台本概要

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タイトル 素直じゃない佐藤くん。
作者名 音佐りんご。  (@ringo_otosa)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 風邪で病欠した女子のお見舞いに来たけど素直じゃない男子がめちゃくちゃ挙動不審になるラブコメ。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
河合 114 河合雪希かわいゆき。 風邪で病欠した女子。明るくて真面目。ちょっとさみしがり屋。
佐藤 114 佐藤響哉さとうきょうや。 河合のお見舞いに来たけど素直じゃない男子。自分のことをクールだと思ってるけどめちゃくちゃ挙動不審。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
素直じゃない佐藤くん。 河合雪希 風邪で病欠した女子。明るくて真面目。ちょっとさみしがり屋。 佐藤響哉 河合のお見舞いに来たけど素直じゃない男子。自分のことをクールだと思ってるけどめちゃくちゃ挙動不審。 0:風邪で病欠した河合の家の前。 0:エコバッグを提げた佐藤、家の前をうろうろしていたが意を決してチャイムを鳴らす。 0:少しの間。 0:以下、テレビドアホン越しの会話。 河合:はーい。 佐藤:あ。河合。俺、佐藤だけど。 河合:……見たら分かるけど。 佐藤:あ、カメラ付き……。 河合:うん、前髪直してたのもばっちり見えてる。 佐藤:え。 河合:どしたん? 佐藤:あ、いや。今日さ、河合学校来なかったから、その、ちょっと心配になって―― 河合:え? 佐藤が? 佐藤:――来たわけじゃないんだけど。 河合:だよね、びっくりした。 佐藤:でも、体調崩したって萩野先生から聞い――たって松本が言ってて、 河合:あぁ、松本の差し金ね。 佐藤:あ、いや、まぁだから、様子見に。 河合:へー。わざわざありがと? 佐藤:いや、でもたまたまこの辺通る用事あったから、だからな? 河合:だと思った。用って? 佐藤:この辺新しく大きいスーパーできただろ? 河合:あぁ、イオンの。 佐藤:うん、イオンの。 河合;あーね。 佐藤:……そう。様子見に来たんだ河合じゃなくてスーパーの。イオンの! 河合:あー。確かに気になっちゃうよねー。どうよイオン? 佐藤:え、いやまぁ、悪くない、かな。 河合:へーそうなんだぁ。てか家上がる? 佐藤:え!? 河合:寒いでしょそこ。 佐藤:へ、平気。てか寧ろ暑いし? 河合:えー? やせ我慢かよ、風邪引くぞー? 佐藤:いや、風邪引きはお前だろ。 河合:ははは、それな。 佐藤:というか、寝てなくて平気かよ? 河合:んー、平気平気。あたし今バチバチ頭痛いけど。へーき。 佐藤:いや、寝てろよ馬鹿。 河合:はぁ? だったら来んなし。チャイム鳴らすなし。 佐藤:それは……、そうだけど親……御さん出るかなって思って。 河合:親御さんて。てか今、親いないし。 佐藤:え。 河合:仕事休んでくれなきゃ心細いと、もうそんな歳でもないしさ。てか、じゃなきゃ「上がってく?」とか言わないじゃん。 佐藤:え、いや……、え? 河合:で、どうすんの? 佐藤:……い、いや遠慮しとく。 河合:は? なんで? 佐藤:いや、照れくさ―― 河合:てれ? 佐藤:テレワークみたいでかっこいいじゃん! 河合:は? テレワーク? 何言ってんの佐藤? 佐藤:いや、こうやって話すの。なんかあれ。テレワークみたいじゃね? 河合:は? 佐藤:あ、いや。 河合:……ふふっ、ふふふ、ふふふふふ、 佐藤:河合……? 河合:あはは、いやテレワークて。はは、どんな仕事よ、佐藤の一方通行じゃん。おもろ。はは、ふふ、あー笑ったら頭痛くなってきた。 佐藤:だ、大丈夫か……?! 河合:ふふ、大丈夫じゃないし。 佐藤:ごめ……、 河合:もう、どうしてくれんだよ佐藤ー? 病人笑わせるとか、さてはお前あたしにとどめ刺しに来たヒットマンだなー? 佐藤:あ、いや、 河合:誰に雇われた? 松本か? ええ? どうなんだ佐藤ー? 佐藤:テンション高っ。 河合:お前が上げたんじゃん。ま、でもちょっと元気出たわ。ありがと。 佐藤:そ、そっか、それなら良かっ――たんじゃね。知らんけど。 河合:うん、良かったわ。知らんけど。 佐藤:……へっくし! 0:佐藤、くしゃみをする。 : 佐藤:へっくし! ……ずび。 河合:おいおーい? 佐藤だいじょぶ? テレワークやめて出勤する? 佐藤:いや、平気。 河合:今日結構冷えるしやっぱ上がってけば? 佐藤:や、いや、遠慮しとく。 河合:そんな嫌? 佐藤:あ、じゃなくて、風邪。 河合:風邪? 佐藤:うつったら困るし。 河合:いや、今まさに引きそうなやつが言ってんなよ。あのな? 馬鹿でも風邪引くぞ佐藤? 根拠はあたし。QED! 佐藤:いや、なんだよその証明。 河合:そういえばなんか、佐藤とこうやって話すの久しぶりだよね。 佐藤:え? いや、そうか? いつも学校で会ってるし……。 河合:学校で会ってるけど、いつも松本といるじゃん、あたしら。 佐藤:ま、まぁ言われてみれば三人が多いか。 河合:でしょ? だから、佐藤と二人っきりで面と向かって話すってレアじゃん? 佐藤:二人っき……!? い、いや、てか、面と向かってないし。 河合:ふふ、確かに。これテレワークだったわ。 佐藤:あぁ、だから仕事済まして帰るよ。……風邪引かないうちに。 河合:えー? だからうちで休んでっても良いって言ってんじゃん。 佐藤:い、いや、遠慮、しとく。 河合:遠慮すんなよー? あたしらの仲じゃん? 何? それともあたしのこと実はそんな好きじゃないん? 佐藤:す、す……!? い、いや、別にそういう、アレじゃなくて。 佐藤:……あ、いや、 河合:松本いないと友達じゃないとかだったら、あたしめっちゃ哀しくて死ねるんだけど。え。やっぱ佐藤はあたしのこと嫌い……? 佐藤:や、嫌い―― 河合:…………、 佐藤:じゃ、ない。 河合:そ、そっか。 佐藤:う、ん。 河合:じゃあ―― 佐藤:え? 河合:好き? 0:間。 河合:…………おーい。遅延してる? 佐藤:あ、いや、遅延はしてない。 河合:それはそれは。 佐藤:うん、 河合:それで、どう? 佐藤:……河合。 河合:なに、佐藤。 佐藤:そういえば大丈夫か? 飯とか。 河合;……へ? あ、うん。お昼は昨日の残りあったから。 佐藤:それは良かっ――へぇ、良かったな。残り物あって。 河合:え、いや、佐藤? 佐藤:じゃ、じゃあ夜は? 河合:夜? 佐藤:たしか親、帰ってくるの遅いって前に言って―― 河合:え、覚えてたんだ? 佐藤:言ってたんだろ? 覚えてるとかじゃなくて松本が。 河合:松本が? 佐藤:松本が言ってたから。河合にそう聞いたって。 河合:……まぁ、言ったけど。佐藤にも―― 佐藤:だからさ、松本に、頼まれてこれは、その暇潰しというか―― 河合:は。暇つぶし? あたしに会うのが? ……ふーん。 佐藤:あ、いや、じゃなくて、その。い、イオンの偵察のついでに寄った。通り道だし。そういう話だろ。 河合:へー、松本にそう言われた? 佐藤:そう、 河合:そう。自分で決めたんじゃないんだね。 佐藤:い、いや、俺の意志で。 河合:佐藤が? 佐藤:あ、えーっと……その方が効率的だし。たぶん。 河合:たぶんなんだ。 佐藤:あ、そうだ。ポカリやるよ。 河合:なんで? 佐藤:いっぱいあるから。 0:佐藤、エコバッグの中からポカリをいっぱい取り出す。 河合:いや、なんで? 佐藤:安かったからイオンで買ったんだけど。 河合:買いすぎじゃね……? ポカリ大好きかよ。 佐藤:全部やるわ。 河合:いやいや、なんでだよ? 佐藤:えっと、その、重いから。 河合:そりゃ重いだろうけど。 佐藤:それに俺、家遠いし。 河合:なんで買ったんだよ。 佐藤:風邪引いたらとりあえずポカリ。 河合:あー。お見舞い? 佐藤:って松本が。 河合:……あー。はいはい。 佐藤:あ、あと、晩飯食えないとつらい、よな。 河合:心配してんの? 佐藤:いや、心配とかじゃなくて一般論として。一般論として。 河合:……ふぅん。 0:間。 河合:あのさ、佐藤。もういい? あたし頭痛いから用無いならそろそろ―― 佐藤:うどん。 河合:は? 佐藤:うどん。 河合:な、なにが? 佐藤:だから、その、うどん、もあるけど、あー、カップ麺と、冷凍のやつと。 河合:お、おう? 佐藤:あと、めんつゆとちくわと、かまぼこと、それとたまご。 河合:だから、買いすぎじゃね? てか卵ワンパックあんじゃん。 佐藤:いや、イオン安かったから。いっぱい買った。 河合:そ、そっか。 佐藤:けど、重いからやる。 河合:佐藤お前、買い物下手か。そんなんで大丈夫かよ? 佐藤:あ、今日はたまたま気を抜いて買いすぎただけだ。 河合:いやむしろ気合い入ってるのよ。強気なのよ。エコバッグ持参だし。 佐藤:これはいつも鞄に入ってる。 河合:流石佐藤。真面目じゃん。 佐藤:い、いや……。 河合:うーん、でも、いいや。 佐藤:え? 河合:せっかくだけど、いらないかな。 佐藤:え? 河合うどん嫌いだったか? でも前にうどん好きって――言ってたって松本が言ってた。 河合:いや、まぁ、好きだけど、じゃなくてご飯作る元気は無いかな。って。 佐藤:そ、そっか、そうだよな。 河合:うん、ごめんね。 佐藤:あ、……じゃあカップ麺とポカリだけ置いてく。 河合:あ、ありがと、助かるよ佐藤。 佐藤:き、気にすんな。身軽になりたかっただけだから。 河合:ふふ、だから、なんで買ったのさ? 佐藤:つ、ついでだよ。 河合:へぇ? 佐藤:じゃあ、その、お大事に。 河合:来てくれてありがと。 佐藤:いや、これはあくまで社交辞令だから。 河合:……あ、佐藤待って。 0:ポカリとカップ麺を袋に分けて置くと踵を返す佐藤。 佐藤:……また、学校で。 0:扉を開けて河合が出てくる。 河合:佐藤。 佐藤:え、河合……? というか、パジャマ……。 河合:だって、佐藤急に来るし。 佐藤:いや、でも着替える余裕……。 河合:ないし。佐藤ずっと喋るんだもん。 佐藤:それは、 河合:ね、佐藤。作ってよ。 佐藤:な、何を? 河合:うどん。 佐藤:う、どん? 河合:うん。 佐藤:いつ。 河合:いや、今でしょ。 佐藤:え、あ、い、いや、お湯くらい自分で、 河合:カップ麺じゃ無くて。 佐藤:風邪うつるとあれだから。 河合:ねぇ、風邪悪化するんだけど? 早く決めて? 寒い。 佐藤:そんなかっこで出てくるから。 河合:だって佐藤帰ろうとするし。寂しいじゃん。 佐藤:……しんどそう、だな。 河合:うん。 佐藤:……仕方ないな、作ってやる。 河合:いいの? 佐藤:ちょうど、腹減ってたし。 河合:ふふ、じゃあ遠慮無くお呼ばれするね? 佐藤:お呼ばれっていうのか……? 台所借りるけど、これは、その、あくまで俺の空腹を満たすためであって……。 河合:あたしの為では無いと? 佐藤:あ、ああ。あとついでに、俺の料理の腕を見せつけたくて。 河合:ふーん? どうして? やっぱあたしのこと好きだから? 佐藤:うん―― 河合:え。 佐藤:あ。……うんっと、おいしいのを作ってやるって。早く良くなるように。 河合:……そう。 佐藤:ま、まぁ。 河合:ねぇ佐藤 佐藤:何だよ? 河合:好き。 佐藤:え!? なん……?? 河合:いや、佐藤、物好きなんだねって。 佐藤:あ、ああ。 河合:さ、上がって? そろそろ本気で寒い。 佐藤:大丈夫か? 河合:大丈夫じゃなかったら、どうしてくれる? 佐藤:俺が支える? 河合:え。 佐藤:……よく見たら顔結構赤いな。 河合:へ、平気だし! 佐藤:そ、その、しんどかったら言えよ? 河合は素直じゃないから。 河合:……いやお前が言うな!

素直じゃない佐藤くん。 河合雪希 風邪で病欠した女子。明るくて真面目。ちょっとさみしがり屋。 佐藤響哉 河合のお見舞いに来たけど素直じゃない男子。自分のことをクールだと思ってるけどめちゃくちゃ挙動不審。 0:風邪で病欠した河合の家の前。 0:エコバッグを提げた佐藤、家の前をうろうろしていたが意を決してチャイムを鳴らす。 0:少しの間。 0:以下、テレビドアホン越しの会話。 河合:はーい。 佐藤:あ。河合。俺、佐藤だけど。 河合:……見たら分かるけど。 佐藤:あ、カメラ付き……。 河合:うん、前髪直してたのもばっちり見えてる。 佐藤:え。 河合:どしたん? 佐藤:あ、いや。今日さ、河合学校来なかったから、その、ちょっと心配になって―― 河合:え? 佐藤が? 佐藤:――来たわけじゃないんだけど。 河合:だよね、びっくりした。 佐藤:でも、体調崩したって萩野先生から聞い――たって松本が言ってて、 河合:あぁ、松本の差し金ね。 佐藤:あ、いや、まぁだから、様子見に。 河合:へー。わざわざありがと? 佐藤:いや、でもたまたまこの辺通る用事あったから、だからな? 河合:だと思った。用って? 佐藤:この辺新しく大きいスーパーできただろ? 河合:あぁ、イオンの。 佐藤:うん、イオンの。 河合;あーね。 佐藤:……そう。様子見に来たんだ河合じゃなくてスーパーの。イオンの! 河合:あー。確かに気になっちゃうよねー。どうよイオン? 佐藤:え、いやまぁ、悪くない、かな。 河合:へーそうなんだぁ。てか家上がる? 佐藤:え!? 河合:寒いでしょそこ。 佐藤:へ、平気。てか寧ろ暑いし? 河合:えー? やせ我慢かよ、風邪引くぞー? 佐藤:いや、風邪引きはお前だろ。 河合:ははは、それな。 佐藤:というか、寝てなくて平気かよ? 河合:んー、平気平気。あたし今バチバチ頭痛いけど。へーき。 佐藤:いや、寝てろよ馬鹿。 河合:はぁ? だったら来んなし。チャイム鳴らすなし。 佐藤:それは……、そうだけど親……御さん出るかなって思って。 河合:親御さんて。てか今、親いないし。 佐藤:え。 河合:仕事休んでくれなきゃ心細いと、もうそんな歳でもないしさ。てか、じゃなきゃ「上がってく?」とか言わないじゃん。 佐藤:え、いや……、え? 河合:で、どうすんの? 佐藤:……い、いや遠慮しとく。 河合:は? なんで? 佐藤:いや、照れくさ―― 河合:てれ? 佐藤:テレワークみたいでかっこいいじゃん! 河合:は? テレワーク? 何言ってんの佐藤? 佐藤:いや、こうやって話すの。なんかあれ。テレワークみたいじゃね? 河合:は? 佐藤:あ、いや。 河合:……ふふっ、ふふふ、ふふふふふ、 佐藤:河合……? 河合:あはは、いやテレワークて。はは、どんな仕事よ、佐藤の一方通行じゃん。おもろ。はは、ふふ、あー笑ったら頭痛くなってきた。 佐藤:だ、大丈夫か……?! 河合:ふふ、大丈夫じゃないし。 佐藤:ごめ……、 河合:もう、どうしてくれんだよ佐藤ー? 病人笑わせるとか、さてはお前あたしにとどめ刺しに来たヒットマンだなー? 佐藤:あ、いや、 河合:誰に雇われた? 松本か? ええ? どうなんだ佐藤ー? 佐藤:テンション高っ。 河合:お前が上げたんじゃん。ま、でもちょっと元気出たわ。ありがと。 佐藤:そ、そっか、それなら良かっ――たんじゃね。知らんけど。 河合:うん、良かったわ。知らんけど。 佐藤:……へっくし! 0:佐藤、くしゃみをする。 : 佐藤:へっくし! ……ずび。 河合:おいおーい? 佐藤だいじょぶ? テレワークやめて出勤する? 佐藤:いや、平気。 河合:今日結構冷えるしやっぱ上がってけば? 佐藤:や、いや、遠慮しとく。 河合:そんな嫌? 佐藤:あ、じゃなくて、風邪。 河合:風邪? 佐藤:うつったら困るし。 河合:いや、今まさに引きそうなやつが言ってんなよ。あのな? 馬鹿でも風邪引くぞ佐藤? 根拠はあたし。QED! 佐藤:いや、なんだよその証明。 河合:そういえばなんか、佐藤とこうやって話すの久しぶりだよね。 佐藤:え? いや、そうか? いつも学校で会ってるし……。 河合:学校で会ってるけど、いつも松本といるじゃん、あたしら。 佐藤:ま、まぁ言われてみれば三人が多いか。 河合:でしょ? だから、佐藤と二人っきりで面と向かって話すってレアじゃん? 佐藤:二人っき……!? い、いや、てか、面と向かってないし。 河合:ふふ、確かに。これテレワークだったわ。 佐藤:あぁ、だから仕事済まして帰るよ。……風邪引かないうちに。 河合:えー? だからうちで休んでっても良いって言ってんじゃん。 佐藤:い、いや、遠慮、しとく。 河合:遠慮すんなよー? あたしらの仲じゃん? 何? それともあたしのこと実はそんな好きじゃないん? 佐藤:す、す……!? い、いや、別にそういう、アレじゃなくて。 佐藤:……あ、いや、 河合:松本いないと友達じゃないとかだったら、あたしめっちゃ哀しくて死ねるんだけど。え。やっぱ佐藤はあたしのこと嫌い……? 佐藤:や、嫌い―― 河合:…………、 佐藤:じゃ、ない。 河合:そ、そっか。 佐藤:う、ん。 河合:じゃあ―― 佐藤:え? 河合:好き? 0:間。 河合:…………おーい。遅延してる? 佐藤:あ、いや、遅延はしてない。 河合:それはそれは。 佐藤:うん、 河合:それで、どう? 佐藤:……河合。 河合:なに、佐藤。 佐藤:そういえば大丈夫か? 飯とか。 河合;……へ? あ、うん。お昼は昨日の残りあったから。 佐藤:それは良かっ――へぇ、良かったな。残り物あって。 河合:え、いや、佐藤? 佐藤:じゃ、じゃあ夜は? 河合:夜? 佐藤:たしか親、帰ってくるの遅いって前に言って―― 河合:え、覚えてたんだ? 佐藤:言ってたんだろ? 覚えてるとかじゃなくて松本が。 河合:松本が? 佐藤:松本が言ってたから。河合にそう聞いたって。 河合:……まぁ、言ったけど。佐藤にも―― 佐藤:だからさ、松本に、頼まれてこれは、その暇潰しというか―― 河合:は。暇つぶし? あたしに会うのが? ……ふーん。 佐藤:あ、いや、じゃなくて、その。い、イオンの偵察のついでに寄った。通り道だし。そういう話だろ。 河合:へー、松本にそう言われた? 佐藤:そう、 河合:そう。自分で決めたんじゃないんだね。 佐藤:い、いや、俺の意志で。 河合:佐藤が? 佐藤:あ、えーっと……その方が効率的だし。たぶん。 河合:たぶんなんだ。 佐藤:あ、そうだ。ポカリやるよ。 河合:なんで? 佐藤:いっぱいあるから。 0:佐藤、エコバッグの中からポカリをいっぱい取り出す。 河合:いや、なんで? 佐藤:安かったからイオンで買ったんだけど。 河合:買いすぎじゃね……? ポカリ大好きかよ。 佐藤:全部やるわ。 河合:いやいや、なんでだよ? 佐藤:えっと、その、重いから。 河合:そりゃ重いだろうけど。 佐藤:それに俺、家遠いし。 河合:なんで買ったんだよ。 佐藤:風邪引いたらとりあえずポカリ。 河合:あー。お見舞い? 佐藤:って松本が。 河合:……あー。はいはい。 佐藤:あ、あと、晩飯食えないとつらい、よな。 河合:心配してんの? 佐藤:いや、心配とかじゃなくて一般論として。一般論として。 河合:……ふぅん。 0:間。 河合:あのさ、佐藤。もういい? あたし頭痛いから用無いならそろそろ―― 佐藤:うどん。 河合:は? 佐藤:うどん。 河合:な、なにが? 佐藤:だから、その、うどん、もあるけど、あー、カップ麺と、冷凍のやつと。 河合:お、おう? 佐藤:あと、めんつゆとちくわと、かまぼこと、それとたまご。 河合:だから、買いすぎじゃね? てか卵ワンパックあんじゃん。 佐藤:いや、イオン安かったから。いっぱい買った。 河合:そ、そっか。 佐藤:けど、重いからやる。 河合:佐藤お前、買い物下手か。そんなんで大丈夫かよ? 佐藤:あ、今日はたまたま気を抜いて買いすぎただけだ。 河合:いやむしろ気合い入ってるのよ。強気なのよ。エコバッグ持参だし。 佐藤:これはいつも鞄に入ってる。 河合:流石佐藤。真面目じゃん。 佐藤:い、いや……。 河合:うーん、でも、いいや。 佐藤:え? 河合:せっかくだけど、いらないかな。 佐藤:え? 河合うどん嫌いだったか? でも前にうどん好きって――言ってたって松本が言ってた。 河合:いや、まぁ、好きだけど、じゃなくてご飯作る元気は無いかな。って。 佐藤:そ、そっか、そうだよな。 河合:うん、ごめんね。 佐藤:あ、……じゃあカップ麺とポカリだけ置いてく。 河合:あ、ありがと、助かるよ佐藤。 佐藤:き、気にすんな。身軽になりたかっただけだから。 河合:ふふ、だから、なんで買ったのさ? 佐藤:つ、ついでだよ。 河合:へぇ? 佐藤:じゃあ、その、お大事に。 河合:来てくれてありがと。 佐藤:いや、これはあくまで社交辞令だから。 河合:……あ、佐藤待って。 0:ポカリとカップ麺を袋に分けて置くと踵を返す佐藤。 佐藤:……また、学校で。 0:扉を開けて河合が出てくる。 河合:佐藤。 佐藤:え、河合……? というか、パジャマ……。 河合:だって、佐藤急に来るし。 佐藤:いや、でも着替える余裕……。 河合:ないし。佐藤ずっと喋るんだもん。 佐藤:それは、 河合:ね、佐藤。作ってよ。 佐藤:な、何を? 河合:うどん。 佐藤:う、どん? 河合:うん。 佐藤:いつ。 河合:いや、今でしょ。 佐藤:え、あ、い、いや、お湯くらい自分で、 河合:カップ麺じゃ無くて。 佐藤:風邪うつるとあれだから。 河合:ねぇ、風邪悪化するんだけど? 早く決めて? 寒い。 佐藤:そんなかっこで出てくるから。 河合:だって佐藤帰ろうとするし。寂しいじゃん。 佐藤:……しんどそう、だな。 河合:うん。 佐藤:……仕方ないな、作ってやる。 河合:いいの? 佐藤:ちょうど、腹減ってたし。 河合:ふふ、じゃあ遠慮無くお呼ばれするね? 佐藤:お呼ばれっていうのか……? 台所借りるけど、これは、その、あくまで俺の空腹を満たすためであって……。 河合:あたしの為では無いと? 佐藤:あ、ああ。あとついでに、俺の料理の腕を見せつけたくて。 河合:ふーん? どうして? やっぱあたしのこと好きだから? 佐藤:うん―― 河合:え。 佐藤:あ。……うんっと、おいしいのを作ってやるって。早く良くなるように。 河合:……そう。 佐藤:ま、まぁ。 河合:ねぇ佐藤 佐藤:何だよ? 河合:好き。 佐藤:え!? なん……?? 河合:いや、佐藤、物好きなんだねって。 佐藤:あ、ああ。 河合:さ、上がって? そろそろ本気で寒い。 佐藤:大丈夫か? 河合:大丈夫じゃなかったら、どうしてくれる? 佐藤:俺が支える? 河合:え。 佐藤:……よく見たら顔結構赤いな。 河合:へ、平気だし! 佐藤:そ、その、しんどかったら言えよ? 河合は素直じゃないから。 河合:……いやお前が言うな!