台本概要

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タイトル マーマレードジャム
作者名 危険生物かれん 気まぐれ 男性  (@karenanut)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず作者へ連絡要
説明 これは甘酸っぱいような
どこにでもあるような
どこにもないような恋物語

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
先生 59 年老いた死神
44 姉想いの妹
死神 20 若き先生
21 妹想いの姉
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
: : : 先生:目を閉じると 今でも思い出す、、、 妹:「、、、先生?」 先生:懐(なつ)かしい あの三日間 妹:「先生!」 先生:「ん?、、、あぁ〜、、、寝ていたかな?、、、私は」 妹:「ぐっすりと、、、良く寝れますね こんな状況なのに」 先生:「若い頃は 銃声と悲鳴が鳴り響く洞穴(ほらあな)で寝ていたものだよ、、、おっと!興味無いかな?」 妹:「全然」 先生:「そうだよね、、、もう、少し待ってくれ そろそろ、この小説を書き終えるのだが、、、」 妹:「だが?」 先生:「タイトルと 結末が思いつかない、、、」 妹:「あなたなりの 命乞(いのちご)いですか?」 先生:「いやいや、本当の事だよ」 先生:「それに、死ぬのは怖くない、、、怖いのは」 妹:「怖いのは?」 先生:「私を殺す 君が 私を殺したと 勘違いすることだ」 妹:「呆(あき)れた言い草ですね、、、まるで、これから あなたは 私でない 誰かに殺さるような 言い方じゃないですか」 先生:「そうさ、、、私が私を殺すのだよ」 先生:「かつて、心の赴(おもむ)くままに 狼を狩り尽くした 死神が、、、自分に殺されるのさ」 妹:「今すぐ 死にたいですか?」 先生:「少し待ってくれ、、、あと少しで 思いつきそうなんだ、、、そうだ!」 妹:「、、、なんですか?」 先生:「読み聞かせるから 聞いてくれないかね? この私の 拙(つたな)いラブストーリーを」 妹:「、、、なんで」 先生:「君が、、、彼女の妹だからだよ」 先生:「君は知る権利がある、、、彼女の最後と それを看取(みと)った 死神の無様(ぶざま)な一生を」 先生:「そして、、、私の 彼女へのプロポーズの返事を聞く権利もある」 : : : 0:Marmalade jam(マーマレード ジャム)~さようなら 狼さん~ : : 先生:家族を殺された、、、狼の一族に 先生:一族全員 1人残らず、、、残された 男は 狼ハンターとなった 先生:その血にまみれた 姿と容姿から 死神と 敵味方関係なく 恐れられた 先生:この世界じゃあ ありふれた話だ 先生:その日、、、狼たちが潜(ひそ)む 最後の集落へと赴いた 私は 先生:彼らを殺した、、、復讐のための 殺しは いつの間にか 呼吸となり 先生:私の心を蝕(むしば)んだ、、、終わりにしよう 先生:この仕事を終えたら 私は、、、死ぬつもりでいた 狼:「ララ〜♪」 先生:その 音痴(おんち)な狼と出会うまでは、、、 狼:「、、、あら?お客さんかしら?」 死神:「そう見えるのなら 君の目は節穴(ふしあな)だな、、、怖くないのか?死ぬのが」 狼:「怖くないわ」 死神:「なんで?」 狼:「だって、、、私は 狼だもの」 狼:「いつも 食べてる パンに怖がる 人間なんていないでしょ?」 死神:「確かにそうだな、、、だからこそ、君たちは死ぬんだ」 狼:「そうね、、、だからこそ、私たちは滅(ほろ)ぶの」 狼:「パンを食べずに 芋を食べるなり 色んな選択肢があったのにね?」 死神:「君は、、、」 狼:「ん?、、、私? ただの狼よ」 狼:「あなたが 殺してきた 愚(おろ)かな狼の最後の生き残り、、、」 死神:「、、、そうか」 先生:呼吸を整え、、、猟銃(りょうじゅう)を構える 狼:「だからね! 一つだけお願いがあるの」 死神:「お、、、お願い?」 狼:「三日だけ!三日だけ時間が欲しいの!」 死神:「、、、なぜ?」 狼:「あと少しで 書いてた歌が完成しそうなの!」 死神:「、、、歌?」 先生:そう言い 彼女は 散らかった部屋から 楽譜(がくふ)を取り出した 死神:「、、、君たちは これから滅(ほろ)びゆく一族だ なのに 君は いったい 誰のために歌を書く気だい?」 狼:「これは 私たちのための歌じゃない、、、これからを生きる人のための歌なの!」 死神:「冗談だろ?」 狼:「冗談か どうかは あなたが見定めたらいい、、、とびっきりの 傑作(けっさく)を書いてみせるわ」 死神:「駄作(ださく)の間違いじゃないか?」 先生:こうして、私たちの不思議な 三日間の共同生活は始まった : : : 妹:「ダウト!」 先生:「ん?」 妹:「姉さんは 歌なんて作ったことないわ、、、あなたの妄想(もうそう)ね」 先生:「なるほど、、、やはりか」 妹:「何が なるほどなのよ」 先生:「君なら、、、いや、君だから 分かるだろ?」 妹:「何が?」 先生:「三日間、、、それだけの時間があれば 子供一人が逃げるのに 十分な時間だ」 妹:「、、、あなたは 姉さんが 私が逃げるための時間を稼(かせ)いでいた と、言いたいの?」 先生:「あぁ、、、そうだ」 妹:「そうして、あなたは、、、作れなかった 姉さんを殺した!」 先生:「それこそ 誤解だ、、、君の 姉さんは書ききったのだよ、、、歌を 」 妹:「え?」 先生:「拾ったばかりのウクレレで、、、君の姉さんは 歌を作りきったのだ」 : : : 死神:「驚いた、、、本当に作りきるとは、、、」 狼:「ね?、、、言ったでしょ?」 死神:「確かに 君は天才だ!、、、しかし」 狼:「どうしたの?」 死神:「この歌、、、誰が伝えるんだ?」 先生:当然の疑問が 口から零(こぼ)れる 狼:「これを伝えられる 人なんて 一人じゃない、、、ユーよ」 死神:「、、、冗談だろ?」 狼:「こんな時に 冗談なんて言わないわ、、、死に際よ?」 先生:二人の間には 机があった 先生:それは越えられない 私たちの大きな壁でもあった 先生:そこに 私は 死神:「君が、、、歌うべきだ」 先生:猟銃を置いた 狼:「ダメ、、、」 先生:しかし、それは 突き返された 死神:「どうしてだ!」 狼:「あなたには 生き残った後の世界がある、、、けど、私にはないわ」 死神:「俺にだってないさ! 君たちを殺すために生きてきたような 男に! 帰る場所なんてあるもんか!」 先生:私は 抑えていた 気持ちを吐き出す 先生:行き場のない 私たちは、、、いつの間にか 逃げ場のない 袋小路(ふくろこうじ)に立たされたのだ 先生:しかし、それでも 彼女は 狼:「大丈夫、、、」 先生:前を向いていた 狼:「あなたがいるわ!、、、きっと、あなたなら この歌を歌える」 死神:「なんで、、、」 狼:「ん?」 死神:「なんで、君は そんなに 私の事を信じられるんだ?」 先生:私は 震えた手で 猟銃を握(にぎ)りしめた 狼:「だって、あなたは 三日間も 私と 床(とこ)を共にした 仲間じゃない」 狼:「あなたしか いないわ 死神さん、、、みんなをよろしくね」 先生:そうして、あの日 先生:私は 初めて 大切な友に引き金を引いたのだ : : : 妹:「嘘よ、、、」 先生:「どう、捉(とら)えるか 君次第だ、、、それを証明する 証拠はない」 妹:「嘘!」 先生:「あるのは、彼女が 残した 歌くらいだ、、、」 妹:「、、、その歌は?」 先生:「この引き出しの中にあるよ、、、もっとも、原本じゃないけどね」 妹:「原本は燃やしたの?」 先生:「渡したよ、、、彼女が信じた未来のために」 妹:「どこまで 人を馬鹿にしたら 気が済むの?」 先生:「君は、、、お姉さんの事を信じてないのかい?」 妹:「姉さんのことは 一番 私が知ってるわ!」 先生:「そうだろうね、、、なら、彼女の書いた 歌についても 分かるだろう?」 妹:「な、、、何がよ」 先生:「その歌はね、、、ラブソング、、、だったんだよ」 妹:「、、、そんな嘘で 気を引いたつもり?」 先生:「気になるなら 後で 目を通すといい、、、私が それに気づいたのは 二十年後だがね」 妹:「はぁ〜、、、」 先生:「死ぬことも出来なかった 当時の私は 自堕落(じだらく)な生活をしながら あの日の歌を 壊れかけのウクレレで弾いていた、、、ある時、そこを通りかかった 少女がいてね?」 先生:「私に、こう、、、言ったんだよ、、、それ、、、とっても 素敵なラブソングだねって」 妹:「冗談にしては よく出来た ストーリーね」 先生:「まったくだ!その時、やっと 私は気づいた」 先生:「私は 私を殺せなかったわけじゃない、、、私は 彼女に生かされていたのだと」 先生:「私が 弾かされていた 歌は! 彼女が 私に向けた ラブソングであり! 、、、これからの未来への!悲痛な願いを歌ったものなのだと!」 妹:「笑えてくるわ、、、そこまで語れると」 先生:「妄想の激しい老人だと 罵(ののし)っても構わないさ、、、だからこそ 私は書くことにした」 妹:「何を?」 先生:「彼女への返事だよ、、、しかし、私は 歌を作る 才能も無ければ 学(がく)もない」 先生:「そこで、とある古き友人に どうたら良いか 訊(たず)ねたら 良い返事を貰えた」 先生:「それ、、、小説にしろよ、、、と、ね」 妹:「浅(あさ)さかな考えだわ」 先生:「当時の 私は名案だと感銘(かんめい)した!」 先生:「そして、それを書き上げるために」 先生:「たくさん作品をしたためてきた!しかし、、、」 妹:「しかし?」 先生:「私には、、、書き上げる 力がなかった」 先生:「彼女のことを思うと 筆がのらず ずるずると 引きずり 生きてきて、、、今日という日を迎えた訳だ」 妹:「そう、、、なら、ここで 私が あなたを殺したら 完成しないのね?」 先生:「残念ながら そんな事にはならない、、、」 妹:「なぜ?」 先生:「完成したからだよ、、、題名は マーマレードジャム」 先生:「最後の言葉は、、、私は 君の その甘酸っぱい思いには答えられない、、、だ」 妹:「何を言ってるの?」 先生:「後は、君が書き上げるだけだ、、、私のゴーストライターさん」 妹:「、、、は?」 先生:「やっと、私の真意(しんい)に気づいたようだね、、、先生」 妹:「もしかして、、、あなたは!」 先生:「私はね、、、書ききれない この思いを 書かせることにしたのさ」 先生:「私よりも 彼女をよく知ってる、、、君にね」 妹:「あ、、、あんたは!」 妹:「姉だけじゃ 飽(あ)き足らず、、、私さえも 誑(たぶら)かすつもりか!」 先生:「君は 勘違いをしている、、、もし、この出会いが 誰かに仕組まれたものなら、、、多分」 先生:「君の 姉の仕業だ」 妹:「戯言(ざれごと)だぁ!」 先生:「あぁ、、、戯言だよ 老いぼれた 老人の」 先生:「だからこそ、お願いだ、、、妹さん」 先生:「この作品を世に出しておくれ、、、私の代わりに」 先生:「彼女と、私が、、、いつか、この世界を救う 架け橋となるために!」 妹:「、、、結局」 先生:「ん?」 妹:「結局 私は 意地悪(いじわる)な姉と 性格の悪い あなたに振り回された マリオネットなのね?」 先生:「、、、そんなことはない」 先生:「ここからが、君の物語だ」 先生:「君が 幸せになることで、、、彼女の理想は完成する」 妹:「どうかしらね」 先生:「なるさ、、、だって、君は こんなにも 愛されている のだから、、、ありがとう 妹さん」 先生:「私が 作品を書き上げるために 足りなかったもの、、、それは、彼女に愛し愛された、、、君だったのだよ」 先生:「私の妄想が 正しいのなら、、、ここまでが、、、私が 彼女に踊らされた 物語だ」 妹:「、、、他には」 先生:「ん?」 妹:「他には 言い残した ことはないの?あなたとして、、、」 先生:「、、、あぁ、そうだね」 : : 先生:「さよなら、、、私の愛しい 狼さん」 先生:「君の人生が、、、幸せであることを 心から願っているよ」 : : 0:私になりに 思い描いたラブストーリーが 誰かの心に届くことを願って

: : : 先生:目を閉じると 今でも思い出す、、、 妹:「、、、先生?」 先生:懐(なつ)かしい あの三日間 妹:「先生!」 先生:「ん?、、、あぁ〜、、、寝ていたかな?、、、私は」 妹:「ぐっすりと、、、良く寝れますね こんな状況なのに」 先生:「若い頃は 銃声と悲鳴が鳴り響く洞穴(ほらあな)で寝ていたものだよ、、、おっと!興味無いかな?」 妹:「全然」 先生:「そうだよね、、、もう、少し待ってくれ そろそろ、この小説を書き終えるのだが、、、」 妹:「だが?」 先生:「タイトルと 結末が思いつかない、、、」 妹:「あなたなりの 命乞(いのちご)いですか?」 先生:「いやいや、本当の事だよ」 先生:「それに、死ぬのは怖くない、、、怖いのは」 妹:「怖いのは?」 先生:「私を殺す 君が 私を殺したと 勘違いすることだ」 妹:「呆(あき)れた言い草ですね、、、まるで、これから あなたは 私でない 誰かに殺さるような 言い方じゃないですか」 先生:「そうさ、、、私が私を殺すのだよ」 先生:「かつて、心の赴(おもむ)くままに 狼を狩り尽くした 死神が、、、自分に殺されるのさ」 妹:「今すぐ 死にたいですか?」 先生:「少し待ってくれ、、、あと少しで 思いつきそうなんだ、、、そうだ!」 妹:「、、、なんですか?」 先生:「読み聞かせるから 聞いてくれないかね? この私の 拙(つたな)いラブストーリーを」 妹:「、、、なんで」 先生:「君が、、、彼女の妹だからだよ」 先生:「君は知る権利がある、、、彼女の最後と それを看取(みと)った 死神の無様(ぶざま)な一生を」 先生:「そして、、、私の 彼女へのプロポーズの返事を聞く権利もある」 : : : 0:Marmalade jam(マーマレード ジャム)~さようなら 狼さん~ : : 先生:家族を殺された、、、狼の一族に 先生:一族全員 1人残らず、、、残された 男は 狼ハンターとなった 先生:その血にまみれた 姿と容姿から 死神と 敵味方関係なく 恐れられた 先生:この世界じゃあ ありふれた話だ 先生:その日、、、狼たちが潜(ひそ)む 最後の集落へと赴いた 私は 先生:彼らを殺した、、、復讐のための 殺しは いつの間にか 呼吸となり 先生:私の心を蝕(むしば)んだ、、、終わりにしよう 先生:この仕事を終えたら 私は、、、死ぬつもりでいた 狼:「ララ〜♪」 先生:その 音痴(おんち)な狼と出会うまでは、、、 狼:「、、、あら?お客さんかしら?」 死神:「そう見えるのなら 君の目は節穴(ふしあな)だな、、、怖くないのか?死ぬのが」 狼:「怖くないわ」 死神:「なんで?」 狼:「だって、、、私は 狼だもの」 狼:「いつも 食べてる パンに怖がる 人間なんていないでしょ?」 死神:「確かにそうだな、、、だからこそ、君たちは死ぬんだ」 狼:「そうね、、、だからこそ、私たちは滅(ほろ)ぶの」 狼:「パンを食べずに 芋を食べるなり 色んな選択肢があったのにね?」 死神:「君は、、、」 狼:「ん?、、、私? ただの狼よ」 狼:「あなたが 殺してきた 愚(おろ)かな狼の最後の生き残り、、、」 死神:「、、、そうか」 先生:呼吸を整え、、、猟銃(りょうじゅう)を構える 狼:「だからね! 一つだけお願いがあるの」 死神:「お、、、お願い?」 狼:「三日だけ!三日だけ時間が欲しいの!」 死神:「、、、なぜ?」 狼:「あと少しで 書いてた歌が完成しそうなの!」 死神:「、、、歌?」 先生:そう言い 彼女は 散らかった部屋から 楽譜(がくふ)を取り出した 死神:「、、、君たちは これから滅(ほろ)びゆく一族だ なのに 君は いったい 誰のために歌を書く気だい?」 狼:「これは 私たちのための歌じゃない、、、これからを生きる人のための歌なの!」 死神:「冗談だろ?」 狼:「冗談か どうかは あなたが見定めたらいい、、、とびっきりの 傑作(けっさく)を書いてみせるわ」 死神:「駄作(ださく)の間違いじゃないか?」 先生:こうして、私たちの不思議な 三日間の共同生活は始まった : : : 妹:「ダウト!」 先生:「ん?」 妹:「姉さんは 歌なんて作ったことないわ、、、あなたの妄想(もうそう)ね」 先生:「なるほど、、、やはりか」 妹:「何が なるほどなのよ」 先生:「君なら、、、いや、君だから 分かるだろ?」 妹:「何が?」 先生:「三日間、、、それだけの時間があれば 子供一人が逃げるのに 十分な時間だ」 妹:「、、、あなたは 姉さんが 私が逃げるための時間を稼(かせ)いでいた と、言いたいの?」 先生:「あぁ、、、そうだ」 妹:「そうして、あなたは、、、作れなかった 姉さんを殺した!」 先生:「それこそ 誤解だ、、、君の 姉さんは書ききったのだよ、、、歌を 」 妹:「え?」 先生:「拾ったばかりのウクレレで、、、君の姉さんは 歌を作りきったのだ」 : : : 死神:「驚いた、、、本当に作りきるとは、、、」 狼:「ね?、、、言ったでしょ?」 死神:「確かに 君は天才だ!、、、しかし」 狼:「どうしたの?」 死神:「この歌、、、誰が伝えるんだ?」 先生:当然の疑問が 口から零(こぼ)れる 狼:「これを伝えられる 人なんて 一人じゃない、、、ユーよ」 死神:「、、、冗談だろ?」 狼:「こんな時に 冗談なんて言わないわ、、、死に際よ?」 先生:二人の間には 机があった 先生:それは越えられない 私たちの大きな壁でもあった 先生:そこに 私は 死神:「君が、、、歌うべきだ」 先生:猟銃を置いた 狼:「ダメ、、、」 先生:しかし、それは 突き返された 死神:「どうしてだ!」 狼:「あなたには 生き残った後の世界がある、、、けど、私にはないわ」 死神:「俺にだってないさ! 君たちを殺すために生きてきたような 男に! 帰る場所なんてあるもんか!」 先生:私は 抑えていた 気持ちを吐き出す 先生:行き場のない 私たちは、、、いつの間にか 逃げ場のない 袋小路(ふくろこうじ)に立たされたのだ 先生:しかし、それでも 彼女は 狼:「大丈夫、、、」 先生:前を向いていた 狼:「あなたがいるわ!、、、きっと、あなたなら この歌を歌える」 死神:「なんで、、、」 狼:「ん?」 死神:「なんで、君は そんなに 私の事を信じられるんだ?」 先生:私は 震えた手で 猟銃を握(にぎ)りしめた 狼:「だって、あなたは 三日間も 私と 床(とこ)を共にした 仲間じゃない」 狼:「あなたしか いないわ 死神さん、、、みんなをよろしくね」 先生:そうして、あの日 先生:私は 初めて 大切な友に引き金を引いたのだ : : : 妹:「嘘よ、、、」 先生:「どう、捉(とら)えるか 君次第だ、、、それを証明する 証拠はない」 妹:「嘘!」 先生:「あるのは、彼女が 残した 歌くらいだ、、、」 妹:「、、、その歌は?」 先生:「この引き出しの中にあるよ、、、もっとも、原本じゃないけどね」 妹:「原本は燃やしたの?」 先生:「渡したよ、、、彼女が信じた未来のために」 妹:「どこまで 人を馬鹿にしたら 気が済むの?」 先生:「君は、、、お姉さんの事を信じてないのかい?」 妹:「姉さんのことは 一番 私が知ってるわ!」 先生:「そうだろうね、、、なら、彼女の書いた 歌についても 分かるだろう?」 妹:「な、、、何がよ」 先生:「その歌はね、、、ラブソング、、、だったんだよ」 妹:「、、、そんな嘘で 気を引いたつもり?」 先生:「気になるなら 後で 目を通すといい、、、私が それに気づいたのは 二十年後だがね」 妹:「はぁ〜、、、」 先生:「死ぬことも出来なかった 当時の私は 自堕落(じだらく)な生活をしながら あの日の歌を 壊れかけのウクレレで弾いていた、、、ある時、そこを通りかかった 少女がいてね?」 先生:「私に、こう、、、言ったんだよ、、、それ、、、とっても 素敵なラブソングだねって」 妹:「冗談にしては よく出来た ストーリーね」 先生:「まったくだ!その時、やっと 私は気づいた」 先生:「私は 私を殺せなかったわけじゃない、、、私は 彼女に生かされていたのだと」 先生:「私が 弾かされていた 歌は! 彼女が 私に向けた ラブソングであり! 、、、これからの未来への!悲痛な願いを歌ったものなのだと!」 妹:「笑えてくるわ、、、そこまで語れると」 先生:「妄想の激しい老人だと 罵(ののし)っても構わないさ、、、だからこそ 私は書くことにした」 妹:「何を?」 先生:「彼女への返事だよ、、、しかし、私は 歌を作る 才能も無ければ 学(がく)もない」 先生:「そこで、とある古き友人に どうたら良いか 訊(たず)ねたら 良い返事を貰えた」 先生:「それ、、、小説にしろよ、、、と、ね」 妹:「浅(あさ)さかな考えだわ」 先生:「当時の 私は名案だと感銘(かんめい)した!」 先生:「そして、それを書き上げるために」 先生:「たくさん作品をしたためてきた!しかし、、、」 妹:「しかし?」 先生:「私には、、、書き上げる 力がなかった」 先生:「彼女のことを思うと 筆がのらず ずるずると 引きずり 生きてきて、、、今日という日を迎えた訳だ」 妹:「そう、、、なら、ここで 私が あなたを殺したら 完成しないのね?」 先生:「残念ながら そんな事にはならない、、、」 妹:「なぜ?」 先生:「完成したからだよ、、、題名は マーマレードジャム」 先生:「最後の言葉は、、、私は 君の その甘酸っぱい思いには答えられない、、、だ」 妹:「何を言ってるの?」 先生:「後は、君が書き上げるだけだ、、、私のゴーストライターさん」 妹:「、、、は?」 先生:「やっと、私の真意(しんい)に気づいたようだね、、、先生」 妹:「もしかして、、、あなたは!」 先生:「私はね、、、書ききれない この思いを 書かせることにしたのさ」 先生:「私よりも 彼女をよく知ってる、、、君にね」 妹:「あ、、、あんたは!」 妹:「姉だけじゃ 飽(あ)き足らず、、、私さえも 誑(たぶら)かすつもりか!」 先生:「君は 勘違いをしている、、、もし、この出会いが 誰かに仕組まれたものなら、、、多分」 先生:「君の 姉の仕業だ」 妹:「戯言(ざれごと)だぁ!」 先生:「あぁ、、、戯言だよ 老いぼれた 老人の」 先生:「だからこそ、お願いだ、、、妹さん」 先生:「この作品を世に出しておくれ、、、私の代わりに」 先生:「彼女と、私が、、、いつか、この世界を救う 架け橋となるために!」 妹:「、、、結局」 先生:「ん?」 妹:「結局 私は 意地悪(いじわる)な姉と 性格の悪い あなたに振り回された マリオネットなのね?」 先生:「、、、そんなことはない」 先生:「ここからが、君の物語だ」 先生:「君が 幸せになることで、、、彼女の理想は完成する」 妹:「どうかしらね」 先生:「なるさ、、、だって、君は こんなにも 愛されている のだから、、、ありがとう 妹さん」 先生:「私が 作品を書き上げるために 足りなかったもの、、、それは、彼女に愛し愛された、、、君だったのだよ」 先生:「私の妄想が 正しいのなら、、、ここまでが、、、私が 彼女に踊らされた 物語だ」 妹:「、、、他には」 先生:「ん?」 妹:「他には 言い残した ことはないの?あなたとして、、、」 先生:「、、、あぁ、そうだね」 : : 先生:「さよなら、、、私の愛しい 狼さん」 先生:「君の人生が、、、幸せであることを 心から願っているよ」 : : 0:私になりに 思い描いたラブストーリーが 誰かの心に届くことを願って