台本概要

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タイトル 特攻隊
作者名 ハスキ  (@e8E3z1ze9Yecxs2)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男3)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「6731人」それは特攻隊として戦い、亡くなった隊員の人数である。「特攻隊」になった若者達は戦争当時お国の為に自ら喜んで命を捧げたという事になっていた。しかし、そんな話とは異なる事実が戦後、生き残った隊員達の証言から明るみになってきたのだ⋯。戦争を体験した事が無い全ての世代に送るお話。
男女不問。世界観を壊すアドリブはご遠慮下さい。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
相良 29 相良(さがら)。広島出身。22歳。田舎の故郷に心配しつつも応援しながら送り出してくれた両親がいる。がいる。
小木 26 小木(おぎ)。高知出身。19歳。空襲で両親を亡くしている。動物好き。偶然基地で拾った犬の太郎の世話が楽しみになっている。
23 岸(きし)。東京出身。24歳。隊の隊長。故郷に帰還する事を約束している身重の妻がおり、もうすぐ子供が生まれる予定になっている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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相良:なあ*小木《おぎ》 小木:なんだい*相良《さがら》 相良:毎日暑すぎやしないか? 小木:そりゃ夏だからじゃないかい? 相良:いやいや、先月も、先々月もだったぞ 小木:え、そうだったっけ?暑いか、太郎? 相良:その犬どこで見つけて来たんだ? 小木:え?この間の休憩の時山菜を探してて偶然見つけたんだよ 相良:お前、この食料ない時に犬の世話って 小木:見ていて癒されるよ 相良:そうかよ。しかしあちいなー 岸:お前らここに居たのか、お、可愛い犬だな。 小木:太郎って名前です 岸:そうかそうか、よしよし太郎 相良:*岸《きし》さーん毎日暑くないですかー? 岸:なに言ってるんだ。ここは年中通して暑い気候なの知らなかったのか? 相良:ほ、ほんとですか? 岸:ほんとだ。湿度も高いから蒸し暑い日が続くぞ 相良:うえぇ 小木:僕は寒いの苦手だから大歓迎だね 相良:限度があるだろ!あー日本の四季が恋しい 岸:ははは、まぁこの戦いが終わったらこんな暑い場所ともおさらば出来るんだから、もうしばらくの辛抱だぞ 相良:そうですね、うちの両親も俺の事心配してたんで早く帰って元気な顔見せてやりたいですよ 小木:日本に帰る時は太郎も一緒に連れて帰れるかな? 相良:お前それ連れて帰る気かよ 小木:もう大事な家族だよ 岸:その辺は俺が上層部に掛け合ってやるから任せろ 小木:ほんとですか!ありがとうございます 相良:岸さんはほんと小木に甘いな 岸:こんな時だ、何かに希望を持つのはいい事だ 相良:・・それには同意しますね :間 岸:来たか。相良、小木、とりあえずそこに座ってくれ 相良:なんですか岸さん、大事な話って? 小木:軍幹部に呼ばれてたのと何か関係あるんですか? 岸:そうだ。戦局はお前らも知っての通り劣勢をしいられている。今度の作戦が失敗すれば戦局を悪化させる恐れがあるとの事だ 相良:相当やばいじゃないですか・・ 小木:岸さん⋯僕ら、いったいどうなるんでしょうか? 岸:作戦を成功させるには、敵の機動部隊を叩いて少なくとも一週間は敵の空母の甲板(かんぱん)を使えないようにする必要があるそうだ 相良:なるほど⋯なら我々のゼロ戦で空母を蜂の巣にすればいいんですね? 岸:それでは駄目だ 小木:え、駄目と言うのは? 岸:敵の空母を使用不能にするには、ゼロ戦の機銃程度ではどうにもならないとの事らしい。 小木:で、ではいったい我々はどうすれば? 岸:⋯上層部から、敵空母に対してゼロ戦に250キロ爆弾を抱かせての体当たり作戦を決行せよとの命令だ 相良:そ、そんな馬鹿な話が! 岸:相良!声がデカい。作戦批判は処罰もんだぞ。それにもう決定された事だ、覚悟を決めるしかない。 相良:くっ、了解、です・・ 小木:太郎・・ :間 岸:聞いてくれ、この部隊の隊長を任された岸だ。作戦は明日決行される、家族や友人などに手紙で伝えたい事があれば今日の内に書いて私の所に持ってきてくれ。以上だ、解散 相良:ついに明日かよ・・手紙、書くか。 小木:相良は⋯国の両親に書くのかい? 相良:ああ、俺が*予科練《よかれん》に入る時からずっと応援してくれてる母さん父さんにな。 小木:そっか。・・辛い報告になるね 相良:だな。小木の両親はたしか・・ 小木:うん⋯空襲で、父さんも母さんも死んでるんだ。 相良:悪い・・思い出させちまったな 小木:ううん、いいよ。もう気持ちの整理はついてるから。 相良:そうか。それじゃ、また明日、だな小木。 小木:また明日、相良。 :間 相良:お母さん、お父さん、お久しぶりです。お元気でしたでしょうか。私は相変わらず元気です 相良:明日、私は敵の空母に突撃し、立派に散って参ります。必ず成功させてお国の為に活躍して見せますのでご心配なさらぬようお願いします。それでは、いってきます。 相良:・・文才なんかないけど、こういう感じでいいかな?・・まあどうせいろいろ書いても情報部に改ざんされるんだけどな 相良:母ちゃん父ちゃん・・まだ、結婚もしてないのに・・俺、死にたくねえよぉ・・ :間 小木:太郎、ほら、ご飯だよ。 小木:太郎、ごめんな、これが最後のご飯になりそうなんだ 小木:⋯どうしたの?食べないのか?⋯大丈夫だよ、お前の事はちゃんと頼んでるから安心しろ 小木:・・そんな顔するなよ。僕も・・別れが、辛くなるだろ 小木:太郎、今までありがとう・・元気でな・・ :間 岸:千代、久しぶりだな。元気にしてたか? 岸:今の日本の戦況はお前も知ってるだろうが明日、私はお国の為に敵の空母に体当たり攻撃をする事になった 岸:お前に何もしてやれず散りゆく事は誠にすまぬと思っている 岸:しかし何も語らずとも、武人の妻としての覚悟は出来ていると・・ 岸:くそーー!こんなの納得行くか! 岸:千代に、千代に絶対帰って来るって言ったんだよ!約束したんだよ!覚悟なんて、一番俺が無いんだよ!! 岸:なんでなんだよ・・もうすぐ赤ん坊だって生まれる予定なんだよ・・子供の顔も見ずに逝けるかよぉ・・ :間 相良:その後、3人は二度と日本の地を踏むことは*叶《かな》わなかった。 小木:でも忘れないで欲しい、そこに必死に生きていた、若者達がいた事を。 岸:そして二度と繰り返してはならない、我々のような悲劇を生み出す、この戦争を⋯。 :終

相良:なあ*小木《おぎ》 小木:なんだい*相良《さがら》 相良:毎日暑すぎやしないか? 小木:そりゃ夏だからじゃないかい? 相良:いやいや、先月も、先々月もだったぞ 小木:え、そうだったっけ?暑いか、太郎? 相良:その犬どこで見つけて来たんだ? 小木:え?この間の休憩の時山菜を探してて偶然見つけたんだよ 相良:お前、この食料ない時に犬の世話って 小木:見ていて癒されるよ 相良:そうかよ。しかしあちいなー 岸:お前らここに居たのか、お、可愛い犬だな。 小木:太郎って名前です 岸:そうかそうか、よしよし太郎 相良:*岸《きし》さーん毎日暑くないですかー? 岸:なに言ってるんだ。ここは年中通して暑い気候なの知らなかったのか? 相良:ほ、ほんとですか? 岸:ほんとだ。湿度も高いから蒸し暑い日が続くぞ 相良:うえぇ 小木:僕は寒いの苦手だから大歓迎だね 相良:限度があるだろ!あー日本の四季が恋しい 岸:ははは、まぁこの戦いが終わったらこんな暑い場所ともおさらば出来るんだから、もうしばらくの辛抱だぞ 相良:そうですね、うちの両親も俺の事心配してたんで早く帰って元気な顔見せてやりたいですよ 小木:日本に帰る時は太郎も一緒に連れて帰れるかな? 相良:お前それ連れて帰る気かよ 小木:もう大事な家族だよ 岸:その辺は俺が上層部に掛け合ってやるから任せろ 小木:ほんとですか!ありがとうございます 相良:岸さんはほんと小木に甘いな 岸:こんな時だ、何かに希望を持つのはいい事だ 相良:・・それには同意しますね :間 岸:来たか。相良、小木、とりあえずそこに座ってくれ 相良:なんですか岸さん、大事な話って? 小木:軍幹部に呼ばれてたのと何か関係あるんですか? 岸:そうだ。戦局はお前らも知っての通り劣勢をしいられている。今度の作戦が失敗すれば戦局を悪化させる恐れがあるとの事だ 相良:相当やばいじゃないですか・・ 小木:岸さん⋯僕ら、いったいどうなるんでしょうか? 岸:作戦を成功させるには、敵の機動部隊を叩いて少なくとも一週間は敵の空母の甲板(かんぱん)を使えないようにする必要があるそうだ 相良:なるほど⋯なら我々のゼロ戦で空母を蜂の巣にすればいいんですね? 岸:それでは駄目だ 小木:え、駄目と言うのは? 岸:敵の空母を使用不能にするには、ゼロ戦の機銃程度ではどうにもならないとの事らしい。 小木:で、ではいったい我々はどうすれば? 岸:⋯上層部から、敵空母に対してゼロ戦に250キロ爆弾を抱かせての体当たり作戦を決行せよとの命令だ 相良:そ、そんな馬鹿な話が! 岸:相良!声がデカい。作戦批判は処罰もんだぞ。それにもう決定された事だ、覚悟を決めるしかない。 相良:くっ、了解、です・・ 小木:太郎・・ :間 岸:聞いてくれ、この部隊の隊長を任された岸だ。作戦は明日決行される、家族や友人などに手紙で伝えたい事があれば今日の内に書いて私の所に持ってきてくれ。以上だ、解散 相良:ついに明日かよ・・手紙、書くか。 小木:相良は⋯国の両親に書くのかい? 相良:ああ、俺が*予科練《よかれん》に入る時からずっと応援してくれてる母さん父さんにな。 小木:そっか。・・辛い報告になるね 相良:だな。小木の両親はたしか・・ 小木:うん⋯空襲で、父さんも母さんも死んでるんだ。 相良:悪い・・思い出させちまったな 小木:ううん、いいよ。もう気持ちの整理はついてるから。 相良:そうか。それじゃ、また明日、だな小木。 小木:また明日、相良。 :間 相良:お母さん、お父さん、お久しぶりです。お元気でしたでしょうか。私は相変わらず元気です 相良:明日、私は敵の空母に突撃し、立派に散って参ります。必ず成功させてお国の為に活躍して見せますのでご心配なさらぬようお願いします。それでは、いってきます。 相良:・・文才なんかないけど、こういう感じでいいかな?・・まあどうせいろいろ書いても情報部に改ざんされるんだけどな 相良:母ちゃん父ちゃん・・まだ、結婚もしてないのに・・俺、死にたくねえよぉ・・ :間 小木:太郎、ほら、ご飯だよ。 小木:太郎、ごめんな、これが最後のご飯になりそうなんだ 小木:⋯どうしたの?食べないのか?⋯大丈夫だよ、お前の事はちゃんと頼んでるから安心しろ 小木:・・そんな顔するなよ。僕も・・別れが、辛くなるだろ 小木:太郎、今までありがとう・・元気でな・・ :間 岸:千代、久しぶりだな。元気にしてたか? 岸:今の日本の戦況はお前も知ってるだろうが明日、私はお国の為に敵の空母に体当たり攻撃をする事になった 岸:お前に何もしてやれず散りゆく事は誠にすまぬと思っている 岸:しかし何も語らずとも、武人の妻としての覚悟は出来ていると・・ 岸:くそーー!こんなの納得行くか! 岸:千代に、千代に絶対帰って来るって言ったんだよ!約束したんだよ!覚悟なんて、一番俺が無いんだよ!! 岸:なんでなんだよ・・もうすぐ赤ん坊だって生まれる予定なんだよ・・子供の顔も見ずに逝けるかよぉ・・ :間 相良:その後、3人は二度と日本の地を踏むことは*叶《かな》わなかった。 小木:でも忘れないで欲しい、そこに必死に生きていた、若者達がいた事を。 岸:そして二度と繰り返してはならない、我々のような悲劇を生み出す、この戦争を⋯。 :終