台本概要
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タイトル | [朗読]車窓 |
---|---|
作者名 | 新武将@野生の台本師 (@atarasitakemasa) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
いつも乗っている電車も気持ちが違えば見える車窓もまた違う 台本規約: 特になし 報告してくれたらモチベアップと俺が嬉しい!以上!強制ではない! 129 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 不問 | 14 | 朗読作品です 特に路線の指定はありません 自分の思い描いた路線の車窓を思い浮かべながら読んでください |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
私:今から約150年前、日本で初となる鉄道が新橋~横浜間で開業した
私:そして今日(こんにち)に至るまで、路線は全国津々浦々、都会から山の奥まで、様々な場所までレールが敷かれている
私:列車に乗る人は様々だ
私:希望に満ち溢れ、都会へと出ていく「夢追い人」
私:はたまた、夢破れ、自分のちっぽけさに気づいて地元に帰る人
私:行く宛もなく、ただ風の赴くままに旅を楽しむ「風来坊」・・・
私:きっと、人々は列車の窓から景色を見る
私:窓から見える景色は同じでも、見る人によってその表情は変わっていくのだろう・・・
私:車窓
私:私はちらりと窓の外に目をやる
私:そこにはコンクリートの壁が立ち並ぶ
私:「コンクリートジャングル」なんて言葉がある
私:・・・いや、「ジャングル」なんて生易しいものではない
私:私にとっては「檻」なのだ
私:「コンクリートプリズン」・・・
私:何かに縛られ、閉じ込められ、行き場のない「収容所」
私:私にとってここは、「それ」なのだ
私:電車に乗っている老若男女は、精気のないゾンビのような顔をしている
私:きっと、周りから見たら私も同じ顔をしているのだろう・・・
私:私はそんな日常が嫌で、飛び出したいと思った
私:ある日、私は駅のトイレから会社に一本の電話をいれる
私:「申し訳ありません・・・体調がすぐれず・・・」
私:ウソである
私:いや、ウソなんだろうけどウソではない
私:私は限界に達していたんだ
私:いつもの駅、いつもの電車
私:だけど立つのは別のホーム
私:電車が来た
私:反対のホームで見慣れた電車
私:だけど乗ったことはない見慣れた電車
私:私はそれに乗り込む
私:私はちらりと窓の外を見る
私:いつものコンクリートプリズン
私:だけど今は逆方向に走り抜ける
私:私は今、「脱獄」に成功した―――
私:私はハッと目を覚ます
私:心地よい走行音、そして車内放送・・・
私:私はつい、「寝落ち」してしまったようだ
私:ちらりと窓の外を見る
私:いつの間にかプリズンを抜け、住宅街を突っ切るように走っていた
私:モーター音を鳴らしつつタタン・・・タタン・・・と静かなリズムを刻む電車
私:しかし、時折、ゴオッと大きな音を立て対向列車とすれ違うダイナミックさを魅せてくれた
私:そうこうしているうちに間もなく終点である
私:終点・・・よく駅放送で聞く名前
私:だけど何があるかはわからない
私:実在するのかもわからない、そんな駅
私:そんな駅に初めて降り立つ
私:その駅はとても活気に満ち溢れていた
私:私は買い物を済ますと、乗り換え先のホームへと先を急いだ
私:ここから先はいわゆる「ローカル線」というやつだ
私:電車も都会で見るくらい長い編成から4両へと変化する
私:私は入線してきた短い電車に乗り込み、出発を待った
私:車内はごった返しというわけでもなく、空いているというわけでもない
私:私はそんな車内がとても新鮮に思えた
私:そして、定刻通り、電車は警笛を鳴らすとゆっくりと駅を出発した
私:電車はゆっくりと加速し、軽快に住宅街を駆けていく
私:住宅街エリアも抜け、田畑が目立つようになる
私:植え終わったであろう稲が、水を張った田んぼの中に青々しく立っている
私:きっと秋には黄金に輝く稲穂へとなっているだろう・・・
私:しばらく走っていると電車は山を登り始める
私:ふと電車後方の運転席に目をやる
私:先程まで走り抜けていた市街地はあんなにも小さくなっている
私:「コンクリートプリズン」・・・私を縛り付けていた巨大なビル群も、目を細めなければ見えないほどだ
私:しかし、あんなにも嫌だった「檻」も外から見るとどうであろうか
私:何と壮大で・・・シャキッと背筋を伸ばして気持ちの良いくらい背が伸びている
私:私は思い出した
私:そうだ、あの時・・・上京したときもあのしっかりと天をも貫かんほどに真っ直ぐ伸びるビル群に感動すら覚え、まだ見ぬ新たな生活に胸を躍らせたものだった
私:「夢と希望の場所」はいつしか「絶望で縛り付ける檻」と成り果てた
私:それはきっと、私が「都会」というものに疲れてしまっていたんだろう・・・
私:色々と思いを馳せていると、いつしか私の「檻」は見えなくなっていた
私:電車は私の想いなどどこ吹く風と山の中を雄々しく雄大に力強く駆け抜ける
私:そこには家も田畑も無く、鬱蒼と生い茂った木々や名を知らぬ葉っぱが車体を打ち付けていた
私:山の中腹の小さな駅に停車する
私:誰も降りはしないし、ましてや乗車する客などいるはずもない
私:ただ扉を開けて閉め、列車は動き出す
私:暫く走る・・・すると小さな集落が見える
私:きっと先程の駅はこの集落のためにあったんだろう
私:人の営みがそこにはあったんだという証拠だけが、ただぽつんとそこに佇んでいたのだ
私:山の中の大きな駅に止まる
私:終点、乗り換えだ
私:大きな駅と言っても先程の駅とは異なり電車も人もそこにはいない
私:私と数人と、乗り換える列車、それだけだ
私:私は出発まで駅を散策する
私:木々の音、小鳥のさえずり、川のせせらぎ・・・どれをとっても気持ちがいい
私:この駅からはいくつもの路線が分岐していたらしい
私:しかし、利用者低迷により、廃線や列車本数減でこのように静かなターミナル駅となったようだった
私:きっと、昔は大賑わいだったのだろう・・・
私:人が行きかい、弁当の売り子が大きな声で駅弁を売って・・・
私:出会いや別れ・・・きっと色々なドラマを、この駅は見てきたんだ
私:私は一両の列車が止まるには過剰な駅の設備に「お疲れ様」と小さく言葉をかけ、駅を後にした
私:列車は大きな音を立て山を駆け下りる
私:眼の前には海と街が見えてきた
私:きっと、この「脱獄」も終りが見えてきたのだろう
私:私の中で、なにか弾けるようなものを感じた・・・
私:都会より数時間、私は列車に揺られてであろうか
私:ついにその旅が終わりを告げる
私:終点、港町
私:私は列車を降り、駅を出る
私:駅を出るとかならずある物
私:コンビニ・・・飲食店・・・バスターミナル・・・
私:そんなものは一切ない
私:私の眼の前にあるのは、廃れた港町だけ
私:港まで歩く
私:フェリーを見つける
私:鉄道も今でこそトンネルや橋などで海を渡ることができる
私:しかし、昔は「連絡船」と呼ばれる船で海を超えていたそうだ
私:きっとここも、先程の山奥のターミナルのように、往時は賑わいを見せていたのだろう
私:よくよく見てみると駅より続く線路跡が港につながっているのがわかる
私:盛者必衰・・・
私:私は過去に思いを馳せる
私:潮風が私の顔を撫でる
私:過去の思い出は私の心のモヤとともに潮風が何処かへと吹き飛ばしてしまった
私:・・・きっと、これでいいんだ
私:潮風は、きっとこの街をずっと見守っている
私:例え、過去の勢いがなくなろうと、潮風だけは変わらず、この街に吹いているのだ
私:名残惜しさは拭えないけれど、そろそろ帰る時間だ
私:私は新幹線に乗り込む
私:文明とは、なんと驚嘆に値するものか
私:電車や汽車で数時間揺られた行程を約二時間ほどで駆け抜けるのだ
私:新幹線の車窓からは昼間見た景色が絶え間なく移り変わる
私:もうすぐ下車の時間だ
私:私は明日への気持ちを新たに駅弁を頬張る
私:よし、明日から心機一転、頑張ろう
私:新幹線はゆっくりとビル群の中にあるいつもの駅へと入っていった
私:今から約150年前、日本で初となる鉄道が新橋~横浜間で開業した
私:そして今日(こんにち)に至るまで、路線は全国津々浦々、都会から山の奥まで、様々な場所までレールが敷かれている
私:列車に乗る人は様々だ
私:希望に満ち溢れ、都会へと出ていく「夢追い人」
私:はたまた、夢破れ、自分のちっぽけさに気づいて地元に帰る人
私:行く宛もなく、ただ風の赴くままに旅を楽しむ「風来坊」・・・
私:きっと、人々は列車の窓から景色を見る
私:窓から見える景色は同じでも、見る人によってその表情は変わっていくのだろう・・・
私:車窓
私:私はちらりと窓の外に目をやる
私:そこにはコンクリートの壁が立ち並ぶ
私:「コンクリートジャングル」なんて言葉がある
私:・・・いや、「ジャングル」なんて生易しいものではない
私:私にとっては「檻」なのだ
私:「コンクリートプリズン」・・・
私:何かに縛られ、閉じ込められ、行き場のない「収容所」
私:私にとってここは、「それ」なのだ
私:電車に乗っている老若男女は、精気のないゾンビのような顔をしている
私:きっと、周りから見たら私も同じ顔をしているのだろう・・・
私:私はそんな日常が嫌で、飛び出したいと思った
私:ある日、私は駅のトイレから会社に一本の電話をいれる
私:「申し訳ありません・・・体調がすぐれず・・・」
私:ウソである
私:いや、ウソなんだろうけどウソではない
私:私は限界に達していたんだ
私:いつもの駅、いつもの電車
私:だけど立つのは別のホーム
私:電車が来た
私:反対のホームで見慣れた電車
私:だけど乗ったことはない見慣れた電車
私:私はそれに乗り込む
私:私はちらりと窓の外を見る
私:いつものコンクリートプリズン
私:だけど今は逆方向に走り抜ける
私:私は今、「脱獄」に成功した―――
私:私はハッと目を覚ます
私:心地よい走行音、そして車内放送・・・
私:私はつい、「寝落ち」してしまったようだ
私:ちらりと窓の外を見る
私:いつの間にかプリズンを抜け、住宅街を突っ切るように走っていた
私:モーター音を鳴らしつつタタン・・・タタン・・・と静かなリズムを刻む電車
私:しかし、時折、ゴオッと大きな音を立て対向列車とすれ違うダイナミックさを魅せてくれた
私:そうこうしているうちに間もなく終点である
私:終点・・・よく駅放送で聞く名前
私:だけど何があるかはわからない
私:実在するのかもわからない、そんな駅
私:そんな駅に初めて降り立つ
私:その駅はとても活気に満ち溢れていた
私:私は買い物を済ますと、乗り換え先のホームへと先を急いだ
私:ここから先はいわゆる「ローカル線」というやつだ
私:電車も都会で見るくらい長い編成から4両へと変化する
私:私は入線してきた短い電車に乗り込み、出発を待った
私:車内はごった返しというわけでもなく、空いているというわけでもない
私:私はそんな車内がとても新鮮に思えた
私:そして、定刻通り、電車は警笛を鳴らすとゆっくりと駅を出発した
私:電車はゆっくりと加速し、軽快に住宅街を駆けていく
私:住宅街エリアも抜け、田畑が目立つようになる
私:植え終わったであろう稲が、水を張った田んぼの中に青々しく立っている
私:きっと秋には黄金に輝く稲穂へとなっているだろう・・・
私:しばらく走っていると電車は山を登り始める
私:ふと電車後方の運転席に目をやる
私:先程まで走り抜けていた市街地はあんなにも小さくなっている
私:「コンクリートプリズン」・・・私を縛り付けていた巨大なビル群も、目を細めなければ見えないほどだ
私:しかし、あんなにも嫌だった「檻」も外から見るとどうであろうか
私:何と壮大で・・・シャキッと背筋を伸ばして気持ちの良いくらい背が伸びている
私:私は思い出した
私:そうだ、あの時・・・上京したときもあのしっかりと天をも貫かんほどに真っ直ぐ伸びるビル群に感動すら覚え、まだ見ぬ新たな生活に胸を躍らせたものだった
私:「夢と希望の場所」はいつしか「絶望で縛り付ける檻」と成り果てた
私:それはきっと、私が「都会」というものに疲れてしまっていたんだろう・・・
私:色々と思いを馳せていると、いつしか私の「檻」は見えなくなっていた
私:電車は私の想いなどどこ吹く風と山の中を雄々しく雄大に力強く駆け抜ける
私:そこには家も田畑も無く、鬱蒼と生い茂った木々や名を知らぬ葉っぱが車体を打ち付けていた
私:山の中腹の小さな駅に停車する
私:誰も降りはしないし、ましてや乗車する客などいるはずもない
私:ただ扉を開けて閉め、列車は動き出す
私:暫く走る・・・すると小さな集落が見える
私:きっと先程の駅はこの集落のためにあったんだろう
私:人の営みがそこにはあったんだという証拠だけが、ただぽつんとそこに佇んでいたのだ
私:山の中の大きな駅に止まる
私:終点、乗り換えだ
私:大きな駅と言っても先程の駅とは異なり電車も人もそこにはいない
私:私と数人と、乗り換える列車、それだけだ
私:私は出発まで駅を散策する
私:木々の音、小鳥のさえずり、川のせせらぎ・・・どれをとっても気持ちがいい
私:この駅からはいくつもの路線が分岐していたらしい
私:しかし、利用者低迷により、廃線や列車本数減でこのように静かなターミナル駅となったようだった
私:きっと、昔は大賑わいだったのだろう・・・
私:人が行きかい、弁当の売り子が大きな声で駅弁を売って・・・
私:出会いや別れ・・・きっと色々なドラマを、この駅は見てきたんだ
私:私は一両の列車が止まるには過剰な駅の設備に「お疲れ様」と小さく言葉をかけ、駅を後にした
私:列車は大きな音を立て山を駆け下りる
私:眼の前には海と街が見えてきた
私:きっと、この「脱獄」も終りが見えてきたのだろう
私:私の中で、なにか弾けるようなものを感じた・・・
私:都会より数時間、私は列車に揺られてであろうか
私:ついにその旅が終わりを告げる
私:終点、港町
私:私は列車を降り、駅を出る
私:駅を出るとかならずある物
私:コンビニ・・・飲食店・・・バスターミナル・・・
私:そんなものは一切ない
私:私の眼の前にあるのは、廃れた港町だけ
私:港まで歩く
私:フェリーを見つける
私:鉄道も今でこそトンネルや橋などで海を渡ることができる
私:しかし、昔は「連絡船」と呼ばれる船で海を超えていたそうだ
私:きっとここも、先程の山奥のターミナルのように、往時は賑わいを見せていたのだろう
私:よくよく見てみると駅より続く線路跡が港につながっているのがわかる
私:盛者必衰・・・
私:私は過去に思いを馳せる
私:潮風が私の顔を撫でる
私:過去の思い出は私の心のモヤとともに潮風が何処かへと吹き飛ばしてしまった
私:・・・きっと、これでいいんだ
私:潮風は、きっとこの街をずっと見守っている
私:例え、過去の勢いがなくなろうと、潮風だけは変わらず、この街に吹いているのだ
私:名残惜しさは拭えないけれど、そろそろ帰る時間だ
私:私は新幹線に乗り込む
私:文明とは、なんと驚嘆に値するものか
私:電車や汽車で数時間揺られた行程を約二時間ほどで駆け抜けるのだ
私:新幹線の車窓からは昼間見た景色が絶え間なく移り変わる
私:もうすぐ下車の時間だ
私:私は明日への気持ちを新たに駅弁を頬張る
私:よし、明日から心機一転、頑張ろう
私:新幹線はゆっくりとビル群の中にあるいつもの駅へと入っていった