台本概要
115 views
タイトル | Cross Recollection アグレウス |
---|---|
作者名 | 愁有 (@syu_boikone) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
Crossシリーズ外伝 アグレウスとイーリアの出会いを書いた物です 現在と過去を行き来するため前読み必須かもしれないです 115 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
アグレウス | 男 | 150 | ログルス帝国の帝王の息子 いつも優しく、イーリアには少し意地悪する時も |
イーリア | 女 | 149 | 神国フィーレムのお姫様 アグレウスのことを愛している とびきり可愛い |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
イーリア:おはようなのです
アグレウス:おはよう、イーリア
アグレウス:そんなに笑顔でどうしたんだい?
イーリア:?好きな人の寝顔を見ていたのに、顔がニマニマしない理由があるのですか?
アグレウス:…また見ていたのかい?
イーリア:またも何も、毎日二回は見てずっとニマニマしているのですよ?
アグレウス:それは初耳だ…私が寝るのを待っているのかい?
イーリア:愛しの旦那様より早く寝る妻がどこにいるのです??
アグレウス:これはまいったな。また君には勝てないようだね
イーリア:当たり前なのです
イーリア:唯一無防備なお顔が見れるのです
イーリア:そんなチャンスを見逃す訳にはいかないのです
アグレウス:そっか。なら今度は君の寝顔を見せておくれ
イーリア:そ、そそそそそそれは無理なのです…
イーリア:ものすごくフニャけた顔をしている自信があるのです
アグレウス:それは、私の隣に居て安心していてくれている証拠だ。そうだとしたら私はとても嬉しいよ
イーリア:嬉しすぎて、お顔に力が入らないのです…
アグレウス:ふふっ、とても可愛らしいよ
イーリア:な、なんで追い打ちをかけるのですか!?
アグレウス:たまには、私もいじめてみたくなるものだよ
イーリア:…卑怯なのです
アグレウス:…ん?
イーリア:そんな嬉しい言葉ばかり投げてくるのは卑怯なのです…
アグレウス:ごめんごめん
イーリア:…悪いと思っているのならギュッてしてください
アグレウス:いいよ。おいで
イーリア:むふーー
アグレウス:今日はお出かけの予定だったね
アグレウス:何処に行くんだい?
イーリア:今日は…貴方との思い出の場所に…
アグレウス:思い出の…?
アグレウス:そうか…そうだったね
イーリア:はい!十五年前、初めて貴方と出会った日なのです…
0:
0:革命終戦から十五年前
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アグレウス:……ここが神国フィーレム
アグレウス:何も無い、ただの荒廃した地…
アグレウス:こんなところに、本当に国などあるのだろうか…
イーリア:きゃっ!
イーリア:…すみませんなのです
アグレウス:こちらこそごめんね…
イーリア:いえいえ、謝る必要はないのです
イーリア:私がボヤボヤしていたのが悪いのです
アグレウス:いや、私も考え事をしていたんだ。ごめんね
イーリア:あ…ありがとうなのです
アグレウス:…ん?君…っ!?何者だ?
イーリア:またなのです…
アグレウス:また?
イーリア:私を攫ったところでなんの価値もないのですよ
アグレウス:…敵と言うことで良いのかな?
イーリア:はいなのです。ココ最近ずっと狙われているみたいなのです
アグレウス:分かった。少し待っていてくれ
イーリア:良いのですか?
アグレウス:これも何かの縁だ
アグレウス:大丈夫。私は強いから
イーリア:では、お願いするのです
アグレウス:うん…任せて
0:
イーリア:本当にお強いのですね
アグレウス:分かるのかい?
イーリア:はい。その雰囲気…相当鍛え上げてるのが分かるのです
アグレウス:雰囲気…やはり君は目が…
イーリア:…初めてなのです。私から申し上げる前に気づかれたのは
アグレウス:そうなのかい?私の手を掴む時、一瞬探すような手振りをしていたから、もしかしてと思ってね
アグレウス:悪気はないんだ。嫌な思いさせてしまったのならごめんね
イーリア:そんなことないのですよ
イーリア:とても嬉しいのです
イーリア:ところであなたは何方からいらしたのですか?
アグレウス:そっか、自己紹介がまだだったね
アグレウス:私はアグレウス・ログルス
アグレウス:訳あってログルスから来たんだ
イーリア:わざわざ帝国から…長旅お疲れ様なのです
アグレウス:ありがとう
イーリア:訳を聞いても宜しいのですか?
アグレウス:人を探しにね
イーリア:その人物は誰なのです?
アグレウス:うーん…まぁ君になら言っても大丈夫かな
アグレウス:イーリア・セルクイア。この国のお姫様だよ
イーリア:まぁ!なら目的達成ですね!!
アグレウス:?どう言う…まさか君が?
イーリア:コホン…ではこちらも自己紹介なのです
イーリア:私は神国フィーレムの姫、イーリア・セルクイアなのですよ!
イーリア:アグレウス、初めましてなのです!
アグレウス:初めましてだね、イーリア姫
アグレウス:私は何か失礼なことはしてないかい?
イーリア:大丈夫なのですよ!対等にお喋り出来て楽しいのです
アグレウス:そっか…それは良かった
イーリア:それと、イーリア姫ではなくて、イーリアと呼んで欲しいのです
アグレウス:流石に他国の姫を呼び捨てにするのは…
イーリア:良いのですよ?
アグレウス:……
イーリア:……
アグレウス:分かったよ
アグレウス:イーリア宜しくね
イーリア:はいなのです!!
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アグレウス:ここに来ると色々思い出すよ
イーリア:そうなのです
イーリア:初めて出会い…助けて貰った日
アグレウス:お姫様なのに、フラフラと城外を出歩いていた危なっかしい時のイーリアだね
イーリア:今だって変わらないのですよ
アグレウス:そうだね
イーリア:でも、変わったことがあるとしたら、アグレウスが横にいることなのです
イーリア:これでなんの心配なく出歩くことが出来るのですよ
アグレウス:神姫になった今のイーリアを狙う阿呆なんて居ないと思うけどね
イーリア:それもそうなのです
アグレウス:あの時とは変わり、この国も豊かになった
アグレウス:人の活気で溢れ、笑顔が絶えない国…
アグレウス:イーリアの努力の結晶だね
イーリア:そんなことないのですよ
イーリア:アグレウスが居なかったら、この国は荒廃したままだったのです
イーリア:とても…とても感謝しているのです
アグレウス:どういたしましてだよ、イーリア
アグレウス:それで、次は何処に行こうか?
イーリア:それももう決まっているのですよ
アグレウス:流石だね
イーリア:今日のお出掛けを提案したのは私ですので、予定はちゃんと組んできたのです!
アグレウス:偉いじゃないか
イーリア:では次は…龍神塔に行くのです!
アグレウス:あそこか……今度はとても嫌な記憶が巡って来そうだ…
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0:過去
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アグレウス:イーリア、ここは?
イーリア:私には、この地に眠る神のお告げが聞こえるのです。ガルド=ボレアス様がアグレウスに用があるようなのです
アグレウス:そっか……それにしても凄いね
アグレウス:顕現していないのに、存在感のプレッシャーだけで押しつぶされてしまいそうだ
イーリア:ここに足を踏み入れられるのは、現神王と私…そして、神に見初められた者…
イーリア:アグレウスはボレアス様に見初められた凄い人なのですよ
アグレウス:嬉しいような、嬉しくないような…
イーリア:この門を潜ると、試練が待ち受けているのです
イーリア:とても険しいと聞いたことがあるのです
イーリア:どうか無事に戻ってきて欲しいのです
アグレウス:分かった…直ぐに戻ってくるよ
イーリア:行ってらっしゃいなのです
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0:1時間後
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アグレウス:イーリア、終わったよ
イーリア:…………速すぎるのです
アグレウス:そうなのかい?
イーリア:前回、もう何十年も前にこの門を潜った者の伝承が残っているのですが…その者は1週間かかった後、何も得られず翌日には亡くなられてしまったのです
イーリア:それをたった一時間で……
アグレウス:神様が用意した試練だったからね
アグレウス:それなりに大変だったけど、私は鍛えているからね
イーリア:どの様な内容だったのですか?
アグレウス:神獣と呼ばれる敵を討伐するくらいだったかな
アグレウス:それが終わったら、ガルド=ボレアスと少し会話したくらいだね
イーリア:会話したのですか!?
アグレウス:姿は見えなかったけど、とても偉そうだったよ
アグレウス:私の嫌いなタイプだ
イーリア:す、凄いのです…私ですら直接お声を聞いたことないのですよ
アグレウス:それだけ認めてくれたってことで良いのかな?
イーリア:ハイなのです!やっぱりアグレウスは凄いのですね
イーリア:それで…どの様な会話をしたのですか?
アグレウス:大した内容でなかったが…『貴様は我の想像を凌駕した。力をくれてやろう』だったかな?
イーリア:ふふっ…そんな感じだったのですね
イーリア:でも…良かったのです
イーリア:力を認められた上に、無事に帰ってきただけで…
アグレウス:心配してくれてありがとうね。この国の神に認めて貰えたのなら、君と一緒に居られる理由にもなる
イーリア:……え?
アグレウス:城に戻ろうか…ここは少し冷える
イーリア:アグレウス!今なんて言ったのですか??
アグレウス:内緒だよ
イーリア:アグレウスが意地悪なのです!!
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0:現代
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アグレウス:この力もまだまだ使いこなせていない…もっと頑張らないとね
イーリア:今のままでも充分なのではないです?
アグレウス:いいや、まだ足りない
イーリア:そうなのですか?
アグレウス:うん。今は、よくても五十%しか力を引き出せていないからね
アグレウス:それ以上の力を引き出せるようにならないと…
イーリア:龍装を開発して暴走の危険性を抑えられただけで凄い成果だと思うのですが…
アグレウス:今のままでも、並の国家なら討ち滅ぼせるだろうね
アグレウス:だけど、神皇国のような、強者ばかりの国が攻め込んできたら勝ち目はないだろう
イーリア:それは……
アグレウス:ごめんね…心配させたい訳じゃないんだ
アグレウス:ただ、現状だと何も変えられない
アグレウス:折角君と豊かにしたこの国を、失いたくない
イーリア:アグレウス……っ!?
イーリア:……なんでこのタイミングでするのですか……
アグレウス:イーリアの落ち込んだ顔を見ると心が落ち着かないんだ
アグレウス:それに、私のこの様な行動は今に始まった訳ではないだろう?
イーリア:ズルです!ズルなのです!
イーリア:こんなの嬉しくてほっぺが落ちてしまうのです!!
アグレウス:それは良かったよ
イーリア:良くないのです!!こんな腑抜けた顔……
イーリア:それに……するのならおでこじゃなくてお口にして欲しいのです!
アグレウス:おっと…そう来たか
アグレウス:それは城に戻ってからのお楽しみかな
イーリア:意地悪!意地悪なのです!アグレウスが今日ずっと意地悪なのです!!
アグレウス:ふふふっ
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アグレウス:やぁイーリア。お忍びで遊びに来たよ
イーリア:アグレウス!来てくれたのですね!!
アグレウス:君にだけ、あの地の開発を任せるのは忍びなくてね
イーリア:嬉しいのです…早速行くのです!!
アグレウス:うん行こっか
イーリア:今日はなんの種を植えるのです?
アグレウス:今日はとっておきを持ってきたんだ
イーリア:それは…なんの種なのです?
アグレウス:それはね…咲いてみてのお楽しみだよ
イーリア:分かったのです…楽しみにしているのです!
アグレウス:それにしても随分咲いたね…来た頃とは見違えたよ
イーリア:アグレウスが力を授かってから、この国がものすごく活性化し始めたのです
イーリア:貴方のおかげなのですよ
アグレウス:そんなことは無いよ。イーリアの尽力のおかげだ
イーリア:もう…また謙遜なのです
イーリア:私はもっと自信満々のアグレウスが見たいのです!
アグレウス:…そっか。ならもっと自信を持ってみようかな
アグレウス:……っ??
イーリア:そうなのです!もっと自信を………
アグレウス:しっ!
イーリア:!?あわあわわわ!アグレウスいきなりどうしたのですか!?きゅ、急に抱き寄せて……
アグレウス:イーリア静かに……
イーリア:…へ?なのです…
アグレウス:何者だお前たち
イーリア:て、敵なのですか!?
アグレウス:そうみたいだね…止まりなさい
アグレウス:それ以上こちらに踏み込むようなら容赦しない
アグレウス:……?意思疎通が測れないのか?
アグレウス:ならば仕方ない……ふっ!!
イーリア:流石アグレウスなのです!
アグレウス:……?これは…帝国の死霊兵か?
アグレウス:まさか!?
アグレウス:イーリア今すぐここから離れなさい
イーリア:何故なのです!?
アグレウス:こいつらは死霊兵と呼ばれるものだ
アグレウス:数が多い上に、術者を仕留めない限り無限に立ち上がってくる
イーリア:そんな……
アグレウス:…父上め余計なことを
イーリア:あっ……お花達が……
アグレウス:っ!?
アグレウス:……………貴様ら、よくもイーリアが大切にしている物を…
アグレウス:許さんぞ
イーリア:アグレウス……?
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アグレウス:魔殿に坐する龍神よ
アグレウス:在、暗庭の門を開き
アグレウス:龍紋刻みし災禍の封を解く
アグレウス:我、空染める者成り
アグレウス:《龍成ドラグサクセス》
0:
アグレウス:うぉおおおおおおおおお!!
イーリア:これが神から授かりし力…なのです?
イーリア:でもこれは……
アグレウス:があぁあ!!
イーリア:……?アグレウス??
アグレウス:…フラグマブラスト
イーリア:もしかして力に呑まれて……
イーリア:アグレウスしっかりするのです!!
イーリア:そのまま力に呑まれてはダメなのです!!
アグレウス:ウガァア!!
イーリア:きゃっ!?
イーリア:このままではアグレウスの身がもたないのです……
イーリア:何とか私が鎮めないと……
アグレウス:(なんだこれは……私の意思で身体が動かせない)
アグレウス:(これは神の怒り……?まずい、力に呑まれてしまう……)
アグレウス:(イーリア!?何をしている!)
アグレウス:(辞めろ!止まれ私の身体!!)
アグレウス:(止まれぇぇえええええ!!!)
イーリア:はぁはぁ……早く戻ってくるのです
イーリア:私の……大好きなアグレウス…
アグレウス:ぐっ……はぁはぁ………
アグレウス:止まった……イーリア!しっかりするんだ
イーリア:大丈夫…なのですよ
イーリア:貴方に怪我がなくて良かったのです……
アグレウス:イーリア!イーリア!!
アグレウス:くそ……私が弱いばかりに…
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イーリア:あの後、アグレウスからの手紙が途絶えて、私凄いショックだったのですからね
アグレウス:ごめんよ…あの時はもう、君に会わない方が良いと思ってしまってね
イーリア:酷いのです!あんなに手紙送ったのに…
アグレウス:凄かったよ。あんな目にあったのに、手紙の内容は私を励ますことばかり
イーリア:でも、急に来たのです
アグレウス:あれはね…内緒って言われてたけどもう時効かな
イーリア:……?
アグレウス:君の父上から手紙が届いてね
アグレウス:『イーリアに元気がない。君の仕業だね?至急イーリアを元気にしないとログルスを滅ぼすぞ』って
イーリア:まぁ!そんなことがあったのですね
アグレウス:ログルスが滅ぼうがどうでも良かったんだけど…君の落ち込んだ顔が脳裏に過ぎってね
アグレウス:いても立っても居られなくなってしまったんだ
イーリア:結果オーライなのです!
イーリア:でも、思い出したら少し悲しくなってきました…
アグレウス:おやおや……
イーリア:なので私を抱きしめてください!
アグレウス:いいよ。こちらにおいで
イーリア:むふーー!
アグレウス:今日は何時もより甘えん坊さんだね
イーリア:…言うのはダメなのです
イーリア:いいじゃないですか!
イーリア:久々にアグレウスとお出かけ出来ているのですから!
アグレウス:デート…とは言わないのかい?
イーリア:ぐぅ…やっぱり意地悪なのです!
アグレウス:ふふっ、ごめんね…
イーリア:またおでこにしたのです!お口にするのです!!
アグレウス:それは…お部屋に帰ってからのお楽しみだよ
イーリア:……じゃあ我慢するのです
アグレウス:それじゃあ次の目的地に行こうか
アグレウス:次は何処にいくんだい?
イーリア:次はお洋服屋さんに行くのです!
アグレウス:うっ……それはまた嫌な記憶だね
イーリア:仕方ないのです!貴方の私服がカッコよくないのが悪いのですから!
0:
0:過去
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アグレウス:イーリア、またお忍びで来たよ
イーリア:……アグレウスなのですか?
アグレウス:前回は王服で来て付かれて来てしまったからね
アグレウス:バレないように私服で来たんだ
アグレウス:何かおかしいかい?
イーリア:…………だ
アグレウス:だ?
イーリア:ダサすぎるのです!
アグレウス:嘘…だ
イーリア:目が見えなくても分かるのです!
イーリア:アグレウスの端正で美しい顔と身体からあまりにも乖離したデザインのシャツ
イーリア:細くて長い足を短く見せるゆるゆるのズボン
イーリア:龍が薔薇の花を踏んで痛がってるくらいミスマッチなのです
イーリア:そもそもなんで龍が描かれたシャツを着ているのですか!
イーリア:そんな柄のシャツ、今時の子どもでも着ないのです!
アグレウス:そ、そんなにかい?
イーリア:ありえないのです!今からお洋服を買いに行くのです!
アグレウス:わ、分かったよ…
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イーリア:これも良いのです!ああこれもとても良く似合うのです!
アグレウス:イーリア……これでもう十着目だよ?
イーリア:まだです!これでは全然足りないのです!
アグレウス:えぇ……
イーリア:ご店主様!もっと奥を見せて欲しいのです!
アグレウス:い、イーリア…やりすぎではないかい?
イーリア:むむっ……確かにやりすぎなのかもしれないのです
イーリア:…では、この布とこの布をくださいなのです!
アグレウス:布を買ってどうするんだい?
イーリア:それは、アグレウスが次きた時のお楽しみなのです
アグレウス:そっか……じゃあ楽しみにしていようかな
イーリア:はいなのです!
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0:現代
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イーリア:あれから随分経つのに、アグレウスのセンスは何一つ変わらないのです
アグレウス:あまり洋服に興味を持てないからね
アグレウス:動き安ければ何でもいいんだ
イーリア:良くないのです。こんなにかっこいい旦那様が、変な格好しているのは許せないのです
アグレウス:それはごめんね
アグレウス:でも、イーリアが作ってくれたこの洋服はとても大好きだ
アグレウス:これからも頼むよ
イーリア:任せろなのです!
アグレウス:それで、今日はこれでお終いかな?
イーリア:ちょっと待って欲しいのです!
アグレウス:ん?
イーリア:ご店主様頼んでいた物出来てますか?
イーリア:……やった!ありがとうなのです
アグレウス:それは?
イーリア:最近忙しくて、お洋服を作る時間がなかったのです
イーリア:だから、オーダーメイドしていたのです!
イーリア:これはアグレウスに…
アグレウス:これは…綺麗だ
アグレウス:それに私の好きな花の刺繍まで
イーリア:貴方に教えて貰ったこの花の意味、永遠に忘れないのです
イーリア:だから最後に、あの最愛の地に行きたいのです
アグレウス:あそこか……私にとっても最愛の場所
アグレウス:そして……
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イーリア:前回は敵が攻め込んでこれるような場所に植えてしまった教訓を活かして、場所を動かしたのです!
アグレウス:それは名案だね
イーリア:そして、前回は焼け野原になってしまって、花が全てなくなってしまったのですが
イーリア:何とか元通りにしてみたのです!
イーリア:そしたらこんなに綺麗になったのです!!
アグレウス:これは……イーリアに似ていてとても綺麗だ………見とれてしまうね
イーリア:……………………へ?
アグレウス:おや、ごめんね
アグレウス:急にビックリしたよね
アグレウス:それでも言えずにはいられない……
イーリア:そ、そういえば…もう、長い年月が経つと言うのに、アグレウスがこの国に来た理由をちゃんと聞いていないのです
イーリア:私を探していたと言っていた記憶があるのですが…
アグレウス:あぁ…あれだね
アグレウス:最初はね、父上の命令で来たんだ
アグレウス:君を攫う、または人質にでもして、ガルド=ボレアスの力を無理やりにでも味方にしろってね
イーリア:とても酷い父上様なのですね……
アグレウス:あぁ……私も嫌いだ
アグレウス:母も他界し、唯一の弟も何処かに行ってしまった
アグレウス:だから、とても乗り気じゃなかったんだ
イーリア:そうだったのですね……
アグレウス:だが、君と出会ってそんなもの何処かに行ってしまったよ
アグレウス:一目見て、惚れてしまった
イーリア:…………
アグレウス:それから、お忍びで来るようになって、君を誰の物にもしたくないと醜い感情が芽生えてしまってね
アグレウス:だから、来れる時はなるべく来るようにしていたんだ
イーリア:……私が貴方以外の女になる様なお人に見えるのですか……?
アグレウス:……え?
イーリア:私も同じなのです
イーリア:目が見えないことを瞬時に見抜き、ずっと対等で変わらず接してくれるのです
イーリア:…………好きにならない方がおかしいのです
アグレウス:イーリア……
イーリア:私はアグレウスの事が……
アグレウス:イーリア…少し待ってくれ
イーリア:……何故なのです?
アグレウス:その言葉は男の私から言わせてて欲しい
アグレウス:私はね……君の前では格好つけたいんだ
イーリア:……バカ
アグレウス:イーリア…生涯を懸けて君を幸せにすると誓う
アグレウス:だから、この花を受取ってくれないか?
イーリア:キレイなのです…このお花は?
アグレウス:『キキョウ』私がこの世で最も好きな花
アグレウス:偶々道に咲いていて思わず……
イーリア:いいえ……とっても嬉しいのです!
イーリア:ありがとうございます。アグレウス
イーリア:永遠に大切にするのです
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0:現在
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イーリア:『キキョウ』
イーリア:花言葉は変わらぬ愛……そして…
アグレウス:君の元へと必ず帰郷(帰る)
アグレウス:ちょっとした言葉遊びだね
イーリア:とっても嬉しいのです…
イーリア:私は今、世界で一番の幸せ者なのです
アグレウス:おや?それは聞き捨てならないね
アグレウス:世界で一番幸せなのは、君と言う宝ものと一緒に過ごしている私の方だよ
イーリア:では……同率一位なのですね
アグレウス:ふふっそうだね
イーリア:それでは、思い出巡りもできたことですし……帰るのです
アグレウス:そうだね…また遊びに来よう
イーリア:ハイなのです!!
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0:夜
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アグレウス:イーリア…もう寝る時間だよ
イーリア:むむむっ……まだ約束を叶えてもらってないのです
アグレウス:約束……?
イーリア:お口にキスをしてもらってないのです!!
アグレウス:あぁ……覚えていたのかい
イーリア:当たり前なのです!!
イーリア:あんなに嬉しいこと忘れるわけ……
アグレウス:……これで良いかな?
イーリア:喋ってる時にするのが一番ずるなのです!!
アグレウス:可愛くてつい……ね
イーリア:あともう一回あるのです
アグレウス:もう一回?
イーリア:今日お外で二回されたのです
イーリア:あと一回残ってるのです!
アグレウス:そうだったね……
イーリア:きゃっ……アグ、アグレウス?
アグレウス:たまにはこう言うのもありかな…
イーリア:か、カッコよすぎて見れないのです
アグレウス:ほら、こっち見て
イーリア:意地悪…っ!?
アグレウス:おやすみイーリア
イーリア:おやすみ……なので…す
イーリア:って!私の寝顔を見ようとして、安心させて寝落ちさせる作戦には乗らないのですよ!
アグレウス:ちっ……バレたか
イーリア:おはようなのです
アグレウス:おはよう、イーリア
アグレウス:そんなに笑顔でどうしたんだい?
イーリア:?好きな人の寝顔を見ていたのに、顔がニマニマしない理由があるのですか?
アグレウス:…また見ていたのかい?
イーリア:またも何も、毎日二回は見てずっとニマニマしているのですよ?
アグレウス:それは初耳だ…私が寝るのを待っているのかい?
イーリア:愛しの旦那様より早く寝る妻がどこにいるのです??
アグレウス:これはまいったな。また君には勝てないようだね
イーリア:当たり前なのです
イーリア:唯一無防備なお顔が見れるのです
イーリア:そんなチャンスを見逃す訳にはいかないのです
アグレウス:そっか。なら今度は君の寝顔を見せておくれ
イーリア:そ、そそそそそそれは無理なのです…
イーリア:ものすごくフニャけた顔をしている自信があるのです
アグレウス:それは、私の隣に居て安心していてくれている証拠だ。そうだとしたら私はとても嬉しいよ
イーリア:嬉しすぎて、お顔に力が入らないのです…
アグレウス:ふふっ、とても可愛らしいよ
イーリア:な、なんで追い打ちをかけるのですか!?
アグレウス:たまには、私もいじめてみたくなるものだよ
イーリア:…卑怯なのです
アグレウス:…ん?
イーリア:そんな嬉しい言葉ばかり投げてくるのは卑怯なのです…
アグレウス:ごめんごめん
イーリア:…悪いと思っているのならギュッてしてください
アグレウス:いいよ。おいで
イーリア:むふーー
アグレウス:今日はお出かけの予定だったね
アグレウス:何処に行くんだい?
イーリア:今日は…貴方との思い出の場所に…
アグレウス:思い出の…?
アグレウス:そうか…そうだったね
イーリア:はい!十五年前、初めて貴方と出会った日なのです…
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0:革命終戦から十五年前
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アグレウス:……ここが神国フィーレム
アグレウス:何も無い、ただの荒廃した地…
アグレウス:こんなところに、本当に国などあるのだろうか…
イーリア:きゃっ!
イーリア:…すみませんなのです
アグレウス:こちらこそごめんね…
イーリア:いえいえ、謝る必要はないのです
イーリア:私がボヤボヤしていたのが悪いのです
アグレウス:いや、私も考え事をしていたんだ。ごめんね
イーリア:あ…ありがとうなのです
アグレウス:…ん?君…っ!?何者だ?
イーリア:またなのです…
アグレウス:また?
イーリア:私を攫ったところでなんの価値もないのですよ
アグレウス:…敵と言うことで良いのかな?
イーリア:はいなのです。ココ最近ずっと狙われているみたいなのです
アグレウス:分かった。少し待っていてくれ
イーリア:良いのですか?
アグレウス:これも何かの縁だ
アグレウス:大丈夫。私は強いから
イーリア:では、お願いするのです
アグレウス:うん…任せて
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イーリア:本当にお強いのですね
アグレウス:分かるのかい?
イーリア:はい。その雰囲気…相当鍛え上げてるのが分かるのです
アグレウス:雰囲気…やはり君は目が…
イーリア:…初めてなのです。私から申し上げる前に気づかれたのは
アグレウス:そうなのかい?私の手を掴む時、一瞬探すような手振りをしていたから、もしかしてと思ってね
アグレウス:悪気はないんだ。嫌な思いさせてしまったのならごめんね
イーリア:そんなことないのですよ
イーリア:とても嬉しいのです
イーリア:ところであなたは何方からいらしたのですか?
アグレウス:そっか、自己紹介がまだだったね
アグレウス:私はアグレウス・ログルス
アグレウス:訳あってログルスから来たんだ
イーリア:わざわざ帝国から…長旅お疲れ様なのです
アグレウス:ありがとう
イーリア:訳を聞いても宜しいのですか?
アグレウス:人を探しにね
イーリア:その人物は誰なのです?
アグレウス:うーん…まぁ君になら言っても大丈夫かな
アグレウス:イーリア・セルクイア。この国のお姫様だよ
イーリア:まぁ!なら目的達成ですね!!
アグレウス:?どう言う…まさか君が?
イーリア:コホン…ではこちらも自己紹介なのです
イーリア:私は神国フィーレムの姫、イーリア・セルクイアなのですよ!
イーリア:アグレウス、初めましてなのです!
アグレウス:初めましてだね、イーリア姫
アグレウス:私は何か失礼なことはしてないかい?
イーリア:大丈夫なのですよ!対等にお喋り出来て楽しいのです
アグレウス:そっか…それは良かった
イーリア:それと、イーリア姫ではなくて、イーリアと呼んで欲しいのです
アグレウス:流石に他国の姫を呼び捨てにするのは…
イーリア:良いのですよ?
アグレウス:……
イーリア:……
アグレウス:分かったよ
アグレウス:イーリア宜しくね
イーリア:はいなのです!!
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アグレウス:ここに来ると色々思い出すよ
イーリア:そうなのです
イーリア:初めて出会い…助けて貰った日
アグレウス:お姫様なのに、フラフラと城外を出歩いていた危なっかしい時のイーリアだね
イーリア:今だって変わらないのですよ
アグレウス:そうだね
イーリア:でも、変わったことがあるとしたら、アグレウスが横にいることなのです
イーリア:これでなんの心配なく出歩くことが出来るのですよ
アグレウス:神姫になった今のイーリアを狙う阿呆なんて居ないと思うけどね
イーリア:それもそうなのです
アグレウス:あの時とは変わり、この国も豊かになった
アグレウス:人の活気で溢れ、笑顔が絶えない国…
アグレウス:イーリアの努力の結晶だね
イーリア:そんなことないのですよ
イーリア:アグレウスが居なかったら、この国は荒廃したままだったのです
イーリア:とても…とても感謝しているのです
アグレウス:どういたしましてだよ、イーリア
アグレウス:それで、次は何処に行こうか?
イーリア:それももう決まっているのですよ
アグレウス:流石だね
イーリア:今日のお出掛けを提案したのは私ですので、予定はちゃんと組んできたのです!
アグレウス:偉いじゃないか
イーリア:では次は…龍神塔に行くのです!
アグレウス:あそこか……今度はとても嫌な記憶が巡って来そうだ…
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アグレウス:イーリア、ここは?
イーリア:私には、この地に眠る神のお告げが聞こえるのです。ガルド=ボレアス様がアグレウスに用があるようなのです
アグレウス:そっか……それにしても凄いね
アグレウス:顕現していないのに、存在感のプレッシャーだけで押しつぶされてしまいそうだ
イーリア:ここに足を踏み入れられるのは、現神王と私…そして、神に見初められた者…
イーリア:アグレウスはボレアス様に見初められた凄い人なのですよ
アグレウス:嬉しいような、嬉しくないような…
イーリア:この門を潜ると、試練が待ち受けているのです
イーリア:とても険しいと聞いたことがあるのです
イーリア:どうか無事に戻ってきて欲しいのです
アグレウス:分かった…直ぐに戻ってくるよ
イーリア:行ってらっしゃいなのです
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アグレウス:イーリア、終わったよ
イーリア:…………速すぎるのです
アグレウス:そうなのかい?
イーリア:前回、もう何十年も前にこの門を潜った者の伝承が残っているのですが…その者は1週間かかった後、何も得られず翌日には亡くなられてしまったのです
イーリア:それをたった一時間で……
アグレウス:神様が用意した試練だったからね
アグレウス:それなりに大変だったけど、私は鍛えているからね
イーリア:どの様な内容だったのですか?
アグレウス:神獣と呼ばれる敵を討伐するくらいだったかな
アグレウス:それが終わったら、ガルド=ボレアスと少し会話したくらいだね
イーリア:会話したのですか!?
アグレウス:姿は見えなかったけど、とても偉そうだったよ
アグレウス:私の嫌いなタイプだ
イーリア:す、凄いのです…私ですら直接お声を聞いたことないのですよ
アグレウス:それだけ認めてくれたってことで良いのかな?
イーリア:ハイなのです!やっぱりアグレウスは凄いのですね
イーリア:それで…どの様な会話をしたのですか?
アグレウス:大した内容でなかったが…『貴様は我の想像を凌駕した。力をくれてやろう』だったかな?
イーリア:ふふっ…そんな感じだったのですね
イーリア:でも…良かったのです
イーリア:力を認められた上に、無事に帰ってきただけで…
アグレウス:心配してくれてありがとうね。この国の神に認めて貰えたのなら、君と一緒に居られる理由にもなる
イーリア:……え?
アグレウス:城に戻ろうか…ここは少し冷える
イーリア:アグレウス!今なんて言ったのですか??
アグレウス:内緒だよ
イーリア:アグレウスが意地悪なのです!!
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アグレウス:この力もまだまだ使いこなせていない…もっと頑張らないとね
イーリア:今のままでも充分なのではないです?
アグレウス:いいや、まだ足りない
イーリア:そうなのですか?
アグレウス:うん。今は、よくても五十%しか力を引き出せていないからね
アグレウス:それ以上の力を引き出せるようにならないと…
イーリア:龍装を開発して暴走の危険性を抑えられただけで凄い成果だと思うのですが…
アグレウス:今のままでも、並の国家なら討ち滅ぼせるだろうね
アグレウス:だけど、神皇国のような、強者ばかりの国が攻め込んできたら勝ち目はないだろう
イーリア:それは……
アグレウス:ごめんね…心配させたい訳じゃないんだ
アグレウス:ただ、現状だと何も変えられない
アグレウス:折角君と豊かにしたこの国を、失いたくない
イーリア:アグレウス……っ!?
イーリア:……なんでこのタイミングでするのですか……
アグレウス:イーリアの落ち込んだ顔を見ると心が落ち着かないんだ
アグレウス:それに、私のこの様な行動は今に始まった訳ではないだろう?
イーリア:ズルです!ズルなのです!
イーリア:こんなの嬉しくてほっぺが落ちてしまうのです!!
アグレウス:それは良かったよ
イーリア:良くないのです!!こんな腑抜けた顔……
イーリア:それに……するのならおでこじゃなくてお口にして欲しいのです!
アグレウス:おっと…そう来たか
アグレウス:それは城に戻ってからのお楽しみかな
イーリア:意地悪!意地悪なのです!アグレウスが今日ずっと意地悪なのです!!
アグレウス:ふふふっ
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アグレウス:やぁイーリア。お忍びで遊びに来たよ
イーリア:アグレウス!来てくれたのですね!!
アグレウス:君にだけ、あの地の開発を任せるのは忍びなくてね
イーリア:嬉しいのです…早速行くのです!!
アグレウス:うん行こっか
イーリア:今日はなんの種を植えるのです?
アグレウス:今日はとっておきを持ってきたんだ
イーリア:それは…なんの種なのです?
アグレウス:それはね…咲いてみてのお楽しみだよ
イーリア:分かったのです…楽しみにしているのです!
アグレウス:それにしても随分咲いたね…来た頃とは見違えたよ
イーリア:アグレウスが力を授かってから、この国がものすごく活性化し始めたのです
イーリア:貴方のおかげなのですよ
アグレウス:そんなことは無いよ。イーリアの尽力のおかげだ
イーリア:もう…また謙遜なのです
イーリア:私はもっと自信満々のアグレウスが見たいのです!
アグレウス:…そっか。ならもっと自信を持ってみようかな
アグレウス:……っ??
イーリア:そうなのです!もっと自信を………
アグレウス:しっ!
イーリア:!?あわあわわわ!アグレウスいきなりどうしたのですか!?きゅ、急に抱き寄せて……
アグレウス:イーリア静かに……
イーリア:…へ?なのです…
アグレウス:何者だお前たち
イーリア:て、敵なのですか!?
アグレウス:そうみたいだね…止まりなさい
アグレウス:それ以上こちらに踏み込むようなら容赦しない
アグレウス:……?意思疎通が測れないのか?
アグレウス:ならば仕方ない……ふっ!!
イーリア:流石アグレウスなのです!
アグレウス:……?これは…帝国の死霊兵か?
アグレウス:まさか!?
アグレウス:イーリア今すぐここから離れなさい
イーリア:何故なのです!?
アグレウス:こいつらは死霊兵と呼ばれるものだ
アグレウス:数が多い上に、術者を仕留めない限り無限に立ち上がってくる
イーリア:そんな……
アグレウス:…父上め余計なことを
イーリア:あっ……お花達が……
アグレウス:っ!?
アグレウス:……………貴様ら、よくもイーリアが大切にしている物を…
アグレウス:許さんぞ
イーリア:アグレウス……?
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アグレウス:魔殿に坐する龍神よ
アグレウス:在、暗庭の門を開き
アグレウス:龍紋刻みし災禍の封を解く
アグレウス:我、空染める者成り
アグレウス:《龍成ドラグサクセス》
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アグレウス:うぉおおおおおおおおお!!
イーリア:これが神から授かりし力…なのです?
イーリア:でもこれは……
アグレウス:があぁあ!!
イーリア:……?アグレウス??
アグレウス:…フラグマブラスト
イーリア:もしかして力に呑まれて……
イーリア:アグレウスしっかりするのです!!
イーリア:そのまま力に呑まれてはダメなのです!!
アグレウス:ウガァア!!
イーリア:きゃっ!?
イーリア:このままではアグレウスの身がもたないのです……
イーリア:何とか私が鎮めないと……
アグレウス:(なんだこれは……私の意思で身体が動かせない)
アグレウス:(これは神の怒り……?まずい、力に呑まれてしまう……)
アグレウス:(イーリア!?何をしている!)
アグレウス:(辞めろ!止まれ私の身体!!)
アグレウス:(止まれぇぇえええええ!!!)
イーリア:はぁはぁ……早く戻ってくるのです
イーリア:私の……大好きなアグレウス…
アグレウス:ぐっ……はぁはぁ………
アグレウス:止まった……イーリア!しっかりするんだ
イーリア:大丈夫…なのですよ
イーリア:貴方に怪我がなくて良かったのです……
アグレウス:イーリア!イーリア!!
アグレウス:くそ……私が弱いばかりに…
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イーリア:あの後、アグレウスからの手紙が途絶えて、私凄いショックだったのですからね
アグレウス:ごめんよ…あの時はもう、君に会わない方が良いと思ってしまってね
イーリア:酷いのです!あんなに手紙送ったのに…
アグレウス:凄かったよ。あんな目にあったのに、手紙の内容は私を励ますことばかり
イーリア:でも、急に来たのです
アグレウス:あれはね…内緒って言われてたけどもう時効かな
イーリア:……?
アグレウス:君の父上から手紙が届いてね
アグレウス:『イーリアに元気がない。君の仕業だね?至急イーリアを元気にしないとログルスを滅ぼすぞ』って
イーリア:まぁ!そんなことがあったのですね
アグレウス:ログルスが滅ぼうがどうでも良かったんだけど…君の落ち込んだ顔が脳裏に過ぎってね
アグレウス:いても立っても居られなくなってしまったんだ
イーリア:結果オーライなのです!
イーリア:でも、思い出したら少し悲しくなってきました…
アグレウス:おやおや……
イーリア:なので私を抱きしめてください!
アグレウス:いいよ。こちらにおいで
イーリア:むふーー!
アグレウス:今日は何時もより甘えん坊さんだね
イーリア:…言うのはダメなのです
イーリア:いいじゃないですか!
イーリア:久々にアグレウスとお出かけ出来ているのですから!
アグレウス:デート…とは言わないのかい?
イーリア:ぐぅ…やっぱり意地悪なのです!
アグレウス:ふふっ、ごめんね…
イーリア:またおでこにしたのです!お口にするのです!!
アグレウス:それは…お部屋に帰ってからのお楽しみだよ
イーリア:……じゃあ我慢するのです
アグレウス:それじゃあ次の目的地に行こうか
アグレウス:次は何処にいくんだい?
イーリア:次はお洋服屋さんに行くのです!
アグレウス:うっ……それはまた嫌な記憶だね
イーリア:仕方ないのです!貴方の私服がカッコよくないのが悪いのですから!
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アグレウス:イーリア、またお忍びで来たよ
イーリア:……アグレウスなのですか?
アグレウス:前回は王服で来て付かれて来てしまったからね
アグレウス:バレないように私服で来たんだ
アグレウス:何かおかしいかい?
イーリア:…………だ
アグレウス:だ?
イーリア:ダサすぎるのです!
アグレウス:嘘…だ
イーリア:目が見えなくても分かるのです!
イーリア:アグレウスの端正で美しい顔と身体からあまりにも乖離したデザインのシャツ
イーリア:細くて長い足を短く見せるゆるゆるのズボン
イーリア:龍が薔薇の花を踏んで痛がってるくらいミスマッチなのです
イーリア:そもそもなんで龍が描かれたシャツを着ているのですか!
イーリア:そんな柄のシャツ、今時の子どもでも着ないのです!
アグレウス:そ、そんなにかい?
イーリア:ありえないのです!今からお洋服を買いに行くのです!
アグレウス:わ、分かったよ…
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イーリア:これも良いのです!ああこれもとても良く似合うのです!
アグレウス:イーリア……これでもう十着目だよ?
イーリア:まだです!これでは全然足りないのです!
アグレウス:えぇ……
イーリア:ご店主様!もっと奥を見せて欲しいのです!
アグレウス:い、イーリア…やりすぎではないかい?
イーリア:むむっ……確かにやりすぎなのかもしれないのです
イーリア:…では、この布とこの布をくださいなのです!
アグレウス:布を買ってどうするんだい?
イーリア:それは、アグレウスが次きた時のお楽しみなのです
アグレウス:そっか……じゃあ楽しみにしていようかな
イーリア:はいなのです!
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イーリア:あれから随分経つのに、アグレウスのセンスは何一つ変わらないのです
アグレウス:あまり洋服に興味を持てないからね
アグレウス:動き安ければ何でもいいんだ
イーリア:良くないのです。こんなにかっこいい旦那様が、変な格好しているのは許せないのです
アグレウス:それはごめんね
アグレウス:でも、イーリアが作ってくれたこの洋服はとても大好きだ
アグレウス:これからも頼むよ
イーリア:任せろなのです!
アグレウス:それで、今日はこれでお終いかな?
イーリア:ちょっと待って欲しいのです!
アグレウス:ん?
イーリア:ご店主様頼んでいた物出来てますか?
イーリア:……やった!ありがとうなのです
アグレウス:それは?
イーリア:最近忙しくて、お洋服を作る時間がなかったのです
イーリア:だから、オーダーメイドしていたのです!
イーリア:これはアグレウスに…
アグレウス:これは…綺麗だ
アグレウス:それに私の好きな花の刺繍まで
イーリア:貴方に教えて貰ったこの花の意味、永遠に忘れないのです
イーリア:だから最後に、あの最愛の地に行きたいのです
アグレウス:あそこか……私にとっても最愛の場所
アグレウス:そして……
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イーリア:前回は敵が攻め込んでこれるような場所に植えてしまった教訓を活かして、場所を動かしたのです!
アグレウス:それは名案だね
イーリア:そして、前回は焼け野原になってしまって、花が全てなくなってしまったのですが
イーリア:何とか元通りにしてみたのです!
イーリア:そしたらこんなに綺麗になったのです!!
アグレウス:これは……イーリアに似ていてとても綺麗だ………見とれてしまうね
イーリア:……………………へ?
アグレウス:おや、ごめんね
アグレウス:急にビックリしたよね
アグレウス:それでも言えずにはいられない……
イーリア:そ、そういえば…もう、長い年月が経つと言うのに、アグレウスがこの国に来た理由をちゃんと聞いていないのです
イーリア:私を探していたと言っていた記憶があるのですが…
アグレウス:あぁ…あれだね
アグレウス:最初はね、父上の命令で来たんだ
アグレウス:君を攫う、または人質にでもして、ガルド=ボレアスの力を無理やりにでも味方にしろってね
イーリア:とても酷い父上様なのですね……
アグレウス:あぁ……私も嫌いだ
アグレウス:母も他界し、唯一の弟も何処かに行ってしまった
アグレウス:だから、とても乗り気じゃなかったんだ
イーリア:そうだったのですね……
アグレウス:だが、君と出会ってそんなもの何処かに行ってしまったよ
アグレウス:一目見て、惚れてしまった
イーリア:…………
アグレウス:それから、お忍びで来るようになって、君を誰の物にもしたくないと醜い感情が芽生えてしまってね
アグレウス:だから、来れる時はなるべく来るようにしていたんだ
イーリア:……私が貴方以外の女になる様なお人に見えるのですか……?
アグレウス:……え?
イーリア:私も同じなのです
イーリア:目が見えないことを瞬時に見抜き、ずっと対等で変わらず接してくれるのです
イーリア:…………好きにならない方がおかしいのです
アグレウス:イーリア……
イーリア:私はアグレウスの事が……
アグレウス:イーリア…少し待ってくれ
イーリア:……何故なのです?
アグレウス:その言葉は男の私から言わせてて欲しい
アグレウス:私はね……君の前では格好つけたいんだ
イーリア:……バカ
アグレウス:イーリア…生涯を懸けて君を幸せにすると誓う
アグレウス:だから、この花を受取ってくれないか?
イーリア:キレイなのです…このお花は?
アグレウス:『キキョウ』私がこの世で最も好きな花
アグレウス:偶々道に咲いていて思わず……
イーリア:いいえ……とっても嬉しいのです!
イーリア:ありがとうございます。アグレウス
イーリア:永遠に大切にするのです
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イーリア:『キキョウ』
イーリア:花言葉は変わらぬ愛……そして…
アグレウス:君の元へと必ず帰郷(帰る)
アグレウス:ちょっとした言葉遊びだね
イーリア:とっても嬉しいのです…
イーリア:私は今、世界で一番の幸せ者なのです
アグレウス:おや?それは聞き捨てならないね
アグレウス:世界で一番幸せなのは、君と言う宝ものと一緒に過ごしている私の方だよ
イーリア:では……同率一位なのですね
アグレウス:ふふっそうだね
イーリア:それでは、思い出巡りもできたことですし……帰るのです
アグレウス:そうだね…また遊びに来よう
イーリア:ハイなのです!!
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アグレウス:イーリア…もう寝る時間だよ
イーリア:むむむっ……まだ約束を叶えてもらってないのです
アグレウス:約束……?
イーリア:お口にキスをしてもらってないのです!!
アグレウス:あぁ……覚えていたのかい
イーリア:当たり前なのです!!
イーリア:あんなに嬉しいこと忘れるわけ……
アグレウス:……これで良いかな?
イーリア:喋ってる時にするのが一番ずるなのです!!
アグレウス:可愛くてつい……ね
イーリア:あともう一回あるのです
アグレウス:もう一回?
イーリア:今日お外で二回されたのです
イーリア:あと一回残ってるのです!
アグレウス:そうだったね……
イーリア:きゃっ……アグ、アグレウス?
アグレウス:たまにはこう言うのもありかな…
イーリア:か、カッコよすぎて見れないのです
アグレウス:ほら、こっち見て
イーリア:意地悪…っ!?
アグレウス:おやすみイーリア
イーリア:おやすみ……なので…す
イーリア:って!私の寝顔を見ようとして、安心させて寝落ちさせる作戦には乗らないのですよ!
アグレウス:ちっ……バレたか