台本概要

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タイトル ハードボイルド・アサト
作者名 ヒロタカノ  (@hiro_takano)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 そんな観察植物の、伝えたい気持ち

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どこかなにかで使っていただけたら幸いです。

「使ったよ」とでもコメントいただけたらありがたいです。

いつかどこかで誰かのお役に立ちますように。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
夕子 6 主婦。タカシの母親。
アサト 21
少女 2 小学一年生。田舎の少女 ※兼ね役可
タカシ 不問 2 小学一年生。夕子の息子 ※兼ね役可
ト書き 不問 29 ナレーション
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
☆:はじめに ○場面:タカシの部屋 ト書き:窓の外ではセミがミンミン鳴いており、サンサンと太陽が照りつける、 ト書き:木下タカシの勉強部屋。六畳ほどの広さで、 ト書き:壁にはリコーダーが刺さった黒いランドセルとブレザーが掛かっている。 ト書き:勉強机の上には平仮名で『じかんわり』と書かれた表、 ト書き:国語や算数の教科書、ノートなどが置かれている。 ト書き:そのノートの一冊には『夏休みの観察日記』と書かれている。 ト書き:絨毯の上にはプラモやテレビゲームのコントローラーなどが置きっぱなしにされている。 ト書き:ドアが開き、木下夕子が部屋に入って来て、 夕子:「ああ…もう。タカシったらこんなに散らかして」 ト書き:散らかった部屋を片す夕子。勉強机の上の本をまとめ、 ト書き:トントンと整頓すると一番上の『夏休みの観察日記』というタイトルに視線を移す。 ト書き:ノートを手にとりパラパラとめくる夕子。 ト書き:ノートには色鉛筆で描かれた朝顔のイラストと平仮名で『はながさいた』など書かれている。 ト書き:ペラペラとめくると、8月1日の日付から先は何も書かれてない。 ト書き:夕子はノートを閉じると勉強机に置く。ため息をつき、窓に視線を移す。 ○場面:タカシの部屋のベランダ ト書き:ベランダの一角に植物を育てる青いプラスチックの鉢が置いてある。 ト書き:鉢には土が盛られている。土は乾燥してカラカラである。 ト書き:その上に麦わら帽子を被ったスーツ姿のアサト。 ト書き:アサトは麦わら帽子を目深に被り、足を組み、 ト書き:両手を頭にまわし枕にして、鉢のふちに寄りかかって寝そべっている。 ト書き:アサトのアゴから汗が滴り落ちる。 ト書き: ト書き:ベランダの窓がガラガラと開く。 ト書き:水が入ったジョーロを持った夕子が現れ、アサトにジョーロの先をかたむける。 ト書き:アサトは右の手のひらを夕子に向けて、 アサト:「奥さん、水はいらねえよ」 ト書き:夕子のジョーロがピタッと止まる。 夕子:「でも、でも…」 アサト:「約束したろ?俺はタカシの水しかいただかねえ。あんたが水をやったらタカシのためになんねぇ。甘やかしちゃいけねえんだ、わかるだろ?奥さん」 ト書き:夕子は片手で目元を押さえ、 夕子:「もう…タカシはどこに行ったのよ?」 アサト:「タカシかい?タカシはここんとこ朝から晩まで祐一君ちに行ってるさ。今日こそ魔法を倒すんだとよ。あれはコンピューターゲームってやつかい?」 ト書き:アサトは緑の葉っぱをくるくると巻くと、ポケットからジッポを取り出し先端に火をつける。 ト書き:丸めた葉っぱに火が付き、それを煙草のように吸うアサト。 アサト:「あれはいいな。コンピューターゲームってやつは、やり直しがきくんだろ?誤って人が死んでも、街が滅んでもリセットボタンで元通り…まったく、便利なもんだ」 ト書き:サンサンとアサトに照りつける日差し。 ト書き:アサトは麦わら帽子をくいっと持ち上げると、空を見上げ、 アサト:「ああ、しかし、いい天気だ、今年の夏は猛暑ってやつだな。ドライフラワーになるにはちょうどいい天気だ。綺麗にしおれたら部屋に飾ってくれよな…ん?」 ト書き:アサトの頭に水滴が落ちる。アサトは夕子を見上げて、 アサト:「奥さん、水はいらねえっていっただろ?」 ト書き:アサトが見上げた視線の先に夕子の顔。夕子は顔をくしゃくしゃにして、 夕子:「…やり直せないの…花はやり直せないの…」 アサト:「おいおい、大の大人が植物相手に涙なんて流すなよ?」 夕子:「…朝顔が…朝顔が枯れるのは嫌なのよ」 ト書き:夕子、目頭を押さえ肩を震わせて涙を流す。アゴを伝い、水滴が夕子を見上げたアサトの顔に落ちる。 アサト:「俺なんかのために悲しんでくれるのかい?…優しいな、あんたは」 ト書き:アサトは麦わら帽子を被りなおすと寝転がり、太陽を見上げ、 アサト:「…ああ。そういえば、あの日もこんな暑い夏の日だったな。…なぁ、奥さん、ちょっと俺の昔話を聞いてくんないかい?」 ト書き:しゃくり泣く夕子。 アサト:「代々観察植物をやってるとな、遺伝子を通していろんな情報が入ってくるのさ。…こいつは遠い昔の記憶なんだがな。その頃は今ほどモノで溢れた時代じゃなかったし、こんなシャレた鉢に寝っころがれる時代でもなかった…」 ○場面:(回想)田舎の裏庭(セピア色の映像) ト書き:田んぼと畑と一軒家が並ぶ田舎の風景。 ト書き:セミがミンミンと鳴き、雨がザアザアと降ってる。 ト書き:畑から少し離れた土の上に寝転がり空を見上げる、 ト書き:麦わら帽子を被ったスーツ姿のアサト。アサトの視界をジャノメが遮る。 ト書き:アサトが見上げると、ジャノメを持った少女が立っており、アサトを見下ろして、 少女:「えへへ、こんにちは」 ト書き:アサトはそっぽを向いて、 アサト:「馬鹿野郎、俺はいいから自分に傘させや」 ト書き:アサトの横にジャノメを置くとアサトの隣にかがむ少女。 ト書き:ノートを膝の上に広げ鉛筆を持つとアサトをスケッチする。 ト書き:アサトはそっぽを向いたまま、 アサト:「祭りの時に、婆ちゃんにせがんで買ってもらったって言ってたっけな。庭に植えると弟が悪さするからここに植えたん、だっけか?」 ト書き:アサトを見下ろしスケッチを続ける少女。アサトは少女を見上げる。 アサト:「俺が咲くのが嬉しいかい?…ああ、俺も嬉しいさ」 ○場面:(回想)田舎の裏庭(セピア色の映像) ト書き:田舎の風景。セミがミンミンと鳴く。 ト書き:雲ひとつ無い空、サンサンと輝く太陽が、土に座るアサトにジリジリと照りつける。 ト書き:アサトの周りの土はカラカラでヒビ割れている。 ト書き:顔に刺さる日差しを腕でかばい、太陽を睨んでアサトは、 アサト:「暑い…水…。あの子はまだか…」 ト書き:アサトはうつむくと、麦わら帽子を目深にかぶり、 アサト:「いや…きっと飽きちまったんだな。まぁ、人間に期待してもしょうがないか。いいさ、それなりに楽しい人生だった」 ト書き:両手を頭に回して枕にして土に寝転ぶアサト。 ト書き: ト書き:寝転ぶアサトの頭に水滴が落ちる。目を開けて帽子のツバを上げ、空を見上げると、 アサト:「…嬢ちゃん?」 ト書き:膝をついてアサトを見下ろし、大粒の涙をこぼす少女。 少女:「ごめんなさい!ごめんなさい!わたし…ごめんなさい!」 ト書き:水滴が少女を見上げたアサトの頬に、ポタリポタリと垂れる。 ○場面:タカシの部屋のベランダ ト書き:アサトは太陽を見上げたまま、 アサト:「馬鹿な嬢ちゃんさ。雨の中傘もささねえから夏風邪引いて寝込んじまったのさ」 ト書き:両手で顔を抑えたままの夕子。 アサト:「でもな、この嬢ちゃんはどんな大人になるんだろう…出来ることならもう一度巡り会いてぇ、薄れ行く意識のなか、ぼんやり願ったもんさ。植物の分際でな」 ト書き:ふふんと笑うアサト。夕子は両手を口元にあてアサトを見下ろすと、 夕子:「あなた…もしかして…あの時の…」 アサト:「なぁ、夕子。俺たちな、枯れることは別に恐くねぇんだ。ただ…恐いのはそいつをなんとも思わねえことさ。じゃあねえと俺たち、なんで生きてたかわからねえ」 ト書き:アサトは麦わら帽子のつばを上げると振り返り、夕子を見上げて、 アサト:「なぁ、頼むよ。俺の変わりにちゃんと教えてやってくれねえかい?あの坊主に、あんたの今の気持ちを…生き物を育てることの本当の意味をさ?」 ○場面:タカシの部屋のベランダ(夕) ト書き:夕焼けが照らすベランダ。セミがシクシクボーシと鳴いている。 ト書き: ト書き:アサトは麦わら帽子を目深にかぶり、青いプラスチックの鉢の上に大の字で仰向けに寝ている。 ト書き:両手はだらんと投げ出され、手のひらが軽く開いているが身動きひとつしない。 ト書き:窓がガラガラと開き、木下タカシ(6)が窓から顔を出す。 ト書き:タカシはアサトの寝ている鉢と見下ろすと『しまった』という顔で、 タカシ:「あちゃー、これもうダメじゃん!」 ト書き:タカシはガラガラと窓を閉める。 ト書き:部屋のドアを開ける音がして、階段をドタドタと駆け下りていく。 タカシ:「お母さーん、朝顔が枯れちゃったー!どうして教えてくれなかったのー? これじゃ、ゆうくんに負けちゃうよー!朝顔ってどこで売ってるの?お母さーん?」 ト書き:青い鉢の上、アサトは麦わら帽子を目深に被り、仰向けに寝たまま、 アサト:「夕子…いいおっかさんに…なれよ」 ト書き:夕暮れ時、セミがシクシクと鳴いている。 ト書き: ト書き:「『生き物を育てる』ということを体を張って伝えるアサトの生き様を描く。それは、お母さんになった夕子の夏休みの宿題」

☆:はじめに ○場面:タカシの部屋 ト書き:窓の外ではセミがミンミン鳴いており、サンサンと太陽が照りつける、 ト書き:木下タカシの勉強部屋。六畳ほどの広さで、 ト書き:壁にはリコーダーが刺さった黒いランドセルとブレザーが掛かっている。 ト書き:勉強机の上には平仮名で『じかんわり』と書かれた表、 ト書き:国語や算数の教科書、ノートなどが置かれている。 ト書き:そのノートの一冊には『夏休みの観察日記』と書かれている。 ト書き:絨毯の上にはプラモやテレビゲームのコントローラーなどが置きっぱなしにされている。 ト書き:ドアが開き、木下夕子が部屋に入って来て、 夕子:「ああ…もう。タカシったらこんなに散らかして」 ト書き:散らかった部屋を片す夕子。勉強机の上の本をまとめ、 ト書き:トントンと整頓すると一番上の『夏休みの観察日記』というタイトルに視線を移す。 ト書き:ノートを手にとりパラパラとめくる夕子。 ト書き:ノートには色鉛筆で描かれた朝顔のイラストと平仮名で『はながさいた』など書かれている。 ト書き:ペラペラとめくると、8月1日の日付から先は何も書かれてない。 ト書き:夕子はノートを閉じると勉強机に置く。ため息をつき、窓に視線を移す。 ○場面:タカシの部屋のベランダ ト書き:ベランダの一角に植物を育てる青いプラスチックの鉢が置いてある。 ト書き:鉢には土が盛られている。土は乾燥してカラカラである。 ト書き:その上に麦わら帽子を被ったスーツ姿のアサト。 ト書き:アサトは麦わら帽子を目深に被り、足を組み、 ト書き:両手を頭にまわし枕にして、鉢のふちに寄りかかって寝そべっている。 ト書き:アサトのアゴから汗が滴り落ちる。 ト書き: ト書き:ベランダの窓がガラガラと開く。 ト書き:水が入ったジョーロを持った夕子が現れ、アサトにジョーロの先をかたむける。 ト書き:アサトは右の手のひらを夕子に向けて、 アサト:「奥さん、水はいらねえよ」 ト書き:夕子のジョーロがピタッと止まる。 夕子:「でも、でも…」 アサト:「約束したろ?俺はタカシの水しかいただかねえ。あんたが水をやったらタカシのためになんねぇ。甘やかしちゃいけねえんだ、わかるだろ?奥さん」 ト書き:夕子は片手で目元を押さえ、 夕子:「もう…タカシはどこに行ったのよ?」 アサト:「タカシかい?タカシはここんとこ朝から晩まで祐一君ちに行ってるさ。今日こそ魔法を倒すんだとよ。あれはコンピューターゲームってやつかい?」 ト書き:アサトは緑の葉っぱをくるくると巻くと、ポケットからジッポを取り出し先端に火をつける。 ト書き:丸めた葉っぱに火が付き、それを煙草のように吸うアサト。 アサト:「あれはいいな。コンピューターゲームってやつは、やり直しがきくんだろ?誤って人が死んでも、街が滅んでもリセットボタンで元通り…まったく、便利なもんだ」 ト書き:サンサンとアサトに照りつける日差し。 ト書き:アサトは麦わら帽子をくいっと持ち上げると、空を見上げ、 アサト:「ああ、しかし、いい天気だ、今年の夏は猛暑ってやつだな。ドライフラワーになるにはちょうどいい天気だ。綺麗にしおれたら部屋に飾ってくれよな…ん?」 ト書き:アサトの頭に水滴が落ちる。アサトは夕子を見上げて、 アサト:「奥さん、水はいらねえっていっただろ?」 ト書き:アサトが見上げた視線の先に夕子の顔。夕子は顔をくしゃくしゃにして、 夕子:「…やり直せないの…花はやり直せないの…」 アサト:「おいおい、大の大人が植物相手に涙なんて流すなよ?」 夕子:「…朝顔が…朝顔が枯れるのは嫌なのよ」 ト書き:夕子、目頭を押さえ肩を震わせて涙を流す。アゴを伝い、水滴が夕子を見上げたアサトの顔に落ちる。 アサト:「俺なんかのために悲しんでくれるのかい?…優しいな、あんたは」 ト書き:アサトは麦わら帽子を被りなおすと寝転がり、太陽を見上げ、 アサト:「…ああ。そういえば、あの日もこんな暑い夏の日だったな。…なぁ、奥さん、ちょっと俺の昔話を聞いてくんないかい?」 ト書き:しゃくり泣く夕子。 アサト:「代々観察植物をやってるとな、遺伝子を通していろんな情報が入ってくるのさ。…こいつは遠い昔の記憶なんだがな。その頃は今ほどモノで溢れた時代じゃなかったし、こんなシャレた鉢に寝っころがれる時代でもなかった…」 ○場面:(回想)田舎の裏庭(セピア色の映像) ト書き:田んぼと畑と一軒家が並ぶ田舎の風景。 ト書き:セミがミンミンと鳴き、雨がザアザアと降ってる。 ト書き:畑から少し離れた土の上に寝転がり空を見上げる、 ト書き:麦わら帽子を被ったスーツ姿のアサト。アサトの視界をジャノメが遮る。 ト書き:アサトが見上げると、ジャノメを持った少女が立っており、アサトを見下ろして、 少女:「えへへ、こんにちは」 ト書き:アサトはそっぽを向いて、 アサト:「馬鹿野郎、俺はいいから自分に傘させや」 ト書き:アサトの横にジャノメを置くとアサトの隣にかがむ少女。 ト書き:ノートを膝の上に広げ鉛筆を持つとアサトをスケッチする。 ト書き:アサトはそっぽを向いたまま、 アサト:「祭りの時に、婆ちゃんにせがんで買ってもらったって言ってたっけな。庭に植えると弟が悪さするからここに植えたん、だっけか?」 ト書き:アサトを見下ろしスケッチを続ける少女。アサトは少女を見上げる。 アサト:「俺が咲くのが嬉しいかい?…ああ、俺も嬉しいさ」 ○場面:(回想)田舎の裏庭(セピア色の映像) ト書き:田舎の風景。セミがミンミンと鳴く。 ト書き:雲ひとつ無い空、サンサンと輝く太陽が、土に座るアサトにジリジリと照りつける。 ト書き:アサトの周りの土はカラカラでヒビ割れている。 ト書き:顔に刺さる日差しを腕でかばい、太陽を睨んでアサトは、 アサト:「暑い…水…。あの子はまだか…」 ト書き:アサトはうつむくと、麦わら帽子を目深にかぶり、 アサト:「いや…きっと飽きちまったんだな。まぁ、人間に期待してもしょうがないか。いいさ、それなりに楽しい人生だった」 ト書き:両手を頭に回して枕にして土に寝転ぶアサト。 ト書き: ト書き:寝転ぶアサトの頭に水滴が落ちる。目を開けて帽子のツバを上げ、空を見上げると、 アサト:「…嬢ちゃん?」 ト書き:膝をついてアサトを見下ろし、大粒の涙をこぼす少女。 少女:「ごめんなさい!ごめんなさい!わたし…ごめんなさい!」 ト書き:水滴が少女を見上げたアサトの頬に、ポタリポタリと垂れる。 ○場面:タカシの部屋のベランダ ト書き:アサトは太陽を見上げたまま、 アサト:「馬鹿な嬢ちゃんさ。雨の中傘もささねえから夏風邪引いて寝込んじまったのさ」 ト書き:両手で顔を抑えたままの夕子。 アサト:「でもな、この嬢ちゃんはどんな大人になるんだろう…出来ることならもう一度巡り会いてぇ、薄れ行く意識のなか、ぼんやり願ったもんさ。植物の分際でな」 ト書き:ふふんと笑うアサト。夕子は両手を口元にあてアサトを見下ろすと、 夕子:「あなた…もしかして…あの時の…」 アサト:「なぁ、夕子。俺たちな、枯れることは別に恐くねぇんだ。ただ…恐いのはそいつをなんとも思わねえことさ。じゃあねえと俺たち、なんで生きてたかわからねえ」 ト書き:アサトは麦わら帽子のつばを上げると振り返り、夕子を見上げて、 アサト:「なぁ、頼むよ。俺の変わりにちゃんと教えてやってくれねえかい?あの坊主に、あんたの今の気持ちを…生き物を育てることの本当の意味をさ?」 ○場面:タカシの部屋のベランダ(夕) ト書き:夕焼けが照らすベランダ。セミがシクシクボーシと鳴いている。 ト書き: ト書き:アサトは麦わら帽子を目深にかぶり、青いプラスチックの鉢の上に大の字で仰向けに寝ている。 ト書き:両手はだらんと投げ出され、手のひらが軽く開いているが身動きひとつしない。 ト書き:窓がガラガラと開き、木下タカシ(6)が窓から顔を出す。 ト書き:タカシはアサトの寝ている鉢と見下ろすと『しまった』という顔で、 タカシ:「あちゃー、これもうダメじゃん!」 ト書き:タカシはガラガラと窓を閉める。 ト書き:部屋のドアを開ける音がして、階段をドタドタと駆け下りていく。 タカシ:「お母さーん、朝顔が枯れちゃったー!どうして教えてくれなかったのー? これじゃ、ゆうくんに負けちゃうよー!朝顔ってどこで売ってるの?お母さーん?」 ト書き:青い鉢の上、アサトは麦わら帽子を目深に被り、仰向けに寝たまま、 アサト:「夕子…いいおっかさんに…なれよ」 ト書き:夕暮れ時、セミがシクシクと鳴いている。 ト書き: ト書き:「『生き物を育てる』ということを体を張って伝えるアサトの生き様を描く。それは、お母さんになった夕子の夏休みの宿題」