台本概要
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タイトル | 冴島 仁介 |
---|---|
作者名 | てくす (@daihooon) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(男1) ※兼役あり |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
TRPGで探索者として作ったキャラクター。 色々と当初の予定を覆すことになり 物語を進める上で、彼自身の整合性やキャラクター性を深掘って後語りした方が楽しいなという思いから、略歴を作ってたら、台本できそうだったので作りました。 ※この探索者が使用した物語は、毒入りスープ 内容に関しては触れていないので閲覧しても問題なしです。 72 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
仁介 | 男 | 16 | さえじま じんすけ。36歳。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
仁介:(最初の記憶は、両親の怒号だった)
0:間
仁介:まだ幼かった俺は、目の前の惨状を
仁介:泣きじゃくりながら見ることしかできなかった
仁介:母は、泣きながらモノを投げ、暴言を吐き
仁介:父は、母を殴っていた
仁介:数十年後、知ったことだが
仁介:父親が会社の後輩とデキたらしい
仁介:それを知った母が問い詰め、至った、と
仁介:そういえば、こんな言葉が耳の中に残っている
仁介:「アイツがいるから、お前といただけだ」
仁介:あぁ、俺が邪魔だったんだな
仁介:今なら、よく、理解できるよ
0:間
仁介:結果、母について行くことになった
仁介:親父も酷いヤツだと今なら思う
仁介:デキた女との間にすぐに子供を作った
仁介:養育費やら、なんやらを渡す頻度が少なくなった
仁介:母は、夜の仕事も始めた
仁介:俺は誰からも愛されなかった
仁介:疲れて眠る母を見て、可哀想
仁介:だとも、思わなくなっていった
仁介:ボロボロの母を見て、惨めだと……
仁介:そう思うようになっていた
仁介:この世界が嫌いだった
仁介:俺が何かしたのか?と俺だけが苦しい世界に
仁介:閉じ込められたように感じて、神様ってやつさえ
仁介:信じられない世界に俺は一人、立っていた
0:間
仁介:そこからは、荒れた
仁介:ムカつくヤツは殴るし、最悪殺すことも考えた
仁介:酒も煙草も小6の時にはすでに覚えていた
仁介:バイクも乗り回したな、あれは楽しかった
仁介:中学の時には同じ不良どもから
仁介:お前が頭だ、なんだのと持て囃された
仁介:まんざらでもなかった
仁介:俺の周りには常に人が居た
仁介:憧れと言って近寄るやつも
仁介:俺を道具として近寄るやつも
仁介:……友達ってヤツは、いたのか……、……
仁介:……俺が壁を作っていた
仁介:いや、壁なんてものじゃない
仁介:どんなに人が周りにいても世界は、空虚だった
仁介:そして、怖かった
仁介:俺にとって繋がりなんてものはまやかしで
仁介:いつかは破壊するものだと、そう……
0:間
仁介:高校でも変わらない生活
仁介:家に帰ることも少なくなっていた
仁介:たまに帰ると机に一万が置かれていた
仁介:それを取りに帰る作業のような帰宅
仁介:結局それも、酒と煙草に消える
仁介:金がなくなったら、奪えばいい
仁介:生憎、俺に喧嘩を売るヤツは腐るほどいた
仁介:そんな時、会長に出会った
仁介:格闘技をやれと誘ってきた
仁介:今にして思うと、ベタな展開だ
仁介:人からサンドバッグに変わった
仁介:イライラをぶつける
仁介:先輩からのスパーリング
仁介:ただの喧嘩屋だったのが分かる
仁介:技術には到底及ばない
仁介:ボコされてムカついて、殴る
仁介:いつの間にか、プロになっていた
仁介:目が良いと言われたっけか
仁介:ボディに綺麗に入ると楽しい
仁介:顎に入れたこともあったけど
仁介:ボディの感触が好きだった
仁介:一心不乱に練習していると
仁介:何も考えずに済んだ、楽だった
仁介:ジムのやつらは良いやつだった
仁介:それでも世界は、空虚のままだった
仁介:本を読むようにした
仁介:色んな格闘関係の本だけど
仁介:別にコレといった理由はないが
仁介:キックボクサーに転向した
仁介:けど、ボディの感触が忘れられない
仁介:パンチ主体のスタイル
仁介:試合と、練習と、読書
仁介:そこだけが何も考えず、楽だった
0:間
仁介:最初の記憶は、寂しかったね、だった
仁介:お前に何が分かる?俺の何を知ってるんだ
仁介:だけど、俺はダムが決壊したように泣いた
仁介:なぜか、こいつに俺は、弱かった
仁介:俺の全てを受け入れ、俺の全てを肯定して
仁介:今までの悪行も、包み込んでくれた
仁介:太陽だった、眩しかった
仁介:陽向(ひなた)との出会いだった
仁介:名前の通りの人間だった
仁介:陽向と出会って、人との繋がりを
仁介:もう一度、作り直すことにした
仁介:空虚だったのは俺だけだった
仁介:今なら全て分かってる
仁介:俺は変わった、と思いたい
仁介:信頼の目、憧れの目、嫉妬の目
仁介:どの感情も、俺にとっては新鮮なものだった
0:間
仁介:陽向を連れて母に会った
仁介:こんなに老けてたか?と思った
仁介:今までのことを話した
仁介:母は泣きながら聞いていた
仁介:俺は、初めて家族になれたと思った
仁介:ファイトマネーから少しだけ母に渡した
仁介:これで旅行でも行ってくれと
仁介:陽向は笑っていたが、俺がぎこちなかったからだろう
仁介:そして、結婚することも報告した
仁介:3人で、泣いたのはあの日が最初で最後だろうな
0:間
仁介:俺は、選手としては一流になれなかった
仁介:それなりに結果は残したつもりだ
仁介:だが、世間で俺を知ってるやつは少ない
仁介:大晦日の格闘番組を見る
仁介:神童、伝説の喧嘩屋、殺戮マシーンとか
仁介:笑えるキャッチフレーズ
仁介:生い立ちも似てるやつもいた
仁介:だが、スター選手になれなかった俺
仁介:羨ましいとも思ったが、決意もできた
0:間
仁介:陽向と結婚を決めた日、会長が倒れた
仁介:癌だったらしい
仁介:最後に言われた一言はお前に任せる
仁介:まだ死ぬなよと一喝して逃げた
0:間
仁介:子供が産まれた
仁介:俺の太陽が二つになった
仁介:太陽から産まれた子、名前は輝(こう)にした
仁介:俺は、こいつを死ぬまで守りたい
0:間
仁介:スター選手になれない俺
仁介:会長からの期待
仁介:守りたい命
仁介:俺は、選手を引退して、ジムを継ぐ
仁介:俺にはできなかったことを
仁介:未来ある選手に繋ごう
仁介:そうだ、今までは壊していた繋がりを
仁介:今度は、俺が、繋げていこう
0:間
仁介:最後に笑って会長は死んでいった
仁介:頼むな、と言われた
0:
0:
0:
0:間
仁介:4年が経った
仁介:未来ある選手の姿が眩しかった
仁介:やり甲斐は、ある
仁介:どうしても習慣は抜けず
仁介:今でも選手のように練習は続けている
0:間
仁介:息子を寝かしつけ、リビングに戻る
仁介:明日の予定は?と聞かれる
仁介:そういえば、明日はちょうど休みだ
仁介:息子を公園にでも連れて行くか
仁介:起こしてくれと頼むと
仁介:自分で起きなさいと叱られる
仁介:何気ない会話が心地いい
仁介:二人でベッドへ向かう
仁介:この平穏が、続くように
仁介:何も無かった俺が、ここまで人に戻れたのは
仁介:陽向のおかげだ
仁介:この二人を守る為なら、俺は……
0:
0:
0:
0:
仁介:目が醒めると、知らない部屋にいた
仁介:意味が……分からなかった
仁介:そして、俺は……
仁介:自分の弱さに、どれだけ弱かったかに気づく
仁介:太陽が消えたその日、俺は
仁介:人との繋がりも、何もかも
仁介:自分でどうすることもできなくなっていた
仁介:ただ、ただ一つ
仁介:これだけは、消えずに残っていた
仁介:俺は……絶対に
仁介:あの二人だけは死ぬまで守りたい
仁介:だから……
0:間
仁介:俺は、ここから、必ず帰る
0:終わり
仁介:(最初の記憶は、両親の怒号だった)
0:間
仁介:まだ幼かった俺は、目の前の惨状を
仁介:泣きじゃくりながら見ることしかできなかった
仁介:母は、泣きながらモノを投げ、暴言を吐き
仁介:父は、母を殴っていた
仁介:数十年後、知ったことだが
仁介:父親が会社の後輩とデキたらしい
仁介:それを知った母が問い詰め、至った、と
仁介:そういえば、こんな言葉が耳の中に残っている
仁介:「アイツがいるから、お前といただけだ」
仁介:あぁ、俺が邪魔だったんだな
仁介:今なら、よく、理解できるよ
0:間
仁介:結果、母について行くことになった
仁介:親父も酷いヤツだと今なら思う
仁介:デキた女との間にすぐに子供を作った
仁介:養育費やら、なんやらを渡す頻度が少なくなった
仁介:母は、夜の仕事も始めた
仁介:俺は誰からも愛されなかった
仁介:疲れて眠る母を見て、可哀想
仁介:だとも、思わなくなっていった
仁介:ボロボロの母を見て、惨めだと……
仁介:そう思うようになっていた
仁介:この世界が嫌いだった
仁介:俺が何かしたのか?と俺だけが苦しい世界に
仁介:閉じ込められたように感じて、神様ってやつさえ
仁介:信じられない世界に俺は一人、立っていた
0:間
仁介:そこからは、荒れた
仁介:ムカつくヤツは殴るし、最悪殺すことも考えた
仁介:酒も煙草も小6の時にはすでに覚えていた
仁介:バイクも乗り回したな、あれは楽しかった
仁介:中学の時には同じ不良どもから
仁介:お前が頭だ、なんだのと持て囃された
仁介:まんざらでもなかった
仁介:俺の周りには常に人が居た
仁介:憧れと言って近寄るやつも
仁介:俺を道具として近寄るやつも
仁介:……友達ってヤツは、いたのか……、……
仁介:……俺が壁を作っていた
仁介:いや、壁なんてものじゃない
仁介:どんなに人が周りにいても世界は、空虚だった
仁介:そして、怖かった
仁介:俺にとって繋がりなんてものはまやかしで
仁介:いつかは破壊するものだと、そう……
0:間
仁介:高校でも変わらない生活
仁介:家に帰ることも少なくなっていた
仁介:たまに帰ると机に一万が置かれていた
仁介:それを取りに帰る作業のような帰宅
仁介:結局それも、酒と煙草に消える
仁介:金がなくなったら、奪えばいい
仁介:生憎、俺に喧嘩を売るヤツは腐るほどいた
仁介:そんな時、会長に出会った
仁介:格闘技をやれと誘ってきた
仁介:今にして思うと、ベタな展開だ
仁介:人からサンドバッグに変わった
仁介:イライラをぶつける
仁介:先輩からのスパーリング
仁介:ただの喧嘩屋だったのが分かる
仁介:技術には到底及ばない
仁介:ボコされてムカついて、殴る
仁介:いつの間にか、プロになっていた
仁介:目が良いと言われたっけか
仁介:ボディに綺麗に入ると楽しい
仁介:顎に入れたこともあったけど
仁介:ボディの感触が好きだった
仁介:一心不乱に練習していると
仁介:何も考えずに済んだ、楽だった
仁介:ジムのやつらは良いやつだった
仁介:それでも世界は、空虚のままだった
仁介:本を読むようにした
仁介:色んな格闘関係の本だけど
仁介:別にコレといった理由はないが
仁介:キックボクサーに転向した
仁介:けど、ボディの感触が忘れられない
仁介:パンチ主体のスタイル
仁介:試合と、練習と、読書
仁介:そこだけが何も考えず、楽だった
0:間
仁介:最初の記憶は、寂しかったね、だった
仁介:お前に何が分かる?俺の何を知ってるんだ
仁介:だけど、俺はダムが決壊したように泣いた
仁介:なぜか、こいつに俺は、弱かった
仁介:俺の全てを受け入れ、俺の全てを肯定して
仁介:今までの悪行も、包み込んでくれた
仁介:太陽だった、眩しかった
仁介:陽向(ひなた)との出会いだった
仁介:名前の通りの人間だった
仁介:陽向と出会って、人との繋がりを
仁介:もう一度、作り直すことにした
仁介:空虚だったのは俺だけだった
仁介:今なら全て分かってる
仁介:俺は変わった、と思いたい
仁介:信頼の目、憧れの目、嫉妬の目
仁介:どの感情も、俺にとっては新鮮なものだった
0:間
仁介:陽向を連れて母に会った
仁介:こんなに老けてたか?と思った
仁介:今までのことを話した
仁介:母は泣きながら聞いていた
仁介:俺は、初めて家族になれたと思った
仁介:ファイトマネーから少しだけ母に渡した
仁介:これで旅行でも行ってくれと
仁介:陽向は笑っていたが、俺がぎこちなかったからだろう
仁介:そして、結婚することも報告した
仁介:3人で、泣いたのはあの日が最初で最後だろうな
0:間
仁介:俺は、選手としては一流になれなかった
仁介:それなりに結果は残したつもりだ
仁介:だが、世間で俺を知ってるやつは少ない
仁介:大晦日の格闘番組を見る
仁介:神童、伝説の喧嘩屋、殺戮マシーンとか
仁介:笑えるキャッチフレーズ
仁介:生い立ちも似てるやつもいた
仁介:だが、スター選手になれなかった俺
仁介:羨ましいとも思ったが、決意もできた
0:間
仁介:陽向と結婚を決めた日、会長が倒れた
仁介:癌だったらしい
仁介:最後に言われた一言はお前に任せる
仁介:まだ死ぬなよと一喝して逃げた
0:間
仁介:子供が産まれた
仁介:俺の太陽が二つになった
仁介:太陽から産まれた子、名前は輝(こう)にした
仁介:俺は、こいつを死ぬまで守りたい
0:間
仁介:スター選手になれない俺
仁介:会長からの期待
仁介:守りたい命
仁介:俺は、選手を引退して、ジムを継ぐ
仁介:俺にはできなかったことを
仁介:未来ある選手に繋ごう
仁介:そうだ、今までは壊していた繋がりを
仁介:今度は、俺が、繋げていこう
0:間
仁介:最後に笑って会長は死んでいった
仁介:頼むな、と言われた
0:
0:
0:
0:間
仁介:4年が経った
仁介:未来ある選手の姿が眩しかった
仁介:やり甲斐は、ある
仁介:どうしても習慣は抜けず
仁介:今でも選手のように練習は続けている
0:間
仁介:息子を寝かしつけ、リビングに戻る
仁介:明日の予定は?と聞かれる
仁介:そういえば、明日はちょうど休みだ
仁介:息子を公園にでも連れて行くか
仁介:起こしてくれと頼むと
仁介:自分で起きなさいと叱られる
仁介:何気ない会話が心地いい
仁介:二人でベッドへ向かう
仁介:この平穏が、続くように
仁介:何も無かった俺が、ここまで人に戻れたのは
仁介:陽向のおかげだ
仁介:この二人を守る為なら、俺は……
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仁介:目が醒めると、知らない部屋にいた
仁介:意味が……分からなかった
仁介:そして、俺は……
仁介:自分の弱さに、どれだけ弱かったかに気づく
仁介:太陽が消えたその日、俺は
仁介:人との繋がりも、何もかも
仁介:自分でどうすることもできなくなっていた
仁介:ただ、ただ一つ
仁介:これだけは、消えずに残っていた
仁介:俺は……絶対に
仁介:あの二人だけは死ぬまで守りたい
仁介:だから……
0:間
仁介:俺は、ここから、必ず帰る
0:終わり