台本概要
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タイトル | 迷い子たちは桜の中に |
---|---|
作者名 | ※なっつ (@ponkotsuNutsu) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(女3) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
本作品をご利用する際はご連絡ください。 作者が喜ぶだけですので、連絡しなくても構いませんが、お気軽にしてくださると嬉しいです。 https://twitter.com/ponkotsunutsu?s=21&t=kLcrMp7KheqMDYqJ9jzJZQ ご利用する際はタイトルと作者名を載せてくださいませ。 「迷い子たちは桜の中に」 桜が舞う中で出会ったのは、フードをかぶった迷子の男の子だった。 優しいおねえさんと不思議なふたりの男の子のお話。 ―――――人には興味ないけれど、君は別。 無断転載や自作発言や盗用はお控えください。 254 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
おねえさん | 女 | 94 | 女性。面倒見のいい、優しいおねえさん。本名はあかねさん。 ??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。 女性を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。 |
フードの子 | 女 | 102 | 無邪気な幼い男の子。フードを被っているので顔がよく見えない。瞳が赤いらしい。 ??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。 幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。 |
男の子 | 女 | 87 | ミステリアスな幼い男の子。フードの男の子と同い年くらいの背丈。お兄ちゃん気質だが、知らないものごとが多い。 ??のセリフもこのキャラクターのまま演じてもらえればと思います。 幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
おねえさん:女声。面倒見のいい、優しいおねえさん。本名はあかねさん。
おねえさん:??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。(役の方はここをタップ)
フードの子:幼い無邪気な男の子。フードを被っているので顔がよく見えない。瞳が赤いらしい。
フードの子:??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。
フードの子:幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。(役の方はここをタップ)
男の子:幼い男の子。フードの男の子と同い年くらいの背丈。お兄ちゃん気質だが、知らないものごとが多い。
男の子:??のセリフもこのキャラクターのまま演じてもらえればいいかと思います。
男の子:幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。(役の方はここをタップ)
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0:「迷い子たちは桜の中に」
男の子:「どうしたの、元気ないね」
フードの子:「…なんでもない」
男の子:「なぁに、言ってよ」
フードの子:「…僕は、僕はやっぱり、こっちの子じゃなかったみたい」
男の子:「なんで、急に…」
フードの子:「だって…」
男の子:「ここにいるのは嫌になった?」
フードの子:「そうじゃ…ないけど…っ」
男の子:「…そっか」
フードの子:「…」
男の子:「…今頃はあっちだと桜が綺麗だろうね」
フードの子:「?? えと…」
男の子:「久しぶりに遊びに行こうか」
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フードの子:「…あれ?どこ?…どこに行っちゃったの、ねえ!」
おねえさん:「どうしたの?」
フードの子:「っ?!」
0:男の子慌てて顔を隠すー
おねえさん:「大丈夫だよ。フード被ってるから泣き顔は見えなかったよ?」
フードの子:「な、泣いてないもん」
おねえさん:「そっかそっか、それでどうしたの」
フードの子:「!あ、ぁ、その、い、いなくなっちゃった…」
おねえさん:「迷子?」
フードの子:「あ…う…ひっく…」
おねえさん:「大丈夫だよ、泣かないで。名前は?」
フードの子:「な、な、ま、え……」
おねえさん:「うん、ボクのお名前」
フードの子:「う…」
おねえさん:「パニックになっちゃったかな?じゃあ、さっきまで誰と一緒にいたの?」
フードの子:「……え、あ、えと…?…お、おにい、ちゃん?」
おねえさん:「そっか、お兄ちゃんか。じゃあ、お兄ちゃんの名前は?」
フードの子:「…」
おねえさん:「…?」
フードの子:「うぅ…ひっく、ぐす…おうちにもう帰れない…?」
おねえさん:「よしよし、大丈夫だから、ね?このあたりではぐれたんだよね。」
フードの子:「うん」
おねえさん:「なら、お兄ちゃんもきっと戻ってくると思うよ。一緒に待っててあげるからここにいよ?
おねえさん:あ!あそこに駄菓子屋さんがあるからなんか買ってあげるよ。」
フードの子:「…うん」
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おねえさん:「ラムネでよかったんだよね?」
フードの子:「…ありがとう…」
0:ラムネの玉を押し込もうとするがあけられない
フードの子:「うぐ…あかない…んぅ…あけてぇ」
おねえさん:「あいあい」
0:ラムネの玉を押し込む、中からラムネがこぼれる
おねえさん:「よし、あいたよ、ほい」
フードの子:「ありがと…」
おねえさん:「瓶のラムネなんて懐かしいなぁ。ラムネ好きなの?」
フードの子:「…うん」
おねえさん:「そっか」
フードの子:「…」
おねえさん:「桜、きれいだね」
フードの子:「…うん」
おねえさん:「ちょっとは落ち着いた?」
フードの子:「…もう二度と帰れないかもしれない」
おねえさん:「そんなことないよっ!大丈夫!
おねえさん:もしも、もしもよ?戻ってこなかったら、私が一緒にお兄ちゃんを探すから!ね?」
フードの子:「それでも、見つからなかったら?」
おねえさん:「見つかるよ、ちゃんと帰れる。絶対に見つけてあげる」
フードの子:「うん」
おねえさん:「よしっ!」
フードの子:「…おねえさんは?」
おねえさん:「え?」
フードの子:「好き?ラムネ…」
おねえさん:「あぁ、ラムネの話か。うん、好き、だったよ」
フードの子:「だった?今は?」
おねえさん:「んー、最近飲んでないからなぁ。…忘れちゃったっ!」
フードの子:「好きかどうかを?」
おねえさん:「うん」
フードの子:「ちょっと飲む?」
おねえさん:「へ?」
フードの子:「飲んだら今も好きかわかるかも」
おねえさん:「…ううん、いいや」
フードの子:「んっ(瓶を差し出す)」
おねえさん:「…じゃあ、ちょっとだけ貰おっかな!ありがと…(ラムネを飲む)」
フードの子:「今も好きだった?」
おねえさん:「うん、好きだった」
フードの子:「よかった!」
男の子:「ここにいたのか」
フードの子:「!…あぁ、うぁぁぁぁぁぁぁああん!」
男の子:「おっと、心配したんだよ」
おねえさん:「あ、もしかして、この子のお兄ちゃん…?」
男の子:「おにい、ちゃん……あぁ…そうだよ」
おねえさん:「そっか、よかったね」
フードの子:「うん。おねえさん、ありがと」
男の子:「ありがとうございました。」
おねえさん:「いえいえ!」
男の子:「あれ?それは…」
フードの子:「ラムネ!買ってもらったの!飲む?」
男の子:「そうか、ラムネ…というのか。ちゃんとお礼を言いなよ」
フードの子:「うん、ありがとうございました」
男の子:「あの、ラムネ?のお代を…」
おねえさん:「あぁ、いいよ、そんな」
男の子:「すみません、ありがとうございます」
フードの子:「ねえ、飲む?」
男の子:「初めて見た。美味しいの?」
おねえさん:「飲んだことないの?」
男の子:「うん、あんまりこっちのほうは来ないから。」
おねえさん:「?あぁ…瓶じゃなくてペットボトルとかでよく売ってるからね」
フードの子:「シュワっとしてて美味しいよ。ひとくちどうぞ!」
男の子:「(ラムネを飲む)…ぷはぁ。これ、美味しいね!」
フードの子:「そうでしょ!」
おねえさん:「ほんとに初めてだったんだ」
男の子:「うん」
0:フードの子、ラムネの蓋をあけようとする
フードの子:「ぐぎぎぎぎぎぎぎ…とれないぃ…ねぇ、中の玉とれないぃ」
おねえさん:「んー?どれどれ?貸してみ?…ん、とれた。はい」
フードの子:「わぁ、ありがとう!」
おねえさん:「…懐かしいなぁ」
男の子:「え、なぁに?」
おねえさん:「いや…なんだか思い出しちゃって。弟もラムネ好きだったなぁって」
フードの子:「僕と一緒だ!」
おねえさん:「そう、しかも、弟も中のビー玉を取り出したいって大騒ぎしてたなぁって」
フードの子:「それは僕とは違う!僕は大騒ぎしてないもん!」
おねえさん:「(笑う)そうかなぁ?…さて、じゃあ、私はそろそろ帰るね」
フードの子:「え…ダメぇ」
おねえさん:「ボクたちもそろそろ帰りなよ」
フードの子:「やだぁ!一緒に遊ぼ!
フードの子:そうだ!一番綺麗で大きな花びらを地面に落とさずにとれたら勝ちね!」
おねえさん:「(笑う)勝ちってなに?もう、しょうがないなぁ。ちょっとだけだよ」
0:落ちてくる花びらを追いかけるー
フードの子:「よっ!ほっ!(落ちてくる花びらを追いかける)」
おねえさん:「あっ、これなんかどう?」
フードの子:「だめ!綺麗じゃないもん。ここが枯れてる!」
おねえさん:「えー厳しいなぁ」
男の子:「それならこれは?」
フードの子:「わぁっ!どうしてこんなにとれたの」
男の子:「もっと静かにすくわないと飛んでっちゃうよ?」
おねえさん:「 (笑う)ほらほら、そっちにいったよ」
フードの子:「え!待って!」
おねえさん:「そういえば、君は結構しっかりしてるね」
男の子:「そんなこともないよ。あの子のほうがこっちのことはよく知ってるんだ。
男の子:いつも教えてもらってばかりだよ」
おねえさん:「こっち?そうなの?意外だね」
男の子:「うん、それに、僕はさみしがり屋だからね。」
おねえさん:「ふーん、もっと意外な一面だね」
男の子:「だから、いつも一緒にいてくれるあの子には感謝してるんだ」
おねえさん:「そうなんだ」
男の子:「迷子になってたあの子を見といてくれて、ありがとう。おかげでまた一緒に帰れるよ。」
おねえさん:「…」
男の子:「…あれ、おねえさん。どうしてそんなつらそうな顔?」
おねえさん:「ううん。…なんでもない!うん、ほんとよかったよ!今度ははぐれないといいね。」
男の子:「あの調子だとまたすぐに迷子になりそうだよ」
おねえさん:「(笑う)なら、もう離れないように手を繋いどく、とか?」
男の子:「そうだね。もう、離さないように…」
フードの子:「何話してるのー?」
男の子:「なんでもないよ」
フードの子:「えー!教えてよー!」
男の子:「それより、綺麗で大きな花びらはとれた?」
フードの子:「うん!教えてもらったコツで、ほら!」
おねえさん:「おお!本当だ!綺麗だね!…よし、じゃあ、そろそろ帰ろうかな」
フードの子:「えー!」
おねえさん:「(笑う)これじゃ、いつまでたっても帰れないでしょ」
男の子:「そうだね。ところで、おねえさんは帰れるの?」
おねえさん:「え?どういうこと?ここは近所だよ?…えっ」
フードの子:「どうしたの?」
おねえさん:「…え?あれ、だってさっきまで、普通に家の近くで…」
フードの子:「おねえさん?」
おねえさん:「そ、そんなどうして、ここは、どこ…」
男の子:「迷い込んじゃったんだね。なら、一緒に行こうか」
おねえさん:「…ありがとう。…な、なんか恥ずかしいな。自分も迷子になるなんて」
男の子:「大丈夫、歩いていれば出れると思う。」
おねえさん:「出れる?」
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フードの子:「どこまで行っても桜ばっかり…」
おねえさん:「景色が変わらない」
男の子:「…おかしい。そろそろ見知ったところに出てもいいはずなのに…本当に周りの景色に見覚えはない?」
おねえさん:「うん、ないかな」
フードの子:「おねえさん…帰れない…?」
男の子:「うーん。ねぇ、ここに来てから、何したか覚えてる?」
おねえさん:「特に何かした覚えもないけど…」
男の子:「でもここまで帰れないのはおかしい。なにかルールを破ったとしか。……っ!何か口にした?」
おねえさん:「え…」
男の子:「何か食べ物を食べたり、飲んだりした?」
おねえさん:「え、いや特に…」
フードの子:「ラムネを一緒に飲んだよ!」
男の子:「そうか、ラムネか…!」
おねえさん:「?」
男の子:「ここはね、境界なんだ。こっちの世界とおねえさんたち、人間の世界の。
男の子:そして、ここでの食べ物や飲み物を口にしたら帰れなくなっちゃうんだ。」
おねえさん:「どういうこと?きょう、か、い…?」
男の子:「ここを知らずに、迷い込んだ人間が、ここのものを口にしてしまった」
おねえさん:「そ、それに、ラムネだって駄菓子屋さんで買ったものだし」
フードの子:「ここは人間界とこっちの世界のものがごっちゃになって売ってたりするんだよ」
男の子:「思い出してみて。ラムネは本当はここで買ったものじゃない?
男の子:おねえさんの家の近くにその駄菓子屋さんは本当にあった?」
おねえさん:「そ、それは……ない、…なかった。あの店は初めて、みた…」
男の子:「やっぱり」
おねえさん:「ど、どうしたら…私、もう、帰れない…?」
フードの子:「ね、ねぇ。なんとかならないの?」
男の子:「大丈夫。おねえさんには、この子がお世話になったから、絶対帰してあげるよ。
男の子:でも、ここから、帰るのには決まりがあるんだ。おねえさんは今、何か大事なものを持ってる?」
おねえさん:「大事なもの?」
男の子:「長年身につけているもの、もしくは肌身離さず持っているものとかってある?そして、思い入れが深いもの」
おねえさん:「そんなもの都合よく持ってるかな…」
男の子:「いいや、持っているはずだよ、思い出してみて」
おねえさん:「え」
男の子:「とても小さいけどいつも手放せないものが」
おねえさん:「あ、これのこと?…」
フードの子:「あ!ビー玉だ!」
おねえさん:「うん、小さい頃ね、貰ったやつ」
フードの子:「よくわかったね!」
男の子:「うん、なにかはわからなかったけど、そんな気がして」
フードの子:「すごーい!」
男の子:「それにきいてみよう」
おねえさん:「きく?」
男の子:「全てのものに宿る魂よ。主(あるじ)の帰り道を示せ」
0:男の子がビー玉に手をかざして唱えた途端、ビー玉が光るー
おねえさん:「…な、何を?…ビー玉が光った?」
男の子:「…これで大丈夫。これを持って歩き出せば、足が自然と帰り道に向かうから。
男の子:あ、でも、見たことがあるところに出るまでは
男の子:誰に呼び止められたとしても返事をしたらだめだよ。
男の子:あと、もしもおねえさんを呼ぶ声がしたとしても、声のするほうを見てはいけないよ、決してね」
おねえさん:「それを破ったらどうなっちゃうの」
男の子:「しーっ…絶対に破ったらダメだよ?」
おねえさん:「…分かった」
男の子:「僕たちはおねえさんを送ってあげられないけど大丈夫そう?」
おねえさん:「うん、不安だけど」
男の子:「それとも僕らと一緒に帰る?」
おねえさん:「え」
男の子:「ふふふっ、なんでもない。じゃあね。」
フードの子:「バイバイおねえさん」
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おねえさん:「こんな適当に歩いてていいのかな」
男の子:??「…モウイイカイ」
おねえさん:「?!」
フードの子:??「ネェ、アソビマショ」
おねえさん:??「アカネちゃーん、ネェ」
おねえさん:(M)私の名前…?う、後ろから聞こえる。
おねえさん:??「アカネちゃん、アカネちゃーん」
おねえさん:(M)なんだか私の声に似てる…?
おねえさん:??「アカネちゃーん、アカネちゃーん…」
フードの子:??「…おねえちゃーん」
おねえさん:「…っ?!こ、この声…まさか…!」
男の子:(M)「絶対」に返事をしてはいけない
おねえさん:「っ…!」
フードの子:??「おねえちゃーん!どこなのー?」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
フードの子:「おねえちゃーん…」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
おねえさん:(M)…だ…これは、私に返事をさせる為の…罠、だ…
フードの子:??「おねえちゃん…どうして…。」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
フードの子:??「…どうして、いなくなったの…?」
おねえさん:っ!
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おねえさん:(M)気が付けば、声はやんでいて、そこはいつもの帰り道だった
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男の子:「今日は楽しかった?」
フードの子:「うん!…でも、」
男の子:「でも?」
フードの子:「おねえさん、ちゃんと帰れたかな…」
男の子:「きっと大丈夫だよ」
フードの子:「そうだよね!僕、あのおねえさん好き!」
男の子:「そうだね。あ、そうだ、あの話だけど」
フードの子:「?」
男の子:「僕は君と一緒にいたくて一緒にいるんだ。
男の子:例え君がこっちの子じゃないとしても…それでも一緒にいたいんだ。それじゃ、だめかな?」
フードの子:「!…ううん」
男の子:「それでも不安?」
フードの子:「ううん!」
男の子:「ふふっ」
フードの子:「よかった…もう、一緒にいられないかと思った」
男の子:「そんなことしないよ。ずっと一緒だよ」
フードの子:「あ、そうだ!これ、あげる」
男の子:「さっきのラムネに入ってた玉?」
フードの子:「うん!お揃いだね!ほら、これ、僕がもともと、もってるやつ。
フードの子:前にも、一緒に飲んで、お揃いでって、…あれ?」
男の子:「…持ってないよ」
フードの子:「そ、うだよね。今日初めてラムネ飲んだんだもんね。
フードの子:…じゃあ、誰と飲んだんだっけ?誰にあけてもらった?」
男の子:「やっぱり、か。」
フードの子:「?」
男の子:「(呟くように)あの時、1人だけだと思ってたんだけど…君たちには悪いことをしちゃったな。」
フードの子:「?なにを言ってるの?1人じゃないでしょ!僕たちずっと2人だったでしょ?」
男の子:「…あぁ、そうだね。ずっと2人だったね。」
フードの子:「……どうしたの?」
男の子:「…ねぇ、これからは3人で、ずっと一緒に暮らそうか。」
フードの子:「え?3人?誰か増えるの?」
男の子:「あぁ。これから、迎えにいこうと思うんだ。一緒にくるでしょ?」
フードの子:「うん!どこいくの?」
男の子:「ふふっ」
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男の子:(M)我々は人間の道理なんかで動いていない。
男の子:そう、酷く理不尽なんだ。
男の子:君たちの倫理観で縛られたりもしない。
男の子:ただ、君たちが気に入ったんだ。君たち姉弟が。
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おねえさん:(M)ずっとふたり一緒だった。
おねえさん:いつも後ろをくっついて離れようとしなかった。なのに…
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フードの子:(M)あの子は僕と君は同じなんだよって言ってくれたけど
フードの子:僕はなんだか違う気がするんだ
フードの子:僕はあの子とは違うかもしれない…
フードの子:あの時だってなんて説明したらいいかわかんなかった
フードの子:お兄ちゃんっていうほかなかった
フードの子:あの子とは気づいたらずっと一緒だったけど
フードの子:いつから一緒だったっけ?
フードの子:自分の名前…名前、なんて、もう、わからないよ…
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男の子:「どうしたの?ひとりなの?」
フードの子:「う、あ、ひっく……みんな、いなくなっちゃった…」
男の子:「どうして」
フードの子:「みんな、僕のこと嫌いなんだ」
男の子:「なんでそんなことを?」
フードの子:「僕の目がみんなと違う、から。誰にも似てないんだ。誰にも似てなくて赤いから。
フードの子:だから、だから、気味が悪い。いなくなれって」
男の子:「本当だ、綺麗な赤い瞳だね」
フードの子:「え?きれい…?」
男の子:「うん、綺麗だよ。」
フードの子:「一緒だ。(呟くように)…ちゃんだけは僕の目のこと…僕の味方だった、のに…」
男の子:「え?」
フードの子:「(泣く)」
男の子:「…もしかしたら、君はこっち側の子なのかもしれないね」
フードの子:「こっち側?」
男の子:「そう、本当の君のお父さんとお母さんは違う人なんじゃないかな」
フードの子:「本当のお父さんとお母さん…?」
男の子:「君の帰る場所はそこじゃないんだ。きっと」
フードの子:「帰る場所…」
男の子:「…一緒に帰ろうか」
フードの子:「………うん」
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フードの子:(M)それでも、あの子は僕と一緒にいたいって言ってくれた。
フードの子:これでいいんだ…うん、きっとそうだ
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男の子:(M)いつもひとりだった。だから、ひとりぼっちがさみしいなんてことも知らなかった。
男の子:あの子に出会うまでは。
男の子:あの時だってわかっていた。ただのひとの子だって。
男の子:でも、一度一緒にいるのが当たり前になるともう戻れない。
男の子:もう、ひとりぼっちには戻れない。
男の子:
男の子:あの子と出会わなければ、あの時、一緒に帰ろうか、なんて言わなければ
男の子:こんな人間のような気持ちを味わうこともなかったのに。
男の子:もうあの子を手放すことはできない。できないなら…
男の子:彼女が首を振ったとしても連れていこう
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おねえさん:(M)あの子達はきっと、人間じゃなかった。
おねえさん:それでも…もしも、また、会えたなら
おねえさん:また遊ぼうって言われたら…頷いてしまうかもしれない
おねえさん:もう1人ぼっちで置いていかれるのは…耐えられそうにないから
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男の子:(M)だから、今から迎えにいくよ。
男の子:「…一緒に帰ろう。」
おねえさん:女声。面倒見のいい、優しいおねえさん。本名はあかねさん。
おねえさん:??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。(役の方はここをタップ)
フードの子:幼い無邪気な男の子。フードを被っているので顔がよく見えない。瞳が赤いらしい。
フードの子:??のセリフもこのキャラクターのままで演じてもらえればと思います。
フードの子:幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。(役の方はここをタップ)
男の子:幼い男の子。フードの男の子と同い年くらいの背丈。お兄ちゃん気質だが、知らないものごとが多い。
男の子:??のセリフもこのキャラクターのまま演じてもらえればいいかと思います。
男の子:幼い男の子を演じられるなら、演者の方の性別は問いません。(役の方はここをタップ)
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0:「迷い子たちは桜の中に」
男の子:「どうしたの、元気ないね」
フードの子:「…なんでもない」
男の子:「なぁに、言ってよ」
フードの子:「…僕は、僕はやっぱり、こっちの子じゃなかったみたい」
男の子:「なんで、急に…」
フードの子:「だって…」
男の子:「ここにいるのは嫌になった?」
フードの子:「そうじゃ…ないけど…っ」
男の子:「…そっか」
フードの子:「…」
男の子:「…今頃はあっちだと桜が綺麗だろうね」
フードの子:「?? えと…」
男の子:「久しぶりに遊びに行こうか」
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フードの子:「…あれ?どこ?…どこに行っちゃったの、ねえ!」
おねえさん:「どうしたの?」
フードの子:「っ?!」
0:男の子慌てて顔を隠すー
おねえさん:「大丈夫だよ。フード被ってるから泣き顔は見えなかったよ?」
フードの子:「な、泣いてないもん」
おねえさん:「そっかそっか、それでどうしたの」
フードの子:「!あ、ぁ、その、い、いなくなっちゃった…」
おねえさん:「迷子?」
フードの子:「あ…う…ひっく…」
おねえさん:「大丈夫だよ、泣かないで。名前は?」
フードの子:「な、な、ま、え……」
おねえさん:「うん、ボクのお名前」
フードの子:「う…」
おねえさん:「パニックになっちゃったかな?じゃあ、さっきまで誰と一緒にいたの?」
フードの子:「……え、あ、えと…?…お、おにい、ちゃん?」
おねえさん:「そっか、お兄ちゃんか。じゃあ、お兄ちゃんの名前は?」
フードの子:「…」
おねえさん:「…?」
フードの子:「うぅ…ひっく、ぐす…おうちにもう帰れない…?」
おねえさん:「よしよし、大丈夫だから、ね?このあたりではぐれたんだよね。」
フードの子:「うん」
おねえさん:「なら、お兄ちゃんもきっと戻ってくると思うよ。一緒に待っててあげるからここにいよ?
おねえさん:あ!あそこに駄菓子屋さんがあるからなんか買ってあげるよ。」
フードの子:「…うん」
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おねえさん:「ラムネでよかったんだよね?」
フードの子:「…ありがとう…」
0:ラムネの玉を押し込もうとするがあけられない
フードの子:「うぐ…あかない…んぅ…あけてぇ」
おねえさん:「あいあい」
0:ラムネの玉を押し込む、中からラムネがこぼれる
おねえさん:「よし、あいたよ、ほい」
フードの子:「ありがと…」
おねえさん:「瓶のラムネなんて懐かしいなぁ。ラムネ好きなの?」
フードの子:「…うん」
おねえさん:「そっか」
フードの子:「…」
おねえさん:「桜、きれいだね」
フードの子:「…うん」
おねえさん:「ちょっとは落ち着いた?」
フードの子:「…もう二度と帰れないかもしれない」
おねえさん:「そんなことないよっ!大丈夫!
おねえさん:もしも、もしもよ?戻ってこなかったら、私が一緒にお兄ちゃんを探すから!ね?」
フードの子:「それでも、見つからなかったら?」
おねえさん:「見つかるよ、ちゃんと帰れる。絶対に見つけてあげる」
フードの子:「うん」
おねえさん:「よしっ!」
フードの子:「…おねえさんは?」
おねえさん:「え?」
フードの子:「好き?ラムネ…」
おねえさん:「あぁ、ラムネの話か。うん、好き、だったよ」
フードの子:「だった?今は?」
おねえさん:「んー、最近飲んでないからなぁ。…忘れちゃったっ!」
フードの子:「好きかどうかを?」
おねえさん:「うん」
フードの子:「ちょっと飲む?」
おねえさん:「へ?」
フードの子:「飲んだら今も好きかわかるかも」
おねえさん:「…ううん、いいや」
フードの子:「んっ(瓶を差し出す)」
おねえさん:「…じゃあ、ちょっとだけ貰おっかな!ありがと…(ラムネを飲む)」
フードの子:「今も好きだった?」
おねえさん:「うん、好きだった」
フードの子:「よかった!」
男の子:「ここにいたのか」
フードの子:「!…あぁ、うぁぁぁぁぁぁぁああん!」
男の子:「おっと、心配したんだよ」
おねえさん:「あ、もしかして、この子のお兄ちゃん…?」
男の子:「おにい、ちゃん……あぁ…そうだよ」
おねえさん:「そっか、よかったね」
フードの子:「うん。おねえさん、ありがと」
男の子:「ありがとうございました。」
おねえさん:「いえいえ!」
男の子:「あれ?それは…」
フードの子:「ラムネ!買ってもらったの!飲む?」
男の子:「そうか、ラムネ…というのか。ちゃんとお礼を言いなよ」
フードの子:「うん、ありがとうございました」
男の子:「あの、ラムネ?のお代を…」
おねえさん:「あぁ、いいよ、そんな」
男の子:「すみません、ありがとうございます」
フードの子:「ねえ、飲む?」
男の子:「初めて見た。美味しいの?」
おねえさん:「飲んだことないの?」
男の子:「うん、あんまりこっちのほうは来ないから。」
おねえさん:「?あぁ…瓶じゃなくてペットボトルとかでよく売ってるからね」
フードの子:「シュワっとしてて美味しいよ。ひとくちどうぞ!」
男の子:「(ラムネを飲む)…ぷはぁ。これ、美味しいね!」
フードの子:「そうでしょ!」
おねえさん:「ほんとに初めてだったんだ」
男の子:「うん」
0:フードの子、ラムネの蓋をあけようとする
フードの子:「ぐぎぎぎぎぎぎぎ…とれないぃ…ねぇ、中の玉とれないぃ」
おねえさん:「んー?どれどれ?貸してみ?…ん、とれた。はい」
フードの子:「わぁ、ありがとう!」
おねえさん:「…懐かしいなぁ」
男の子:「え、なぁに?」
おねえさん:「いや…なんだか思い出しちゃって。弟もラムネ好きだったなぁって」
フードの子:「僕と一緒だ!」
おねえさん:「そう、しかも、弟も中のビー玉を取り出したいって大騒ぎしてたなぁって」
フードの子:「それは僕とは違う!僕は大騒ぎしてないもん!」
おねえさん:「(笑う)そうかなぁ?…さて、じゃあ、私はそろそろ帰るね」
フードの子:「え…ダメぇ」
おねえさん:「ボクたちもそろそろ帰りなよ」
フードの子:「やだぁ!一緒に遊ぼ!
フードの子:そうだ!一番綺麗で大きな花びらを地面に落とさずにとれたら勝ちね!」
おねえさん:「(笑う)勝ちってなに?もう、しょうがないなぁ。ちょっとだけだよ」
0:落ちてくる花びらを追いかけるー
フードの子:「よっ!ほっ!(落ちてくる花びらを追いかける)」
おねえさん:「あっ、これなんかどう?」
フードの子:「だめ!綺麗じゃないもん。ここが枯れてる!」
おねえさん:「えー厳しいなぁ」
男の子:「それならこれは?」
フードの子:「わぁっ!どうしてこんなにとれたの」
男の子:「もっと静かにすくわないと飛んでっちゃうよ?」
おねえさん:「 (笑う)ほらほら、そっちにいったよ」
フードの子:「え!待って!」
おねえさん:「そういえば、君は結構しっかりしてるね」
男の子:「そんなこともないよ。あの子のほうがこっちのことはよく知ってるんだ。
男の子:いつも教えてもらってばかりだよ」
おねえさん:「こっち?そうなの?意外だね」
男の子:「うん、それに、僕はさみしがり屋だからね。」
おねえさん:「ふーん、もっと意外な一面だね」
男の子:「だから、いつも一緒にいてくれるあの子には感謝してるんだ」
おねえさん:「そうなんだ」
男の子:「迷子になってたあの子を見といてくれて、ありがとう。おかげでまた一緒に帰れるよ。」
おねえさん:「…」
男の子:「…あれ、おねえさん。どうしてそんなつらそうな顔?」
おねえさん:「ううん。…なんでもない!うん、ほんとよかったよ!今度ははぐれないといいね。」
男の子:「あの調子だとまたすぐに迷子になりそうだよ」
おねえさん:「(笑う)なら、もう離れないように手を繋いどく、とか?」
男の子:「そうだね。もう、離さないように…」
フードの子:「何話してるのー?」
男の子:「なんでもないよ」
フードの子:「えー!教えてよー!」
男の子:「それより、綺麗で大きな花びらはとれた?」
フードの子:「うん!教えてもらったコツで、ほら!」
おねえさん:「おお!本当だ!綺麗だね!…よし、じゃあ、そろそろ帰ろうかな」
フードの子:「えー!」
おねえさん:「(笑う)これじゃ、いつまでたっても帰れないでしょ」
男の子:「そうだね。ところで、おねえさんは帰れるの?」
おねえさん:「え?どういうこと?ここは近所だよ?…えっ」
フードの子:「どうしたの?」
おねえさん:「…え?あれ、だってさっきまで、普通に家の近くで…」
フードの子:「おねえさん?」
おねえさん:「そ、そんなどうして、ここは、どこ…」
男の子:「迷い込んじゃったんだね。なら、一緒に行こうか」
おねえさん:「…ありがとう。…な、なんか恥ずかしいな。自分も迷子になるなんて」
男の子:「大丈夫、歩いていれば出れると思う。」
おねえさん:「出れる?」
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フードの子:「どこまで行っても桜ばっかり…」
おねえさん:「景色が変わらない」
男の子:「…おかしい。そろそろ見知ったところに出てもいいはずなのに…本当に周りの景色に見覚えはない?」
おねえさん:「うん、ないかな」
フードの子:「おねえさん…帰れない…?」
男の子:「うーん。ねぇ、ここに来てから、何したか覚えてる?」
おねえさん:「特に何かした覚えもないけど…」
男の子:「でもここまで帰れないのはおかしい。なにかルールを破ったとしか。……っ!何か口にした?」
おねえさん:「え…」
男の子:「何か食べ物を食べたり、飲んだりした?」
おねえさん:「え、いや特に…」
フードの子:「ラムネを一緒に飲んだよ!」
男の子:「そうか、ラムネか…!」
おねえさん:「?」
男の子:「ここはね、境界なんだ。こっちの世界とおねえさんたち、人間の世界の。
男の子:そして、ここでの食べ物や飲み物を口にしたら帰れなくなっちゃうんだ。」
おねえさん:「どういうこと?きょう、か、い…?」
男の子:「ここを知らずに、迷い込んだ人間が、ここのものを口にしてしまった」
おねえさん:「そ、それに、ラムネだって駄菓子屋さんで買ったものだし」
フードの子:「ここは人間界とこっちの世界のものがごっちゃになって売ってたりするんだよ」
男の子:「思い出してみて。ラムネは本当はここで買ったものじゃない?
男の子:おねえさんの家の近くにその駄菓子屋さんは本当にあった?」
おねえさん:「そ、それは……ない、…なかった。あの店は初めて、みた…」
男の子:「やっぱり」
おねえさん:「ど、どうしたら…私、もう、帰れない…?」
フードの子:「ね、ねぇ。なんとかならないの?」
男の子:「大丈夫。おねえさんには、この子がお世話になったから、絶対帰してあげるよ。
男の子:でも、ここから、帰るのには決まりがあるんだ。おねえさんは今、何か大事なものを持ってる?」
おねえさん:「大事なもの?」
男の子:「長年身につけているもの、もしくは肌身離さず持っているものとかってある?そして、思い入れが深いもの」
おねえさん:「そんなもの都合よく持ってるかな…」
男の子:「いいや、持っているはずだよ、思い出してみて」
おねえさん:「え」
男の子:「とても小さいけどいつも手放せないものが」
おねえさん:「あ、これのこと?…」
フードの子:「あ!ビー玉だ!」
おねえさん:「うん、小さい頃ね、貰ったやつ」
フードの子:「よくわかったね!」
男の子:「うん、なにかはわからなかったけど、そんな気がして」
フードの子:「すごーい!」
男の子:「それにきいてみよう」
おねえさん:「きく?」
男の子:「全てのものに宿る魂よ。主(あるじ)の帰り道を示せ」
0:男の子がビー玉に手をかざして唱えた途端、ビー玉が光るー
おねえさん:「…な、何を?…ビー玉が光った?」
男の子:「…これで大丈夫。これを持って歩き出せば、足が自然と帰り道に向かうから。
男の子:あ、でも、見たことがあるところに出るまでは
男の子:誰に呼び止められたとしても返事をしたらだめだよ。
男の子:あと、もしもおねえさんを呼ぶ声がしたとしても、声のするほうを見てはいけないよ、決してね」
おねえさん:「それを破ったらどうなっちゃうの」
男の子:「しーっ…絶対に破ったらダメだよ?」
おねえさん:「…分かった」
男の子:「僕たちはおねえさんを送ってあげられないけど大丈夫そう?」
おねえさん:「うん、不安だけど」
男の子:「それとも僕らと一緒に帰る?」
おねえさん:「え」
男の子:「ふふふっ、なんでもない。じゃあね。」
フードの子:「バイバイおねえさん」
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おねえさん:「こんな適当に歩いてていいのかな」
男の子:??「…モウイイカイ」
おねえさん:「?!」
フードの子:??「ネェ、アソビマショ」
おねえさん:??「アカネちゃーん、ネェ」
おねえさん:(M)私の名前…?う、後ろから聞こえる。
おねえさん:??「アカネちゃん、アカネちゃーん」
おねえさん:(M)なんだか私の声に似てる…?
おねえさん:??「アカネちゃーん、アカネちゃーん…」
フードの子:??「…おねえちゃーん」
おねえさん:「…っ?!こ、この声…まさか…!」
男の子:(M)「絶対」に返事をしてはいけない
おねえさん:「っ…!」
フードの子:??「おねえちゃーん!どこなのー?」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
フードの子:「おねえちゃーん…」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
おねえさん:(M)…だ…これは、私に返事をさせる為の…罠、だ…
フードの子:??「おねえちゃん…どうして…。」
おねえさん:(声を押し殺して、荒い息遣い)
フードの子:??「…どうして、いなくなったの…?」
おねえさん:っ!
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おねえさん:(M)気が付けば、声はやんでいて、そこはいつもの帰り道だった
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男の子:「今日は楽しかった?」
フードの子:「うん!…でも、」
男の子:「でも?」
フードの子:「おねえさん、ちゃんと帰れたかな…」
男の子:「きっと大丈夫だよ」
フードの子:「そうだよね!僕、あのおねえさん好き!」
男の子:「そうだね。あ、そうだ、あの話だけど」
フードの子:「?」
男の子:「僕は君と一緒にいたくて一緒にいるんだ。
男の子:例え君がこっちの子じゃないとしても…それでも一緒にいたいんだ。それじゃ、だめかな?」
フードの子:「!…ううん」
男の子:「それでも不安?」
フードの子:「ううん!」
男の子:「ふふっ」
フードの子:「よかった…もう、一緒にいられないかと思った」
男の子:「そんなことしないよ。ずっと一緒だよ」
フードの子:「あ、そうだ!これ、あげる」
男の子:「さっきのラムネに入ってた玉?」
フードの子:「うん!お揃いだね!ほら、これ、僕がもともと、もってるやつ。
フードの子:前にも、一緒に飲んで、お揃いでって、…あれ?」
男の子:「…持ってないよ」
フードの子:「そ、うだよね。今日初めてラムネ飲んだんだもんね。
フードの子:…じゃあ、誰と飲んだんだっけ?誰にあけてもらった?」
男の子:「やっぱり、か。」
フードの子:「?」
男の子:「(呟くように)あの時、1人だけだと思ってたんだけど…君たちには悪いことをしちゃったな。」
フードの子:「?なにを言ってるの?1人じゃないでしょ!僕たちずっと2人だったでしょ?」
男の子:「…あぁ、そうだね。ずっと2人だったね。」
フードの子:「……どうしたの?」
男の子:「…ねぇ、これからは3人で、ずっと一緒に暮らそうか。」
フードの子:「え?3人?誰か増えるの?」
男の子:「あぁ。これから、迎えにいこうと思うんだ。一緒にくるでしょ?」
フードの子:「うん!どこいくの?」
男の子:「ふふっ」
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男の子:(M)我々は人間の道理なんかで動いていない。
男の子:そう、酷く理不尽なんだ。
男の子:君たちの倫理観で縛られたりもしない。
男の子:ただ、君たちが気に入ったんだ。君たち姉弟が。
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おねえさん:(M)ずっとふたり一緒だった。
おねえさん:いつも後ろをくっついて離れようとしなかった。なのに…
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フードの子:(M)あの子は僕と君は同じなんだよって言ってくれたけど
フードの子:僕はなんだか違う気がするんだ
フードの子:僕はあの子とは違うかもしれない…
フードの子:あの時だってなんて説明したらいいかわかんなかった
フードの子:お兄ちゃんっていうほかなかった
フードの子:あの子とは気づいたらずっと一緒だったけど
フードの子:いつから一緒だったっけ?
フードの子:自分の名前…名前、なんて、もう、わからないよ…
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男の子:「どうしたの?ひとりなの?」
フードの子:「う、あ、ひっく……みんな、いなくなっちゃった…」
男の子:「どうして」
フードの子:「みんな、僕のこと嫌いなんだ」
男の子:「なんでそんなことを?」
フードの子:「僕の目がみんなと違う、から。誰にも似てないんだ。誰にも似てなくて赤いから。
フードの子:だから、だから、気味が悪い。いなくなれって」
男の子:「本当だ、綺麗な赤い瞳だね」
フードの子:「え?きれい…?」
男の子:「うん、綺麗だよ。」
フードの子:「一緒だ。(呟くように)…ちゃんだけは僕の目のこと…僕の味方だった、のに…」
男の子:「え?」
フードの子:「(泣く)」
男の子:「…もしかしたら、君はこっち側の子なのかもしれないね」
フードの子:「こっち側?」
男の子:「そう、本当の君のお父さんとお母さんは違う人なんじゃないかな」
フードの子:「本当のお父さんとお母さん…?」
男の子:「君の帰る場所はそこじゃないんだ。きっと」
フードの子:「帰る場所…」
男の子:「…一緒に帰ろうか」
フードの子:「………うん」
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フードの子:(M)それでも、あの子は僕と一緒にいたいって言ってくれた。
フードの子:これでいいんだ…うん、きっとそうだ
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男の子:(M)いつもひとりだった。だから、ひとりぼっちがさみしいなんてことも知らなかった。
男の子:あの子に出会うまでは。
男の子:あの時だってわかっていた。ただのひとの子だって。
男の子:でも、一度一緒にいるのが当たり前になるともう戻れない。
男の子:もう、ひとりぼっちには戻れない。
男の子:
男の子:あの子と出会わなければ、あの時、一緒に帰ろうか、なんて言わなければ
男の子:こんな人間のような気持ちを味わうこともなかったのに。
男の子:もうあの子を手放すことはできない。できないなら…
男の子:彼女が首を振ったとしても連れていこう
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おねえさん:(M)あの子達はきっと、人間じゃなかった。
おねえさん:それでも…もしも、また、会えたなら
おねえさん:また遊ぼうって言われたら…頷いてしまうかもしれない
おねえさん:もう1人ぼっちで置いていかれるのは…耐えられそうにないから
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男の子:(M)だから、今から迎えにいくよ。
男の子:「…一緒に帰ろう。」