台本概要
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タイトル | とある僧侶が魔王の使いで勇者の仲間になりたがる冒険 |
---|---|
作者名 | ゴリアス (@hukugyou_dojou) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女1、不問1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
アンジュ(23)とある僧侶 マサージ(20)伝説の中でも最強の勇者 サンショー(??)魔王 台本をご利用の際は、配信タイトル・コメント欄・概要欄のいずれかに、「台本名」・「作者名(ゴリアス)」・「サイトURL(https://sousaku-katsudou.com/)」を明記してください。 どうしても文字による記載ができない場合は「作品名と作者名の読み上げ」を持ってクレジット表記とみなすことにします。 ハッシュタグとして #アトリエゴリアス をつけていただけますと幸いです。 145 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
アンジュ | 女 | 88 | とある僧侶。弟であるズシオーのことを思い、魔王の元に来た |
マサージ | 男 | 71 | 伝説の中でも最強の勇者。パーフェクトになるためにバディを探している。 |
サンショー | 不問 | 20 | 魔王。極悪。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:『とある僧侶が魔王の使いで勇者の仲間になりたがる冒険』作・ゴリアス
:
アンジュ:(モノローグ)主人より、この冒険を記録する命令を受けて、私アンジュが筆記するなり
:
情景:魔王が統べる地サッド
:
アンジュ:魔王様がお呼びだなんて怖い。弟のことじゃなきゃ良いけど
サンショー:遅い、アンジュ待っていたのだ
アンジュ:サンショー様、申し訳ございません。急なお呼びたてで慌てまして
サンショー:急な要件なのだ
アンジュ:もしかして、弟の身に何かあったんですか?
サンショー:実は、そうなのだ。お前の弟、ズシオーは勇者に傷つけられて瀕死なのだ
アンジュ:なんですって!サンショー様、弟は、ズシオーは大丈夫なのですか?
サンショー:もちろんなのだ。魔王軍直属の医師たちに治療に当たらせている
アンジュ:サンショー様が、弟を勇者から守ってくれると聞いて、こちらにきましたのに
サンショー:勇者はとんでもなく油断できない相手なのだ
アンジュ:勇者にとって弟のズシオーは、絶対に排除しなきゃいけない存在だとか
サンショー:その通りなのだ。あらゆる伝説の中でも最も憎むべき勇者なのだ
アンジュ:悪い奴なんですね
サンショー:だが、やつはまだバーフェクトではないのだ
アンジュ:パーフェクトとは?
サンショー:奴にはどうしても手に入れないといけないものがあるのだ
アンジュ:それは、一体?
サンショー:それを調べていたズシオーが勇者から酷い目に合わされたのだ
アンジュ:許せない!その勇者を、私の手で倒させてください
サンショー:そうなのだ。アンジュ、お前を奴の元に送ろうと思っていたのだ
アンジュ:でも、私は僧侶。勇者の相手などできますでしょうか
サンショー:そこで、お前は奴の仲間になったふりをするのだ
アンジュ:ふり?
サンショー:そうなのだ。僧侶が仲間になれば無茶もする。回復して欲しい場面がくるのだ
アンジュ:そうか、そこで奴を仕留める。それなら私にもできます。場所は?
サンショー:冒険者の地オーウなのだ
アンジュ:わかりました。どうぞご命令ください!
サンショー:命令は契約なのだ。お前の魂は我のものになるのだ
アンジュ:無論、承知しております
サンショー:命令するのだ。サンショーの名の下にアンジュを勇者の配下に派遣するのだ
アンジュ:はい。行ってまいります!冒険者の地オーウへ
サンショー:ズシオーが待っているのだ。勇者を倒してサッドの地に再びくるのだ
:
情景:冒険者の地オーウ
:
アンジュ:わっあそこにいるのが勇者だ!ホントにとんでもないオーラを放ってるわね
マサージ:お、女だ。どうした一人か
アンジュ:何を!
マサージ:冒険者の地オーウは、ケッコー危ねーから独り歩きしねーほうがいっぞ
アンジュ:おのれ、勇者!
マサージ:ん?どした?女
アンジュ:私は、アンジュだ!女と呼ぶな
マサージ:あ、そっか。オラ、マサージ。よろしくな、アンジュ姉ちゃん
アンジュ:おのれ、マサージ!じゃ、なかった。あの、その、勇者さまーん
マサージ:なんだ?急に。気持ちわりーぞ、おめえ。でもなオラにはわかるぞ
アンジュ:ええ?何がバレたの?
マサージ:おめえ、悪い奴じゃないだろ
アンジュ:あ、あああ
マサージ:おら、頭はわりーけど、人を見る目だけは確かなんだ
アンジュ:お前、本当にばかだろ。じゃなかった。あの、仲間にしてくださーい
マサージ:仲間?いや、わりーけど、おら、決められた仲間、バディがいてよ
アンジュ:決められた仲間。き、聞いてない!
マサージ:へ?聞いてないも何も、今初めて会ったとこじゃねーか
アンジュ:いや、それはその。こっちの話。で、バディって?
マサージ:どうもよ。おらの力を最大限に出すには特定の血筋の仲間が必要なんだ
アンジュ:そ、そうだったのね。じゃ、私じゃ無理なのか
マサージ:いや、待て。おねーちゃん。もしかして僧侶じゃない?
アンジュ:はい。私、まだまだ非力ですが、僧侶です
マサージ:まだまだ非力って。お姉ちゃん、おらより年上じゃん
アンジュ:もーほっといてよ
マサージ:おら、サッドってゆー、魔王の総べる地に向かってんだけどさ
アンジュ:ええ、知っています。この冒険者の地オーウの向こう側
マサージ:おら、剣は誰にも負けねーんだけど、魔法がいまいちでさ
アンジュ:ですよね!ですよね!
マサージ:特に回復魔法はめっちゃ必要なんだけど、助けてくんねーかな
アンジュ:もちろんでございますとも!しめしめ
マサージ:ん?今、しめしめって言った?
アンジュ:いえいえ、こちらの話でございます!
マサージ:あーよかった。おら、魔法下手だから道具袋頼みだからさ
アンジュ:本当だ、道具袋がパンパンだわ
マサージ:じゃ、よろしくな。アンジュ姉ちゃん
アンジュ:はい、喜んでー
:
情景:サッドに向かって移動中である
:
アンジュ:ところで、勇者。じゃなかった、マサージさま
マサージ:あんだ?マサージさまとか、やめてくれよ。マサージって呼んでくれ
アンジュ:わかりました。マサージ。さっき言ってたバディってなんなんですか?
マサージ:おらもよくわかんねーんだけどさ、どうもおらにはバディが必要らしい
アンジュ:どんなお人なんですか?
マサージ:賢者だ。この地にそれほど数はいない。おら、だから賢者を探していた
アンジュ:探していた?
マサージ:目星はついたんだが、いなくなってしまったんだ
アンジュ:そう、なのか
マサージ:でも、おらには、今アンジュがいる。心強いよ
アンジュ:困ったことになったら、ぜひ私の回復魔法に期待してくださいね。ふふふ
マサージ:ああ、期待してっぞ。って、危ない!
アンジュ:きゃあ
マサージ:大丈夫か?アイツだ。完全におめえを狙ってたぞ
アンジュ:あ、あれは。魔王軍直属のガーゴイル。なぜ私を
マサージ:アンジュ、下がってろ。奴らの狙いはおめえのようだ
アンジュ:そんな
マサージ:おらにまかせとけ。魔王軍直属だろうが、おらの剣さえ届けば
アンジュ:届いてない。ガーゴイルは空飛ぶ魔族。危険よ、マサージ
マサージ:おめえを狙っている以上、奴らは絶対に地上に降りてくる
アンジュ:あ、意外と頭使ってるのね。じゃなかった。助けてー
マサージ:いまだ!おらをなめるなよ。こう見えても最強の勇者だぜ
アンジュ:つ、強い。これほどとは。サンショー様ですら、危うい
マサージ:さ、とっとといこーぜ
アンジュ:あ、マサージ。けが、してるわ
マサージ:おう。最初の不意打ちの時にな。ちょっとミスっちまった
アンジュ:ダメよ。手当しないと
マサージ:こんなもんてーしたことねーよ
アンジュ:なんのための僧侶ですか。なんのための回復魔法ですか
マサージ:こんなかすり傷で、魔法なんか使わせられるかよ
アンジュ:う、ううう
:
情景:日が暮れて野営
:
マサージ:はぁ、はぁ」
アンジュ:どうしたの?マサージ。急にここでテントをはるって言ってから様子が
マサージ:はあ、はあ。どうやら、あのガーゴイル、爪に毒を持ってたらしい
アンジュ:これは、猛毒。私の魔法じゃ、どうにもならない
マサージ:そ、そういうことか
アンジュ:ほら、言ったこっちゃない。ダメよ病院に行きましょう
マサージ:む、無理だよ。今は動けない
アンジュ:そんなこと言ったって、私あなたを担いで病院なんて
マサージ:行かなくていいだろ?
アンジュ:え?どうして?
マサージ:おめえ、魔物の匂いがする。ガーゴイルを魔王直属と言い切った
アンジュ:そ、それは
マサージ:最初から、これが目的だったんだろ。だからガーゴイルの
アンジュ:違う!そんなんじゃない。そんな卑怯な
マサージ:卑怯じゃない?本当に?
アンジュ:うるさい!
マサージ:このままおらを殺せば、おめえにかけられた命令は解けるんじゃないか
アンジュ:命令は契約よ。私の魂は、もう魔王のもの
マサージ:殺せ
アンジュ:ころ、せない
マサージ:なぜ、おめえがおらのことを憎んでるのかはわからねえ、だが
アンジュ:うるさい
マサージ:おらは誰かに恨まれる覚えは一切ない。それだけは自信あるぜ
アンジュ:わかった。本当のことを言う
マサージ:うん?
アンジュ:私は魔王サンショー様の命令でお前の仲間になろうとした
マサージ:やっぱりね
アンジュ:お前は私のことを悪い奴じゃないと言ったが、お前も悪い奴には思えない
マサージ:それはどうも。だが、お前のその命令と契約。解く方法はないのか
アンジュ:契約を解くことはできないが、上書きすることはできる
マサージ:どうやって?
アンジュ:途方も無い無理難題だ。絶対に叶えることはできない
マサージ:だったら、今がチャンスだろ。おらを倒せばいい
アンジュ:寝首をかくようなことはしない。私と勝負しろ!
マサージ:勝負だと?おら、強いぜ
アンジュ:わかってる。だが、私もどうしたら良いのかわからなくなってるんだ
マサージ:わかった。じゃ、左手だけで勝負してやる
アンジュ:なんだと!
マサージ:おらが負けたら好きにしていい。だがおらが勝ったら
アンジュ:勝ったら?
マサージ:おらのバディになれ
アンジュ:ふざけるな!お前は、弟の敵だ。絶対にゆるせない!
マサージ:これだけは言っておく。おらは、アンジュの弟ズシオーと会ったことがない
アンジュ:な、何を!どうして弟の名を!
マサージ:お前の弟ズシオーは、賢者だろ。この地の賢者といえばズシオーだ
アンジュ:と、言うことは
マサージ:ズシオーはおらの定められたバディ
アンジュ:つまり、マサージがズシオーと戦うはずがなかったのか
マサージ:さて、誰がおらのバディを痛めつけたんだろうね
アンジュ:魔王サンショー!全てはアイツの手のひらの上だったのか!
マサージ:じゃ、気を取り直して、出発しようか
アンジュ:あれ?マサージ。あなた、猛毒は?
マサージ:だから言ったろ。こんな時のためにおらの道具袋はパンパンだって
アンジュ:じゃ、私を試したの?
マサージ:そうじゃない。真実を知りたかったんだ。アンジュと一緒に
アンジュ:でも、勇者をパーフェクトにするバディが
マサージ:それが、さ。おら気づいちゃったんだよね
アンジュ:何?まだ何かあんの?
マサージ:もう大人の年齢なのになぜ、アンジュが僧侶として未熟か?
アンジュ:え?ええ?
マサージ:それは、アンジュも賢者だったから。間違いねーな
アンジュ:じゃ、もしかして
マサージ:そ、おらのバディは、ズシオーの姉ちゃん。アンジュだったんだ
:
情景:魔王が統べる地サッド
:
サンショー:ワハハハなのだ。ずいぶん遅かったが、勇者を連れてくるとは、でかしたのだ
マサージ:魔王サンショー。ようやく会えたな
アンジュ:サンショー!私の弟に何をした!
サンショー:何もしてないのだ。雑巾みたいに、ちょっとひねってやっただけなのだ
アンジュ:ぞ、雑巾だと!
サンショー:なぜだバディは壊したはずなのに
マサージ:壊した!ズシオーのことかー!
サンショー:こ、これがパーフェクト状態なのだ。間違いないのだ
マサージ:おらは怒ったぞー!
:
情景:冒険者の地オーウ
:
アンジュ:いやあ、あの時のマサージったら、めっちゃ怒ってたもんね
マサージ:おらも、自分で怒りがコントロールできなくなっちゃったんだ
アンジュ:でも、これでお別れね
マサージ:そうか。魔王の命令を受けた身。サッドに戻るのか
アンジュ:マサージ。本当は、一つだけ。一つだけ方法があるの
マサージ:どんな方法だい?
アンジュ :魔王サンショーの命令を上書きする方法
マサージ :どうか教えてくれ
アンジュ :それは婚姻という契約
マサージ :そっか。婚姻かー
アンジュ :だ、だめですか?勇者さま
マサージ :簡単なこった。じゃ、結婚すっか
アンジュ :んだ
0:了
0:『とある僧侶が魔王の使いで勇者の仲間になりたがる冒険』作・ゴリアス
:
アンジュ:(モノローグ)主人より、この冒険を記録する命令を受けて、私アンジュが筆記するなり
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情景:魔王が統べる地サッド
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アンジュ:魔王様がお呼びだなんて怖い。弟のことじゃなきゃ良いけど
サンショー:遅い、アンジュ待っていたのだ
アンジュ:サンショー様、申し訳ございません。急なお呼びたてで慌てまして
サンショー:急な要件なのだ
アンジュ:もしかして、弟の身に何かあったんですか?
サンショー:実は、そうなのだ。お前の弟、ズシオーは勇者に傷つけられて瀕死なのだ
アンジュ:なんですって!サンショー様、弟は、ズシオーは大丈夫なのですか?
サンショー:もちろんなのだ。魔王軍直属の医師たちに治療に当たらせている
アンジュ:サンショー様が、弟を勇者から守ってくれると聞いて、こちらにきましたのに
サンショー:勇者はとんでもなく油断できない相手なのだ
アンジュ:勇者にとって弟のズシオーは、絶対に排除しなきゃいけない存在だとか
サンショー:その通りなのだ。あらゆる伝説の中でも最も憎むべき勇者なのだ
アンジュ:悪い奴なんですね
サンショー:だが、やつはまだバーフェクトではないのだ
アンジュ:パーフェクトとは?
サンショー:奴にはどうしても手に入れないといけないものがあるのだ
アンジュ:それは、一体?
サンショー:それを調べていたズシオーが勇者から酷い目に合わされたのだ
アンジュ:許せない!その勇者を、私の手で倒させてください
サンショー:そうなのだ。アンジュ、お前を奴の元に送ろうと思っていたのだ
アンジュ:でも、私は僧侶。勇者の相手などできますでしょうか
サンショー:そこで、お前は奴の仲間になったふりをするのだ
アンジュ:ふり?
サンショー:そうなのだ。僧侶が仲間になれば無茶もする。回復して欲しい場面がくるのだ
アンジュ:そうか、そこで奴を仕留める。それなら私にもできます。場所は?
サンショー:冒険者の地オーウなのだ
アンジュ:わかりました。どうぞご命令ください!
サンショー:命令は契約なのだ。お前の魂は我のものになるのだ
アンジュ:無論、承知しております
サンショー:命令するのだ。サンショーの名の下にアンジュを勇者の配下に派遣するのだ
アンジュ:はい。行ってまいります!冒険者の地オーウへ
サンショー:ズシオーが待っているのだ。勇者を倒してサッドの地に再びくるのだ
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情景:冒険者の地オーウ
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アンジュ:わっあそこにいるのが勇者だ!ホントにとんでもないオーラを放ってるわね
マサージ:お、女だ。どうした一人か
アンジュ:何を!
マサージ:冒険者の地オーウは、ケッコー危ねーから独り歩きしねーほうがいっぞ
アンジュ:おのれ、勇者!
マサージ:ん?どした?女
アンジュ:私は、アンジュだ!女と呼ぶな
マサージ:あ、そっか。オラ、マサージ。よろしくな、アンジュ姉ちゃん
アンジュ:おのれ、マサージ!じゃ、なかった。あの、その、勇者さまーん
マサージ:なんだ?急に。気持ちわりーぞ、おめえ。でもなオラにはわかるぞ
アンジュ:ええ?何がバレたの?
マサージ:おめえ、悪い奴じゃないだろ
アンジュ:あ、あああ
マサージ:おら、頭はわりーけど、人を見る目だけは確かなんだ
アンジュ:お前、本当にばかだろ。じゃなかった。あの、仲間にしてくださーい
マサージ:仲間?いや、わりーけど、おら、決められた仲間、バディがいてよ
アンジュ:決められた仲間。き、聞いてない!
マサージ:へ?聞いてないも何も、今初めて会ったとこじゃねーか
アンジュ:いや、それはその。こっちの話。で、バディって?
マサージ:どうもよ。おらの力を最大限に出すには特定の血筋の仲間が必要なんだ
アンジュ:そ、そうだったのね。じゃ、私じゃ無理なのか
マサージ:いや、待て。おねーちゃん。もしかして僧侶じゃない?
アンジュ:はい。私、まだまだ非力ですが、僧侶です
マサージ:まだまだ非力って。お姉ちゃん、おらより年上じゃん
アンジュ:もーほっといてよ
マサージ:おら、サッドってゆー、魔王の総べる地に向かってんだけどさ
アンジュ:ええ、知っています。この冒険者の地オーウの向こう側
マサージ:おら、剣は誰にも負けねーんだけど、魔法がいまいちでさ
アンジュ:ですよね!ですよね!
マサージ:特に回復魔法はめっちゃ必要なんだけど、助けてくんねーかな
アンジュ:もちろんでございますとも!しめしめ
マサージ:ん?今、しめしめって言った?
アンジュ:いえいえ、こちらの話でございます!
マサージ:あーよかった。おら、魔法下手だから道具袋頼みだからさ
アンジュ:本当だ、道具袋がパンパンだわ
マサージ:じゃ、よろしくな。アンジュ姉ちゃん
アンジュ:はい、喜んでー
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情景:サッドに向かって移動中である
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アンジュ:ところで、勇者。じゃなかった、マサージさま
マサージ:あんだ?マサージさまとか、やめてくれよ。マサージって呼んでくれ
アンジュ:わかりました。マサージ。さっき言ってたバディってなんなんですか?
マサージ:おらもよくわかんねーんだけどさ、どうもおらにはバディが必要らしい
アンジュ:どんなお人なんですか?
マサージ:賢者だ。この地にそれほど数はいない。おら、だから賢者を探していた
アンジュ:探していた?
マサージ:目星はついたんだが、いなくなってしまったんだ
アンジュ:そう、なのか
マサージ:でも、おらには、今アンジュがいる。心強いよ
アンジュ:困ったことになったら、ぜひ私の回復魔法に期待してくださいね。ふふふ
マサージ:ああ、期待してっぞ。って、危ない!
アンジュ:きゃあ
マサージ:大丈夫か?アイツだ。完全におめえを狙ってたぞ
アンジュ:あ、あれは。魔王軍直属のガーゴイル。なぜ私を
マサージ:アンジュ、下がってろ。奴らの狙いはおめえのようだ
アンジュ:そんな
マサージ:おらにまかせとけ。魔王軍直属だろうが、おらの剣さえ届けば
アンジュ:届いてない。ガーゴイルは空飛ぶ魔族。危険よ、マサージ
マサージ:おめえを狙っている以上、奴らは絶対に地上に降りてくる
アンジュ:あ、意外と頭使ってるのね。じゃなかった。助けてー
マサージ:いまだ!おらをなめるなよ。こう見えても最強の勇者だぜ
アンジュ:つ、強い。これほどとは。サンショー様ですら、危うい
マサージ:さ、とっとといこーぜ
アンジュ:あ、マサージ。けが、してるわ
マサージ:おう。最初の不意打ちの時にな。ちょっとミスっちまった
アンジュ:ダメよ。手当しないと
マサージ:こんなもんてーしたことねーよ
アンジュ:なんのための僧侶ですか。なんのための回復魔法ですか
マサージ:こんなかすり傷で、魔法なんか使わせられるかよ
アンジュ:う、ううう
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情景:日が暮れて野営
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マサージ:はぁ、はぁ」
アンジュ:どうしたの?マサージ。急にここでテントをはるって言ってから様子が
マサージ:はあ、はあ。どうやら、あのガーゴイル、爪に毒を持ってたらしい
アンジュ:これは、猛毒。私の魔法じゃ、どうにもならない
マサージ:そ、そういうことか
アンジュ:ほら、言ったこっちゃない。ダメよ病院に行きましょう
マサージ:む、無理だよ。今は動けない
アンジュ:そんなこと言ったって、私あなたを担いで病院なんて
マサージ:行かなくていいだろ?
アンジュ:え?どうして?
マサージ:おめえ、魔物の匂いがする。ガーゴイルを魔王直属と言い切った
アンジュ:そ、それは
マサージ:最初から、これが目的だったんだろ。だからガーゴイルの
アンジュ:違う!そんなんじゃない。そんな卑怯な
マサージ:卑怯じゃない?本当に?
アンジュ:うるさい!
マサージ:このままおらを殺せば、おめえにかけられた命令は解けるんじゃないか
アンジュ:命令は契約よ。私の魂は、もう魔王のもの
マサージ:殺せ
アンジュ:ころ、せない
マサージ:なぜ、おめえがおらのことを憎んでるのかはわからねえ、だが
アンジュ:うるさい
マサージ:おらは誰かに恨まれる覚えは一切ない。それだけは自信あるぜ
アンジュ:わかった。本当のことを言う
マサージ:うん?
アンジュ:私は魔王サンショー様の命令でお前の仲間になろうとした
マサージ:やっぱりね
アンジュ:お前は私のことを悪い奴じゃないと言ったが、お前も悪い奴には思えない
マサージ:それはどうも。だが、お前のその命令と契約。解く方法はないのか
アンジュ:契約を解くことはできないが、上書きすることはできる
マサージ:どうやって?
アンジュ:途方も無い無理難題だ。絶対に叶えることはできない
マサージ:だったら、今がチャンスだろ。おらを倒せばいい
アンジュ:寝首をかくようなことはしない。私と勝負しろ!
マサージ:勝負だと?おら、強いぜ
アンジュ:わかってる。だが、私もどうしたら良いのかわからなくなってるんだ
マサージ:わかった。じゃ、左手だけで勝負してやる
アンジュ:なんだと!
マサージ:おらが負けたら好きにしていい。だがおらが勝ったら
アンジュ:勝ったら?
マサージ:おらのバディになれ
アンジュ:ふざけるな!お前は、弟の敵だ。絶対にゆるせない!
マサージ:これだけは言っておく。おらは、アンジュの弟ズシオーと会ったことがない
アンジュ:な、何を!どうして弟の名を!
マサージ:お前の弟ズシオーは、賢者だろ。この地の賢者といえばズシオーだ
アンジュ:と、言うことは
マサージ:ズシオーはおらの定められたバディ
アンジュ:つまり、マサージがズシオーと戦うはずがなかったのか
マサージ:さて、誰がおらのバディを痛めつけたんだろうね
アンジュ:魔王サンショー!全てはアイツの手のひらの上だったのか!
マサージ:じゃ、気を取り直して、出発しようか
アンジュ:あれ?マサージ。あなた、猛毒は?
マサージ:だから言ったろ。こんな時のためにおらの道具袋はパンパンだって
アンジュ:じゃ、私を試したの?
マサージ:そうじゃない。真実を知りたかったんだ。アンジュと一緒に
アンジュ:でも、勇者をパーフェクトにするバディが
マサージ:それが、さ。おら気づいちゃったんだよね
アンジュ:何?まだ何かあんの?
マサージ:もう大人の年齢なのになぜ、アンジュが僧侶として未熟か?
アンジュ:え?ええ?
マサージ:それは、アンジュも賢者だったから。間違いねーな
アンジュ:じゃ、もしかして
マサージ:そ、おらのバディは、ズシオーの姉ちゃん。アンジュだったんだ
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情景:魔王が統べる地サッド
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サンショー:ワハハハなのだ。ずいぶん遅かったが、勇者を連れてくるとは、でかしたのだ
マサージ:魔王サンショー。ようやく会えたな
アンジュ:サンショー!私の弟に何をした!
サンショー:何もしてないのだ。雑巾みたいに、ちょっとひねってやっただけなのだ
アンジュ:ぞ、雑巾だと!
サンショー:なぜだバディは壊したはずなのに
マサージ:壊した!ズシオーのことかー!
サンショー:こ、これがパーフェクト状態なのだ。間違いないのだ
マサージ:おらは怒ったぞー!
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情景:冒険者の地オーウ
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アンジュ:いやあ、あの時のマサージったら、めっちゃ怒ってたもんね
マサージ:おらも、自分で怒りがコントロールできなくなっちゃったんだ
アンジュ:でも、これでお別れね
マサージ:そうか。魔王の命令を受けた身。サッドに戻るのか
アンジュ:マサージ。本当は、一つだけ。一つだけ方法があるの
マサージ:どんな方法だい?
アンジュ :魔王サンショーの命令を上書きする方法
マサージ :どうか教えてくれ
アンジュ :それは婚姻という契約
マサージ :そっか。婚姻かー
アンジュ :だ、だめですか?勇者さま
マサージ :簡単なこった。じゃ、結婚すっか
アンジュ :んだ
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