台本概要
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タイトル | 【第2話】爆食戦士アクアミート「え?魔法少女失格?」 |
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作者名 | ふらん☆くりん (@Frank_lin01) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) ※兼役あり |
時間 | 60 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
【あらすじ】 ひょんなことから人類を救う魔法少女に選ばれた松嶋 仁美(まつしま ひとみ)。 彼女の活躍によって闇の魔法少女と化した同僚、響子を浄化することには成功したのだったが…。 待望のアクションコメディ第2弾がついにリリース! ※本作は前作【第1話】爆食戦士アクアミート「こんな魔法少女なんて嫌ぁぁ!!」の続編となっております。物語の構成上、続き物となっておりますので、初めて演じる方は第1話から演じていただけると話の内容がより理解できて楽しめるかと思います。 【著作権について】 本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。 また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。 【禁止事項】 ●商業目的での利用 ●台本の無断使用、無断転載、自作発言等 ●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等 【ご利用に際してのお願い】 ●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。 ●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。 ●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。 117 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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仁美 | 女 | 130 | 松嶋 仁美(まつしま ひとみ)35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。第1話で「爆食戦士アクアミート」に選ばれ、悪と戦うことになった。 |
政信 | 男 | 80 | 荒木 政信(あらき まさのぶ)30歳。侵略文明対策組織(しんりゃくぶんめいたいさくそしき)アークに所属する男。第1話で仁美の専属バディとなった。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。 |
華恵 | 女 | 31 | 北条 華恵(ほうじょう はなえ)、侵略文明対策組織(しんりゃくぶんめいたきさくそしき)アークに所属する魔法少女の一人で「獄炎戦士(ごくえんせんし)クリスタルフレア」に変身する。謎の少女、猫型怪人と兼役。 |
謎の少女 | 女 | 15 | ミステリアスな雰囲気を漂わせる少女。 華恵役の方が演じてください。 |
猫型怪人 | 不問 | 14 | 侵略文明対策組織(しんりゃくぶんめいたいさくそしき)アークに設置されている無限戦闘シミュレーターに出てくる敵。愛くるしい姿を振り撒(ま)きつつ隙を見て攻撃を仕掛けてくる。 華恵役の方が演じてください。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
タイトル:【第2話】『爆食戦士アクアミート』「え?魔法少女失格?」
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登場人物:
仁美:*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。第1話で「爆食戦士アクアミート」に選ばれ、悪と戦うことになった。
政信:*荒木 政信《あらき まさのぶ》30歳。*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する男。第1話で仁美の専属バディとなった。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。
華恵:*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたきさくそしき》アークに所属する魔法少女の一人で「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」に変身する。謎の少女、猫型怪人と兼役。
謎の少女:ミステリアスな雰囲気を漂わせる少女。華恵役の方が演じてください。
猫型怪人:*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに設置されている無限戦闘シミュレーターに出てくる敵。愛くるしい姿を振り*撒《ま》きつつ隙を見て攻撃を仕掛けてくる。華恵役の方が演じてください。
:(M)はモロノーグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。
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本編:
政信:前回までのあらすじ…おい、*仁美《ひとみ》、出番だぞ!
仁美:え?私聞いてないんだけど!やるの?そんなテレビ番組みたいなこと?
政信:何を言う…当たり前じゃないか。いいか仁美、第2話から聴きに来てくれた視聴者さんもいるんだぞ。
仁美:そ、そりゃまあそうでしょうけどさ…。
政信:ファンサービスは何より大事だ。これで打ち切りになったらどうするんだ?
仁美:打ち切りあるんだ…これ。
政信:ということで、あらすじ行ってみようか!
仁美:じゃあ…。コホン…前回までのあらすじ、「この世は空前の魔法少女ブーム!誰もが変身出来るこの時代に地球侵略を*企《たくら》む侵略者の手によって闇の変身アイテムがばら*撒《ま》かれてしまった。ひょんなことからそれを手に入れた同僚の響子が闇の魔法少女に変身し、私は命を奪われそうになる。そんな時、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークの荒木と名乗る人物に助け出された私は、彼から魔法少女に変身して人類を救ってくれと頼まれ引き受けることになったのだが…予想の斜め上を行く魔法少女らしからぬコスチュームと超絶恥ずかしい変身シーンに必死に耐えながらも何とか響子の闇を浄化することに成功したのだった。」…こんな感じで良いかしら?
政信:〈拍手〉凄いじゃないか!流石は仁美…いや、俺が見込んだ魔法少女だけのことはある!てことで、今回もバッチリ行ってみようか!
仁美:え?これ以上何をやれと?
政信:ほら、タイトルコールだよ、タイトルコール!
仁美:え…タイトルコール?まさかあれ、やるの?
政信:ほら、さっき裏で打ち合わせしただろ?あんまり*尺《しゃく》ないんだから文句言わずにやる!
仁美:*尺《しゃく》とか言うな!…分かったわよ!じゃ…じゃあ行くわよ。
仁美:〈元気で明るく〉「それじゃあ爆食戦士アクアミート第2話!はっじまっるよー!!今回も、あなたの全て、食べちゃうぞ♡」…もうヤダ、死にたい。
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:〈とあるビルの屋上〉
謎の少女:爆食戦士アクアミート…これが新しく魔法少女に選ばれた戦士だと?認めない…私は絶対に認めないわ!
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:〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク本部〉
仁美:もう!何なのよ?人がのんびり休みを満喫していたってのに。
政信:仁美、今日ここへ君を呼び出したのは他でもない。特訓だ!
仁美:は?特訓?せっかくの休みに呼び出されたかと思えば特訓?何で私がそんな物を受けなきゃならないのよ?
政信:前回の戦闘では確かに君は魔導戦士ミスティブラックに勝利し、その闇を浄化することに成功した。だが、君があの時勝てたのはほんの偶然に過ぎない。今度同じようなことがあった時、君はまた倒せるのか?
仁美:そ、それは…分からないけど。
政信:だからこそだ!君には我々が用意した特別な訓練を受けてもらう。
仁美:訓練?それは一体?
政信:今の君に圧倒的に足りないのは敵に対する非情さだ。
仁美:非情さ?
政信:そうだ。あの時、第二形態になった同僚を前にしてその圧倒的な力に殺されそうになりながらも君は最後まで「ラブリーミートハンマー」で直接敵に攻撃を仕掛けることを*躊躇《ためら》っていた。それは何故だ?
仁美:当たり前でしょ?前にも言ったけど、あんな超大型格闘兵器で直接殴ったりしたらそれこそ闇を浄化する前に大事な響子が潰されちゃってたかもしれないじゃない!
政信:じゃあもし相手がメテオバーストを撃たずに直接攻撃のみで襲って来ていたら、君はただ黙って殴り殺されていたのか?
仁美:そ、それは…。
政信:そうだろう?だからこそ、君にはこの訓練を通して強くなってもらいたいんだ。人として、そして一人の戦士としてな。それに何より君には魔法少女として人類を守るという使命があるのだから。
仁美:(何かすごいそれっぽいこと言ってるけど、アンタが私にやらせてることって相当ぶっ飛んでることなんだからな!)…わ、分かったわ。それで、その訓練っていうのは何なのよ。
政信:それは変身してから説明する。
仁美:え?ここで?
政信:何か問題でも?
仁美:こんなに大勢の職員の方が見ている前で?
政信:ああ、そうだが?
仁美:い、嫌よ!恥ず過ぎんでしょ!ちょっと更衣室貸して!チャチャッと行って変身して来るから。
政信:君は!目の前で大勢の市民が今まさに命を奪われようとしている時に「恥ずかしいからちょっと更衣室に行って来る」などというセリフが言えるのか?
仁美:あのさ、いちいち深刻そうなシチュエーションを持ち出してジリジリ追い込んで来るのやめてくんない?アンタどうせただ目の前で見たいだけでしょーが!
政信:ああ、その通りだ。
仁美:正直者か!…はぁ…〈溜息〉分かったわよ。変身すりゃ良いんでしょ、変身すれば!
政信:うむ。分かればよろしい。
仁美:ぐっ…何かムカつく。じゃあ行くわよ!『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』…どう?これで満足?
政信:ふむ…今の変身シーンについては15点といった所だな。
仁美:じゅ!15点!どこがよ!ちゃんと変身したじゃない!
政信:確かに変身はした。だが、まだ変身に対しての恥じらいが捨て切れていない。
仁美:当たり前でしょーが!あんなもん何の恥じらいもなくノリノリでやれる方がどうかしてるわよ!
政信:だが、君も魔法少女になった以上はやってもらわなくては困る。今の仁美は変身することも戦うことも全てにおいて迷いだらけだ。そんなんじゃ誰も助けらんねーし、最悪…死ぬぜ。
仁美:じゃあもっとノリノリで戦えるようなもん用意しなさいよ!
政信:仕方ないだろ!それしか残ってなかったんだから!…あっ…やべ。
仁美:へぇ…今何と?
政信:あ、あのいや…これは。
仁美:あら?聞き間違いかしら?私には「これしか残ってなかった」っていうふうに聞こえたんだけど?
政信:ち、違うんだ仁美…よく聞いてくれ…。
仁美:ほほう…良い機会だからその辺のことについて*政信殿《まさのぶどの》の口から納得のいく御説明をじっくりと聞かせていただこうじゃないの。
政信:はぁ〈溜息〉…仕方ない。本来であればこれは極秘事項なんだが、やむを得ん。いいか仁美、よく聞くんだ。元々うちの組織には5つの変身アイテムがあるんだ。
仁美:5つ?…てことは私の他にも魔法少女が4人存在するってこと?
政信:そうだ。一つ目は炎の化身を身に*纏《まと》って戦う「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」、二つ目は水の精霊を身に*纏《まと》って戦う「*激流戦士《げきりゅうせんし》ピュアリーウォーター」、三つ目は大地の力を身に*纏《まと》って戦う「*剛鉄戦士《ごうてつせんし》バーストアース」、四つ目は雷の神を身に*纏《まと》って戦う「*轟雷戦士《ごうらいせんし》プリズムサンダー」、そして最後の五つ目が生きとし生ける全ての命に感謝して戦う「爆食戦士アクアミート」だ。これら全ての魔法少女の力が集結すればどんな敵であろうが必ず倒せるはずだ。
仁美:ん?ちょっと待って?私のだけ何か違う…。
政信:何が違うと言うんだ?
仁美:だって、他の四つは「〇〇を*纏《まと》って戦う」ってあるのに、私のだけ「生きとし生けるものに感謝」って何?
政信:君は知らないのか?感謝することで食材となった全ての命の恩恵を受けられるんだぞ。
仁美:いや…そういう問題じゃなくてさ、そもそも戦士として…
政信:〈被せて〉それに他の四つは一種類の力を身に*纏《まと》うスタイルだが、アクアミートだけは*数多《あまた》の命を力に出来る。これほど無敵な戦士は他にはいないぞ。
仁美:じゃあ何で売れなかったのよ。そんなに凄い魔法少女になれるんなら、みんな真っ先になりたがるんじゃないの?
政信:そこはほら…*映《ば》えがさ…。
仁美:あー分かるわぁ。普通に考えたら私でも他のやつ選ぶもん。
政信:大体世の中の女子は何も分かってないんだよ!やれプリティだのチャーミングだの、そんなもんは戦いには関係ない!全ては*殺《や》るか*殺《や》られるかの二つに一つ。人類が侵略者の手に奪われるかもしれないって時にどいつもこいつも何を*悠長《ゆうちょう》なことを!まあ結局は俺がどんなに必死で訴えても誰も理解しないんだろうがな!
仁美:(え?まさかの逆ギレ?ただ乙女心が分かってなかっただけでしょーが。)まあでもさっきのアンタの説明でこれがどれほど凄い物かってことと、今がどれだけやばい状況かってことは理解できたわ。
政信:え…?分かって…くれるのか?
仁美:ええ。それと、政信が人類の未来を本気で*憂《うれ》いているってこともね。
政信:う…うう。仁美、本当にありがとう!俺は君を選んで本当に良かった。〈感動で泣きじゃくる〉
仁美:だからもう泣かないで。 私もちょっと言い過ぎたわ。確かにあなたの言う通り魔法少女としての認識と覚悟が足りなかったわ。ごめんなさい…。
政信:よし!そうと分かれば早速特訓と行こうか!
仁美:立ち直り早っ!一瞬でもしんみりした私の時間を返しなさいよ!で?結局何をしたら良いの?
政信:仁美がやることは二つ。一つは変身と解除を一日30セット。そして変身した状態でこの無限戦闘シミュレーターに入ってもらい、力尽きるまで仮想の敵と戦い続けてもらう。
仁美:え?力尽きるまで?それって死んじゃうまでやれってこと?
政信:心配するな。あくまで仮想シミュレーターだ。本当に死ぬわけじゃない。
仁美:ほっ…なら安心ね。
政信:ちょっと気絶するだけだ。
仁美:おい!
政信:じゃあ早速特訓開始だ!
仁美:(M)こうして真の魔法少女になるべく地獄の特訓が始まった。変身自体は何度も続けているうちに徐々に恥ずかしさも感じなくなっていった。ただ問題は…。
:
:〈30分後〉
政信:良いぞ仁美。だいぶ変身にも慣れてきたな。
仁美:ええ。おかげ様で恥ずかしさを感じなくなってきたわ。人間慣れって怖いのね。さて、あと少しだわ!
政信:29、30…よし!今日のノルマ達成だ。
仁美:ふぅ…流石に疲れたわね。
政信:じゃあ1時間の休憩を挟んで次はシミュレーター訓練に入ってもらう。
仁美:分かったわ。
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:〈1時間後〉
政信:じゃあいよいよシミュレーター訓練だ。まずはさっきのおさらいも兼ねて変身してくれ。
仁美:分かったわ。『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』
政信:良い感じだ。じゃあこの無限戦闘シミュレーターについて説明する。これはラブリーミートハンマーを出した状態で、無限に出てくる敵を倒し続けてもらう。なるべく多くの敵を長時間倒し続けられるよう頑張ってくれ。
仁美:ふーん…まるでモグラ叩きみたいね。
政信:まあそんなもんだと思ってもらって構わない。ただ油断するなよ。敵は相当手強いからな。
仁美:分かったわ。(まあこれなら案外楽勝かもね。)
政信:じゃあ行くぞ!転送開始!〈シミュレーターに転送される〉
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:〈無限戦闘シミュレーター内部〉
仁美:さてと、*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!〈巨大なボンレスハム型ハンマーが現れる〉
仁美:こっちは準備OKよ!いつでも始められるわ!
政信:では訓練を開始する!シミュレーター訓練スタート!
仁美:さあ、どっからでもかかってきなさい!
:〈キュートな猫型怪人が現れる〉
仁美:え?何この愛くるしい猫型怪人は…まさかこれをやれと?
政信:仁美!迷っていたらやられるぞ!
仁美:え…でも。こんな可愛い子を叩き潰すなんて出来ないわ。
政信:仁美、相手は敵だぞ。容赦するな!
仁美:そんなこと言われたって。くっ…これは訓練、これは訓練…ぎ、『ギガンティック・ミート…』
猫型怪人:キシャアアア!!〈*鉤爪攻撃《かぎづめこうげき》〉
仁美:ぐああ!!〈攻撃を受ける〉
政信:非情になるんだ。仁美。
仁美:ぐっ…つ、強い。
猫型怪人:ゴロにゃーん〈甘えて見せる〉
仁美:か!可愛い♡よーしよしよし。何もしないからね~。〈近づいてあやそうとする〉
猫型怪人:ギニャアアア!!〈強烈キック〉
仁美:きゃあああ!!〈敵の攻撃に吹き飛ぶ〉
猫型怪人:にゃふふ…〈不敵な笑みで*煽《あお》る〉
仁美:ぐはっ…こんなのどうやって…
政信:仁美、乗り越えるんだ、この巨大な壁を。そしてより強くなれ!
仁美:はぁ…はぁ…。
猫型怪人:ゴロにゃーご♡〈お腹を見せて甘える〉
仁美:わ、私は…
猫型怪人:にゃおーん〈猫なで声で甘える〉
仁美:私は…人類を守らなきゃ…でも…
猫型怪人:はにゃーん〈余裕の表情でニヤつく〉
仁美:や、やっぱりダメ…
猫型怪人:ニャーガァァー!〈強烈なパンチ〉
仁美:ぐあああ!!〈敵の攻撃をまともに受ける〉
政信:(やはり…まだダメだったか。)
猫型怪人:フニャハハ!!
仁美:がはっ…(これ以上の攻撃を受けたらもう…)
猫型怪人:にゃお〜ん♡〈地面を転がり遊び出す〉
仁美:(やばい…目が*霞《かす》んできた。あれは…猫…?やだ…美味しそう…)ぐっ…はぁ…はぁ…。〈何とか立ち上がる〉
猫型怪人:ゴロにゃーん♡♡〈最大級の甘えを見せてくる〉
仁美:ねぇ…あなたを…食べさせて♡〈虚ろな目でフラフラと近付いて行く〉
猫型怪人:ニャ!?
仁美:はああああ!『ギガンティック・ミートクラッシャー』!!!
猫型怪人:グギャアア!!〈一瞬で消し飛ぶ〉
仁美:うふふふ♡…次はどの獲物を食べようかし…ら…〈力尽きる〉
:
:〈救護室〉
仁美:あれ…?ここは?
政信:仁美!大丈夫か?
仁美:私…そう言えば敵と交戦中だったはずじゃ?
政信:ああ、その通りだ。
仁美:うう…やっぱり私ってまだまだよね…。あんな猫型怪人一体も倒せないなんて。
政信:いや、むしろ凄いと思うぞ。
仁美:え?
政信:これを見るんだ。〈映像を見せる〉
仁美:これって…本当に私?
政信:そうだ。君はあの極限の中でアクアミートの特殊形態「イーターモード」を発動し、一瞬で敵を粉砕したんだ。
仁美:イーターモード?
政信:イーターモードはアクアミートが極限状態を迎え、ある条件を満たした場合にのみ発動する特殊モードで、その条件とは相手を捕食対象として認識することだ。
仁美:ほ、捕食対象?
政信:よく思い返してみるんだ。君があの瞬間敵に対して何を考えていたかを。
仁美:あの時私は…薄れゆく意識の中でボーッと目の前で甘える猫を見てたら「ああ…美味しそう」って…はっ!まさか!
政信:そう!このモードは対象を「エサ」と認識した時にのみ発動するんだ。
仁美:はい?
政信:ああ!まさか初めての訓練でイーターモードを見られるなんて、俺はなんてラッキーなんだ!
仁美:あ、あの!ちょっと待ってよ。
政信:ん?何だ?
仁美:それってつまり相手を「食べたい」って思わない限り発動しないってことじゃないの!
政信:その通りだが。
仁美:いつ使うのよそんなもん!百歩譲って今回のような動物型の敵ならまだしも、前回のような魔法少女が相手の場合、絶対発動しないじゃない。
政信:そうとも限らんぞ。
仁美:え?どゆこと。
政信:まあ何だ…言葉には色んな意味があるからな。
仁美:あの…それってもしかして…。
政信:ま、君が敵に対してどういう感情を抱くかはその時の仁美次第だ。日頃から感情のコントロール方法も磨いておくといい。
仁美:ちょ!それってどういう意味よ!
政信:あ、そうそう。ちなみにイーターモードになった時のアクアミートは対象に対する一切の容赦はなくなり完全に相手を消し去るか浄化するまで攻撃を止めることはない。まあその分発動後の体力と精神力の消耗は激しいから使い所はちゃんと見極めるんだぞ。
仁美:見極めるって…んなもんできるか!
政信:とにかく訓練あるのみだ。もちろんイーターモードだけで全ての敵を倒せるわけじゃない。それにリスクもデカいしな。でも今回に限っては偶然とは言え君はイーターモードを発動し敵を倒すことに成功した。そこは誇って良いんだぞ。
仁美:あ、ありがとう。
政信:じゃあ今日の訓練はこれで終わりだ。帰ってゆっくり休んでくれ。あ、それから今後は仕事及び敵と交戦中の時以外はここで訓練を受けてもらうことになるからそこんとこよろしく。
仁美:ちょ!それって休みなしってこと?
政信:仁美、辛いのは分かるが最初だけだ。そのうちそれが当たり前になる。とにかくもっと強くなるんだ。君にはその素質がある!じゃあな!
仁美:アンタは鬼か!(はぁ…私の人生終わった…)
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:〈仁美の自宅前〉
仁美:はぁ…〈溜息〉マジで疲れたぁ…。あんな厳しい訓練がこれからも続くのかと思うとウンザリだわ。
仁美:〈ポストの中を見る〉…ん?手紙?誰からだろう?まあいいや、とりあえずシャワー浴びたい。
仁美:(M)その時の私は訓練による疲れのせいで自分宛に届いた手紙のことなど気にも留めていなかった。
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:〈数分後〉
仁美:はー!サッパリしたぁ!やっぱり運動後のシャワーは最高よね!〈テーブルの上の手紙の存在に気付く〉
仁美:あ、そうそう。何か手紙来てたんだっけ?えーっと…なになに?
謎の少女:はじめまして。*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》さん、いえ、爆食戦士アクアミート!私はあなたという存在を絶対に認めない!だからあなたに決闘を申し込むわ。あなたが本当に人類を救う魔法少女としてふさわしいかどうか、この私が見極めてあげる。一週間後の10月7日、午前10時に3丁目の広場で待ってるわ。いい?絶対逃げんじゃないわよ!ああ…早くあなたの顔が苦痛に*歪《ゆが》む瞬間が見たいわ!うふふふ。じゃあね♡
仁美:何これ?*新手《あらて》のイタズラかしら?それに差出人も書いてないし、とりあえず無視ね。ポイっと。〈手紙をゴミ箱に捨てる〉
:
:〈10月7日 午前10時〉
謎の少女:さあ、約束の時間だわ。もうすぐね!この手であの子をいたぶれると思うとゾクゾクするわ!さあどこから現れるかしら?
:
:〈2時間後》
謎の少女:あれから2時間…遅い。ヤツめ、何をしているというのだ?はっ!これはもしや作戦?本当は近くに*潜《ひそ》んでいて私が動揺した*隙《すき》に背後からザクッと…ふっ…だが甘いわね!私がそんなバレバレな手に引っかかると思って?私も*舐《な》められたもんね!良いわよ、私は優しいからいつまででも待ってあげるわ!
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:〈4時間後〉
謎の少女:ぐぬぬ…おかしい。約束の時間から4時間は経つというのに気配すら感じない。まさか*隠密行動《おんみつこうどう》に*長《た》けた*手練《てだ》れだとでも言うの?いや、そんなはずがないわ。ヤツはまだ駆け出しの魔法少女のはず。この私を出し抜くなど到底できるはずがない!ここで焦ってはヤツの思うツボだわ。耐えろ…耐えるんだ私!
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:〈6時間後〉
謎の少女:はぁ…。〈溜息〉もう6時間だよ。マジで来ねーな。時間間違えたか?仕方ない…今日の所は帰るか。
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:〈数日後〉
仁美:ふぅ…今日の訓練も終わりっと。〈ポストの手紙に気付く〉
仁美:あれ?また手紙だ?どれどれ?
謎の少女:ごきげんよう!*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》、いや、爆食戦士アクアミートよ!先日の決闘はどうした?さては*物陰《ものかげ》から私をずっと見張っていたが怖くて出て来られなかったのではないだろうな?ふははは!この*臆病者《おくびょうもの》め!それでも天下の魔法少女か!だが、この私との決闘を前にして*怖気付《おじけづ》くのも無理はない。私は貴様より遥かに強い戦士なのだからな!良かろう、もう一度だけ貴様にチャンスをやろう。一週間後の10月18日、午前10時に3丁目の広場で待っているぞ!いいか!次は逃げたりするなよ!絶対だからな!
仁美:またこの手紙?しかもまた差出人書いてないし。こういうのは一度相手にするとそれからずっと付きまとわれるから*鬱陶《うっとう》しいんだよね。ということで、今回も無視無視っと…。さようなら~。〈手紙をゴミ箱に捨てる〉
:
:〈10月18日 午前10時〉
謎の少女:ふふふ…あれだけ挑発的な手紙を送り付けたんだ。流石に今日という今日は来るに違いない。いや、むしろ来なかったら魔法少女失格ということで秘密保持のため私自ら闇に葬ってやるわ!さあ、ヤツめ…一体どこから現れるかしら?
:
:〈2時間後〉
謎の少女:うぬぬ…もう2時間が過ぎたというのに全然来ないわ。ヤツめ、まさか本当にビビって逃げたのではないでしょうね?まあ、この私から決闘の申し込みなんて来たらビビって逃げてしまってもおかしくは無いんだけどね。だが、もしこのまま帰ってしまった後でヤツが現れでもしたら、それこそ私がヤツに恐れをなして逃げた形になってしまうわ。それだけは、それだけは避けないとね。仕方がないからもう少しだけ待ってあげようじゃないの。
:
:〈4時間後〉
謎の少女:4時間経過…嘘でしょ?普通2回も連続で約束をすっぽかす?でも、きっと今日は何か用事があったのかもしれないわね。あるいは、まさか病気?それとも敵との交戦で重症を負って来たくても来られない状態にあるとか?うーん、それは十分に考えられる話ね。なにせ、ヤツはまだ駆け出しの魔法少女。いきなり強敵に遭遇しないとも限らないわ。でも万が一ということもあるし、もうちょっとだけ待ってやるわ。
:
:〈6時間後〉
謎の少女:はい6時間独りぼっち!はぁ…。〈溜息〉今日も結局来なかったなぁ。あいつ、今頃どうしてんだろ?本当に大丈夫かしら?とりあえず今日はもう来ないな。帰ろう。
:
:〈数日後〉
仁美:今日は久しぶりに残業で遅くなっちゃったなぁ。夕飯は簡単な物で済ますか。〈ポストの手紙に気付く〉
仁美:は?また?懲りないやつだな。まあ一応中身だけでも見てやるか。えーっと?
謎の少女:*拝啓《はいけい》 * 松嶋 仁美《まつしま ひとみ》様、いえ、爆食戦士アクアミート様、だいぶ秋らしい季節になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。さて、先日お送りいたしました*私《わたくし》との決闘についてですが、今回もまた現場にいらっしゃらなかったようでしたので何か体調など崩されたのではないかと心配になり、こうして再度お送りさせていただいた次第でございます。もしご都合がよろしければ一週間後の10月27日の午前10時に3丁目の広場にてお待ち申し上げております。お忙しいとは存じますが、くれぐれもお忘れ無きようお越しくださいませ。 * 敬具《けいぐ》
仁美:何か急に文面が丁寧になってるんだけど?でも相変わらず差出人不明か。でもまあここまで書いてあるんだし面倒だけど行ってやるか。
:
:〈10月27日 午前9時45分〉
仁美:ちょっと早めに着いちゃったけど、ここで合ってるわよね?
謎の少女:あの、もしかしてあなたは*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》さんですか?
仁美:はい、そうですが。
謎の少女:ふふふ…ようやく会えたわね。私の名前は*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、またの名を「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」
仁美:「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」?もしかしてあなた、5人いる魔法少女のうちの一人の?
華恵:その通り!よく知ってるわね。
仁美:さては、散々私の家に変な手紙を送り付けて来たのってあなたね!
華恵:ええ。そうよ。
仁美:なぜあんな真似をしたの?
華恵:その前に一つ聞きたいことがあるわ。
仁美:何かしら?
華恵:なぜ指定した決闘場所に二度も来なかったの?
仁美:ああ、そのことね。だって果たし状に差出人が書かれていなかったからよ。
華恵:は?
仁美:どこの誰かも分かんない手紙なんて怪しさ満載じゃない。だから行かなかったの。
華恵:じゃあなぜ今回は来たの?
仁美:本当は行くつもりはなかったんだけどね、丁寧な文章で書かれていたから行ってやろうかなって思っただけよ。
華恵:アンタねぇ…こっちは本気で体調崩したんじゃないかと心配したのよ!それに、先輩からの決闘を二回も無視するなんて良い度胸ね!私がどんな思いで何時間も待ったと思ってんのよ!もう許さない…初めから気に食わなかったけど、魔法少女の先輩としてあなたにこの世界の厳しさを叩き込んであげるわ!『エクスプロージョン!』〈華恵の体が赤い炎で包まれていく〉
華恵:〈変身完了〉『*燃え盛る《もえさかる》炎は全ての悪を焼き尽くす!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア!*塵《ちり》一つ残さず燃やし尽くしてあげるわ!』
仁美:わぁ…かっこいい!!〈拍手する〉
華恵:ふふふ…そうでしょうとも!さあ、あなたも変身しなさい。
仁美:嫌よ。こんな場所で戦ったら街に被害が出ちゃうじゃない。そもそも魔法少女同士でやり合うなんて馬鹿げてるわ。それに仮にこのまま戦ったとして、お互い消耗した所を敵に襲われでもしたらどうすんのよ!
華恵:安心しなさい。ここの周りには強力な防御結界を張っているから街に被害が及ぶことはないわ。それとあなたさっき言ったわよね?魔法少女同士で戦うなんて馬鹿げている。お互い消耗した所を敵に襲われたらどうするのかって。ふふふ…私にとってはそんなことはどうでも良いの。とにかく私はあなたを倒す。ただそれだけ。あなたが変身しないと言うならそれでも構わないけど、それじゃ*呆気《あっけ》ないでしょ?どうせなら私を楽しませてよ。うふふふ…。
仁美:(くそっ…全く聞く耳を持ってくれない。ならば仕方ない。)『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』
華恵:あはは!何そのダサい変身とコスチュームは?それで魔法少女とかマジ笑えるんですけど!
仁美:そういった悪口ももう慣れたわ。でもね、見た目で判断していたら痛い目を見るわよ。
華恵:ふーん…出来るもんならやってみたら?でもその前に、これでも喰らいなさい!火炎魔法「ファイヤーブラスト」!
仁美:(え?魔法?…まあそりゃそうか。魔法少女だもんね。)じゃあこっちはこれで!*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!
華恵:ふふふ…そんなガラクタで何をするつもり?そうそう、あなたに一つ良いことを教えてあげるわ。実は私とあなたって相性最悪なのよ。だってね、*脂《あぶら》って炎でよく燃えるんですもの!あははは!!
仁美:だから何だってのよ!はああああ!!〈ハンマーで炎を*薙《な》ぎ払う〉
仁美:どう?*脂《あぶら》がよく燃えるって言うんならその前にハンマーの威力と風圧で消し飛ばせばいいのよ。そして…〈華恵の前から消える〉
華恵:なっ!消えた?
仁美:うおりゃああ!!「ジャストミートキーック」!!〈華恵を蹴り飛ばす〉
華恵:きゃあああ!!〈吹き飛ばされる〉
仁美:さあ、もう分かったでしょ?こんな戦い馬鹿げてるって。これでも私達、人類を守るヒロインなんだからさ。
華恵:うるさい…うるさい、うるさい!!アンタは…お前だけは絶対に許さないんだから!〈華恵の体が闇に覆われ出す〉
仁美:(はっ!…彼女の体が闇に覆われていく。)あなた…まさか闇に*囚《とら》われて!
華恵:闇?ああ、この力のこと?うふふ…これね、とっても素晴らしいのよ!私はあるお方からいただいたこの力で世界最強の存在になるの!だからそれを*脅《おびや》かす*危険因子《きけんいんし》は私がこの手で潰してあげる♡
仁美:(くっ…正気じゃない…)
華恵:ちょうど良い機会だから見せてあげる。圧倒的な力の差ってやつをね!
華恵:『ダークネスエボリューション!』〈華恵の体が漆黒の闇に包まれる〉
仁美:彼女の体が闇に覆われて邪悪に*変貌《へんぼう》していく…。
華恵:うふふふ。これが私の進化した姿、「魔導戦士シャドウフレア」よ!さあ、覚悟は良いかしら?
仁美:先手必勝!「ラブリーミートハンマー・ダイナミックアターック」!!はああああ!!〈華恵をハンマーで殴る〉
華恵:〈片手で止められる〉あら?何かしら?この貧弱な攻撃は?でも、一発は一発よ。あ、さっき蹴られた分も合わせると二発か。それじゃあ覚悟しなさい!こんがりと丸焼きにしてあげるわ♡*暗黒炎魔法《あんこくほのおまほう》「バーニングトルネード」!!
仁美:(なんて*禍々《まがまが》しい漆黒の炎の竜巻なの!)それじゃこっちも行くわよ!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!
華恵:うふふ…その程度の技で私の魔法を止められるとでも思ってんの?*片腹痛《かたはらいた》いわ!
仁美:ぐっ…何て強力な魔法なの!このままじゃ…やられてしまう!くそっ!私はこんな所で…こんな所で負けてらんないのよぉぉぉ!!!うおおおお!!!〈仁美の体が光り出す〉
華恵:な、何なのこの光は!?まさかこれは…モード進化?
仁美:生きとし生ける全ての魂よ!どうか私に力を貸して!!「クロスチェンジ!アクアミート フルエナジーフォーム!!」〈仁美のコスチュームの形が変化していく〉
華恵:そんな馬鹿な!こんなのが出来るなんて聞いてないぞ!
仁美:これで終わりよ!「アルティメットファイナルブレイカー」!!!どぉりゃああああ!!!
仁美:〈ラブリーミートハンマーが光り輝く超巨大な*大槌《おおつち》となってバーニングトルネード*諸共《もろとも》華恵を押し潰す〉
華恵:ぐああっ!攻撃を受け止め切れない!そんな…闇の力を得た最強の私がこんなヤツに、こんなヤツに負けるなんて!!きゃああああ!!〈眩しい光と共に闇が浄化されていく〉
仁美:はぁ…はぁ…これで、やっと終わっ…た。〈気を失う〉
:
:〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク医務室〉
仁美:ん…。あ、あれ?ここは?
政信:良かった!仁美!よくやく目を覚ましたか!
仁美:ここは?
政信:ここはうちの医務室だ。君は三日三晩眠っていたんだ。
仁美:え?三日も?
政信:ああ。ずっと通信が繋がらなくて心配していたんだが、救護班から連絡を受けて現場に急行した時は心臓が止まるかと思ったよ。なにせ、うちの魔法少女が二人も倒れていたんだからな。
仁美:あ、そういえば*華恵《はなえ》さん、「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」はあの後どうなったの?
政信:君の活躍のおかげで彼女を取り巻いていた闇は完全に取り払われた。今は別室で休んでいるよ。そんなことより、まさか仁美がモード進化まで*会得《えとく》するとはな。
仁美:私、あの時は*華恵《はなえ》さんの闇に負けるもんかって、それこそ無我夢中で…正直自分でもよく覚えていないの。
政信:良いんだよ。とにかく君の強い思いが奇跡を起こしたんだ!
:〈華恵が仁美の病室に現れる〉
華恵:仁美…大丈夫?
政信:華恵!お前もう起きて大丈夫なのか?
華恵:ええ。もう大丈夫よ。それより私、仁美にあんな酷いことを…うう、本当にごめんなさい。〈泣き出す〉
仁美:*華恵《はなえ》さん、謝らないで。あなたはただ、闇の力に取り込まれていただけなんだから。
華恵:仁美…ありがとう!私ね、弱い自分がずっと嫌いで強さばかりを追い求めていたの。そうしたらある時頭の中に声が響いて来てね…
政信:声?それはどんな声だったんだ?
華恵:「より強くなりたいなら*我《われ》に全てを*委《ゆだ》ねよ」って。それで気が付いたら闇の力に身も心も乗っ取られていたの。だから理由はどうあれ全ては私の弱い心が招いた結果なの。私…魔法少女として失格だわ。本当に申し訳ない…。
仁美:そんなことないです。*華恵《はなえ》さんは立派な魔法少女です!それに強くなりたいって思うことは決して悪いことじゃないです。だからもう気にしないでください。こうして無事に元に戻れたんだし。
華恵:…私のこと、許してくれるの?
仁美:もちろんです!あ、そうだ!私、あなたとお友達になりたい。*華《はな》ちゃんって呼んで良いかしら?
華恵:うん!もちろんよ!よろしくね!仁美!
仁美:*華《はな》ちゃん、お互い魔法少女同士これからも頑張りましょ!
華恵:ええ!
:
政信:(M)こうして一連の事件はアクアミートの強い思いが引き起こした奇跡によって無事解決した。だがしかし、未だに姿すら見せない敵を前に一体彼女らはどうやって戦うのか。負けるな!我らが魔法少女達よ!必ずや悪の野望を打ち砕いてくれ!
:
:【次回予告】
仁美:新たな仲間、*華《はな》ちゃんと一緒に訓練に励む毎日が始まった。そんな中、ついに闇の侵略者が私達の前に姿を現す!次回、爆食戦士アクアミート第3話「遅れて来た侵略者」あなたの全て、食べちゃうぞ♡…これ、マジで毎回言うの?
:
:~完~
タイトル:【第2話】『爆食戦士アクアミート』「え?魔法少女失格?」
:
登場人物:
仁美:*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》35歳。中堅企業に勤めるOL。しっかり者で面倒見が良い。困っている人を見ると放っておけない性格。第1話で「爆食戦士アクアミート」に選ばれ、悪と戦うことになった。
政信:*荒木 政信《あらき まさのぶ》30歳。*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに所属する男。第1話で仁美の専属バディとなった。普段は冴えない感じだが、一度スイッチが入るとキャラが変わる。基本、人の話を聞かないゴーイングマイウェイタイプ。
華恵:*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたきさくそしき》アークに所属する魔法少女の一人で「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」に変身する。謎の少女、猫型怪人と兼役。
謎の少女:ミステリアスな雰囲気を漂わせる少女。華恵役の方が演じてください。
猫型怪人:*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークに設置されている無限戦闘シミュレーターに出てくる敵。愛くるしい姿を振り*撒《ま》きつつ隙を見て攻撃を仕掛けてくる。華恵役の方が演じてください。
:(M)はモロノーグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。
:
:
本編:
政信:前回までのあらすじ…おい、*仁美《ひとみ》、出番だぞ!
仁美:え?私聞いてないんだけど!やるの?そんなテレビ番組みたいなこと?
政信:何を言う…当たり前じゃないか。いいか仁美、第2話から聴きに来てくれた視聴者さんもいるんだぞ。
仁美:そ、そりゃまあそうでしょうけどさ…。
政信:ファンサービスは何より大事だ。これで打ち切りになったらどうするんだ?
仁美:打ち切りあるんだ…これ。
政信:ということで、あらすじ行ってみようか!
仁美:じゃあ…。コホン…前回までのあらすじ、「この世は空前の魔法少女ブーム!誰もが変身出来るこの時代に地球侵略を*企《たくら》む侵略者の手によって闇の変身アイテムがばら*撒《ま》かれてしまった。ひょんなことからそれを手に入れた同僚の響子が闇の魔法少女に変身し、私は命を奪われそうになる。そんな時、*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アークの荒木と名乗る人物に助け出された私は、彼から魔法少女に変身して人類を救ってくれと頼まれ引き受けることになったのだが…予想の斜め上を行く魔法少女らしからぬコスチュームと超絶恥ずかしい変身シーンに必死に耐えながらも何とか響子の闇を浄化することに成功したのだった。」…こんな感じで良いかしら?
政信:〈拍手〉凄いじゃないか!流石は仁美…いや、俺が見込んだ魔法少女だけのことはある!てことで、今回もバッチリ行ってみようか!
仁美:え?これ以上何をやれと?
政信:ほら、タイトルコールだよ、タイトルコール!
仁美:え…タイトルコール?まさかあれ、やるの?
政信:ほら、さっき裏で打ち合わせしただろ?あんまり*尺《しゃく》ないんだから文句言わずにやる!
仁美:*尺《しゃく》とか言うな!…分かったわよ!じゃ…じゃあ行くわよ。
仁美:〈元気で明るく〉「それじゃあ爆食戦士アクアミート第2話!はっじまっるよー!!今回も、あなたの全て、食べちゃうぞ♡」…もうヤダ、死にたい。
:
:〈とあるビルの屋上〉
謎の少女:爆食戦士アクアミート…これが新しく魔法少女に選ばれた戦士だと?認めない…私は絶対に認めないわ!
:
:〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク本部〉
仁美:もう!何なのよ?人がのんびり休みを満喫していたってのに。
政信:仁美、今日ここへ君を呼び出したのは他でもない。特訓だ!
仁美:は?特訓?せっかくの休みに呼び出されたかと思えば特訓?何で私がそんな物を受けなきゃならないのよ?
政信:前回の戦闘では確かに君は魔導戦士ミスティブラックに勝利し、その闇を浄化することに成功した。だが、君があの時勝てたのはほんの偶然に過ぎない。今度同じようなことがあった時、君はまた倒せるのか?
仁美:そ、それは…分からないけど。
政信:だからこそだ!君には我々が用意した特別な訓練を受けてもらう。
仁美:訓練?それは一体?
政信:今の君に圧倒的に足りないのは敵に対する非情さだ。
仁美:非情さ?
政信:そうだ。あの時、第二形態になった同僚を前にしてその圧倒的な力に殺されそうになりながらも君は最後まで「ラブリーミートハンマー」で直接敵に攻撃を仕掛けることを*躊躇《ためら》っていた。それは何故だ?
仁美:当たり前でしょ?前にも言ったけど、あんな超大型格闘兵器で直接殴ったりしたらそれこそ闇を浄化する前に大事な響子が潰されちゃってたかもしれないじゃない!
政信:じゃあもし相手がメテオバーストを撃たずに直接攻撃のみで襲って来ていたら、君はただ黙って殴り殺されていたのか?
仁美:そ、それは…。
政信:そうだろう?だからこそ、君にはこの訓練を通して強くなってもらいたいんだ。人として、そして一人の戦士としてな。それに何より君には魔法少女として人類を守るという使命があるのだから。
仁美:(何かすごいそれっぽいこと言ってるけど、アンタが私にやらせてることって相当ぶっ飛んでることなんだからな!)…わ、分かったわ。それで、その訓練っていうのは何なのよ。
政信:それは変身してから説明する。
仁美:え?ここで?
政信:何か問題でも?
仁美:こんなに大勢の職員の方が見ている前で?
政信:ああ、そうだが?
仁美:い、嫌よ!恥ず過ぎんでしょ!ちょっと更衣室貸して!チャチャッと行って変身して来るから。
政信:君は!目の前で大勢の市民が今まさに命を奪われようとしている時に「恥ずかしいからちょっと更衣室に行って来る」などというセリフが言えるのか?
仁美:あのさ、いちいち深刻そうなシチュエーションを持ち出してジリジリ追い込んで来るのやめてくんない?アンタどうせただ目の前で見たいだけでしょーが!
政信:ああ、その通りだ。
仁美:正直者か!…はぁ…〈溜息〉分かったわよ。変身すりゃ良いんでしょ、変身すれば!
政信:うむ。分かればよろしい。
仁美:ぐっ…何かムカつく。じゃあ行くわよ!『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』…どう?これで満足?
政信:ふむ…今の変身シーンについては15点といった所だな。
仁美:じゅ!15点!どこがよ!ちゃんと変身したじゃない!
政信:確かに変身はした。だが、まだ変身に対しての恥じらいが捨て切れていない。
仁美:当たり前でしょーが!あんなもん何の恥じらいもなくノリノリでやれる方がどうかしてるわよ!
政信:だが、君も魔法少女になった以上はやってもらわなくては困る。今の仁美は変身することも戦うことも全てにおいて迷いだらけだ。そんなんじゃ誰も助けらんねーし、最悪…死ぬぜ。
仁美:じゃあもっとノリノリで戦えるようなもん用意しなさいよ!
政信:仕方ないだろ!それしか残ってなかったんだから!…あっ…やべ。
仁美:へぇ…今何と?
政信:あ、あのいや…これは。
仁美:あら?聞き間違いかしら?私には「これしか残ってなかった」っていうふうに聞こえたんだけど?
政信:ち、違うんだ仁美…よく聞いてくれ…。
仁美:ほほう…良い機会だからその辺のことについて*政信殿《まさのぶどの》の口から納得のいく御説明をじっくりと聞かせていただこうじゃないの。
政信:はぁ〈溜息〉…仕方ない。本来であればこれは極秘事項なんだが、やむを得ん。いいか仁美、よく聞くんだ。元々うちの組織には5つの変身アイテムがあるんだ。
仁美:5つ?…てことは私の他にも魔法少女が4人存在するってこと?
政信:そうだ。一つ目は炎の化身を身に*纏《まと》って戦う「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」、二つ目は水の精霊を身に*纏《まと》って戦う「*激流戦士《げきりゅうせんし》ピュアリーウォーター」、三つ目は大地の力を身に*纏《まと》って戦う「*剛鉄戦士《ごうてつせんし》バーストアース」、四つ目は雷の神を身に*纏《まと》って戦う「*轟雷戦士《ごうらいせんし》プリズムサンダー」、そして最後の五つ目が生きとし生ける全ての命に感謝して戦う「爆食戦士アクアミート」だ。これら全ての魔法少女の力が集結すればどんな敵であろうが必ず倒せるはずだ。
仁美:ん?ちょっと待って?私のだけ何か違う…。
政信:何が違うと言うんだ?
仁美:だって、他の四つは「〇〇を*纏《まと》って戦う」ってあるのに、私のだけ「生きとし生けるものに感謝」って何?
政信:君は知らないのか?感謝することで食材となった全ての命の恩恵を受けられるんだぞ。
仁美:いや…そういう問題じゃなくてさ、そもそも戦士として…
政信:〈被せて〉それに他の四つは一種類の力を身に*纏《まと》うスタイルだが、アクアミートだけは*数多《あまた》の命を力に出来る。これほど無敵な戦士は他にはいないぞ。
仁美:じゃあ何で売れなかったのよ。そんなに凄い魔法少女になれるんなら、みんな真っ先になりたがるんじゃないの?
政信:そこはほら…*映《ば》えがさ…。
仁美:あー分かるわぁ。普通に考えたら私でも他のやつ選ぶもん。
政信:大体世の中の女子は何も分かってないんだよ!やれプリティだのチャーミングだの、そんなもんは戦いには関係ない!全ては*殺《や》るか*殺《や》られるかの二つに一つ。人類が侵略者の手に奪われるかもしれないって時にどいつもこいつも何を*悠長《ゆうちょう》なことを!まあ結局は俺がどんなに必死で訴えても誰も理解しないんだろうがな!
仁美:(え?まさかの逆ギレ?ただ乙女心が分かってなかっただけでしょーが。)まあでもさっきのアンタの説明でこれがどれほど凄い物かってことと、今がどれだけやばい状況かってことは理解できたわ。
政信:え…?分かって…くれるのか?
仁美:ええ。それと、政信が人類の未来を本気で*憂《うれ》いているってこともね。
政信:う…うう。仁美、本当にありがとう!俺は君を選んで本当に良かった。〈感動で泣きじゃくる〉
仁美:だからもう泣かないで。 私もちょっと言い過ぎたわ。確かにあなたの言う通り魔法少女としての認識と覚悟が足りなかったわ。ごめんなさい…。
政信:よし!そうと分かれば早速特訓と行こうか!
仁美:立ち直り早っ!一瞬でもしんみりした私の時間を返しなさいよ!で?結局何をしたら良いの?
政信:仁美がやることは二つ。一つは変身と解除を一日30セット。そして変身した状態でこの無限戦闘シミュレーターに入ってもらい、力尽きるまで仮想の敵と戦い続けてもらう。
仁美:え?力尽きるまで?それって死んじゃうまでやれってこと?
政信:心配するな。あくまで仮想シミュレーターだ。本当に死ぬわけじゃない。
仁美:ほっ…なら安心ね。
政信:ちょっと気絶するだけだ。
仁美:おい!
政信:じゃあ早速特訓開始だ!
仁美:(M)こうして真の魔法少女になるべく地獄の特訓が始まった。変身自体は何度も続けているうちに徐々に恥ずかしさも感じなくなっていった。ただ問題は…。
:
:〈30分後〉
政信:良いぞ仁美。だいぶ変身にも慣れてきたな。
仁美:ええ。おかげ様で恥ずかしさを感じなくなってきたわ。人間慣れって怖いのね。さて、あと少しだわ!
政信:29、30…よし!今日のノルマ達成だ。
仁美:ふぅ…流石に疲れたわね。
政信:じゃあ1時間の休憩を挟んで次はシミュレーター訓練に入ってもらう。
仁美:分かったわ。
:
:〈1時間後〉
政信:じゃあいよいよシミュレーター訓練だ。まずはさっきのおさらいも兼ねて変身してくれ。
仁美:分かったわ。『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』
政信:良い感じだ。じゃあこの無限戦闘シミュレーターについて説明する。これはラブリーミートハンマーを出した状態で、無限に出てくる敵を倒し続けてもらう。なるべく多くの敵を長時間倒し続けられるよう頑張ってくれ。
仁美:ふーん…まるでモグラ叩きみたいね。
政信:まあそんなもんだと思ってもらって構わない。ただ油断するなよ。敵は相当手強いからな。
仁美:分かったわ。(まあこれなら案外楽勝かもね。)
政信:じゃあ行くぞ!転送開始!〈シミュレーターに転送される〉
:
:〈無限戦闘シミュレーター内部〉
仁美:さてと、*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!〈巨大なボンレスハム型ハンマーが現れる〉
仁美:こっちは準備OKよ!いつでも始められるわ!
政信:では訓練を開始する!シミュレーター訓練スタート!
仁美:さあ、どっからでもかかってきなさい!
:〈キュートな猫型怪人が現れる〉
仁美:え?何この愛くるしい猫型怪人は…まさかこれをやれと?
政信:仁美!迷っていたらやられるぞ!
仁美:え…でも。こんな可愛い子を叩き潰すなんて出来ないわ。
政信:仁美、相手は敵だぞ。容赦するな!
仁美:そんなこと言われたって。くっ…これは訓練、これは訓練…ぎ、『ギガンティック・ミート…』
猫型怪人:キシャアアア!!〈*鉤爪攻撃《かぎづめこうげき》〉
仁美:ぐああ!!〈攻撃を受ける〉
政信:非情になるんだ。仁美。
仁美:ぐっ…つ、強い。
猫型怪人:ゴロにゃーん〈甘えて見せる〉
仁美:か!可愛い♡よーしよしよし。何もしないからね~。〈近づいてあやそうとする〉
猫型怪人:ギニャアアア!!〈強烈キック〉
仁美:きゃあああ!!〈敵の攻撃に吹き飛ぶ〉
猫型怪人:にゃふふ…〈不敵な笑みで*煽《あお》る〉
仁美:ぐはっ…こんなのどうやって…
政信:仁美、乗り越えるんだ、この巨大な壁を。そしてより強くなれ!
仁美:はぁ…はぁ…。
猫型怪人:ゴロにゃーご♡〈お腹を見せて甘える〉
仁美:わ、私は…
猫型怪人:にゃおーん〈猫なで声で甘える〉
仁美:私は…人類を守らなきゃ…でも…
猫型怪人:はにゃーん〈余裕の表情でニヤつく〉
仁美:や、やっぱりダメ…
猫型怪人:ニャーガァァー!〈強烈なパンチ〉
仁美:ぐあああ!!〈敵の攻撃をまともに受ける〉
政信:(やはり…まだダメだったか。)
猫型怪人:フニャハハ!!
仁美:がはっ…(これ以上の攻撃を受けたらもう…)
猫型怪人:にゃお〜ん♡〈地面を転がり遊び出す〉
仁美:(やばい…目が*霞《かす》んできた。あれは…猫…?やだ…美味しそう…)ぐっ…はぁ…はぁ…。〈何とか立ち上がる〉
猫型怪人:ゴロにゃーん♡♡〈最大級の甘えを見せてくる〉
仁美:ねぇ…あなたを…食べさせて♡〈虚ろな目でフラフラと近付いて行く〉
猫型怪人:ニャ!?
仁美:はああああ!『ギガンティック・ミートクラッシャー』!!!
猫型怪人:グギャアア!!〈一瞬で消し飛ぶ〉
仁美:うふふふ♡…次はどの獲物を食べようかし…ら…〈力尽きる〉
:
:〈救護室〉
仁美:あれ…?ここは?
政信:仁美!大丈夫か?
仁美:私…そう言えば敵と交戦中だったはずじゃ?
政信:ああ、その通りだ。
仁美:うう…やっぱり私ってまだまだよね…。あんな猫型怪人一体も倒せないなんて。
政信:いや、むしろ凄いと思うぞ。
仁美:え?
政信:これを見るんだ。〈映像を見せる〉
仁美:これって…本当に私?
政信:そうだ。君はあの極限の中でアクアミートの特殊形態「イーターモード」を発動し、一瞬で敵を粉砕したんだ。
仁美:イーターモード?
政信:イーターモードはアクアミートが極限状態を迎え、ある条件を満たした場合にのみ発動する特殊モードで、その条件とは相手を捕食対象として認識することだ。
仁美:ほ、捕食対象?
政信:よく思い返してみるんだ。君があの瞬間敵に対して何を考えていたかを。
仁美:あの時私は…薄れゆく意識の中でボーッと目の前で甘える猫を見てたら「ああ…美味しそう」って…はっ!まさか!
政信:そう!このモードは対象を「エサ」と認識した時にのみ発動するんだ。
仁美:はい?
政信:ああ!まさか初めての訓練でイーターモードを見られるなんて、俺はなんてラッキーなんだ!
仁美:あ、あの!ちょっと待ってよ。
政信:ん?何だ?
仁美:それってつまり相手を「食べたい」って思わない限り発動しないってことじゃないの!
政信:その通りだが。
仁美:いつ使うのよそんなもん!百歩譲って今回のような動物型の敵ならまだしも、前回のような魔法少女が相手の場合、絶対発動しないじゃない。
政信:そうとも限らんぞ。
仁美:え?どゆこと。
政信:まあ何だ…言葉には色んな意味があるからな。
仁美:あの…それってもしかして…。
政信:ま、君が敵に対してどういう感情を抱くかはその時の仁美次第だ。日頃から感情のコントロール方法も磨いておくといい。
仁美:ちょ!それってどういう意味よ!
政信:あ、そうそう。ちなみにイーターモードになった時のアクアミートは対象に対する一切の容赦はなくなり完全に相手を消し去るか浄化するまで攻撃を止めることはない。まあその分発動後の体力と精神力の消耗は激しいから使い所はちゃんと見極めるんだぞ。
仁美:見極めるって…んなもんできるか!
政信:とにかく訓練あるのみだ。もちろんイーターモードだけで全ての敵を倒せるわけじゃない。それにリスクもデカいしな。でも今回に限っては偶然とは言え君はイーターモードを発動し敵を倒すことに成功した。そこは誇って良いんだぞ。
仁美:あ、ありがとう。
政信:じゃあ今日の訓練はこれで終わりだ。帰ってゆっくり休んでくれ。あ、それから今後は仕事及び敵と交戦中の時以外はここで訓練を受けてもらうことになるからそこんとこよろしく。
仁美:ちょ!それって休みなしってこと?
政信:仁美、辛いのは分かるが最初だけだ。そのうちそれが当たり前になる。とにかくもっと強くなるんだ。君にはその素質がある!じゃあな!
仁美:アンタは鬼か!(はぁ…私の人生終わった…)
:
:〈仁美の自宅前〉
仁美:はぁ…〈溜息〉マジで疲れたぁ…。あんな厳しい訓練がこれからも続くのかと思うとウンザリだわ。
仁美:〈ポストの中を見る〉…ん?手紙?誰からだろう?まあいいや、とりあえずシャワー浴びたい。
仁美:(M)その時の私は訓練による疲れのせいで自分宛に届いた手紙のことなど気にも留めていなかった。
:
:〈数分後〉
仁美:はー!サッパリしたぁ!やっぱり運動後のシャワーは最高よね!〈テーブルの上の手紙の存在に気付く〉
仁美:あ、そうそう。何か手紙来てたんだっけ?えーっと…なになに?
謎の少女:はじめまして。*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》さん、いえ、爆食戦士アクアミート!私はあなたという存在を絶対に認めない!だからあなたに決闘を申し込むわ。あなたが本当に人類を救う魔法少女としてふさわしいかどうか、この私が見極めてあげる。一週間後の10月7日、午前10時に3丁目の広場で待ってるわ。いい?絶対逃げんじゃないわよ!ああ…早くあなたの顔が苦痛に*歪《ゆが》む瞬間が見たいわ!うふふふ。じゃあね♡
仁美:何これ?*新手《あらて》のイタズラかしら?それに差出人も書いてないし、とりあえず無視ね。ポイっと。〈手紙をゴミ箱に捨てる〉
:
:〈10月7日 午前10時〉
謎の少女:さあ、約束の時間だわ。もうすぐね!この手であの子をいたぶれると思うとゾクゾクするわ!さあどこから現れるかしら?
:
:〈2時間後》
謎の少女:あれから2時間…遅い。ヤツめ、何をしているというのだ?はっ!これはもしや作戦?本当は近くに*潜《ひそ》んでいて私が動揺した*隙《すき》に背後からザクッと…ふっ…だが甘いわね!私がそんなバレバレな手に引っかかると思って?私も*舐《な》められたもんね!良いわよ、私は優しいからいつまででも待ってあげるわ!
:
:〈4時間後〉
謎の少女:ぐぬぬ…おかしい。約束の時間から4時間は経つというのに気配すら感じない。まさか*隠密行動《おんみつこうどう》に*長《た》けた*手練《てだ》れだとでも言うの?いや、そんなはずがないわ。ヤツはまだ駆け出しの魔法少女のはず。この私を出し抜くなど到底できるはずがない!ここで焦ってはヤツの思うツボだわ。耐えろ…耐えるんだ私!
:
:〈6時間後〉
謎の少女:はぁ…。〈溜息〉もう6時間だよ。マジで来ねーな。時間間違えたか?仕方ない…今日の所は帰るか。
:
:〈数日後〉
仁美:ふぅ…今日の訓練も終わりっと。〈ポストの手紙に気付く〉
仁美:あれ?また手紙だ?どれどれ?
謎の少女:ごきげんよう!*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》、いや、爆食戦士アクアミートよ!先日の決闘はどうした?さては*物陰《ものかげ》から私をずっと見張っていたが怖くて出て来られなかったのではないだろうな?ふははは!この*臆病者《おくびょうもの》め!それでも天下の魔法少女か!だが、この私との決闘を前にして*怖気付《おじけづ》くのも無理はない。私は貴様より遥かに強い戦士なのだからな!良かろう、もう一度だけ貴様にチャンスをやろう。一週間後の10月18日、午前10時に3丁目の広場で待っているぞ!いいか!次は逃げたりするなよ!絶対だからな!
仁美:またこの手紙?しかもまた差出人書いてないし。こういうのは一度相手にするとそれからずっと付きまとわれるから*鬱陶《うっとう》しいんだよね。ということで、今回も無視無視っと…。さようなら~。〈手紙をゴミ箱に捨てる〉
:
:〈10月18日 午前10時〉
謎の少女:ふふふ…あれだけ挑発的な手紙を送り付けたんだ。流石に今日という今日は来るに違いない。いや、むしろ来なかったら魔法少女失格ということで秘密保持のため私自ら闇に葬ってやるわ!さあ、ヤツめ…一体どこから現れるかしら?
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:〈2時間後〉
謎の少女:うぬぬ…もう2時間が過ぎたというのに全然来ないわ。ヤツめ、まさか本当にビビって逃げたのではないでしょうね?まあ、この私から決闘の申し込みなんて来たらビビって逃げてしまってもおかしくは無いんだけどね。だが、もしこのまま帰ってしまった後でヤツが現れでもしたら、それこそ私がヤツに恐れをなして逃げた形になってしまうわ。それだけは、それだけは避けないとね。仕方がないからもう少しだけ待ってあげようじゃないの。
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:〈4時間後〉
謎の少女:4時間経過…嘘でしょ?普通2回も連続で約束をすっぽかす?でも、きっと今日は何か用事があったのかもしれないわね。あるいは、まさか病気?それとも敵との交戦で重症を負って来たくても来られない状態にあるとか?うーん、それは十分に考えられる話ね。なにせ、ヤツはまだ駆け出しの魔法少女。いきなり強敵に遭遇しないとも限らないわ。でも万が一ということもあるし、もうちょっとだけ待ってやるわ。
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:〈6時間後〉
謎の少女:はい6時間独りぼっち!はぁ…。〈溜息〉今日も結局来なかったなぁ。あいつ、今頃どうしてんだろ?本当に大丈夫かしら?とりあえず今日はもう来ないな。帰ろう。
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:〈数日後〉
仁美:今日は久しぶりに残業で遅くなっちゃったなぁ。夕飯は簡単な物で済ますか。〈ポストの手紙に気付く〉
仁美:は?また?懲りないやつだな。まあ一応中身だけでも見てやるか。えーっと?
謎の少女:*拝啓《はいけい》 * 松嶋 仁美《まつしま ひとみ》様、いえ、爆食戦士アクアミート様、だいぶ秋らしい季節になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。さて、先日お送りいたしました*私《わたくし》との決闘についてですが、今回もまた現場にいらっしゃらなかったようでしたので何か体調など崩されたのではないかと心配になり、こうして再度お送りさせていただいた次第でございます。もしご都合がよろしければ一週間後の10月27日の午前10時に3丁目の広場にてお待ち申し上げております。お忙しいとは存じますが、くれぐれもお忘れ無きようお越しくださいませ。 * 敬具《けいぐ》
仁美:何か急に文面が丁寧になってるんだけど?でも相変わらず差出人不明か。でもまあここまで書いてあるんだし面倒だけど行ってやるか。
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:〈10月27日 午前9時45分〉
仁美:ちょっと早めに着いちゃったけど、ここで合ってるわよね?
謎の少女:あの、もしかしてあなたは*松嶋 仁美《まつしま ひとみ》さんですか?
仁美:はい、そうですが。
謎の少女:ふふふ…ようやく会えたわね。私の名前は*北条 華恵《ほうじょう はなえ》、またの名を「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」
仁美:「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」?もしかしてあなた、5人いる魔法少女のうちの一人の?
華恵:その通り!よく知ってるわね。
仁美:さては、散々私の家に変な手紙を送り付けて来たのってあなたね!
華恵:ええ。そうよ。
仁美:なぜあんな真似をしたの?
華恵:その前に一つ聞きたいことがあるわ。
仁美:何かしら?
華恵:なぜ指定した決闘場所に二度も来なかったの?
仁美:ああ、そのことね。だって果たし状に差出人が書かれていなかったからよ。
華恵:は?
仁美:どこの誰かも分かんない手紙なんて怪しさ満載じゃない。だから行かなかったの。
華恵:じゃあなぜ今回は来たの?
仁美:本当は行くつもりはなかったんだけどね、丁寧な文章で書かれていたから行ってやろうかなって思っただけよ。
華恵:アンタねぇ…こっちは本気で体調崩したんじゃないかと心配したのよ!それに、先輩からの決闘を二回も無視するなんて良い度胸ね!私がどんな思いで何時間も待ったと思ってんのよ!もう許さない…初めから気に食わなかったけど、魔法少女の先輩としてあなたにこの世界の厳しさを叩き込んであげるわ!『エクスプロージョン!』〈華恵の体が赤い炎で包まれていく〉
華恵:〈変身完了〉『*燃え盛る《もえさかる》炎は全ての悪を焼き尽くす!*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア!*塵《ちり》一つ残さず燃やし尽くしてあげるわ!』
仁美:わぁ…かっこいい!!〈拍手する〉
華恵:ふふふ…そうでしょうとも!さあ、あなたも変身しなさい。
仁美:嫌よ。こんな場所で戦ったら街に被害が出ちゃうじゃない。そもそも魔法少女同士でやり合うなんて馬鹿げてるわ。それに仮にこのまま戦ったとして、お互い消耗した所を敵に襲われでもしたらどうすんのよ!
華恵:安心しなさい。ここの周りには強力な防御結界を張っているから街に被害が及ぶことはないわ。それとあなたさっき言ったわよね?魔法少女同士で戦うなんて馬鹿げている。お互い消耗した所を敵に襲われたらどうするのかって。ふふふ…私にとってはそんなことはどうでも良いの。とにかく私はあなたを倒す。ただそれだけ。あなたが変身しないと言うならそれでも構わないけど、それじゃ*呆気《あっけ》ないでしょ?どうせなら私を楽しませてよ。うふふふ…。
仁美:(くそっ…全く聞く耳を持ってくれない。ならば仕方ない。)『メタボルフォーゼ!!』〈仁美の体がギトギトのラードに包まれる〉
仁美:〈変身完了〉『*滴《したた》る汗は元気の証!爆食戦士アクアミート見参!あなたの全て、食べちゃうぞ♡』
華恵:あはは!何そのダサい変身とコスチュームは?それで魔法少女とかマジ笑えるんですけど!
仁美:そういった悪口ももう慣れたわ。でもね、見た目で判断していたら痛い目を見るわよ。
華恵:ふーん…出来るもんならやってみたら?でもその前に、これでも喰らいなさい!火炎魔法「ファイヤーブラスト」!
仁美:(え?魔法?…まあそりゃそうか。魔法少女だもんね。)じゃあこっちはこれで!*顕現《けんげん》せよ!「ラブリーミートハンマー」!!
華恵:ふふふ…そんなガラクタで何をするつもり?そうそう、あなたに一つ良いことを教えてあげるわ。実は私とあなたって相性最悪なのよ。だってね、*脂《あぶら》って炎でよく燃えるんですもの!あははは!!
仁美:だから何だってのよ!はああああ!!〈ハンマーで炎を*薙《な》ぎ払う〉
仁美:どう?*脂《あぶら》がよく燃えるって言うんならその前にハンマーの威力と風圧で消し飛ばせばいいのよ。そして…〈華恵の前から消える〉
華恵:なっ!消えた?
仁美:うおりゃああ!!「ジャストミートキーック」!!〈華恵を蹴り飛ばす〉
華恵:きゃあああ!!〈吹き飛ばされる〉
仁美:さあ、もう分かったでしょ?こんな戦い馬鹿げてるって。これでも私達、人類を守るヒロインなんだからさ。
華恵:うるさい…うるさい、うるさい!!アンタは…お前だけは絶対に許さないんだから!〈華恵の体が闇に覆われ出す〉
仁美:(はっ!…彼女の体が闇に覆われていく。)あなた…まさか闇に*囚《とら》われて!
華恵:闇?ああ、この力のこと?うふふ…これね、とっても素晴らしいのよ!私はあるお方からいただいたこの力で世界最強の存在になるの!だからそれを*脅《おびや》かす*危険因子《きけんいんし》は私がこの手で潰してあげる♡
仁美:(くっ…正気じゃない…)
華恵:ちょうど良い機会だから見せてあげる。圧倒的な力の差ってやつをね!
華恵:『ダークネスエボリューション!』〈華恵の体が漆黒の闇に包まれる〉
仁美:彼女の体が闇に覆われて邪悪に*変貌《へんぼう》していく…。
華恵:うふふふ。これが私の進化した姿、「魔導戦士シャドウフレア」よ!さあ、覚悟は良いかしら?
仁美:先手必勝!「ラブリーミートハンマー・ダイナミックアターック」!!はああああ!!〈華恵をハンマーで殴る〉
華恵:〈片手で止められる〉あら?何かしら?この貧弱な攻撃は?でも、一発は一発よ。あ、さっき蹴られた分も合わせると二発か。それじゃあ覚悟しなさい!こんがりと丸焼きにしてあげるわ♡*暗黒炎魔法《あんこくほのおまほう》「バーニングトルネード」!!
仁美:(なんて*禍々《まがまが》しい漆黒の炎の竜巻なの!)それじゃこっちも行くわよ!「ギガンティック・ミートクラッシャー」!!
華恵:うふふ…その程度の技で私の魔法を止められるとでも思ってんの?*片腹痛《かたはらいた》いわ!
仁美:ぐっ…何て強力な魔法なの!このままじゃ…やられてしまう!くそっ!私はこんな所で…こんな所で負けてらんないのよぉぉぉ!!!うおおおお!!!〈仁美の体が光り出す〉
華恵:な、何なのこの光は!?まさかこれは…モード進化?
仁美:生きとし生ける全ての魂よ!どうか私に力を貸して!!「クロスチェンジ!アクアミート フルエナジーフォーム!!」〈仁美のコスチュームの形が変化していく〉
華恵:そんな馬鹿な!こんなのが出来るなんて聞いてないぞ!
仁美:これで終わりよ!「アルティメットファイナルブレイカー」!!!どぉりゃああああ!!!
仁美:〈ラブリーミートハンマーが光り輝く超巨大な*大槌《おおつち》となってバーニングトルネード*諸共《もろとも》華恵を押し潰す〉
華恵:ぐああっ!攻撃を受け止め切れない!そんな…闇の力を得た最強の私がこんなヤツに、こんなヤツに負けるなんて!!きゃああああ!!〈眩しい光と共に闇が浄化されていく〉
仁美:はぁ…はぁ…これで、やっと終わっ…た。〈気を失う〉
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:〈*侵略文明対策組織《しんりゃくぶんめいたいさくそしき》アーク医務室〉
仁美:ん…。あ、あれ?ここは?
政信:良かった!仁美!よくやく目を覚ましたか!
仁美:ここは?
政信:ここはうちの医務室だ。君は三日三晩眠っていたんだ。
仁美:え?三日も?
政信:ああ。ずっと通信が繋がらなくて心配していたんだが、救護班から連絡を受けて現場に急行した時は心臓が止まるかと思ったよ。なにせ、うちの魔法少女が二人も倒れていたんだからな。
仁美:あ、そういえば*華恵《はなえ》さん、「*獄炎戦士《ごくえんせんし》クリスタルフレア」はあの後どうなったの?
政信:君の活躍のおかげで彼女を取り巻いていた闇は完全に取り払われた。今は別室で休んでいるよ。そんなことより、まさか仁美がモード進化まで*会得《えとく》するとはな。
仁美:私、あの時は*華恵《はなえ》さんの闇に負けるもんかって、それこそ無我夢中で…正直自分でもよく覚えていないの。
政信:良いんだよ。とにかく君の強い思いが奇跡を起こしたんだ!
:〈華恵が仁美の病室に現れる〉
華恵:仁美…大丈夫?
政信:華恵!お前もう起きて大丈夫なのか?
華恵:ええ。もう大丈夫よ。それより私、仁美にあんな酷いことを…うう、本当にごめんなさい。〈泣き出す〉
仁美:*華恵《はなえ》さん、謝らないで。あなたはただ、闇の力に取り込まれていただけなんだから。
華恵:仁美…ありがとう!私ね、弱い自分がずっと嫌いで強さばかりを追い求めていたの。そうしたらある時頭の中に声が響いて来てね…
政信:声?それはどんな声だったんだ?
華恵:「より強くなりたいなら*我《われ》に全てを*委《ゆだ》ねよ」って。それで気が付いたら闇の力に身も心も乗っ取られていたの。だから理由はどうあれ全ては私の弱い心が招いた結果なの。私…魔法少女として失格だわ。本当に申し訳ない…。
仁美:そんなことないです。*華恵《はなえ》さんは立派な魔法少女です!それに強くなりたいって思うことは決して悪いことじゃないです。だからもう気にしないでください。こうして無事に元に戻れたんだし。
華恵:…私のこと、許してくれるの?
仁美:もちろんです!あ、そうだ!私、あなたとお友達になりたい。*華《はな》ちゃんって呼んで良いかしら?
華恵:うん!もちろんよ!よろしくね!仁美!
仁美:*華《はな》ちゃん、お互い魔法少女同士これからも頑張りましょ!
華恵:ええ!
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政信:(M)こうして一連の事件はアクアミートの強い思いが引き起こした奇跡によって無事解決した。だがしかし、未だに姿すら見せない敵を前に一体彼女らはどうやって戦うのか。負けるな!我らが魔法少女達よ!必ずや悪の野望を打ち砕いてくれ!
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:【次回予告】
仁美:新たな仲間、*華《はな》ちゃんと一緒に訓練に励む毎日が始まった。そんな中、ついに闇の侵略者が私達の前に姿を現す!次回、爆食戦士アクアミート第3話「遅れて来た侵略者」あなたの全て、食べちゃうぞ♡…これ、マジで毎回言うの?
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:~完~