台本概要

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タイトル Sombre dimanche
作者名 ヴァレミア  (@Valemia4649)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ソンブレ・ディマンシェ。

初投稿です。

元ネタは同盟のタイトルのシャンソンの曲です。
本作品にはその影響で、自殺の描写及び、全体的に陰鬱とした雰囲気となっております。
これらをご了承いただきました上で、作品をお楽しみくだされば幸いです。

※なお、こちらの台本はどちらかと言えば小説に近いものです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
11 主人公
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:Sombre dimanche 女:[M]彼の香りと薬品の匂いとが嫌に混じった奇妙な空気が、この部屋には満ちている。これのせいで私はここに来るのが非常に苦痛であるが、私のここまでの足取りはと言えば、さほど重くは感じられない。 女:[M]部屋に入ると、私は決まってメトロノームのように、彼から発せられる無機質な機械音に歩を併せ、彼の隣へそっと寄り添いに… 女:...ただなんだろうか、今日はどうもそんな気分じゃない。 : 女:[M]そうだ。たまには、急に行ってワッと驚かせてみよう。そうすればいい加減、彼もこっちに気が付いて、昔みたいに明るく気さくに、あっけらかんと笑い飛ばしてくれるに違いない。 女:[M]そうだ、きっとそう。きっとそうしてくれる。 女:[駆け寄る直前で、足が止まる]................。 女:[M]きっと...。 女:[不意に涙が落ちることに戸惑う]...…ッ...! : 女:[M]ふと我に帰れば、自分の部屋の玄関にいた。私は自分の行動の不可解を、肩で息をしながら必死に理解しようとする。 女:[M]彼のために選んできた大輪の百合の花は、もはや彼に見せるべき凛々しさはどこにもなく、冷たい床に散らばっている。 全身が鉛のように重い。自分が身にまとったもの等(など)すべて意に介さずに、ただがむしゃらに走ったんだろう。ハンドバッグに入れて持って出たはずの、彼がくれた四葉のクローバーがあしらわれたポーチがどこにも見当たらない。ほかにもいくつか見当たらないものがあるが、不幸中の幸いか、自分のスマートフォンと彼のおさがりの財布だけはその中に残っていた。 女:[完全には息が整わず、かつ少し鼻をすすりながら].......はぁ...。 女:[M]とりあえず、適当に靴を脱ぎ捨てて家に上がる。 女:誰もいない、静かなアパートの一室。ここが私の家であり、私たちの家…。 0:[長めに間を入れる] 女:[M]彼が死んだ。とても静かな最期だったらしい。 女:こうは言うが、正式には分からない。というのも私が知らぬ間に、彼のご両親が彼の鎖を解いてしまった。まぁ、私があちら様方に良く思われていないことはわかりきっていたことなので、別に不満には思わなかった。骨を拾うことはおろか、死に目にも合わせてはもらえなかった。 ひとしきり泣いた後、私はついに人生から最後の光を失ってしまったのだと直感した。 : 女:[M]薄暗い部屋。カーテンが締め切られた部屋にはゴミが溢れ、ほこりは雪のようにはっきりと積もっている。 あれから幾分か時間が経ったのだろう。自分でも驚くほどに、汚らしい洗面台の鏡に映った私は、みすぼらしく枯れてしまっていた。 女:[M]そういえば、さっき買い物をしに外に出た時やたらと人が多いように感じられたが、今日は日曜日であるらしい。しかもあれから2年の月日が流れてしまったと知った時には、流石に少し驚いた。しかし今になってそんなことは、もう些細な事象に過ぎない。 : 女:なんだか、私ももう、疲れちゃったな。 : 女:[M]私しかいない、静かなアパートの一室。虚空に言い放たれたその言葉は、居るはずもないだろう彼に捧げる私の人生最後の言葉となった。 女:[苦悶の声]…ッ…か…ぁ…ぅ… 女:[M]部屋に響くのは、聞くに耐えない私の嗚咽と、麻縄が私の重しで軋む音。私の足は意思に反して地面を求めて泳ぎ回るが、無情にも当然着くことはない。そのうちに、私の首が鈍い音を立てる。 女:[M]そうして私は目を見開いたまま、物言わぬ骸になった。 : 女:[M]そのうちに閉ざされたアパートの鉄扉が乱雑にあけ放たれた音がした。 女:[M]誰かが、私のもとに歩いて来てくれている。まるで疲れて眠る私を起こすまいとするように、ゆっくりと、ゆっくりと。陽だまりのような、優しい足取りで。これは、そうだ。間違いない。 : 女:[M]おかえり。あなたのこと、ずっと待ってたよ。

0:Sombre dimanche 女:[M]彼の香りと薬品の匂いとが嫌に混じった奇妙な空気が、この部屋には満ちている。これのせいで私はここに来るのが非常に苦痛であるが、私のここまでの足取りはと言えば、さほど重くは感じられない。 女:[M]部屋に入ると、私は決まってメトロノームのように、彼から発せられる無機質な機械音に歩を併せ、彼の隣へそっと寄り添いに… 女:...ただなんだろうか、今日はどうもそんな気分じゃない。 : 女:[M]そうだ。たまには、急に行ってワッと驚かせてみよう。そうすればいい加減、彼もこっちに気が付いて、昔みたいに明るく気さくに、あっけらかんと笑い飛ばしてくれるに違いない。 女:[M]そうだ、きっとそう。きっとそうしてくれる。 女:[駆け寄る直前で、足が止まる]................。 女:[M]きっと...。 女:[不意に涙が落ちることに戸惑う]...…ッ...! : 女:[M]ふと我に帰れば、自分の部屋の玄関にいた。私は自分の行動の不可解を、肩で息をしながら必死に理解しようとする。 女:[M]彼のために選んできた大輪の百合の花は、もはや彼に見せるべき凛々しさはどこにもなく、冷たい床に散らばっている。 全身が鉛のように重い。自分が身にまとったもの等(など)すべて意に介さずに、ただがむしゃらに走ったんだろう。ハンドバッグに入れて持って出たはずの、彼がくれた四葉のクローバーがあしらわれたポーチがどこにも見当たらない。ほかにもいくつか見当たらないものがあるが、不幸中の幸いか、自分のスマートフォンと彼のおさがりの財布だけはその中に残っていた。 女:[完全には息が整わず、かつ少し鼻をすすりながら].......はぁ...。 女:[M]とりあえず、適当に靴を脱ぎ捨てて家に上がる。 女:誰もいない、静かなアパートの一室。ここが私の家であり、私たちの家…。 0:[長めに間を入れる] 女:[M]彼が死んだ。とても静かな最期だったらしい。 女:こうは言うが、正式には分からない。というのも私が知らぬ間に、彼のご両親が彼の鎖を解いてしまった。まぁ、私があちら様方に良く思われていないことはわかりきっていたことなので、別に不満には思わなかった。骨を拾うことはおろか、死に目にも合わせてはもらえなかった。 ひとしきり泣いた後、私はついに人生から最後の光を失ってしまったのだと直感した。 : 女:[M]薄暗い部屋。カーテンが締め切られた部屋にはゴミが溢れ、ほこりは雪のようにはっきりと積もっている。 あれから幾分か時間が経ったのだろう。自分でも驚くほどに、汚らしい洗面台の鏡に映った私は、みすぼらしく枯れてしまっていた。 女:[M]そういえば、さっき買い物をしに外に出た時やたらと人が多いように感じられたが、今日は日曜日であるらしい。しかもあれから2年の月日が流れてしまったと知った時には、流石に少し驚いた。しかし今になってそんなことは、もう些細な事象に過ぎない。 : 女:なんだか、私ももう、疲れちゃったな。 : 女:[M]私しかいない、静かなアパートの一室。虚空に言い放たれたその言葉は、居るはずもないだろう彼に捧げる私の人生最後の言葉となった。 女:[苦悶の声]…ッ…か…ぁ…ぅ… 女:[M]部屋に響くのは、聞くに耐えない私の嗚咽と、麻縄が私の重しで軋む音。私の足は意思に反して地面を求めて泳ぎ回るが、無情にも当然着くことはない。そのうちに、私の首が鈍い音を立てる。 女:[M]そうして私は目を見開いたまま、物言わぬ骸になった。 : 女:[M]そのうちに閉ざされたアパートの鉄扉が乱雑にあけ放たれた音がした。 女:[M]誰かが、私のもとに歩いて来てくれている。まるで疲れて眠る私を起こすまいとするように、ゆっくりと、ゆっくりと。陽だまりのような、優しい足取りで。これは、そうだ。間違いない。 : 女:[M]おかえり。あなたのこと、ずっと待ってたよ。