台本概要

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タイトル 冴島 仁介
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(男1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 TRPGで探索者として作ったキャラクター。
色々と当初の予定を覆すことになり
物語を進める上で、彼自身の整合性やキャラクター性を深掘って後語りした方が楽しいなという思いから、略歴を作ってたら、台本できそうだったので作りました。

※この探索者が使用した物語は、毒入りスープ
内容に関しては触れていないので閲覧しても問題なしです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
仁介 16 さえじま じんすけ。36歳。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
仁介:(最初の記憶は、両親の怒号だった) 0:間 仁介:まだ幼かった俺は、目の前の惨状を 仁介:泣きじゃくりながら見ることしかできなかった 仁介:母は、泣きながらモノを投げ、暴言を吐き 仁介:父は、母を殴っていた 仁介:数十年後、知ったことだが 仁介:父親が会社の後輩とデキたらしい 仁介:それを知った母が問い詰め、至った、と 仁介:そういえば、こんな言葉が耳の中に残っている 仁介:「アイツがいるから、お前といただけだ」 仁介:あぁ、俺が邪魔だったんだな 仁介:今なら、よく、理解できるよ 0:間 仁介:結果、母について行くことになった 仁介:親父も酷いヤツだと今なら思う 仁介:デキた女との間にすぐに子供を作った 仁介:養育費やら、なんやらを渡す頻度が少なくなった 仁介:母は、夜の仕事も始めた 仁介:俺は誰からも愛されなかった 仁介:疲れて眠る母を見て、可哀想 仁介:だとも、思わなくなっていった 仁介:ボロボロの母を見て、惨めだと…… 仁介:そう思うようになっていた 仁介:この世界が嫌いだった 仁介:俺が何かしたのか?と俺だけが苦しい世界に 仁介:閉じ込められたように感じて、神様ってやつさえ 仁介:信じられない世界に俺は一人、立っていた 0:間 仁介:そこからは、荒れた 仁介:ムカつくヤツは殴るし、最悪殺すことも考えた 仁介:酒も煙草も小6の時にはすでに覚えていた 仁介:バイクも乗り回したな、あれは楽しかった 仁介:中学の時には同じ不良どもから 仁介:お前が頭だ、なんだのと持て囃された 仁介:まんざらでもなかった 仁介:俺の周りには常に人が居た 仁介:憧れと言って近寄るやつも 仁介:俺を道具として近寄るやつも 仁介:……友達ってヤツは、いたのか……、…… 仁介:……俺が壁を作っていた 仁介:いや、壁なんてものじゃない 仁介:どんなに人が周りにいても世界は、空虚だった 仁介:そして、怖かった 仁介:俺にとって繋がりなんてものはまやかしで 仁介:いつかは破壊するものだと、そう…… 0:間 仁介:高校でも変わらない生活 仁介:家に帰ることも少なくなっていた 仁介:たまに帰ると机に一万が置かれていた 仁介:それを取りに帰る作業のような帰宅 仁介:結局それも、酒と煙草に消える 仁介:金がなくなったら、奪えばいい 仁介:生憎、俺に喧嘩を売るヤツは腐るほどいた 仁介:そんな時、会長に出会った 仁介:格闘技をやれと誘ってきた 仁介:今にして思うと、ベタな展開だ 仁介:人からサンドバッグに変わった 仁介:イライラをぶつける 仁介:先輩からのスパーリング 仁介:ただの喧嘩屋だったのが分かる 仁介:技術には到底及ばない 仁介:ボコされてムカついて、殴る 仁介:いつの間にか、プロになっていた 仁介:目が良いと言われたっけか 仁介:ボディに綺麗に入ると楽しい 仁介:顎に入れたこともあったけど 仁介:ボディの感触が好きだった 仁介:一心不乱に練習していると 仁介:何も考えずに済んだ、楽だった 仁介:ジムのやつらは良いやつだった 仁介:それでも世界は、空虚のままだった 仁介:本を読むようにした 仁介:色んな格闘関係の本だけど 仁介:別にコレといった理由はないが 仁介:キックボクサーに転向した 仁介:けど、ボディの感触が忘れられない 仁介:パンチ主体のスタイル 仁介:試合と、練習と、読書 仁介:そこだけが何も考えず、楽だった 0:間 仁介:最初の記憶は、寂しかったね、だった 仁介:お前に何が分かる?俺の何を知ってるんだ 仁介:だけど、俺はダムが決壊したように泣いた 仁介:なぜか、こいつに俺は、弱かった 仁介:俺の全てを受け入れ、俺の全てを肯定して 仁介:今までの悪行も、包み込んでくれた 仁介:太陽だった、眩しかった 仁介:陽向(ひなた)との出会いだった 仁介:名前の通りの人間だった 仁介:陽向と出会って、人との繋がりを 仁介:もう一度、作り直すことにした 仁介:空虚だったのは俺だけだった 仁介:今なら全て分かってる 仁介:俺は変わった、と思いたい 仁介:信頼の目、憧れの目、嫉妬の目 仁介:どの感情も、俺にとっては新鮮なものだった 0:間 仁介:陽向を連れて母に会った 仁介:こんなに老けてたか?と思った 仁介:今までのことを話した 仁介:母は泣きながら聞いていた 仁介:俺は、初めて家族になれたと思った 仁介:ファイトマネーから少しだけ母に渡した 仁介:これで旅行でも行ってくれと 仁介:陽向は笑っていたが、俺がぎこちなかったからだろう 仁介:そして、結婚することも報告した 仁介:3人で、泣いたのはあの日が最初で最後だろうな 0:間 仁介:俺は、選手としては一流になれなかった 仁介:それなりに結果は残したつもりだ 仁介:だが、世間で俺を知ってるやつは少ない 仁介:大晦日の格闘番組を見る 仁介:神童、伝説の喧嘩屋、殺戮マシーンとか 仁介:笑えるキャッチフレーズ 仁介:生い立ちも似てるやつもいた 仁介:だが、スター選手になれなかった俺 仁介:羨ましいとも思ったが、決意もできた 0:間 仁介:陽向と結婚を決めた日、会長が倒れた 仁介:癌だったらしい 仁介:最後に言われた一言はお前に任せる 仁介:まだ死ぬなよと一喝して逃げた 0:間 仁介:子供が産まれた 仁介:俺の太陽が二つになった 仁介:太陽から産まれた子、名前は輝(こう)にした 仁介:俺は、こいつを死ぬまで守りたい 0:間 仁介:スター選手になれない俺 仁介:会長からの期待 仁介:守りたい命 仁介:俺は、選手を引退して、ジムを継ぐ 仁介:俺にはできなかったことを 仁介:未来ある選手に繋ごう 仁介:そうだ、今までは壊していた繋がりを 仁介:今度は、俺が、繋げていこう 0:間 仁介:最後に笑って会長は死んでいった 仁介:頼むな、と言われた 0: 0: 0: 0:間 仁介:4年が経った 仁介:未来ある選手の姿が眩しかった 仁介:やり甲斐は、ある 仁介:どうしても習慣は抜けず 仁介:今でも選手のように練習は続けている 0:間 仁介:息子を寝かしつけ、リビングに戻る 仁介:明日の予定は?と聞かれる 仁介:そういえば、明日はちょうど休みだ 仁介:息子を公園にでも連れて行くか 仁介:起こしてくれと頼むと 仁介:自分で起きなさいと叱られる 仁介:何気ない会話が心地いい 仁介:二人でベッドへ向かう 仁介:この平穏が、続くように 仁介:何も無かった俺が、ここまで人に戻れたのは 仁介:陽向のおかげだ 仁介:この二人を守る為なら、俺は…… 0: 0: 0: 0: 仁介:目が醒めると、知らない部屋にいた 仁介:意味が……分からなかった 仁介:そして、俺は…… 仁介:自分の弱さに、どれだけ弱かったかに気づく 仁介:太陽が消えたその日、俺は 仁介:人との繋がりも、何もかも 仁介:自分でどうすることもできなくなっていた 仁介:ただ、ただ一つ 仁介:これだけは、消えずに残っていた 仁介:俺は……絶対に 仁介:あの二人だけは死ぬまで守りたい 仁介:だから…… 0:間 仁介:俺は、ここから、必ず帰る 0:終わり

仁介:(最初の記憶は、両親の怒号だった) 0:間 仁介:まだ幼かった俺は、目の前の惨状を 仁介:泣きじゃくりながら見ることしかできなかった 仁介:母は、泣きながらモノを投げ、暴言を吐き 仁介:父は、母を殴っていた 仁介:数十年後、知ったことだが 仁介:父親が会社の後輩とデキたらしい 仁介:それを知った母が問い詰め、至った、と 仁介:そういえば、こんな言葉が耳の中に残っている 仁介:「アイツがいるから、お前といただけだ」 仁介:あぁ、俺が邪魔だったんだな 仁介:今なら、よく、理解できるよ 0:間 仁介:結果、母について行くことになった 仁介:親父も酷いヤツだと今なら思う 仁介:デキた女との間にすぐに子供を作った 仁介:養育費やら、なんやらを渡す頻度が少なくなった 仁介:母は、夜の仕事も始めた 仁介:俺は誰からも愛されなかった 仁介:疲れて眠る母を見て、可哀想 仁介:だとも、思わなくなっていった 仁介:ボロボロの母を見て、惨めだと…… 仁介:そう思うようになっていた 仁介:この世界が嫌いだった 仁介:俺が何かしたのか?と俺だけが苦しい世界に 仁介:閉じ込められたように感じて、神様ってやつさえ 仁介:信じられない世界に俺は一人、立っていた 0:間 仁介:そこからは、荒れた 仁介:ムカつくヤツは殴るし、最悪殺すことも考えた 仁介:酒も煙草も小6の時にはすでに覚えていた 仁介:バイクも乗り回したな、あれは楽しかった 仁介:中学の時には同じ不良どもから 仁介:お前が頭だ、なんだのと持て囃された 仁介:まんざらでもなかった 仁介:俺の周りには常に人が居た 仁介:憧れと言って近寄るやつも 仁介:俺を道具として近寄るやつも 仁介:……友達ってヤツは、いたのか……、…… 仁介:……俺が壁を作っていた 仁介:いや、壁なんてものじゃない 仁介:どんなに人が周りにいても世界は、空虚だった 仁介:そして、怖かった 仁介:俺にとって繋がりなんてものはまやかしで 仁介:いつかは破壊するものだと、そう…… 0:間 仁介:高校でも変わらない生活 仁介:家に帰ることも少なくなっていた 仁介:たまに帰ると机に一万が置かれていた 仁介:それを取りに帰る作業のような帰宅 仁介:結局それも、酒と煙草に消える 仁介:金がなくなったら、奪えばいい 仁介:生憎、俺に喧嘩を売るヤツは腐るほどいた 仁介:そんな時、会長に出会った 仁介:格闘技をやれと誘ってきた 仁介:今にして思うと、ベタな展開だ 仁介:人からサンドバッグに変わった 仁介:イライラをぶつける 仁介:先輩からのスパーリング 仁介:ただの喧嘩屋だったのが分かる 仁介:技術には到底及ばない 仁介:ボコされてムカついて、殴る 仁介:いつの間にか、プロになっていた 仁介:目が良いと言われたっけか 仁介:ボディに綺麗に入ると楽しい 仁介:顎に入れたこともあったけど 仁介:ボディの感触が好きだった 仁介:一心不乱に練習していると 仁介:何も考えずに済んだ、楽だった 仁介:ジムのやつらは良いやつだった 仁介:それでも世界は、空虚のままだった 仁介:本を読むようにした 仁介:色んな格闘関係の本だけど 仁介:別にコレといった理由はないが 仁介:キックボクサーに転向した 仁介:けど、ボディの感触が忘れられない 仁介:パンチ主体のスタイル 仁介:試合と、練習と、読書 仁介:そこだけが何も考えず、楽だった 0:間 仁介:最初の記憶は、寂しかったね、だった 仁介:お前に何が分かる?俺の何を知ってるんだ 仁介:だけど、俺はダムが決壊したように泣いた 仁介:なぜか、こいつに俺は、弱かった 仁介:俺の全てを受け入れ、俺の全てを肯定して 仁介:今までの悪行も、包み込んでくれた 仁介:太陽だった、眩しかった 仁介:陽向(ひなた)との出会いだった 仁介:名前の通りの人間だった 仁介:陽向と出会って、人との繋がりを 仁介:もう一度、作り直すことにした 仁介:空虚だったのは俺だけだった 仁介:今なら全て分かってる 仁介:俺は変わった、と思いたい 仁介:信頼の目、憧れの目、嫉妬の目 仁介:どの感情も、俺にとっては新鮮なものだった 0:間 仁介:陽向を連れて母に会った 仁介:こんなに老けてたか?と思った 仁介:今までのことを話した 仁介:母は泣きながら聞いていた 仁介:俺は、初めて家族になれたと思った 仁介:ファイトマネーから少しだけ母に渡した 仁介:これで旅行でも行ってくれと 仁介:陽向は笑っていたが、俺がぎこちなかったからだろう 仁介:そして、結婚することも報告した 仁介:3人で、泣いたのはあの日が最初で最後だろうな 0:間 仁介:俺は、選手としては一流になれなかった 仁介:それなりに結果は残したつもりだ 仁介:だが、世間で俺を知ってるやつは少ない 仁介:大晦日の格闘番組を見る 仁介:神童、伝説の喧嘩屋、殺戮マシーンとか 仁介:笑えるキャッチフレーズ 仁介:生い立ちも似てるやつもいた 仁介:だが、スター選手になれなかった俺 仁介:羨ましいとも思ったが、決意もできた 0:間 仁介:陽向と結婚を決めた日、会長が倒れた 仁介:癌だったらしい 仁介:最後に言われた一言はお前に任せる 仁介:まだ死ぬなよと一喝して逃げた 0:間 仁介:子供が産まれた 仁介:俺の太陽が二つになった 仁介:太陽から産まれた子、名前は輝(こう)にした 仁介:俺は、こいつを死ぬまで守りたい 0:間 仁介:スター選手になれない俺 仁介:会長からの期待 仁介:守りたい命 仁介:俺は、選手を引退して、ジムを継ぐ 仁介:俺にはできなかったことを 仁介:未来ある選手に繋ごう 仁介:そうだ、今までは壊していた繋がりを 仁介:今度は、俺が、繋げていこう 0:間 仁介:最後に笑って会長は死んでいった 仁介:頼むな、と言われた 0: 0: 0: 0:間 仁介:4年が経った 仁介:未来ある選手の姿が眩しかった 仁介:やり甲斐は、ある 仁介:どうしても習慣は抜けず 仁介:今でも選手のように練習は続けている 0:間 仁介:息子を寝かしつけ、リビングに戻る 仁介:明日の予定は?と聞かれる 仁介:そういえば、明日はちょうど休みだ 仁介:息子を公園にでも連れて行くか 仁介:起こしてくれと頼むと 仁介:自分で起きなさいと叱られる 仁介:何気ない会話が心地いい 仁介:二人でベッドへ向かう 仁介:この平穏が、続くように 仁介:何も無かった俺が、ここまで人に戻れたのは 仁介:陽向のおかげだ 仁介:この二人を守る為なら、俺は…… 0: 0: 0: 0: 仁介:目が醒めると、知らない部屋にいた 仁介:意味が……分からなかった 仁介:そして、俺は…… 仁介:自分の弱さに、どれだけ弱かったかに気づく 仁介:太陽が消えたその日、俺は 仁介:人との繋がりも、何もかも 仁介:自分でどうすることもできなくなっていた 仁介:ただ、ただ一つ 仁介:これだけは、消えずに残っていた 仁介:俺は……絶対に 仁介:あの二人だけは死ぬまで守りたい 仁介:だから…… 0:間 仁介:俺は、ここから、必ず帰る 0:終わり