台本概要

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タイトル #2 スカウティング・ヴィラン~カメレオントラップ編~
作者名 あまね  (@Amane_1115a)
ジャンル その他
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 カメレオン
周りの背景に溶け込み自分の身を紛れ込ませる。
そいつは、いつの間にかあなたの身近に潜んでいる。
あなたの隣にいるのは、本当にあなたの知っている人ですか?

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ショコラ 66 ヴィランが巣食うホテルの受付。
マニーニャ 54 とあるヴィラングループのスカウト担当。見た目は優男だが中身はクズ。
タルボ 87 マニーニャの相棒。口は悪いが比較的優しい。
メル 63 ショコラの友人、武器屋を営んでいる
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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カメレオン 周りの背景に溶け込み自分の身を紛れ込ませる。 そいつは、いつの間にかあなたの身近に潜んでいる。 あなたの隣にいるのは、本当にあなたの知っている人ですか? メル:「誰にも嫌われたくない。」 マニーニャ:「へぇ、そうなんだ。君を好きな人なんてこの世にいるのかなぁ。」 メル:「もう誰かに捨てられるのはヤダ。」 マニーニャ:「えぇ?誰も君みたいな汚い野良犬、拾ってないと思うけど。」 メル:「お願い、私が必要だって言って、、」 マニーニャ:「君ほど無価値な人間、いるのかなぁ。」 メル:「みんな私のことが嫌い、みんな私を必要としてくれない、、」 マニーニャ:「そう・・・僕以外はね。」 メル:「私にはあなただけ、あなたさえいればっ、、、」 マニーニャ:「おいで、僕だけが君を愛してあげるよ。そのかわり・・・」 メル:「何でもしますっ!だからおねがぃ、私を愛してっ、、、」 0: 0:ホテルのロビー タルボ:「おい、おいマニーニャ!」 マニーニャ:「、あぁ、タルボ・・・。」 タルボ:「珍しいな、お前がこんな所で居眠りなんて。」 マニーニャ:「昨日、ちょっと調べ物をしていてね、、(あくびをしながら)」 タルボ:「調べ物ぉ?何だよ、次のターゲットか?」 マニーニャ:「残念ながら、ボスからはまだ何の連絡もないよ。」 タルボ:「やっぱ怒ってんじゃねぇーの?バレンタインナイトを逃したから。」 マニーニャ:「どうだろう・・・。まぁ、少しでもボスの機嫌をとるために、最近のヴィラン情報を集めてたんだけど、、、。」 タルボ:「へぇ、やるな。んで?なんかおもしろそーな奴いたか?」 マニーニャ:「生憎(あいにく)、僕の心に刺さるような子は一人もいなくてね。」 タルボ:「あぁ?」 マニーニャ:「ヴィランが起こした事件も一通り見たけど、どれも似たようなものばかり。個性や信念をまるで感じなかったよ。」 タルボ:「出たよ、キャラ設定厨。」 マニーニャ:「あぁ、でも一人興味深い子がいたなぁ。」 タルボ:「おっ、いいじゃねーか。誰だ?バッドドラッグか?いや、最近だとスターボマーも熱いんだよな。」 マニーニャ:「・・・カメレオントラップ。」 タルボ:「、、、誰だそれ。」 マニーニャ:「最近噂になっているヴィランだよ。スパイ活動に特化してて、誰にも気付かれることなくファミリーや組織の中に潜入しているらしい。変装や声を変えるのもお手の物で、いつの間にか日常生活に紛(まぎ)れ込む。ある時は仲間や友人、ある時は恋人、そして挙句の果てには家族まで、、、。周りに溶け込むのが上手いらしくてね、、誰も彼女の存在に気付かない。まるで背景の色に溶け込むカメレオンのように、見つけるのが難しいらしいよ。」 タルボ:「なるほど、潜入してターゲットの周りに忍び込むのか。怖ぇだろうな、目の前にいる奴が、ほんとに自分の知っている奴なのか。それともカメレオンなのか。」 マニーニャ:「元々はハニートラップが得意だったらしいけど、何年か前からシフトチェンジしたみたいだねぇ。噂では任務に失敗して体に傷をつけられ、色仕掛けができなくなったとか・・・。」 タルボ:「噂ばっかだな。」 マニーニャ:「仕方ないよ、最近活躍しだしたニューフェイスだから、情報が少ないのは当たり前さ。さて、仮眠もとれたし、そろそろ動くかなぁ。」 タルボ:「あ?どっか行くのか?」 マニーニャ:「ちょっとこのカメレオントラップで気になることがあってね・・・。何日か留守にするよ。」 タルボ:「おぅおぅ、ご苦労さん。ったく、呑気なもんだな。」 マニーニャ:「出る前にショコラに会いたかったけど・・・ショコラは?」 タルボ:「あいつなら出かけたぜ。死体処理に必要な薬品やら火薬やら買いに。」 マニーニャ:「そっか、、、まぁいいか。なるべくすぐ戻るよ。」 タルボ:「へいへい、いってらー。」 マニーニャ:「あ、そうだタルボ。僕が手に入れた情報によると、どうやらカメレオンの次のターゲットは、バレンタインナイトみたいだよ。」 タルボ:「・・・はぁ?」 マニーニャ:「僕がいない間頼んだよ、用心棒くん。」 0: 0: ショコラ:「ただいま戻りました。すみませんタルボさん、留守をまかせてしまって。」 メル:「、こんにちは」 タルボ:「おー。また随分買い込んだなぁ、、、あ?何だそのガキ。」 ショコラ:「ちょっとタルボさん!失礼でしょ!メルさんは私の行きつけのお店の看板娘ですよ。」 タルボ:「看板娘ぇ?こいつが?」 メル:「メ、メルです。よろしくお願いします!」 タルボ:「・・・お前の行きつけの店って、そっち関係の?」 ショコラ:「?えぇ、いつも使う薬品や、ドラッグ、爆弾もメルさんのお店で買ってます。」 タルボ:「このガキがそんなやべぇ店にいんのか、、、。」 ショコラ:「ガキって・・・。メルさんは見た目はか弱い女の子ですけど、私なんかよりよっぽど強いですよ。」 タルボ:「はぁ?!このでこぴんで吹っ飛んで行きそうなガキが?お前より??」 メル:「・・・あなたに比べれば誰だって子供に見えますよ。それとも、試してみますか?私得意なんですよ、口だけ達者な木偶の坊(でくのぼう)を倒すの。」 タルボ:「あ?おもしれー、随分でけぇ口叩くじゃねーか。」 メル:「むかつくんですよねぇ、見た目で判断されるの。父さんが言ってました。舐めた態度とる奴はぶっ殺せ、って。」 タルボ:「はっ、てめぇの親父とは気が合いそうだぜ。」 ショコラ:「ちょっとちょっと!!なんでいきなり臨戦態勢に入ってるんですか!二人ともこんな所で殺意出さないでくださいよ!」 メル:「あ、ごめんね、ショコラちゃん。」 タルボ:「止めんなよチビ。」 ショコラ:「止めますよ!何度も言っているけど、私のホテルで暴れないでください。ただでさえ死体処理とか業務外の事もやってるのに。これ以上面倒ごとを増やすなら、追加料金いただきますよっ。」 タルボ:「っち。命拾いしたな、ガキ。」 メル:「そっちこそ。」 ショコラ:「はぁ・・・メルさん、一緒に荷物を運んでくれたのにすみません。うちのタルボさんが失礼なことを。」 メル:「ううん、大丈夫だよ。ショコラちゃんはお得意様だし!じゃぁ私、そろそろ戻るね。お父さんがうるさいから!」 ショコラ:「はい、ありがとうございました!またお邪魔しますね。・・・もうっタルボさん。年下の女の子にムキになるのやめてくださいよ、いい大人なんですから。」 タルボ:「おいチビ。」 0:タルボ、ショコラの頬を両手で引っ張る。 ショコラ:「え?なんですかっていひゃいれふ、ひょ、はるほさんっ!!」 タルボ:「・・・お前、ショコラだよな。」 ショコラ:「なんですか急に!痛いじゃないですかっ」 タルボ:「いや、別に・・・っち、マニーニャが変なこと言うから。」 ショコラ:「マニーニャさん?あれ、そういえばマニーニャさんはどこに、、。」 タルボ:「あいつなら出てる。しばらく留守にするそうだ。」 ショコラ:「あ、そうなんですね。わかりました。」 タルボ:「・・・お前、当分一人で出歩くなよ。」 ショコラ:「どうしてですか?」 タルボ:「どうしてもだ。何か外に用があるなら俺に言え。面倒くせぇが付き合ってやる。」 ショコラ:「えぇ?大丈夫ですよ。護身用の銃ならいつでも持ち歩いてますし、」 タルボ:「・・・持ってても意味ねぇだろ。お前は、、バレンタインナイトは2月14日にしか人を殺さない。しかも、この街で女を殺した奴しかヤれねぇーんだろ。」 ショコラ:「、確かに、そうですけど。別に、殺さなくても、」 タルボ:「あめぇーんだよ。ヴィラン相手にそんな生温(なまぬる)い事言ってると、寝首かかれっぞ。」 ショコラ:「・・・だけど私は、バレンタイン以外に人を殺すのはちょっと、、。自分が決めたルールに縛られてるのはわかってるんですけど、やっぱりブレーキがかかってしまって。」 タルボ:「つまんねーな。ルールだのなんだの。殺したい奴は殺す、やりたいことは我慢しねー。シンプルが一番なのによぉ。」 ショコラ:「それじゃあただの無差別殺人じゃないですか。ほんとにタルボさんは野蛮なんだから。」 タルボ:「なんだとチビ。ぶっ殺すぞ。」 0: 0:ロビーの天井裏に潜むメル メル:「なんだとチビ。ぶっ殺すぞ、、んんっ、もう少し低くか、あー、あー、(男性の声に合わせるように段々低く)」 タルボ:「(メルのセリフですがここだけタルボ役の方が読んでください)なんだとチビ。ぶっ殺すぞ。」 メル:「んー、やっぱり男の声は難しいなぁ。結局、バレンタインナイトに一番近付けるのは、武器屋のメルだけかなぁ。しょうがない、時間もないし、このままやってみるかぁ。」 0: 0:数日後、ホテルのロビー タルボ:「あーっマニーニャの奴、連絡もよこさないで何やってんだよ、、、」 ショコラ:「タルボさん、おはようございます。すみません、今日はホテルお休みなので、用心棒は大丈夫ですよ。」 タルボ:「あ?休み?」 ショコラ:「はい、何でも、新しい武器が手に入ったから試してほしいってメルさんから連絡がきまして。」 タルボ:「へぇ、おもしろそうじゃねーか。俺も見てやるよ。」 ショコラ:「えぇ?できれば二人きりがいいって言われたんですけど。」 タルボ:「冷たいこと言うなよ。武器の扱いなら、俺の方が上だろ。」 ショコラ:「、それはそうですけど。」 メル:「こんにちはぁ!」 ショコラ:「あ、メルさん。こんにちは、来ていただいてありがとうございます。」 メル:「いいのいいの、どうせ店は暇だし、って、、その人。」 ショコラ:「すみません、タルボさんも新しい武器に興味があるみたいで。」 タルボ:「よぉガキ。俺のことは気にせずやってくれよ。」 メル:「・・・ショコラちゃんと二人きりがよかったのになぁ。」 タルボ:「あ?俺がいたら何か都合の悪いことでもあんのか?」 メル:「そうですね、少なくとも。人の神経逆(さか)なでする人がいたら、うっかり新しい武器の実験台にしちゃうかも、なんて。」 タルボ:「言うじゃねーかガキのくせによぉ。」 ショコラ:「タルボさん。いい加減にしてください。邪魔するなら私も怒りますよ。」 タルボ:「へーへー。」 メル:「・・・ふぅ、まぁ大丈夫かなぁ。じゃあショコラちゃん。早速紹介していくね。」 ショコラ:「お願いします!」 メル:「まずは、あ、ごめんショコラちゃん。このお香焚(た)いてもいい?」 ショコラ:「、それ、確か最近メルさんのお店でも使ってるものですよね?」 メル:「そうそう、何だか最近これがないと調子が出なくて、」 ショコラ:「いいですよ、私は全然。タルボさんは、」 タルボ:「俺そーいう変に甘い匂い嫌いなんだけど。」 ショコラ:「タルボさんは気にしないでください。」 タルボ:「だったら聞くなっ。」 メル:「ふふ、ありがとう。」 0:   0:お香の甘い匂いが充満するロビーで、一通り武器の説明を聞く 0:   メル:「そして、これは超強力な睡眠薬。一滴でアフリカゾウも爆睡しちゃう最新作だよ。」 ショコラ:「わぁ、これいいなぁ。無味無臭だから、相手に気付かれないですね。」 メル:「あ、素手で触ったらだめだよ、皮膚からも吸収するから。」 ショコラ:「すごい強力ですね、、、んーっ、今のところ気になったのはこの睡眠薬と、壁についた血液もとれる洗剤かなぁ。」 メル:「毎度ぉ。あ、あと最後に聞きたいことがあるんだけど。」 ショコラ:「なんですか?」 メル:「今から私の言うこと、何でも聞いてくれる?」 タルボ:「、おい。」 ショコラ:「何でも、、?」 メル:「そう何でも。聞いてくれるよね、ショコラちゃん。」 タルボ:「おいチビ!」 ショコラ:「、タルボさn」 メル:「こっちを見てショコラちゃん。私の声だけ聞いて。」 ショコラ:「、ぁ」 メル:「そう、周りは気にしないで、私の目を見て、頭を空っぽにして。ショコラちゃんはいい子だから、私の言うこと何でも聞いてくれるよね。」 ショコラ:「わたしは、いい子、」 メル:「いい子だね。ゆっくり深呼吸して、」 タルボ:「おい、ガキ。どーいうつもりだ?」 メル:「・・・はぁ、だから二人きりがよかったのに。邪魔しないでくれますか?」 タルボ:「質問に答えろ。チビに何しやがった。」 メル:「簡単な催眠術ですよ。このお香があれば、素人の中途半端な催眠でも簡単にかかってくれる。」 タルボ:「お前、一体何が目的だ。」 メル:「この子がほしいだけです。大丈夫、殺しはしません。」 タルボ:「残念だがこいつは俺らのターゲットだ。手ぇ出すんじゃねぇ。」 メル:「・・・なるほど、やっぱり同業でしたか。それなら尚更、この子をご主人様のもとへ連れて行かないと。」 タルボ:「あ?てめぇ、どこのファミリーだ。」 メル:「私はカメレオン。あなたの隣人であり恋人であり、赤の他人です。」 タルボ:「カメレオントラップ・・・。」 メル:「お喋りはここまで。この催眠も長い時間もちませんので。さぁ行こうかショコラちゃん。」 ショコラ:「はい、」 タルボ:「逃がすと思うか?」 メル:「捕まえられると思うの?」 タルボ:「殺す。」 メル:「ふふ、私を殺したら、ショコラちゃんはずっとこのままだよ?」 タルボ:「は?」 メル:「催眠や洗脳は最近覚えてねぇ、素人の付け焼刃だから、このままだと中途半端に催眠がかかった状態で、」 タルボ:「おいチビ!ショコラ!!目ぇ覚ませ!」 メル:「・・・無駄だって。ここまで来たら、私しか解けないよ。」 タルボ:「っくそ、おい、殺されたくなかったらさっさとこいつを元に戻せ!」 メル:「あははははははは、立場が逆でしょう?」 0:   マニーニャ:「随分楽しそうなことやってるじゃないか。」 タルボ:「、マニーニャ!」 メル:「・・・誰?」 マニーニャ:「やぁタルボ、遅くなってごめんねぇ。」 タルボ:「マニーニャ、チビがやべぇ!」 マニーニャ:「うんうん、なんとなく理解したよ。君が噂のカメレオントラップかな?」 メル:「初めまして。覚えてくれなくていいよ。どうせ明日には顔も声も別人になってるからね。」 マニーニャ:「なるほど、やっぱり今の姿も声も、君のものではないんだね。いいねぇ君のその設定、こんな状況じゃなかったら思わず口説いていたよ。」 メル:「設定?」 マニーニャ:「見た目も声も、性格も、今は武器屋のメルなんだろ。だったら君の本質も見たいんだけど、、、まずは自己紹介でもしようよ。僕はマニーニャ。君の名前は?」 メル:「私はカメレオン。カメレオントラップ。今はメルよ。」 マニーニャ:「カメレオンも本当の名前じゃないんだろ?ヴィラン名じゃなくて、君の名前は?」 メル:「、私の名前は、」 マニーニャ:「まさか名前が無いなんてことないだろ?さぁ、勿体ぶらずに教えてよ。」 メル:「私は、カメレオンよ。それ以外の名前なんて、」 マニーニャ:「まさか捨てたというのかい?・・・あぁそうか、捨てさせたのは僕だったね。」 メル:「、?さっきから一体何を、」 マニーニャ:「まだわからないのかい?ご主人様の顔も忘れてしまうなんて、、、君はほんとにダメな犬だなぁ。」 メル:「、、ご、しゅじ、、やめろ!あ、たまが、、、」 タルボ:「おい、マニーニャ?」 マニーニャ:「どうやら思い出してきたみたいだね。」 メル:「お前、まさか、っあのときの、」 マニーニャ:「犬が人間の言葉を使うなんて滑稽だ、おすわり。」 メル:「っ、」 0:  メル、その場で跪(ひざまず)く 0:   タルボ:「一体、何が、」 マニーニャ:「迷惑かけたねタルボ、ショコラ。もう大丈夫、目を覚ましなよショコラ。」 ショコラ:「、あ、マニーニャさ、ん?」 マニーニャ:「そうだよ、久しぶり。ショコラは本当に人気者だね、僕たちだけじゃなく、他のヴィランにも狙われるなんて。」 ショコラ:「、狙われ?なんだか、私、ぼーっとしてて、、え、メルさん?どうしt」 タルボ:「近づくな。あぶねーぞ。」 ショコラ:「タルボさん、これは一体、何があったんですか?」 タルボ:「・・・俺もよくわかんねーよ。説明しろ、マニーニャ。」 マニーニャ:「あはは、ごめんごめん。実はここ数日、気になることがあってね。カメレオントラップについて調べてたんだ。ハニートラップを専門としていたカメレオンが、数年前からシフトチェンジしたことがひっかかって。」 メル:「っはぁ、はぁ、ごめんなさいごめんなさいたすけて、(小声でボソボソと)」 マニーニャ:「実は数年前、僕のもとへ一人の少女がやってきてね、なんてことはない、ただの敵対していたファミリーのハニートラップだったんだけど。捕まえてボスの目的を吐かせようといろんなことを試したんだ。」 ショコラ:「、、いろんなこと。」 マニーニャ:「そ。軽い拷問だけどさ、なかなか口を割らないものだから、趣向を変えて催眠、洗脳を彼女にかけたんだけど。やっぱり僕って天才だから、何かうまくいっちゃってさぁ。」 メル:「わたしはわるいこです、ゆるしてください、ご主人様、わたしは、」 マニーニャ:「ちょっと過去のトラウマを聞いて、精神的に追い詰めたら壊れちゃったんだ。」 メル:「みんなわたしのことが嫌い、だれも愛してくれない、」 マニーニャ:「真っ白になってしまった彼女が、何でも言うことを聞くもんだから、おもしろくなっちゃって。つい、魔が差しちゃってさぁ。この状態でボスのもとへ返したらどうなるんだろう。飼い犬に手を噛まれた時の顔を想像したらたまらなくなっちゃって。」 タルボ:「っんとに悪趣味だな、」 ショコラ:「、、同感です。ほんとに最低ですね。」 マニーニャ:「最大の誉め言葉だね。そして、君の元飼い主を殺せたら、また可愛がってあげるって言って解放したんだ。その後何のアクションもなかったから、てっきり死んだかと思ってたけど・・・相手のボスの方が一枚上手(うわて)だったみたいだね。まさかこんなに素敵な設定のヴィランになって帰ってくるなんて。」 タルボ:「おい、てめぇがどうしようもないクズってことはわかった。それより、こいつどうすんだ。」 マニーニャ:「どうしようかなぁ。もう一回調教してあげようか、」 メル:「っひ、いや、もういや、たすけてっ、、あれは、アレはもうっ!」 マニーニャ:「うんうん、楽しみだねぇ。泣かなくてもいいだろ、君もあんなに喜んでたじゃないか。」 ショコラ:「・・・マニーニャさん。」 マニーニャ:「なんだい、ショコラ。君も混ざりたい?」 ショコラ:「こんな時に冗談はやめてください。それより、その人に聞きたいことがあります。」 メル:「っなに、いや、来ないで、」 ショコラ:「・・・本物のメルさんはどこに?」 メル:「あぁ、だれか、助けて、、、いい子にします、捨てないで」 ショコラ:「っ答えてください!メルさんは!あなたは一体いつからメルさんに成り代わっていいたんですか?!」 タルボ:「おいチビ。無駄だ、」 ショコラ:「タルボさんっ!離してください!メルさんはっ、そこらへんのヴィランにやられるほど弱くないっ!メルさんはっ」 マニーニャ:「(かぶせるように)死んでるだろうね。」 ショコラ:「っ、、、嘘だ、」 タルボ:「チビ。お前がよくわかってんだろ。この世界、邪魔な奴を殺さない方がおかしい。その武器屋のメルが生きている可能性はほぼ0だ。諦めろ。」 0:ショコラ、メルの胸元をつかむ ショコラ:「カメレオントラップ!!答えなさい!あなたは一体何が目的なの!?私に用があるなら直接来なさいよ!」 メル:「またひとり、わたしはひとりぼっち、、、(正気を失ったように)」 マニーニャ:「やめなよショコラ。今のそいつに聞いてもわからないよ。」 ショコラ:「よくも、よくもメルさんをっ、、、」 タルボ:「・・・おいチビ。冷静になれよ。見知った奴がヴィランに殺されるなんて日常茶飯事だろ。」 ショコラ:「、メルさんは、この街で唯一の友人でしたっ、それをっ、」 タルボ:「はっ、友人ねぇ。気持ち悪ぃ、お前それでもヴィランかよ。メソメソしやがって。」 ショコラ:「っ私は!!ヴィランなんかじゃっ、、」 タルボ:「あ?」 ショコラ:「っ」 タルボ:「、、やっぱりなぁ。なーんかおかしいと思ったんだ。」 ショコラ:「、タルボさ」 タルボ:「お前、何か勘違いしてんだろ。」 ショコラ:「なに、を」 タルボ:「おいバレンタインナイト。お前は今まで何人殺した?女を狙った犯罪者を数えきれない位ヤってきたんだろ?それなのに、いつまで一般人面してんだ?あぁ?誇れよ、お前は立派なヴィラン。俺たちと同じ、犯罪者だ。」 ショコラ:「っ、一緒にしないでください、私は、タルボさんみたいに誰彼構わず殺すような、」 タルボ:「おんなじだろ!(笑いながら)どっちも世間一般的に見て、死んだほうがいいクズなんだよ!たとえお前が一部から騎士(ナイト)だと崇(あが)められてようと!根は腐った人でなしなんだよ!」 マニーニャ:「そうだねぇ、それに関してはタルボと同意見かな。」 ショコラ:「マニーニャさんまで、、、」 マニーニャ:「いいじゃないか、ヴィラン。どうせ人を殺したって事実は消えないんだ。だったら開き直って楽しもうよ。」 ショコラ:「・・・言いましたよね。私は、バレンタイン以外はただのショコラだって。2月14日以外は、ただのホテルの受付。そんなことを言われても困ります。」 タルボ:「ただのホテルの受付が死体処理なんてするかよ。」 マニーニャ:「もうやめなよタルボ。これ以上ショコラを攻めても意味ないだろ。それより、こっちをどうにかしないと・・・。」 タルボ:「ふん、、、どーすんだよそいつ。ボスに引き渡すか?お前がまた洗脳でも催眠でもかければ、いい駒にはなるんじゃねーの。」 マニーニャ:「そうだねぇ、誰の差し金なのか、洗いざらい吐いてもらってそれでも使えそうだったら考えるよ。さ、積もる話もたくさんあるから、僕の部屋に行こうか。」 メル:「ぁ、あ、いや、」 マニーニャ:「いや?今もしかして嫌って言ったのかな。はぁ、もう一度イチから調教しなおしだね。ほら、君のお気に入りのお香も使ってあげるから。」 メル:「あぁ、やだゃだ、ショコラちゃ、たすけ」 マニーニャ:「返事は?」 メル:「っひ、、は、はぃ、」 マニーニャ:「よしよし、いい子。じゃあショコラ、タルボ。この子は預かるから安心して。」 タルボ:「、、、ほどほどにな。ちゃんと情報吐かせてから遊べよ。」 マニーニャ:「わかってるよ、さぁ、久しぶりだなぁ、」 0:     ショコラ:「、、、私は、武器屋に行ってきます。」 タルボ:「・・・メルがカメレオンなら、そいつの親父も本物かどうかわかんねーぞ。」 ショコラ:「だからこそ、確かめに行かないと、」 タルボ:「はぁーあ。しょうがねぇ。付き合ってやるか。」 ショコラ:「いいです、ひとりで行けますよ。」 タルボ:「強がるなよ。さっきのこと怒ってんのか?」 ショコラ:「っ、、」 タルボ:「顔見知りが次の日には消えている、隣にいる奴がいつの間にか敵になっている。大事なものをなくしたことに気付かずに生きていく。この街じゃそれが日常だろうが。」 ショコラ:「・・・そんな日常、イヤですよ。」 タルボ:「だったら変えてみな。この街で普通の顔してホテルの受付やってるお前が、一番異常だと俺は思うけどな。」 ショコラ:「無差別殺人者に言われたくないです。」 タルボ:「あぁ?また生意気言って、よっぽど死にたいらしいなぁ。」 ショコラ:「ぁいたたたっ、もう!!毎回頬をつねらないでください!」 タルボ:「おらさっさと行くぞ。帰ってくる頃には、お前を狙っている組織もわかってんだろ。」 ショコラ:「、、はぁい。」 0:  0:  メル:―私は一体、どこで間違えたんだろう、、誰にも嫌われたくないから、自分を隠して、誰かの好きな人になりたくていい子を演じて、、、そしていつの間にかほんとの自分がわからなくなって。顔も、髪も、体も声も変えて、私は、だれ、これは、誰が愛した人?わからない、もう何も考えられない、、、、最後に見えた男の笑顔は、悪魔よりも恐ろしく見えて、まっしろになった マニーニャ:「あれ?おーい、もう壊れちゃった?案外早かったなぁ、、、まぁ、バレンタインナイトを狙っていた奴がわかったからよしとするか。それにしても、うちのボスやこいつの組織に狙われるショコラって・・・ほんとに何者なんだろ、、。」 0:  ショコラ:「あ、タルボさん。これからは死体処理1件につき10万円取ることにしたので。」 タルボ:「やっぱ根に持ってんなぁチビ!!」

カメレオン 周りの背景に溶け込み自分の身を紛れ込ませる。 そいつは、いつの間にかあなたの身近に潜んでいる。 あなたの隣にいるのは、本当にあなたの知っている人ですか? メル:「誰にも嫌われたくない。」 マニーニャ:「へぇ、そうなんだ。君を好きな人なんてこの世にいるのかなぁ。」 メル:「もう誰かに捨てられるのはヤダ。」 マニーニャ:「えぇ?誰も君みたいな汚い野良犬、拾ってないと思うけど。」 メル:「お願い、私が必要だって言って、、」 マニーニャ:「君ほど無価値な人間、いるのかなぁ。」 メル:「みんな私のことが嫌い、みんな私を必要としてくれない、、」 マニーニャ:「そう・・・僕以外はね。」 メル:「私にはあなただけ、あなたさえいればっ、、、」 マニーニャ:「おいで、僕だけが君を愛してあげるよ。そのかわり・・・」 メル:「何でもしますっ!だからおねがぃ、私を愛してっ、、、」 0: 0:ホテルのロビー タルボ:「おい、おいマニーニャ!」 マニーニャ:「、あぁ、タルボ・・・。」 タルボ:「珍しいな、お前がこんな所で居眠りなんて。」 マニーニャ:「昨日、ちょっと調べ物をしていてね、、(あくびをしながら)」 タルボ:「調べ物ぉ?何だよ、次のターゲットか?」 マニーニャ:「残念ながら、ボスからはまだ何の連絡もないよ。」 タルボ:「やっぱ怒ってんじゃねぇーの?バレンタインナイトを逃したから。」 マニーニャ:「どうだろう・・・。まぁ、少しでもボスの機嫌をとるために、最近のヴィラン情報を集めてたんだけど、、、。」 タルボ:「へぇ、やるな。んで?なんかおもしろそーな奴いたか?」 マニーニャ:「生憎(あいにく)、僕の心に刺さるような子は一人もいなくてね。」 タルボ:「あぁ?」 マニーニャ:「ヴィランが起こした事件も一通り見たけど、どれも似たようなものばかり。個性や信念をまるで感じなかったよ。」 タルボ:「出たよ、キャラ設定厨。」 マニーニャ:「あぁ、でも一人興味深い子がいたなぁ。」 タルボ:「おっ、いいじゃねーか。誰だ?バッドドラッグか?いや、最近だとスターボマーも熱いんだよな。」 マニーニャ:「・・・カメレオントラップ。」 タルボ:「、、、誰だそれ。」 マニーニャ:「最近噂になっているヴィランだよ。スパイ活動に特化してて、誰にも気付かれることなくファミリーや組織の中に潜入しているらしい。変装や声を変えるのもお手の物で、いつの間にか日常生活に紛(まぎ)れ込む。ある時は仲間や友人、ある時は恋人、そして挙句の果てには家族まで、、、。周りに溶け込むのが上手いらしくてね、、誰も彼女の存在に気付かない。まるで背景の色に溶け込むカメレオンのように、見つけるのが難しいらしいよ。」 タルボ:「なるほど、潜入してターゲットの周りに忍び込むのか。怖ぇだろうな、目の前にいる奴が、ほんとに自分の知っている奴なのか。それともカメレオンなのか。」 マニーニャ:「元々はハニートラップが得意だったらしいけど、何年か前からシフトチェンジしたみたいだねぇ。噂では任務に失敗して体に傷をつけられ、色仕掛けができなくなったとか・・・。」 タルボ:「噂ばっかだな。」 マニーニャ:「仕方ないよ、最近活躍しだしたニューフェイスだから、情報が少ないのは当たり前さ。さて、仮眠もとれたし、そろそろ動くかなぁ。」 タルボ:「あ?どっか行くのか?」 マニーニャ:「ちょっとこのカメレオントラップで気になることがあってね・・・。何日か留守にするよ。」 タルボ:「おぅおぅ、ご苦労さん。ったく、呑気なもんだな。」 マニーニャ:「出る前にショコラに会いたかったけど・・・ショコラは?」 タルボ:「あいつなら出かけたぜ。死体処理に必要な薬品やら火薬やら買いに。」 マニーニャ:「そっか、、、まぁいいか。なるべくすぐ戻るよ。」 タルボ:「へいへい、いってらー。」 マニーニャ:「あ、そうだタルボ。僕が手に入れた情報によると、どうやらカメレオンの次のターゲットは、バレンタインナイトみたいだよ。」 タルボ:「・・・はぁ?」 マニーニャ:「僕がいない間頼んだよ、用心棒くん。」 0: 0: ショコラ:「ただいま戻りました。すみませんタルボさん、留守をまかせてしまって。」 メル:「、こんにちは」 タルボ:「おー。また随分買い込んだなぁ、、、あ?何だそのガキ。」 ショコラ:「ちょっとタルボさん!失礼でしょ!メルさんは私の行きつけのお店の看板娘ですよ。」 タルボ:「看板娘ぇ?こいつが?」 メル:「メ、メルです。よろしくお願いします!」 タルボ:「・・・お前の行きつけの店って、そっち関係の?」 ショコラ:「?えぇ、いつも使う薬品や、ドラッグ、爆弾もメルさんのお店で買ってます。」 タルボ:「このガキがそんなやべぇ店にいんのか、、、。」 ショコラ:「ガキって・・・。メルさんは見た目はか弱い女の子ですけど、私なんかよりよっぽど強いですよ。」 タルボ:「はぁ?!このでこぴんで吹っ飛んで行きそうなガキが?お前より??」 メル:「・・・あなたに比べれば誰だって子供に見えますよ。それとも、試してみますか?私得意なんですよ、口だけ達者な木偶の坊(でくのぼう)を倒すの。」 タルボ:「あ?おもしれー、随分でけぇ口叩くじゃねーか。」 メル:「むかつくんですよねぇ、見た目で判断されるの。父さんが言ってました。舐めた態度とる奴はぶっ殺せ、って。」 タルボ:「はっ、てめぇの親父とは気が合いそうだぜ。」 ショコラ:「ちょっとちょっと!!なんでいきなり臨戦態勢に入ってるんですか!二人ともこんな所で殺意出さないでくださいよ!」 メル:「あ、ごめんね、ショコラちゃん。」 タルボ:「止めんなよチビ。」 ショコラ:「止めますよ!何度も言っているけど、私のホテルで暴れないでください。ただでさえ死体処理とか業務外の事もやってるのに。これ以上面倒ごとを増やすなら、追加料金いただきますよっ。」 タルボ:「っち。命拾いしたな、ガキ。」 メル:「そっちこそ。」 ショコラ:「はぁ・・・メルさん、一緒に荷物を運んでくれたのにすみません。うちのタルボさんが失礼なことを。」 メル:「ううん、大丈夫だよ。ショコラちゃんはお得意様だし!じゃぁ私、そろそろ戻るね。お父さんがうるさいから!」 ショコラ:「はい、ありがとうございました!またお邪魔しますね。・・・もうっタルボさん。年下の女の子にムキになるのやめてくださいよ、いい大人なんですから。」 タルボ:「おいチビ。」 0:タルボ、ショコラの頬を両手で引っ張る。 ショコラ:「え?なんですかっていひゃいれふ、ひょ、はるほさんっ!!」 タルボ:「・・・お前、ショコラだよな。」 ショコラ:「なんですか急に!痛いじゃないですかっ」 タルボ:「いや、別に・・・っち、マニーニャが変なこと言うから。」 ショコラ:「マニーニャさん?あれ、そういえばマニーニャさんはどこに、、。」 タルボ:「あいつなら出てる。しばらく留守にするそうだ。」 ショコラ:「あ、そうなんですね。わかりました。」 タルボ:「・・・お前、当分一人で出歩くなよ。」 ショコラ:「どうしてですか?」 タルボ:「どうしてもだ。何か外に用があるなら俺に言え。面倒くせぇが付き合ってやる。」 ショコラ:「えぇ?大丈夫ですよ。護身用の銃ならいつでも持ち歩いてますし、」 タルボ:「・・・持ってても意味ねぇだろ。お前は、、バレンタインナイトは2月14日にしか人を殺さない。しかも、この街で女を殺した奴しかヤれねぇーんだろ。」 ショコラ:「、確かに、そうですけど。別に、殺さなくても、」 タルボ:「あめぇーんだよ。ヴィラン相手にそんな生温(なまぬる)い事言ってると、寝首かかれっぞ。」 ショコラ:「・・・だけど私は、バレンタイン以外に人を殺すのはちょっと、、。自分が決めたルールに縛られてるのはわかってるんですけど、やっぱりブレーキがかかってしまって。」 タルボ:「つまんねーな。ルールだのなんだの。殺したい奴は殺す、やりたいことは我慢しねー。シンプルが一番なのによぉ。」 ショコラ:「それじゃあただの無差別殺人じゃないですか。ほんとにタルボさんは野蛮なんだから。」 タルボ:「なんだとチビ。ぶっ殺すぞ。」 0: 0:ロビーの天井裏に潜むメル メル:「なんだとチビ。ぶっ殺すぞ、、んんっ、もう少し低くか、あー、あー、(男性の声に合わせるように段々低く)」 タルボ:「(メルのセリフですがここだけタルボ役の方が読んでください)なんだとチビ。ぶっ殺すぞ。」 メル:「んー、やっぱり男の声は難しいなぁ。結局、バレンタインナイトに一番近付けるのは、武器屋のメルだけかなぁ。しょうがない、時間もないし、このままやってみるかぁ。」 0: 0:数日後、ホテルのロビー タルボ:「あーっマニーニャの奴、連絡もよこさないで何やってんだよ、、、」 ショコラ:「タルボさん、おはようございます。すみません、今日はホテルお休みなので、用心棒は大丈夫ですよ。」 タルボ:「あ?休み?」 ショコラ:「はい、何でも、新しい武器が手に入ったから試してほしいってメルさんから連絡がきまして。」 タルボ:「へぇ、おもしろそうじゃねーか。俺も見てやるよ。」 ショコラ:「えぇ?できれば二人きりがいいって言われたんですけど。」 タルボ:「冷たいこと言うなよ。武器の扱いなら、俺の方が上だろ。」 ショコラ:「、それはそうですけど。」 メル:「こんにちはぁ!」 ショコラ:「あ、メルさん。こんにちは、来ていただいてありがとうございます。」 メル:「いいのいいの、どうせ店は暇だし、って、、その人。」 ショコラ:「すみません、タルボさんも新しい武器に興味があるみたいで。」 タルボ:「よぉガキ。俺のことは気にせずやってくれよ。」 メル:「・・・ショコラちゃんと二人きりがよかったのになぁ。」 タルボ:「あ?俺がいたら何か都合の悪いことでもあんのか?」 メル:「そうですね、少なくとも。人の神経逆(さか)なでする人がいたら、うっかり新しい武器の実験台にしちゃうかも、なんて。」 タルボ:「言うじゃねーかガキのくせによぉ。」 ショコラ:「タルボさん。いい加減にしてください。邪魔するなら私も怒りますよ。」 タルボ:「へーへー。」 メル:「・・・ふぅ、まぁ大丈夫かなぁ。じゃあショコラちゃん。早速紹介していくね。」 ショコラ:「お願いします!」 メル:「まずは、あ、ごめんショコラちゃん。このお香焚(た)いてもいい?」 ショコラ:「、それ、確か最近メルさんのお店でも使ってるものですよね?」 メル:「そうそう、何だか最近これがないと調子が出なくて、」 ショコラ:「いいですよ、私は全然。タルボさんは、」 タルボ:「俺そーいう変に甘い匂い嫌いなんだけど。」 ショコラ:「タルボさんは気にしないでください。」 タルボ:「だったら聞くなっ。」 メル:「ふふ、ありがとう。」 0:   0:お香の甘い匂いが充満するロビーで、一通り武器の説明を聞く 0:   メル:「そして、これは超強力な睡眠薬。一滴でアフリカゾウも爆睡しちゃう最新作だよ。」 ショコラ:「わぁ、これいいなぁ。無味無臭だから、相手に気付かれないですね。」 メル:「あ、素手で触ったらだめだよ、皮膚からも吸収するから。」 ショコラ:「すごい強力ですね、、、んーっ、今のところ気になったのはこの睡眠薬と、壁についた血液もとれる洗剤かなぁ。」 メル:「毎度ぉ。あ、あと最後に聞きたいことがあるんだけど。」 ショコラ:「なんですか?」 メル:「今から私の言うこと、何でも聞いてくれる?」 タルボ:「、おい。」 ショコラ:「何でも、、?」 メル:「そう何でも。聞いてくれるよね、ショコラちゃん。」 タルボ:「おいチビ!」 ショコラ:「、タルボさn」 メル:「こっちを見てショコラちゃん。私の声だけ聞いて。」 ショコラ:「、ぁ」 メル:「そう、周りは気にしないで、私の目を見て、頭を空っぽにして。ショコラちゃんはいい子だから、私の言うこと何でも聞いてくれるよね。」 ショコラ:「わたしは、いい子、」 メル:「いい子だね。ゆっくり深呼吸して、」 タルボ:「おい、ガキ。どーいうつもりだ?」 メル:「・・・はぁ、だから二人きりがよかったのに。邪魔しないでくれますか?」 タルボ:「質問に答えろ。チビに何しやがった。」 メル:「簡単な催眠術ですよ。このお香があれば、素人の中途半端な催眠でも簡単にかかってくれる。」 タルボ:「お前、一体何が目的だ。」 メル:「この子がほしいだけです。大丈夫、殺しはしません。」 タルボ:「残念だがこいつは俺らのターゲットだ。手ぇ出すんじゃねぇ。」 メル:「・・・なるほど、やっぱり同業でしたか。それなら尚更、この子をご主人様のもとへ連れて行かないと。」 タルボ:「あ?てめぇ、どこのファミリーだ。」 メル:「私はカメレオン。あなたの隣人であり恋人であり、赤の他人です。」 タルボ:「カメレオントラップ・・・。」 メル:「お喋りはここまで。この催眠も長い時間もちませんので。さぁ行こうかショコラちゃん。」 ショコラ:「はい、」 タルボ:「逃がすと思うか?」 メル:「捕まえられると思うの?」 タルボ:「殺す。」 メル:「ふふ、私を殺したら、ショコラちゃんはずっとこのままだよ?」 タルボ:「は?」 メル:「催眠や洗脳は最近覚えてねぇ、素人の付け焼刃だから、このままだと中途半端に催眠がかかった状態で、」 タルボ:「おいチビ!ショコラ!!目ぇ覚ませ!」 メル:「・・・無駄だって。ここまで来たら、私しか解けないよ。」 タルボ:「っくそ、おい、殺されたくなかったらさっさとこいつを元に戻せ!」 メル:「あははははははは、立場が逆でしょう?」 0:   マニーニャ:「随分楽しそうなことやってるじゃないか。」 タルボ:「、マニーニャ!」 メル:「・・・誰?」 マニーニャ:「やぁタルボ、遅くなってごめんねぇ。」 タルボ:「マニーニャ、チビがやべぇ!」 マニーニャ:「うんうん、なんとなく理解したよ。君が噂のカメレオントラップかな?」 メル:「初めまして。覚えてくれなくていいよ。どうせ明日には顔も声も別人になってるからね。」 マニーニャ:「なるほど、やっぱり今の姿も声も、君のものではないんだね。いいねぇ君のその設定、こんな状況じゃなかったら思わず口説いていたよ。」 メル:「設定?」 マニーニャ:「見た目も声も、性格も、今は武器屋のメルなんだろ。だったら君の本質も見たいんだけど、、、まずは自己紹介でもしようよ。僕はマニーニャ。君の名前は?」 メル:「私はカメレオン。カメレオントラップ。今はメルよ。」 マニーニャ:「カメレオンも本当の名前じゃないんだろ?ヴィラン名じゃなくて、君の名前は?」 メル:「、私の名前は、」 マニーニャ:「まさか名前が無いなんてことないだろ?さぁ、勿体ぶらずに教えてよ。」 メル:「私は、カメレオンよ。それ以外の名前なんて、」 マニーニャ:「まさか捨てたというのかい?・・・あぁそうか、捨てさせたのは僕だったね。」 メル:「、?さっきから一体何を、」 マニーニャ:「まだわからないのかい?ご主人様の顔も忘れてしまうなんて、、、君はほんとにダメな犬だなぁ。」 メル:「、、ご、しゅじ、、やめろ!あ、たまが、、、」 タルボ:「おい、マニーニャ?」 マニーニャ:「どうやら思い出してきたみたいだね。」 メル:「お前、まさか、っあのときの、」 マニーニャ:「犬が人間の言葉を使うなんて滑稽だ、おすわり。」 メル:「っ、」 0:  メル、その場で跪(ひざまず)く 0:   タルボ:「一体、何が、」 マニーニャ:「迷惑かけたねタルボ、ショコラ。もう大丈夫、目を覚ましなよショコラ。」 ショコラ:「、あ、マニーニャさ、ん?」 マニーニャ:「そうだよ、久しぶり。ショコラは本当に人気者だね、僕たちだけじゃなく、他のヴィランにも狙われるなんて。」 ショコラ:「、狙われ?なんだか、私、ぼーっとしてて、、え、メルさん?どうしt」 タルボ:「近づくな。あぶねーぞ。」 ショコラ:「タルボさん、これは一体、何があったんですか?」 タルボ:「・・・俺もよくわかんねーよ。説明しろ、マニーニャ。」 マニーニャ:「あはは、ごめんごめん。実はここ数日、気になることがあってね。カメレオントラップについて調べてたんだ。ハニートラップを専門としていたカメレオンが、数年前からシフトチェンジしたことがひっかかって。」 メル:「っはぁ、はぁ、ごめんなさいごめんなさいたすけて、(小声でボソボソと)」 マニーニャ:「実は数年前、僕のもとへ一人の少女がやってきてね、なんてことはない、ただの敵対していたファミリーのハニートラップだったんだけど。捕まえてボスの目的を吐かせようといろんなことを試したんだ。」 ショコラ:「、、いろんなこと。」 マニーニャ:「そ。軽い拷問だけどさ、なかなか口を割らないものだから、趣向を変えて催眠、洗脳を彼女にかけたんだけど。やっぱり僕って天才だから、何かうまくいっちゃってさぁ。」 メル:「わたしはわるいこです、ゆるしてください、ご主人様、わたしは、」 マニーニャ:「ちょっと過去のトラウマを聞いて、精神的に追い詰めたら壊れちゃったんだ。」 メル:「みんなわたしのことが嫌い、だれも愛してくれない、」 マニーニャ:「真っ白になってしまった彼女が、何でも言うことを聞くもんだから、おもしろくなっちゃって。つい、魔が差しちゃってさぁ。この状態でボスのもとへ返したらどうなるんだろう。飼い犬に手を噛まれた時の顔を想像したらたまらなくなっちゃって。」 タルボ:「っんとに悪趣味だな、」 ショコラ:「、、同感です。ほんとに最低ですね。」 マニーニャ:「最大の誉め言葉だね。そして、君の元飼い主を殺せたら、また可愛がってあげるって言って解放したんだ。その後何のアクションもなかったから、てっきり死んだかと思ってたけど・・・相手のボスの方が一枚上手(うわて)だったみたいだね。まさかこんなに素敵な設定のヴィランになって帰ってくるなんて。」 タルボ:「おい、てめぇがどうしようもないクズってことはわかった。それより、こいつどうすんだ。」 マニーニャ:「どうしようかなぁ。もう一回調教してあげようか、」 メル:「っひ、いや、もういや、たすけてっ、、あれは、アレはもうっ!」 マニーニャ:「うんうん、楽しみだねぇ。泣かなくてもいいだろ、君もあんなに喜んでたじゃないか。」 ショコラ:「・・・マニーニャさん。」 マニーニャ:「なんだい、ショコラ。君も混ざりたい?」 ショコラ:「こんな時に冗談はやめてください。それより、その人に聞きたいことがあります。」 メル:「っなに、いや、来ないで、」 ショコラ:「・・・本物のメルさんはどこに?」 メル:「あぁ、だれか、助けて、、、いい子にします、捨てないで」 ショコラ:「っ答えてください!メルさんは!あなたは一体いつからメルさんに成り代わっていいたんですか?!」 タルボ:「おいチビ。無駄だ、」 ショコラ:「タルボさんっ!離してください!メルさんはっ、そこらへんのヴィランにやられるほど弱くないっ!メルさんはっ」 マニーニャ:「(かぶせるように)死んでるだろうね。」 ショコラ:「っ、、、嘘だ、」 タルボ:「チビ。お前がよくわかってんだろ。この世界、邪魔な奴を殺さない方がおかしい。その武器屋のメルが生きている可能性はほぼ0だ。諦めろ。」 0:ショコラ、メルの胸元をつかむ ショコラ:「カメレオントラップ!!答えなさい!あなたは一体何が目的なの!?私に用があるなら直接来なさいよ!」 メル:「またひとり、わたしはひとりぼっち、、、(正気を失ったように)」 マニーニャ:「やめなよショコラ。今のそいつに聞いてもわからないよ。」 ショコラ:「よくも、よくもメルさんをっ、、、」 タルボ:「・・・おいチビ。冷静になれよ。見知った奴がヴィランに殺されるなんて日常茶飯事だろ。」 ショコラ:「、メルさんは、この街で唯一の友人でしたっ、それをっ、」 タルボ:「はっ、友人ねぇ。気持ち悪ぃ、お前それでもヴィランかよ。メソメソしやがって。」 ショコラ:「っ私は!!ヴィランなんかじゃっ、、」 タルボ:「あ?」 ショコラ:「っ」 タルボ:「、、やっぱりなぁ。なーんかおかしいと思ったんだ。」 ショコラ:「、タルボさ」 タルボ:「お前、何か勘違いしてんだろ。」 ショコラ:「なに、を」 タルボ:「おいバレンタインナイト。お前は今まで何人殺した?女を狙った犯罪者を数えきれない位ヤってきたんだろ?それなのに、いつまで一般人面してんだ?あぁ?誇れよ、お前は立派なヴィラン。俺たちと同じ、犯罪者だ。」 ショコラ:「っ、一緒にしないでください、私は、タルボさんみたいに誰彼構わず殺すような、」 タルボ:「おんなじだろ!(笑いながら)どっちも世間一般的に見て、死んだほうがいいクズなんだよ!たとえお前が一部から騎士(ナイト)だと崇(あが)められてようと!根は腐った人でなしなんだよ!」 マニーニャ:「そうだねぇ、それに関してはタルボと同意見かな。」 ショコラ:「マニーニャさんまで、、、」 マニーニャ:「いいじゃないか、ヴィラン。どうせ人を殺したって事実は消えないんだ。だったら開き直って楽しもうよ。」 ショコラ:「・・・言いましたよね。私は、バレンタイン以外はただのショコラだって。2月14日以外は、ただのホテルの受付。そんなことを言われても困ります。」 タルボ:「ただのホテルの受付が死体処理なんてするかよ。」 マニーニャ:「もうやめなよタルボ。これ以上ショコラを攻めても意味ないだろ。それより、こっちをどうにかしないと・・・。」 タルボ:「ふん、、、どーすんだよそいつ。ボスに引き渡すか?お前がまた洗脳でも催眠でもかければ、いい駒にはなるんじゃねーの。」 マニーニャ:「そうだねぇ、誰の差し金なのか、洗いざらい吐いてもらってそれでも使えそうだったら考えるよ。さ、積もる話もたくさんあるから、僕の部屋に行こうか。」 メル:「ぁ、あ、いや、」 マニーニャ:「いや?今もしかして嫌って言ったのかな。はぁ、もう一度イチから調教しなおしだね。ほら、君のお気に入りのお香も使ってあげるから。」 メル:「あぁ、やだゃだ、ショコラちゃ、たすけ」 マニーニャ:「返事は?」 メル:「っひ、、は、はぃ、」 マニーニャ:「よしよし、いい子。じゃあショコラ、タルボ。この子は預かるから安心して。」 タルボ:「、、、ほどほどにな。ちゃんと情報吐かせてから遊べよ。」 マニーニャ:「わかってるよ、さぁ、久しぶりだなぁ、」 0:     ショコラ:「、、、私は、武器屋に行ってきます。」 タルボ:「・・・メルがカメレオンなら、そいつの親父も本物かどうかわかんねーぞ。」 ショコラ:「だからこそ、確かめに行かないと、」 タルボ:「はぁーあ。しょうがねぇ。付き合ってやるか。」 ショコラ:「いいです、ひとりで行けますよ。」 タルボ:「強がるなよ。さっきのこと怒ってんのか?」 ショコラ:「っ、、」 タルボ:「顔見知りが次の日には消えている、隣にいる奴がいつの間にか敵になっている。大事なものをなくしたことに気付かずに生きていく。この街じゃそれが日常だろうが。」 ショコラ:「・・・そんな日常、イヤですよ。」 タルボ:「だったら変えてみな。この街で普通の顔してホテルの受付やってるお前が、一番異常だと俺は思うけどな。」 ショコラ:「無差別殺人者に言われたくないです。」 タルボ:「あぁ?また生意気言って、よっぽど死にたいらしいなぁ。」 ショコラ:「ぁいたたたっ、もう!!毎回頬をつねらないでください!」 タルボ:「おらさっさと行くぞ。帰ってくる頃には、お前を狙っている組織もわかってんだろ。」 ショコラ:「、、はぁい。」 0:  0:  メル:―私は一体、どこで間違えたんだろう、、誰にも嫌われたくないから、自分を隠して、誰かの好きな人になりたくていい子を演じて、、、そしていつの間にかほんとの自分がわからなくなって。顔も、髪も、体も声も変えて、私は、だれ、これは、誰が愛した人?わからない、もう何も考えられない、、、、最後に見えた男の笑顔は、悪魔よりも恐ろしく見えて、まっしろになった マニーニャ:「あれ?おーい、もう壊れちゃった?案外早かったなぁ、、、まぁ、バレンタインナイトを狙っていた奴がわかったからよしとするか。それにしても、うちのボスやこいつの組織に狙われるショコラって・・・ほんとに何者なんだろ、、。」 0:  ショコラ:「あ、タルボさん。これからは死体処理1件につき10万円取ることにしたので。」 タルボ:「やっぱ根に持ってんなぁチビ!!」