台本概要

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タイトル 茶摘みん(女男サシVer.)
作者名 Oroるん  (@Oro90644720)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ・アドリブ可です
・基本サシ台本です(業者、オッさんはほとんど台詞が無いので、タケキとの兼ね役推奨です)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
チャスミン 119 本当の名前は「カスミ」
タケキ 96 チャスミンの彼氏
業者 2 トイレの修理業者※タケキとの兼ね役推奨
オッさん 3 トイレに来たおっさん ※タケキとの兼ね役推奨
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
チャスミン:うっす。 タケキ:うっす。 チャスミン:はい、これ実家から。 タケキ:ありがと。チャスミンの実家のお茶、好きなんだよなあ。 チャスミン:あのさあ・・・ タケキ:ん?何? チャスミン:今更っちゃ今更なんだけど、いつまでその呼び方するわけ? タケキ:え?チャスミン?だってずっとそう呼んでるじゃん。 チャスミン:そうだけど・・・お互い良い歳なのにさあ、いつまでも学生時代のあだ名で呼ばれるのは、ちょっとなあ・・・ タケキ:えー、良いじゃん。 チャスミン:だって、何か彼女って感じしなくない? タケキ:そうかなあ?可愛いと思うよ、俺は。 チャスミン:一回試しに名前で呼んでみてよ。 タケキ:え?えーと・・・ チャスミン:・・・ タケキ:・・・名前何だっけ? チャスミン:はい殺すー! タケキ:嘘嘘嘘!カスミちゃん!カスミさん!カスミ様! チャスミン:(舌打ち)もっと心を込めて! タケキ:(咳払いしてからイケボで)大好きだよ、カスミ。 チャスミン:(少し照れながら)そう言えば、何でも許されると思うなよ・・・ タケキ:嬉しいくせにー チャスミン:うっさい! タケキ:(笑って)とりあえず座りなよ。折角持ってきてくれたんだから、お茶淹れるよ。 チャスミン:ん。 0:時間経過 タケキ:(お茶飲む)あー、やっぱり美味しいなあ。お礼言っといてね。 チャスミン:ん・・・分かっ・・・た。 タケキ:? チャスミン:(M)ヤバ・・・お腹痛くなってきた・・・昨日飲みすぎたせいかな・・・ タケキ:どうしたの?大丈夫? チャスミン:うん・・・ チャスミン:(M)どうしよ・・・収まんないかなあ。 タケキ:本当に大丈夫?顔色悪いよ。 チャスミン:(M)これは、ダメっぽいなあ。しょうがない・・・ 0:チャスミン、立ち上がる。 タケキ:どうしたの? チャスミン:ちょっと・・・トイレ。 タケキ:あー、ゴメン。 チャスミン:え? タケキ:今さ、ウチのトイレ壊れてるんだ。 チャスミン:えー!じゃあ、トイレどうしてんの? タケキ:隣の公園の使ってる。 チャスミン:わざわざ一階に降りて、隣の公園まで行くの? タケキ:だって一番近いのそこだし。まさか隣の人にトイレ借りるわけにはいかないでしょ? チャスミン:それはそうだけど・・・ タケキ:今日中に業者が修理に来るはずだけど、何時になるか分かんないし、行ってきなよ。 チャスミン:えー、公園のトイレかあ・・・ タケキ:ん?・・・ああ、大っきい方なの? チャスミン:言うなバカ! タケキ:ゴメン。でも他は遠いし、しょうがないんじゃない? チャスミン:う・・・分かった、ちょっと行ってくる。 タケキ:うん。 0:玄関 チャスミン:あれ? タケキ:どうしたの? チャスミン:ちょっと、ドア開かないんだけど! タケキ:マジか?ゴメン、最近時々開かなくなるんだよね。引っかかっちゃうみたいで。 チャスミン:アンタの部屋、ボロボロじゃない。 タケキ:ひどいなあ。ちょっとどいて、コツがあるんだ。 チャスミン:早く!早く!はーやーく! タケキ:ちょっと、焦らせないでよ。 チャスミン:早・・・アイタタタ・・・ タケキ:大丈夫? チャスミン:大丈夫じゃないから急いで! タケキ:わ、分かった。 タケキ:(ドアを開けようとしながら)ちょっと・・・待って・・・ね。おかしいな、いつもなら開くのに。 チャスミン:(苦しそうに)ちょっと、これマジのやつ・・・お願いだから急いで・・・ タケキ:くそっ!何で開かないんだよ! チャスミン:ヤバ、ダメかも・・・ タケキ:チャスミン! チャスミン:ううう・・・ 0:チャスミンの脳内(妄想) 0:銃弾が激しく飛び交う戦場 チャスミン:状況は!? タケキ:敵は第二次防衛ラインを突破!間もなく、最終防衛ラインに到達します! チャスミン:何だと!?もうそんな所まで・・・ タケキ:敵の勢い凄まじく、なす術がありません! チャスミン:くっ!おのれ「茶色い悪魔」め! タケキ:こんな時、「セイロ・ガーン」大尉がいてくれたら・・・ チャスミン:無理だ。敵の質量が大き過ぎる。彼がいた所でどうにもならん。 0:伝令が入る タケキ:ああ・・・敵が、最終防衛ラインに到達・・・もう、どうする事もできないのか! チャスミン:みんな、何とか踏ん張るんだ! タケキ:ダメです! チャスミン:何故だ!? タケキ:「踏ん張った」ら、逆効果ですぅ! チャスミン:クソォぉぉ! タケキ:糞ぉぉぉ! 0:妄想終わり チャスミン:(ブツブツと呟く様に)最終防衛ライン・・・死守せねば・・・ タケキ:ちょっとチャスミン、大丈夫?しっかりしてよ! チャスミン:ハッ!さ、最終防衛ラインは!?・・・良かった、まだ破られてない。 タケキ:ん?何の話? チャスミン:そんな事はどうでも良いの!ドアは?開いた? タケキ:まだ・・・ チャスミン:嘘・・・ タケキ:ゴメン・・・ チャスミン:もう良い タケキ:え?どうするの? チャスミン:トイレ行く! タケキ:だから壊れてるって。 チャスミン:壊れてるって言っても、どうせ流れないとかでしょ?それなら外でするよりマシだもん! タケキ:ううん、便器が真っ二つに割れちゃったの。 チャスミン:何があったんだ!? チャスミン:しょうがない、じゃあお風呂使わせて!掃除でも何でも後でやるから! タケキ:風呂?風呂はこの前爆発して・・・ チャスミン:お前の部屋どうなってんだ!? タケキ:監禁状態だね・・・ チャスミン:こうなったら・・・ タケキ:どこ行くの?そっちはベランダだよ!? チャスミン:ドアが開かないなら、こっちから出る! タケキ:いやいやいや!ここ七階だよ!?無理だって! チャスミン:できるもん!ベランダをつたって、一階ずつ降りれば行けるもん! タケキ:そんな、アクション映画じゃあるまいし・・・ チャスミン:アイ・キャン・フラーイ! タケキ:早まるな! 0:タケキ、チャスミンを羽交い締めにする。 チャスミン:離して!私は飛ぶの! タケキ:無理だから!ちょっと落ち着いて! チャスミン:ちょっと、引っ張らないで! タケキ:うわ! チャスミン:キャッ! 0:二人、絡まり合いながら倒れる。 チャスミン:アイタタタ・・・ハッ!最終防衛ラインは!?・・・良かった、まだ突破されてない。 タケキ:だからそれ何なの・・・ チャスミン:ん?ベッドの下のコレ何? 0:チャスミン、指輪ケースを拾い上げる。 タケキ:何?・・・それはっ! チャスミン:指輪ケース? タケキ:ダメだ! 0:タケキ、指輪ケースを引ったくる。 チャスミン:キャッ!何なのよもう。 タケキ:・・・見た? チャスミン:は? タケキ:この指輪ケース、見ちゃったよね? チャスミン:それが何? タケキ:(ため息)そうか、見られちゃったか・・・ チャスミン:そんな事どうでも良いから早くトイレに・・・ 0:タケキ、片膝をついて指輪ケースを開けて差し出す。 タケキ:チャスミン、いや、カスミ。 タケキ:僕と結婚してください! チャスミン:・・・ タケキ:・・・ チャスミン:・・・は? タケキ:シワシワのおじいちゃん、おばあちゃんになっても、ずっと一緒にいよう! チャスミン:・・・嘘でしょ? タケキ:え? チャスミン:今ってさ・・・ タケキ:うん。 チャスミン:人生においてさ・・・ タケキ:うん? チャスミン:一番プロポーズしちゃいけないタイミングだろうが!そんな事もわからんのか! タケキ:いや、でも。ケース見られたし。もうしょうがないかなって。 チャスミン:ケース見られただけでしょ!中身見られて無いでしょ! タケキ:でも・・・ チャスミン:そりゃ、最近何かソワソワしてんなーとか思ってたし、そんないかにもなケース隠してあったら見当はつくわよ。 タケキ:でしょ!? チャスミン:でも今じゃねえんだわ!たとえバレバレでも今じゃねーんだわ!アタシの下半身事情が解決してからなんだわ、それ出すのは! タケキ:だって、驚かせようと思ったから・・・ チャスミン:驚いてやっから!知ってても驚いてやっから!何なら号泣してやっから!アタシこう見えても演技得意だから任せとけ! タケキ:でも、今しかないって思ったんだよ! チャスミン:いやいや!「今しかない」じゃなくて、「今だけは無い」なんだわ! チャスミン:てめえ、一般的には女にとって一番幸せな瞬間って言われるイベントをよお、よくもこんなタイミングでぶっ込んできやがったな! タケキ:チャスミン、さっきからガラ悪いよ。 チャスミン:誰のせいだ!・・・あっ、お腹に力入れたからまた・・・ タケキ:チャスミン! チャスミン:うう(苦しそうにうめく) タケキ:チャスミーン!・・・プロポーズの返事は? 0:チャスミンの脳内(妄想) 0:宇宙戦艦のブリッジ チャスミン:もはや、ここまでか・・・ タケキ:艦長、残っているのは我が艦だけです。 チャスミン:・・・ タケキ:艦長、どうされますか? チャスミン:残る手段はただ一つ・・・ タケキ:まさか・・・ チャスミン:波動砲、発射用意。 タケキ:波動砲を!?艦長、いくらなんでもそれは無謀です! チャスミン:もはや、これしか方法は無い! タケキ:そんな・・・ チャスミン:波動砲、最大出力でチャージ! タケキ:さ、最大出力!?いけません艦長!せめて小出しに! チャスミン:そんな微妙な調整、今更できるわけが無いだろう! チャスミン:大体、どっちにしても出てる事には変わらないだろうが! タケキ:しかし、きっとまだ方法が・・・ 0:チャスミン、波動砲発射トリガーに手をかける チャスミン:カウントダウン開始・・・五・・・四・・・三・・・ニ・・・ タケキ:ダメだ! 0:タケキ、チャスミンを羽交い締めにする。 チャスミン:離せ! タケキ:こんなの間違ってます! チャスミン:もうどうだって良いんだ!早く楽になりたいんだ! タケキ:艦長、諦めないで! タケキ:そうだ!空砲を・・・一旦空砲を撃ちましょう!それで時間が稼げるかも。 チャスミン:ダメだ!これはもう、「空砲を撃つつもりでも、実弾の方が出てしまう」やつだ! タケキ:糞があああああ!! チャスミン:波動砲発射ぁ! タケキ:やめろぉぉぉ! 0:妄想終わり チャスミン:(ブツブツと呟く様に)波動砲・・・発射カウントダウン・・・ タケキ:波動砲?しっかりしてチャスミン! チャスミン:あ、あああああ・・・ チャスミン:(M)もうアタシは全てを諦めていた。このまま、ここで波動砲を発射するしかない。そして、アタシの人生はそこで終わる。 チャスミン:(M)その後は、海外に逃亡するか、コイツを殺して全て無かった事にするか・・・そんな事を考えていた時、奇跡が起きた。 チャスミン:(M)ドアが・・・開いたのだ。 業者:すいませーん。さっきから何回もチャイム鳴らしてるんですけど。トイレ修理に伺いました。 チャスミン:(M)チャーーーンス! チャスミン:うおおおおお! 業者:えっ?何?うわあああ! チャスミン:(M)アタシはドアの前に立っていた男を突き飛ばし、外に出た。 タケキ:待って!チャスミン! チャスミン:(M)エレベーターの階数表示は二階。待っている余裕は無い。ここは階段しかない! チャスミン:ぬおおおおお! タケキ:待って、プロポーズの返事は? チャスミン:(M)アタシは凄まじい速さで廊下を進んだ。走るのはリスキーなのですり足で。 タケキ:(M)俺は見た。土煙をあげながら、凄まじい速さのすり足で疾走する彼女を。もし、オリンピック競技に「すり足」があったなら、間違いなく金メダルを取れるだろう。 チャスミン:(M)アタシは階段を駆け降りた。出来るだけ膝を上げない様に、階段の上を滑る様に降りて行った。 タケキ:(M)あんな階段の降り方をする人間を初めて見た。段差があるはずなのに、まるで滑り台を滑る様になめらかに降りていく。 チャスミン:(M)あっという間に一階に着いた。マンションのエントランスを抜け、隣の公園に急ぐ。 オッさん:うー、漏れる漏れる。 チャスミン:うおおおおお! オッさん:何だ?お、お嬢さん!ここは男子トイレで・・・ チャスミン:どおりゃあ! オッさん:うわあっ! チャスミン:(M)アタシは見知らぬおっさんを投げ飛ばし、トイレに入った。 チャスミン:(M)トイレ・・・それは、アタシが永年(ながねん)追い求めてきた、ユートピア。 0:間 チャスミン:(幸せそうな吐息風に)はあああああああああ チャスミン:(M)今まで生きてきた中で、一番幸せな瞬間だった。アタシはとても穏やかな気持ちになった。 チャスミン:(穏やかな口調で)この世界から、飢餓や貧困が無くなったら良いのに・・・ チャスミン:(穏やかな口調で)どうして戦争は無くならないの?どうして、同じ人間同士で争い合うのかしら? タケキ:(すごく遠くから聞こえる感じで)チャスミーーン! チャスミン:(穏やかな口調で)タケキさん?彼の声が聞こえるわ。私(わたくし)ったら、彼に酷いことを言ってしまった。何て自分勝手だったのかしら。 チャスミン:(穏やかな口調で)謝ろう。そして彼の気持ちに応えよう。だって私(わたくし)もタケキさんのこと・・・ チャスミン:(カワボで)大好きなんだモン! チャスミン:(穏やかな口調で)さあ、早く部屋に戻らなきゃ・・・あれ? 0:カラン チャスミン:紙がねえええええええ!! 0:完

チャスミン:うっす。 タケキ:うっす。 チャスミン:はい、これ実家から。 タケキ:ありがと。チャスミンの実家のお茶、好きなんだよなあ。 チャスミン:あのさあ・・・ タケキ:ん?何? チャスミン:今更っちゃ今更なんだけど、いつまでその呼び方するわけ? タケキ:え?チャスミン?だってずっとそう呼んでるじゃん。 チャスミン:そうだけど・・・お互い良い歳なのにさあ、いつまでも学生時代のあだ名で呼ばれるのは、ちょっとなあ・・・ タケキ:えー、良いじゃん。 チャスミン:だって、何か彼女って感じしなくない? タケキ:そうかなあ?可愛いと思うよ、俺は。 チャスミン:一回試しに名前で呼んでみてよ。 タケキ:え?えーと・・・ チャスミン:・・・ タケキ:・・・名前何だっけ? チャスミン:はい殺すー! タケキ:嘘嘘嘘!カスミちゃん!カスミさん!カスミ様! チャスミン:(舌打ち)もっと心を込めて! タケキ:(咳払いしてからイケボで)大好きだよ、カスミ。 チャスミン:(少し照れながら)そう言えば、何でも許されると思うなよ・・・ タケキ:嬉しいくせにー チャスミン:うっさい! タケキ:(笑って)とりあえず座りなよ。折角持ってきてくれたんだから、お茶淹れるよ。 チャスミン:ん。 0:時間経過 タケキ:(お茶飲む)あー、やっぱり美味しいなあ。お礼言っといてね。 チャスミン:ん・・・分かっ・・・た。 タケキ:? チャスミン:(M)ヤバ・・・お腹痛くなってきた・・・昨日飲みすぎたせいかな・・・ タケキ:どうしたの?大丈夫? チャスミン:うん・・・ チャスミン:(M)どうしよ・・・収まんないかなあ。 タケキ:本当に大丈夫?顔色悪いよ。 チャスミン:(M)これは、ダメっぽいなあ。しょうがない・・・ 0:チャスミン、立ち上がる。 タケキ:どうしたの? チャスミン:ちょっと・・・トイレ。 タケキ:あー、ゴメン。 チャスミン:え? タケキ:今さ、ウチのトイレ壊れてるんだ。 チャスミン:えー!じゃあ、トイレどうしてんの? タケキ:隣の公園の使ってる。 チャスミン:わざわざ一階に降りて、隣の公園まで行くの? タケキ:だって一番近いのそこだし。まさか隣の人にトイレ借りるわけにはいかないでしょ? チャスミン:それはそうだけど・・・ タケキ:今日中に業者が修理に来るはずだけど、何時になるか分かんないし、行ってきなよ。 チャスミン:えー、公園のトイレかあ・・・ タケキ:ん?・・・ああ、大っきい方なの? チャスミン:言うなバカ! タケキ:ゴメン。でも他は遠いし、しょうがないんじゃない? チャスミン:う・・・分かった、ちょっと行ってくる。 タケキ:うん。 0:玄関 チャスミン:あれ? タケキ:どうしたの? チャスミン:ちょっと、ドア開かないんだけど! タケキ:マジか?ゴメン、最近時々開かなくなるんだよね。引っかかっちゃうみたいで。 チャスミン:アンタの部屋、ボロボロじゃない。 タケキ:ひどいなあ。ちょっとどいて、コツがあるんだ。 チャスミン:早く!早く!はーやーく! タケキ:ちょっと、焦らせないでよ。 チャスミン:早・・・アイタタタ・・・ タケキ:大丈夫? チャスミン:大丈夫じゃないから急いで! タケキ:わ、分かった。 タケキ:(ドアを開けようとしながら)ちょっと・・・待って・・・ね。おかしいな、いつもなら開くのに。 チャスミン:(苦しそうに)ちょっと、これマジのやつ・・・お願いだから急いで・・・ タケキ:くそっ!何で開かないんだよ! チャスミン:ヤバ、ダメかも・・・ タケキ:チャスミン! チャスミン:ううう・・・ 0:チャスミンの脳内(妄想) 0:銃弾が激しく飛び交う戦場 チャスミン:状況は!? タケキ:敵は第二次防衛ラインを突破!間もなく、最終防衛ラインに到達します! チャスミン:何だと!?もうそんな所まで・・・ タケキ:敵の勢い凄まじく、なす術がありません! チャスミン:くっ!おのれ「茶色い悪魔」め! タケキ:こんな時、「セイロ・ガーン」大尉がいてくれたら・・・ チャスミン:無理だ。敵の質量が大き過ぎる。彼がいた所でどうにもならん。 0:伝令が入る タケキ:ああ・・・敵が、最終防衛ラインに到達・・・もう、どうする事もできないのか! チャスミン:みんな、何とか踏ん張るんだ! タケキ:ダメです! チャスミン:何故だ!? タケキ:「踏ん張った」ら、逆効果ですぅ! チャスミン:クソォぉぉ! タケキ:糞ぉぉぉ! 0:妄想終わり チャスミン:(ブツブツと呟く様に)最終防衛ライン・・・死守せねば・・・ タケキ:ちょっとチャスミン、大丈夫?しっかりしてよ! チャスミン:ハッ!さ、最終防衛ラインは!?・・・良かった、まだ破られてない。 タケキ:ん?何の話? チャスミン:そんな事はどうでも良いの!ドアは?開いた? タケキ:まだ・・・ チャスミン:嘘・・・ タケキ:ゴメン・・・ チャスミン:もう良い タケキ:え?どうするの? チャスミン:トイレ行く! タケキ:だから壊れてるって。 チャスミン:壊れてるって言っても、どうせ流れないとかでしょ?それなら外でするよりマシだもん! タケキ:ううん、便器が真っ二つに割れちゃったの。 チャスミン:何があったんだ!? チャスミン:しょうがない、じゃあお風呂使わせて!掃除でも何でも後でやるから! タケキ:風呂?風呂はこの前爆発して・・・ チャスミン:お前の部屋どうなってんだ!? タケキ:監禁状態だね・・・ チャスミン:こうなったら・・・ タケキ:どこ行くの?そっちはベランダだよ!? チャスミン:ドアが開かないなら、こっちから出る! タケキ:いやいやいや!ここ七階だよ!?無理だって! チャスミン:できるもん!ベランダをつたって、一階ずつ降りれば行けるもん! タケキ:そんな、アクション映画じゃあるまいし・・・ チャスミン:アイ・キャン・フラーイ! タケキ:早まるな! 0:タケキ、チャスミンを羽交い締めにする。 チャスミン:離して!私は飛ぶの! タケキ:無理だから!ちょっと落ち着いて! チャスミン:ちょっと、引っ張らないで! タケキ:うわ! チャスミン:キャッ! 0:二人、絡まり合いながら倒れる。 チャスミン:アイタタタ・・・ハッ!最終防衛ラインは!?・・・良かった、まだ突破されてない。 タケキ:だからそれ何なの・・・ チャスミン:ん?ベッドの下のコレ何? 0:チャスミン、指輪ケースを拾い上げる。 タケキ:何?・・・それはっ! チャスミン:指輪ケース? タケキ:ダメだ! 0:タケキ、指輪ケースを引ったくる。 チャスミン:キャッ!何なのよもう。 タケキ:・・・見た? チャスミン:は? タケキ:この指輪ケース、見ちゃったよね? チャスミン:それが何? タケキ:(ため息)そうか、見られちゃったか・・・ チャスミン:そんな事どうでも良いから早くトイレに・・・ 0:タケキ、片膝をついて指輪ケースを開けて差し出す。 タケキ:チャスミン、いや、カスミ。 タケキ:僕と結婚してください! チャスミン:・・・ タケキ:・・・ チャスミン:・・・は? タケキ:シワシワのおじいちゃん、おばあちゃんになっても、ずっと一緒にいよう! チャスミン:・・・嘘でしょ? タケキ:え? チャスミン:今ってさ・・・ タケキ:うん。 チャスミン:人生においてさ・・・ タケキ:うん? チャスミン:一番プロポーズしちゃいけないタイミングだろうが!そんな事もわからんのか! タケキ:いや、でも。ケース見られたし。もうしょうがないかなって。 チャスミン:ケース見られただけでしょ!中身見られて無いでしょ! タケキ:でも・・・ チャスミン:そりゃ、最近何かソワソワしてんなーとか思ってたし、そんないかにもなケース隠してあったら見当はつくわよ。 タケキ:でしょ!? チャスミン:でも今じゃねえんだわ!たとえバレバレでも今じゃねーんだわ!アタシの下半身事情が解決してからなんだわ、それ出すのは! タケキ:だって、驚かせようと思ったから・・・ チャスミン:驚いてやっから!知ってても驚いてやっから!何なら号泣してやっから!アタシこう見えても演技得意だから任せとけ! タケキ:でも、今しかないって思ったんだよ! チャスミン:いやいや!「今しかない」じゃなくて、「今だけは無い」なんだわ! チャスミン:てめえ、一般的には女にとって一番幸せな瞬間って言われるイベントをよお、よくもこんなタイミングでぶっ込んできやがったな! タケキ:チャスミン、さっきからガラ悪いよ。 チャスミン:誰のせいだ!・・・あっ、お腹に力入れたからまた・・・ タケキ:チャスミン! チャスミン:うう(苦しそうにうめく) タケキ:チャスミーン!・・・プロポーズの返事は? 0:チャスミンの脳内(妄想) 0:宇宙戦艦のブリッジ チャスミン:もはや、ここまでか・・・ タケキ:艦長、残っているのは我が艦だけです。 チャスミン:・・・ タケキ:艦長、どうされますか? チャスミン:残る手段はただ一つ・・・ タケキ:まさか・・・ チャスミン:波動砲、発射用意。 タケキ:波動砲を!?艦長、いくらなんでもそれは無謀です! チャスミン:もはや、これしか方法は無い! タケキ:そんな・・・ チャスミン:波動砲、最大出力でチャージ! タケキ:さ、最大出力!?いけません艦長!せめて小出しに! チャスミン:そんな微妙な調整、今更できるわけが無いだろう! チャスミン:大体、どっちにしても出てる事には変わらないだろうが! タケキ:しかし、きっとまだ方法が・・・ 0:チャスミン、波動砲発射トリガーに手をかける チャスミン:カウントダウン開始・・・五・・・四・・・三・・・ニ・・・ タケキ:ダメだ! 0:タケキ、チャスミンを羽交い締めにする。 チャスミン:離せ! タケキ:こんなの間違ってます! チャスミン:もうどうだって良いんだ!早く楽になりたいんだ! タケキ:艦長、諦めないで! タケキ:そうだ!空砲を・・・一旦空砲を撃ちましょう!それで時間が稼げるかも。 チャスミン:ダメだ!これはもう、「空砲を撃つつもりでも、実弾の方が出てしまう」やつだ! タケキ:糞があああああ!! チャスミン:波動砲発射ぁ! タケキ:やめろぉぉぉ! 0:妄想終わり チャスミン:(ブツブツと呟く様に)波動砲・・・発射カウントダウン・・・ タケキ:波動砲?しっかりしてチャスミン! チャスミン:あ、あああああ・・・ チャスミン:(M)もうアタシは全てを諦めていた。このまま、ここで波動砲を発射するしかない。そして、アタシの人生はそこで終わる。 チャスミン:(M)その後は、海外に逃亡するか、コイツを殺して全て無かった事にするか・・・そんな事を考えていた時、奇跡が起きた。 チャスミン:(M)ドアが・・・開いたのだ。 業者:すいませーん。さっきから何回もチャイム鳴らしてるんですけど。トイレ修理に伺いました。 チャスミン:(M)チャーーーンス! チャスミン:うおおおおお! 業者:えっ?何?うわあああ! チャスミン:(M)アタシはドアの前に立っていた男を突き飛ばし、外に出た。 タケキ:待って!チャスミン! チャスミン:(M)エレベーターの階数表示は二階。待っている余裕は無い。ここは階段しかない! チャスミン:ぬおおおおお! タケキ:待って、プロポーズの返事は? チャスミン:(M)アタシは凄まじい速さで廊下を進んだ。走るのはリスキーなのですり足で。 タケキ:(M)俺は見た。土煙をあげながら、凄まじい速さのすり足で疾走する彼女を。もし、オリンピック競技に「すり足」があったなら、間違いなく金メダルを取れるだろう。 チャスミン:(M)アタシは階段を駆け降りた。出来るだけ膝を上げない様に、階段の上を滑る様に降りて行った。 タケキ:(M)あんな階段の降り方をする人間を初めて見た。段差があるはずなのに、まるで滑り台を滑る様になめらかに降りていく。 チャスミン:(M)あっという間に一階に着いた。マンションのエントランスを抜け、隣の公園に急ぐ。 オッさん:うー、漏れる漏れる。 チャスミン:うおおおおお! オッさん:何だ?お、お嬢さん!ここは男子トイレで・・・ チャスミン:どおりゃあ! オッさん:うわあっ! チャスミン:(M)アタシは見知らぬおっさんを投げ飛ばし、トイレに入った。 チャスミン:(M)トイレ・・・それは、アタシが永年(ながねん)追い求めてきた、ユートピア。 0:間 チャスミン:(幸せそうな吐息風に)はあああああああああ チャスミン:(M)今まで生きてきた中で、一番幸せな瞬間だった。アタシはとても穏やかな気持ちになった。 チャスミン:(穏やかな口調で)この世界から、飢餓や貧困が無くなったら良いのに・・・ チャスミン:(穏やかな口調で)どうして戦争は無くならないの?どうして、同じ人間同士で争い合うのかしら? タケキ:(すごく遠くから聞こえる感じで)チャスミーーン! チャスミン:(穏やかな口調で)タケキさん?彼の声が聞こえるわ。私(わたくし)ったら、彼に酷いことを言ってしまった。何て自分勝手だったのかしら。 チャスミン:(穏やかな口調で)謝ろう。そして彼の気持ちに応えよう。だって私(わたくし)もタケキさんのこと・・・ チャスミン:(カワボで)大好きなんだモン! チャスミン:(穏やかな口調で)さあ、早く部屋に戻らなきゃ・・・あれ? 0:カラン チャスミン:紙がねえええええええ!! 0:完