台本概要

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タイトル あの星をもう一度。
作者名 ドランゴ  (@D_rango22)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男2、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ある幼なじみの3人がまた星を見る物語。

※配信で使う際には報告等必要ありません。
台本使用際にはTwitterのDM等で報告されますと励みになります。キャラの横にNが付いてますがナレーションです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
晴輝 103 3人の中のムードメーカー。明るく元気がある。※兄を兼役でお願いします。
浩太 147 浩太(こうた):3人の中で大人。2人をまとめる苦労人。
76 雫(しずく):3人の中だとお喋りになるが人見知り。※妹を兼役でお願いします。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
晴輝:(N)あの時の星をもう一度見たいと思った。 浩太:(N)3人で見たあの綺麗な星空をもう一度。 雫:(N)もう一度だけ、見たいな。 0:高校生の頃 晴輝:なぁ浩太!お前夏休み何するんだ?! 浩太:う〜んそうだなぁ…僕は天体観測をしようと思ってるよ、他はあんまり考えてない。 晴輝:天体観測…?要は星を見るって事か? 浩太:まぁそうだね。 雫:お疲れ、2人ともなんの話しをしてるの? 晴輝:おぉ!雫いいとこに!!丁度夏休み何するか聞いてたんだよ! 雫:うーん私は特に考えてないな〜 晴輝:そこで俺からの提案だ!! 浩太:晴輝は本当に唐突だな… 雫:まぁまぁ浩太、一旦聞いてみようよ 晴輝:実はだな…キャンプをしてみたいと思ってる!!どうだ!!俺たち3人で!いいと思わないか?! 浩太:晴輝、落ち着け。 雫:うーん…いいかも!!私もキャンプやってみたい! 浩太:雫まで?!はぁ…仕方ない。君たち2人がそうなったら僕にはどうにも出来ない、僕もそれに参加しよう。 晴輝:よっしゃあ!決定!まぁ問題は何日にするかだが…明後日とかどうだ? 雫:明後日…明後日は〜っと…うん!私は予定ないよ!! 浩太:僕も明後日は特に何もないよ。 晴輝:じゃあ明後日で決定な!!! 0:明後日 晴輝:よし準備はいいか皆の者!! 浩太:いつの時代の喋り方してるんだよ。 雫:いや〜良かったね〜晴輝のお父さんが送り迎え担当してくれて!! 浩太:ほんとだよ、今度何かお礼しとこうかな。 晴輝:親父もキャンプとか好きだったからすげぇ喜んでたよ、やっぱり俺の子だなってさ! 浩太:確かに晴輝のお父さんと顔似てるもんね。 雫:ね〜晴輝は中身子供だけどイケメンだもんね〜憎めないやつ〜 晴輝:中身子供って…実際まだ俺らガキだろ! 浩太:高校生はもう大人の準備段階みたいなもんだろ、僕達の代でもあと少しで社会に出たりする人もいるんだよ。 雫:確かにね〜私は進学だけど2人はどうするの? 浩太:僕も大学に進学だよ、医者になるつもりだからね。 晴輝:え!お前らどっちも進学なの?!俺だけかよ就職するの!! 浩太:やっぱり晴輝は就職か、何処に就職するつもりなんだ? 晴輝:んーまぁ設計士的なやつだよ。 雫:え?晴輝って設計士の資格持ってたっけ? 晴輝:バカにすんなよ〜?ちゃんと資格は持ってるんだよ!! 浩太:そういえば資格の勉強やってたね。 雫:私は学科が違うから知らなかったけど浩太知ってたの? 浩太:まぁ晴輝に勉強教えてるのは僕だからね、学科も一緒だから教えるのに付き合ってたし、当然僕も資格は持ってるけど本来僕の取るべき資格ではなかったけどね。 雫:そうだよね、医者になるのに建築関係の資格持っててもね… 浩太:一応役に立つかもしれないから損はないけどね 晴輝:まぁでも今日のキャンプは思いっきり楽しもうぜ!!とりあえずテント立てるか!! 浩太:晴輝がテント立てするなら僕は食事の準備でもしようか、今昼くらいだからいい頃合いだしね。 雫:私は浩太の手伝いしてるね! 晴輝:えっ!俺1人でテント立てんのかよ!!! 浩太:お前は器用なんだから出来るだろ? 晴輝:分かったよ!ったく… 0:数十分後 晴輝:出来たぜテント! 浩太:あ、お疲れ様。こっちももう少しで出来るよ。 晴輝:なんかいい匂いするなと思ったけど定番のカレー作ってるの? 浩太:流石にカレーだけじゃ味気ないと思ってな。お前の好きな肉も追加してる、ちなみにカツカレーの予定だよ。 晴輝:マジか!!やっぱり何かしら手心を加えてくれるなぁ!浩太は!! 雫:実際にカツを作ったのは私だよー?味付けに関しては浩太の持ってきてくれた調味料のおかげだけど。 浩太:まぁまぁ雫も手伝ってくれたし助かったよ。 晴輝:そんじゃまぁ食べようぜ!! 0:3人折りたたみ式の椅子に腰掛ける 晴輝:それじゃ!手を合わせてください!! 浩太:全ての命に感謝して! 雫:頂きまーす!(合わせて) 晴輝:いっただき〜!!(合わせて) 浩太:頂きます。(合わせて) : 晴輝:あむっ…ん!なんかこの肉鶏肉じゃないな!!浩太何の肉使ったんだ? 浩太:あぁその肉は牛肉だよ、晴輝牛肉好きだったでしょ?僕からのせめてものサプライズだよ。 雫:そうなんだ!だからなんか歯ごたえ的なのがあるな〜と思ってたんだよね。 晴輝:しかもカレーもなんか美味いしな!!なんだこれ!美味い!美味いぞ!! 雫:そんなにがっつかないの〜少しは落ち着いて食べなよ 浩太:まぁまぁ、ちなみにカレーにも隠し味は入れてるけど2人は分かるかな? 晴輝:んー…分かんね!なんなんだ? 浩太:雫は? 雫:んー…なんか甘みがあるけど牛乳とかじゃないだろうしなぁ…分かんない!正解教えて浩太! 浩太:雫は惜しかったけど正解はコーヒー牛乳だよ、自衛隊の人とかでもカレー作る時にコーヒー牛乳を入れてるらしくてね、試しに入れてみたんだ。 晴輝:なるほどなぁ…にしても美味いな〜こういう自然でカレー食うってのも悪くねぇな! 浩太:そうだね、色々と会話が弾むし心が豊かになる気分だよ。 雫:私は元々自然が好きだから楽しいよ〜3人っていうのもあるけどね!! 晴輝:しっかし何年も一緒にいると飽きるんじゃねぇかなとか思ったけど案外そうでもないんだな! 浩太:僕らの仲の良さは中々だと思うけどね。 雫:ほんとだよね〜全員違うのにこんなに気が合うって凄いね〜! 0:昼食を食べてゆっくりする3人 晴輝:さて!飯も食ったし俺は周りでも散歩がてら行ってくるわ!! 浩太:行ってらっしゃい。 雫:私は浩太と話しておくから楽しんで〜 晴輝:はいよー!うっひょー!周り何があるのかな〜 雫:……ねぇ浩太 浩太:ん?どうしたの? 雫:まだ晴輝には行ってないけど私の進学場所県外なんだ。 浩太:え?そうなんだ… 雫:晴輝は多分知ったら悲しくなると思うから黙っててね?でも浩太なら晴輝の事任せられると思うからさ? 浩太:晴輝も知ってた方が良いんじゃないのかな? 雫:ほんとに浩太は鈍感だよね(小声) 浩太:?なんか言った? 雫:ううん!なんでもない!とりあえず晴輝には黙っててよね!! 浩太:分かったよ。 雫:私もそこら辺散歩してくる!! 浩太:はーい…雫… 0:数十分後晴輝が帰ってくる 晴輝:ういーただいまー!あれ?雫は? 浩太:雫なら散歩に行ったみたいだよ 晴輝:なんだよ〜俺も一緒に歩いてみたかったわ〜 浩太:晴輝… 晴輝:ん?どうした? 浩太:……いや、なんでもない。 晴輝:んだよ〜勿体ぶらずに言えよ? 浩太:いや、まだその時じゃないから。 晴輝:?なんか分かんねぇけどまぁいいか。 浩太:どうだった?周りの景色は。 晴輝:ちょー良かったぜ!いやー最後にしては良かったな〜って思う! 浩太:最後?何言ってるんだよ? 晴輝:あ、やべ… 浩太:最後ってどういう意味だ?晴輝 晴輝:あー…まぁ浩太ならいいか…実はな俺あと2年くらいって言われててさ。 浩太:は?!なんだよそれ!聞いてないぞ?! 晴輝:いやー雫とか浩太には言えるわけないだろ?まぁでも浩太なら大丈夫かと思ってさ!最近告発されたけど絶対死ぬって言われたわけじゃねぇしさ! 浩太:なんだよそれ…だったら尚更雫には伝えた方がいいだろ!! 晴輝:あいつが知ったら絶対悲しむだろ?あと俺が女の子が泣いてる姿見たくないのは知ってるだろ? 浩太:……分かった。 晴輝:そんなに落ち込むなよ!あと2年あるからよ!今を全力で楽しもうぜ? 浩太:まぁ、そうだな… 雫:ねぇ晴輝今の本当なの…? 0:涙を浮かべながらテントに入ってくる雫 晴輝:雫?!まさか今の全部聞いてた…? 雫:ねぇ本当なのいまさっきの話は。 晴輝:俺が嘘つくように思うか? 雫:…… 浩太:雫… 晴輝:でも知ってしまったからには仕方ねぇよな。でもさ?ただ余命2年って言われただけで絶対って訳じゃねぇじゃん!(気にすんなって!) 雫:晴輝(被せて) 晴輝:なんだよ? 雫:私、晴輝の事前から好きだった。 晴輝:は?なんだよいきなり 浩太:…僕は外の方見てくるから2人でしっかり話してね。 晴輝:あ、おい!浩太!! 0:少しの沈黙 雫:晴輝、私ねずっと晴輝の事好きだったの、だからそんなの認めたくない。 晴輝:だから言ってるだろー?俺は余命だろうと死ぬ気なんてねぇよ。 雫:じゃあ、なんでさっきから私の方を見てくれないの? 晴輝:… 雫:本当は余命じゃなくてもうほぼ決まってるんでしょ…?死ぬのは。 晴輝:なんでお前は分かるんだよ… 雫:晴輝… 晴輝:俺だって…死にたくねぇよ…!でもな?もう決まってるようなもんって言われてお前らと思い出作って…浩太がいるから雫の事は任せられると思ってたんだよ…! 雫:ねぇ晴輝、ずっと我慢してたんでしょ? 晴輝:……そうだよ、お前らとずっと居たかったんだよ!(声を震わせながら) 雫:ならさ、晴輝が死ぬまで私はそばにいる。 晴輝:雫… 雫:だから泣かないで? 晴輝:うん…ごめん…ごめん… 浩太:話はついたみたいだね。 雫:浩太…タイミングばっちしだよ。 浩太:晴輝、僕も晴輝のそばにいる。お前はひとりじゃないだろ? 晴輝:浩太…雫… 浩太:だから受け入れるなよ、いつものお前なら余命なんてぶっ飛ばしちまえよ、お前の元気に僕達は救われてきてたんだよ。 晴輝:……あぁ!余命なんてクソ喰らえだ!! 雫:良かった…元気になってくれて… 浩太:2人とも、とりあえず涙拭いて。ほらハンカチ。 晴輝:……ははっ、相変わらず浩太は準備がいいな! 雫:だね!相変わらずのお母さん体質! 浩太:用意はどれだけしても問題ないでしょ? 晴輝:そうだな!さて!トランプでもやろうぜ!! 雫:だね!何かしないと気分も晴れないし!! 浩太:……ふふ。付き合うよ。 0:夜 晴輝:やっと夜って感じだな。 浩太:さてと…あったあった… 0:双眼鏡を取り出す浩太 雫:ん?双眼鏡なんて取り出して何するの? 浩太:僕は星を見るのが好きなんだよ、2人も見てみる? 晴輝:おぉ!いいね見る見る! 雫:私も!! 浩太:はいはい順番にね。 0:星を交代で見る3人 晴輝:綺麗だな星。 雫:うん、すごいキラキラしてる。 浩太:空には色んな星があるからね、今はまだこの小さい双眼鏡しかないけど、いつかは大きい望遠鏡も を買おうと思ってる。 晴輝:そんときは3人で見ようぜ! 雫:賛成! 浩太:そうだな、またいつかあの星をもう一度見に行こう。 : 浩太:(N)それから日々は過ぎて行って、雫は県外に進学、僕は地元の大学に進学。晴輝は地元で就職。それから晴輝の余命の日が来た。 0:病院にて 晴輝:…俺本当に大丈夫なのかな…浩太 浩太:お前今まで通り元気なんだろ?なら大丈夫だ、自分を信じろ。あと雫は元気にしてるとさ。 晴輝:そうか…良かった。 0:晴輝が呼ばれる 晴輝:結果が出たみたいだな、行ってくるわ。 浩太:あぁ、いい結果待ってるよ。 晴輝:浩太、ん。 0:晴輝が拳を突き出す。 浩太:ふっ、行ってこい親友。 晴輝:ふふっ、あぁ。 0:晴輝は笑みを浮かべて結果を聞きに行く。 0:数十分後 晴輝:結果、聞いてきたよ。 浩太:どうだった? 晴輝:異常無く、普通に生きていけるだとよ。 浩太:ふっ、良かったな、お前ならそうなるって信じてたよ。 晴輝:ありがとな、浩太確か雫の連絡先持ってたよな?今から雫に連絡させてくれ。 浩太:それはいいけど僕はタバコ吸ってくるよ? 晴輝:あれ?浩太タバコなんて吸ってたか? 浩太:色々あってね、進学先でストレス溜まってタバコ吸うと落ち着くんだよ。 晴輝:俺も行く。 浩太:……1本吸ってみるか? 晴輝:おう。 0:2人喫煙所へ 浩太:ほらよ。 晴輝:どうやって吸うの?これ。 浩太:咥(くわ)えろ、僕が火を付けたタイミングで吸え。吸いすぎたら噎(む)せるからな。 晴輝:おう……げほっけほっ… 浩太:だから言っただろ……ふぅ… 晴輝:手馴れ過ぎだろお前。 浩太:今となっては普通だよ、それより雫に伝えてやれよ。 晴輝:あぁそうだったな…ええと雫、雫…あった! 0:雫に電話をかける晴輝 晴輝:もしもし雫?今大丈夫? 雫:え?もしかして晴輝?!なんで浩太の携帯から? 晴輝:お前の連絡先もらってなかったからさ。まぁ話の続きだけど高校の頃に話した余命の話覚えてる? 雫:あのキャンプした時の? 晴輝:そうそう、俺余命無くなって普通に生きていける事になったんだよ! 雫:そうなの?やったじゃん!!おめでとう! 晴輝:そうそう!だから今度3人でさ、飲みに行こうぜ!! 雫:ふふっ、いいよー?言っとくけど私お酒強いからね〜? 晴輝:げっ!そうなのかよ! 雫:まぁね〜あ、そろそろまた授業始まるからまたね! 晴輝:おう!頑張れよ!! 0:電話終了 浩太:雫はなんて? 晴輝:おめでとうだってさ! 浩太:そうか。 晴輝:とりあえず俺も安心したわ、そういやまだ天体観測やってんのか? 浩太:望遠鏡も買ったしよく見に行ってるよ。 晴輝:今度俺も連れてってくれよ。 浩太:いいよ、3人で行こうか。 晴輝:前に言ってたデカい望遠鏡買えたのか? 浩太:しっかりね、結構高かったよ? 晴輝:なんぼ? 浩太:6万。 晴輝:たっか。 浩太:まぁまた連絡するよ。 晴輝:おう、またな。 0:それから月日は経ち数年後 浩太:もう僕も就職か、2人とも元気にしてるかな。 0:部屋に着信音が響く。 浩太:電話?誰から…はい、もしもし…え?はい、はい…分かりました。 0:病院にて 浩太:晴輝は何処だ… 雫:浩太! 浩太:晴輝は?! 雫:現場の事故で意識が戻らないって… 浩太:今晴輝は? 雫:今手術中だよ… 浩太:今は待つしかないのか… 0:数時間後、晴輝が亡くなった事が伝えられる。 雫:嘘だよね…?晴輝…? 浩太:…… 雫:浩太ぁ…晴輝はもういないの…? 浩太:帰ろう雫、家までは僕が送っていく、葬式の事は僕から伝えるから今は落ち着くことだけに専念して。 0:雫を送って家に帰ってきた浩太 浩太:晴輝…嘘だって言ってくれ!3人で集まって星を見るんじゃなかったのかよ! 0:それから晴輝の葬式が終わり数ヶ月後 浩太:もしもし雫?今大丈夫? 雫:大丈夫だよ。 浩太:最近ちゃんと食べれてる? 雫:うん、吐いちゃうけど最低限はね。 浩太:そっか、ならいい。また様子は見に行くから元気になる事を祈ってるよ。 0:電話終了 浩太:(N)晴輝が亡くなってから雫はうつ病になり痩せ細って、今でも死にそうな状況に陥(おちい)っている。病院で入院中は僕が様子を見に行っている。 0:数週間後、病院にて。 浩太:雫、大丈夫? 雫:浩太…うん、大丈夫だよ。 浩太:晴輝の事、まだ気にしてる? 雫:うん…だって突然でさ?私もすごいびっくりしてて自分が思っている以上に立ち直れてないみたいなんだ。 浩太:そっか…僕にできることがあれば良いんだけど… 雫:大丈夫、大丈夫だよ。きっと元気になるからさ?あまり心配しないで? 浩太:でも雫が今の状態じゃ心配するよ。 雫:大丈夫だよ… 浩太:そっか…分かった…これデザートとかあるから、ゆっくり元気になってね。 雫:うん、ありがとう。 0:数週間後、雫が自殺した事を知らされる。 浩太:雫…なんで…僕は一体どうしたら救ってやれたんだ…クソ…クソッ! : 浩太:(N)晴輝は事故で、雫は自殺で、たった数年で親友を幼なじみを亡くした僕は気が狂いそうだった。 : 浩太:僕も向こうにいけば2人に会えるのかな…? 晴輝:まだこっちに来るなよ 浩太:晴輝?! 0:後ろを振り返るが晴輝はいない 雫:浩太は生きて? 浩太:… 0:回想〜高校生の時〜 晴輝:いつかさ!俺たち3人で星を見に行こうぜ! 雫:いいね!それ! 晴輝:昨日キャンプで見た時みたいな綺麗な星をさ!俺達3人で見てまた笑い合うんだ!! 雫:そうだね!絶対だよ!晴輝!余命なんかに負けないでね?! 晴輝:あぁ!じゃあ約束しようぜ! 雫:指切りげんまん! 晴輝:嘘ついたら 雫:針飲ーます! 晴輝:指切った!(同時に) 雫:指切った!(同時に) 0:回想終了 浩太:約束した2人が先に死んだら意味ないだろ…(ボソッと) : 浩太:(N)それから仕事が忙しくなりやっと落ち着いたところで僕も30歳を迎えるくらいになったところだった、最近はもう星すらも見る時間も取れていなかったこともあって引越しをした直後で全然自分の時間が取れてなかった。 : 浩太:さて色々、部屋のものを置かないとな… 0:ダンボールから色々物を出す浩太 浩太:ええと…家具はとりあえず買ったからタンスに服からとりあえず収納しよう…次はキッチン周りだな 0:順調に色々な物を置いていく浩太 浩太:残るはこの1つだな…ダンボールやけにデカいけど何荷造りしたんだっけ……あ、これ… : 浩太:(N)それは当時高校生の時に3人でキャンプをした際に使った小さい双眼鏡だった。 : 浩太:そういや墓参りにも全然行けてなかったっけかな…いくか。 0:作業も大方(おおかた)ついたところ、墓場の方に到着。 浩太:晴輝の墓は…あったあった… 0:晴輝の墓の前でしゃがみこんでタバコに火を付ける。 浩太:…ふぅ。ごめんな、こっちは仕事が忙しくて墓参り来るの遅れたよ、あとで雫の方にも行くけどさ。にしても…なんで急に事故とかで逝っちまうかな…約束してたじゃないか、3人で星を見ようって…なのにお前も逝って雫も自殺してさ…一時期僕も落ち込んでそっちの方に行こうとしたけどさ…やっぱり頑張らないといけないじゃんか…まぁでもまた来るよ。これ機会があったら吸っとけよ。 0:晴輝の墓の前にタバコを1本添えていく。 浩太:じゃあな晴輝、また来るわ。 晴輝:いつでも来いよ! 浩太:晴輝…? 0:後ろを振り返ると何もない。 浩太:…雫のとこにいくか。 0:雫の墓の前 浩太:雫、今晴輝のとこ行ってきたよ。なんか晴輝の声が聞こえたけど気のせいだったみたいなんだ。でも確かに晴輝の声がしてさ、最近仕事続きで来れてなかったから疲れてるだけかもしれないけどさ…なんで雫までそっち行くかなぁ… 0:ここから声を震わせながら 浩太:僕はさ、2人といる時すごい楽しかったんだよ、晴輝は僕たちの中で言うムードメーカーだし、雫はよく笑わせてくれたしさ…早く僕もそっち行って2人と話したいよ…なんで先に行っちゃうんだよ…ねぇ、僕を1人にしないでよ… 0:そのまましゃがみこんで顔を膝にうずめる。 浩太:なんで…なんで……なんでだよ…クソ… 0:その時頭を撫でられた様な気がした。 浩太:?!今のは… 0:咄嗟(とっさ)に顔を上げるが目の前には雫の墓だけ。 浩太:そっか、きっと頭を撫でてくれたの雫だったんだよな…ありがとね。雫、チューリップ好きだったろ、これ置いとくね。 0:花屋で買ったチューリップを添える。 浩太:2人とも、また来るから元気でね。 晴輝:お前も頑張れよ親友。 雫:浩太なら頑張れるよ。 浩太:?!……やっぱりいるんだ、2人とも… 0:そのまま後ろを振り帰らず歩いて家まで帰る浩太 浩太:さてと…折角ならこの小さい双眼鏡で今日は星を久々に見るか。 0:身支度をして近くの広場に行く浩太 浩太:あったあった、懐かしいなここ、ここで本当だったら……今何を思っても遅いか、星を見よう。 0:双眼鏡で空を見ると晴れていたせいか星がよく見える。 浩太:やっぱりいくら環境が変わっても星は変わらないな、僕たちもそうだったら良かったのにな…本当に綺麗だな星は。 0:回想 晴輝:俺さ、前までは星とかあんまり興味なかったんだけど、浩太のお陰ですげぇ星に興味湧いちゃったよ!今日暇なら見に行かね? 雫:私も今日予定ないから行く! 0:回想終了 浩太:2人だったら今なんて言うのかな…?晴輝はやっぱり3人で見る星はいいなとか言うのかな…雫もそれに乗じてなにかしら言うんだろうなぁ。 0:自然と涙が出る 浩太:やっぱり寂しいのは変わらないんだな僕は、星を見たいのに涙が出てきて見れないや。 0:その時後ろから抱きつかれる感覚と肩を組まれる感覚を感じた。 浩太:やっぱり2人とも居なくなっても傍にいるんだな……よく分かるよ。2人とも。 晴輝:俺はお前の傍にいるぞ。 雫:私も傍にいるよ。 浩太:2人は多分こう言ってるんだろうな。 0:その時後ろから子供の声がした。 浩太:ん?僕たちどうしたの? 兄:俺たち今散歩してたんだ!!お兄さんは何してるの? 0:どうやら兄妹のようだ。 浩太:僕はね、今星を見てたんだ。 妹:そうなんだ!私達も見たい!!いい? 浩太:いいよ、交代交代で見てね。 0:妹の方に双眼鏡を渡す 妹:うわ〜!綺麗!! 兄:俺も俺も! 0:兄も双眼鏡で星を見ている。 浩太:2人ってこんな感じだったのかな…涙が出てるのに尚更泣けてくるよ… 0:浩太が泣いてるのに気づいた2人 妹:お兄さん大丈夫?なにか悲しいことでもあった? 浩太:ううん、大丈夫だよ、ちょっと懐かしい事を思い出してね。 兄:俺たちでいいなら話し聞くよ! 浩太:じゃあちょっと聞いてもらってもいいかな? 兄:うん!お兄さんと話すのも楽しそうだしさ!! 浩太:僕にはね、君たちくらいの年齢の時から2人の仲のいい人がいてね、1人はお兄ちゃんくらいの元気な男の子ともう1人は妹ちゃんみたいなお兄ちゃんに似てる元気な女の子。本当だったらその子達と星を見る予定だったんだ。 兄:その2人はどうしたの? 浩太:詳しくは言えないけど2人とも亡くなっちゃってね、それで今僕は星を見てたんだ。 妹:お兄さんは悲しくないの? 浩太:悲しいよ、でもね。それでも2人の為にも僕は生きていかなくちゃいけないんだよ、2人に頑張れって言われたから。 兄:頑張れって言われたの? 浩太:そうだね、直接ではないけどそんな気がしたんだよ。 妹:お兄さんは強いんだね…私だったらお兄ちゃんいなかったらすごい悲しいと思う… 浩太:そうだね、だから2人もこれから思い出とかいっぱい作って1つ1つを大事にしたら後悔も何もないと思うよ。 晴輝:うん!俺も雫が好きだからさ!! 雫:私も晴輝が好きだから! 浩太:!! 0:一瞬兄妹であるはずの2人の口からそう聞こえた気がした。 兄:お兄さん?どうしたの? 浩太:ふふ、ううん、なんでもないよ。2人が凄い僕の友達に似てたからついね。 妹:あ!お兄ちゃん早く帰らないとお母さんに怒られちゃうよ! 兄:ほんとだ!お兄さんありがとう!お兄さんと話せて楽しかったバイバーイ!! 浩太:うん、バイバイ。 0:そのまま手を振りながら帰る兄妹を見て手を振りながら見送る浩太 浩太:2人はいないけど、すごい懐かしかったな…なんだか3人で見れた気分だったよ。 0:タバコに火を付ける浩太 浩太:……ふぅ。そう思わないか?晴輝、雫。 晴輝:あぁ、とても良かったよ。 雫:私も見れて楽しかった。 浩太:……そっか、なるほどな…2人は俺の心の中にいてくれてるんだな。 : 浩太:(N)またいつか見たいと思ってた星をこんな形とは言えど3人でまた見れたこの日と景色を僕は忘れないだろう、どんなに離れても僕たち3人は繋がっている。 浩太:またいつか見よう。 晴輝:この星を。 雫:もう一度。 :END

晴輝:(N)あの時の星をもう一度見たいと思った。 浩太:(N)3人で見たあの綺麗な星空をもう一度。 雫:(N)もう一度だけ、見たいな。 0:高校生の頃 晴輝:なぁ浩太!お前夏休み何するんだ?! 浩太:う〜んそうだなぁ…僕は天体観測をしようと思ってるよ、他はあんまり考えてない。 晴輝:天体観測…?要は星を見るって事か? 浩太:まぁそうだね。 雫:お疲れ、2人ともなんの話しをしてるの? 晴輝:おぉ!雫いいとこに!!丁度夏休み何するか聞いてたんだよ! 雫:うーん私は特に考えてないな〜 晴輝:そこで俺からの提案だ!! 浩太:晴輝は本当に唐突だな… 雫:まぁまぁ浩太、一旦聞いてみようよ 晴輝:実はだな…キャンプをしてみたいと思ってる!!どうだ!!俺たち3人で!いいと思わないか?! 浩太:晴輝、落ち着け。 雫:うーん…いいかも!!私もキャンプやってみたい! 浩太:雫まで?!はぁ…仕方ない。君たち2人がそうなったら僕にはどうにも出来ない、僕もそれに参加しよう。 晴輝:よっしゃあ!決定!まぁ問題は何日にするかだが…明後日とかどうだ? 雫:明後日…明後日は〜っと…うん!私は予定ないよ!! 浩太:僕も明後日は特に何もないよ。 晴輝:じゃあ明後日で決定な!!! 0:明後日 晴輝:よし準備はいいか皆の者!! 浩太:いつの時代の喋り方してるんだよ。 雫:いや〜良かったね〜晴輝のお父さんが送り迎え担当してくれて!! 浩太:ほんとだよ、今度何かお礼しとこうかな。 晴輝:親父もキャンプとか好きだったからすげぇ喜んでたよ、やっぱり俺の子だなってさ! 浩太:確かに晴輝のお父さんと顔似てるもんね。 雫:ね〜晴輝は中身子供だけどイケメンだもんね〜憎めないやつ〜 晴輝:中身子供って…実際まだ俺らガキだろ! 浩太:高校生はもう大人の準備段階みたいなもんだろ、僕達の代でもあと少しで社会に出たりする人もいるんだよ。 雫:確かにね〜私は進学だけど2人はどうするの? 浩太:僕も大学に進学だよ、医者になるつもりだからね。 晴輝:え!お前らどっちも進学なの?!俺だけかよ就職するの!! 浩太:やっぱり晴輝は就職か、何処に就職するつもりなんだ? 晴輝:んーまぁ設計士的なやつだよ。 雫:え?晴輝って設計士の資格持ってたっけ? 晴輝:バカにすんなよ〜?ちゃんと資格は持ってるんだよ!! 浩太:そういえば資格の勉強やってたね。 雫:私は学科が違うから知らなかったけど浩太知ってたの? 浩太:まぁ晴輝に勉強教えてるのは僕だからね、学科も一緒だから教えるのに付き合ってたし、当然僕も資格は持ってるけど本来僕の取るべき資格ではなかったけどね。 雫:そうだよね、医者になるのに建築関係の資格持っててもね… 浩太:一応役に立つかもしれないから損はないけどね 晴輝:まぁでも今日のキャンプは思いっきり楽しもうぜ!!とりあえずテント立てるか!! 浩太:晴輝がテント立てするなら僕は食事の準備でもしようか、今昼くらいだからいい頃合いだしね。 雫:私は浩太の手伝いしてるね! 晴輝:えっ!俺1人でテント立てんのかよ!!! 浩太:お前は器用なんだから出来るだろ? 晴輝:分かったよ!ったく… 0:数十分後 晴輝:出来たぜテント! 浩太:あ、お疲れ様。こっちももう少しで出来るよ。 晴輝:なんかいい匂いするなと思ったけど定番のカレー作ってるの? 浩太:流石にカレーだけじゃ味気ないと思ってな。お前の好きな肉も追加してる、ちなみにカツカレーの予定だよ。 晴輝:マジか!!やっぱり何かしら手心を加えてくれるなぁ!浩太は!! 雫:実際にカツを作ったのは私だよー?味付けに関しては浩太の持ってきてくれた調味料のおかげだけど。 浩太:まぁまぁ雫も手伝ってくれたし助かったよ。 晴輝:そんじゃまぁ食べようぜ!! 0:3人折りたたみ式の椅子に腰掛ける 晴輝:それじゃ!手を合わせてください!! 浩太:全ての命に感謝して! 雫:頂きまーす!(合わせて) 晴輝:いっただき〜!!(合わせて) 浩太:頂きます。(合わせて) : 晴輝:あむっ…ん!なんかこの肉鶏肉じゃないな!!浩太何の肉使ったんだ? 浩太:あぁその肉は牛肉だよ、晴輝牛肉好きだったでしょ?僕からのせめてものサプライズだよ。 雫:そうなんだ!だからなんか歯ごたえ的なのがあるな〜と思ってたんだよね。 晴輝:しかもカレーもなんか美味いしな!!なんだこれ!美味い!美味いぞ!! 雫:そんなにがっつかないの〜少しは落ち着いて食べなよ 浩太:まぁまぁ、ちなみにカレーにも隠し味は入れてるけど2人は分かるかな? 晴輝:んー…分かんね!なんなんだ? 浩太:雫は? 雫:んー…なんか甘みがあるけど牛乳とかじゃないだろうしなぁ…分かんない!正解教えて浩太! 浩太:雫は惜しかったけど正解はコーヒー牛乳だよ、自衛隊の人とかでもカレー作る時にコーヒー牛乳を入れてるらしくてね、試しに入れてみたんだ。 晴輝:なるほどなぁ…にしても美味いな〜こういう自然でカレー食うってのも悪くねぇな! 浩太:そうだね、色々と会話が弾むし心が豊かになる気分だよ。 雫:私は元々自然が好きだから楽しいよ〜3人っていうのもあるけどね!! 晴輝:しっかし何年も一緒にいると飽きるんじゃねぇかなとか思ったけど案外そうでもないんだな! 浩太:僕らの仲の良さは中々だと思うけどね。 雫:ほんとだよね〜全員違うのにこんなに気が合うって凄いね〜! 0:昼食を食べてゆっくりする3人 晴輝:さて!飯も食ったし俺は周りでも散歩がてら行ってくるわ!! 浩太:行ってらっしゃい。 雫:私は浩太と話しておくから楽しんで〜 晴輝:はいよー!うっひょー!周り何があるのかな〜 雫:……ねぇ浩太 浩太:ん?どうしたの? 雫:まだ晴輝には行ってないけど私の進学場所県外なんだ。 浩太:え?そうなんだ… 雫:晴輝は多分知ったら悲しくなると思うから黙っててね?でも浩太なら晴輝の事任せられると思うからさ? 浩太:晴輝も知ってた方が良いんじゃないのかな? 雫:ほんとに浩太は鈍感だよね(小声) 浩太:?なんか言った? 雫:ううん!なんでもない!とりあえず晴輝には黙っててよね!! 浩太:分かったよ。 雫:私もそこら辺散歩してくる!! 浩太:はーい…雫… 0:数十分後晴輝が帰ってくる 晴輝:ういーただいまー!あれ?雫は? 浩太:雫なら散歩に行ったみたいだよ 晴輝:なんだよ〜俺も一緒に歩いてみたかったわ〜 浩太:晴輝… 晴輝:ん?どうした? 浩太:……いや、なんでもない。 晴輝:んだよ〜勿体ぶらずに言えよ? 浩太:いや、まだその時じゃないから。 晴輝:?なんか分かんねぇけどまぁいいか。 浩太:どうだった?周りの景色は。 晴輝:ちょー良かったぜ!いやー最後にしては良かったな〜って思う! 浩太:最後?何言ってるんだよ? 晴輝:あ、やべ… 浩太:最後ってどういう意味だ?晴輝 晴輝:あー…まぁ浩太ならいいか…実はな俺あと2年くらいって言われててさ。 浩太:は?!なんだよそれ!聞いてないぞ?! 晴輝:いやー雫とか浩太には言えるわけないだろ?まぁでも浩太なら大丈夫かと思ってさ!最近告発されたけど絶対死ぬって言われたわけじゃねぇしさ! 浩太:なんだよそれ…だったら尚更雫には伝えた方がいいだろ!! 晴輝:あいつが知ったら絶対悲しむだろ?あと俺が女の子が泣いてる姿見たくないのは知ってるだろ? 浩太:……分かった。 晴輝:そんなに落ち込むなよ!あと2年あるからよ!今を全力で楽しもうぜ? 浩太:まぁ、そうだな… 雫:ねぇ晴輝今の本当なの…? 0:涙を浮かべながらテントに入ってくる雫 晴輝:雫?!まさか今の全部聞いてた…? 雫:ねぇ本当なのいまさっきの話は。 晴輝:俺が嘘つくように思うか? 雫:…… 浩太:雫… 晴輝:でも知ってしまったからには仕方ねぇよな。でもさ?ただ余命2年って言われただけで絶対って訳じゃねぇじゃん!(気にすんなって!) 雫:晴輝(被せて) 晴輝:なんだよ? 雫:私、晴輝の事前から好きだった。 晴輝:は?なんだよいきなり 浩太:…僕は外の方見てくるから2人でしっかり話してね。 晴輝:あ、おい!浩太!! 0:少しの沈黙 雫:晴輝、私ねずっと晴輝の事好きだったの、だからそんなの認めたくない。 晴輝:だから言ってるだろー?俺は余命だろうと死ぬ気なんてねぇよ。 雫:じゃあ、なんでさっきから私の方を見てくれないの? 晴輝:… 雫:本当は余命じゃなくてもうほぼ決まってるんでしょ…?死ぬのは。 晴輝:なんでお前は分かるんだよ… 雫:晴輝… 晴輝:俺だって…死にたくねぇよ…!でもな?もう決まってるようなもんって言われてお前らと思い出作って…浩太がいるから雫の事は任せられると思ってたんだよ…! 雫:ねぇ晴輝、ずっと我慢してたんでしょ? 晴輝:……そうだよ、お前らとずっと居たかったんだよ!(声を震わせながら) 雫:ならさ、晴輝が死ぬまで私はそばにいる。 晴輝:雫… 雫:だから泣かないで? 晴輝:うん…ごめん…ごめん… 浩太:話はついたみたいだね。 雫:浩太…タイミングばっちしだよ。 浩太:晴輝、僕も晴輝のそばにいる。お前はひとりじゃないだろ? 晴輝:浩太…雫… 浩太:だから受け入れるなよ、いつものお前なら余命なんてぶっ飛ばしちまえよ、お前の元気に僕達は救われてきてたんだよ。 晴輝:……あぁ!余命なんてクソ喰らえだ!! 雫:良かった…元気になってくれて… 浩太:2人とも、とりあえず涙拭いて。ほらハンカチ。 晴輝:……ははっ、相変わらず浩太は準備がいいな! 雫:だね!相変わらずのお母さん体質! 浩太:用意はどれだけしても問題ないでしょ? 晴輝:そうだな!さて!トランプでもやろうぜ!! 雫:だね!何かしないと気分も晴れないし!! 浩太:……ふふ。付き合うよ。 0:夜 晴輝:やっと夜って感じだな。 浩太:さてと…あったあった… 0:双眼鏡を取り出す浩太 雫:ん?双眼鏡なんて取り出して何するの? 浩太:僕は星を見るのが好きなんだよ、2人も見てみる? 晴輝:おぉ!いいね見る見る! 雫:私も!! 浩太:はいはい順番にね。 0:星を交代で見る3人 晴輝:綺麗だな星。 雫:うん、すごいキラキラしてる。 浩太:空には色んな星があるからね、今はまだこの小さい双眼鏡しかないけど、いつかは大きい望遠鏡も を買おうと思ってる。 晴輝:そんときは3人で見ようぜ! 雫:賛成! 浩太:そうだな、またいつかあの星をもう一度見に行こう。 : 浩太:(N)それから日々は過ぎて行って、雫は県外に進学、僕は地元の大学に進学。晴輝は地元で就職。それから晴輝の余命の日が来た。 0:病院にて 晴輝:…俺本当に大丈夫なのかな…浩太 浩太:お前今まで通り元気なんだろ?なら大丈夫だ、自分を信じろ。あと雫は元気にしてるとさ。 晴輝:そうか…良かった。 0:晴輝が呼ばれる 晴輝:結果が出たみたいだな、行ってくるわ。 浩太:あぁ、いい結果待ってるよ。 晴輝:浩太、ん。 0:晴輝が拳を突き出す。 浩太:ふっ、行ってこい親友。 晴輝:ふふっ、あぁ。 0:晴輝は笑みを浮かべて結果を聞きに行く。 0:数十分後 晴輝:結果、聞いてきたよ。 浩太:どうだった? 晴輝:異常無く、普通に生きていけるだとよ。 浩太:ふっ、良かったな、お前ならそうなるって信じてたよ。 晴輝:ありがとな、浩太確か雫の連絡先持ってたよな?今から雫に連絡させてくれ。 浩太:それはいいけど僕はタバコ吸ってくるよ? 晴輝:あれ?浩太タバコなんて吸ってたか? 浩太:色々あってね、進学先でストレス溜まってタバコ吸うと落ち着くんだよ。 晴輝:俺も行く。 浩太:……1本吸ってみるか? 晴輝:おう。 0:2人喫煙所へ 浩太:ほらよ。 晴輝:どうやって吸うの?これ。 浩太:咥(くわ)えろ、僕が火を付けたタイミングで吸え。吸いすぎたら噎(む)せるからな。 晴輝:おう……げほっけほっ… 浩太:だから言っただろ……ふぅ… 晴輝:手馴れ過ぎだろお前。 浩太:今となっては普通だよ、それより雫に伝えてやれよ。 晴輝:あぁそうだったな…ええと雫、雫…あった! 0:雫に電話をかける晴輝 晴輝:もしもし雫?今大丈夫? 雫:え?もしかして晴輝?!なんで浩太の携帯から? 晴輝:お前の連絡先もらってなかったからさ。まぁ話の続きだけど高校の頃に話した余命の話覚えてる? 雫:あのキャンプした時の? 晴輝:そうそう、俺余命無くなって普通に生きていける事になったんだよ! 雫:そうなの?やったじゃん!!おめでとう! 晴輝:そうそう!だから今度3人でさ、飲みに行こうぜ!! 雫:ふふっ、いいよー?言っとくけど私お酒強いからね〜? 晴輝:げっ!そうなのかよ! 雫:まぁね〜あ、そろそろまた授業始まるからまたね! 晴輝:おう!頑張れよ!! 0:電話終了 浩太:雫はなんて? 晴輝:おめでとうだってさ! 浩太:そうか。 晴輝:とりあえず俺も安心したわ、そういやまだ天体観測やってんのか? 浩太:望遠鏡も買ったしよく見に行ってるよ。 晴輝:今度俺も連れてってくれよ。 浩太:いいよ、3人で行こうか。 晴輝:前に言ってたデカい望遠鏡買えたのか? 浩太:しっかりね、結構高かったよ? 晴輝:なんぼ? 浩太:6万。 晴輝:たっか。 浩太:まぁまた連絡するよ。 晴輝:おう、またな。 0:それから月日は経ち数年後 浩太:もう僕も就職か、2人とも元気にしてるかな。 0:部屋に着信音が響く。 浩太:電話?誰から…はい、もしもし…え?はい、はい…分かりました。 0:病院にて 浩太:晴輝は何処だ… 雫:浩太! 浩太:晴輝は?! 雫:現場の事故で意識が戻らないって… 浩太:今晴輝は? 雫:今手術中だよ… 浩太:今は待つしかないのか… 0:数時間後、晴輝が亡くなった事が伝えられる。 雫:嘘だよね…?晴輝…? 浩太:…… 雫:浩太ぁ…晴輝はもういないの…? 浩太:帰ろう雫、家までは僕が送っていく、葬式の事は僕から伝えるから今は落ち着くことだけに専念して。 0:雫を送って家に帰ってきた浩太 浩太:晴輝…嘘だって言ってくれ!3人で集まって星を見るんじゃなかったのかよ! 0:それから晴輝の葬式が終わり数ヶ月後 浩太:もしもし雫?今大丈夫? 雫:大丈夫だよ。 浩太:最近ちゃんと食べれてる? 雫:うん、吐いちゃうけど最低限はね。 浩太:そっか、ならいい。また様子は見に行くから元気になる事を祈ってるよ。 0:電話終了 浩太:(N)晴輝が亡くなってから雫はうつ病になり痩せ細って、今でも死にそうな状況に陥(おちい)っている。病院で入院中は僕が様子を見に行っている。 0:数週間後、病院にて。 浩太:雫、大丈夫? 雫:浩太…うん、大丈夫だよ。 浩太:晴輝の事、まだ気にしてる? 雫:うん…だって突然でさ?私もすごいびっくりしてて自分が思っている以上に立ち直れてないみたいなんだ。 浩太:そっか…僕にできることがあれば良いんだけど… 雫:大丈夫、大丈夫だよ。きっと元気になるからさ?あまり心配しないで? 浩太:でも雫が今の状態じゃ心配するよ。 雫:大丈夫だよ… 浩太:そっか…分かった…これデザートとかあるから、ゆっくり元気になってね。 雫:うん、ありがとう。 0:数週間後、雫が自殺した事を知らされる。 浩太:雫…なんで…僕は一体どうしたら救ってやれたんだ…クソ…クソッ! : 浩太:(N)晴輝は事故で、雫は自殺で、たった数年で親友を幼なじみを亡くした僕は気が狂いそうだった。 : 浩太:僕も向こうにいけば2人に会えるのかな…? 晴輝:まだこっちに来るなよ 浩太:晴輝?! 0:後ろを振り返るが晴輝はいない 雫:浩太は生きて? 浩太:… 0:回想〜高校生の時〜 晴輝:いつかさ!俺たち3人で星を見に行こうぜ! 雫:いいね!それ! 晴輝:昨日キャンプで見た時みたいな綺麗な星をさ!俺達3人で見てまた笑い合うんだ!! 雫:そうだね!絶対だよ!晴輝!余命なんかに負けないでね?! 晴輝:あぁ!じゃあ約束しようぜ! 雫:指切りげんまん! 晴輝:嘘ついたら 雫:針飲ーます! 晴輝:指切った!(同時に) 雫:指切った!(同時に) 0:回想終了 浩太:約束した2人が先に死んだら意味ないだろ…(ボソッと) : 浩太:(N)それから仕事が忙しくなりやっと落ち着いたところで僕も30歳を迎えるくらいになったところだった、最近はもう星すらも見る時間も取れていなかったこともあって引越しをした直後で全然自分の時間が取れてなかった。 : 浩太:さて色々、部屋のものを置かないとな… 0:ダンボールから色々物を出す浩太 浩太:ええと…家具はとりあえず買ったからタンスに服からとりあえず収納しよう…次はキッチン周りだな 0:順調に色々な物を置いていく浩太 浩太:残るはこの1つだな…ダンボールやけにデカいけど何荷造りしたんだっけ……あ、これ… : 浩太:(N)それは当時高校生の時に3人でキャンプをした際に使った小さい双眼鏡だった。 : 浩太:そういや墓参りにも全然行けてなかったっけかな…いくか。 0:作業も大方(おおかた)ついたところ、墓場の方に到着。 浩太:晴輝の墓は…あったあった… 0:晴輝の墓の前でしゃがみこんでタバコに火を付ける。 浩太:…ふぅ。ごめんな、こっちは仕事が忙しくて墓参り来るの遅れたよ、あとで雫の方にも行くけどさ。にしても…なんで急に事故とかで逝っちまうかな…約束してたじゃないか、3人で星を見ようって…なのにお前も逝って雫も自殺してさ…一時期僕も落ち込んでそっちの方に行こうとしたけどさ…やっぱり頑張らないといけないじゃんか…まぁでもまた来るよ。これ機会があったら吸っとけよ。 0:晴輝の墓の前にタバコを1本添えていく。 浩太:じゃあな晴輝、また来るわ。 晴輝:いつでも来いよ! 浩太:晴輝…? 0:後ろを振り返ると何もない。 浩太:…雫のとこにいくか。 0:雫の墓の前 浩太:雫、今晴輝のとこ行ってきたよ。なんか晴輝の声が聞こえたけど気のせいだったみたいなんだ。でも確かに晴輝の声がしてさ、最近仕事続きで来れてなかったから疲れてるだけかもしれないけどさ…なんで雫までそっち行くかなぁ… 0:ここから声を震わせながら 浩太:僕はさ、2人といる時すごい楽しかったんだよ、晴輝は僕たちの中で言うムードメーカーだし、雫はよく笑わせてくれたしさ…早く僕もそっち行って2人と話したいよ…なんで先に行っちゃうんだよ…ねぇ、僕を1人にしないでよ… 0:そのまましゃがみこんで顔を膝にうずめる。 浩太:なんで…なんで……なんでだよ…クソ… 0:その時頭を撫でられた様な気がした。 浩太:?!今のは… 0:咄嗟(とっさ)に顔を上げるが目の前には雫の墓だけ。 浩太:そっか、きっと頭を撫でてくれたの雫だったんだよな…ありがとね。雫、チューリップ好きだったろ、これ置いとくね。 0:花屋で買ったチューリップを添える。 浩太:2人とも、また来るから元気でね。 晴輝:お前も頑張れよ親友。 雫:浩太なら頑張れるよ。 浩太:?!……やっぱりいるんだ、2人とも… 0:そのまま後ろを振り帰らず歩いて家まで帰る浩太 浩太:さてと…折角ならこの小さい双眼鏡で今日は星を久々に見るか。 0:身支度をして近くの広場に行く浩太 浩太:あったあった、懐かしいなここ、ここで本当だったら……今何を思っても遅いか、星を見よう。 0:双眼鏡で空を見ると晴れていたせいか星がよく見える。 浩太:やっぱりいくら環境が変わっても星は変わらないな、僕たちもそうだったら良かったのにな…本当に綺麗だな星は。 0:回想 晴輝:俺さ、前までは星とかあんまり興味なかったんだけど、浩太のお陰ですげぇ星に興味湧いちゃったよ!今日暇なら見に行かね? 雫:私も今日予定ないから行く! 0:回想終了 浩太:2人だったら今なんて言うのかな…?晴輝はやっぱり3人で見る星はいいなとか言うのかな…雫もそれに乗じてなにかしら言うんだろうなぁ。 0:自然と涙が出る 浩太:やっぱり寂しいのは変わらないんだな僕は、星を見たいのに涙が出てきて見れないや。 0:その時後ろから抱きつかれる感覚と肩を組まれる感覚を感じた。 浩太:やっぱり2人とも居なくなっても傍にいるんだな……よく分かるよ。2人とも。 晴輝:俺はお前の傍にいるぞ。 雫:私も傍にいるよ。 浩太:2人は多分こう言ってるんだろうな。 0:その時後ろから子供の声がした。 浩太:ん?僕たちどうしたの? 兄:俺たち今散歩してたんだ!!お兄さんは何してるの? 0:どうやら兄妹のようだ。 浩太:僕はね、今星を見てたんだ。 妹:そうなんだ!私達も見たい!!いい? 浩太:いいよ、交代交代で見てね。 0:妹の方に双眼鏡を渡す 妹:うわ〜!綺麗!! 兄:俺も俺も! 0:兄も双眼鏡で星を見ている。 浩太:2人ってこんな感じだったのかな…涙が出てるのに尚更泣けてくるよ… 0:浩太が泣いてるのに気づいた2人 妹:お兄さん大丈夫?なにか悲しいことでもあった? 浩太:ううん、大丈夫だよ、ちょっと懐かしい事を思い出してね。 兄:俺たちでいいなら話し聞くよ! 浩太:じゃあちょっと聞いてもらってもいいかな? 兄:うん!お兄さんと話すのも楽しそうだしさ!! 浩太:僕にはね、君たちくらいの年齢の時から2人の仲のいい人がいてね、1人はお兄ちゃんくらいの元気な男の子ともう1人は妹ちゃんみたいなお兄ちゃんに似てる元気な女の子。本当だったらその子達と星を見る予定だったんだ。 兄:その2人はどうしたの? 浩太:詳しくは言えないけど2人とも亡くなっちゃってね、それで今僕は星を見てたんだ。 妹:お兄さんは悲しくないの? 浩太:悲しいよ、でもね。それでも2人の為にも僕は生きていかなくちゃいけないんだよ、2人に頑張れって言われたから。 兄:頑張れって言われたの? 浩太:そうだね、直接ではないけどそんな気がしたんだよ。 妹:お兄さんは強いんだね…私だったらお兄ちゃんいなかったらすごい悲しいと思う… 浩太:そうだね、だから2人もこれから思い出とかいっぱい作って1つ1つを大事にしたら後悔も何もないと思うよ。 晴輝:うん!俺も雫が好きだからさ!! 雫:私も晴輝が好きだから! 浩太:!! 0:一瞬兄妹であるはずの2人の口からそう聞こえた気がした。 兄:お兄さん?どうしたの? 浩太:ふふ、ううん、なんでもないよ。2人が凄い僕の友達に似てたからついね。 妹:あ!お兄ちゃん早く帰らないとお母さんに怒られちゃうよ! 兄:ほんとだ!お兄さんありがとう!お兄さんと話せて楽しかったバイバーイ!! 浩太:うん、バイバイ。 0:そのまま手を振りながら帰る兄妹を見て手を振りながら見送る浩太 浩太:2人はいないけど、すごい懐かしかったな…なんだか3人で見れた気分だったよ。 0:タバコに火を付ける浩太 浩太:……ふぅ。そう思わないか?晴輝、雫。 晴輝:あぁ、とても良かったよ。 雫:私も見れて楽しかった。 浩太:……そっか、なるほどな…2人は俺の心の中にいてくれてるんだな。 : 浩太:(N)またいつか見たいと思ってた星をこんな形とは言えど3人でまた見れたこの日と景色を僕は忘れないだろう、どんなに離れても僕たち3人は繋がっている。 浩太:またいつか見よう。 晴輝:この星を。 雫:もう一度。 :END