ありがとうございます。 橋本:トオイホシドコカイナさん・・・。 大将:橋本さん、今日、あなたに天ぷらを提供できて良かった。あなたなら、多少の食文化は違えど、彼らを受け入れてくれる。そう信じていました。天ぷら好きのあなたなら、そう信じて良かった。橋本さん、私からもお礼をさせて下さい。ありがとうございます。 橋本:大将・・・。 大将:橋本さん、次は何を揚げましょうか?旬のものから宇宙の変わり種、なんでもありますよ。 橋本:大将・・・とりあえず、トイレ借りてもいいですか?