台本概要

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タイトル 真夏の雨は僕たちの関係を濁らせた
作者名 くま@甘党
ジャンル ラブストーリー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 70 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 雨なんて…もう降らないでほしい。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
稜也 283 山田 稜也(やまだ りょうや)
かなえ 187 佐藤 かなえ(さとう かなえ)
康介 134 斉藤 康介(さいとう こうすけ)
真実 162 鈴木 真実(すずき まみ)
不良 8 稜也と兼ね役
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:待っていた雨は僕たちの関係を濁らせた 稜也(LINE):お疲れ!今終わった!どこに居る? かなえ(LINE):お疲れ様!もうすぐ山に着くから先に入って待ってる! 稜也(LINE):了解!30分くらいで着くと思う! かなえ(LINE):はーい!気を付けて来てね! ―: 稜也:…よし。向かうか! 0:7月下旬 ご飯処 山 かなえ:はぁ、美味しかったぁ! ―:稜也が入ってくる 稜也:お待たせー!って…もう食べ終わってるしw かなえ:こら稜也!遅いぞー! 稜也:しょうがないだろー?大学からここまでそれなりに距離あるんだから。 かなえ:一人で食べるご飯は味気ないだろうから…仕方ない!これからデザートタイムにしよーっと♪ 稜也:相変わらず良い食べっぷりだことw かなえ:へっへっへ!おじさんのレシピを舌だけで盗むのだ! 稜也:おぉ、頑張れ頑張れw かなえ:あー!できっこないって思ってる言い方! 稜也:そんな事ないってw かなえ:むぅーー! ―: 稜也M:俺の名前は山田稜也。就活真っ只中の大学4年生。 稜也M:一緒に居るのは彼女の佐藤かなえ。 稜也M:高校2年生の時に、雨の日のバス停で出逢い、時を重ねて付き合う事になった。 稜也M:いつも俺の事を寂しがり屋とからかってくる。…まぁ本当の事だけど。 かなえ:お互い忙しいと、なかなか時間が合わずデートらしいデートも最近はできていない。 かなえ:私は将来「激盛りの定食屋」を開くために、飲食店で働きながらあちこちの定食屋へ食べに行って勉強している。 かなえ:ここは稜也のお父さんがやっている定食屋、ご飯処 山。 かなえ:たまに私の試作品を持ってきて、味見をしてもらってアドバイスをもらっている。 かなえ:稜也は気象予報士を目指していて、在学中に見事資格を取得。あとは内定をもらう為に色んな会社へ面接をしに行っている。 0: 稜也:はぁー、早く就職決まんないかなぁ。 かなえ:面接、感触良いとこあったんでしょ?それに気象予報士ってあんまり倍率も厳しくないっていうし、気楽に連絡待ちしてなよ! 稜也:そうは言ってもさぁ、やっぱり決まるまでは落ち着かないよ。 かなえ:大変だねぇ、就活生はw 稜也:あーあ、もうとっくに社会人の仲間入りしてるかなえにとっては所詮他人事か! かなえ:そんな言い方しなくても良くない!?せっかくのデザートが不味くなるじゃん! 稜也:それ、ただ食べ過ぎて飽きてきたんじゃないの? かなえ:はぁ!?本っっ当に失礼!おじさんに謝んなさい!こんなに美味しい杏仁豆腐が飽きる訳ないでしょ! 稜也:はいはい。 かなえ:まったく…いつまでも子供だねぇ。 稜也:はぁ?ちょっと早く就職してっからって調子に乗るなよ?俺達タメなんだからな! かなえ:中身の話をしてんのよ、坊や。 稜也:ぼ…坊や…。 ―: かなえ:んー美味しかった!ごちそうさまでした。 稜也:ふぅ、俺もごちそうさま。…あ、そういえばかなえ、話って? かなえ:あ、うん。私の職場の後輩でね、斉藤君っていう男の子が居るんだけど。あ、後輩って言っても同い年なんだけどね。中途採用されてきた子が居て。 稜也:おぉ? かなえ:今度、その斉藤君っていう子が主催するイベントで、ケーキバイキングに誘われたの。 稜也:ケーキバイキング?イベントって何、その子何かやってるの? かなえ:普段からネットで繋がった人達を呼んで、よくオフ会を開催してるんだって。で、今度グランドホテルのケーキバイキングを貸し切って、50人くらいの規模のイベントをやるんだって。私は職場の先輩だから特別枠でって誘ってくれてね。お連れ様も良ければって。…稜也、どう?一緒に。 稜也:……。 かなえ:今就活で忙しいのはわかってるけどさ、たまには息抜きもいいんじゃない? 稜也:……わかった、行くよ。 かなえ:本当?良かった! 稜也:ケーキかぁ、もうずっと食べてない気がするなぁ。 かなえ:2月に食べたっきり? 稜也:そうかも。 かなえ:じゃあ楽しみだね! 稜也:おう! 0:イベント当日 かなえ:斉藤君! 康介:おぉー!かなえさん!来てくれてありがとうございます!! かなえ:こちらこそ、ご招待ありがとうございます! 康介:そりゃなんたって俺の憧れの先輩、かなえさんですもん!いやー来てくれて本当に嬉しいなぁ!今日はVIP対応させていただきますね! かなえ:え、いいよそんなの!普通に接してw 康介:あれ…、お隣の方は……。 かなえ:あ、紹介するね!私の彼氏の山田稜也。 稜也:…。 康介:……なんと!彼氏さんでしたか!…こんにちは。かなえさんには色々と仕事でお世話になってます、斉藤康介です。以後お見知りおきを! 稜也:あ、あぁ…。 かなえ:ねぇ見て稜也!美味しそうなケーキ、いっぱい並んでるよ? 稜也:……。 康介:かなえさん、彼氏さん、今日はたっくさん食べて、思いっきり楽しんでってくださいね! かなえ:ありがとう!行こ?稜也! 稜也:……ん。 ―: かなえ:ぅんっまーーい!!このケーキ、ふわっふわ!!しかも二層になってる! 稜也:この生チョコタルト、これもめっちゃ美味しいぞ! かなえ:さすがグランドホテルだねぇ…どれも一級品! 稜也:ここを貸し切りにするなんて…やり手なんだな。 かなえ:うん、すごいよね! 稜也:あ、丁度あそこに居るじゃん。俺…ちょっと挨拶してくるわ。 かなえ:え?あ…ちょっと! ―: 稜也:……よう。 康介:おぉ、稜也!久しぶり! 稜也:やっぱお前か…康介。変わり過ぎてて一瞬誰だかわかんなかったよ。 康介:へっへっへ!だいぶ垢ぬけただろ?w 稜也:そうだな…。 康介:でもまさかかなえさんの彼氏が稜也だとはなぁ…。 稜也:……。 康介:…ん?何だよ? 稜也:いや…別に。 康介:…ふふw ま、せっかくのパーティーだ。今日は楽しめよ! 稜也:……そうさせてもらうよ。 ―: かなえ:おかえり、稜也!何話してたの?…もしかして、知り合いだった? 稜也:あぁ。 かなえ:え、うそ!本当!? 稜也:…高校の時の同級生。さっきちゃんと確認してきた。本人だったわ。 かなえ:そ…そうなんだ。……仲、良かったの? 稜也:…んーー、どうなんだろう。あいつとはいつも何かで張り合ってたかな。 かなえ:張り合ってた…? 稜也:わかりやすく言うと、スマホの最新機種だとか、履いてるスニーカーだとか、とにかくお互いに持っている物を比べて、どっちが良い物を持っているかで競ってたんだよ。誰にもバレないように。 かなえ:誰にもバレないように?なんで? 稜也:あいつは表向きでは誰かと争うような事はしないんだよ。入学した時から自他共に認めるモテ男でさ。性格もめちゃくちゃ良い奴で文武両道、女子の間じゃ「みんなの康介君」だったからな。 かなえ:へ…へぇ。 稜也:だけど、いつの日だったかな…。あいつが俺のスマホを見て、次の日、それよりも新しい機種を手に入れて、わざと俺に聞こえるように自慢してたんだ。まぁ、他の奴からしたら自慢には聞こえなかっただろうけど、俺にはわかったんだ。「こいつは俺に見せびらかしてる」ってさ。 かなえ:えー、考え過ぎじゃないの? 稜也:…俺はその時、何故かあいつには負けたくないって思って、あいつが持ってるスニーカーの最新モデルを買って、校門から出ていくあいつの前で思いっきり足上げて見せたんだよ。 かなえ:……。 稜也:その時は何も言ってこなかったんだけど、次の日かな。あいつ、誰も居ないのを見計らって、俺に「負けねーから」って一言言ってきたんだよ。 かなえ:うわっ、確定だ…。 稜也:そう。だからそれからしばらく、あいつとは何かしらでずっと競ってたんだよ。 かなえ:じゃあ…ライバル?って事になるのか。 稜也:まぁ、この事は未だに誰も知らないけどな。 かなえ:へぇ…。 ―:急に照明が落ちる 稜也:え…。 かなえ:な、なに!? 康介:お集りの皆々様!!今日のパーティーは楽しんでいただけてますかー!? 康介:当グランドホテルの創始者である高峰オーナーより、ご来場の皆様に、とびっきりのサプライズがございまーーーす!! ―:突如、巨大ウエディングケーキが照らされる かなえ:うっわーーー!!何あれ!?すっごーーーい!! 康介:今宵は、高峰オーナーご夫妻の結婚記念日となっており、お二人の結婚式で出されたウエディングケーキを!特別に!!ご用意していただきましたー!! かなえ:わーーーー!!めっちゃ豪華ーー!!ね、稜也!! 稜也:あぁ…すごいな。 康介:二度と見られないと思っていたこのスペシャルウエディングケーキ!!今夜だけの特別バージョンで復活しましたーー!!皆さん!!思う存分堪能してくださーーーい!! ー: かなえ:これ最っっ高ーー!!超美味しい!! 稜也:…確かに美味いな。 かなえ:もううう!!何その反応!!もっと喜んだらー? 稜也:……。 康介:かなえさん、楽しんでますか? かなえ:あ、斉藤君!これすっごい美味しい!! 康介:あはは!それは良かった! かなえ:あ、ねぇ、さっき稜也に聞いたんだけど…、稜也と同級生だったんだね? 康介:え?…あぁ、喋ったんだw 稜也:別に…隠す事じゃないだろ。 康介:まぁねw それより、お二人はご結婚を考えていますか? かなえ:え…? 稜也:なんだよ急に? 康介:もし考えているなら、僕の知り合いに頼めばこんな感じのウエディングケーキを用意できるから、いつでも相談してくださいって伝えたくて! かなえ:えっ、そうなの!? 稜也:……。 康介:えぇ!近々、某芸能人が結婚するとの事で、その人の為のウエディングケーキを考案してて、これ以上に派手なやつを作ろうと思ってるんですよ! かなえ:芸能人の結婚式のケーキを考案…?斉藤君、何者なの!? 康介:あっははw 僕はただの雇われですからw 稜也:……。 康介:稜也!同級生のよしみだ、安くしとくよ? 稜也:…いらねーよ。 康介:そういうと思ったw 変わってないなw 稜也:お前がな…。 かなえ:ち…ちょっと稜也…?やめてよ?喧嘩とか…。 稜也:(康介を睨む)……。 康介:あははw嫌だなぁ、かなえさん!僕らが喧嘩なんてする訳ないじゃないですかw かなえ:う…うん。 康介:では、引き続きパーティーを楽しんでくださいねー! かなえ:ありがとう!………稜也? 稜也:…大丈夫だよ。ほら、悔いが残らないようにもっと食えよ。タダなんだろ。 かなえ:あー…うん。…稜也も一緒に食べようよ! 稜也:悪い、俺ちょっとトイレ行ってくる。 かなえ:え…、あ、わかった…。 0:トイレ 稜也:………ふぅ。 康介:よう! 稜也:っ!……康介。 康介:いやー本当に久しぶりだなぁw 稜也:なんだよ。何か言いたい事でもあるのか? 康介:え?なんで? 稜也:誰も居ないんだ、それを見計らって何か言いにきたんじゃないのか? 康介:…ぷw あっはははww 稜也:な…なんだよ! 康介:お前、ほんっとに変わってないんだなw いつまでもガキみたいにw 稜也:はぁ!? 康介:ただ小便しに来ただけだよ、ばーか! 稜也:……ちっ。 康介:それとも…、未だに俺と張り合おうとか思ってる?もう相手になんないのわかってるだろw 稜也:……喧嘩売ってんのか? 康介:ひがまない、ひがまない。 稜也:てめぇ…。 康介:あ、そうだ! 稜也:あ? 康介:俺、かなえさんの事、好きだから! 稜也:っっ!? 康介:そんだけ!じゃあな! 稜也:ま…待てよコノヤロー!かなえに手出したら、ぶっ殺すぞ!! 康介:…手出したら?ふふw 俺からは出さないよ。 稜也:…は? 康介:俺はいつでも相手から好意を寄せられて、それに応えるだけさw 稜也:………かなえがお前なんかにいくわけねぇだろうが。 康介:ふふふw 楽しみだねぇ~w 稜也:…………くそっ! 0:会場 かなえ:あ、稜也!おかえり! 稜也:……食ったか? かなえ:え? 稜也:食うもん食ったならもう帰ろう。 かなえ:ちょっと…何それ?……何かあったの? 稜也:何もねぇよ。 かなえ:何もねぇって……普段そんな言葉使わないじゃん!何に怒ってるのよ!? 稜也:うるせぇな、いいからもう帰るぞ!! かなえ:ちょ…離してよ!痛いって! 康介:お集りの皆さん!!! ―:会場の照明が落ちて、ステージ上の康介が照らされている 稜也:っ!? かなえ:な…なに? 康介:ここで、重大発表があります!! 康介: 康介:私、斉藤康介には、今!猛烈に心を奪われている御方が居ます!! 康介: 康介:恥ずかしながら、今まで私は、こんなにも本気で人を愛した事がありません!! かなえ:こ…これ、何が始まったの? 稜也:…あいつ、まさか…!? 康介:そして!!その御方が今、この場にいらっしゃいます!! ―:会場から大勢の女性の声が響き渡る 康介:佐藤かなえさん!!! 康介: 康介:僕は、あなたの事を愛しています!! ―:いきなりかなえに照明が当たる かなえ:…はっ!?眩しっ……!ちょっと…何? 稜也:あ…あの野郎………。 ―:一気に静まり返る会場 かなえへの注目が集まる かなえ:……え…、あ…あの……。 稜也:…帰るぞ。 かなえ:えっ!?ちょっと…稜也!待って…! ―:かなえは腕を引っ張られ、会場を後にする2人 康介:………ふふふ。俺は狙った獲物は逃がさないぜ、稜也。 0:外 かなえ:…稜也! 稜也:……。 かなえ:ねぇ、稜也!! 稜也:……。 かなえ:離して…ってば!! ―:腕を振りほどく 稜也:…っ! かなえ:…なんなの?さっきの。意味わかんないんだけど…。 稜也:……見たまんまだろ。 かなえ:そんなんで納得すると思ってる? 稜也:……。 かなえ:今までお店でも普通に接してた斉藤君が、いきなりあんな事言うなんて…。本当は今日、私の知らないところで何かあったんじゃないの? 稜也:……康介が、…宣戦布告してきた。 かなえ:…え? 稜也:あいつ、俺がトイレに行った時、かなえの事が好きだって言ってきた。 かなえ:…はぁ?ちゃんと彼氏って紹介したのに…。 稜也:俺の事、高校の時から何も変わってないとか言ってたけど、あいつも同じだ。未だにあいつは…俺に張り合ってきてる。 かなえ:……。 稜也:かなえ…。 かなえ:え? 稜也:明日から、店で何があっても…その…。 かなえ:……ふふw ばーか!私が好きなのは稜也だよ!彼氏でしょ?堂々としてなさいよ!あんな嫌な奴…、どうとも思わないよ。 稜也:…そうだよな。 かなえ:だって彼氏と一緒に居るのわかってて、あんな大勢の前で告白してくるなんてさ、稜也にも失礼だしありえないよ…。喧嘩売ってるとしか思えない。 稜也:…珍しく怒ってる? かなえ:当然!私達の仲は、あんな非常識な人に翻弄されるようなヤワな関係じゃないっつーの! 稜也:ははw 頼もしいw かなえ:稜也は頼りないけどね? 稜也:え…? かなえ:もっとビシッとしてよ!あんなの「俺の女は絶対渡さねぇ!」くらい言って跳ねのけちゃえば良かったのにさ!店で何があってもーとか勝手に不安になってるし! 稜也:…ごめん。 かなえ:全く!そもそも私は、あんなスーパー陽キャはタイプじゃないし。 稜也:え?そうなの? かなえ:そうなの?って…。…ねぇ、出逢った頃の私がどんなだったか覚えてる? 稜也:…人見知りしない、何でもハッキリ物を言う人…? かなえ:ちょっとw それは稜也の前だけだってばw 稜也:あーw 学校では大人しくしてたんだっけ? かなえ:そう!あんまり周りのテンションに馴染めなくて、いつも遠慮しがちだったの! 稜也:言ってた言ってた!w …でもさ、弁論部に入ったりしてからだいぶ変わったから…今じゃ陽キャの仲間入りしたのかなーって。 かなえ:そんな事ないよ!まぁ…社会人の集まりにはよく行くようになったから場慣れはしたけどね。でも根っこはなかなか変わんないよ。 稜也:そうなんだ? かなえ:うん。仕事中もバリバリ元気に働いてるけど、…やっぱり稜也と一緒にまったり過ごす時間が1番落ち着くよ? 稜也:おぉー!めっちゃ嬉しい事言ってくれるじゃん!w かなえ:あ…、もう言わないでおこうw すぐ調子に乗るから稜也w 稜也:なんだよw 俺には遠慮せずになんでも言えるんだろー?w かなえ:あー出た出たw ほら帰りますよーw 0:数日後 稜也の通う大学内 稜也:さて、今日の昼飯はどうすっかなー。 真実:せーんぱい! 稜也:ん?あぁ、鈴木か。 真実:えー?せっかく会えたんだからもっと喜んでくださいよー! 稜也:なんでだよw いつも会ってるだろ? 真実:先輩のいつもって…週に1,2回の事を言うんですか? 稜也:え? 真実:私は、文字通りいつも会いたいんです!毎日! 稜也:ま…毎日って…。 真実:あ、先輩これからお昼ですか? 稜也:あぁ。 真実:良かったー!私、お弁当持ってきたんです!先輩に! 稜也:え…なんで俺に? 真実:あー忘れてる!!ひどい!! 稜也:え…!?俺何か約束したっけ? 真実:前に一度、私のお弁当のおかず食べたじゃないですか! 稜也:あ、あぁ。 真実:その時、いつか先輩にお弁当作ってくるので、期待して待っててくださいねって言いました! 稜也:………え、俺その時「気持ちは嬉しいけど、俺彼女居るからごめんね」って言わなかったっけ? 真実:別に彼女が居ても居なくても、ご弁当くらい受け取ってもらってもいいじゃないですか!それに、気持ちは嬉しいんですよね? 稜也:いや…それは社交辞令というか…普通わかるだろ? 真実:…………グズ。 稜也:…え!? 待って、なんで泣いてんの!? 真実:だって……グズ…。せっかく先輩の為に作ってきたのに……グズ…。 稜也:…わ、わかったわかった!食べるから!だからこんな所で泣くなよ! 真実:嫌々食べられるくらいなら捨てたほうがマシです…。 稜也:嫌々じゃないって!本当に食べたいから! 真実:本当ですか!?じゃあどこで食べますか!? 稜也:…調子のいい奴だな。 真実:ほらほら、行きますよ先輩!あそこのベンチでいいですか? 稜也:あ…あぁ。 0: 真実:先輩!はい、あーん! 稜也:……あのさぁ。何度も言うけど、俺にはちゃんと彼女が居るの。 真実:わかってますよ? 稜也:じゃあなんでこんな事するんだよ? 真実:だって、私先輩の事……。 稜也:……。 真実:女の子に言わせるなんて先輩ひどーーい! 稜也:う……。 真実:まぁ細かい事は気にせず、はい、自分でなら食べてくれるんですよね?どうぞ、召し上がれ! 稜也:あ、あぁ…。いただきます…。 真実:………どうですか? 稜也:……うん、美味しいよ。 真実:良かったあーーー!!これ、今朝4時に起きて作ってきました! 稜也:よ、4時!?ゴホッ、ゴホッ…。 真実:んふふw はい先輩、お茶です。 稜也:……ふぅ、ありがとう。 真実:やっぱり可愛いですねー先輩w 稜也:…可愛くない。てか4時って、気合い入れすぎだろ。 真実:あぁ…まぁそんなに珍しい事でも無いので。 稜也:え、そうなのか? 真実:はい。うち、共働きで両親とも朝早いんですよ。だからまだ幼い弟にお弁当作ってるんです。毎日では無いですけどね。前日の夜にお母さんが作れなかった時だけ、私が作ってるんです! 稜也:へ…へぇ。 真実:こういう家庭的な女の子、どうですか?w 稜也:…偉いんだな。家族の為に4時に起きてまで。 真実:「えらいえらい」って言いながら頭なでてください! 稜也:し、な、い! 真実:えー先輩のケチ! 稜也:はぁ…。 真実:あ、お残し禁止ですからね? 稜也:それは大丈夫。俺は物を残さない主義だから。 真実:そこは「美味しくて止まらない!」とか言ってほしいなぁー。 稜也:あ、美味しいのは本当だよ?さすが慣れてるなって思った。 真実:えー嬉しい!じゃあ、じゃあ、またお弁当、作ってきてもいいですか!? 稜也:だーーめ。 真実:なんでですかーーー!! 稜也:お前さ、自分の彼氏が他の女にこんな事されてたら嫌だろ? 真実:私の彼氏になる人は徹底的に教育するので、他の女からのお弁当なんて口にしません! 稜也:き…教育って…。 真実:ふふw 先輩の事もー、教育したいでーす!w 稜也:アホか。よし、完食!ごちそうさまでした。 真実:え、はやっ!もっと味わって食べてくださいよー。 稜也:十分味わったよ!ありがとうな! 真実:…むぅ。 稜也:じゃあ俺ちょっと行くとこあるから。またな。 真実:あーーーほらやっぱりすぐ行っちゃうー! 稜也:またいつでも会えるだろう?同じ学校なんだし。 真実:あ、先輩って今日講義いつまでですか? 稜也:教えないw じゃな。 真実:あ、待ってくださいよー。………行っちゃった。はぁーあ、早く先輩彼女と別れないかなー。 0:かなえが働く飲食店 かなえ:ふぅ、ディナーが始まる前に掃除と仕込みしとかないとなぁ…。 康介:かーなーえーさん! かなえ:っ! ……。 康介:あれー?無視する事ないじゃないですか! かなえ:斉藤君、私、まだあの日の事許してないから。仕事以外で話しかけないで。 康介:…ふふw かなえ:…何笑ってるのよ? 康介:いやwそんなに嫌わなくてもよくないですか?w自分の事を好きだって言った相手なのに! かなえ:私には稜也が居るの。あなたなんかに興味無いから。 康介:かぁー…。かなえさん、なんで稜也なんですか?かなえさん、顔も可愛いしスタイルだって良い、話してて楽しいし、仕事もできるし。…かなえさんなら、もっと他に良い男が居るでしょうに…。 かなえ:あなたにそんな事関係ないでしょ!? 喧嘩売ってるの? あと何度も名前呼ばないで、うるさいから。 康介:おー、こっわww こんなに褒めてるのに喧嘩ってw かなえ:もうどっか行ってよ!私は忙しいの!あなたみたいな非常識な人を相手にしてる暇なんて無いの! 康介:あ、仕込みならもう終わりましたんで。 かなえ:…え!? 康介:あと明日の発注分もまとめておきました。 かなえ:あ…。 康介:トイレ掃除も終わってるんで、俺2階のフロア掃除してきまーす! かなえ:は…はい。…………別に…仕事だし。当たり前の事よ…。 ―:事務所に居た店長から、19時に6名の予約が入った旨を伝えられる かなえ:あ、はーい! 康介:(2階から叫ぶように)かなえさーん! かなえ:…なに? 康介:残りの掃除やっておくんで休憩入っちゃってください!今日朝からずっと動きっぱなしじゃないですか! かなえ:……。 康介:あと掃除だけだし、もう少ししたら他の人も来るんで余裕で間に合いますから! かなえM:……店長がそこに居るのわかっててわざと聞こえるように言ってるの? …高校時代もきっとこうやって人気者になった訳ね。 康介:あれ?かなえさーん? かなえ:(呟くように)わかった。じゃああとお願い。 康介:えー?なんて言ったんですかー? かなえ:……はぁ。(笑顔で)わかったよー!ありがとう!じゃああとお願いねー! 康介:はーい!w かなえM:……私が店の雰囲気を考えて、何もなかったように接してるの知ってて…わざと……。ムカつく…。 ―: 稜也:ん?かなえからLINEだ。……え、激おこじゃん。 かなえ(LINE):今、斉藤君から喧嘩売られた。めっっっっちゃムカつく!! 稜也(LINE):何があったの? かなえ(LINE):今度会った時に話す。ねぇ、何か面白い顔送って! 稜也:なんだよその無茶ぶりw えー……。(自撮りを撮る) …こんなんでいいかw 稜也(LINE):はいw かなえ(LINE):待ってww 最高ww 休憩室で声出して笑っちゃったw ありがとう!元気出た!! 稜也:(LINE):はーいw 今日閉店までだっけ?頑張れ!俺も今夜は飲み会誘われたから行ってくる! かなえ(LINE):うん!稜也のおかげで頑張れる!今夜飲み会なんだ。あんまり飲み過ぎないようにね?w 行ってらっしゃい! 稜也:(LINE):気を付けますw 行ってきます! 0:19時前 かなえ:いらっしゃいませー!ご予約されてますか?……はい、承っております!こちらへどうぞ! かなえ:ご予約のお客様ご来店でーす!いらっしゃいませー! 稜也:……あ。かなえ…。 かなえ:えっ!?稜也!? 稜也:ごめん、今日の幹事が店決めたから俺ここだって知らなくてさ…。 かなえ:なんで謝るの?w ようこそいらっしゃいませ! 稜也:あははw お邪魔しますw かなえ:そんなw 私の家じゃないんだからw 真実:あれー?先輩、お知り合いの店員さんですかー? 稜也:うわっ!? かなえ:…いらっしゃいませ。 真実:どうもー。先輩、どこ座るんですか?私絶対先輩の隣が良いです!! 稜也:おい…やめろよ。あ、そうだ。この人が俺の彼女。 真実:へ…? かなえ:あ、どうも。稜也の彼女の佐藤です。 真実:………ふーん、あなたが彼女さんなんだぁ…。 かなえ:……? 稜也:おい…挨拶くらい返せよ。 真実:あー、鈴木真実でーす、先輩の愛すべき後輩です♪ かなえ:…はい? 稜也:だ…だからそういうのやめろって! 真実:あははw 早く座りましょうよー! 稜也:……ごめん。 かなえ:(少しイライラしながら)…ごゆっくりどうぞ。 稜也:うっ……うん…。 康介:(独り言)あれ?稜也じゃん…。へぇ…大学の飲み会って感じかな…。 ―: 真実:先輩、何飲むんですかー? 稜也:…んー、とりあえず生かな。 真実:かっこいいー!私まだビールの美味しさわかんなーい。先輩ってやっぱり大人ですね! 稜也:………別に。 真実:じゃあ私カシオレで! 康介:失礼しまーーす!お客様、お先にお飲み物のご注文よろしいでしょうかー? 稜也:あ……。 真実:えっとー、先輩がビールで、私カシオレください! 康介:はい。生とカシオレですね、かしこまりました。お2人は随分と仲が良さそうですね!あ、お付き合いされてるとか?w 稜也M:こ、こいつ…かなえが居るからって嫌がらせか…。 真実:えー?やっぱりそう見えちゃいますかー?w お似合いって事ですよねー!やだー嬉しいー! 康介:ものすごーくお似合いですよーw あ、他の方もお決まりですか?はい…はい…。 稜也:お前…いい加減にしろよ。 真実:え?何がですか? 稜也:さっき言ったろ。彼女が居るんだ、あまり… 真実:(被せて)あ、店員さーん!私お通しいらないでーす! 稜也:聞けよ! 康介:あ、はーいかしこまりました。彼氏さんはどうしますか? 稜也:はぁ?お前もいい加減に… 康介:(被せて)他のお客様もお通しはどうされますか?……はい、かしこまりました。では失礼します。 稜也:……ちっ。 真実:せんぱーい?そんな怒らないでくださいよー。(大声で)せっかくの合コンなのにー!! 稜也:ばっ…!合コンじゃなくてただの飲み会だろうが!! 0:厨房 康介:オーダー入りまーす。 かなえ:……。 康介:あそこの卓、合コンですってw かなえさん、知ってたんですか? かなえ:…さっき稜也がただの飲み会って言ったのも聞こえてたでしょ。黙って仕事しなさい。 康介:はーいw (聞こえるような独り言で)それにしても稜也の隣の子、ありゃー稜也にゾッコンだったなぁw かなえ:……なんなのよ、今日は…。 ―: 真実:(酔っぱらって)せんぱーーい、私ってぇ、可愛いじゃないれすかー? 稜也:…はぁ? 真実:色んな男子に告白されるんれすけどぉ、先輩みたぁな良い人なんて居ないんですよねーー! 稜也:お前…飲み過ぎ。 真実:れぇー先輩達も思いわへんかー? 稜也:……はぁ。俺ちょっとトイレ行ってくるわ。 真実:あ…お供しあーーす! 稜也:……寝とけ。 康介:おっと…失礼しました。 稜也:……トイレどこ。 康介:…ふw 御手洗でしたらあちらになります。 稜也:あっそ。 康介:……。 真実:待ってくらさいよーせんぱーーーい! 康介:お客様、足元段差がありますので、お気を付けくださいね。 真実:あぁーい! かなえ:あ、稜也…。 稜也:かなえ…。ごめん、トイレ漏れそうなんだ! かなえ:あ…うん、あっち。 稜也:ん、ありがとう! 真実:……。 かなえ:あ…。 真実:あなたが彼女さんって本当ですか? かなえ:…はい、そうですが? 真実:……ふふw 全然釣り合ってないですね!w かなえ:は…はぁ!? 真実:えーだってぇ、私と先輩が付き合った方が絶対似合ってると思いますけどねぇ? かなえ:あなたみたいに酔ったフリをして男を誘惑するような人、稜也が好きになると思ってるの? 真実:うわ…最低、店長さんに文句言おうかなー?この人の接客最悪だったーって。 かなえ:どっちが最低よ!好きにしたら!? 真実:あーあw 強がっちゃってw かなえ:失礼します! 真実:………あははw あんな感じの人なんだー。……楽勝かなw ―:開始から3時間後 稜也:なぁ杉本!もう解散にしようぜ。飲み放題も終わったんだし。 真実:えーー、もう解散なんてつまんなーい!先輩、二次会行きましょうよー!カラオケとか! 稜也:もう十分だろ。こんだけ飲み食いしたんだし、俺は満足だ。 真実:別に飲み食いしなくても、先輩と一緒に居られるだけでいいんですー! 稜也:杉本、白石!後は任せた。俺は先に帰る。会費3000円で良いんだよな? 真実:あ……先輩!………もうっ! かなえ:稜也…。 稜也:……最悪だな、今日。 かなえ:…うん。 康介:あれ?先に帰るのか? 稜也:…どうだっていいだろ。 康介:相変わらず冷たいねーw かなえ:斉藤君は早く仕事に戻って。 康介:かなえさん。 かなえ:何よ? 康介:これから2週間近く、毎日俺と出勤時間一緒ですよね! かなえ:……だから何?悪いけど、稜也はそんな挑発なんかに乗らないから。 稜也:おい康介。 康介:…あ? 稜也:お前程度の奴なんかクソくらえだ。じゃあな。 康介:な…なにぃ? かなえ:…ふふw さぁー仕事仕事。 康介:………。 0:外 稜也:…はぁーあ。今日は疲れたなぁ。 真実:せーーんぱいっ! 稜也:な…なんで!? 真実:ふふふw 今夜はまだどーーしても先輩の顔を見ていたくて…。 稜也:……そんな上目遣いしても俺は帰るぞ。じゃあな。 真実:……ふふw ―: 稜也:……おい、いつまでついてくるんだよ? 真実:んー?先輩の行くとこまでw 稜也:………はぁ。わかったよ、ちょっとそこの公園に寄ろう。 真実:はぁーい!深夜の公園デートですね♪ 稜也:まだ22時半だろ…。 真実:夜の公園デートってなんか良いですよね♪ 稜也:デートじゃない。 真実:もうっ!ちょっとくらいサービスしてくださいよー。 稜也:………。とりあえずあのベンチに座ろう。 真実:…はぁーい。 ―: 稜也:……で? 真実:はい? 稜也:かなえの前で、なんであんな態度取るんだよ? 真実:あー、だってー先輩の事がぁ… 稜也:(被せて)さっきの店に男の店員が居ただろ。よくドリンク持ってきてた。 真実:…あぁ、あのイケメン風の。 稜也:あいつ、俺の高校の同級生なんだよ。 真実:へぇ、そうなんですね。 稜也:んで、この前あいつ主催の集まりがあってな。その時に俺とかなえが付き合ってるとわかった上で、大勢居る中でかなえに告白したんだよ。もちろんその場には俺も居た。 真実:うっわー!大胆ですねぇw 稜也:その件があって以来、かなえと俺はあいつを敵視している。……お前も敵視されたいか? 真実:えー、嫌ですよー。 稜也:だったら、かなえの前でも、学校でも、後輩らしくしてろ。彼女みたいな接し方してくるな。 真実:……うーん…。 稜也:俺、そんな難しい事言ってるか? 真実:…そうじゃなくてー。 稜也:…なんだよ? 真実:んー、恋はいつでもハリケーンって言うじゃないですかw (急に暗い表情で)色んな人を巻き込んで、好きな人、邪魔な人、使える人、全部飲み込んでめっちゃくちゃにして、……それで最後に生き残った人が勝ち。 稜也:な…何言ってんの?お前…。 真実:…私負け無しなんですよ。今まで何度もハリケーンに飲まれたけど…、というか私がハリケーンを起こしてるんですけどねw その中で、いつも勝ってきました。勝ち続けてきました! 稜也:……つまり、狙った男はみーんな落としてきたと。…くだらねぇ。 真実:くだらないですか?ふふw そんな事もないんですよ? 今までの経験があるからこそ、次に狙う人をどうすれば落とせるか、すぐわかりますからw 稜也:残念だったな。俺は間違いなくお前には落ちない。落とされない。 真実:………。 稜也:わかったらさっさと諦めるんだな。 真実:……。 稜也:……。 真実:なんで…。 稜也:…あ? 真実:……なんで私だけ諦めなきゃいけないの。 稜也:……はぁ?何言って… 真実:(被せて)私は!!……私は、今まで色んな事を諦めてきました! 真実:小学生で料理と家事を覚えてから、ずっと弟の世話をしてきた…。 真実:親がいつも家に居ないから、私が全部しなくちゃいけなかった!! 真実:やりたい事もできない、欲しいものも手に入った事なんてない!全部全部諦めてきました!! 稜也:………。 真実:だけど高校に入ってから、ちょっと色目使えば簡単に男が落ちていくのがわかって…それがバカみたいに面白くて。 真実:もちろん本気で好きになった人も居た。……だけど、良いなと思った人にはみんな彼女が居た。 真実:私は悔しかった…。だからバカな男達を次々に落としていった! 真実:落ちた男はみんな私を甘やかしてくれた。ご飯はもちろん奢ってくれて、お小遣いだってくれるバカも居た。 稜也:………。 真実:だけど!……ある日、それは本当の愛じゃないってわかった。みんな……私の体目当てだった。 真実:………私、犯された事あるんです。 稜也:……は? 真実:その頃、いつも優しくしてくれる5個上のお兄さんが居て、その日も2人でクラブに行って騒いでた。 真実:だけど私は、連日睡眠不足のまま遊んでたから、ちょっと疲れて別室で休んでたんです。 真実:そしたらいきなりその人と、2人の男が入ってきて…。 稜也:……。 真実:もちろん抵抗しようとしましたけど、……その人に言われたんです。 真実:「お前みたいにチャラい奴は3Pでも4Pでも大歓迎だろ?w」って。 真実: 真実:……ふふw どこで道を間違ったんですかね…。 真実:いつの間にか私は、誰とでも寝る、そんな性欲の塊みたいな変態になってたんだなって。 稜也:……。 真実:自業自得だって言う人ももちろん居ますよ? 真実:それは私だって自覚はある……。 真実:だけど!!今まで自分の欲望を我慢してきた分、弟の面倒を見てきたおかげで台無しになった青春を、今!! 真実:好きに暮らせるようになった今だからこそ!!私は私の生きたいように生きているんです! 真実:だってそうでしょ…?大学生活が終わったら嫌でも就職しなくちゃいけないし…。 真実:今ちゃんとした彼氏が作れないと、あっという間に華の学生時代なんて終わっちゃう。 真実:私の夢見た青春が消え去るの!! 稜也:……そうか。 真実:…そうか…って………なんですか? 稜也:別に…。そうかって思ったから言っただけだ。 真実:……こんな話されて、たった一言「そうか」で済ませるんですね…。 稜也:あぁ。俺はお前の彼氏でも無ければ、友達でも無い。たまたま学校が同じになっただけの先輩だ。 真実:……。 稜也:ここで優しくされて、一気に距離を縮めようと思ってるんだろうけど、そううまくはいかないぞ。 真実:…っ! ………グズ。 稜也:…泣かれても同情なんてしないからな…。 真実:先輩………バカ過ぎ。 稜也:……。 真実:(泣きながら)同情!?w そんなの…最初から求めてませんから!! 真実:最低!!女泣かせて平気な顔してそんな事言うなんて!! 稜也:そ…それはっ! 真実:(被せて)もういいです!!別に同情して欲しくて話したんじゃないし!! 真実:これで距離を縮める?勘違いしないでください!! 真実:私はただ!………ただ、自分の事を素直に話せる人が欲しくて……。 稜也:……え? 真実:こんな私でも…、こんな私の素を知ってくれて、話を聞いてくれる人が居てほしかっただけです……。 稜也:す…鈴木…。 真実:……帰ります。お疲れ様でした。 稜也:あ…あぁ…。 ―:真実が立ち去る 稜也:……ちょっと…、やり過ぎたかな…。 0:かなえ 終業後 かなえ:……はぁ。 康介:お疲れ様でーす! かなえ:……。 康介:かなえさん、今日のお客さん捌きもさすがでしたね! かなえ:……。 康介:ドリンク作るのも早いし、どれだけ忙しくても笑顔絶やさないし、 康介:アンケートの「輝いていた店員」欄は、ほとんどかなえさんの名前だし! かなえ:……なんでついてくるのよ? 康介:あ、俺家こっちなんで!w かなえ:はぁ?わかりきった嘘つかないで。私あなたの履歴書見てるのよ? 康介:最近引っ越したんですよ、店長にももう伝えてありますよ? かなえ:……あっそう。 康介:だからご一緒しまーすw かなえ:私寄る所あるから、じゃ。 康介:あーそういえば俺も買い物がぁ… かなえ:(被せて)しつこいなー!! 康介:っ!? かなえ:早く帰ってくれないかな?私、あなたの横を歩きたくないの! 康介:えぇ…そんな冷た……ん? ―:酔った輩に囲まれる2人 かなえ:…ちょっと……なんなんですか…。 康介:…なんですか?…………通してもらってもいいですか?僕達これから帰るんで。 かなえ:…あ、ちょ…離してっ! 康介:離してくださいよ!!……帰りましょうかなえさっ!? ―:お腹を蹴られる康介 かなえ:さ…斉藤君!? 康介:ゴホッゲホッ……いってぇな…。 かなえ:大丈夫!?…け、警察呼ぶから…あっ!? ―:スマホを取られて壊される かなえ:(恐怖のあまり震える)……な…も、もう…やめてください……。 康介:お前ら…調子に乗るなよコノヤロー!! かなえ:あっ………。 ―: 康介:………いってて…。 かなえ:あの…大丈夫? 康介:あぁ…はい。 かなえ:…………ありがとう。 康介:…へへ。良かった、かなえさんに怪我が無くて…。 かなえ:……。 康介:あー……うぐっ!? かなえ:え…ちょっと…本当に大丈夫!? 康介:……ちょっと…、肩貸してもらってもいいですか…? かなえ:あ…え、っと……。 康介:……なーんてw 冗談ですよ! かなえ:…え? ―:強がってふらつきながら歩き出す康介 康介:じゃあかなえさん…、また明日!お疲れ様でしたー。 かなえ:あ……気を付けて…お疲れ様……。 かなえ: かなえ:……肩くらい貸しても良かったかな…。 かなえ:一応…、あんな体張って助けてもらった訳だし……。 0:数日後 稜也:……え? 真実:だぁかぁらぁ、ちょっとだけでいいんで、勉強教えてほしいんです! 稜也:なんで俺…? 真実:だって、先輩が毎回成績すごい良いの知ってますもん! 稜也:だからって…。俺、就活で忙しいんだけど? 真実:嘘だ!私聞きましたよ?もう先輩は無事に内定もらえたって! 稜也:……お前の情報源はどうなってんだよ……怖いぞ。 真実:もーー今日は本当に困ってるので、いつものは無しで、本当に助けてほしいんです! 稜也:いつもの…って…。うーん…、まぁ勉強教えるくらいなら…いいか。 真実:えっ!?本当ですか!?やったーー!! 稜也M:この前のはちょっと悪い事したと思ってたし。…丁度いい、これで償うか。 稜也:じゃあ行くか。駅前のカフェでいいだろ? 真実:はい!…えへへ、なんかデートみたいですねw 稜也:……今日はそんなんじゃないんだろ? 真実:はぁい…。 0: かなえ:買い出しくらい、私だけで大丈夫って言ったのに…。 康介:いやいや、いくら筋肉モリモリのかなえさんでも、この量はさすがに過酷ですって!w かなえ:だ…誰が筋肉モリモリよ!失礼ね! 康介:あー、人が多くなってきましたねぇ。これだから駅前通るのって嫌なんですよねー。 かなえ:じゃあ先に戻ればー?それ私が持っていくから。 康介:そんなもったいない事…コホン、そんな人でなしみたいな事しませんから! かなえ:何よ…もったいないって。全く…。 康介:あれ…? かなえ:……ん? 康介:なんか…カフェの前で誰か騒いでないですか? かなえ:……え、やだ、喧嘩…? 康介:………高校生同士の喧嘩…みたいですね。 ―:1人の高校生がバールで相手の後頭部を殴る かなえ:ちょっ……えっ!? 康介:……やり過ぎだろ…。 かなえ:あ…逃げた!斉藤君、すぐ救急車呼んで!! 康介:え!?かなえさん!? ―:逃げた高校生を追っていくかなえ 康介:おいおい…マジかよ…くそっ! ―:追いかける康介 0:カフェ店内 稜也:(電話中)はい…はい、そうです。相手も高校生で、倒れているのも高校生です。…はい。 真実:うわぁ…あの子血まみれじゃん。かわいそう……。 稜也:わかりました。僕は店内に居るので。…はい。失礼します。 真実:…先輩。 稜也:あぁ…。とりあえず警察と救急車は呼んだ。後は…任せるしかない。 真実:そうですね…。なんか…勉強どころじゃなくなっちゃった…。 稜也:…そうだな。場所、変えるか? 真実:どこ行きます?先輩の家?w 稜也:無理に決まってるだろ。 真実:ちぇ…。あ、じゃあ私の家来ますか!? 稜也:それも無い。勉強教えてやるだけで満足しとけ! 真実:えーー。だって目の前で人が殴られてあんなに血出して…。なんか怖いんですもん…。心臓バクバクなんですよ?ちょっとでも優しくして安心させてくださいよ…。 稜也:……んん。まぁ…それはわからないでもないけど…。 真実:ホテル行きたいとか言いませんから! 稜也:当たり前だバカ!俺にはかなえが居るって言ってんだろ! 真実:(小声で)はいはい…かなえさんね…。 稜也:…ん?何か言ったか? 真実:なんでもないでーす。…先輩、帰りましょう?近くまででいいんで送ってください! 稜也:え?勉強はいいのか? ……わかった。 0: かなえ:ハァ…ハァ…、見つけた…。ちょっとあんた達!! 不良:あぁ?誰だよ? かなえ:さっきの見てたのよ!自首しなさい! 不良:…ちっ、めんどうくせぇなー!どっか行けよババァ!! かなえ:バ…!?このクソガキぃ…。 康介:はいストーーーップ! かなえ:…斉藤君! 康介:お前ら、もう逃げらんねーよ。諦めな。 不良:あぁ? かなえ:(小声で)ちょっと…まだこの前の怪我治ってないんでしょ?無茶しないでよ? 康介:大丈夫ですって。こんなガキ相手…。 不良:調子に乗ってんじゃねーぞ、正義の味方のつもりか? 康介:ただ常識をわきまえてるだけの大人だ。 かなえ:え…? 康介:いや、そこに疑問持たないでくださいよ…。 不良:お前も病院送りにしてやろうか? かなえ:あ…あんたねぇ、自分がどれだけの事をやったかわかってんの!? よくそんな事が言えるわね! かなえ:人の命を、なんだと思ってんのよ!! 不良:うるせぇんだよ!!あいつらから喧嘩売ってきたんだ、説教垂れるならあいつらに垂れろよ! かなえ:喧嘩なら素手でやんなさいよ!!あんな道具使って…卑怯よ!! 康介:………ふう。 かなえ:…斉藤君? 不良:…ん? やべぇっ!警察だ!おい、お前ら逃げるぞ!! 康介:無駄だよ、後ろにも居る。 不良:なっ……てめぇ…!! かなえ:斉藤君が呼んだの? 康介:もちろん。だって相手5人も居るんだよ? 康介:かなえさんを守りながらあいつらと戦うなんて危険過ぎるから。 かなえ:……ちゃんと考えてくれてるんだ…そういう事まで…。 康介:当然ですよ。…さて、後は警察に任せて……あ、僕ら買い出しの途中だった! かなえ:はっ!!時間…やっば!!急いで戻ろう!! 康介:かなえさんが正義感働かすからー! かなえ:だって放っておけないでしょ!? 康介:…ふふw やっぱり俺かなえさん好きだなぁw かなえ:うるさいバカ!ほら、早く行くよ!! 康介:はぁーいw 0: 真実:…先輩。 稜也:……。 真実:せーんぱい!! 稜也:あっごめん、何? 真実:もう…何考えてたんですか?まーたかなえさんですか? 稜也:いや…あの子、大丈夫だったかなって…。 真実:あー…もう忘れましょうよ。また心臓が痛くなる…。 稜也:ごめんごめん。…で、なに? 真実:私の家、ここです。 稜也:え!?こんな駅から近い一等地に住んでたの!? 真実:へっへっへー!いつでも泊まりに来ていいですよー?無駄に広いので、この家。 稜也:ま…間取りはどれくらいあるんだ? 真実:んー…7LLDKだったかな? 稜也:は…初めて聞いた…。 真実:あ、でも先輩がもし泊まりに来たら私のベッドで添い寝ですからね? 稜也:泊まらないっつーの! 真実:はぁーあ、寂しい寂しい家に帰るかぁ…。 稜也:弟君居るんだろ? 真実:いいえー。最近はおばあちゃんの家に泊まってるので、もう半月くらい帰ってきてないかな? 稜也:え…じゃあ…いつも1人なのか?飯とかも…。 真実:そうですねぇ。でもいつもそうなんで…とっくに慣れましたよw 稜也:……。 真実:多くても食卓を囲うのは2人かせいぜい3人で…。家族4人でワイワイなんて未知の世界です…。 稜也:……そうか。 真実:……興味、無いですよねw 送ってくれてありがとうございました。じゃあ…帰りますね。 稜也:………なぁ。 真実:……? 稜也:飯、食いに行くか。 真実:…え? 稜也:……わかるよ、1人で食う飯の寂しさっていうか…味気ない感じ。 真実:……。 稜也:ちゃんと勉強教えてやれなかったし、飯くらい付き合うよ。 真実:(涙が溢れて)………嬉しい。 稜也:なっ!?なんで泣くんだよ! 真実:だって…先輩が……グズ…。 稜也:わーーーもう、泣き止まないと行けないって! 真実:ピタッ!! 稜也:……いや、全然止まってないからww 0:数日後 かなえ(LINE):ごめん、今日も会えそうにない…。 稜也(LINE):仕事だもん、しょうがないよ!頑張って! かなえ(LINE):早く稜也の就職祝いしたいのに…。 稜也(LINE):ちゃんと時間ある時に盛大にやろう!w かなえ(LINE):そうだね…。期待しててね!!うんっとお祝いするから!! 稜也(LINE):ありがとう!めっちゃ期待しとくw ―:大学 稜也:……今日は雨かぁ。かなえに会いたいなぁ…。 真実:せーんぱい! 稜也:あ…鈴木。 真実:今から帰るんですよね? 真実:私今日傘無いんですけど…一緒に入れてくれませんか? 稜也:なんで傘無いんだよ…。朝家出る前に天気予報とか見ないのか? 真実:えへへw 女の子の朝は忙しいんですよー! 稜也:弁当作れるくらい余裕あっただろう…。 真実:もーう、そんな事はいいので早く傘開いてくださいよー! 真実:ほら、帰りましょー!あ、またカフェ行きませんか!? 稜也:行かねーよ!それに俺今日駅前で買い物あるから。 真実:丁度良かったー!私も化粧水買いたいので、お付き合いします! 稜也:…お前、この前も同じ事言ってついてきただろ。 真実:先輩、知らないんですか?化粧水って1種類だけを延々と使う訳じゃないんですからね? 稜也:え?そういう…もん? 真実:そういうもんです!さぁ行きましょう! 稜也:あ、おい!俺の傘だぞ!!返せ!! 真実:あははw 逃っげろーー!w 0:駅前 かなえ:はぁー失敗したぁ…。まさか急にこんな土砂降りになるなんて…。 康介:あー居た居た!かなえさん! かなえ:え…、斉藤君!? 康介:良かったー見つかって!かなえさん、傘持っていかなかったよなーと思って、迎えに来ました! かなえ:はぁ…相変わらず人の事よく見てること…。 康介:へっへっへー! かなえ:…で?私の傘は? 康介:え? かなえ:え?って…まさか持ってきてないの!? 康介:そんなん、一緒に入ればいいじゃないですか!荷物もあるんだし。 かなえ:……わざと? 康介:さぁ?どうでしょうw かなえ:……はぁ。呆れるわ。 康介:まぁまぁw そんな事言わずに、はい、荷物渡してください! かなえ:はいはい…ありがとう。 0: 真実:あー、先輩! 稜也:ん? 真実:あれって…かなえさんじゃないですか? 稜也:え…? 真実:あのイケメン風な人と一緒に相合傘してるの! 稜也:……本当だ…。 康介:あっははw あのお客さん、そんな事言ってたんですか?w かなえ:そうなのw 斉藤君の事を自分の孫だと勘違いしててw 稜也:………。 真実:なんか……楽しそうですね。 稜也:……行くぞ。 真実:え?声かけないんですか? 稜也:いいから行くぞ。 真実:…………先輩! 稜也:あぁ? 真実:んっ! ―:振り向きざまに稜也にキスする真実 稜也:……っ!? 真実:…んふふw 稜也:な……何してんだよお前!! 真実:………ふw 康介:おいおいおい、何してんだよ稜也!浮気現場発覚ってやつかー? 稜也:なっ……康介…! かなえ:………。 稜也:か…かなえ…。ち、違うんだよ今のは!! 真実:先輩の舌、温かかったーw 稜也:おい ざけんな!! 康介:それはかなえさんのセリフだろー!? 稜也:てめぇは黙っとけ!! 康介:黙らねーよ!!かなえさんを傷つけておいて、お前それでも男か!?この最低野郎が!! 稜也:ち、違うって言ってんだろ!!さっきのはこいつが急に!! 康介:見苦しいなぁ、どうせ学校からここまで、その傘1つで来たんだろ?随分と仲良くなってるじゃねーか! 稜也:…そ、そっちだって何なんだよ!傘1つしかねーだろうが!! 康介:俺達は店の買い出しだ!お前みたいにデートしてる訳じゃねーっての! かなえ:……………(涙がこぼれ落ちる)。 稜也:か…かなえ!? なぁ…、俺の事…信じてくれるよな!? 康介:やめろ!!こんな現場を直視したかなえさんの気持ちを考えろ!! 稜也:え……。 康介:かなえさん、行こう。 稜也:ちょ…ちょっと待てよ……。 真実:(独り言)あーあw ハリケーン発生かな?w 稜也:か…かなえ…!待ってくれよ!!かなえ!!! 0: 稜也M:あの日、家に帰ってすぐにかなえにLINEした。 稜也M: 稜也M:だけど…、数日経っても未だに返事は返ってこない。 稜也M: 稜也M:既読はついてるから、読んでくれてはいるみたいだ…。 稜也M: 稜也M:俺は何度も説明した。あれはいきなりされたんだと。 稜也M: 稜也M:それでも…。 稜也M: 稜也M:かなえからの返事は返ってこない。 0: かなえM:今日も稜也に返信できなかった…。 かなえM: かなえM:疑っている訳でも、怒っている訳でもない。 かなえM: かなえM:だけど…。 かなえM: かなえM:私はまだあの日のシーンを夢に見てしまう…。 かなえM: かなえM:稜也が…そのまま違う人と結婚してしまう夢も見ることがある。 かなえM: かなえM:私は未だに、なんて返せばいいのかわからない……。 稜也M:一度は好きになれた雨だったけど、やっぱり俺は、雨が嫌いだ。 かなえM:楽しみにしていた雨…。稜也と出逢った雨…。感謝した事もあった雨…。 稜也M:こんな事になるなら…。 かなえM:こんな気持ちになるなら…。 稜也:雨なんて…もう二度と。 かなえ:降らないでほしい。 0: 0: 0: 0:~続く~ 0: 0: 0:

0:待っていた雨は僕たちの関係を濁らせた 稜也(LINE):お疲れ!今終わった!どこに居る? かなえ(LINE):お疲れ様!もうすぐ山に着くから先に入って待ってる! 稜也(LINE):了解!30分くらいで着くと思う! かなえ(LINE):はーい!気を付けて来てね! ―: 稜也:…よし。向かうか! 0:7月下旬 ご飯処 山 かなえ:はぁ、美味しかったぁ! ―:稜也が入ってくる 稜也:お待たせー!って…もう食べ終わってるしw かなえ:こら稜也!遅いぞー! 稜也:しょうがないだろー?大学からここまでそれなりに距離あるんだから。 かなえ:一人で食べるご飯は味気ないだろうから…仕方ない!これからデザートタイムにしよーっと♪ 稜也:相変わらず良い食べっぷりだことw かなえ:へっへっへ!おじさんのレシピを舌だけで盗むのだ! 稜也:おぉ、頑張れ頑張れw かなえ:あー!できっこないって思ってる言い方! 稜也:そんな事ないってw かなえ:むぅーー! ―: 稜也M:俺の名前は山田稜也。就活真っ只中の大学4年生。 稜也M:一緒に居るのは彼女の佐藤かなえ。 稜也M:高校2年生の時に、雨の日のバス停で出逢い、時を重ねて付き合う事になった。 稜也M:いつも俺の事を寂しがり屋とからかってくる。…まぁ本当の事だけど。 かなえ:お互い忙しいと、なかなか時間が合わずデートらしいデートも最近はできていない。 かなえ:私は将来「激盛りの定食屋」を開くために、飲食店で働きながらあちこちの定食屋へ食べに行って勉強している。 かなえ:ここは稜也のお父さんがやっている定食屋、ご飯処 山。 かなえ:たまに私の試作品を持ってきて、味見をしてもらってアドバイスをもらっている。 かなえ:稜也は気象予報士を目指していて、在学中に見事資格を取得。あとは内定をもらう為に色んな会社へ面接をしに行っている。 0: 稜也:はぁー、早く就職決まんないかなぁ。 かなえ:面接、感触良いとこあったんでしょ?それに気象予報士ってあんまり倍率も厳しくないっていうし、気楽に連絡待ちしてなよ! 稜也:そうは言ってもさぁ、やっぱり決まるまでは落ち着かないよ。 かなえ:大変だねぇ、就活生はw 稜也:あーあ、もうとっくに社会人の仲間入りしてるかなえにとっては所詮他人事か! かなえ:そんな言い方しなくても良くない!?せっかくのデザートが不味くなるじゃん! 稜也:それ、ただ食べ過ぎて飽きてきたんじゃないの? かなえ:はぁ!?本っっ当に失礼!おじさんに謝んなさい!こんなに美味しい杏仁豆腐が飽きる訳ないでしょ! 稜也:はいはい。 かなえ:まったく…いつまでも子供だねぇ。 稜也:はぁ?ちょっと早く就職してっからって調子に乗るなよ?俺達タメなんだからな! かなえ:中身の話をしてんのよ、坊や。 稜也:ぼ…坊や…。 ―: かなえ:んー美味しかった!ごちそうさまでした。 稜也:ふぅ、俺もごちそうさま。…あ、そういえばかなえ、話って? かなえ:あ、うん。私の職場の後輩でね、斉藤君っていう男の子が居るんだけど。あ、後輩って言っても同い年なんだけどね。中途採用されてきた子が居て。 稜也:おぉ? かなえ:今度、その斉藤君っていう子が主催するイベントで、ケーキバイキングに誘われたの。 稜也:ケーキバイキング?イベントって何、その子何かやってるの? かなえ:普段からネットで繋がった人達を呼んで、よくオフ会を開催してるんだって。で、今度グランドホテルのケーキバイキングを貸し切って、50人くらいの規模のイベントをやるんだって。私は職場の先輩だから特別枠でって誘ってくれてね。お連れ様も良ければって。…稜也、どう?一緒に。 稜也:……。 かなえ:今就活で忙しいのはわかってるけどさ、たまには息抜きもいいんじゃない? 稜也:……わかった、行くよ。 かなえ:本当?良かった! 稜也:ケーキかぁ、もうずっと食べてない気がするなぁ。 かなえ:2月に食べたっきり? 稜也:そうかも。 かなえ:じゃあ楽しみだね! 稜也:おう! 0:イベント当日 かなえ:斉藤君! 康介:おぉー!かなえさん!来てくれてありがとうございます!! かなえ:こちらこそ、ご招待ありがとうございます! 康介:そりゃなんたって俺の憧れの先輩、かなえさんですもん!いやー来てくれて本当に嬉しいなぁ!今日はVIP対応させていただきますね! かなえ:え、いいよそんなの!普通に接してw 康介:あれ…、お隣の方は……。 かなえ:あ、紹介するね!私の彼氏の山田稜也。 稜也:…。 康介:……なんと!彼氏さんでしたか!…こんにちは。かなえさんには色々と仕事でお世話になってます、斉藤康介です。以後お見知りおきを! 稜也:あ、あぁ…。 かなえ:ねぇ見て稜也!美味しそうなケーキ、いっぱい並んでるよ? 稜也:……。 康介:かなえさん、彼氏さん、今日はたっくさん食べて、思いっきり楽しんでってくださいね! かなえ:ありがとう!行こ?稜也! 稜也:……ん。 ―: かなえ:ぅんっまーーい!!このケーキ、ふわっふわ!!しかも二層になってる! 稜也:この生チョコタルト、これもめっちゃ美味しいぞ! かなえ:さすがグランドホテルだねぇ…どれも一級品! 稜也:ここを貸し切りにするなんて…やり手なんだな。 かなえ:うん、すごいよね! 稜也:あ、丁度あそこに居るじゃん。俺…ちょっと挨拶してくるわ。 かなえ:え?あ…ちょっと! ―: 稜也:……よう。 康介:おぉ、稜也!久しぶり! 稜也:やっぱお前か…康介。変わり過ぎてて一瞬誰だかわかんなかったよ。 康介:へっへっへ!だいぶ垢ぬけただろ?w 稜也:そうだな…。 康介:でもまさかかなえさんの彼氏が稜也だとはなぁ…。 稜也:……。 康介:…ん?何だよ? 稜也:いや…別に。 康介:…ふふw ま、せっかくのパーティーだ。今日は楽しめよ! 稜也:……そうさせてもらうよ。 ―: かなえ:おかえり、稜也!何話してたの?…もしかして、知り合いだった? 稜也:あぁ。 かなえ:え、うそ!本当!? 稜也:…高校の時の同級生。さっきちゃんと確認してきた。本人だったわ。 かなえ:そ…そうなんだ。……仲、良かったの? 稜也:…んーー、どうなんだろう。あいつとはいつも何かで張り合ってたかな。 かなえ:張り合ってた…? 稜也:わかりやすく言うと、スマホの最新機種だとか、履いてるスニーカーだとか、とにかくお互いに持っている物を比べて、どっちが良い物を持っているかで競ってたんだよ。誰にもバレないように。 かなえ:誰にもバレないように?なんで? 稜也:あいつは表向きでは誰かと争うような事はしないんだよ。入学した時から自他共に認めるモテ男でさ。性格もめちゃくちゃ良い奴で文武両道、女子の間じゃ「みんなの康介君」だったからな。 かなえ:へ…へぇ。 稜也:だけど、いつの日だったかな…。あいつが俺のスマホを見て、次の日、それよりも新しい機種を手に入れて、わざと俺に聞こえるように自慢してたんだ。まぁ、他の奴からしたら自慢には聞こえなかっただろうけど、俺にはわかったんだ。「こいつは俺に見せびらかしてる」ってさ。 かなえ:えー、考え過ぎじゃないの? 稜也:…俺はその時、何故かあいつには負けたくないって思って、あいつが持ってるスニーカーの最新モデルを買って、校門から出ていくあいつの前で思いっきり足上げて見せたんだよ。 かなえ:……。 稜也:その時は何も言ってこなかったんだけど、次の日かな。あいつ、誰も居ないのを見計らって、俺に「負けねーから」って一言言ってきたんだよ。 かなえ:うわっ、確定だ…。 稜也:そう。だからそれからしばらく、あいつとは何かしらでずっと競ってたんだよ。 かなえ:じゃあ…ライバル?って事になるのか。 稜也:まぁ、この事は未だに誰も知らないけどな。 かなえ:へぇ…。 ―:急に照明が落ちる 稜也:え…。 かなえ:な、なに!? 康介:お集りの皆々様!!今日のパーティーは楽しんでいただけてますかー!? 康介:当グランドホテルの創始者である高峰オーナーより、ご来場の皆様に、とびっきりのサプライズがございまーーーす!! ―:突如、巨大ウエディングケーキが照らされる かなえ:うっわーーー!!何あれ!?すっごーーーい!! 康介:今宵は、高峰オーナーご夫妻の結婚記念日となっており、お二人の結婚式で出されたウエディングケーキを!特別に!!ご用意していただきましたー!! かなえ:わーーーー!!めっちゃ豪華ーー!!ね、稜也!! 稜也:あぁ…すごいな。 康介:二度と見られないと思っていたこのスペシャルウエディングケーキ!!今夜だけの特別バージョンで復活しましたーー!!皆さん!!思う存分堪能してくださーーーい!! ー: かなえ:これ最っっ高ーー!!超美味しい!! 稜也:…確かに美味いな。 かなえ:もううう!!何その反応!!もっと喜んだらー? 稜也:……。 康介:かなえさん、楽しんでますか? かなえ:あ、斉藤君!これすっごい美味しい!! 康介:あはは!それは良かった! かなえ:あ、ねぇ、さっき稜也に聞いたんだけど…、稜也と同級生だったんだね? 康介:え?…あぁ、喋ったんだw 稜也:別に…隠す事じゃないだろ。 康介:まぁねw それより、お二人はご結婚を考えていますか? かなえ:え…? 稜也:なんだよ急に? 康介:もし考えているなら、僕の知り合いに頼めばこんな感じのウエディングケーキを用意できるから、いつでも相談してくださいって伝えたくて! かなえ:えっ、そうなの!? 稜也:……。 康介:えぇ!近々、某芸能人が結婚するとの事で、その人の為のウエディングケーキを考案してて、これ以上に派手なやつを作ろうと思ってるんですよ! かなえ:芸能人の結婚式のケーキを考案…?斉藤君、何者なの!? 康介:あっははw 僕はただの雇われですからw 稜也:……。 康介:稜也!同級生のよしみだ、安くしとくよ? 稜也:…いらねーよ。 康介:そういうと思ったw 変わってないなw 稜也:お前がな…。 かなえ:ち…ちょっと稜也…?やめてよ?喧嘩とか…。 稜也:(康介を睨む)……。 康介:あははw嫌だなぁ、かなえさん!僕らが喧嘩なんてする訳ないじゃないですかw かなえ:う…うん。 康介:では、引き続きパーティーを楽しんでくださいねー! かなえ:ありがとう!………稜也? 稜也:…大丈夫だよ。ほら、悔いが残らないようにもっと食えよ。タダなんだろ。 かなえ:あー…うん。…稜也も一緒に食べようよ! 稜也:悪い、俺ちょっとトイレ行ってくる。 かなえ:え…、あ、わかった…。 0:トイレ 稜也:………ふぅ。 康介:よう! 稜也:っ!……康介。 康介:いやー本当に久しぶりだなぁw 稜也:なんだよ。何か言いたい事でもあるのか? 康介:え?なんで? 稜也:誰も居ないんだ、それを見計らって何か言いにきたんじゃないのか? 康介:…ぷw あっはははww 稜也:な…なんだよ! 康介:お前、ほんっとに変わってないんだなw いつまでもガキみたいにw 稜也:はぁ!? 康介:ただ小便しに来ただけだよ、ばーか! 稜也:……ちっ。 康介:それとも…、未だに俺と張り合おうとか思ってる?もう相手になんないのわかってるだろw 稜也:……喧嘩売ってんのか? 康介:ひがまない、ひがまない。 稜也:てめぇ…。 康介:あ、そうだ! 稜也:あ? 康介:俺、かなえさんの事、好きだから! 稜也:っっ!? 康介:そんだけ!じゃあな! 稜也:ま…待てよコノヤロー!かなえに手出したら、ぶっ殺すぞ!! 康介:…手出したら?ふふw 俺からは出さないよ。 稜也:…は? 康介:俺はいつでも相手から好意を寄せられて、それに応えるだけさw 稜也:………かなえがお前なんかにいくわけねぇだろうが。 康介:ふふふw 楽しみだねぇ~w 稜也:…………くそっ! 0:会場 かなえ:あ、稜也!おかえり! 稜也:……食ったか? かなえ:え? 稜也:食うもん食ったならもう帰ろう。 かなえ:ちょっと…何それ?……何かあったの? 稜也:何もねぇよ。 かなえ:何もねぇって……普段そんな言葉使わないじゃん!何に怒ってるのよ!? 稜也:うるせぇな、いいからもう帰るぞ!! かなえ:ちょ…離してよ!痛いって! 康介:お集りの皆さん!!! ―:会場の照明が落ちて、ステージ上の康介が照らされている 稜也:っ!? かなえ:な…なに? 康介:ここで、重大発表があります!! 康介: 康介:私、斉藤康介には、今!猛烈に心を奪われている御方が居ます!! 康介: 康介:恥ずかしながら、今まで私は、こんなにも本気で人を愛した事がありません!! かなえ:こ…これ、何が始まったの? 稜也:…あいつ、まさか…!? 康介:そして!!その御方が今、この場にいらっしゃいます!! ―:会場から大勢の女性の声が響き渡る 康介:佐藤かなえさん!!! 康介: 康介:僕は、あなたの事を愛しています!! ―:いきなりかなえに照明が当たる かなえ:…はっ!?眩しっ……!ちょっと…何? 稜也:あ…あの野郎………。 ―:一気に静まり返る会場 かなえへの注目が集まる かなえ:……え…、あ…あの……。 稜也:…帰るぞ。 かなえ:えっ!?ちょっと…稜也!待って…! ―:かなえは腕を引っ張られ、会場を後にする2人 康介:………ふふふ。俺は狙った獲物は逃がさないぜ、稜也。 0:外 かなえ:…稜也! 稜也:……。 かなえ:ねぇ、稜也!! 稜也:……。 かなえ:離して…ってば!! ―:腕を振りほどく 稜也:…っ! かなえ:…なんなの?さっきの。意味わかんないんだけど…。 稜也:……見たまんまだろ。 かなえ:そんなんで納得すると思ってる? 稜也:……。 かなえ:今までお店でも普通に接してた斉藤君が、いきなりあんな事言うなんて…。本当は今日、私の知らないところで何かあったんじゃないの? 稜也:……康介が、…宣戦布告してきた。 かなえ:…え? 稜也:あいつ、俺がトイレに行った時、かなえの事が好きだって言ってきた。 かなえ:…はぁ?ちゃんと彼氏って紹介したのに…。 稜也:俺の事、高校の時から何も変わってないとか言ってたけど、あいつも同じだ。未だにあいつは…俺に張り合ってきてる。 かなえ:……。 稜也:かなえ…。 かなえ:え? 稜也:明日から、店で何があっても…その…。 かなえ:……ふふw ばーか!私が好きなのは稜也だよ!彼氏でしょ?堂々としてなさいよ!あんな嫌な奴…、どうとも思わないよ。 稜也:…そうだよな。 かなえ:だって彼氏と一緒に居るのわかってて、あんな大勢の前で告白してくるなんてさ、稜也にも失礼だしありえないよ…。喧嘩売ってるとしか思えない。 稜也:…珍しく怒ってる? かなえ:当然!私達の仲は、あんな非常識な人に翻弄されるようなヤワな関係じゃないっつーの! 稜也:ははw 頼もしいw かなえ:稜也は頼りないけどね? 稜也:え…? かなえ:もっとビシッとしてよ!あんなの「俺の女は絶対渡さねぇ!」くらい言って跳ねのけちゃえば良かったのにさ!店で何があってもーとか勝手に不安になってるし! 稜也:…ごめん。 かなえ:全く!そもそも私は、あんなスーパー陽キャはタイプじゃないし。 稜也:え?そうなの? かなえ:そうなの?って…。…ねぇ、出逢った頃の私がどんなだったか覚えてる? 稜也:…人見知りしない、何でもハッキリ物を言う人…? かなえ:ちょっとw それは稜也の前だけだってばw 稜也:あーw 学校では大人しくしてたんだっけ? かなえ:そう!あんまり周りのテンションに馴染めなくて、いつも遠慮しがちだったの! 稜也:言ってた言ってた!w …でもさ、弁論部に入ったりしてからだいぶ変わったから…今じゃ陽キャの仲間入りしたのかなーって。 かなえ:そんな事ないよ!まぁ…社会人の集まりにはよく行くようになったから場慣れはしたけどね。でも根っこはなかなか変わんないよ。 稜也:そうなんだ? かなえ:うん。仕事中もバリバリ元気に働いてるけど、…やっぱり稜也と一緒にまったり過ごす時間が1番落ち着くよ? 稜也:おぉー!めっちゃ嬉しい事言ってくれるじゃん!w かなえ:あ…、もう言わないでおこうw すぐ調子に乗るから稜也w 稜也:なんだよw 俺には遠慮せずになんでも言えるんだろー?w かなえ:あー出た出たw ほら帰りますよーw 0:数日後 稜也の通う大学内 稜也:さて、今日の昼飯はどうすっかなー。 真実:せーんぱい! 稜也:ん?あぁ、鈴木か。 真実:えー?せっかく会えたんだからもっと喜んでくださいよー! 稜也:なんでだよw いつも会ってるだろ? 真実:先輩のいつもって…週に1,2回の事を言うんですか? 稜也:え? 真実:私は、文字通りいつも会いたいんです!毎日! 稜也:ま…毎日って…。 真実:あ、先輩これからお昼ですか? 稜也:あぁ。 真実:良かったー!私、お弁当持ってきたんです!先輩に! 稜也:え…なんで俺に? 真実:あー忘れてる!!ひどい!! 稜也:え…!?俺何か約束したっけ? 真実:前に一度、私のお弁当のおかず食べたじゃないですか! 稜也:あ、あぁ。 真実:その時、いつか先輩にお弁当作ってくるので、期待して待っててくださいねって言いました! 稜也:………え、俺その時「気持ちは嬉しいけど、俺彼女居るからごめんね」って言わなかったっけ? 真実:別に彼女が居ても居なくても、ご弁当くらい受け取ってもらってもいいじゃないですか!それに、気持ちは嬉しいんですよね? 稜也:いや…それは社交辞令というか…普通わかるだろ? 真実:…………グズ。 稜也:…え!? 待って、なんで泣いてんの!? 真実:だって……グズ…。せっかく先輩の為に作ってきたのに……グズ…。 稜也:…わ、わかったわかった!食べるから!だからこんな所で泣くなよ! 真実:嫌々食べられるくらいなら捨てたほうがマシです…。 稜也:嫌々じゃないって!本当に食べたいから! 真実:本当ですか!?じゃあどこで食べますか!? 稜也:…調子のいい奴だな。 真実:ほらほら、行きますよ先輩!あそこのベンチでいいですか? 稜也:あ…あぁ。 0: 真実:先輩!はい、あーん! 稜也:……あのさぁ。何度も言うけど、俺にはちゃんと彼女が居るの。 真実:わかってますよ? 稜也:じゃあなんでこんな事するんだよ? 真実:だって、私先輩の事……。 稜也:……。 真実:女の子に言わせるなんて先輩ひどーーい! 稜也:う……。 真実:まぁ細かい事は気にせず、はい、自分でなら食べてくれるんですよね?どうぞ、召し上がれ! 稜也:あ、あぁ…。いただきます…。 真実:………どうですか? 稜也:……うん、美味しいよ。 真実:良かったあーーー!!これ、今朝4時に起きて作ってきました! 稜也:よ、4時!?ゴホッ、ゴホッ…。 真実:んふふw はい先輩、お茶です。 稜也:……ふぅ、ありがとう。 真実:やっぱり可愛いですねー先輩w 稜也:…可愛くない。てか4時って、気合い入れすぎだろ。 真実:あぁ…まぁそんなに珍しい事でも無いので。 稜也:え、そうなのか? 真実:はい。うち、共働きで両親とも朝早いんですよ。だからまだ幼い弟にお弁当作ってるんです。毎日では無いですけどね。前日の夜にお母さんが作れなかった時だけ、私が作ってるんです! 稜也:へ…へぇ。 真実:こういう家庭的な女の子、どうですか?w 稜也:…偉いんだな。家族の為に4時に起きてまで。 真実:「えらいえらい」って言いながら頭なでてください! 稜也:し、な、い! 真実:えー先輩のケチ! 稜也:はぁ…。 真実:あ、お残し禁止ですからね? 稜也:それは大丈夫。俺は物を残さない主義だから。 真実:そこは「美味しくて止まらない!」とか言ってほしいなぁー。 稜也:あ、美味しいのは本当だよ?さすが慣れてるなって思った。 真実:えー嬉しい!じゃあ、じゃあ、またお弁当、作ってきてもいいですか!? 稜也:だーーめ。 真実:なんでですかーーー!! 稜也:お前さ、自分の彼氏が他の女にこんな事されてたら嫌だろ? 真実:私の彼氏になる人は徹底的に教育するので、他の女からのお弁当なんて口にしません! 稜也:き…教育って…。 真実:ふふw 先輩の事もー、教育したいでーす!w 稜也:アホか。よし、完食!ごちそうさまでした。 真実:え、はやっ!もっと味わって食べてくださいよー。 稜也:十分味わったよ!ありがとうな! 真実:…むぅ。 稜也:じゃあ俺ちょっと行くとこあるから。またな。 真実:あーーーほらやっぱりすぐ行っちゃうー! 稜也:またいつでも会えるだろう?同じ学校なんだし。 真実:あ、先輩って今日講義いつまでですか? 稜也:教えないw じゃな。 真実:あ、待ってくださいよー。………行っちゃった。はぁーあ、早く先輩彼女と別れないかなー。 0:かなえが働く飲食店 かなえ:ふぅ、ディナーが始まる前に掃除と仕込みしとかないとなぁ…。 康介:かーなーえーさん! かなえ:っ! ……。 康介:あれー?無視する事ないじゃないですか! かなえ:斉藤君、私、まだあの日の事許してないから。仕事以外で話しかけないで。 康介:…ふふw かなえ:…何笑ってるのよ? 康介:いやwそんなに嫌わなくてもよくないですか?w自分の事を好きだって言った相手なのに! かなえ:私には稜也が居るの。あなたなんかに興味無いから。 康介:かぁー…。かなえさん、なんで稜也なんですか?かなえさん、顔も可愛いしスタイルだって良い、話してて楽しいし、仕事もできるし。…かなえさんなら、もっと他に良い男が居るでしょうに…。 かなえ:あなたにそんな事関係ないでしょ!? 喧嘩売ってるの? あと何度も名前呼ばないで、うるさいから。 康介:おー、こっわww こんなに褒めてるのに喧嘩ってw かなえ:もうどっか行ってよ!私は忙しいの!あなたみたいな非常識な人を相手にしてる暇なんて無いの! 康介:あ、仕込みならもう終わりましたんで。 かなえ:…え!? 康介:あと明日の発注分もまとめておきました。 かなえ:あ…。 康介:トイレ掃除も終わってるんで、俺2階のフロア掃除してきまーす! かなえ:は…はい。…………別に…仕事だし。当たり前の事よ…。 ―:事務所に居た店長から、19時に6名の予約が入った旨を伝えられる かなえ:あ、はーい! 康介:(2階から叫ぶように)かなえさーん! かなえ:…なに? 康介:残りの掃除やっておくんで休憩入っちゃってください!今日朝からずっと動きっぱなしじゃないですか! かなえ:……。 康介:あと掃除だけだし、もう少ししたら他の人も来るんで余裕で間に合いますから! かなえM:……店長がそこに居るのわかっててわざと聞こえるように言ってるの? …高校時代もきっとこうやって人気者になった訳ね。 康介:あれ?かなえさーん? かなえ:(呟くように)わかった。じゃああとお願い。 康介:えー?なんて言ったんですかー? かなえ:……はぁ。(笑顔で)わかったよー!ありがとう!じゃああとお願いねー! 康介:はーい!w かなえM:……私が店の雰囲気を考えて、何もなかったように接してるの知ってて…わざと……。ムカつく…。 ―: 稜也:ん?かなえからLINEだ。……え、激おこじゃん。 かなえ(LINE):今、斉藤君から喧嘩売られた。めっっっっちゃムカつく!! 稜也(LINE):何があったの? かなえ(LINE):今度会った時に話す。ねぇ、何か面白い顔送って! 稜也:なんだよその無茶ぶりw えー……。(自撮りを撮る) …こんなんでいいかw 稜也(LINE):はいw かなえ(LINE):待ってww 最高ww 休憩室で声出して笑っちゃったw ありがとう!元気出た!! 稜也:(LINE):はーいw 今日閉店までだっけ?頑張れ!俺も今夜は飲み会誘われたから行ってくる! かなえ(LINE):うん!稜也のおかげで頑張れる!今夜飲み会なんだ。あんまり飲み過ぎないようにね?w 行ってらっしゃい! 稜也:(LINE):気を付けますw 行ってきます! 0:19時前 かなえ:いらっしゃいませー!ご予約されてますか?……はい、承っております!こちらへどうぞ! かなえ:ご予約のお客様ご来店でーす!いらっしゃいませー! 稜也:……あ。かなえ…。 かなえ:えっ!?稜也!? 稜也:ごめん、今日の幹事が店決めたから俺ここだって知らなくてさ…。 かなえ:なんで謝るの?w ようこそいらっしゃいませ! 稜也:あははw お邪魔しますw かなえ:そんなw 私の家じゃないんだからw 真実:あれー?先輩、お知り合いの店員さんですかー? 稜也:うわっ!? かなえ:…いらっしゃいませ。 真実:どうもー。先輩、どこ座るんですか?私絶対先輩の隣が良いです!! 稜也:おい…やめろよ。あ、そうだ。この人が俺の彼女。 真実:へ…? かなえ:あ、どうも。稜也の彼女の佐藤です。 真実:………ふーん、あなたが彼女さんなんだぁ…。 かなえ:……? 稜也:おい…挨拶くらい返せよ。 真実:あー、鈴木真実でーす、先輩の愛すべき後輩です♪ かなえ:…はい? 稜也:だ…だからそういうのやめろって! 真実:あははw 早く座りましょうよー! 稜也:……ごめん。 かなえ:(少しイライラしながら)…ごゆっくりどうぞ。 稜也:うっ……うん…。 康介:(独り言)あれ?稜也じゃん…。へぇ…大学の飲み会って感じかな…。 ―: 真実:先輩、何飲むんですかー? 稜也:…んー、とりあえず生かな。 真実:かっこいいー!私まだビールの美味しさわかんなーい。先輩ってやっぱり大人ですね! 稜也:………別に。 真実:じゃあ私カシオレで! 康介:失礼しまーーす!お客様、お先にお飲み物のご注文よろしいでしょうかー? 稜也:あ……。 真実:えっとー、先輩がビールで、私カシオレください! 康介:はい。生とカシオレですね、かしこまりました。お2人は随分と仲が良さそうですね!あ、お付き合いされてるとか?w 稜也M:こ、こいつ…かなえが居るからって嫌がらせか…。 真実:えー?やっぱりそう見えちゃいますかー?w お似合いって事ですよねー!やだー嬉しいー! 康介:ものすごーくお似合いですよーw あ、他の方もお決まりですか?はい…はい…。 稜也:お前…いい加減にしろよ。 真実:え?何がですか? 稜也:さっき言ったろ。彼女が居るんだ、あまり… 真実:(被せて)あ、店員さーん!私お通しいらないでーす! 稜也:聞けよ! 康介:あ、はーいかしこまりました。彼氏さんはどうしますか? 稜也:はぁ?お前もいい加減に… 康介:(被せて)他のお客様もお通しはどうされますか?……はい、かしこまりました。では失礼します。 稜也:……ちっ。 真実:せんぱーい?そんな怒らないでくださいよー。(大声で)せっかくの合コンなのにー!! 稜也:ばっ…!合コンじゃなくてただの飲み会だろうが!! 0:厨房 康介:オーダー入りまーす。 かなえ:……。 康介:あそこの卓、合コンですってw かなえさん、知ってたんですか? かなえ:…さっき稜也がただの飲み会って言ったのも聞こえてたでしょ。黙って仕事しなさい。 康介:はーいw (聞こえるような独り言で)それにしても稜也の隣の子、ありゃー稜也にゾッコンだったなぁw かなえ:……なんなのよ、今日は…。 ―: 真実:(酔っぱらって)せんぱーーい、私ってぇ、可愛いじゃないれすかー? 稜也:…はぁ? 真実:色んな男子に告白されるんれすけどぉ、先輩みたぁな良い人なんて居ないんですよねーー! 稜也:お前…飲み過ぎ。 真実:れぇー先輩達も思いわへんかー? 稜也:……はぁ。俺ちょっとトイレ行ってくるわ。 真実:あ…お供しあーーす! 稜也:……寝とけ。 康介:おっと…失礼しました。 稜也:……トイレどこ。 康介:…ふw 御手洗でしたらあちらになります。 稜也:あっそ。 康介:……。 真実:待ってくらさいよーせんぱーーーい! 康介:お客様、足元段差がありますので、お気を付けくださいね。 真実:あぁーい! かなえ:あ、稜也…。 稜也:かなえ…。ごめん、トイレ漏れそうなんだ! かなえ:あ…うん、あっち。 稜也:ん、ありがとう! 真実:……。 かなえ:あ…。 真実:あなたが彼女さんって本当ですか? かなえ:…はい、そうですが? 真実:……ふふw 全然釣り合ってないですね!w かなえ:は…はぁ!? 真実:えーだってぇ、私と先輩が付き合った方が絶対似合ってると思いますけどねぇ? かなえ:あなたみたいに酔ったフリをして男を誘惑するような人、稜也が好きになると思ってるの? 真実:うわ…最低、店長さんに文句言おうかなー?この人の接客最悪だったーって。 かなえ:どっちが最低よ!好きにしたら!? 真実:あーあw 強がっちゃってw かなえ:失礼します! 真実:………あははw あんな感じの人なんだー。……楽勝かなw ―:開始から3時間後 稜也:なぁ杉本!もう解散にしようぜ。飲み放題も終わったんだし。 真実:えーー、もう解散なんてつまんなーい!先輩、二次会行きましょうよー!カラオケとか! 稜也:もう十分だろ。こんだけ飲み食いしたんだし、俺は満足だ。 真実:別に飲み食いしなくても、先輩と一緒に居られるだけでいいんですー! 稜也:杉本、白石!後は任せた。俺は先に帰る。会費3000円で良いんだよな? 真実:あ……先輩!………もうっ! かなえ:稜也…。 稜也:……最悪だな、今日。 かなえ:…うん。 康介:あれ?先に帰るのか? 稜也:…どうだっていいだろ。 康介:相変わらず冷たいねーw かなえ:斉藤君は早く仕事に戻って。 康介:かなえさん。 かなえ:何よ? 康介:これから2週間近く、毎日俺と出勤時間一緒ですよね! かなえ:……だから何?悪いけど、稜也はそんな挑発なんかに乗らないから。 稜也:おい康介。 康介:…あ? 稜也:お前程度の奴なんかクソくらえだ。じゃあな。 康介:な…なにぃ? かなえ:…ふふw さぁー仕事仕事。 康介:………。 0:外 稜也:…はぁーあ。今日は疲れたなぁ。 真実:せーーんぱいっ! 稜也:な…なんで!? 真実:ふふふw 今夜はまだどーーしても先輩の顔を見ていたくて…。 稜也:……そんな上目遣いしても俺は帰るぞ。じゃあな。 真実:……ふふw ―: 稜也:……おい、いつまでついてくるんだよ? 真実:んー?先輩の行くとこまでw 稜也:………はぁ。わかったよ、ちょっとそこの公園に寄ろう。 真実:はぁーい!深夜の公園デートですね♪ 稜也:まだ22時半だろ…。 真実:夜の公園デートってなんか良いですよね♪ 稜也:デートじゃない。 真実:もうっ!ちょっとくらいサービスしてくださいよー。 稜也:………。とりあえずあのベンチに座ろう。 真実:…はぁーい。 ―: 稜也:……で? 真実:はい? 稜也:かなえの前で、なんであんな態度取るんだよ? 真実:あー、だってー先輩の事がぁ… 稜也:(被せて)さっきの店に男の店員が居ただろ。よくドリンク持ってきてた。 真実:…あぁ、あのイケメン風の。 稜也:あいつ、俺の高校の同級生なんだよ。 真実:へぇ、そうなんですね。 稜也:んで、この前あいつ主催の集まりがあってな。その時に俺とかなえが付き合ってるとわかった上で、大勢居る中でかなえに告白したんだよ。もちろんその場には俺も居た。 真実:うっわー!大胆ですねぇw 稜也:その件があって以来、かなえと俺はあいつを敵視している。……お前も敵視されたいか? 真実:えー、嫌ですよー。 稜也:だったら、かなえの前でも、学校でも、後輩らしくしてろ。彼女みたいな接し方してくるな。 真実:……うーん…。 稜也:俺、そんな難しい事言ってるか? 真実:…そうじゃなくてー。 稜也:…なんだよ? 真実:んー、恋はいつでもハリケーンって言うじゃないですかw (急に暗い表情で)色んな人を巻き込んで、好きな人、邪魔な人、使える人、全部飲み込んでめっちゃくちゃにして、……それで最後に生き残った人が勝ち。 稜也:な…何言ってんの?お前…。 真実:…私負け無しなんですよ。今まで何度もハリケーンに飲まれたけど…、というか私がハリケーンを起こしてるんですけどねw その中で、いつも勝ってきました。勝ち続けてきました! 稜也:……つまり、狙った男はみーんな落としてきたと。…くだらねぇ。 真実:くだらないですか?ふふw そんな事もないんですよ? 今までの経験があるからこそ、次に狙う人をどうすれば落とせるか、すぐわかりますからw 稜也:残念だったな。俺は間違いなくお前には落ちない。落とされない。 真実:………。 稜也:わかったらさっさと諦めるんだな。 真実:……。 稜也:……。 真実:なんで…。 稜也:…あ? 真実:……なんで私だけ諦めなきゃいけないの。 稜也:……はぁ?何言って… 真実:(被せて)私は!!……私は、今まで色んな事を諦めてきました! 真実:小学生で料理と家事を覚えてから、ずっと弟の世話をしてきた…。 真実:親がいつも家に居ないから、私が全部しなくちゃいけなかった!! 真実:やりたい事もできない、欲しいものも手に入った事なんてない!全部全部諦めてきました!! 稜也:………。 真実:だけど高校に入ってから、ちょっと色目使えば簡単に男が落ちていくのがわかって…それがバカみたいに面白くて。 真実:もちろん本気で好きになった人も居た。……だけど、良いなと思った人にはみんな彼女が居た。 真実:私は悔しかった…。だからバカな男達を次々に落としていった! 真実:落ちた男はみんな私を甘やかしてくれた。ご飯はもちろん奢ってくれて、お小遣いだってくれるバカも居た。 稜也:………。 真実:だけど!……ある日、それは本当の愛じゃないってわかった。みんな……私の体目当てだった。 真実:………私、犯された事あるんです。 稜也:……は? 真実:その頃、いつも優しくしてくれる5個上のお兄さんが居て、その日も2人でクラブに行って騒いでた。 真実:だけど私は、連日睡眠不足のまま遊んでたから、ちょっと疲れて別室で休んでたんです。 真実:そしたらいきなりその人と、2人の男が入ってきて…。 稜也:……。 真実:もちろん抵抗しようとしましたけど、……その人に言われたんです。 真実:「お前みたいにチャラい奴は3Pでも4Pでも大歓迎だろ?w」って。 真実: 真実:……ふふw どこで道を間違ったんですかね…。 真実:いつの間にか私は、誰とでも寝る、そんな性欲の塊みたいな変態になってたんだなって。 稜也:……。 真実:自業自得だって言う人ももちろん居ますよ? 真実:それは私だって自覚はある……。 真実:だけど!!今まで自分の欲望を我慢してきた分、弟の面倒を見てきたおかげで台無しになった青春を、今!! 真実:好きに暮らせるようになった今だからこそ!!私は私の生きたいように生きているんです! 真実:だってそうでしょ…?大学生活が終わったら嫌でも就職しなくちゃいけないし…。 真実:今ちゃんとした彼氏が作れないと、あっという間に華の学生時代なんて終わっちゃう。 真実:私の夢見た青春が消え去るの!! 稜也:……そうか。 真実:…そうか…って………なんですか? 稜也:別に…。そうかって思ったから言っただけだ。 真実:……こんな話されて、たった一言「そうか」で済ませるんですね…。 稜也:あぁ。俺はお前の彼氏でも無ければ、友達でも無い。たまたま学校が同じになっただけの先輩だ。 真実:……。 稜也:ここで優しくされて、一気に距離を縮めようと思ってるんだろうけど、そううまくはいかないぞ。 真実:…っ! ………グズ。 稜也:…泣かれても同情なんてしないからな…。 真実:先輩………バカ過ぎ。 稜也:……。 真実:(泣きながら)同情!?w そんなの…最初から求めてませんから!! 真実:最低!!女泣かせて平気な顔してそんな事言うなんて!! 稜也:そ…それはっ! 真実:(被せて)もういいです!!別に同情して欲しくて話したんじゃないし!! 真実:これで距離を縮める?勘違いしないでください!! 真実:私はただ!………ただ、自分の事を素直に話せる人が欲しくて……。 稜也:……え? 真実:こんな私でも…、こんな私の素を知ってくれて、話を聞いてくれる人が居てほしかっただけです……。 稜也:す…鈴木…。 真実:……帰ります。お疲れ様でした。 稜也:あ…あぁ…。 ―:真実が立ち去る 稜也:……ちょっと…、やり過ぎたかな…。 0:かなえ 終業後 かなえ:……はぁ。 康介:お疲れ様でーす! かなえ:……。 康介:かなえさん、今日のお客さん捌きもさすがでしたね! かなえ:……。 康介:ドリンク作るのも早いし、どれだけ忙しくても笑顔絶やさないし、 康介:アンケートの「輝いていた店員」欄は、ほとんどかなえさんの名前だし! かなえ:……なんでついてくるのよ? 康介:あ、俺家こっちなんで!w かなえ:はぁ?わかりきった嘘つかないで。私あなたの履歴書見てるのよ? 康介:最近引っ越したんですよ、店長にももう伝えてありますよ? かなえ:……あっそう。 康介:だからご一緒しまーすw かなえ:私寄る所あるから、じゃ。 康介:あーそういえば俺も買い物がぁ… かなえ:(被せて)しつこいなー!! 康介:っ!? かなえ:早く帰ってくれないかな?私、あなたの横を歩きたくないの! 康介:えぇ…そんな冷た……ん? ―:酔った輩に囲まれる2人 かなえ:…ちょっと……なんなんですか…。 康介:…なんですか?…………通してもらってもいいですか?僕達これから帰るんで。 かなえ:…あ、ちょ…離してっ! 康介:離してくださいよ!!……帰りましょうかなえさっ!? ―:お腹を蹴られる康介 かなえ:さ…斉藤君!? 康介:ゴホッゲホッ……いってぇな…。 かなえ:大丈夫!?…け、警察呼ぶから…あっ!? ―:スマホを取られて壊される かなえ:(恐怖のあまり震える)……な…も、もう…やめてください……。 康介:お前ら…調子に乗るなよコノヤロー!! かなえ:あっ………。 ―: 康介:………いってて…。 かなえ:あの…大丈夫? 康介:あぁ…はい。 かなえ:…………ありがとう。 康介:…へへ。良かった、かなえさんに怪我が無くて…。 かなえ:……。 康介:あー……うぐっ!? かなえ:え…ちょっと…本当に大丈夫!? 康介:……ちょっと…、肩貸してもらってもいいですか…? かなえ:あ…え、っと……。 康介:……なーんてw 冗談ですよ! かなえ:…え? ―:強がってふらつきながら歩き出す康介 康介:じゃあかなえさん…、また明日!お疲れ様でしたー。 かなえ:あ……気を付けて…お疲れ様……。 かなえ: かなえ:……肩くらい貸しても良かったかな…。 かなえ:一応…、あんな体張って助けてもらった訳だし……。 0:数日後 稜也:……え? 真実:だぁかぁらぁ、ちょっとだけでいいんで、勉強教えてほしいんです! 稜也:なんで俺…? 真実:だって、先輩が毎回成績すごい良いの知ってますもん! 稜也:だからって…。俺、就活で忙しいんだけど? 真実:嘘だ!私聞きましたよ?もう先輩は無事に内定もらえたって! 稜也:……お前の情報源はどうなってんだよ……怖いぞ。 真実:もーー今日は本当に困ってるので、いつものは無しで、本当に助けてほしいんです! 稜也:いつもの…って…。うーん…、まぁ勉強教えるくらいなら…いいか。 真実:えっ!?本当ですか!?やったーー!! 稜也M:この前のはちょっと悪い事したと思ってたし。…丁度いい、これで償うか。 稜也:じゃあ行くか。駅前のカフェでいいだろ? 真実:はい!…えへへ、なんかデートみたいですねw 稜也:……今日はそんなんじゃないんだろ? 真実:はぁい…。 0: かなえ:買い出しくらい、私だけで大丈夫って言ったのに…。 康介:いやいや、いくら筋肉モリモリのかなえさんでも、この量はさすがに過酷ですって!w かなえ:だ…誰が筋肉モリモリよ!失礼ね! 康介:あー、人が多くなってきましたねぇ。これだから駅前通るのって嫌なんですよねー。 かなえ:じゃあ先に戻ればー?それ私が持っていくから。 康介:そんなもったいない事…コホン、そんな人でなしみたいな事しませんから! かなえ:何よ…もったいないって。全く…。 康介:あれ…? かなえ:……ん? 康介:なんか…カフェの前で誰か騒いでないですか? かなえ:……え、やだ、喧嘩…? 康介:………高校生同士の喧嘩…みたいですね。 ―:1人の高校生がバールで相手の後頭部を殴る かなえ:ちょっ……えっ!? 康介:……やり過ぎだろ…。 かなえ:あ…逃げた!斉藤君、すぐ救急車呼んで!! 康介:え!?かなえさん!? ―:逃げた高校生を追っていくかなえ 康介:おいおい…マジかよ…くそっ! ―:追いかける康介 0:カフェ店内 稜也:(電話中)はい…はい、そうです。相手も高校生で、倒れているのも高校生です。…はい。 真実:うわぁ…あの子血まみれじゃん。かわいそう……。 稜也:わかりました。僕は店内に居るので。…はい。失礼します。 真実:…先輩。 稜也:あぁ…。とりあえず警察と救急車は呼んだ。後は…任せるしかない。 真実:そうですね…。なんか…勉強どころじゃなくなっちゃった…。 稜也:…そうだな。場所、変えるか? 真実:どこ行きます?先輩の家?w 稜也:無理に決まってるだろ。 真実:ちぇ…。あ、じゃあ私の家来ますか!? 稜也:それも無い。勉強教えてやるだけで満足しとけ! 真実:えーー。だって目の前で人が殴られてあんなに血出して…。なんか怖いんですもん…。心臓バクバクなんですよ?ちょっとでも優しくして安心させてくださいよ…。 稜也:……んん。まぁ…それはわからないでもないけど…。 真実:ホテル行きたいとか言いませんから! 稜也:当たり前だバカ!俺にはかなえが居るって言ってんだろ! 真実:(小声で)はいはい…かなえさんね…。 稜也:…ん?何か言ったか? 真実:なんでもないでーす。…先輩、帰りましょう?近くまででいいんで送ってください! 稜也:え?勉強はいいのか? ……わかった。 0: かなえ:ハァ…ハァ…、見つけた…。ちょっとあんた達!! 不良:あぁ?誰だよ? かなえ:さっきの見てたのよ!自首しなさい! 不良:…ちっ、めんどうくせぇなー!どっか行けよババァ!! かなえ:バ…!?このクソガキぃ…。 康介:はいストーーーップ! かなえ:…斉藤君! 康介:お前ら、もう逃げらんねーよ。諦めな。 不良:あぁ? かなえ:(小声で)ちょっと…まだこの前の怪我治ってないんでしょ?無茶しないでよ? 康介:大丈夫ですって。こんなガキ相手…。 不良:調子に乗ってんじゃねーぞ、正義の味方のつもりか? 康介:ただ常識をわきまえてるだけの大人だ。 かなえ:え…? 康介:いや、そこに疑問持たないでくださいよ…。 不良:お前も病院送りにしてやろうか? かなえ:あ…あんたねぇ、自分がどれだけの事をやったかわかってんの!? よくそんな事が言えるわね! かなえ:人の命を、なんだと思ってんのよ!! 不良:うるせぇんだよ!!あいつらから喧嘩売ってきたんだ、説教垂れるならあいつらに垂れろよ! かなえ:喧嘩なら素手でやんなさいよ!!あんな道具使って…卑怯よ!! 康介:………ふう。 かなえ:…斉藤君? 不良:…ん? やべぇっ!警察だ!おい、お前ら逃げるぞ!! 康介:無駄だよ、後ろにも居る。 不良:なっ……てめぇ…!! かなえ:斉藤君が呼んだの? 康介:もちろん。だって相手5人も居るんだよ? 康介:かなえさんを守りながらあいつらと戦うなんて危険過ぎるから。 かなえ:……ちゃんと考えてくれてるんだ…そういう事まで…。 康介:当然ですよ。…さて、後は警察に任せて……あ、僕ら買い出しの途中だった! かなえ:はっ!!時間…やっば!!急いで戻ろう!! 康介:かなえさんが正義感働かすからー! かなえ:だって放っておけないでしょ!? 康介:…ふふw やっぱり俺かなえさん好きだなぁw かなえ:うるさいバカ!ほら、早く行くよ!! 康介:はぁーいw 0: 真実:…先輩。 稜也:……。 真実:せーんぱい!! 稜也:あっごめん、何? 真実:もう…何考えてたんですか?まーたかなえさんですか? 稜也:いや…あの子、大丈夫だったかなって…。 真実:あー…もう忘れましょうよ。また心臓が痛くなる…。 稜也:ごめんごめん。…で、なに? 真実:私の家、ここです。 稜也:え!?こんな駅から近い一等地に住んでたの!? 真実:へっへっへー!いつでも泊まりに来ていいですよー?無駄に広いので、この家。 稜也:ま…間取りはどれくらいあるんだ? 真実:んー…7LLDKだったかな? 稜也:は…初めて聞いた…。 真実:あ、でも先輩がもし泊まりに来たら私のベッドで添い寝ですからね? 稜也:泊まらないっつーの! 真実:はぁーあ、寂しい寂しい家に帰るかぁ…。 稜也:弟君居るんだろ? 真実:いいえー。最近はおばあちゃんの家に泊まってるので、もう半月くらい帰ってきてないかな? 稜也:え…じゃあ…いつも1人なのか?飯とかも…。 真実:そうですねぇ。でもいつもそうなんで…とっくに慣れましたよw 稜也:……。 真実:多くても食卓を囲うのは2人かせいぜい3人で…。家族4人でワイワイなんて未知の世界です…。 稜也:……そうか。 真実:……興味、無いですよねw 送ってくれてありがとうございました。じゃあ…帰りますね。 稜也:………なぁ。 真実:……? 稜也:飯、食いに行くか。 真実:…え? 稜也:……わかるよ、1人で食う飯の寂しさっていうか…味気ない感じ。 真実:……。 稜也:ちゃんと勉強教えてやれなかったし、飯くらい付き合うよ。 真実:(涙が溢れて)………嬉しい。 稜也:なっ!?なんで泣くんだよ! 真実:だって…先輩が……グズ…。 稜也:わーーーもう、泣き止まないと行けないって! 真実:ピタッ!! 稜也:……いや、全然止まってないからww 0:数日後 かなえ(LINE):ごめん、今日も会えそうにない…。 稜也(LINE):仕事だもん、しょうがないよ!頑張って! かなえ(LINE):早く稜也の就職祝いしたいのに…。 稜也(LINE):ちゃんと時間ある時に盛大にやろう!w かなえ(LINE):そうだね…。期待しててね!!うんっとお祝いするから!! 稜也(LINE):ありがとう!めっちゃ期待しとくw ―:大学 稜也:……今日は雨かぁ。かなえに会いたいなぁ…。 真実:せーんぱい! 稜也:あ…鈴木。 真実:今から帰るんですよね? 真実:私今日傘無いんですけど…一緒に入れてくれませんか? 稜也:なんで傘無いんだよ…。朝家出る前に天気予報とか見ないのか? 真実:えへへw 女の子の朝は忙しいんですよー! 稜也:弁当作れるくらい余裕あっただろう…。 真実:もーう、そんな事はいいので早く傘開いてくださいよー! 真実:ほら、帰りましょー!あ、またカフェ行きませんか!? 稜也:行かねーよ!それに俺今日駅前で買い物あるから。 真実:丁度良かったー!私も化粧水買いたいので、お付き合いします! 稜也:…お前、この前も同じ事言ってついてきただろ。 真実:先輩、知らないんですか?化粧水って1種類だけを延々と使う訳じゃないんですからね? 稜也:え?そういう…もん? 真実:そういうもんです!さぁ行きましょう! 稜也:あ、おい!俺の傘だぞ!!返せ!! 真実:あははw 逃っげろーー!w 0:駅前 かなえ:はぁー失敗したぁ…。まさか急にこんな土砂降りになるなんて…。 康介:あー居た居た!かなえさん! かなえ:え…、斉藤君!? 康介:良かったー見つかって!かなえさん、傘持っていかなかったよなーと思って、迎えに来ました! かなえ:はぁ…相変わらず人の事よく見てること…。 康介:へっへっへー! かなえ:…で?私の傘は? 康介:え? かなえ:え?って…まさか持ってきてないの!? 康介:そんなん、一緒に入ればいいじゃないですか!荷物もあるんだし。 かなえ:……わざと? 康介:さぁ?どうでしょうw かなえ:……はぁ。呆れるわ。 康介:まぁまぁw そんな事言わずに、はい、荷物渡してください! かなえ:はいはい…ありがとう。 0: 真実:あー、先輩! 稜也:ん? 真実:あれって…かなえさんじゃないですか? 稜也:え…? 真実:あのイケメン風な人と一緒に相合傘してるの! 稜也:……本当だ…。 康介:あっははw あのお客さん、そんな事言ってたんですか?w かなえ:そうなのw 斉藤君の事を自分の孫だと勘違いしててw 稜也:………。 真実:なんか……楽しそうですね。 稜也:……行くぞ。 真実:え?声かけないんですか? 稜也:いいから行くぞ。 真実:…………先輩! 稜也:あぁ? 真実:んっ! ―:振り向きざまに稜也にキスする真実 稜也:……っ!? 真実:…んふふw 稜也:な……何してんだよお前!! 真実:………ふw 康介:おいおいおい、何してんだよ稜也!浮気現場発覚ってやつかー? 稜也:なっ……康介…! かなえ:………。 稜也:か…かなえ…。ち、違うんだよ今のは!! 真実:先輩の舌、温かかったーw 稜也:おい ざけんな!! 康介:それはかなえさんのセリフだろー!? 稜也:てめぇは黙っとけ!! 康介:黙らねーよ!!かなえさんを傷つけておいて、お前それでも男か!?この最低野郎が!! 稜也:ち、違うって言ってんだろ!!さっきのはこいつが急に!! 康介:見苦しいなぁ、どうせ学校からここまで、その傘1つで来たんだろ?随分と仲良くなってるじゃねーか! 稜也:…そ、そっちだって何なんだよ!傘1つしかねーだろうが!! 康介:俺達は店の買い出しだ!お前みたいにデートしてる訳じゃねーっての! かなえ:……………(涙がこぼれ落ちる)。 稜也:か…かなえ!? なぁ…、俺の事…信じてくれるよな!? 康介:やめろ!!こんな現場を直視したかなえさんの気持ちを考えろ!! 稜也:え……。 康介:かなえさん、行こう。 稜也:ちょ…ちょっと待てよ……。 真実:(独り言)あーあw ハリケーン発生かな?w 稜也:か…かなえ…!待ってくれよ!!かなえ!!! 0: 稜也M:あの日、家に帰ってすぐにかなえにLINEした。 稜也M: 稜也M:だけど…、数日経っても未だに返事は返ってこない。 稜也M: 稜也M:既読はついてるから、読んでくれてはいるみたいだ…。 稜也M: 稜也M:俺は何度も説明した。あれはいきなりされたんだと。 稜也M: 稜也M:それでも…。 稜也M: 稜也M:かなえからの返事は返ってこない。 0: かなえM:今日も稜也に返信できなかった…。 かなえM: かなえM:疑っている訳でも、怒っている訳でもない。 かなえM: かなえM:だけど…。 かなえM: かなえM:私はまだあの日のシーンを夢に見てしまう…。 かなえM: かなえM:稜也が…そのまま違う人と結婚してしまう夢も見ることがある。 かなえM: かなえM:私は未だに、なんて返せばいいのかわからない……。 稜也M:一度は好きになれた雨だったけど、やっぱり俺は、雨が嫌いだ。 かなえM:楽しみにしていた雨…。稜也と出逢った雨…。感謝した事もあった雨…。 稜也M:こんな事になるなら…。 かなえM:こんな気持ちになるなら…。 稜也:雨なんて…もう二度と。 かなえ:降らないでほしい。 0: 0: 0: 0:~続く~ 0: 0: 0: