台本概要
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タイトル | 【親子愛】右手はタイトに左手はソフトに |
---|---|
作者名 | ゆる男 (@yuruyurumanno11) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
「あの星みたいにずっと一緒になれればいいね!」 そう言って繋がれた手はタイトに、ソフトに結ばれる 親子の絆を描いた物語 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 3人用のシナリオです! 親子愛やら普通の恋愛やらが出てくる割とありきたりな物語かもです。 ビンタする系の親子喧嘩もあるので苦手な人はあらかじめご了承ください。 キャラの性別を変えなければ異性のキャラを演じても大丈夫です! 過度なアドリブなどは控えてくださいませ! 野良劇や約束劇で使用する時に X(ツイッター)で呟いて頂けると今後のモチベーションに繋がります!! 264 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
美那 | 女 | 148 | 娘役。子供の頃からお母さんが大好きだったがある事をきっかけに親子の絆に亀裂が走る? 怒鳴ってるシーン多いのとこの中だとセリフが1番多いです |
律子 | 女 | 99 | 母役。夫と離婚してからは精神的に辛いことがあり美那との仲に亀裂が走る? |
蒼太 | 男 | 99 | 美那の彼氏役。真っ直ぐではっきり言う時ははっきり言う 美那と律子の間で色々バランスを保ってくれるいいやつ |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:10年前のこと
美那:お母さん、ここはどこなの?
律子:ここはマンションの屋上だよ
美那:どうしてマンションの屋上に来たの?
律子:空を見ててね
美那:うん
律子:ほら、星が見えるでしょ?
美那:わぁー!ほんとだ!
律子:これは夏の大三角っていってこの星とあそこの星とあそこの星を線で繋げると三角形になるんだよ
美那:そうなんだ!じゃあ私とお父さんとお母さんみたいだね!
律子:うん・・・そうだね
美那:星っていつからあるの?
律子:何億年も前からあるみたいだよ
美那:ええー!じゃああの星みたいに私とお父さんとお母さんずっと一緒になれればいいね!
:美那は右手で律子の手をギュッと握り
律子:うん・・・そうだね
:律子は左手で美那の手を優しく包んだ
:そして10年後
美那:・・・
:美那は玄関を出ようとする
律子:美那?学校行く時はいってきますって言わないとダメだよ?
美那:・・・ちっ
律子:スカートちゃんと履いてるの?短くない?
美那:・・・うるさいな
:美那は何も言わずに出ていく
律子:ちょっと、美那!?
律子:・・・もう、どうしたら
:美那は学校に着く
美那:おはよー蒼太
蒼太:おう、美那、なんか元気ないね、どうした?
美那:母親になんかグチグチ言われてさ
蒼太:あーあるよなー
美那:毎日うざいんだよね、別にいいじゃんってこと細かく指摘するしさ
蒼太:母親ってどこもそうなのかな?
美那:私の母親は異常だよ、ほんと一緒に居たくない
蒼太:まあまあ、今はうざいかもしれないけど大人になるとありがたみがわかるって言うじゃん?
美那:知ったようなこと言わないでよ!
蒼太:あ、ああ、ごめん
美那:あ、ううん、こっちこそごめんね
蒼太:そういえば、美那のお母さんに挨拶とかはした方がいいのかな?
美那:挨拶?いらないよそんなの
蒼太:そうかー?結構親を紹介して貰えないって俺としては寂しいんだぞー?
美那:いいの、大した親じゃないんだから
蒼太:まあ、どっかのタイミングでいいから会わせてよ
美那:どっかのタイミングがあればね
:美那は学校も終わり、バイトも終わり家に着く
美那:・・・はぁ
律子:美那、最近帰り遅くない?
美那:いや、バイトもしてるんだから当たり前でしょ?
律子:それにしても10時は遅くない?
美那:遅くないでしょ別に
律子:遅いよ、もし、遅くなるなら早めに帰れるようにして?
美那:給料減るじゃん
律子:でも早く帰ってきて
美那:うるさいな!
律子:・・・美那
美那:あんただって帰ってきたのついさっきでしょ!?どこで何やってたの?
律子:・・・それは
美那:どうせパチンコとかでしょ?働いたお金ドブに捨てるようなことして何が楽しいの!?
律子:・・・
美那:私はもう高校生になってバイトもしてるの
美那:あんたみたいに何も考えないで人生無駄に過ごしてないから!
律子:・・・美那
律子:私は美那を心配してるの
美那:あんたに心配される筋合いないよ
美那:私は私が決めたことをやるの、あんたは口出ししないで
律子:・・・美那、言うこと聞いてよ
0:ある日の事、美那と蒼太はゲームセンターに来ていた
美那:・・・あんのくそばばあ!!ふん!!
蒼太:お、おおーパンチングマシーン高得点
美那:もう、本当にムカつく!
蒼太:美那も色々ストレス溜まってんだね
美那:当たり前でしょ!家にいるだけでストレス!
蒼太:あ、あはは、ここで発散しような
美那:もう全部吐く!!ふん!!
:そして
美那:ふぅー今日は気持ちよかったーストレス発散になったよ
蒼太:そりゃあよかった
美那:ありがとね、蒼太
蒼太:いいんだよ、それに、俺たちもう付き合って1年経つだろ?
美那:ああ!確かに!もうそろそろだよね!
蒼太:うん、だからさ、こうやってストレス発散してる美那のこと見てるのなんか嬉しいんだ
美那:え?パンチングマシーンでストレス発散してる彼女ちょっと嫌じゃない?
蒼太:でも、それが美那なんだからそれでいいんだよ
蒼太:だから・・・そろそろ教えて欲しいんだ
美那:何を?
蒼太:美那と美那のお母さんのこと
美那:・・・そうだね
美那:わかったよ、教えてあげる
蒼太:ありがとう
美那:私と、お・・・母親は今2人で暮らしてるの
蒼太:うん、お父さんは居ないんだよね?
美那:そう、離婚しちゃったからね
美那:そっから母親はお酒も飲む、タバコも吸う、まるで人が変わったかのようだよ
美那:おまけにろくに仕事もしないのにパチンコもするし
美那:それで私に帰り遅いってどの口が言ってんのって話だよね
蒼太:そんなことがあったんだね
美那:そう、だからそんな母親を見て私は幻滅したの
美那:これが私が母親と仲が悪い理由
蒼太:なるほどね
蒼太:まあ美那と美那のお母さんとの間でトラブルが起きたとしても俺は美那と一緒にいるつもりだからね
美那:あ、当たり前でしょ!もう母親なんて捨てたようなもんなんだから
美那:もう蒼太しか居ないよ
蒼太:そう言ってもらえると嬉しいな
蒼太:今日は送らせてよ、せっかくだし
美那:うん、ありがと
:美那の家に着く
蒼太:じゃあ、今日はありがとう
美那:こちらこそありがとう
律子:美那?こんな時間まで何してるの?
美那:・・・
律子:その子は?
蒼太:は、初めまして!美那のお母さんですよね!
蒼太:美那さんにいつもお世話になってます!彼氏の蒼太です
律子:彼氏?
美那:そうだよ、もう高校生なんだから彼氏くらいいるでしょ
律子:こんな遅い時間まで美那を振り回さないでくれる?
美那:・・・ちょっと!
蒼太:す、すみません!
律子:本当に美那のこと思ってるならちゃんとしなさい
律子:早く帰りなさい、君の親御さんも心配するでしょ
蒼太:すみませんでした!
美那:・・・
:蒼太は慌てて帰る
:美那と律子は家に入る
美那:ねえ!どういうつもり!?
律子:当然の事でしょ?こんな時間まで彼女を外に出すなんてありえない
美那:それはあんたの価値観でしょ!?私と蒼太まであんたと同じにしないでよ!
律子:美那は私の子よ?私の言う通りにしなさい
美那:・・・誰があんたの子よ!!
美那:私はあんたの子供だと思ったことなんてない!
美那:いい加減にしてよ!あんたの言いなりになったらあんたみたいになっちゃうんでしょ!?冗談じゃないわ!
律子:言いなりなんて言ってないじゃない
美那:同じだよ!言う通りにしろって言ってんだから
美那:あんたの言う通りにしてお酒とかタバコとかギャンブルに手を出す大人になれってことでしょ?
律子:・・・そんなこと言ってない
美那:私は!あんたの子に生まれて幸せだなんて思ったこと1度もない!!
律子:・・・っ!!
:パァァン!!
:律子は左手で美那の頬を叩いた
美那:・・・いったいな!!
:パァァァン!!!!
:美那は右手で律子の頬を叩いた
美那:私がどれだけ孤独だったかあんたにはわからないでしょ?
美那:あんたが仕事もろくにせずにパチンコ行って夜まで帰ってこないあの時間がどれだけ寂しかったか・・・
美那:蒼太は私を1人にしないの!あんたとは違ってね
美那:だから蒼太にまであんたの価値観を押し付けるのはやめて
律子:・・・私は美那が心配なだけなの
美那:あんたに心配される筋合いないって言ってんでしょ!!まだわかんないの!?
美那:もう無理、私、高校卒業したらこの家出ていく
律子:何言ってんの?そんなの許さないよ!?
美那:あんたとはもう暮らしたくないの!!
律子:・・・美那
:ある日のこと
美那:ねえ、蒼太
蒼太:何?
美那:高校卒業したらさ、同棲しない?
蒼太:ど、同棲!?まじで言ってんの!?
美那:マジだよ
蒼太:急になんで?
美那:だって私、今の家に居るの嫌だ
蒼太:・・・ふーん
美那:ね?いいでしょ?
蒼太:理由がそういう事なら俺は嫌だ
美那:え!なんで!?
蒼太:俺さ、同棲ってマイナスなことで始めるものじゃないと思うんだ
美那:ま、マイナスなんかじゃ
蒼太:マイナスだろ?お母さんと一緒に居たくないから俺と住むの?妥協されてるみたいで嫌だ
美那:そんな!妥協はしてない
美那:でも・・・私は母親とは住みたくない
蒼太:まあ仲が悪いのはわかるよ?昔から色々あったろうし
蒼太:でも、やっぱ俺は美那と同棲する時は絶対明るい未来を確信出来た時がいいんだ
蒼太:美那が俺と別れないで一緒に居てくれるならいいよ
美那:別れないよ、別れるわけないじゃん!
蒼太:なら最後に、お母さんに許可貰おう
美那:許可なんて!
蒼太:許可いらないって言ったら俺が何言うかわかるよね?
美那:・・・わかったよ
蒼太:うん、じゃあ行こう
:美那の家に着き、玄関を開ける
蒼太:お邪魔します
律子:・・・あら、いらっしゃい
律子:何しに来たの?
蒼太:お話があります
律子:・・・なに?
蒼太:高校卒業したら、美那さんと同棲させて頂きたいと思いまして
律子:・・・同棲?
蒼太:はい
律子:無理に決まってるでしょ
美那:ちょっと!
蒼太:美那は黙ってて!
美那:・・・
蒼太:お母さん、これは美那さんに頼まれたから言ってるんじゃないです
蒼太:だから
律子:もう、いいわよ
蒼太:・・・え?
律子:私が2人の間に口を挟むことはもうしないから
蒼太:・・・ありがとうございます
美那:・・・??
:そして高校卒業し、美那は大学、蒼太は実家のバーを継いだ
:美那が家を出ていく時
律子:美那
美那:何?
律子:体には気をつけなさい
美那:わかってるよ
:そう言って家を出た
:2人の同棲生活は順調だった
美那:蒼太ー?お皿ちゃんと洗ってね?
蒼太:はいはい
蒼太:ああ、なんか新婚みたいだ
美那:し、新婚!?じゃあ私たち夫婦になる!?
蒼太:ならないの?
美那:な、なるつもりだけどね
蒼太:よかった、美那にそう言って貰えるなんてな
美那:私でよかったらだけどね
蒼太:美那しか居ないって
美那:・・・ありがと
:それから月日が経ち蒼太がバーで働いている時のこと
蒼太:いらっしゃいませー!
律子:・・・え?
蒼太:お、お母さん!?
律子:蒼太君・・・
蒼太:ぐ、偶然ですね、元気でした?
律子:うん、おかげさまでね
蒼太:あまり連絡取れなくてすみません
律子:いいの、美那は元気にしてる?
蒼太:はい!元気ですよ
律子:よかった
律子:・・・あの子はまだ私を恨んでるかしら?
蒼太:・・・それは
律子:ごめんなさいね、答えにくいこと言っちゃって
蒼太:い、いえ!
律子:私は美那に母親らしいことはしてあげれなかった
蒼太:そんなことないと思いますよ
律子:ううん、夫と離婚してから私も精神的にやられててね
律子:自分のことで精一杯になって美那を見てあげれなかった
律子:ちゃんとしたお母さんになってあげれなかった
律子:そのくせ美那に私みたいにならないように色々言いすぎた
律子:嫌われて当然だよね
蒼太:お母さん・・・
律子:だからね、蒼太君、美那には伝わらなくてもいいから、あなたに伝えておくね
律子:私の思いや言葉は美那には届かない
律子:私の子に生まれて、幸せだって思ったこと、1度もないって言われちゃったけど
律子:それでも、私は美那の幸せだけを願ってる
蒼太:・・・ありがとうございます
蒼太:絶対に!美那さんを幸せにします!
律子:お願いします
律子:あ、このことはあんまり美那には言わないでね
蒼太:・・・どうして?
律子:どうしてもよ
蒼太:・・・わかりました
:月日が経ってある日のこと
蒼太:美那
美那:ん?
蒼太:・・・俺たち、結婚しないか?
美那:・・・え?
蒼太:俺、美那のこと幸せにする、絶対に幸せにするから!
美那:何言ってんの、もう幸せだって
蒼太:今以上に幸せにする!
美那:もうわかったよー!結婚します!
蒼太:・・・ほんとか!?
美那:うん、一緒に幸せになろ?
蒼太:よっしゃあー!!
美那:大袈裟だなー、高校生の頃からそんな話してたでしょ?
蒼太:まあな、でも嬉しい
美那:・・・親に報告しないとダメかな?
蒼太:うん、お母さんに連絡してみよ?
蒼太:前にさ、美那のお母さんが俺の店に来たんだ
美那:・・・え?
蒼太:言わないでって言われたけど俺は言うよ
蒼太:お母さんが言った言葉、美那の幸せだけを願ってるってさ
美那:そんなこと言うはずない
蒼太:言ったんだ
美那:じゃあ本心じゃないよ
蒼太:俺には本心に聞こえた
美那:そんなわけない!
蒼太:美那!
蒼太:・・・こういう時くらいお母さんを信じようよ
美那:・・・だって
蒼太:美那がここで信じてあげないと、お母さんも素直にお祝いできないでしょ?
蒼太:俺は美那のお母さんにも祝福されたいよ
美那:・・・わかったよ
美那:・・・はあ
:美那は律子に電話をかける
美那:出ない
蒼太:留守電に残して
美那:うん
美那:もしもし?お・・・美那だけど
美那:蒼太と結婚することになった
美那:それだけ
:美那は電話を切る
蒼太:ありがとう
美那:うん
蒼太:美那の家に行く?
美那:そこまでしなくてもいいよ
蒼太:いいや、行こう
蒼太:また喧嘩してもいいから、2人の気持ちを伝えよう
美那:わかった
:美那の家に着く
蒼太:俺は外で待ってるよ
美那:うん
:美那は持っていた合鍵で鍵を開けて玄関に入る
美那:居ないの?
美那:なんだろ?この手紙
:美那が手に取った手紙にはこう書かれていた
律子:美那へ
律子:美那が子供の頃によく一緒に星を見たよね
律子:あの頃はあの星みたいにずっと一緒になれると思ってた
律子:けど、ごめんね、私は美那を沢山傷つけた
律子:美那に沢山寂しい思いさせた
律子:こんな情けない母親の姿を見たら幸せだと思うことなんて1度もないのもしょうがないよね
律子:でも、私は美那の母親で居れて幸せだった
律子:美那が毎日うきうきしながら学校に行くところを見て私も嬉しかった
律子:だからこそ、踏み外した人生を歩んで欲しくなかった
律子:私が美那に色々言ってしまうのも私みたいになってほしくないからなの
律子:私が何回も後悔した道に進んで欲しくなかったから
律子:けど、蒼太君が居ればきっと大丈夫だよね
律子:彼は美那のことを幸せにしてくれる
律子:私は美那を幸せに出来ないけど美那と蒼太君の幸せを願ってるよ
律子:けど・・・もし願いが叶うなら、美那にもう一度だけお母さんって呼ばれたかったなー
律子:それも叶わないよね。だから、美那と昔見た星のように、空から美那を見守れればなと思った
律子:電話に出れなくてごめんね、突然の事で何を話したらいいかわからなかった。けど、これだけは言わせて
律子:美那、蒼太君、結婚おめでとう
美那:・・・これって
:美那は慌てて玄関を出る
蒼太:美那?どうした?
美那:ちょっと待ってて!
:美那はマンションの屋上に行く
美那:ねえ!ちょっと!!
律子:・・・美那?
美那:あんた、何しようとしてる?
律子:・・・美那、来てくれたの?
美那:答えて、何しようとしてんの?
律子:・・・美那の幸せを願いたいだけなの
律子:美那がずっと幸せに居られるって思えてたから私はもう居なくなるべきだと思った
美那:バカじゃないの!?そんなことしたら逆に不幸じゃん!
美那:大体、あんたと一緒に居て幸せだなんて思ったことない
美那:でもさ・・・私の事思ってくれてるならずっと待っててよ!
美那:私が結婚式を挙げた時、誰が祝ってくれるの?
美那:新郎新婦の言葉で私は誰に何を言えばいいの?
美那:私が子供生まれた時、誰が抱っこしてくれるの?
美那:私の幸せを願ってるなら、私の幸せを共有してよ!
美那:あんたにだって幸せになる権利があるんだからさ
美那:だから、死なないで、ずっとそばに居てよ
美那:お母さん!
:美那は律子に抱きつく
律子:・・・美那
美那:私だって意地張ってた、お母さんを認められなかった
美那:お母さんが辛い時に声をかけてあげれなかった
美那:幸せだって思ったことないって言ったけど、私はまたお母さんと幸せになりたいの!
律子:・・・美那!ごめんね
律子:私は弱い人間だったの、ずっと惨めだった
律子:美那のこと、考えてあげれなかったし、ずっと一人にさせてた
律子:だから、蒼太君が居れば美那は一人じゃないと思ったの
美那:でも!お母さんは一人しか居ないよ!
律子:・・・美那
蒼太:美那!お母さん!
律子:蒼太君・・・
蒼太:お母さん・・・僕は美那さんを大事にします
蒼太:でも、美那さんを今日まで大事にしてくれたお母さんを僕は大事にしたい
蒼太:自分を責めてしまうかもしれないですけど、美那に出会えたのもお母さんのおかげなんです
蒼太:自分を認めて許してあげてください
蒼太:そうすれば美那さんとまた幸せな関係を築けるはずです
美那:そうだよ、お母さんはいつでも優しかったじゃん
美那:私にビンタした時、痛くならないように左手でビンタしてたし
美那:私は気付かないふりしてたのかもしれないけど、いつも優しかった
美那:どうしようもないと思ってたけど優しさだけは感じてたよ
律子:・・・私も、どうしようもないと思ってた
律子:自分の存在が無駄だと思ってた
律子:もう二度と美那にお母さんって呼ばれないと思ってた
律子:ねえ、美那
美那:なに?お母さん
律子:私、幸せで居てもいいのかな?
美那:もちろんだよ
美那:私たちはまたここから始めるんだよ
美那:約束したでしょ?小さい頃、この屋上で見た星空と同じように、私たちはずっと一緒にいようって
美那:手を繋いで約束したよね
美那:だからほら、あの星みたいにお母さんとずっと一緒になれればいいね!
:美那は右手で律子の手をギュッと握り
律子:うん、そうだね!
:律子は左手で美那の手を優しく包んだ
0:10年前のこと
美那:お母さん、ここはどこなの?
律子:ここはマンションの屋上だよ
美那:どうしてマンションの屋上に来たの?
律子:空を見ててね
美那:うん
律子:ほら、星が見えるでしょ?
美那:わぁー!ほんとだ!
律子:これは夏の大三角っていってこの星とあそこの星とあそこの星を線で繋げると三角形になるんだよ
美那:そうなんだ!じゃあ私とお父さんとお母さんみたいだね!
律子:うん・・・そうだね
美那:星っていつからあるの?
律子:何億年も前からあるみたいだよ
美那:ええー!じゃああの星みたいに私とお父さんとお母さんずっと一緒になれればいいね!
:美那は右手で律子の手をギュッと握り
律子:うん・・・そうだね
:律子は左手で美那の手を優しく包んだ
:そして10年後
美那:・・・
:美那は玄関を出ようとする
律子:美那?学校行く時はいってきますって言わないとダメだよ?
美那:・・・ちっ
律子:スカートちゃんと履いてるの?短くない?
美那:・・・うるさいな
:美那は何も言わずに出ていく
律子:ちょっと、美那!?
律子:・・・もう、どうしたら
:美那は学校に着く
美那:おはよー蒼太
蒼太:おう、美那、なんか元気ないね、どうした?
美那:母親になんかグチグチ言われてさ
蒼太:あーあるよなー
美那:毎日うざいんだよね、別にいいじゃんってこと細かく指摘するしさ
蒼太:母親ってどこもそうなのかな?
美那:私の母親は異常だよ、ほんと一緒に居たくない
蒼太:まあまあ、今はうざいかもしれないけど大人になるとありがたみがわかるって言うじゃん?
美那:知ったようなこと言わないでよ!
蒼太:あ、ああ、ごめん
美那:あ、ううん、こっちこそごめんね
蒼太:そういえば、美那のお母さんに挨拶とかはした方がいいのかな?
美那:挨拶?いらないよそんなの
蒼太:そうかー?結構親を紹介して貰えないって俺としては寂しいんだぞー?
美那:いいの、大した親じゃないんだから
蒼太:まあ、どっかのタイミングでいいから会わせてよ
美那:どっかのタイミングがあればね
:美那は学校も終わり、バイトも終わり家に着く
美那:・・・はぁ
律子:美那、最近帰り遅くない?
美那:いや、バイトもしてるんだから当たり前でしょ?
律子:それにしても10時は遅くない?
美那:遅くないでしょ別に
律子:遅いよ、もし、遅くなるなら早めに帰れるようにして?
美那:給料減るじゃん
律子:でも早く帰ってきて
美那:うるさいな!
律子:・・・美那
美那:あんただって帰ってきたのついさっきでしょ!?どこで何やってたの?
律子:・・・それは
美那:どうせパチンコとかでしょ?働いたお金ドブに捨てるようなことして何が楽しいの!?
律子:・・・
美那:私はもう高校生になってバイトもしてるの
美那:あんたみたいに何も考えないで人生無駄に過ごしてないから!
律子:・・・美那
律子:私は美那を心配してるの
美那:あんたに心配される筋合いないよ
美那:私は私が決めたことをやるの、あんたは口出ししないで
律子:・・・美那、言うこと聞いてよ
0:ある日の事、美那と蒼太はゲームセンターに来ていた
美那:・・・あんのくそばばあ!!ふん!!
蒼太:お、おおーパンチングマシーン高得点
美那:もう、本当にムカつく!
蒼太:美那も色々ストレス溜まってんだね
美那:当たり前でしょ!家にいるだけでストレス!
蒼太:あ、あはは、ここで発散しような
美那:もう全部吐く!!ふん!!
:そして
美那:ふぅー今日は気持ちよかったーストレス発散になったよ
蒼太:そりゃあよかった
美那:ありがとね、蒼太
蒼太:いいんだよ、それに、俺たちもう付き合って1年経つだろ?
美那:ああ!確かに!もうそろそろだよね!
蒼太:うん、だからさ、こうやってストレス発散してる美那のこと見てるのなんか嬉しいんだ
美那:え?パンチングマシーンでストレス発散してる彼女ちょっと嫌じゃない?
蒼太:でも、それが美那なんだからそれでいいんだよ
蒼太:だから・・・そろそろ教えて欲しいんだ
美那:何を?
蒼太:美那と美那のお母さんのこと
美那:・・・そうだね
美那:わかったよ、教えてあげる
蒼太:ありがとう
美那:私と、お・・・母親は今2人で暮らしてるの
蒼太:うん、お父さんは居ないんだよね?
美那:そう、離婚しちゃったからね
美那:そっから母親はお酒も飲む、タバコも吸う、まるで人が変わったかのようだよ
美那:おまけにろくに仕事もしないのにパチンコもするし
美那:それで私に帰り遅いってどの口が言ってんのって話だよね
蒼太:そんなことがあったんだね
美那:そう、だからそんな母親を見て私は幻滅したの
美那:これが私が母親と仲が悪い理由
蒼太:なるほどね
蒼太:まあ美那と美那のお母さんとの間でトラブルが起きたとしても俺は美那と一緒にいるつもりだからね
美那:あ、当たり前でしょ!もう母親なんて捨てたようなもんなんだから
美那:もう蒼太しか居ないよ
蒼太:そう言ってもらえると嬉しいな
蒼太:今日は送らせてよ、せっかくだし
美那:うん、ありがと
:美那の家に着く
蒼太:じゃあ、今日はありがとう
美那:こちらこそありがとう
律子:美那?こんな時間まで何してるの?
美那:・・・
律子:その子は?
蒼太:は、初めまして!美那のお母さんですよね!
蒼太:美那さんにいつもお世話になってます!彼氏の蒼太です
律子:彼氏?
美那:そうだよ、もう高校生なんだから彼氏くらいいるでしょ
律子:こんな遅い時間まで美那を振り回さないでくれる?
美那:・・・ちょっと!
蒼太:す、すみません!
律子:本当に美那のこと思ってるならちゃんとしなさい
律子:早く帰りなさい、君の親御さんも心配するでしょ
蒼太:すみませんでした!
美那:・・・
:蒼太は慌てて帰る
:美那と律子は家に入る
美那:ねえ!どういうつもり!?
律子:当然の事でしょ?こんな時間まで彼女を外に出すなんてありえない
美那:それはあんたの価値観でしょ!?私と蒼太まであんたと同じにしないでよ!
律子:美那は私の子よ?私の言う通りにしなさい
美那:・・・誰があんたの子よ!!
美那:私はあんたの子供だと思ったことなんてない!
美那:いい加減にしてよ!あんたの言いなりになったらあんたみたいになっちゃうんでしょ!?冗談じゃないわ!
律子:言いなりなんて言ってないじゃない
美那:同じだよ!言う通りにしろって言ってんだから
美那:あんたの言う通りにしてお酒とかタバコとかギャンブルに手を出す大人になれってことでしょ?
律子:・・・そんなこと言ってない
美那:私は!あんたの子に生まれて幸せだなんて思ったこと1度もない!!
律子:・・・っ!!
:パァァン!!
:律子は左手で美那の頬を叩いた
美那:・・・いったいな!!
:パァァァン!!!!
:美那は右手で律子の頬を叩いた
美那:私がどれだけ孤独だったかあんたにはわからないでしょ?
美那:あんたが仕事もろくにせずにパチンコ行って夜まで帰ってこないあの時間がどれだけ寂しかったか・・・
美那:蒼太は私を1人にしないの!あんたとは違ってね
美那:だから蒼太にまであんたの価値観を押し付けるのはやめて
律子:・・・私は美那が心配なだけなの
美那:あんたに心配される筋合いないって言ってんでしょ!!まだわかんないの!?
美那:もう無理、私、高校卒業したらこの家出ていく
律子:何言ってんの?そんなの許さないよ!?
美那:あんたとはもう暮らしたくないの!!
律子:・・・美那
:ある日のこと
美那:ねえ、蒼太
蒼太:何?
美那:高校卒業したらさ、同棲しない?
蒼太:ど、同棲!?まじで言ってんの!?
美那:マジだよ
蒼太:急になんで?
美那:だって私、今の家に居るの嫌だ
蒼太:・・・ふーん
美那:ね?いいでしょ?
蒼太:理由がそういう事なら俺は嫌だ
美那:え!なんで!?
蒼太:俺さ、同棲ってマイナスなことで始めるものじゃないと思うんだ
美那:ま、マイナスなんかじゃ
蒼太:マイナスだろ?お母さんと一緒に居たくないから俺と住むの?妥協されてるみたいで嫌だ
美那:そんな!妥協はしてない
美那:でも・・・私は母親とは住みたくない
蒼太:まあ仲が悪いのはわかるよ?昔から色々あったろうし
蒼太:でも、やっぱ俺は美那と同棲する時は絶対明るい未来を確信出来た時がいいんだ
蒼太:美那が俺と別れないで一緒に居てくれるならいいよ
美那:別れないよ、別れるわけないじゃん!
蒼太:なら最後に、お母さんに許可貰おう
美那:許可なんて!
蒼太:許可いらないって言ったら俺が何言うかわかるよね?
美那:・・・わかったよ
蒼太:うん、じゃあ行こう
:美那の家に着き、玄関を開ける
蒼太:お邪魔します
律子:・・・あら、いらっしゃい
律子:何しに来たの?
蒼太:お話があります
律子:・・・なに?
蒼太:高校卒業したら、美那さんと同棲させて頂きたいと思いまして
律子:・・・同棲?
蒼太:はい
律子:無理に決まってるでしょ
美那:ちょっと!
蒼太:美那は黙ってて!
美那:・・・
蒼太:お母さん、これは美那さんに頼まれたから言ってるんじゃないです
蒼太:だから
律子:もう、いいわよ
蒼太:・・・え?
律子:私が2人の間に口を挟むことはもうしないから
蒼太:・・・ありがとうございます
美那:・・・??
:そして高校卒業し、美那は大学、蒼太は実家のバーを継いだ
:美那が家を出ていく時
律子:美那
美那:何?
律子:体には気をつけなさい
美那:わかってるよ
:そう言って家を出た
:2人の同棲生活は順調だった
美那:蒼太ー?お皿ちゃんと洗ってね?
蒼太:はいはい
蒼太:ああ、なんか新婚みたいだ
美那:し、新婚!?じゃあ私たち夫婦になる!?
蒼太:ならないの?
美那:な、なるつもりだけどね
蒼太:よかった、美那にそう言って貰えるなんてな
美那:私でよかったらだけどね
蒼太:美那しか居ないって
美那:・・・ありがと
:それから月日が経ち蒼太がバーで働いている時のこと
蒼太:いらっしゃいませー!
律子:・・・え?
蒼太:お、お母さん!?
律子:蒼太君・・・
蒼太:ぐ、偶然ですね、元気でした?
律子:うん、おかげさまでね
蒼太:あまり連絡取れなくてすみません
律子:いいの、美那は元気にしてる?
蒼太:はい!元気ですよ
律子:よかった
律子:・・・あの子はまだ私を恨んでるかしら?
蒼太:・・・それは
律子:ごめんなさいね、答えにくいこと言っちゃって
蒼太:い、いえ!
律子:私は美那に母親らしいことはしてあげれなかった
蒼太:そんなことないと思いますよ
律子:ううん、夫と離婚してから私も精神的にやられててね
律子:自分のことで精一杯になって美那を見てあげれなかった
律子:ちゃんとしたお母さんになってあげれなかった
律子:そのくせ美那に私みたいにならないように色々言いすぎた
律子:嫌われて当然だよね
蒼太:お母さん・・・
律子:だからね、蒼太君、美那には伝わらなくてもいいから、あなたに伝えておくね
律子:私の思いや言葉は美那には届かない
律子:私の子に生まれて、幸せだって思ったこと、1度もないって言われちゃったけど
律子:それでも、私は美那の幸せだけを願ってる
蒼太:・・・ありがとうございます
蒼太:絶対に!美那さんを幸せにします!
律子:お願いします
律子:あ、このことはあんまり美那には言わないでね
蒼太:・・・どうして?
律子:どうしてもよ
蒼太:・・・わかりました
:月日が経ってある日のこと
蒼太:美那
美那:ん?
蒼太:・・・俺たち、結婚しないか?
美那:・・・え?
蒼太:俺、美那のこと幸せにする、絶対に幸せにするから!
美那:何言ってんの、もう幸せだって
蒼太:今以上に幸せにする!
美那:もうわかったよー!結婚します!
蒼太:・・・ほんとか!?
美那:うん、一緒に幸せになろ?
蒼太:よっしゃあー!!
美那:大袈裟だなー、高校生の頃からそんな話してたでしょ?
蒼太:まあな、でも嬉しい
美那:・・・親に報告しないとダメかな?
蒼太:うん、お母さんに連絡してみよ?
蒼太:前にさ、美那のお母さんが俺の店に来たんだ
美那:・・・え?
蒼太:言わないでって言われたけど俺は言うよ
蒼太:お母さんが言った言葉、美那の幸せだけを願ってるってさ
美那:そんなこと言うはずない
蒼太:言ったんだ
美那:じゃあ本心じゃないよ
蒼太:俺には本心に聞こえた
美那:そんなわけない!
蒼太:美那!
蒼太:・・・こういう時くらいお母さんを信じようよ
美那:・・・だって
蒼太:美那がここで信じてあげないと、お母さんも素直にお祝いできないでしょ?
蒼太:俺は美那のお母さんにも祝福されたいよ
美那:・・・わかったよ
美那:・・・はあ
:美那は律子に電話をかける
美那:出ない
蒼太:留守電に残して
美那:うん
美那:もしもし?お・・・美那だけど
美那:蒼太と結婚することになった
美那:それだけ
:美那は電話を切る
蒼太:ありがとう
美那:うん
蒼太:美那の家に行く?
美那:そこまでしなくてもいいよ
蒼太:いいや、行こう
蒼太:また喧嘩してもいいから、2人の気持ちを伝えよう
美那:わかった
:美那の家に着く
蒼太:俺は外で待ってるよ
美那:うん
:美那は持っていた合鍵で鍵を開けて玄関に入る
美那:居ないの?
美那:なんだろ?この手紙
:美那が手に取った手紙にはこう書かれていた
律子:美那へ
律子:美那が子供の頃によく一緒に星を見たよね
律子:あの頃はあの星みたいにずっと一緒になれると思ってた
律子:けど、ごめんね、私は美那を沢山傷つけた
律子:美那に沢山寂しい思いさせた
律子:こんな情けない母親の姿を見たら幸せだと思うことなんて1度もないのもしょうがないよね
律子:でも、私は美那の母親で居れて幸せだった
律子:美那が毎日うきうきしながら学校に行くところを見て私も嬉しかった
律子:だからこそ、踏み外した人生を歩んで欲しくなかった
律子:私が美那に色々言ってしまうのも私みたいになってほしくないからなの
律子:私が何回も後悔した道に進んで欲しくなかったから
律子:けど、蒼太君が居ればきっと大丈夫だよね
律子:彼は美那のことを幸せにしてくれる
律子:私は美那を幸せに出来ないけど美那と蒼太君の幸せを願ってるよ
律子:けど・・・もし願いが叶うなら、美那にもう一度だけお母さんって呼ばれたかったなー
律子:それも叶わないよね。だから、美那と昔見た星のように、空から美那を見守れればなと思った
律子:電話に出れなくてごめんね、突然の事で何を話したらいいかわからなかった。けど、これだけは言わせて
律子:美那、蒼太君、結婚おめでとう
美那:・・・これって
:美那は慌てて玄関を出る
蒼太:美那?どうした?
美那:ちょっと待ってて!
:美那はマンションの屋上に行く
美那:ねえ!ちょっと!!
律子:・・・美那?
美那:あんた、何しようとしてる?
律子:・・・美那、来てくれたの?
美那:答えて、何しようとしてんの?
律子:・・・美那の幸せを願いたいだけなの
律子:美那がずっと幸せに居られるって思えてたから私はもう居なくなるべきだと思った
美那:バカじゃないの!?そんなことしたら逆に不幸じゃん!
美那:大体、あんたと一緒に居て幸せだなんて思ったことない
美那:でもさ・・・私の事思ってくれてるならずっと待っててよ!
美那:私が結婚式を挙げた時、誰が祝ってくれるの?
美那:新郎新婦の言葉で私は誰に何を言えばいいの?
美那:私が子供生まれた時、誰が抱っこしてくれるの?
美那:私の幸せを願ってるなら、私の幸せを共有してよ!
美那:あんたにだって幸せになる権利があるんだからさ
美那:だから、死なないで、ずっとそばに居てよ
美那:お母さん!
:美那は律子に抱きつく
律子:・・・美那
美那:私だって意地張ってた、お母さんを認められなかった
美那:お母さんが辛い時に声をかけてあげれなかった
美那:幸せだって思ったことないって言ったけど、私はまたお母さんと幸せになりたいの!
律子:・・・美那!ごめんね
律子:私は弱い人間だったの、ずっと惨めだった
律子:美那のこと、考えてあげれなかったし、ずっと一人にさせてた
律子:だから、蒼太君が居れば美那は一人じゃないと思ったの
美那:でも!お母さんは一人しか居ないよ!
律子:・・・美那
蒼太:美那!お母さん!
律子:蒼太君・・・
蒼太:お母さん・・・僕は美那さんを大事にします
蒼太:でも、美那さんを今日まで大事にしてくれたお母さんを僕は大事にしたい
蒼太:自分を責めてしまうかもしれないですけど、美那に出会えたのもお母さんのおかげなんです
蒼太:自分を認めて許してあげてください
蒼太:そうすれば美那さんとまた幸せな関係を築けるはずです
美那:そうだよ、お母さんはいつでも優しかったじゃん
美那:私にビンタした時、痛くならないように左手でビンタしてたし
美那:私は気付かないふりしてたのかもしれないけど、いつも優しかった
美那:どうしようもないと思ってたけど優しさだけは感じてたよ
律子:・・・私も、どうしようもないと思ってた
律子:自分の存在が無駄だと思ってた
律子:もう二度と美那にお母さんって呼ばれないと思ってた
律子:ねえ、美那
美那:なに?お母さん
律子:私、幸せで居てもいいのかな?
美那:もちろんだよ
美那:私たちはまたここから始めるんだよ
美那:約束したでしょ?小さい頃、この屋上で見た星空と同じように、私たちはずっと一緒にいようって
美那:手を繋いで約束したよね
美那:だからほら、あの星みたいにお母さんとずっと一緒になれればいいね!
:美那は右手で律子の手をギュッと握り
律子:うん、そうだね!
:律子は左手で美那の手を優しく包んだ