台本概要

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タイトル 浮島の下にある黒き海溝は雨垂れ石を穿つ〜橙色〜 完全版
作者名 明桜 リア  (@ria_meiou)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(不問5)
時間 70 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 この世界は色によって違う浮島がある。
レッド、イエロー、グリーン、オレンジ、ホワイトの四つの島があり、行き来するためには飛行船が必要だった。
世界は色結晶(いろけっしょう)に溢れており、通貨にも機械などを動かしたりするのにも使われている。
結晶を破壊してしまうと島が黒くなっていき、下にある海溝に落ちて行ってしまう。
それだけでなく、もしこの世界の深淵を覗いてしまうと…?

名前は確認してから、読んでいただけるとありがたいです。

*使用について*
・使用許可は要りません。
・配信に使っていただいても構いませんん。もし使うよーって言ってくださったら、飛んで見に行きます。
・使った報告していただけましたら、はっちゃけます。五体投地します。
・自作発言はお控えください。
・改変、加工は物語を大幅に改善する事以外は大丈夫です。

何かありましたら、お聞きください!

後は、とにかく楽しんで演じてください!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
丹色 不問 151 猩々 丹色(しょうじょう にいろ)。 べらんめぇ口調。ガサツな性格。基本的にめんどくさいことはしないが、なんやかんや優しいのが丸見え。オトギリとは気が合う。赤いの色名(しきめい)からつけた名前。
オトギリ 不問 140 オトギリ・ラブラドルライト性格の悪い天才研究者。口も悪い、態度もでかい。でも丹色とは何か気が合う。プライドがエベレストをも超える。鉱石(宝石)と花の名前からつけた名前。
セイファ 不問 43 純粋なサイコパス。悪意のなき悪意。おかしいなら消してしまってもいいという考えを持っている。カイファが好き。海に映る星から来た名前。
カイファ 不問 36 純粋なサイコパス。悪意なき悪意。セイファに何かするなら、居なくなってもいいよねという考えを持っている。セイファが好き。星を映すための海から来た名前。
ダリア 不問 55 森の動物達と過ごしていたと言う子ども。か弱い少年に見えるが…? 読み終わった後にダリアの花言葉を調べてみてください。怖い意味もありますね。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
セイファ:みんな、気がつかないんだね。 セイファ:この世界がおかしいってことに。 カイファ:気がつかないね。何で気がつかないんだろう。 カイファ:こんなにもはっきり分かってるのに。 セイファ:なんで分からないんだろうね。 セイファ:おかしいよね。 カイファ:うん。おかしいよ。 カイファ:だって簡単に信じちゃうんだよ。 セイファ:怖いね。 カイファ:悲しいね。 セイファ:でも…。 カイファ:もう悲しくないね。 セイファ:もう怖くもないね。 カイファ:だって、僕たちには『あの人』がいるから。 セイファ:そうだよね。分かってくれる人がいる。 カイファ:これからもっと、楽しくなるね。私。 セイファ:そうだね。私。 0: 0: 0: 0: 丹色:今日も世界はカラフルだねぇ。 オトギリ:何を分かりきったことを言ってるんだ。アホなのがさらにバレるぞ。 丹色:元々がアホって言いてぇのかい? オトギリ:読み取れなかったのか?*嘆《なげ》かわしい…。 丹色:うるっせなぁ。いちいち*皮肉《ひにく》ってくるもんじゃねぇや。 オトギリ:そんなことはどうでもいい。 丹色:どうでも良くねぇよ。にしても、俺たちの世界は全くもって不思議なもんさね。 オトギリ:なんだ、改めて言う事か? 丹色:そらそうさ。沢山ある島は虹色のカラーで分かれていてよぉ、俺たちのいる島は*橙色《だいだいいろ》、*所謂《いわゆる》オレンジ島。まぁつっても、俺たちは一つの島にいるわけじゃねぇけどなぁ。 オトギリ:当たり前だ。僕たちは島を巡って、世界は平和なのかを確認するための組織なんだからな。 丹色:ま、その組織にいるのは二人だけで、勝手に結成しただけのもんだがねい。 オトギリ:仕方ない。ここは*緩《ゆる》い人間ばかりだ。つまり、何も考えてない人間が多い。そんな中で誰かが*取締《とりしま》りをしなければ、このまま崩壊を待つしかなくなってしまうだろう。人々が気づかないうちにな。 丹色:そうさねぇ。実際、事件が起こっても何かあったなぁで終わっちまうのが現状だ。この事を問題視するやつぁ、人っこひとりいやしねぇ。 丹色:この世界では色が絶対と言うだけだ。色に染まらないやつを*排除《はいじょ》することのみに*執着《しゅうちゃく》してっかんな。 オトギリ:だからこそ誰かがしなければならない。我々は色に染まろうとしていないからこそ、人々にバレないように活動していくしかない。色に染まろうとしないと言うよりは、『色がついていない結晶』を持っている体がな。 丹色:だなぁ。色がない結晶を持っている。もしくは結晶が何故あるのかを気にしてしまった人物、つまり*異端《いたん》は即排除*《そくはいじょ》。排除ってぇよりも消すって言う方が正しいだろうながなぁ。 丹色:世界そのものからの*抹消《まっしょう》されちまうってのが現状。誰がしているのかがわかんねぇのが問題だろうがな。 オトギリ:そうだ。何故、そこに疑問を誰も抱かないのかが分からん。普通が考えてもおかしくないが、それを誰も考えずにいる。常識に受け取っているんだろう。僕はそれに疑問を持った。お前も一緒だっただろう。 丹色:そこなんだよなぁ。 オトギリ:何がだ。 丹色:なんで俺たちだけが疑問を持つようになっちまったんだろぉな。 オトギリ:さてな。それについては、俺も疑問に思っていた。だが誰にも聞く事はできんかった理由は、大人たちが話しているのを聞いてしまったからな。『*排除申請《はいじょしんせい》をするしかない』と。 丹色:そうなんかい!? オトギリ:あぁ。お前には言ってないがな。 丹色:そらぁ俺にも言うべき事だろうが! オトギリ:お前に言ったら、他の連中に聞いて回るだろ。 丹色:うぐっ! オトギリ:そんな事をすれば、僕もお前*諸共《もろとも》消されてしまう。それでは意味がなくなるからな。 丹色:…言い返す言葉もねぇけどもさぁ…。にしても、ちょっと話だけでまさか消される可能性が出てきちまうたぁなぁ。幸せの場所に見せかちゃいるが、とんでもねぇ考え方していっらしゃるもんで。これがこの世界の真実ってやつなんだろうどもな。 オトギリ:そう言う事だ。ちょっとでも、この話をすれば自分の子どもであろうとも消せる事を*躊躇《ちゅうちょ》しないというのが現状ということを忘れないことだな。 丹色:覚えとくわ。やなこったなぁ。自分の子どもまで消そおってことができちまうんだからなぁ。 オトギリ:それは分からなくもない。しかし、それが常識となっているんだ。いや、正しくは『認識にさせられている』というのが正しんだろうな。 丹色:そらぁどういうこった? オトギリ:本来なら誰かが疑問に思ってもおかしくない。なんで自分の子どもまで消さないといけないのか、と。 丹色:あ。 オトギリ:そう。罪悪感を抱く事もなく、何も考える事をせずに簡単に家族を、子どもをも差し出せてしまう。これが世界の*矛盾点《むじゅんてん》だ。 丹色:なぁるほどなぁ。こいつぁ、奥がふけぇ話だ。 オトギリ:そういうことになる。だから僕たちは、慎重に事を進めないといけない。 丹色:事ってぇのは、最近起こっちまっている『*色結晶《しきけっしょう》』を壊す事件かい? オトギリ:そうだ。この世界にある大事なものである『色結晶』。これは嬉しい事や楽しい事があると、出てくる物質。何かを買う時や装置を使う時に使用される。だがここ最近、色結晶を悪用する奴が出てきた。 丹色:知ってらぁ。俺らみてぇな奴なのかもしれねぇな。この世界の*理《ことわり》が変だってぇのに気づいちまった奴がな。 オトギリ:その可能性が大きい。だからこそ、あの結晶を使えば何かに使うことができる。まだ何に使っているかは、見当がついていない。 丹色:なぁるほど。ま、探ってくしかねぇわな。 オトギリ:つまりはそうなる。それに…。 丹色:んあ?まだなんかあるってのか? オトギリ:この事件には一人ではなく、二人絡んでいる可能性がある。 丹色:あぁ!?二人も絡んでるってぇのか!?んなの、めんどくせぇにも程があるってもんだ!! オトギリ:仕方あるまい。一人でやるには規模が大きいからな。 丹色:規模ぉ?そんなにデカかったか? オトギリ:はぁ。お前のその単純な脳みそが*羨《うらや》ましい。 丹色:んだとぉ!?テメェの方が単純だろうがよ!誰にもの言ってんだ! オトギリ:この僕が単純なわけないだろう。もしそうだったとしたら、この事件が二人で起こしている可能性に気が付かなかっただろうな。 丹色:うぐぐ…!! オトギリ:言い返せないだろう。だから僕の言っていることは合っているんだ。 いいか。この事件は『色結晶の破壊事件』だ。それは覚えているな? 丹色:あぁ、そういや言ってたねぇ。 オトギリ:…まぁ、いいだろう。色結晶の破壊はこの世界で*禁忌《きんき》とされていることだ。 丹色:確か色結晶を消しちまうと、少しづつ島の色がなくなっちまうから、やる事自体禁止とされてんだったよな? オトギリ:あぁ、これが今起こってしまっている事件だ。 丹色:これを一人ではなく、二人でやってるってぇのか? オトギリ:そうでなければ説明がつかないことがある。 丹色:なんだってんだ。 オトギリ:たった一人で破壊を行なっているのならば、規模が少量で済めば『*修正人《しゅうせいにん》』に色を戻して貰えばいい。 丹色:あぁ、島の色を筆で戻していく連中かい。 オトギリ:そうだ。小規模ならば修正人でどうにかなっただろうが、それでは追いつかないほどの規模なんだ。 丹色:そんなデカかったのか? オトギリ:一つの*色森《しきもり》が色を失ってしまって、修正人が総出で直さなければならんほどにだ。 丹色:は!?そんなにか!? オトギリ:だから大規模だと言っただろうが。こんな事を一人の人間だけでは、なし得ないだろうな。だからこそ、二人でやったと僕は考えたわけだ。もしかしたら、もっと多いかもしれん。 丹色:そこまでたぁ思ってもいなかったぜ。 オトギリ:僕たちのように気がついている人間たちの可能性が大いにある。 丹色:二人もかい。 オトギリ:あぁ。 丹色:なぁるほどなぁ…、まためんどくせぇもんに当たっちまったもんで。 オトギリ:僕も同意しよう。そこでだ。お前にはやってもらいたい事がある。 丹色:なんだぁ? オトギリ:情報収集に行ってこい。 丹色:あ!?何言ってんだ!?テメェでやりゃあいいだろうが!なんで俺がしなきゃなんねぇんでぇ! オトギリ:僕は他の形で情報収集する。お前には肉体労働が似合っているだろう。さっさと街から情報を持ってこい。それだけしか、取り柄がないんだからな。 丹色:だーくそっ!わぁったよ!やってやらぁ! オトギリ:さっさと行け。 丹色:こんのくそ*眼鏡《めがね》が! オトギリ:黙れ、筋肉脳みそ。 0: 0:家から出ていく。 0: オトギリ:さて、僕も調査をしておくか。様々な事に使えるという『*色結晶《しきけっしょう》』。これについて、知りたい事がある。さて、*藪《やぶ》をつついて何が出てくるのやら。 0: 0:場面転換(市場) 0: 丹色:ったくよぉ。あのインテリ気取りときたらよぉ…。人に命令しやがって。それにしても…*胡散《うさん》くせぇ街だねい。誰も彼もが怒りも悲しみもしねぇで笑っていやがる。おっと、いっけねぇ。ここでそれを言っちゃあ*角《かど》が立つな。 セイファ:あ、見つけた。 セイファ:お兄さん。 丹色:さぁて、何から見てきゃいいかねぇ…。 セイファ:ねぇ、お兄さんってば。 丹色:んお!?急に服を引っ張るからびびっちまったじゃねぇかい。なんだぁ?ガキじゃねぇか。どした?一人で歩いてちゃあぶねぇってもんだ。*親御《おやご》さんはどこにいんだい? セイファ:僕の『大事な人』は一人だよ。 セイファ:それよりも、お兄さんは変な人だね。 丹色:おいおい。出会い*頭《がしら》にそんなこと言われるたぁ思わなかったぜ。んで?なんでそう思ったんだい? セイファ:だって、お兄さんも世界について『知ってる』んでしょ? 丹色:…それは何を? セイファ:この世界がおかしいって。 丹色:…何を言ってるかと思いきやぁ、そんなわけねぇよ。なぁーんにもおかしくなんかねぇだろうが。 セイファ:お兄さんって…嘘つきだね。 セイファ:本当はそんな事なんて、思ってもいないて事。 丹色:あ? セイファ:知ってるよ。お兄さんともう一人のお兄さんも、この世界がおかしいって感じてるの。 丹色:…お前さん、どうしてそう思った?それだけじゃねぇ。なんで俺以外にいると思ったんでい?おらぁは一言ももう一人いるってぇこたぁは言ってねぇ。それにお前さんに会った事もねぇしな。 セイファ:だって、『あの人』が言ってた。それに二人とも調べてるんでしょ?今回の『事件』のこと。 丹色:…何? セイファ:待ってるから、見つけてね?まぁでも、見つけれるなら…ね? 丹色:お前さん、一体何を…。 セイファ:それじゃ、お兄さん。またね。 丹色:ちょ、ちょいと待たねぇか!おいおい、人が多い上に足が速いこったなぁ!!ちょいと道開けてくれねぇか!どいてくれ! 丹色:…くそ、どこだ!!…だー!!*見失《みうしな》っちまった!!人は多いわガキは速いわで、*踏《ふ》んだり*蹴《け》ったりだぜ…。あー…こりゃ怒られちまうだろうが…報告すっかねぇ…。 セイファ:あのお兄さん…。気がついてくれるかな。きっと気がついてくれるよね。『あの人』がそう言ってたもんね。きっと大丈夫だよ。 0: 0:場面転換(事務所) 0: 丹色:たでーま。 オトギリ:普通に*挨拶《あいさつ》できないのか。 丹色:んなこたぁどうでもいいような出来事が起こったんでい…。うぶっ、はぁー…やっぱし*家《うち》が一番いいねぇー…。 オトギリ:…お前がそこまで疲れているなんて*珍《めず》しいな。一体、何があった。 丹色:いやぁ、これは予測でしかねぇが…*奴《やっこ》さん達に、俺たちの事がバレてるみてぇだぞ。 オトギリ:そうか、バレて…は!?なんだと!?どういうことだ! 丹色:ちけぇわ!!チッ、耳がいてぇ…。 オトギリ:お前の耳なんぞどうでもいい!それよりも何故相手にバレているんだ。 丹色:いやぁ、情報収集の為に街に*繰《く》り出したわけだが、*相《あい》も変わらずな場所だったわけだが…そこで見た事もねぇガキにあった。 オトギリ:どんな容姿だ。 丹色:真っ白な髪を耳あたりで切り*揃《そろ》えててな。目が金色で肌は色白、年齢的には十歳くらいだな。 オトギリ:そんな子どもが、お前の正体に気がついていた…だと…? 丹色:それだけじゃねぇ。俺たちが二人だってぇのも気がついていやがった。あー…これは闇がふけぇ話になってきてっぞ。 オトギリ:…あぁ。相手にこちらの情報だけが流れているようだ。だが、一体どうやって…。 丹色:そいつぁ分からん。聞いている限りじゃあ、確実に知っているってぇ感じだったな。んあー…そうだ。もう一つ、気になる事を言ってたな。 オトギリ:なんだ。さっさと言え。*簡潔《かんけつ》に。 丹色:分かってらぁな。急かすんじゃねぇや。あのガキ、『あのお方』って言ってやがったってぇことはだ、アイツの後ろに誰かがいるってぇことだ。 オトギリ:子どもがこんな事を起こしている上に、さらに*黒幕《くろまく》がいるだと…? 丹色:そういうこった。詰まる事ながら、どんどんややこしくなってきたってぇこったな。 オトギリ:裏にいる人物、か。一体どんな人物なのかが分からんな。 丹色:そぉなんだよなぁ。あー!おらぁこんな事に悩むたちじゃなねぇんだよ! オトギリ:だろうな。知っている。にしても…どうして、こんな事を思いついたのか…理解ができん。それにこの事件を起こせるということは、僕たちと同じ考えで違和感に気がついている、ということだからな。 丹色:そうなるだろうなぁ。わけ分からんな。あ、そういやもう一つおかしい事があったな。 オトギリ:はぁ、もう一つあったのか。早く言え。 丹色:わぁってるよ。さっき、ガキの容姿について言ったろ? オトギリ:あぁ、そうだな。 丹色:思い返してみろい。この島で生きてる人間は髪の毛こそ色とりどりだが、*瞳《ひとみ》の色は必ず*橙色《だいだいいろ》をしているはずが…あのガキの目は、金色だった。 オトギリ:まさか…。 丹色:そうだ。普通は島の色と同じの瞳の色をしているはずが、だ。そうじゃねぇって事は、どの島にも属してねぇ可能性が出てきたってぇわけだ。そんでもって、そう言うやつが他にもいるってぇ事もあり得るってことだ。 オトギリ:お前にしてはよく考えたな。確かにその通りだ。 丹色:テメェは一言よけぇなんだよ! 0: 0:扉を叩く音がする 0: 丹色:あ?おい、お客さんだぜって…ん?なんで俺たちのところに、客がくんだ? オトギリ:知らん。僕は忙しいから、お前が開けろ。 丹色:はいはい。インテリはこれだからなぁ。 0: 0:扉を開ける。 0: 丹色:ほいよっと、どなたさんでい。 ダリア:あ、あの…。お兄さん、初めまして、こんにちは…。 丹色:お?また*幼《おさな》そうなお客さんだねい。どうしたってんだ。…おっと、ここじゃあ話しにくいさね。中に入んな。 ダリア:え、あ、お、お邪魔します…。 丹色:おーい。ほら、お客さんだぜ。 ダリア:えっと、お兄さんも、初めまして。こ、こんにちは…。 オトギリ:お前は何もしていないな? 丹色:何するってぇんだよ。 オトギリ:はぁ…。いい、僕が聞く。 オトギリ:君…、もう入っているが、聞かせていただきたい事があります。我々のことを知る人間なんて居ないはずですが、それを家の場所まで知っていた。貴方は、何者ですか?そして、ここをどうやって知ったのでしょうかね。 丹色:おいおいおい!話くらい聞いてやりゃいいじゃねぇか。 オトギリ:はぁ…これだから単細胞は…。いいか。なんで、こいつが僕達のいる場所がわかったのか、それだけではない。まるで、ここなら…と言わんばかりに来た。その理由を問いたい。 丹色:まぁ…確かにさっき俺も言ったなぁ。んじゃあ、がきんちょ。教えてもらっていいかい? ダリア:あ…えっと…知らない、おじさんがね。地図をくれて、ここに来たらいいって…。 ダリア:そうしたら、君の悩みは解決するよって…そう言われて…。 オトギリ:その地図とやらは持ってきているのか? ダリア:あ、はい。これ、です。 オトギリ:ふむ…。この地図は、僕たちの家を指している。嘘はついてなさそうだが、なんの話でここにきたんだ? ダリア:その、えっと…。 オトギリ:言えない理由でも? ダリア:ご、ごめんなさい…。 オトギリ:だから、言えない理由があるのかと… 丹色:(言い終わる前に被せる)おぉっと!すまねぇな、あー、えっと、名前を聞いちゃいなかったな。なんて名前だい? ダリア:あ、僕はダリア…。 丹色:そうか、ダリアってぇんだな。俺は、丹色。んで、そこの*陰険眼鏡《いんけんめがね》がオトギリってんだぁ。よろしくな。 ダリア:よろしく、お願いします。 オトギリ:お前…。 丹色:(小声)そんな怖い言い方しちまったら、話しにくかろうが。まずは話しやすい環境を作ることが大事だろうがよ。違うかい? オトギリ:はぁ…。まさかお前に*諭《さと》されるとはな。 オトギリ:君、すまなかったな。 ダリア:え、あ、だい、じょうぶ、です。 丹色:入り口近くでってもな。ささ、はいんねぇ。茶でも飲みながら、話そうじゃねぇか。ここのソファーに座りな。茶入れてくっから、オトギリに話しときな。 丹色:おいオトギリ、優しく話を聞けよ。さっきみたいな事はすんなよ。 オトギリ:わかっている。 丹色:んじゃ、待ってな。 オトギリ:はぁ。先程はすまなかった。少し神経質になっていた。 ダリア:い、いえ…。 オトギリ:ところで、君にここの事を教えたのは、一体どんな人物だったか覚えてはいないのだろうか。 ダリア:えっと、確か…身長が高くて…あれ?なんでだろう…思い出せない…。 オトギリ:ふむ…自分のことを認識させぬようにしているのか。分からないのらなら、構わない。それで、君の悩みとは何かな? ダリア:それは… 丹色:おい!茶ー持ってきだぞー!ついでに菓子も持ってきたぜぇ! オトギリ:お前な…なんでこのタイミングで来るんだ。この筋肉脳みそが!! 丹色:なんでい!!何が駄目だってぇんだ!!場を*和《なご》ませるためにした事だろうがい! オトギリ:大事な事を聞こうとしていたんだ!最悪だ!!ちょっとは来るタイミングを考えろ! 丹色:何でい!!色々言ってきたがって、ウルセェやつだな! ダリア:え、あ、ケンカは…。 オトギリ:お前は何もかもがタイミング最低男なんだ!! ダリア:話を…。 丹色:んだとぉ!? ダリア:ま、待ってください!! 丹色:んお!?なんでぇ!? ダリア:は、話を聞いて欲しくて!お願いしても、いいですか? 丹色:あー…おっとぉ、すまねぇな。そうだった、話を聞かねぇとな。俺たちの*素っ頓狂《すっとんきょう》な話をする訳にはいかねぇな。 オトギリ:お前のせいだがな。 丹色:すまねぇって。ま、話を聞かせてもらおうじゃねぇか。で、どんな話だい? ダリア:僕、森の方で動物だちと一緒にいたりしてるんですが、でも最近どんどん森が暗くなってきて、動物達と会えなくなっちゃって…それだけじゃなくて、森にも入れなくなっちゃいました…。 オトギリ:確かに、どんどん進行が早くなってきていると聞いている。 ダリア:そうなんです。直してくれてるけど、直らないんです…。どうしたらいいのか、分からなくて…。 オトギリ:なるほど、そうか。 丹色:こいつぁ、えれぇこったな。修正人にも直せねぇのか…。どれ程、消しまくってんだぁ? オトギリ:確かにそうだな。僕が確認していた事以上の出来事が起こっているな…。 ダリア:あの…どうしたらいいのでしょうか…。 ダリア:どうしても、森の子達に会いたくて。 オトギリ:とりあえず、僕はさっきしていた研究と調査をする。丹色、お前は街でもっと情報を集めてこい。全くもって情報がない。あと、修正人にも話を聞いてこい。 丹色:ったく、人使いがあれぇこって。わーったよ。もう一回街に行って見つけてくっから、待ってなぁ。 オトギリ:さっさと行け。 丹色:はいはい、んじゃ、行ってくっわ。ガキをいじめんじゃねぇぞ。 オトギリ:しないから早く行け。 丹色:ウルセェやつだなぁ。ま、行ってくらぁな。 0: 0:丹色が出ていく 0: オトギリ:…行ったか。まずは君に聞きたいことある。 ダリア:はい…。 オトギリ:ここに来るようにと言った人物とは、一体どこで会ったのか。そこは確実にしておきたい。 ダリア:えっと…。森の入り口にいた時に、急に後ろから話しかけられて…。さっきも言ったのですが…『君の悩みはここに行けば解決する』って。その時にここに来るための地図を渡されて顔を上げたら、その男の人は、消えてしまっていました…。お礼を言えないまま…。でも、その男の人よりもこの事件が解決するならって思って、ここに来たんです。 オトギリ:なるほど、理解した。では、暫くここで休んでいくといい。二階に休める場所がある。そこでゆっくりしていきなさい。 ダリア:いいんですか…?迷惑なんじゃ…。 オトギリ:構わない。早く二階に行きなさい。 ダリア:は、はい…!! 0: 0:二階へ向かって行く。 0: オトギリ:あれは、危ないな…。このままでは計画が台無しになってしまう。 0: 0:場面転換(橙灯街) 0: 丹色:ったくよぉ…。ここに来んの二回目じゃねぇかい。なんでこんな事しなきゃなんねぇんだ。にしても、だ…。さっさとこの気持ち悪りぃ所から出なきゃだな。嫌になっちまうぜ。全員笑ってやがんだからな。ゾッとすらぁな。 丹色:お?ここがあのガキが言ってた森かい。確かに、修正人が直してるみてぇだが…間に合っちゃいないねぇ。こいつぁ、やべぇ匂いがぷんぷんすらぁな。このままじゃ、『*島切《しまぎ》り』…ここの部分は島から切り取られちまうな。下の何があるか分からん闇の中に落とされんだろぉな。この世界はどうなってやがんのかねぇ。 カイファ:お兄さん。 丹色:あ、そういや、修正人に話を聞くんだったな。…って、修正人がいねぇ?一体どうなってやがんだぁ? カイファ:セイファの言う通りだ。全然話を聞いてくれないや。 カイファ:ねぇ、お兄さんってば。 丹色:あ?なんでい。…って、街で俺に話しかけてきたガキじゃねぇか!ようやっと捕まえたぜ!あの言葉は一体なんだってぇんだ! カイファ:あの言葉?何の話なの? 丹色:見つけられるかどうかって話のこたぁ!自分で言っておきながら、覚えてねぇとはどういう*謂《いわ》れでぇ! カイファ:あ、あの話なんだね。お兄さん。 カイファ:ふふ。 丹色:何笑ってやがる。 カイファ:お兄さん。見つけるの、遅かったね。 丹色:なんのこってい。早かっただろぉがよ。 カイファ:遅いよ。 カイファ:だって、わかってないんだもん。 丹色:…そりゃ、どういうこって…。 カイファ:見てくれたらわかるよ。ほら。 丹色:なんで森を指差して…あ!?な、なんでい…ありゃ…。 セイファ:ふふ、ね?遅かったでしょ?一応、お兄さんはこの世界のことを知ってる人だから教えてあげるけど、あれは『*結晶島喰い《けっしょうしまぐい》』って言ってね。結晶と島そのものを*喰《く》らう為に生み出した化け物なんだ。 カイファ:私『達』だ生み出したんじゃないけど。この黒い結晶をもらってんね、壊したらあの子が出てきたんだ。そうしたら、たくさんの結晶を食べてくれて、どんどん島が色を失っていってくれた。楽しいなぁ! 丹色:楽しくはねぇだろうがよ!! セイファ:楽しいよ、ね?カイファ。 カイファ:うん、セイファ。 丹色:いつの間に二人…!?チッ!テメェら、やっぱり二人組だっんかい。あいつの言ってた通りだったってぇわけか。 セイファ:そうだよ?私達は二人で一つ。 カイファ:うん、だからいいんだよ。 丹色:まだ十代そこそこのガキが*一丁前《いっちょまえ》なことぬかしやがって…!それよりもだなぁ…。おい!テメェ!いつまで聞いたままでいやがる!さっさとこっちにこねぇか!!オトギリ! オトギリ:うるさいぞ、丹色。全体を*把握《はあく》するのに必要だったから、出なかっただけの話だ。いちいち大きい声を出すな。 丹色:うるっせぇやい!テメェで言い出しやがったのに、こっちにばっか仕事させやがって!自分は高みの見物ってぇか!?こん*畜生《ちくしょう》が! オトギリ:さっきから耳が痛いほど*煩《うる》いぞ。 丹色:あぁん!? オトギリ:そんなことよりも、わかったことがある。なんで色結晶というものができたのかが。 丹色:なんだってぇ? オトギリ:色結晶は島によって意味が変わってくる。まずはレッド*島《じま》は『時間が経つのを早くさせる』意味を持つ。次はイエロー島は『会話と*軽快《けいかい》』の意味を持つ。グリーン島は『心の乱れ、調和、決断力を高める』意味を持つ、オレンジ島『食欲を*増進《ぞうしん》』の意味を持つ、ホワイト島『*清楚感《せいそかん》』の意味を持っている。つまり、島一つ一つが色によって意味が変わってくるんだ。 丹色:はぁ?何言ってやがる!!意味がわかんねぇ!! オトギリ:これだから単細胞は…。いいか、この島でよく考えろ。オレンジ島は食べ物の店が多いと思ないか? 丹色:あ…そういや、確かになぁ…。 オトギリ:だろうが。君もそう考えたんじゃないか?ダリアくん。 ダリア:え!?そ、そんな事…僕、分からないです…。 オトギリ:そうか。ならいい。それよりも君たちは、一体どうしてこの事件を引き起こしたんだ? セイファ:決まってること聞かないで。ね?カイファ。 カイファ:そうだよ。ね、セイファ。 セイファ:私達はね、この世界が変だなって思ってたら、両親に消されそうになったから森の中に逃げてたの。 カイファ:そうしたらね、浮いてた色結晶を触って、ぎゅってしてみたら壊れたの。 セイファ:壊れた後を見たら、森の一部が黒くなったの。 カイファ:面白くて、楽しくて。いっぱい壊して遊んでたの。 セイファ:その時、私達に黒い結晶をくれた人がいたの。 カイファ:黒い結晶をね、割ってみたら黒くて大きいのが出てきたから。 セイファ:それがどんどん結晶を食べていってくれたの。楽しいかったよね! カイファ:うん!楽しかった。 ダリア:そ、そんな理由で僕たちの森を…。 丹色:*狂《くる》ってやがらぁ…。お前らのせいで森の中のいる動物とダリアが、そこにいけなくなっちまったじゃねぇか! ダリア:そうです!!僕だって、みんなと一緒にいたかっただけなのに!君たち双子のせいで…! 丹色:本当だぜ!テメェら、なんてぇ奴らだ!! ダリア:返してください!僕たちの森を…! オトギリ:はい、そこまでだ。 丹色:おい!なんで止めるんだい!こいつらを止めねぇといけねぇだろうが! オトギリ:ダリアくん。 ダリア:な、なんですか…? 丹色:人の話くらい聞きやがれ! ダリア:お兄さん、何か知ってるんですか…? ダリア:なら、教えてください!一体何が…! オトギリ:(即遮*《さえぎ》って)今さっき来た僕たちが、この二人の事を知るはずはない。でも、君はこの二人は知っていた。 ダリア:そ、それは…。僕は皆さんが、そんな風に言っていらっしゃったので、そうかなって思って話したんですが…。 オトギリ:そんな事が分かるはずもない。顔が似ていると言うだけで、兄弟という可能性もある。違うか? ダリア:そ、そんなこと…。分かる訳ないじゃないですか。 丹色:待て待て待て!俺にゃ、意味がわっかんねぇ!!説明しやがれ! オトギリ:何度もしないといけないなんて、面倒な事この上ないが…いいだろう。そもそも、おかしいのは初めからだった。なぜ双子が丹色、お前に直接話しかけることができた? 丹色:あ…。そういやそうだぜ…。なんで俺に話しかけてきたんだぁ? オトギリ:双子の君達は、お前の特徴を言われていたんだ。そして、話しかけろと言われていた。違うか? セイファ:うん!そうだよ!よく分かったね。 カイファ:だって、教えてあげないとって言われたんだ。そうじゃないと、分からないって。 セイファ:私達がしている事を教えてあげたらいいよって!そうしたら、いいって! カイファ:お兄さんに言ってもらったから、教えてあげようと思ったんだ!ね、セイファ。 セイファ:そうだよね。カイファ。 カイファ:だって僕たちは双子。 セイファ:どんな時だって、同じ事を考える。 オトギリ:なるほど。では、ここからが問題だ。 丹色:問題だぁ?なんだってんだ。 オトギリ:いいか。こんな中でどうやったら、僕たちの居場所を情報を得られたのか。そこが一番重要な所だ。さて、ダリアくん。君はどこでこの情報を得たと言っていた? ダリア:え、それは…双子さんのように、森で…。 オトギリ:あの双子は結晶をくれた人、とした言っていなかった。でも君は背が高いと言っていたがしかし、それ以上は情報はもっていないとも。その割に『男』が紙を渡してきて、僕達のところに来たらいいと言われたと。 ダリア:はい…。 オトギリ:ここまででおかしい点が二つある。 丹色:なんだってぇんだ。さっさと要点言いやがれ。 オトギリ:今から言おうとしていた。うるさい奴だな。君は自分で言ってしまったことに気がついていないと思うがまずは一つ目。双子は知らない人としか言っていなかったが、君は背の高い人という情報を持っていた。 オトギリ:もう一つは君は誰だか分からないと言った割に、おじさんからもらったと言った事と後ろから男に渡されたとも言った。おかしいだろう?覚えてないと言ったのに、なぜか男だと断定していたんだ。 丹色:確かに…言われてみりゃあそうじゃねぇか。 オトギリ:そういうことだ。これら二つを組み合わせると、君が何故、この情報を知っていたのかを問いたださなければいけない。まず、君は一体何者だ? ダリア:僕は、この島で暮らしている…だけで…。 オトギリ:では、この矛盾点については、どう説明してくれるのか教えてくれないか?それとも…言えない理由でもあるのか? ダリア:それは…。 オトギリ:そうだな…。例えば…君が少年ではなく、その男本人であるとか。 丹色:は!?本人だとぉ!?んな訳… ダリア:ふ、ふふ…あはははは!!さすがです!そうでなければ面白くない!!いやぁ、小さくなっていればバレないと思ったのですが…だめでしたか…。こんなに頑張ったというのに!! オトギリ:黙れ。貴様のせいで、僕がしてきた島の研究を邪魔されるところだったんだ。誰かに情報を*漏《も》らすつもりはないのでね。 ダリア:先ほどのは漏らして良かったのかね?大事な事ではないのかね? オトギリ:あの情報は貴様も知っているだろうが。だから、言ってもいいと判断した。 ダリア:そこまでバレていましたかぁ!驚きました!でも、もっと知りたいことがあるのでは? オトギリ:これ以上は僕の自分で研究する。貴様の力など、必要ない。 ダリア:あらあら、フラれちゃったなぁ。にしても…もう一人は黙っちゃって、どうしての? 丹色:クソが…テメェ…許されねぇことしやがってよ!!ガキの気持ちを*弄《もてあそ》ぶんじゃねぇや!!何考えてやがる!! ダリア:いや、それは違うなぁ。これは元々彼らがしたかったんじゃないか。違うかい?君達。 セイファ:うん、したかった。 カイファ:そうだよ。したかったの。 丹色:…なんてぇ奴らだ。*揃《そろ》いも*揃《そろ》って頭おかしいんじゃねぇかよ。 セイファ:なんで?何も問題ないよね。 カイファ:だって、こんな島なんていらないでしょ? セイファ:全部をすぐ消そうとする島なんて。 カイファ:消えちゃえばいいよね。 セイファ:本当だよ。消しちゃお。 丹色:んな事していいわけねぇだろうが!!確かに意味がわからねぇ事が多いが、人が住んでんだよ!生き物がいんだよ!テメェの言ってることは狂ってる以外の何もんでもねぇってことだ!! ダリア:君達の考えこそがおかしい。こんな島達なんて、消してしまっていいんだよ。だって人を消していける世界なんて、変だと思わないのか?だからこそ、壊す。当たり前じゃないですか。 丹色:こんのクソやろぉが!!テメェの頭がおかしいってことに気がつきやがれ!! オトギリ:丹色。こんな奴らに何を言っても意味がない。 丹色:でもよぉ!こんなガキまで巻き込みやがって…! オトギリ:何度も言いますが、巻き込んでないですとも!誘ったら来てくれたんだよ。 セイファ:うん!この人大好きなんだ! カイファ:うん!だから、私達好きだよ!! 丹色:テメェら…!! ダリア:さて、君達はあそこのデカいのを、消さなくていいのかな?じゃないと、島自体が壊れてしまうよ? ダリア:私たちと話している間に、ね? オトギリ:僕は消し方を知っているから問題はない。さっさと消えろ。貴様の顔をもう見ていたくない。 ダリア:悲しいなぁ。では一つ、面白いことを教えてあげよう。 丹色:テメェの言葉なんぞ誰が…! オトギリ:聞かせてもらおう。 丹色:おい!オトギリ!! オトギリ:気持ちはわかる。しかし、聞いてやってもいいだろう。 ダリア:ははは!上から目線で結構なことだ。まぁ、いいでしょう。これは隠された島々の*伝承《でんしょう》。島の人間たちも知らないからこそ、行われている排除申請。それはこの島の下に広がっている深く黒き*海溝《かいこう》に落とす事を意味している。落ちた者は*沈《し》ずみ消えていくと言われています。ここで*鬼門《きもん》なのが、それを行なっているのは一体誰かという事です。意味は…オトギリさん、貴方ならわかりますよね? オトギリ:…つまり下に落とされているものたちは、どう*足掻《あが》いても戻れる事はなく、黒い海溝の中で消え去って行くようにしているのを誰が行なっているのかは不明。ここが難点なのだと言いたいのだな? ダリア:その通りです!やはり貴方とは気が合いそうだ。 オトギリ僕は全く気が合いそうにはないがな。 ダリア:それは残念。これ以上話していても*不毛《ふもう》でしょうし、私たちはこれで消えるとしよう。さ、二人とも行こうか。 セイファ:うん、行く。 カイファ:一緒に行くね。私達、ずっと着いてくね。 セイファ:バイバイ、またね。二人とも。 カイファ:またね。会えたらいいね。 ダリア:ここに用意してある飛行船に乗って移動しようか。 オトギリ:いつの間に飛行船を用意していた…。 丹色:*用意周到《よういしゅうとう》なこって。 ダリア:ふふふ、備えあれば憂いなし…ですから。こうして用意してかないとですよ。 ダリア:長いは無用ですね。では皆様、またお会いしましょう。 丹色:うるっせぇ!誰がテメェなんぞに会いたいか!さっさと消えちまえ! オトギリ:貴様のした事を許す気なんぞ、全くもってない。さっさと行け。 ダリア:これは手厳しい。私は悲しいですよ。でもまぁ、今はまだ、その時ではありませんからね。 セイファ:今言ったら面白くないもん。 カイファ:そうだよ。お兄さん。 ダリア:そうだね。仕方ない。さっさと消えることにしましょう。行きましょう。二人とも。 セイファ:うん! カイファ:早く!早く! 0: 0:飛行船が飛び立つ 0: オトギリ:おい、丹色。あんな奴らの事よりもこちらの方を優先するぞ。 丹色:くっそ!だー!!しゃーねーな!!んで、どうやってやるんでい! オトギリ:いいか、黒い結晶なんてものはない。 丹色:そんなこたぁわかってらぁ!! オトギリ:つまり、あれは作り出されたという事だ。そして、*封《ふう》じる方法もある。 丹色:作り出して?*封《ふう》じる…あぁー!わっかんねぇ!!どうすんでい!! オトギリ:お前は覚えてないかもしれないが、僕は研究者だ。色結晶について調べていると見つけたことがある。透明色結晶だ。この中にあいつを閉じ込めてしまえばいい。 丹色:なるほどなぁ…って、んな事言われて、簡単にできるわけねぇだろうが! オトギリ:とりあえずは、あの黒いデカいのをこちらに連れてこい。お前はそれだけでいい。さっさとしろ。 丹色:そんな事でなんとかなるってぇのか!? オトギリ:いいからさっさとしろ!! 丹色:くそ!わぁーたよ!!連れていってやっから、ちゃんとやれよ!! オトギリ:当たり前だ。誰にものを言っている。 丹色:へいへい、天才研究者様だったな!!おら!失敗すんなよぉ! オトギリ:うるさい。早くしろ。 丹色:こんのやろぉ!さっさとしてやるから待ってろや! 丹色:おい!デカブツ!!俺んとこ来い!俺の色結晶、たくさんくれてやるよ!喰らいてぇだろぉ!?喰らいてぇなら、こっち着いてきやがれってんだ!! 0: 0:結晶喰いが丹色の近くまでくる。 0: 丹色:その調子だ!こっち着いてきなぁ!!眼鏡オラァ、連れてきたぞ!テメェの出番だろぉがよぉ、オトギリ!ちゃんとやりやがんねぇ! オトギリ:誰にものを言っている。『吸収しろ。*蛍石《ほたるいし》!』 0: 0:黒い塊が吸い込まれていく。 0: 丹色:あー!つっっかれたぜぇ…。あいつら、掃除もしねぇで消えやがて…ふざけていやがらぁな。 オトギリ:それには同意だ。 丹色:にしても…なんだぁあれ。どうやったんだ? オトギリ:元々結晶はただ色があるだけではない。透明な結晶もあるんだ。よく考えろ。僕たちの中からは色のない結晶が出ていると思わないか? 丹色:あー…おぉ、そういやそうだったなぁ。 オトギリ:だろうが。これはまだ*憶測《おくそく》の段階にしか過ぎんが。結晶には結晶自身の意味があるのかもしれない。色がない状態から人の感情に合わせて色が着いていると考えられるんだ。しかし、その他にも意味があるのかも知れん。*海溝《かいこう》の事も気になる。何故島が浮いているのか。海溝を作ってまで、いらなくなった島や人を消さないといけないのか。それを誰が決めたのか。これら全てを*検証《けんしょう》しなければならない。 丹色:ほぉん…。なるほどなぁ。 オトギリ:はぁ、全然わかってないな。 丹色:あっちゃー。バレちまったかい。 オトギリ:当たり前だ。とにかく、ここから僕たちがする事は、たった一つだ。 丹色:なんだぁ? オトギリ:この透明な結晶を集めて作った蛍石が、黒いモノを吸収できるのならば、これで『*結晶島喰《けっしょうじまぐ》い』を吸収する事で止めることができるんだ。やらないという選択肢はない。 丹色:そんな簡単にもの言ってんじゃねぇやい。にしてもよく作れたなぁ、その蛍石とやらをよぉ。あいつが近くにいたんだろう? オトギリ:簡単だ。もっと前から研究していたからな。後はそれを仕上げるだけだったから、適当に何かを研究しているように見せかけつつ、これを作り上げたというわけだ。 丹色:ははぁ、なるほどねぇ。お前さんも悪いやつだねぇ。 オトギリ:黙れ。お前のすぐ*沸騰《ふっとう》してキレる癖をどうにかしろ。 丹色:ウルセェやい。テメェに言われたかねぇわ。切れ眼鏡。 オトギリ:やかましい。このクソ野郎が。 丹色:お口が悪いよぉで。まぁ、今回の事はこれで終わりだが…。 オトギリ:次が確実に起こるだろうな。それに*備《そな》えなくてはいけないからこそ、『蛍石』の*解析《かいせき》を急がなくてはいけない。という事でだ、丹色。 丹色:なんでい。 オトギリ:何かしてこい。 丹色:は? オトギリ:適当に何か思う事をして、透明な結晶を作ってこい。 丹色:無茶を言うもんじゃねぇや!!テメェでしてこねぇか! オトギリ:僕は研究者だ。筋肉ダルマと一緒にするな。 丹色:こんの…!あぁ言えばこう言いやがって!!あーあーやりゃあいいんだろうが、クソッタレ!! オトギリ:ぐだぐだ言ってないで、さっさとしてこい。集めろ。それで研究は進む。 丹色:テメェ、いつがぶっ飛ばしてやっからなぁ!! 0: 0:場面転換(飛行船内) 0: ダリア:今回は失敗に終わってしまったねぇ。もっと苦労してくれるかと思ったのですが…。思う様にはいかないものですね。 セイファ:寂しい。 カイファ:もっと壊したかった。 ダリア:そうですね。でも彼らと会うのは楽しみではないかな? セイファ:うん!私も会いたい!もっと遊びたい!! カイファ:私も!!もっと会って話したいなぁ。 セイファ:ねぇ、次はどんな遊びをするの? カイファ:知りたい!何するの? ダリア:秘密ですよ。 ダリア:そうしていた方が、面白いではないかね? セイファ:えーずるいよね、カイファ。 カイファ:そうだよね、セイファ。 ダリア:そう言わずに、待っているといいよ。きっと、もっともっと楽しい事が待っていますからね…。 ダリア:きっと、彼らも楽しんでくれるでしょう。ふふふ…。

セイファ:みんな、気がつかないんだね。 セイファ:この世界がおかしいってことに。 カイファ:気がつかないね。何で気がつかないんだろう。 カイファ:こんなにもはっきり分かってるのに。 セイファ:なんで分からないんだろうね。 セイファ:おかしいよね。 カイファ:うん。おかしいよ。 カイファ:だって簡単に信じちゃうんだよ。 セイファ:怖いね。 カイファ:悲しいね。 セイファ:でも…。 カイファ:もう悲しくないね。 セイファ:もう怖くもないね。 カイファ:だって、僕たちには『あの人』がいるから。 セイファ:そうだよね。分かってくれる人がいる。 カイファ:これからもっと、楽しくなるね。私。 セイファ:そうだね。私。 0: 0: 0: 0: 丹色:今日も世界はカラフルだねぇ。 オトギリ:何を分かりきったことを言ってるんだ。アホなのがさらにバレるぞ。 丹色:元々がアホって言いてぇのかい? オトギリ:読み取れなかったのか?*嘆《なげ》かわしい…。 丹色:うるっせなぁ。いちいち*皮肉《ひにく》ってくるもんじゃねぇや。 オトギリ:そんなことはどうでもいい。 丹色:どうでも良くねぇよ。にしても、俺たちの世界は全くもって不思議なもんさね。 オトギリ:なんだ、改めて言う事か? 丹色:そらそうさ。沢山ある島は虹色のカラーで分かれていてよぉ、俺たちのいる島は*橙色《だいだいいろ》、*所謂《いわゆる》オレンジ島。まぁつっても、俺たちは一つの島にいるわけじゃねぇけどなぁ。 オトギリ:当たり前だ。僕たちは島を巡って、世界は平和なのかを確認するための組織なんだからな。 丹色:ま、その組織にいるのは二人だけで、勝手に結成しただけのもんだがねい。 オトギリ:仕方ない。ここは*緩《ゆる》い人間ばかりだ。つまり、何も考えてない人間が多い。そんな中で誰かが*取締《とりしま》りをしなければ、このまま崩壊を待つしかなくなってしまうだろう。人々が気づかないうちにな。 丹色:そうさねぇ。実際、事件が起こっても何かあったなぁで終わっちまうのが現状だ。この事を問題視するやつぁ、人っこひとりいやしねぇ。 丹色:この世界では色が絶対と言うだけだ。色に染まらないやつを*排除《はいじょ》することのみに*執着《しゅうちゃく》してっかんな。 オトギリ:だからこそ誰かがしなければならない。我々は色に染まろうとしていないからこそ、人々にバレないように活動していくしかない。色に染まろうとしないと言うよりは、『色がついていない結晶』を持っている体がな。 丹色:だなぁ。色がない結晶を持っている。もしくは結晶が何故あるのかを気にしてしまった人物、つまり*異端《いたん》は即排除*《そくはいじょ》。排除ってぇよりも消すって言う方が正しいだろうながなぁ。 丹色:世界そのものからの*抹消《まっしょう》されちまうってのが現状。誰がしているのかがわかんねぇのが問題だろうがな。 オトギリ:そうだ。何故、そこに疑問を誰も抱かないのかが分からん。普通が考えてもおかしくないが、それを誰も考えずにいる。常識に受け取っているんだろう。僕はそれに疑問を持った。お前も一緒だっただろう。 丹色:そこなんだよなぁ。 オトギリ:何がだ。 丹色:なんで俺たちだけが疑問を持つようになっちまったんだろぉな。 オトギリ:さてな。それについては、俺も疑問に思っていた。だが誰にも聞く事はできんかった理由は、大人たちが話しているのを聞いてしまったからな。『*排除申請《はいじょしんせい》をするしかない』と。 丹色:そうなんかい!? オトギリ:あぁ。お前には言ってないがな。 丹色:そらぁ俺にも言うべき事だろうが! オトギリ:お前に言ったら、他の連中に聞いて回るだろ。 丹色:うぐっ! オトギリ:そんな事をすれば、僕もお前*諸共《もろとも》消されてしまう。それでは意味がなくなるからな。 丹色:…言い返す言葉もねぇけどもさぁ…。にしても、ちょっと話だけでまさか消される可能性が出てきちまうたぁなぁ。幸せの場所に見せかちゃいるが、とんでもねぇ考え方していっらしゃるもんで。これがこの世界の真実ってやつなんだろうどもな。 オトギリ:そう言う事だ。ちょっとでも、この話をすれば自分の子どもであろうとも消せる事を*躊躇《ちゅうちょ》しないというのが現状ということを忘れないことだな。 丹色:覚えとくわ。やなこったなぁ。自分の子どもまで消そおってことができちまうんだからなぁ。 オトギリ:それは分からなくもない。しかし、それが常識となっているんだ。いや、正しくは『認識にさせられている』というのが正しんだろうな。 丹色:そらぁどういうこった? オトギリ:本来なら誰かが疑問に思ってもおかしくない。なんで自分の子どもまで消さないといけないのか、と。 丹色:あ。 オトギリ:そう。罪悪感を抱く事もなく、何も考える事をせずに簡単に家族を、子どもをも差し出せてしまう。これが世界の*矛盾点《むじゅんてん》だ。 丹色:なぁるほどなぁ。こいつぁ、奥がふけぇ話だ。 オトギリ:そういうことになる。だから僕たちは、慎重に事を進めないといけない。 丹色:事ってぇのは、最近起こっちまっている『*色結晶《しきけっしょう》』を壊す事件かい? オトギリ:そうだ。この世界にある大事なものである『色結晶』。これは嬉しい事や楽しい事があると、出てくる物質。何かを買う時や装置を使う時に使用される。だがここ最近、色結晶を悪用する奴が出てきた。 丹色:知ってらぁ。俺らみてぇな奴なのかもしれねぇな。この世界の*理《ことわり》が変だってぇのに気づいちまった奴がな。 オトギリ:その可能性が大きい。だからこそ、あの結晶を使えば何かに使うことができる。まだ何に使っているかは、見当がついていない。 丹色:なぁるほど。ま、探ってくしかねぇわな。 オトギリ:つまりはそうなる。それに…。 丹色:んあ?まだなんかあるってのか? オトギリ:この事件には一人ではなく、二人絡んでいる可能性がある。 丹色:あぁ!?二人も絡んでるってぇのか!?んなの、めんどくせぇにも程があるってもんだ!! オトギリ:仕方あるまい。一人でやるには規模が大きいからな。 丹色:規模ぉ?そんなにデカかったか? オトギリ:はぁ。お前のその単純な脳みそが*羨《うらや》ましい。 丹色:んだとぉ!?テメェの方が単純だろうがよ!誰にもの言ってんだ! オトギリ:この僕が単純なわけないだろう。もしそうだったとしたら、この事件が二人で起こしている可能性に気が付かなかっただろうな。 丹色:うぐぐ…!! オトギリ:言い返せないだろう。だから僕の言っていることは合っているんだ。 いいか。この事件は『色結晶の破壊事件』だ。それは覚えているな? 丹色:あぁ、そういや言ってたねぇ。 オトギリ:…まぁ、いいだろう。色結晶の破壊はこの世界で*禁忌《きんき》とされていることだ。 丹色:確か色結晶を消しちまうと、少しづつ島の色がなくなっちまうから、やる事自体禁止とされてんだったよな? オトギリ:あぁ、これが今起こってしまっている事件だ。 丹色:これを一人ではなく、二人でやってるってぇのか? オトギリ:そうでなければ説明がつかないことがある。 丹色:なんだってんだ。 オトギリ:たった一人で破壊を行なっているのならば、規模が少量で済めば『*修正人《しゅうせいにん》』に色を戻して貰えばいい。 丹色:あぁ、島の色を筆で戻していく連中かい。 オトギリ:そうだ。小規模ならば修正人でどうにかなっただろうが、それでは追いつかないほどの規模なんだ。 丹色:そんなデカかったのか? オトギリ:一つの*色森《しきもり》が色を失ってしまって、修正人が総出で直さなければならんほどにだ。 丹色:は!?そんなにか!? オトギリ:だから大規模だと言っただろうが。こんな事を一人の人間だけでは、なし得ないだろうな。だからこそ、二人でやったと僕は考えたわけだ。もしかしたら、もっと多いかもしれん。 丹色:そこまでたぁ思ってもいなかったぜ。 オトギリ:僕たちのように気がついている人間たちの可能性が大いにある。 丹色:二人もかい。 オトギリ:あぁ。 丹色:なぁるほどなぁ…、まためんどくせぇもんに当たっちまったもんで。 オトギリ:僕も同意しよう。そこでだ。お前にはやってもらいたい事がある。 丹色:なんだぁ? オトギリ:情報収集に行ってこい。 丹色:あ!?何言ってんだ!?テメェでやりゃあいいだろうが!なんで俺がしなきゃなんねぇんでぇ! オトギリ:僕は他の形で情報収集する。お前には肉体労働が似合っているだろう。さっさと街から情報を持ってこい。それだけしか、取り柄がないんだからな。 丹色:だーくそっ!わぁったよ!やってやらぁ! オトギリ:さっさと行け。 丹色:こんのくそ*眼鏡《めがね》が! オトギリ:黙れ、筋肉脳みそ。 0: 0:家から出ていく。 0: オトギリ:さて、僕も調査をしておくか。様々な事に使えるという『*色結晶《しきけっしょう》』。これについて、知りたい事がある。さて、*藪《やぶ》をつついて何が出てくるのやら。 0: 0:場面転換(市場) 0: 丹色:ったくよぉ。あのインテリ気取りときたらよぉ…。人に命令しやがって。それにしても…*胡散《うさん》くせぇ街だねい。誰も彼もが怒りも悲しみもしねぇで笑っていやがる。おっと、いっけねぇ。ここでそれを言っちゃあ*角《かど》が立つな。 セイファ:あ、見つけた。 セイファ:お兄さん。 丹色:さぁて、何から見てきゃいいかねぇ…。 セイファ:ねぇ、お兄さんってば。 丹色:んお!?急に服を引っ張るからびびっちまったじゃねぇかい。なんだぁ?ガキじゃねぇか。どした?一人で歩いてちゃあぶねぇってもんだ。*親御《おやご》さんはどこにいんだい? セイファ:僕の『大事な人』は一人だよ。 セイファ:それよりも、お兄さんは変な人だね。 丹色:おいおい。出会い*頭《がしら》にそんなこと言われるたぁ思わなかったぜ。んで?なんでそう思ったんだい? セイファ:だって、お兄さんも世界について『知ってる』んでしょ? 丹色:…それは何を? セイファ:この世界がおかしいって。 丹色:…何を言ってるかと思いきやぁ、そんなわけねぇよ。なぁーんにもおかしくなんかねぇだろうが。 セイファ:お兄さんって…嘘つきだね。 セイファ:本当はそんな事なんて、思ってもいないて事。 丹色:あ? セイファ:知ってるよ。お兄さんともう一人のお兄さんも、この世界がおかしいって感じてるの。 丹色:…お前さん、どうしてそう思った?それだけじゃねぇ。なんで俺以外にいると思ったんでい?おらぁは一言ももう一人いるってぇこたぁは言ってねぇ。それにお前さんに会った事もねぇしな。 セイファ:だって、『あの人』が言ってた。それに二人とも調べてるんでしょ?今回の『事件』のこと。 丹色:…何? セイファ:待ってるから、見つけてね?まぁでも、見つけれるなら…ね? 丹色:お前さん、一体何を…。 セイファ:それじゃ、お兄さん。またね。 丹色:ちょ、ちょいと待たねぇか!おいおい、人が多い上に足が速いこったなぁ!!ちょいと道開けてくれねぇか!どいてくれ! 丹色:…くそ、どこだ!!…だー!!*見失《みうしな》っちまった!!人は多いわガキは速いわで、*踏《ふ》んだり*蹴《け》ったりだぜ…。あー…こりゃ怒られちまうだろうが…報告すっかねぇ…。 セイファ:あのお兄さん…。気がついてくれるかな。きっと気がついてくれるよね。『あの人』がそう言ってたもんね。きっと大丈夫だよ。 0: 0:場面転換(事務所) 0: 丹色:たでーま。 オトギリ:普通に*挨拶《あいさつ》できないのか。 丹色:んなこたぁどうでもいいような出来事が起こったんでい…。うぶっ、はぁー…やっぱし*家《うち》が一番いいねぇー…。 オトギリ:…お前がそこまで疲れているなんて*珍《めず》しいな。一体、何があった。 丹色:いやぁ、これは予測でしかねぇが…*奴《やっこ》さん達に、俺たちの事がバレてるみてぇだぞ。 オトギリ:そうか、バレて…は!?なんだと!?どういうことだ! 丹色:ちけぇわ!!チッ、耳がいてぇ…。 オトギリ:お前の耳なんぞどうでもいい!それよりも何故相手にバレているんだ。 丹色:いやぁ、情報収集の為に街に*繰《く》り出したわけだが、*相《あい》も変わらずな場所だったわけだが…そこで見た事もねぇガキにあった。 オトギリ:どんな容姿だ。 丹色:真っ白な髪を耳あたりで切り*揃《そろ》えててな。目が金色で肌は色白、年齢的には十歳くらいだな。 オトギリ:そんな子どもが、お前の正体に気がついていた…だと…? 丹色:それだけじゃねぇ。俺たちが二人だってぇのも気がついていやがった。あー…これは闇がふけぇ話になってきてっぞ。 オトギリ:…あぁ。相手にこちらの情報だけが流れているようだ。だが、一体どうやって…。 丹色:そいつぁ分からん。聞いている限りじゃあ、確実に知っているってぇ感じだったな。んあー…そうだ。もう一つ、気になる事を言ってたな。 オトギリ:なんだ。さっさと言え。*簡潔《かんけつ》に。 丹色:分かってらぁな。急かすんじゃねぇや。あのガキ、『あのお方』って言ってやがったってぇことはだ、アイツの後ろに誰かがいるってぇことだ。 オトギリ:子どもがこんな事を起こしている上に、さらに*黒幕《くろまく》がいるだと…? 丹色:そういうこった。詰まる事ながら、どんどんややこしくなってきたってぇこったな。 オトギリ:裏にいる人物、か。一体どんな人物なのかが分からんな。 丹色:そぉなんだよなぁ。あー!おらぁこんな事に悩むたちじゃなねぇんだよ! オトギリ:だろうな。知っている。にしても…どうして、こんな事を思いついたのか…理解ができん。それにこの事件を起こせるということは、僕たちと同じ考えで違和感に気がついている、ということだからな。 丹色:そうなるだろうなぁ。わけ分からんな。あ、そういやもう一つおかしい事があったな。 オトギリ:はぁ、もう一つあったのか。早く言え。 丹色:わぁってるよ。さっき、ガキの容姿について言ったろ? オトギリ:あぁ、そうだな。 丹色:思い返してみろい。この島で生きてる人間は髪の毛こそ色とりどりだが、*瞳《ひとみ》の色は必ず*橙色《だいだいいろ》をしているはずが…あのガキの目は、金色だった。 オトギリ:まさか…。 丹色:そうだ。普通は島の色と同じの瞳の色をしているはずが、だ。そうじゃねぇって事は、どの島にも属してねぇ可能性が出てきたってぇわけだ。そんでもって、そう言うやつが他にもいるってぇ事もあり得るってことだ。 オトギリ:お前にしてはよく考えたな。確かにその通りだ。 丹色:テメェは一言よけぇなんだよ! 0: 0:扉を叩く音がする 0: 丹色:あ?おい、お客さんだぜって…ん?なんで俺たちのところに、客がくんだ? オトギリ:知らん。僕は忙しいから、お前が開けろ。 丹色:はいはい。インテリはこれだからなぁ。 0: 0:扉を開ける。 0: 丹色:ほいよっと、どなたさんでい。 ダリア:あ、あの…。お兄さん、初めまして、こんにちは…。 丹色:お?また*幼《おさな》そうなお客さんだねい。どうしたってんだ。…おっと、ここじゃあ話しにくいさね。中に入んな。 ダリア:え、あ、お、お邪魔します…。 丹色:おーい。ほら、お客さんだぜ。 ダリア:えっと、お兄さんも、初めまして。こ、こんにちは…。 オトギリ:お前は何もしていないな? 丹色:何するってぇんだよ。 オトギリ:はぁ…。いい、僕が聞く。 オトギリ:君…、もう入っているが、聞かせていただきたい事があります。我々のことを知る人間なんて居ないはずですが、それを家の場所まで知っていた。貴方は、何者ですか?そして、ここをどうやって知ったのでしょうかね。 丹色:おいおいおい!話くらい聞いてやりゃいいじゃねぇか。 オトギリ:はぁ…これだから単細胞は…。いいか。なんで、こいつが僕達のいる場所がわかったのか、それだけではない。まるで、ここなら…と言わんばかりに来た。その理由を問いたい。 丹色:まぁ…確かにさっき俺も言ったなぁ。んじゃあ、がきんちょ。教えてもらっていいかい? ダリア:あ…えっと…知らない、おじさんがね。地図をくれて、ここに来たらいいって…。 ダリア:そうしたら、君の悩みは解決するよって…そう言われて…。 オトギリ:その地図とやらは持ってきているのか? ダリア:あ、はい。これ、です。 オトギリ:ふむ…。この地図は、僕たちの家を指している。嘘はついてなさそうだが、なんの話でここにきたんだ? ダリア:その、えっと…。 オトギリ:言えない理由でも? ダリア:ご、ごめんなさい…。 オトギリ:だから、言えない理由があるのかと… 丹色:(言い終わる前に被せる)おぉっと!すまねぇな、あー、えっと、名前を聞いちゃいなかったな。なんて名前だい? ダリア:あ、僕はダリア…。 丹色:そうか、ダリアってぇんだな。俺は、丹色。んで、そこの*陰険眼鏡《いんけんめがね》がオトギリってんだぁ。よろしくな。 ダリア:よろしく、お願いします。 オトギリ:お前…。 丹色:(小声)そんな怖い言い方しちまったら、話しにくかろうが。まずは話しやすい環境を作ることが大事だろうがよ。違うかい? オトギリ:はぁ…。まさかお前に*諭《さと》されるとはな。 オトギリ:君、すまなかったな。 ダリア:え、あ、だい、じょうぶ、です。 丹色:入り口近くでってもな。ささ、はいんねぇ。茶でも飲みながら、話そうじゃねぇか。ここのソファーに座りな。茶入れてくっから、オトギリに話しときな。 丹色:おいオトギリ、優しく話を聞けよ。さっきみたいな事はすんなよ。 オトギリ:わかっている。 丹色:んじゃ、待ってな。 オトギリ:はぁ。先程はすまなかった。少し神経質になっていた。 ダリア:い、いえ…。 オトギリ:ところで、君にここの事を教えたのは、一体どんな人物だったか覚えてはいないのだろうか。 ダリア:えっと、確か…身長が高くて…あれ?なんでだろう…思い出せない…。 オトギリ:ふむ…自分のことを認識させぬようにしているのか。分からないのらなら、構わない。それで、君の悩みとは何かな? ダリア:それは… 丹色:おい!茶ー持ってきだぞー!ついでに菓子も持ってきたぜぇ! オトギリ:お前な…なんでこのタイミングで来るんだ。この筋肉脳みそが!! 丹色:なんでい!!何が駄目だってぇんだ!!場を*和《なご》ませるためにした事だろうがい! オトギリ:大事な事を聞こうとしていたんだ!最悪だ!!ちょっとは来るタイミングを考えろ! 丹色:何でい!!色々言ってきたがって、ウルセェやつだな! ダリア:え、あ、ケンカは…。 オトギリ:お前は何もかもがタイミング最低男なんだ!! ダリア:話を…。 丹色:んだとぉ!? ダリア:ま、待ってください!! 丹色:んお!?なんでぇ!? ダリア:は、話を聞いて欲しくて!お願いしても、いいですか? 丹色:あー…おっとぉ、すまねぇな。そうだった、話を聞かねぇとな。俺たちの*素っ頓狂《すっとんきょう》な話をする訳にはいかねぇな。 オトギリ:お前のせいだがな。 丹色:すまねぇって。ま、話を聞かせてもらおうじゃねぇか。で、どんな話だい? ダリア:僕、森の方で動物だちと一緒にいたりしてるんですが、でも最近どんどん森が暗くなってきて、動物達と会えなくなっちゃって…それだけじゃなくて、森にも入れなくなっちゃいました…。 オトギリ:確かに、どんどん進行が早くなってきていると聞いている。 ダリア:そうなんです。直してくれてるけど、直らないんです…。どうしたらいいのか、分からなくて…。 オトギリ:なるほど、そうか。 丹色:こいつぁ、えれぇこったな。修正人にも直せねぇのか…。どれ程、消しまくってんだぁ? オトギリ:確かにそうだな。僕が確認していた事以上の出来事が起こっているな…。 ダリア:あの…どうしたらいいのでしょうか…。 ダリア:どうしても、森の子達に会いたくて。 オトギリ:とりあえず、僕はさっきしていた研究と調査をする。丹色、お前は街でもっと情報を集めてこい。全くもって情報がない。あと、修正人にも話を聞いてこい。 丹色:ったく、人使いがあれぇこって。わーったよ。もう一回街に行って見つけてくっから、待ってなぁ。 オトギリ:さっさと行け。 丹色:はいはい、んじゃ、行ってくっわ。ガキをいじめんじゃねぇぞ。 オトギリ:しないから早く行け。 丹色:ウルセェやつだなぁ。ま、行ってくらぁな。 0: 0:丹色が出ていく 0: オトギリ:…行ったか。まずは君に聞きたいことある。 ダリア:はい…。 オトギリ:ここに来るようにと言った人物とは、一体どこで会ったのか。そこは確実にしておきたい。 ダリア:えっと…。森の入り口にいた時に、急に後ろから話しかけられて…。さっきも言ったのですが…『君の悩みはここに行けば解決する』って。その時にここに来るための地図を渡されて顔を上げたら、その男の人は、消えてしまっていました…。お礼を言えないまま…。でも、その男の人よりもこの事件が解決するならって思って、ここに来たんです。 オトギリ:なるほど、理解した。では、暫くここで休んでいくといい。二階に休める場所がある。そこでゆっくりしていきなさい。 ダリア:いいんですか…?迷惑なんじゃ…。 オトギリ:構わない。早く二階に行きなさい。 ダリア:は、はい…!! 0: 0:二階へ向かって行く。 0: オトギリ:あれは、危ないな…。このままでは計画が台無しになってしまう。 0: 0:場面転換(橙灯街) 0: 丹色:ったくよぉ…。ここに来んの二回目じゃねぇかい。なんでこんな事しなきゃなんねぇんだ。にしても、だ…。さっさとこの気持ち悪りぃ所から出なきゃだな。嫌になっちまうぜ。全員笑ってやがんだからな。ゾッとすらぁな。 丹色:お?ここがあのガキが言ってた森かい。確かに、修正人が直してるみてぇだが…間に合っちゃいないねぇ。こいつぁ、やべぇ匂いがぷんぷんすらぁな。このままじゃ、『*島切《しまぎ》り』…ここの部分は島から切り取られちまうな。下の何があるか分からん闇の中に落とされんだろぉな。この世界はどうなってやがんのかねぇ。 カイファ:お兄さん。 丹色:あ、そういや、修正人に話を聞くんだったな。…って、修正人がいねぇ?一体どうなってやがんだぁ? カイファ:セイファの言う通りだ。全然話を聞いてくれないや。 カイファ:ねぇ、お兄さんってば。 丹色:あ?なんでい。…って、街で俺に話しかけてきたガキじゃねぇか!ようやっと捕まえたぜ!あの言葉は一体なんだってぇんだ! カイファ:あの言葉?何の話なの? 丹色:見つけられるかどうかって話のこたぁ!自分で言っておきながら、覚えてねぇとはどういう*謂《いわ》れでぇ! カイファ:あ、あの話なんだね。お兄さん。 カイファ:ふふ。 丹色:何笑ってやがる。 カイファ:お兄さん。見つけるの、遅かったね。 丹色:なんのこってい。早かっただろぉがよ。 カイファ:遅いよ。 カイファ:だって、わかってないんだもん。 丹色:…そりゃ、どういうこって…。 カイファ:見てくれたらわかるよ。ほら。 丹色:なんで森を指差して…あ!?な、なんでい…ありゃ…。 セイファ:ふふ、ね?遅かったでしょ?一応、お兄さんはこの世界のことを知ってる人だから教えてあげるけど、あれは『*結晶島喰い《けっしょうしまぐい》』って言ってね。結晶と島そのものを*喰《く》らう為に生み出した化け物なんだ。 カイファ:私『達』だ生み出したんじゃないけど。この黒い結晶をもらってんね、壊したらあの子が出てきたんだ。そうしたら、たくさんの結晶を食べてくれて、どんどん島が色を失っていってくれた。楽しいなぁ! 丹色:楽しくはねぇだろうがよ!! セイファ:楽しいよ、ね?カイファ。 カイファ:うん、セイファ。 丹色:いつの間に二人…!?チッ!テメェら、やっぱり二人組だっんかい。あいつの言ってた通りだったってぇわけか。 セイファ:そうだよ?私達は二人で一つ。 カイファ:うん、だからいいんだよ。 丹色:まだ十代そこそこのガキが*一丁前《いっちょまえ》なことぬかしやがって…!それよりもだなぁ…。おい!テメェ!いつまで聞いたままでいやがる!さっさとこっちにこねぇか!!オトギリ! オトギリ:うるさいぞ、丹色。全体を*把握《はあく》するのに必要だったから、出なかっただけの話だ。いちいち大きい声を出すな。 丹色:うるっせぇやい!テメェで言い出しやがったのに、こっちにばっか仕事させやがって!自分は高みの見物ってぇか!?こん*畜生《ちくしょう》が! オトギリ:さっきから耳が痛いほど*煩《うる》いぞ。 丹色:あぁん!? オトギリ:そんなことよりも、わかったことがある。なんで色結晶というものができたのかが。 丹色:なんだってぇ? オトギリ:色結晶は島によって意味が変わってくる。まずはレッド*島《じま》は『時間が経つのを早くさせる』意味を持つ。次はイエロー島は『会話と*軽快《けいかい》』の意味を持つ。グリーン島は『心の乱れ、調和、決断力を高める』意味を持つ、オレンジ島『食欲を*増進《ぞうしん》』の意味を持つ、ホワイト島『*清楚感《せいそかん》』の意味を持っている。つまり、島一つ一つが色によって意味が変わってくるんだ。 丹色:はぁ?何言ってやがる!!意味がわかんねぇ!! オトギリ:これだから単細胞は…。いいか、この島でよく考えろ。オレンジ島は食べ物の店が多いと思ないか? 丹色:あ…そういや、確かになぁ…。 オトギリ:だろうが。君もそう考えたんじゃないか?ダリアくん。 ダリア:え!?そ、そんな事…僕、分からないです…。 オトギリ:そうか。ならいい。それよりも君たちは、一体どうしてこの事件を引き起こしたんだ? セイファ:決まってること聞かないで。ね?カイファ。 カイファ:そうだよ。ね、セイファ。 セイファ:私達はね、この世界が変だなって思ってたら、両親に消されそうになったから森の中に逃げてたの。 カイファ:そうしたらね、浮いてた色結晶を触って、ぎゅってしてみたら壊れたの。 セイファ:壊れた後を見たら、森の一部が黒くなったの。 カイファ:面白くて、楽しくて。いっぱい壊して遊んでたの。 セイファ:その時、私達に黒い結晶をくれた人がいたの。 カイファ:黒い結晶をね、割ってみたら黒くて大きいのが出てきたから。 セイファ:それがどんどん結晶を食べていってくれたの。楽しいかったよね! カイファ:うん!楽しかった。 ダリア:そ、そんな理由で僕たちの森を…。 丹色:*狂《くる》ってやがらぁ…。お前らのせいで森の中のいる動物とダリアが、そこにいけなくなっちまったじゃねぇか! ダリア:そうです!!僕だって、みんなと一緒にいたかっただけなのに!君たち双子のせいで…! 丹色:本当だぜ!テメェら、なんてぇ奴らだ!! ダリア:返してください!僕たちの森を…! オトギリ:はい、そこまでだ。 丹色:おい!なんで止めるんだい!こいつらを止めねぇといけねぇだろうが! オトギリ:ダリアくん。 ダリア:な、なんですか…? 丹色:人の話くらい聞きやがれ! ダリア:お兄さん、何か知ってるんですか…? ダリア:なら、教えてください!一体何が…! オトギリ:(即遮*《さえぎ》って)今さっき来た僕たちが、この二人の事を知るはずはない。でも、君はこの二人は知っていた。 ダリア:そ、それは…。僕は皆さんが、そんな風に言っていらっしゃったので、そうかなって思って話したんですが…。 オトギリ:そんな事が分かるはずもない。顔が似ていると言うだけで、兄弟という可能性もある。違うか? ダリア:そ、そんなこと…。分かる訳ないじゃないですか。 丹色:待て待て待て!俺にゃ、意味がわっかんねぇ!!説明しやがれ! オトギリ:何度もしないといけないなんて、面倒な事この上ないが…いいだろう。そもそも、おかしいのは初めからだった。なぜ双子が丹色、お前に直接話しかけることができた? 丹色:あ…。そういやそうだぜ…。なんで俺に話しかけてきたんだぁ? オトギリ:双子の君達は、お前の特徴を言われていたんだ。そして、話しかけろと言われていた。違うか? セイファ:うん!そうだよ!よく分かったね。 カイファ:だって、教えてあげないとって言われたんだ。そうじゃないと、分からないって。 セイファ:私達がしている事を教えてあげたらいいよって!そうしたら、いいって! カイファ:お兄さんに言ってもらったから、教えてあげようと思ったんだ!ね、セイファ。 セイファ:そうだよね。カイファ。 カイファ:だって僕たちは双子。 セイファ:どんな時だって、同じ事を考える。 オトギリ:なるほど。では、ここからが問題だ。 丹色:問題だぁ?なんだってんだ。 オトギリ:いいか。こんな中でどうやったら、僕たちの居場所を情報を得られたのか。そこが一番重要な所だ。さて、ダリアくん。君はどこでこの情報を得たと言っていた? ダリア:え、それは…双子さんのように、森で…。 オトギリ:あの双子は結晶をくれた人、とした言っていなかった。でも君は背が高いと言っていたがしかし、それ以上は情報はもっていないとも。その割に『男』が紙を渡してきて、僕達のところに来たらいいと言われたと。 ダリア:はい…。 オトギリ:ここまででおかしい点が二つある。 丹色:なんだってぇんだ。さっさと要点言いやがれ。 オトギリ:今から言おうとしていた。うるさい奴だな。君は自分で言ってしまったことに気がついていないと思うがまずは一つ目。双子は知らない人としか言っていなかったが、君は背の高い人という情報を持っていた。 オトギリ:もう一つは君は誰だか分からないと言った割に、おじさんからもらったと言った事と後ろから男に渡されたとも言った。おかしいだろう?覚えてないと言ったのに、なぜか男だと断定していたんだ。 丹色:確かに…言われてみりゃあそうじゃねぇか。 オトギリ:そういうことだ。これら二つを組み合わせると、君が何故、この情報を知っていたのかを問いたださなければいけない。まず、君は一体何者だ? ダリア:僕は、この島で暮らしている…だけで…。 オトギリ:では、この矛盾点については、どう説明してくれるのか教えてくれないか?それとも…言えない理由でもあるのか? ダリア:それは…。 オトギリ:そうだな…。例えば…君が少年ではなく、その男本人であるとか。 丹色:は!?本人だとぉ!?んな訳… ダリア:ふ、ふふ…あはははは!!さすがです!そうでなければ面白くない!!いやぁ、小さくなっていればバレないと思ったのですが…だめでしたか…。こんなに頑張ったというのに!! オトギリ:黙れ。貴様のせいで、僕がしてきた島の研究を邪魔されるところだったんだ。誰かに情報を*漏《も》らすつもりはないのでね。 ダリア:先ほどのは漏らして良かったのかね?大事な事ではないのかね? オトギリ:あの情報は貴様も知っているだろうが。だから、言ってもいいと判断した。 ダリア:そこまでバレていましたかぁ!驚きました!でも、もっと知りたいことがあるのでは? オトギリ:これ以上は僕の自分で研究する。貴様の力など、必要ない。 ダリア:あらあら、フラれちゃったなぁ。にしても…もう一人は黙っちゃって、どうしての? 丹色:クソが…テメェ…許されねぇことしやがってよ!!ガキの気持ちを*弄《もてあそ》ぶんじゃねぇや!!何考えてやがる!! ダリア:いや、それは違うなぁ。これは元々彼らがしたかったんじゃないか。違うかい?君達。 セイファ:うん、したかった。 カイファ:そうだよ。したかったの。 丹色:…なんてぇ奴らだ。*揃《そろ》いも*揃《そろ》って頭おかしいんじゃねぇかよ。 セイファ:なんで?何も問題ないよね。 カイファ:だって、こんな島なんていらないでしょ? セイファ:全部をすぐ消そうとする島なんて。 カイファ:消えちゃえばいいよね。 セイファ:本当だよ。消しちゃお。 丹色:んな事していいわけねぇだろうが!!確かに意味がわからねぇ事が多いが、人が住んでんだよ!生き物がいんだよ!テメェの言ってることは狂ってる以外の何もんでもねぇってことだ!! ダリア:君達の考えこそがおかしい。こんな島達なんて、消してしまっていいんだよ。だって人を消していける世界なんて、変だと思わないのか?だからこそ、壊す。当たり前じゃないですか。 丹色:こんのクソやろぉが!!テメェの頭がおかしいってことに気がつきやがれ!! オトギリ:丹色。こんな奴らに何を言っても意味がない。 丹色:でもよぉ!こんなガキまで巻き込みやがって…! オトギリ:何度も言いますが、巻き込んでないですとも!誘ったら来てくれたんだよ。 セイファ:うん!この人大好きなんだ! カイファ:うん!だから、私達好きだよ!! 丹色:テメェら…!! ダリア:さて、君達はあそこのデカいのを、消さなくていいのかな?じゃないと、島自体が壊れてしまうよ? ダリア:私たちと話している間に、ね? オトギリ:僕は消し方を知っているから問題はない。さっさと消えろ。貴様の顔をもう見ていたくない。 ダリア:悲しいなぁ。では一つ、面白いことを教えてあげよう。 丹色:テメェの言葉なんぞ誰が…! オトギリ:聞かせてもらおう。 丹色:おい!オトギリ!! オトギリ:気持ちはわかる。しかし、聞いてやってもいいだろう。 ダリア:ははは!上から目線で結構なことだ。まぁ、いいでしょう。これは隠された島々の*伝承《でんしょう》。島の人間たちも知らないからこそ、行われている排除申請。それはこの島の下に広がっている深く黒き*海溝《かいこう》に落とす事を意味している。落ちた者は*沈《し》ずみ消えていくと言われています。ここで*鬼門《きもん》なのが、それを行なっているのは一体誰かという事です。意味は…オトギリさん、貴方ならわかりますよね? オトギリ:…つまり下に落とされているものたちは、どう*足掻《あが》いても戻れる事はなく、黒い海溝の中で消え去って行くようにしているのを誰が行なっているのかは不明。ここが難点なのだと言いたいのだな? ダリア:その通りです!やはり貴方とは気が合いそうだ。 オトギリ僕は全く気が合いそうにはないがな。 ダリア:それは残念。これ以上話していても*不毛《ふもう》でしょうし、私たちはこれで消えるとしよう。さ、二人とも行こうか。 セイファ:うん、行く。 カイファ:一緒に行くね。私達、ずっと着いてくね。 セイファ:バイバイ、またね。二人とも。 カイファ:またね。会えたらいいね。 ダリア:ここに用意してある飛行船に乗って移動しようか。 オトギリ:いつの間に飛行船を用意していた…。 丹色:*用意周到《よういしゅうとう》なこって。 ダリア:ふふふ、備えあれば憂いなし…ですから。こうして用意してかないとですよ。 ダリア:長いは無用ですね。では皆様、またお会いしましょう。 丹色:うるっせぇ!誰がテメェなんぞに会いたいか!さっさと消えちまえ! オトギリ:貴様のした事を許す気なんぞ、全くもってない。さっさと行け。 ダリア:これは手厳しい。私は悲しいですよ。でもまぁ、今はまだ、その時ではありませんからね。 セイファ:今言ったら面白くないもん。 カイファ:そうだよ。お兄さん。 ダリア:そうだね。仕方ない。さっさと消えることにしましょう。行きましょう。二人とも。 セイファ:うん! カイファ:早く!早く! 0: 0:飛行船が飛び立つ 0: オトギリ:おい、丹色。あんな奴らの事よりもこちらの方を優先するぞ。 丹色:くっそ!だー!!しゃーねーな!!んで、どうやってやるんでい! オトギリ:いいか、黒い結晶なんてものはない。 丹色:そんなこたぁわかってらぁ!! オトギリ:つまり、あれは作り出されたという事だ。そして、*封《ふう》じる方法もある。 丹色:作り出して?*封《ふう》じる…あぁー!わっかんねぇ!!どうすんでい!! オトギリ:お前は覚えてないかもしれないが、僕は研究者だ。色結晶について調べていると見つけたことがある。透明色結晶だ。この中にあいつを閉じ込めてしまえばいい。 丹色:なるほどなぁ…って、んな事言われて、簡単にできるわけねぇだろうが! オトギリ:とりあえずは、あの黒いデカいのをこちらに連れてこい。お前はそれだけでいい。さっさとしろ。 丹色:そんな事でなんとかなるってぇのか!? オトギリ:いいからさっさとしろ!! 丹色:くそ!わぁーたよ!!連れていってやっから、ちゃんとやれよ!! オトギリ:当たり前だ。誰にものを言っている。 丹色:へいへい、天才研究者様だったな!!おら!失敗すんなよぉ! オトギリ:うるさい。早くしろ。 丹色:こんのやろぉ!さっさとしてやるから待ってろや! 丹色:おい!デカブツ!!俺んとこ来い!俺の色結晶、たくさんくれてやるよ!喰らいてぇだろぉ!?喰らいてぇなら、こっち着いてきやがれってんだ!! 0: 0:結晶喰いが丹色の近くまでくる。 0: 丹色:その調子だ!こっち着いてきなぁ!!眼鏡オラァ、連れてきたぞ!テメェの出番だろぉがよぉ、オトギリ!ちゃんとやりやがんねぇ! オトギリ:誰にものを言っている。『吸収しろ。*蛍石《ほたるいし》!』 0: 0:黒い塊が吸い込まれていく。 0: 丹色:あー!つっっかれたぜぇ…。あいつら、掃除もしねぇで消えやがて…ふざけていやがらぁな。 オトギリ:それには同意だ。 丹色:にしても…なんだぁあれ。どうやったんだ? オトギリ:元々結晶はただ色があるだけではない。透明な結晶もあるんだ。よく考えろ。僕たちの中からは色のない結晶が出ていると思わないか? 丹色:あー…おぉ、そういやそうだったなぁ。 オトギリ:だろうが。これはまだ*憶測《おくそく》の段階にしか過ぎんが。結晶には結晶自身の意味があるのかもしれない。色がない状態から人の感情に合わせて色が着いていると考えられるんだ。しかし、その他にも意味があるのかも知れん。*海溝《かいこう》の事も気になる。何故島が浮いているのか。海溝を作ってまで、いらなくなった島や人を消さないといけないのか。それを誰が決めたのか。これら全てを*検証《けんしょう》しなければならない。 丹色:ほぉん…。なるほどなぁ。 オトギリ:はぁ、全然わかってないな。 丹色:あっちゃー。バレちまったかい。 オトギリ:当たり前だ。とにかく、ここから僕たちがする事は、たった一つだ。 丹色:なんだぁ? オトギリ:この透明な結晶を集めて作った蛍石が、黒いモノを吸収できるのならば、これで『*結晶島喰《けっしょうじまぐ》い』を吸収する事で止めることができるんだ。やらないという選択肢はない。 丹色:そんな簡単にもの言ってんじゃねぇやい。にしてもよく作れたなぁ、その蛍石とやらをよぉ。あいつが近くにいたんだろう? オトギリ:簡単だ。もっと前から研究していたからな。後はそれを仕上げるだけだったから、適当に何かを研究しているように見せかけつつ、これを作り上げたというわけだ。 丹色:ははぁ、なるほどねぇ。お前さんも悪いやつだねぇ。 オトギリ:黙れ。お前のすぐ*沸騰《ふっとう》してキレる癖をどうにかしろ。 丹色:ウルセェやい。テメェに言われたかねぇわ。切れ眼鏡。 オトギリ:やかましい。このクソ野郎が。 丹色:お口が悪いよぉで。まぁ、今回の事はこれで終わりだが…。 オトギリ:次が確実に起こるだろうな。それに*備《そな》えなくてはいけないからこそ、『蛍石』の*解析《かいせき》を急がなくてはいけない。という事でだ、丹色。 丹色:なんでい。 オトギリ:何かしてこい。 丹色:は? オトギリ:適当に何か思う事をして、透明な結晶を作ってこい。 丹色:無茶を言うもんじゃねぇや!!テメェでしてこねぇか! オトギリ:僕は研究者だ。筋肉ダルマと一緒にするな。 丹色:こんの…!あぁ言えばこう言いやがって!!あーあーやりゃあいいんだろうが、クソッタレ!! オトギリ:ぐだぐだ言ってないで、さっさとしてこい。集めろ。それで研究は進む。 丹色:テメェ、いつがぶっ飛ばしてやっからなぁ!! 0: 0:場面転換(飛行船内) 0: ダリア:今回は失敗に終わってしまったねぇ。もっと苦労してくれるかと思ったのですが…。思う様にはいかないものですね。 セイファ:寂しい。 カイファ:もっと壊したかった。 ダリア:そうですね。でも彼らと会うのは楽しみではないかな? セイファ:うん!私も会いたい!もっと遊びたい!! カイファ:私も!!もっと会って話したいなぁ。 セイファ:ねぇ、次はどんな遊びをするの? カイファ:知りたい!何するの? ダリア:秘密ですよ。 ダリア:そうしていた方が、面白いではないかね? セイファ:えーずるいよね、カイファ。 カイファ:そうだよね、セイファ。 ダリア:そう言わずに、待っているといいよ。きっと、もっともっと楽しい事が待っていますからね…。 ダリア:きっと、彼らも楽しんでくれるでしょう。ふふふ…。