台本概要
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タイトル | 浮島の下にある黒き海溝は雨垂れに穿つ〜橙色〜 中編 |
---|---|
作者名 | 明桜 リア (@ria_meiou) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 4人用台本(不問4) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
長かったのを前編、中編、後編と分けました。 この世界は色によって違う浮島がある。 レッド、イエロー、グリーン、オレンジ、ホワイトの四つの島があり、行き来するためには飛行船が必要だった。 世界は色結晶(いろけっしょう)に溢れており、通貨にも機械などを動かしたりするのにも使われている。 結晶を破壊してしまうと島が黒くなっていき、下にある海溝に落ちて行ってしまう。 それだけでなく、もしこの世界の深淵を覗いてしまうと…? 名前は確認してから、読んでいただけるとありがたいです。 *使用について* ・使用許可は要りません。 ・配信に使っていただいても構いませんん。もし使うよーって言ってくださったら、飛んで見に行きます。 ・使った報告していただけましたら、はっちゃけます。五体投地します。 ・自作発言はお控えください。 ・改変、加工は物語を大幅に改善する事以外は大丈夫です。 何かありましたら、お聞きください! 後は、とにかく楽しんで演じてください! 62 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
丹色 | 不問 | 51 | 猩々 丹色(しょうじょう にいろ)。べらんめぇ口調。ガサツな性格。基本的にめんどくさいことはしないが、なんやかんや優しいのが丸見え。オトギリとは気が合う。赤いの色名(しきめい)からつけた名前。 |
オトギリ | 不問 | 44 | オトギリ・ラブラドルライト性格の悪い天才研究者。口も悪い、態度もでかい。でも丹色とは何か気が合う。プライドがエベレストをも超える。鉱石(宝石)と花の名前からつけた名前。 |
セイファ | 不問 | 10 | 純粋なサイコパス。悪意のなき悪意。おかしいなら消してしまってもいいという考えを持っている。カイファが好き。海に映る星から来た名前。 |
ダリア | 不問 | 21 | 森の動物達と過ごしていたと言う子ども。か弱い少年に見えるが…? 読み終わった後にダリアの花言葉を調べてみてください。怖い意味もありますね。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
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0:場面転換(市場)
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丹色:ったくよぉ。あのインテリ気取りときたらよぉ…。人に命令しやがって。それにしても…*胡散《うさん》くせぇ街だねい。誰も彼もが怒りも悲しみもしねぇで笑っていやがる。おっと、いっけねぇ。ここでそれを言っちゃあ*角《かど》が立つな。
セイファ:お兄さん。
丹色:さぁて、何から見てきゃいいかねぇ…。
セイファ:お兄さんってば。
丹色:んお!?急に服を引っ張るからびびっちまったじゃねぇかい。なんだぁ?ガキじゃねぇか。どした?一人で歩いてちゃあぶねぇってもんだ。*親御《おやご》さんはどこにいんだい?
セイファ:お兄さんは変な人だね。
丹色:おいおい。出会い頭にそんなこと言われるたぁ思わなかったぜ。んで?なんでそう思ったんだい?
セイファ:だって、お兄さんも『知ってる』んでしょ?
丹色:…それは何を?
セイファ:この世界がおかしいって。
丹色:…何を言ってるかと思いきやぁ、そんなわけねぇよ。なぁーんにもおかしくなんかねぇだろうが。
セイファ:嘘つき。
丹色:あ?
セイファ:知ってるよ。お兄さんともう一人のお兄さんも、この世界がおかしいって感じてるの。
丹色:…お前さん、どうしてそう思った?それだけじゃねぇ。なんで俺以外にいると思ったんでい?おらぁは一言ももう一人いるってぇこたぁは言ってねぇ。それにお前さんに会った事もねぇしな。
セイファ:だって、『あの人』が言ってた。それに二人とも調べてるんでしょ?今回の『事件』のこと。
丹色:…何?
セイファ:待ってるから、見つけてね?まぁでも、見つけれるなら…ね?
丹色:お前さん、一体何を…。
セイファ:それじゃ、お兄さん。またね。
丹色:ちょ、ちょいと待たねぇか!おいおい、人が多い上に足が速いこったなぁ!!ちょいと道開けてくれねぇか!どいてくれ!
丹色:…くそ、どこだ!!…だー!!*見失《みうしな》っちまった!!人は多いわガキは速いわで、*踏《ふ》んだり*蹴《け》ったりだぜ…。あー…こりゃ怒られちまうだろうが…報告すっかねぇ…。
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丹色:たでーま。
オトギリ:普通に*挨拶《あいさつ》できないのか。
丹色:んなこたぁどうでもいいような出来事が起こったんでい…。うぶっ、はぁー…やっぱし*家《うち》が一番いいねぇー…。
オトギリ:…お前がそこまで疲れているなんて*珍《めず》しいな。一体、何があった。
丹色:いやぁ、これは予測でしかねぇが…*奴《やっこ》さん達に、俺たちの事がバレてるみてぇだぞ。
オトギリ:そうか、バレて…は!?なんだと!?どういうことだ!
丹色:ちけぇわ!!チッ、耳がいてぇ…。
オトギリ:お前の耳なんぞどうでもいい!それよりも何故相手にバレているんだ。
丹色:いやぁ、情報収集の為に街に*繰《く》り出したわけだが、*相《あい》も変わらずな場所だったわけだが…そこで見た事もねぇガキにあった。
オトギリ:どんな容姿だ。
丹色:真っ白な髪を耳あたりで切り*揃《そろ》えててな。目が金色で肌は色白、年齢的には十歳くらいだな。
オトギリ:そんな子どもが、お前の正体に気がついていた…だと…?
丹色:それだけじゃねぇ。俺たちが二人だってぇのも気がついていやがった。あー…これは闇がふけぇ話になってきてっぞ。
オトギリ:…あぁ。相手にこちらの情報だけが流れているようだ。だが、一体どうやって…。
丹色:そいつぁ分からん。聞いている限りじゃあ、確実に知っているってぇ感じだったな。んあー…そうだ。もう一つ、気になる事を言ってたな。
オトギリ:なんだ。さっさと言え。*簡潔《かんけつ》に。
丹色:分かってらぁな。急かすんじゃねぇや。あのガキ、『あのお方』って言ってやがったってぇことはだ、アイツの後ろに誰かがいるってぇことだ。
オトギリ:子どもがこんな事を起こしている上に、さらに*黒幕《くろまく》がいるだと…?
丹色:そういうこった。詰まる事ながら、どんどんややこしくなってきたってぇこったな。
オトギリ:裏にいる人物、か。一体どんな人物なのかが分からんな。
丹色:そぉなんだよなぁ。あー!おらぁこんな事に悩むたちじゃなねぇんだよ!
オトギリ:だろうな。知っている。にしても…どうして、こんな事を思いついたのか…理解ができん。それにこの事件を起こせるということは、僕たちと同じ考えで違和感に気がついている、ということだからな。
丹色:そうなるだろうなぁ。わけ分からんな。あ、そういやもう一つおかしい事があったな。
オトギリ:はぁ、もう一つあったのか。早く言え。
丹色:わぁってるよ。さっき、ガキの容姿について言ったろ?
オトギリ:あぁ、そうだな。
丹色:思い返してみろい。この島で生きてる人間は髪の毛こそ色とりどりだが、*瞳《ひとみ》の色は必ず*橙色《だいだいいろ》をしているはずが…あのガキの目は、金色だった。
オトギリ:まさか…。
丹色:そうだ。普通は島の色と同じの瞳の色をしているはずが、だ。そうじゃねぇって事は、どの島にも属してねぇ可能性が出てきたってぇわけだ。そんでもって、そう言うやつが他にもいるってぇ事もあり得るってことだ。
オトギリ:お前にしてはよく考えたな。確かにその通りだ。
丹色:テメェは一言よけぇなんだよ!
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0:扉を叩く音がする
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丹色:あ?おい、お客さんだぜって…ん?なんで俺たちのところに、客がくんだ?
オトギリ:知らん。僕は忙しいから、お前が開けろ。
丹色:はいはい。インテリはこれだからなぁ。
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0:扉を開ける。
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丹色:ほいよっと、どなたさんでい。
ダリア:あ、あの…。
丹色:お?また*幼《おさな》そうなお客さんだねい。どうしたってんだ。…おっと、ここじゃあ話しにくいさね。中に入んな。
ダリア:え、あ、お、お邪魔します…。
丹色:おーい。ほら、お客さんだぜ。
オトギリ:お前は何もしていないな?
丹色:何するってぇんだよ。
オトギリ:はぁ…。いい、僕が聞く。
オトギリ:君…、もう入っているが、聞かせていただきたい事があります。我々のことを知る人間なんて居ないはずですが、それを家の場所まで知っていた。貴方は、何者ですか?そして、ここをどうやって知ったのでしょうかね。
丹色:おいおいおい!話くらい聞いてやりゃいいじゃねぇか。
オトギリ:はぁ…これだから単細胞は…。いいか。なんで、こいつが僕達のいる場所がわかったのか、それだけではない。まるで、ここなら…と言わんばかりに来た。その理由を問いたい。
丹色:まぁ…確かにさっき俺も言ったなぁ。んじゃあ、がきんちょ。教えてもらっていいかい?
ダリア:あ…えっと…知らない、おじさんがね。地図をくれて、ここに来たらいいって…。
オトギリ:その地図とやらは持ってきているのか?
ダリア:あ、はい。これ、です。
オトギリ:ふむ…。この地図は、僕たちの家を指している。嘘はついてなさそうだが、なんの話でここにきたんだ?
ダリア:その、えっと…
オトギリ:言えない理由でも?
ダリア:ご、ごめんなさい…。
オトギリ:だから、言えない理由があるのかと…
丹色:(言い終わる前に被せる)おぉっと!すまねぇな、あー、えっと、名前を聞いちゃいなかったな。なんて名前だい?
ダリア:あ、僕はダリア…。
丹色:そうか、ダリアってぇんだな。俺は、丹色。んで、そこの*陰険眼鏡《いんけんめがね》がオトギリってんだぁ。よろしくな。
ダリア:よろしく、お願いします。
オトギリ:お前…。
丹色:(小声)そんな怖い言い方しちまったら、話しにくかろうが。まずは話しやすい環境を作ることが大事だろうがよ。違うかい?
オトギリ:はぁ…。まさかお前に*諭《さと》されるとはな。
オトギリ:君、すまなかったな。
ダリア:え、あ、だい、じょうぶ、です。
丹色:入り口近くでってもな。ささ、はいんねぇ。茶でも飲みながら、話そうじゃねぇか。ここのソファーに座りな。茶入れてくっから、オトギリに話しときな。
丹色:おいオトギリ、優しく話を聞けよ。さっきみたいな事はすんなよ。
オトギリ:わかっている。
丹色:んじゃ、待ってな。
オトギリ:はぁ。先程はすまなかった。少し神経質になっていた。
ダリア:い、いえ…。
オトギリ:ところで、君にここの事を教えたのは、一体どんな人物だったか覚えてはいないのだろうか。
ダリア:えっと、確か…身長が高くて…あれ?なんでだろう…思い出せない…。
オトギリ:ふむ…自分のことを認識させぬようにしているのか。分からないのらなら、構わない。それで、君の悩みとは何かな?
ダリア:それは…
丹色:おい!茶ー持ってきだぞー!ついでに菓子も持ってきたぜぇ!
オトギリ:お前な…なんでこのタイミングで来るんだ。この筋肉脳みそが!!
丹色:なんでい!!何が駄目だってぇんだ!!場を*和《なご》ませるためにした事だろうがい!
オトギリ:大事な事を聞こうとしていたんだ!最悪だ!!ちょっとは来るタイミングを考えろ!
丹色:何でい!!色々言ってきたがって、ウルセェやつだな!
オトギリ:お前は何もかもがタイミング最低男なんだ!!
丹色:んだとぉ!?
ダリア:ま、待ってください!!
丹色:んお!?なんでぇ!?
ダリア:は、話を聞いて欲しくて!お願いしても、いいですか?
丹色:あー…おっとぉ、すまねぇな。そうだった、話を聞かねぇとな。俺たちの*素っ頓狂《すっとんきょう》な話をする訳にはいかねぇな。
オトギリ:お前のせいだがな。
丹色:すまねぇって。ま、話を聞かせてもらおうじゃねぇか。で、どんな話だい?
ダリア:僕、森の方で動物だちと一緒にいたりしてるんですが、でも最近どんどん森が暗くなってきて、動物達と会えなくなっちゃって…それだけじゃなくて、森にも入れなくなっちゃいました…。
オトギリ:確かに、どんどん進行が早くなってきていると聞いている。
ダリア:そうなんです。直してくれてるけど、直らないんです…。どうしたらいいのか、分からなくて…。
オトギリ:なるほど、そうか。
丹色:こいつぁ、えれぇこったな。修正人にも直せねぇのか…。どれ程、消しまくってんだぁ?
オトギリ:確かにそうだな。僕が確認していた事以上の出来事が起こっているな…。
ダリア:あの…どうしたらいいのでしょうか…。
オトギリ:とりあえず、僕はさっきしていた研究と調査をする。丹色、お前は街でもっと情報を集めてこい。全くもって情報が集められていない。あと、修正人にも話を聞いてこい。
丹色:ったく、人使いがあれぇこって。わーったよ。もう一回街に行って見つけてくっから、待ってなぁ。
オトギリ:さっさと行け。
丹色:はいはい、んじゃ、行ってくっわ。ガキをいじめんじゃねぇぞ。
オトギリ:しないから早く行け。
丹色:ウルセェやつだなぁ。ま、行ってくらぁな。
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0:丹色が出ていく
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オトギリ:…行ったか。まずは君に聞きたいことある。
ダリア:はい…。
オトギリ:ここに来るようにと言った人物とは、一体どこで会ったのか。そこは確実にしておきたい。
ダリア:えっと…。森の入り口にいた時に、急に後ろから話しかけられて…。君の悩みはここに行けば解決するって、言われました。その時にここに来るための地図を渡されて顔を上げたら、その男の人は、消えてしまっていました…。お礼を言えないまま…。でも、その男の人よりもこの事件が解決するならって思って、ここに来たんです。
オトギリ:なるほど、理解した。では、暫くここで休んでいくといい。二階に休める場所がある。そこでゆっくりしていきなさい。
ダリア:いいんですか…?
オトギリ:構わない。早く二階に行きなさい。
ダリア:は、はい…!!
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0:二階へ向かって行く。
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オトギリ:あれは、危ないな…。このままでは計画が台無しになってしまう。
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0:場面転換(市場)
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丹色:ったくよぉ。あのインテリ気取りときたらよぉ…。人に命令しやがって。それにしても…*胡散《うさん》くせぇ街だねい。誰も彼もが怒りも悲しみもしねぇで笑っていやがる。おっと、いっけねぇ。ここでそれを言っちゃあ*角《かど》が立つな。
セイファ:お兄さん。
丹色:さぁて、何から見てきゃいいかねぇ…。
セイファ:お兄さんってば。
丹色:んお!?急に服を引っ張るからびびっちまったじゃねぇかい。なんだぁ?ガキじゃねぇか。どした?一人で歩いてちゃあぶねぇってもんだ。*親御《おやご》さんはどこにいんだい?
セイファ:お兄さんは変な人だね。
丹色:おいおい。出会い頭にそんなこと言われるたぁ思わなかったぜ。んで?なんでそう思ったんだい?
セイファ:だって、お兄さんも『知ってる』んでしょ?
丹色:…それは何を?
セイファ:この世界がおかしいって。
丹色:…何を言ってるかと思いきやぁ、そんなわけねぇよ。なぁーんにもおかしくなんかねぇだろうが。
セイファ:嘘つき。
丹色:あ?
セイファ:知ってるよ。お兄さんともう一人のお兄さんも、この世界がおかしいって感じてるの。
丹色:…お前さん、どうしてそう思った?それだけじゃねぇ。なんで俺以外にいると思ったんでい?おらぁは一言ももう一人いるってぇこたぁは言ってねぇ。それにお前さんに会った事もねぇしな。
セイファ:だって、『あの人』が言ってた。それに二人とも調べてるんでしょ?今回の『事件』のこと。
丹色:…何?
セイファ:待ってるから、見つけてね?まぁでも、見つけれるなら…ね?
丹色:お前さん、一体何を…。
セイファ:それじゃ、お兄さん。またね。
丹色:ちょ、ちょいと待たねぇか!おいおい、人が多い上に足が速いこったなぁ!!ちょいと道開けてくれねぇか!どいてくれ!
丹色:…くそ、どこだ!!…だー!!*見失《みうしな》っちまった!!人は多いわガキは速いわで、*踏《ふ》んだり*蹴《け》ったりだぜ…。あー…こりゃ怒られちまうだろうが…報告すっかねぇ…。
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丹色:たでーま。
オトギリ:普通に*挨拶《あいさつ》できないのか。
丹色:んなこたぁどうでもいいような出来事が起こったんでい…。うぶっ、はぁー…やっぱし*家《うち》が一番いいねぇー…。
オトギリ:…お前がそこまで疲れているなんて*珍《めず》しいな。一体、何があった。
丹色:いやぁ、これは予測でしかねぇが…*奴《やっこ》さん達に、俺たちの事がバレてるみてぇだぞ。
オトギリ:そうか、バレて…は!?なんだと!?どういうことだ!
丹色:ちけぇわ!!チッ、耳がいてぇ…。
オトギリ:お前の耳なんぞどうでもいい!それよりも何故相手にバレているんだ。
丹色:いやぁ、情報収集の為に街に*繰《く》り出したわけだが、*相《あい》も変わらずな場所だったわけだが…そこで見た事もねぇガキにあった。
オトギリ:どんな容姿だ。
丹色:真っ白な髪を耳あたりで切り*揃《そろ》えててな。目が金色で肌は色白、年齢的には十歳くらいだな。
オトギリ:そんな子どもが、お前の正体に気がついていた…だと…?
丹色:それだけじゃねぇ。俺たちが二人だってぇのも気がついていやがった。あー…これは闇がふけぇ話になってきてっぞ。
オトギリ:…あぁ。相手にこちらの情報だけが流れているようだ。だが、一体どうやって…。
丹色:そいつぁ分からん。聞いている限りじゃあ、確実に知っているってぇ感じだったな。んあー…そうだ。もう一つ、気になる事を言ってたな。
オトギリ:なんだ。さっさと言え。*簡潔《かんけつ》に。
丹色:分かってらぁな。急かすんじゃねぇや。あのガキ、『あのお方』って言ってやがったってぇことはだ、アイツの後ろに誰かがいるってぇことだ。
オトギリ:子どもがこんな事を起こしている上に、さらに*黒幕《くろまく》がいるだと…?
丹色:そういうこった。詰まる事ながら、どんどんややこしくなってきたってぇこったな。
オトギリ:裏にいる人物、か。一体どんな人物なのかが分からんな。
丹色:そぉなんだよなぁ。あー!おらぁこんな事に悩むたちじゃなねぇんだよ!
オトギリ:だろうな。知っている。にしても…どうして、こんな事を思いついたのか…理解ができん。それにこの事件を起こせるということは、僕たちと同じ考えで違和感に気がついている、ということだからな。
丹色:そうなるだろうなぁ。わけ分からんな。あ、そういやもう一つおかしい事があったな。
オトギリ:はぁ、もう一つあったのか。早く言え。
丹色:わぁってるよ。さっき、ガキの容姿について言ったろ?
オトギリ:あぁ、そうだな。
丹色:思い返してみろい。この島で生きてる人間は髪の毛こそ色とりどりだが、*瞳《ひとみ》の色は必ず*橙色《だいだいいろ》をしているはずが…あのガキの目は、金色だった。
オトギリ:まさか…。
丹色:そうだ。普通は島の色と同じの瞳の色をしているはずが、だ。そうじゃねぇって事は、どの島にも属してねぇ可能性が出てきたってぇわけだ。そんでもって、そう言うやつが他にもいるってぇ事もあり得るってことだ。
オトギリ:お前にしてはよく考えたな。確かにその通りだ。
丹色:テメェは一言よけぇなんだよ!
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丹色:あ?おい、お客さんだぜって…ん?なんで俺たちのところに、客がくんだ?
オトギリ:知らん。僕は忙しいから、お前が開けろ。
丹色:はいはい。インテリはこれだからなぁ。
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丹色:ほいよっと、どなたさんでい。
ダリア:あ、あの…。
丹色:お?また*幼《おさな》そうなお客さんだねい。どうしたってんだ。…おっと、ここじゃあ話しにくいさね。中に入んな。
ダリア:え、あ、お、お邪魔します…。
丹色:おーい。ほら、お客さんだぜ。
オトギリ:お前は何もしていないな?
丹色:何するってぇんだよ。
オトギリ:はぁ…。いい、僕が聞く。
オトギリ:君…、もう入っているが、聞かせていただきたい事があります。我々のことを知る人間なんて居ないはずですが、それを家の場所まで知っていた。貴方は、何者ですか?そして、ここをどうやって知ったのでしょうかね。
丹色:おいおいおい!話くらい聞いてやりゃいいじゃねぇか。
オトギリ:はぁ…これだから単細胞は…。いいか。なんで、こいつが僕達のいる場所がわかったのか、それだけではない。まるで、ここなら…と言わんばかりに来た。その理由を問いたい。
丹色:まぁ…確かにさっき俺も言ったなぁ。んじゃあ、がきんちょ。教えてもらっていいかい?
ダリア:あ…えっと…知らない、おじさんがね。地図をくれて、ここに来たらいいって…。
オトギリ:その地図とやらは持ってきているのか?
ダリア:あ、はい。これ、です。
オトギリ:ふむ…。この地図は、僕たちの家を指している。嘘はついてなさそうだが、なんの話でここにきたんだ?
ダリア:その、えっと…
オトギリ:言えない理由でも?
ダリア:ご、ごめんなさい…。
オトギリ:だから、言えない理由があるのかと…
丹色:(言い終わる前に被せる)おぉっと!すまねぇな、あー、えっと、名前を聞いちゃいなかったな。なんて名前だい?
ダリア:あ、僕はダリア…。
丹色:そうか、ダリアってぇんだな。俺は、丹色。んで、そこの*陰険眼鏡《いんけんめがね》がオトギリってんだぁ。よろしくな。
ダリア:よろしく、お願いします。
オトギリ:お前…。
丹色:(小声)そんな怖い言い方しちまったら、話しにくかろうが。まずは話しやすい環境を作ることが大事だろうがよ。違うかい?
オトギリ:はぁ…。まさかお前に*諭《さと》されるとはな。
オトギリ:君、すまなかったな。
ダリア:え、あ、だい、じょうぶ、です。
丹色:入り口近くでってもな。ささ、はいんねぇ。茶でも飲みながら、話そうじゃねぇか。ここのソファーに座りな。茶入れてくっから、オトギリに話しときな。
丹色:おいオトギリ、優しく話を聞けよ。さっきみたいな事はすんなよ。
オトギリ:わかっている。
丹色:んじゃ、待ってな。
オトギリ:はぁ。先程はすまなかった。少し神経質になっていた。
ダリア:い、いえ…。
オトギリ:ところで、君にここの事を教えたのは、一体どんな人物だったか覚えてはいないのだろうか。
ダリア:えっと、確か…身長が高くて…あれ?なんでだろう…思い出せない…。
オトギリ:ふむ…自分のことを認識させぬようにしているのか。分からないのらなら、構わない。それで、君の悩みとは何かな?
ダリア:それは…
丹色:おい!茶ー持ってきだぞー!ついでに菓子も持ってきたぜぇ!
オトギリ:お前な…なんでこのタイミングで来るんだ。この筋肉脳みそが!!
丹色:なんでい!!何が駄目だってぇんだ!!場を*和《なご》ませるためにした事だろうがい!
オトギリ:大事な事を聞こうとしていたんだ!最悪だ!!ちょっとは来るタイミングを考えろ!
丹色:何でい!!色々言ってきたがって、ウルセェやつだな!
オトギリ:お前は何もかもがタイミング最低男なんだ!!
丹色:んだとぉ!?
ダリア:ま、待ってください!!
丹色:んお!?なんでぇ!?
ダリア:は、話を聞いて欲しくて!お願いしても、いいですか?
丹色:あー…おっとぉ、すまねぇな。そうだった、話を聞かねぇとな。俺たちの*素っ頓狂《すっとんきょう》な話をする訳にはいかねぇな。
オトギリ:お前のせいだがな。
丹色:すまねぇって。ま、話を聞かせてもらおうじゃねぇか。で、どんな話だい?
ダリア:僕、森の方で動物だちと一緒にいたりしてるんですが、でも最近どんどん森が暗くなってきて、動物達と会えなくなっちゃって…それだけじゃなくて、森にも入れなくなっちゃいました…。
オトギリ:確かに、どんどん進行が早くなってきていると聞いている。
ダリア:そうなんです。直してくれてるけど、直らないんです…。どうしたらいいのか、分からなくて…。
オトギリ:なるほど、そうか。
丹色:こいつぁ、えれぇこったな。修正人にも直せねぇのか…。どれ程、消しまくってんだぁ?
オトギリ:確かにそうだな。僕が確認していた事以上の出来事が起こっているな…。
ダリア:あの…どうしたらいいのでしょうか…。
オトギリ:とりあえず、僕はさっきしていた研究と調査をする。丹色、お前は街でもっと情報を集めてこい。全くもって情報が集められていない。あと、修正人にも話を聞いてこい。
丹色:ったく、人使いがあれぇこって。わーったよ。もう一回街に行って見つけてくっから、待ってなぁ。
オトギリ:さっさと行け。
丹色:はいはい、んじゃ、行ってくっわ。ガキをいじめんじゃねぇぞ。
オトギリ:しないから早く行け。
丹色:ウルセェやつだなぁ。ま、行ってくらぁな。
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オトギリ:…行ったか。まずは君に聞きたいことある。
ダリア:はい…。
オトギリ:ここに来るようにと言った人物とは、一体どこで会ったのか。そこは確実にしておきたい。
ダリア:えっと…。森の入り口にいた時に、急に後ろから話しかけられて…。君の悩みはここに行けば解決するって、言われました。その時にここに来るための地図を渡されて顔を上げたら、その男の人は、消えてしまっていました…。お礼を言えないまま…。でも、その男の人よりもこの事件が解決するならって思って、ここに来たんです。
オトギリ:なるほど、理解した。では、暫くここで休んでいくといい。二階に休める場所がある。そこでゆっくりしていきなさい。
ダリア:いいんですか…?
オトギリ:構わない。早く二階に行きなさい。
ダリア:は、はい…!!
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オトギリ:あれは、危ないな…。このままでは計画が台無しになってしまう。