台本概要
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タイトル | 今宵も月が綺麗な夜で |
---|---|
作者名 | そらいろ (@sorairo_0801) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(女1、不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
あぁ。私にも見えました。光り輝く綺麗な月が ・台本をご利用の際は、作品名、作者名、URLを記載して頂けると嬉しいです ・自由に演じてください! ※最後のセリフは二人同時でも、別々でも構いません 「月はただ むかふばかりの ながめかな 心のうちの あらぬ思ひに」 (月を見ている。でも、本当は何も見えていない。私が見ているのは、心の中のあなた/祝子内親王) 290 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
暦 | 女 | 52 | 暦(こよみ) |
如月 | 不問 | 46 | 如月(きさらぎ) |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
暦。土手に腰を下ろし空を見上げる
暦:「あの日、貴方が差し伸べてくれた手をとることが出来ていたのなら。未来は…変わっていたのかしら…」
0:
如月:「暦様!」
暦:「如月…」
如月:「やはり…ここにいらしたのですね」
暦:「…。」
如月:「そろそろお屋敷に…」
暦:「っ…」
如月:「…。」
暦:「…お願い。あと、もう少しだけ…この場所にいさせて」
如月:「暦様…」
暦:「…。」
如月:「…分かりました」
暦:「…っ」
如月:「ですが。せめて、これを羽織っていてください。夜風はお身体に良くありませんから」
暦:「…ありがとう」
0:暦。じっと夜空を眺めている
如月:「…暦様。お隣よろしいでしょうか?」
暦:「えぇ」
如月:「懐かしいですね。この場所」
暦:「そうね」
如月:「…幼き頃、2人でお屋敷を抜け出し、ここで月を見た、あの日の夜のことを覚えておりますか?」
暦:「…もちろん覚えているわ。そのとき、あなたが持ってきてくれたお団子を、この場所で一緒に食べたことも」
如月:「暦様と満月を見ながら共に食べた団子は格別でしたよ」
暦:「ふふ。あなたと共に見た満月も、より輝いて見えて…とても美しかったわ」
如月:「あの日のこと、まるで昨日のことのように、今でもはっきりと覚えております…懐かしいですね」
暦:「えぇ。…本当に」
0:
如月。夜空を見上げる
如月:「…今宵は、新月なのですね」
暦:「…えぇ。せっかくなら最後に、この場所で…綺麗な月が見たかったのだけれど。残念だわ」
如月:「…いよいよ明日ですか」
暦:「えぇ。匠様の元に嫁いでしまったら、もうここに来ることも、あなたと…こうして昔の話をしながら笑い合うことも、出来なくなってしまうのね。…寂しいわ」
如月:「暦様…」
暦:「あれからもう、6年も経つのね」
如月:「もう、そんなに経ちましたか」
暦:「如月が…このお屋敷から共に逃げようと言ってくれたとき…とても嬉しかった。如月に手を引かれ、あぜ道を駆け抜けているとき、如月とならどこへでも行けるような気がしたわ。とても、幸せだった」
如月:「暦様…」
暦:「あのとき、走る足を止めることなどしなければ、あなたの手を離すことがなければ、と。よく考えてしまうの。今更どんなに考えたって、時が戻ることなどないのにね」
如月:「…。」
暦:「ふふ。如月とここで一緒に夜空を眺めていると、まるで…あの日に戻ったようだわ」
如月:「えぇ。そうですね」
暦:「ここは…あの頃と何も変わってない。変わってしまったのは…私たちだけ。……できることなら戻りたいわ…あの頃に」
如月:「…」
暦:「明日など…来なければ良いのにね」
如月:「…暦様が匠様の元へ嫁ぐことが決まったという話を耳にしたとき、私は…何もできない自分に腹が立ちました。よりにもよって、なぜあの方の元へなど」
暦:「…仕方がないわ。お父様が決めたことだもの」
如月:「暦様には誰よりも幸せになって欲しいと願っているのに。私は…結局なにも…」
暦:「如月。そんな顔をしないで。私は、幸せよ。ずっと…四ノ宮家の厄介者だった私が…やっとお父様の、家の役に立てるんですもの」
如月:「そう仰るのなら、なぜこんな所で…おひとりで泣かれておられたのですか」
暦:「そ、それは…」
如月:「私の前では…無理して笑わなくても良いのですよ。暦様」
暦:「そんな…無理してなんて(涙をこぼす)」
如月:「っ…」
0:如月。暦を抱きしめる
如月:「…暦様」
暦:「…っ」
如月:「今宵は…月が…綺麗ですね」
暦:「…月」
如月:「あの日からも、私の気持ちは何一つ変わってはございません。…暦様。あの日の続きのように、今からでも、私と遠くに…」
暦:「(遮る)如月。…私には…月なんて見えないわ」
如月:「暦様…」
暦:「月がね…隠れてしまっているの。私が…今見ているこの夜空には、ただ…果てしなく、暗闇が広がっているだけ」
如月:「…それは…暦様が…月を見ようとしないからではありませんか」
暦:「…そうかもしれないわね」
如月:「…暦様」
暦:「むしろ見えなくて良かったのよ。私に…月明かりは眩しすぎるもの。それに」
如月:「…。」
暦:「もしも、今…私の瞳に月が映ってしまったら」
如月:「…」
暦:「私も、あなたと同じ言葉を…今ここで、口にしてしまっていたと思うから」
如月:「…っ。でしたら!」
暦:「如月。私はもう…覚悟を決めたのよ。それなのに…今ここで、温かい光の存在を知ってしまったら、もう、元には戻れない。いつまでも、暗闇の中で、その光を追い求めてしまうわ」
如月:「…」
暦:「月のない夜空は、寂しいと思うでしょう。でも、初めから月の存在を知らなければ、そう思うこともない。暗闇で生きてゆくと覚悟を決めたのなら、光の存在など、始めから知らない方がいいの」
如月:「それは違います!!」
暦:「…っ」
如月:「光の存在さえ知っていれば、その光を心の中で思い浮かべることで、人々は暗闇の中でも、どんなに辛いことがあっても、我を見失うことなく、耐えることができるのです」
暦:「その光が…どんなに手を伸ばしても、絶対に届くことのない光だと…分かっていても?」
如月:「そうです。例え手が届かない光だったとしても、その光は、きっと、私たちの行く先を照らしてくれる。私はそう信じております」
暦:「行く先を…。えぇ、そうね」
0:間
暦:「ねえ…如月」
如月:「なんでしょうか。暦様」
暦:「あなたの瞳に映るその月は、今もまだ…輝いているのかしら」
如月:「…はい。今も…とても美しく輝いております。そして…これから先も、その輝きを失うことは、決してございません」
暦:「…そう。このまま…あなたと、この深い夜空の闇に溶けてしまえたら良いのに」
如月:「私もです…暦様。このまま暦様を連れ去ることができたのなら…どれだけ幸せでしょうか」
0:如月。暦に優しく口づけをする
暦:「…あぁ…如月」
如月:「…はい。暦様」
暦:「…私にも…ようやく見えたわ」
如月:「…何が…見えたのですか」
暦:「夜空に光り輝く…綺麗な月が」
如月:「…そう…ですか」
暦:「もっと早くに…この月を見ることができたのなら、私は…大切なものを失わずに…すんだのかしら」
如月:「…暦様。お傍にいることは叶いませんが。どうか離れていても、この先も…私と共に、その月を眺めていてくださいますか」
暦:「…ええ。私はもう…この美しい月から…目を逸らすことなどできないもの」
0:
暦:(M)月はあなたへの恋心。その月明かりは、いつも私の進むべき道を照らし、私を温かく包み込んでくれる。そして、その輝きは、この先も失うことは無い
0:数年後。1人、夜空を眺める暦
暦:「あら。今日は新月なのね」
0:
暦:(M)こうして月のない夜空を眺めていると、あの日のことを思い出す。あなたと共に過ごした、短き新月の夜を
0:
暦:「如月。あなたは今でも、私と同じ月を見てくれているのかしら」
0:
暦:「月はただ むかふばかりの ながめかな 心のうちの あらぬ思ひに」
0:
暦:「今宵も、月が綺麗ね」
如月:「今宵も、月が綺麗だ」
0:
暦。土手に腰を下ろし空を見上げる
暦:「あの日、貴方が差し伸べてくれた手をとることが出来ていたのなら。未来は…変わっていたのかしら…」
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如月:「暦様!」
暦:「如月…」
如月:「やはり…ここにいらしたのですね」
暦:「…。」
如月:「そろそろお屋敷に…」
暦:「っ…」
如月:「…。」
暦:「…お願い。あと、もう少しだけ…この場所にいさせて」
如月:「暦様…」
暦:「…。」
如月:「…分かりました」
暦:「…っ」
如月:「ですが。せめて、これを羽織っていてください。夜風はお身体に良くありませんから」
暦:「…ありがとう」
0:暦。じっと夜空を眺めている
如月:「…暦様。お隣よろしいでしょうか?」
暦:「えぇ」
如月:「懐かしいですね。この場所」
暦:「そうね」
如月:「…幼き頃、2人でお屋敷を抜け出し、ここで月を見た、あの日の夜のことを覚えておりますか?」
暦:「…もちろん覚えているわ。そのとき、あなたが持ってきてくれたお団子を、この場所で一緒に食べたことも」
如月:「暦様と満月を見ながら共に食べた団子は格別でしたよ」
暦:「ふふ。あなたと共に見た満月も、より輝いて見えて…とても美しかったわ」
如月:「あの日のこと、まるで昨日のことのように、今でもはっきりと覚えております…懐かしいですね」
暦:「えぇ。…本当に」
0:
如月。夜空を見上げる
如月:「…今宵は、新月なのですね」
暦:「…えぇ。せっかくなら最後に、この場所で…綺麗な月が見たかったのだけれど。残念だわ」
如月:「…いよいよ明日ですか」
暦:「えぇ。匠様の元に嫁いでしまったら、もうここに来ることも、あなたと…こうして昔の話をしながら笑い合うことも、出来なくなってしまうのね。…寂しいわ」
如月:「暦様…」
暦:「あれからもう、6年も経つのね」
如月:「もう、そんなに経ちましたか」
暦:「如月が…このお屋敷から共に逃げようと言ってくれたとき…とても嬉しかった。如月に手を引かれ、あぜ道を駆け抜けているとき、如月とならどこへでも行けるような気がしたわ。とても、幸せだった」
如月:「暦様…」
暦:「あのとき、走る足を止めることなどしなければ、あなたの手を離すことがなければ、と。よく考えてしまうの。今更どんなに考えたって、時が戻ることなどないのにね」
如月:「…。」
暦:「ふふ。如月とここで一緒に夜空を眺めていると、まるで…あの日に戻ったようだわ」
如月:「えぇ。そうですね」
暦:「ここは…あの頃と何も変わってない。変わってしまったのは…私たちだけ。……できることなら戻りたいわ…あの頃に」
如月:「…」
暦:「明日など…来なければ良いのにね」
如月:「…暦様が匠様の元へ嫁ぐことが決まったという話を耳にしたとき、私は…何もできない自分に腹が立ちました。よりにもよって、なぜあの方の元へなど」
暦:「…仕方がないわ。お父様が決めたことだもの」
如月:「暦様には誰よりも幸せになって欲しいと願っているのに。私は…結局なにも…」
暦:「如月。そんな顔をしないで。私は、幸せよ。ずっと…四ノ宮家の厄介者だった私が…やっとお父様の、家の役に立てるんですもの」
如月:「そう仰るのなら、なぜこんな所で…おひとりで泣かれておられたのですか」
暦:「そ、それは…」
如月:「私の前では…無理して笑わなくても良いのですよ。暦様」
暦:「そんな…無理してなんて(涙をこぼす)」
如月:「っ…」
0:如月。暦を抱きしめる
如月:「…暦様」
暦:「…っ」
如月:「今宵は…月が…綺麗ですね」
暦:「…月」
如月:「あの日からも、私の気持ちは何一つ変わってはございません。…暦様。あの日の続きのように、今からでも、私と遠くに…」
暦:「(遮る)如月。…私には…月なんて見えないわ」
如月:「暦様…」
暦:「月がね…隠れてしまっているの。私が…今見ているこの夜空には、ただ…果てしなく、暗闇が広がっているだけ」
如月:「…それは…暦様が…月を見ようとしないからではありませんか」
暦:「…そうかもしれないわね」
如月:「…暦様」
暦:「むしろ見えなくて良かったのよ。私に…月明かりは眩しすぎるもの。それに」
如月:「…。」
暦:「もしも、今…私の瞳に月が映ってしまったら」
如月:「…」
暦:「私も、あなたと同じ言葉を…今ここで、口にしてしまっていたと思うから」
如月:「…っ。でしたら!」
暦:「如月。私はもう…覚悟を決めたのよ。それなのに…今ここで、温かい光の存在を知ってしまったら、もう、元には戻れない。いつまでも、暗闇の中で、その光を追い求めてしまうわ」
如月:「…」
暦:「月のない夜空は、寂しいと思うでしょう。でも、初めから月の存在を知らなければ、そう思うこともない。暗闇で生きてゆくと覚悟を決めたのなら、光の存在など、始めから知らない方がいいの」
如月:「それは違います!!」
暦:「…っ」
如月:「光の存在さえ知っていれば、その光を心の中で思い浮かべることで、人々は暗闇の中でも、どんなに辛いことがあっても、我を見失うことなく、耐えることができるのです」
暦:「その光が…どんなに手を伸ばしても、絶対に届くことのない光だと…分かっていても?」
如月:「そうです。例え手が届かない光だったとしても、その光は、きっと、私たちの行く先を照らしてくれる。私はそう信じております」
暦:「行く先を…。えぇ、そうね」
0:間
暦:「ねえ…如月」
如月:「なんでしょうか。暦様」
暦:「あなたの瞳に映るその月は、今もまだ…輝いているのかしら」
如月:「…はい。今も…とても美しく輝いております。そして…これから先も、その輝きを失うことは、決してございません」
暦:「…そう。このまま…あなたと、この深い夜空の闇に溶けてしまえたら良いのに」
如月:「私もです…暦様。このまま暦様を連れ去ることができたのなら…どれだけ幸せでしょうか」
0:如月。暦に優しく口づけをする
暦:「…あぁ…如月」
如月:「…はい。暦様」
暦:「…私にも…ようやく見えたわ」
如月:「…何が…見えたのですか」
暦:「夜空に光り輝く…綺麗な月が」
如月:「…そう…ですか」
暦:「もっと早くに…この月を見ることができたのなら、私は…大切なものを失わずに…すんだのかしら」
如月:「…暦様。お傍にいることは叶いませんが。どうか離れていても、この先も…私と共に、その月を眺めていてくださいますか」
暦:「…ええ。私はもう…この美しい月から…目を逸らすことなどできないもの」
0:
暦:(M)月はあなたへの恋心。その月明かりは、いつも私の進むべき道を照らし、私を温かく包み込んでくれる。そして、その輝きは、この先も失うことは無い
0:数年後。1人、夜空を眺める暦
暦:「あら。今日は新月なのね」
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暦:(M)こうして月のない夜空を眺めていると、あの日のことを思い出す。あなたと共に過ごした、短き新月の夜を
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暦:「如月。あなたは今でも、私と同じ月を見てくれているのかしら」
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暦:「月はただ むかふばかりの ながめかな 心のうちの あらぬ思ひに」
0:
暦:「今宵も、月が綺麗ね」
如月:「今宵も、月が綺麗だ」