台本概要
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タイトル | 浮島の下にある黒き海溝は雨垂れ石を穿つ〜橙色〜 後編 |
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作者名 | 明桜 リア (@ria_meiou) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 5人用台本(不問5) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
長いので前編、中編、後編に分けました。 この世界は色によって違う浮島がある。 レッド、イエロー、グリーン、オレンジ、ホワイトの四つの島があり、行き来するためには飛行船が必要だった。 世界は色結晶(いろけっしょう)に溢れており、通貨にも機械などを動かしたりするのにも使われている。 結晶を破壊してしまうと島が黒くなっていき、下にある海溝に落ちて行ってしまう。 それだけでなく、もしこの世界の深淵を覗いてしまうと…? 名前は確認してから、読んでいただけるとありがたいです。 *使用について* ・使用許可は要りません。 ・配信に使っていただいても構いませんん。もし使うよーって言ってくださったら、飛んで見に行きます。 ・自作発言はお控えください。 ・改変、加工は物語を大幅に改善する事以外は大丈夫です。 何かありましたら、お聞きください! 後は、とにかく楽しんで演じてください! 43 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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丹色 | 不問 | 59 | 猩々 丹色(しょうじょう にいろ)。 べらんめぇ口調。ガサツな性格。基本的にめんどくさいことはしないが、なんやかんや優しいのが丸見え。オトギリとは気が合う。赤いの色名(しきめい)からつけた名前。 |
オトギリ | 不問 | 55 | オトギリ・ラブラドルライト性格の悪い天才研究者。口も悪い、態度もでかい。でも丹色とは何か気が合う。プライドがエベレストをも超える。鉱石(宝石)と花の名前からつけた名前。 |
セイファ | 不問 | 21 | 純粋なサイコパス。悪意のなき悪意。おかしいなら消してしまってもいいという考えを持っている。カイファが好き。海に映る星から来た名前。 |
カイファ | 不問 | 26 | 純粋なサイコパス。悪意なき悪意。セイファに何かするなら、居なくなってもいいよねという考えを持っている。セイファが好き。星を映すための海から来た名前。 |
ダリア | 不問 | 26 | 森の動物達と過ごしていたと言う子ども。か弱い少年に見えるが…? 読み終わった後にダリアの花言葉を調べてみてください。怖い意味もありますね。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
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0:場面転換(橙灯街)
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丹色:ったくよぉ…。ここに来んの二回目じゃねぇかい。なんでこんな事しなきゃなんねぇんだ。にしても、だ…。さっさとこの気持ち悪りぃ所から出なきゃだな。嫌になっちまうぜ。全員笑ってやがんだからな。ゾッとすらぁな。
丹色:お?ここがあのガキが言ってた森かい。確かに、修正人が直してるみてぇだが…間に合っちゃいないねぇ。こいつぁ、やべぇ匂いがぷんぷんすらぁな。このままじゃ、『*島切《しまぎ》り』…ここの部分は島から切り取られちまうな。下の何があるか分からん闇の中に落とされんだろぉな。この世界はどうなってやがんのかねぇ。
丹色:あ、そういや、修正人に話を聞くんだったな。…って、修正人がいねぇ?一体どうなってやがんだぁ?
カイファ:ねぇ、お兄さん。
丹色:あ?なんでい。…って、街で俺に話しかけてきたガキじゃねぇか!ようやっと捕まえたぜ!あの言葉は一体なんだってぇんだ!
カイファ:あの言葉?
丹色:見つけられるかどうかって話のこたぁ!自分で言っておきながら、覚えてねぇとはどういう*謂《いわ》れでぇ!
カイファ:ふふ。
丹色:何笑ってやがる。
カイファ:お兄さん。見つけるの、遅かったね。
丹色:なんのこってい。早かっただろぉがよ。
カイファ:だって、わかってないんだもん。
丹色:…そりゃ、どういうこって…。
カイファ:見てくれたらわかるよ。ほら。
丹色:なんで森を指差して…あ!?な、なんでい…ありゃ…。
セイファ:ふふ、ね?遅かったでしょ?一応、お兄さんはこの世界のことを知ってる人だから教えてあげるけど、あれは『*結晶島喰い《けっしょうしまぐ》い』って言ってね。結晶と島そのものを*喰《く》らう為に生み出した化け物なんだ。
カイファ:私『達』だ生み出したんじゃないけど。この黒い結晶をもらってんね、壊したらあの子が出てきたんだ。そうしたら、たくさんの結晶を食べてくれて、どんどん島が色を失っていってくれた。楽しいなぁ!
丹色:楽しくはねぇだろうがよ!!
セイファ:楽しいよ、ね?カイファ。
カイファ:うん、セイファ。
丹色:いつの間に二人…!?チッ!テメェら、やっぱり二人組だっんかい。あいつの言ってた通りだったってぇわけか。
セイファ:そうだよ?私達は二人で一つ。
カイファ:うん、だからいいんだよ。
丹色:まだ十代そこそこのガキが*一丁前《いっちょまえ》なことぬかしやがって…!それよりもだなぁ…。おい!テメェ!いつまで聞いたままでいやがる!さっさとこっちにこねぇか!!オトギリ!
オトギリ:うるさいぞ、丹色。全体を*把握《はあく》するのに必要だったから、出なかっただけの話だ。いちいち大きい声を出すな。
丹色:うるっせぇやい!テメェで言い出しやがったのに、こっちにばっか仕事させやがって!自分は高みの見物ってぇか!?こん*畜生《ちくしょう》が!
オトギリ:さっきから耳が痛いほど*煩《うる》いぞ。
丹色:あぁん!?
オトギリ:そんなことよりも、わかったことがある。なんで色結晶というものができたのかが。
丹色:なんだってぇ?
オトギリ:色結晶は島によって意味が変わってくる。まずはレッド*島《じま》は『時間が経つのを早くさせる』意味を持つ。次はイエロー島は『会話と*軽快《けいかい》』の意味を持つ。グリーン島は『心の乱れ、調和、決断力を高める』意味を持つ、オレンジ島『食欲を*増進《ぞうしん》』の意味を持つ、ホワイト島『*清楚感《せいそかん》』の意味を持っている。つまり、島一つ一つが色によって意味が変わってくるんだ。
丹色:はぁ?何言ってやがる!!意味がわかんねぇ!!
オトギリ:これだから単細胞は…。いいか、この島でよく考えろ。オレンジ島は食べ物の店が多いと思ないか?
丹色:あ…そういや、確かになぁ…。
オトギリ:だろうが。君もそう考えたんじゃないか?ダリアくん。
ダリア:え!?そ、そんな事…僕、分からないです…。
オトギリ:そうか。ならいい。それよりも君たちは、一体どうしてこの事件を引き起こしたんだ?
セイファ:決まってること聞かないで。ね?カイファ。
カイファ:そうだよ。ね、セイファ。
セイファ:私達はね、この世界が変だなって思ってたら、両親に消されそうになったから森の中に逃げてたの。
カイファ:そうしたらね、浮いてた色結晶を触って、ぎゅってしてみたら壊れたの。
セイファ:壊れた後を見たら、森の一部が黒くなったの。
カイファ:面白くて、楽しくて。いっぱい壊して遊んでたの。
セイファ:その時、私達に黒い結晶をくれた人がいたの。
カイファ:黒い結晶をね、割ってみたら黒くて大きいのが出てきたから。
セイファ:それがどんどん結晶を食べていってくれたの。楽しいかったよね!
カイファ:うん!楽しかった。
ダリア:そ、そんな理由で僕たちの森を…。
丹色:*狂《くる》ってやがらぁ…。お前らのせいで森の中のいる動物とダリアが、そこにいけなくなっちまったじゃねぇか!
ダリア:そうです!!僕だって、みんなと一緒にいたかっただけなのに!君たち双子のせいで…!
丹色:本当だぜ!テメェら、なんてぇ奴らだ!!
オトギリ:はい、そこまでだ。
丹色:おい!なんで止めるんだい!こいつらを止めねぇといけねぇだろうが!
オトギリ:ダリアくん。
ダリア:な、なんですか…?
丹色:人の話くらい聞きやがれ!
オトギリ:今さっき来た僕たちが、この二人の事を知るはずはない。でも、君はこの二人は知っていた。
ダリア:そ、それは…。僕は皆さんが、そんな風に言っていらっしゃったので、そうかなって思って話したんですが…。
オトギリ:そんな事が分かるはずもない。顔が似ていると言うだけで、兄弟という可能性もある。違うか?
丹色:待て待て待て!俺にゃ、意味がわっかんねぇ!!説明しやがれ!
オトギリ:何度もしないといけないなんて、面倒な事この上ないが…いいだろう。そもそも、おかしいのは初めからだった。なぜ双子が丹色、お前に直接話しかけることができた?
丹色:あ…。そういやそうだぜ…。なんで俺に話しかけてきたんだぁ?
オトギリ:双子の君達は、お前の特徴を言われていたんだ。そして、話しかけろと言われていた。違うか?
セイファ:うん!そうだよ!
カイファ:だって、教えてあげないとって言われたんだ。
セイファ:私達がしている事を教えてあげたらいいよって!
カイファ:お兄さんに言ってもらったから、教えてあげようと思ったんだ!
オトギリ:なるほど。では、ここからが問題だ。
丹色:問題だぁ?なんだってんだ。
オトギリ:いいか。こんな中でどうやったら、僕たちの居場所を情報を得られたのか。そこが一番重要な所だ。さて、ダリアくん。君はどこでこの情報を得たと言っていた?
ダリア:え、それは…双子さんのように、森で…。
オトギリ:あの双子は結晶をくれた人、とした言っていなかった。でも君は背が高いと言っていたがしかし、それ以上は情報はもっていないとも。その割に『男』が紙を渡してきて、僕達のところに来たらいいと言われたと。
ダリア:はい…。
オトギリ:ここまででおかしい点が二つある。
丹色:なんだってぇんだ。さっさと要点言いやがれ。
オトギリ:今から言おうとしていた。うるさい奴だな。君は自分で言ってしまったことに気がついていないと思うがまずは一つ目。双子は知らない人としか言っていなかったが、君は背の高い人という情報を持っていた。
オトギリ:もう一つは君は誰だか分からないと言った割に、おじさんに言われてと行っていた事、後ろから男に渡されたと言った。おかしいだろう?覚えてないと言ったのに、なぜか男だと断定していたんだ。それだけだではない。最初にはおじさんとも言っていた。
丹色:確かに…言われてみりゃあそうじゃねぇか。
オトギリ:そういうことだ。これら二つを組み合わせると、君が何故、この情報を知っていたのかを問いたださなければいけない。まず、君は一体何者だ?
ダリア:僕は、この島で暮らしている…だけで…。
オトギリ:では、この矛盾点については、どう説明してくれるのか教えてくれないか?それとも…言えない理由でもあるのか?
ダリア:それは…。
オトギリ:そうだな…。例えば…君が少年ではなく、その男本人であるとか。
丹色:は!?本人だとぉ!?んな訳…
ダリア:ふ、ふふ…あはははは!!さすがです!そうでなければ面白くない!!いやぁ、小さくなっていればバレないと思ったのですが…だめでしたか…。こんなに頑張ったというのに!!
オトギリ:黙れ。貴様のせいで、僕がしてきた島の研究を邪魔されるところだったんだ。誰かに情報を*漏《も》らすつもりはないのでね。
ダリア:先ほどのは漏らして良かったのかね?
オトギリ:あの情報は貴様も知っているだろうが。だから、言ってもいいと判断した。
ダリア:そこまでバレていましたかぁ!驚きました!でも、もっと知りたいことがあるのでは?
オトギリ:これ以上は僕の自分で研究する。貴様の力など、必要ない。
ダリア:あらあら、フラれちゃったなぁ。にしても…もう一人は黙っちゃって、どうしての?
丹色:クソが…テメェ…許されねぇことしやがってよ!!ガキの気持ちを*弄《もてあそ》ぶんじゃねぇや!!何考えてやがる!!
ダリア:いや、それは違うなぁ。これは元々彼らがしたかったんじゃないか。違うかい?君達。
セイファ:うん、したかった。
カイファ:そうだよ。したかったの。
丹色:…なんてぇ奴らだ。*揃《そろ》いも*揃《そろ》って頭おかしいんじゃねぇかよ。
セイファ:なんで?何も問題ないよね。
カイファ:だって、こんな島なんていらないでしょ?
セイファ:全部をすぐ消そうとする島なんて。
カイファ:消えちゃえばいいよね。
セイファ:本当だよ。消しちゃお。
丹色:んな事していいわけねぇだろうが!!確かに意味がわからねぇ事が多いが、人が住んでんだよ!生き物がいんだよ!テメェの言ってることは狂ってる以外の何もんでもねぇってことだ!!
ダリア:君達の考えこそがおかしい。こんな島達なんて、消してしまっていいんだよ。だって人を消していける世界なんて、変だと思わないのか?だからこそ、壊す。当たり前じゃないですか。
丹色:こんのクソやろぉが!!テメェの頭がおかしいってことに気がつきやがれ!!
オトギリ:丹色。こんな奴らに何を言っても意味がない。
丹色:でもよぉ!こんなガキまで巻き込みやがって…!
オトギリ:何度も言いますが、巻き込んでないですとも!誘ったら来てくれたんだよ。
セイファ:うん!この人大好きなんだ!
カイファ:うん!だから、私達好きだよ!!
丹色:テメェら…!!
ダリア:さて、君達はあそこのデカいのを、消さなくていいのかな?じゃないと、島自体が壊れてしまうよ?
オトギリ:僕は消し方を知っているから問題はない。さっさと消えろ。貴様の顔をもう見ていたくない。
ダリア:悲しいなぁ。では一つ、面白いことを教えてあげよう。
丹色:テメェの言葉なんぞ誰が…!
オトギリ:聞かせてもらおう。
丹色:おい!オトギリ!!
オトギリ:気持ちはわかる。しかし、聞いてやってもいいだろう。
ダリア:ははは!上から目線で結構なことだ。まぁ、いいでしょう。これは隠された島々の*伝承《でんしょう》。島の人間たちも知らないからこそ、行われている排除申請。それはこの島の下に広がっている深く黒き*海溝《かいこう》に落とす事を意味している。落ちた者は*沈《し》ずみ消えていくと言われています。ここで*鬼門《きもん》なのが、それを行なっているのは一体誰かという事です。意味は…オトギリさん、貴方ならわかりますよね?
オトギリ:…つまり下に落とされているものたちは、どう*足掻《あが》いても戻れる事はなく、黒い海溝の中で消え去って行くようにしているのを誰が行なっているのかは不明。ここが難点なのだと言いたいのだな?
ダリア:その通りです!やはり貴方とは気が合いそうだ。
オトギリ僕は全く気が合いそうにはないがな。
ダリア:それは残念。これ以上話していても*不毛《ふもう》でしょうし、私たちはこれで消えるとしよう。さ、二人とも行こうか。
セイファ:うん、行く。
カイファ:一緒に行くね。私達、ずっと着いてくね。
セイファ:バイバイ、またね。二人とも。
カイファ:またね。会えたらいいね。
ダリア:ここに用意してある飛行船に乗って移動しようか。
オトギリ:いつの間に飛行船を用意していた…。
丹色:*用意周到《よういしゅうとう》なこって。
ダリア:それでは皆さま、さようなら。また会う日まで…。
丹色:うるっせぇ!誰がテメェなんぞに会いたいか!さっさと消えちまえ!
オトギリ:貴様のした事を許す気なんぞ、全くもってない。さっさと行け。
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オトギリ:おい、丹色。あんな奴らの事よりもこちらの方を優先するぞ。
丹色:くっそ!だー!!しゃーねーな!!んで、どうやってやるんでい!
オトギリ:いいか、黒い結晶なんてものはない。
丹色:そんなこたぁわかってらぁ!!
オトギリ:つまり、あれは作り出されたという事だ。そして、*封《ふう》じる方法もある。
丹色:作り出して?*封《ふう》じる…あぁー!わっかんねぇ!!どうすんでい!!
オトギリ:お前は覚えてないかもしれないが、僕は研究者だ。色結晶について調べていると見つけたことがある。透明色結晶だ。この中にあいつを閉じ込めてしまえばいい。
丹色:なるほどなぁ…って、んな事言われて、簡単にできるわけねぇだろうが!
オトギリ:とりあえずは、あの黒いデカいのをこちらに連れてこい。お前はそれだけでいい。さっさとしろ。
丹色:そんな事でなんとかなるってぇのか!?
オトギリ:いいからさっさとしろ!!
丹色:くそ!わぁーたよ!!連れていってやっから、ちゃんとやれよ!!
オトギリ:当たり前だ。誰にものを言っている。
丹色:へいへい、天才研究者様だったな!!おら!失敗すんなよぉ!
オトギリ:うるさい。早くしろ。
丹色:こんのやろぉ!さっさとしてやるから待ってろや!
丹色:おい!デカブツ!!俺んとこ来い!俺の色結晶、たくさんくれてやるよ!喰らいてぇだろぉ!?喰らいてぇなら、こっち着いてきやがれってんだ!!
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0:結晶喰いが丹色の近くまでくる。
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丹色:その調子だ!こっち着いてきなぁ!!眼鏡オラァ、連れてきたぞ!テメェの出番だろぉがよぉ、オトギリ!ちゃんとやりやがんねぇ!
オトギリ:誰にものを言っている。『吸収しろ。*蛍石《ほたるいし》!』
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丹色:あー!つっっかれたぜぇ…。あいつら、掃除もしねぇで消えやがて…ふざけていやがらぁな。
オトギリ:それには同意だ。
丹色:にしても…なんだぁあれ。どうやったんだ?
オトギリ:元々結晶はただ色があるだけではない。透明な結晶もあるんだ。よく考えろ。僕たちの中からは色のない結晶が出ていると思わないか?
丹色:あー…おぉ、そういやそうだったなぁ。
オトギリ:だろうが。これはまだ*憶測《おくそく》の段階にしか過ぎんが。結晶には結晶自身の意味があるのかもしれない。色がない状態から人の感情に合わせて色が着いていると考えられるんだ。しかし、その他にも意味があるのかも知れん。*海溝《かいこう》の事も気になる。何故島が浮いているのか。海溝を作ってまで、いらなくなった島や人を消さないといけないのか。それを誰が決めたのか。これら全てを*検証《けんしょう》しなければならない。
丹色:ほぉん…。なるほどなぁ。
オトギリ:はぁ、全然わかってないな。
丹色:あっちゃー。バレちまったかい。
オトギリ:当たり前だ。とにかく、ここから僕たちがする事は、たった一つだ。
丹色:なんだぁ?
オトギリ:この透明な結晶を集めて作った蛍石が、黒いモノを吸収できるのならば、これで『*結晶島喰《けっしょうじまぐ》い』を吸収する事で止めることができるんだ。やらないという選択肢はない。
丹色:そんな簡単にもの言ってんじゃねぇやい。にしてもよく作れたなぁ、その蛍石とやらをよぉ。あいつが近くにいたんだろう?
オトギリ:簡単だ。もっと前から研究していたからな。後はそれを仕上げるだけだったから、適当に何かを研究しているように見せかけつつ、これを作り上げたというわけだ。
丹色:ははぁ、なるほどねぇ。お前さんも悪いやつだねぇ。
オトギリ:黙れ。お前のすぐ*沸騰《ふっとう》してキレる癖をどうにかしろ。
丹色:ウルセェやい。テメェに言われたかねぇわ。切れ眼鏡。
オトギリ:やかましい。このクソ野郎が。
丹色:お口が悪いよぉで。まぁ、今回の事はこれで終わりだが…。
オトギリ:次が確実に起こるだろうな。それに*備《そな》えなくてはいけないからこそ、『蛍石』の*解析《かいせき》を急がなくてはいけない。という事でだ、丹色。
丹色:なんでい。
オトギリ:何かしてこい。
丹色:は?
オトギリ:適当に何か思う事をして、透明な結晶を作ってこい。
丹色:無茶を言うもんじゃねぇや!!テメェでしてこねぇか!
オトギリ:僕は研究者だ。筋肉ダルマと一緒にするな。
丹色:こんの…!あぁ言えばこう言いやがって!!あーあーやりゃあいいんだろうが、クソッタレ!!
オトギリ:ぐだぐだ言ってないで、さっさとしてこい。集めろ。それで研究は進む。
丹色:テメェ、いつがぶっ飛ばしてやっからなぁ!!
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ダリア:今回は失敗に終わってしまったねぇ。
セイファ:寂しい。
カイファ:もっと壊したかった。
ダリア:そうですね。でも彼らと会うのは楽しみではないかな?
セイファ:うん!私も会いたい!
カイファ:私も!!もっと会って話したいなぁ。
セイファ:ねぇ、次はどんな遊びをするの?
カイファ:知りたい!何するの?
ダリア:秘密ですよ。
セイファ:えーずるいよね、カイファ。
カイファ:そうだよね、セイファ。
ダリア:そう言わずに、待っているといいよ。きっと、もっともっと楽しい事が待っていますからね…。
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丹色:ったくよぉ…。ここに来んの二回目じゃねぇかい。なんでこんな事しなきゃなんねぇんだ。にしても、だ…。さっさとこの気持ち悪りぃ所から出なきゃだな。嫌になっちまうぜ。全員笑ってやがんだからな。ゾッとすらぁな。
丹色:お?ここがあのガキが言ってた森かい。確かに、修正人が直してるみてぇだが…間に合っちゃいないねぇ。こいつぁ、やべぇ匂いがぷんぷんすらぁな。このままじゃ、『*島切《しまぎ》り』…ここの部分は島から切り取られちまうな。下の何があるか分からん闇の中に落とされんだろぉな。この世界はどうなってやがんのかねぇ。
丹色:あ、そういや、修正人に話を聞くんだったな。…って、修正人がいねぇ?一体どうなってやがんだぁ?
カイファ:ねぇ、お兄さん。
丹色:あ?なんでい。…って、街で俺に話しかけてきたガキじゃねぇか!ようやっと捕まえたぜ!あの言葉は一体なんだってぇんだ!
カイファ:あの言葉?
丹色:見つけられるかどうかって話のこたぁ!自分で言っておきながら、覚えてねぇとはどういう*謂《いわ》れでぇ!
カイファ:ふふ。
丹色:何笑ってやがる。
カイファ:お兄さん。見つけるの、遅かったね。
丹色:なんのこってい。早かっただろぉがよ。
カイファ:だって、わかってないんだもん。
丹色:…そりゃ、どういうこって…。
カイファ:見てくれたらわかるよ。ほら。
丹色:なんで森を指差して…あ!?な、なんでい…ありゃ…。
セイファ:ふふ、ね?遅かったでしょ?一応、お兄さんはこの世界のことを知ってる人だから教えてあげるけど、あれは『*結晶島喰い《けっしょうしまぐ》い』って言ってね。結晶と島そのものを*喰《く》らう為に生み出した化け物なんだ。
カイファ:私『達』だ生み出したんじゃないけど。この黒い結晶をもらってんね、壊したらあの子が出てきたんだ。そうしたら、たくさんの結晶を食べてくれて、どんどん島が色を失っていってくれた。楽しいなぁ!
丹色:楽しくはねぇだろうがよ!!
セイファ:楽しいよ、ね?カイファ。
カイファ:うん、セイファ。
丹色:いつの間に二人…!?チッ!テメェら、やっぱり二人組だっんかい。あいつの言ってた通りだったってぇわけか。
セイファ:そうだよ?私達は二人で一つ。
カイファ:うん、だからいいんだよ。
丹色:まだ十代そこそこのガキが*一丁前《いっちょまえ》なことぬかしやがって…!それよりもだなぁ…。おい!テメェ!いつまで聞いたままでいやがる!さっさとこっちにこねぇか!!オトギリ!
オトギリ:うるさいぞ、丹色。全体を*把握《はあく》するのに必要だったから、出なかっただけの話だ。いちいち大きい声を出すな。
丹色:うるっせぇやい!テメェで言い出しやがったのに、こっちにばっか仕事させやがって!自分は高みの見物ってぇか!?こん*畜生《ちくしょう》が!
オトギリ:さっきから耳が痛いほど*煩《うる》いぞ。
丹色:あぁん!?
オトギリ:そんなことよりも、わかったことがある。なんで色結晶というものができたのかが。
丹色:なんだってぇ?
オトギリ:色結晶は島によって意味が変わってくる。まずはレッド*島《じま》は『時間が経つのを早くさせる』意味を持つ。次はイエロー島は『会話と*軽快《けいかい》』の意味を持つ。グリーン島は『心の乱れ、調和、決断力を高める』意味を持つ、オレンジ島『食欲を*増進《ぞうしん》』の意味を持つ、ホワイト島『*清楚感《せいそかん》』の意味を持っている。つまり、島一つ一つが色によって意味が変わってくるんだ。
丹色:はぁ?何言ってやがる!!意味がわかんねぇ!!
オトギリ:これだから単細胞は…。いいか、この島でよく考えろ。オレンジ島は食べ物の店が多いと思ないか?
丹色:あ…そういや、確かになぁ…。
オトギリ:だろうが。君もそう考えたんじゃないか?ダリアくん。
ダリア:え!?そ、そんな事…僕、分からないです…。
オトギリ:そうか。ならいい。それよりも君たちは、一体どうしてこの事件を引き起こしたんだ?
セイファ:決まってること聞かないで。ね?カイファ。
カイファ:そうだよ。ね、セイファ。
セイファ:私達はね、この世界が変だなって思ってたら、両親に消されそうになったから森の中に逃げてたの。
カイファ:そうしたらね、浮いてた色結晶を触って、ぎゅってしてみたら壊れたの。
セイファ:壊れた後を見たら、森の一部が黒くなったの。
カイファ:面白くて、楽しくて。いっぱい壊して遊んでたの。
セイファ:その時、私達に黒い結晶をくれた人がいたの。
カイファ:黒い結晶をね、割ってみたら黒くて大きいのが出てきたから。
セイファ:それがどんどん結晶を食べていってくれたの。楽しいかったよね!
カイファ:うん!楽しかった。
ダリア:そ、そんな理由で僕たちの森を…。
丹色:*狂《くる》ってやがらぁ…。お前らのせいで森の中のいる動物とダリアが、そこにいけなくなっちまったじゃねぇか!
ダリア:そうです!!僕だって、みんなと一緒にいたかっただけなのに!君たち双子のせいで…!
丹色:本当だぜ!テメェら、なんてぇ奴らだ!!
オトギリ:はい、そこまでだ。
丹色:おい!なんで止めるんだい!こいつらを止めねぇといけねぇだろうが!
オトギリ:ダリアくん。
ダリア:な、なんですか…?
丹色:人の話くらい聞きやがれ!
オトギリ:今さっき来た僕たちが、この二人の事を知るはずはない。でも、君はこの二人は知っていた。
ダリア:そ、それは…。僕は皆さんが、そんな風に言っていらっしゃったので、そうかなって思って話したんですが…。
オトギリ:そんな事が分かるはずもない。顔が似ていると言うだけで、兄弟という可能性もある。違うか?
丹色:待て待て待て!俺にゃ、意味がわっかんねぇ!!説明しやがれ!
オトギリ:何度もしないといけないなんて、面倒な事この上ないが…いいだろう。そもそも、おかしいのは初めからだった。なぜ双子が丹色、お前に直接話しかけることができた?
丹色:あ…。そういやそうだぜ…。なんで俺に話しかけてきたんだぁ?
オトギリ:双子の君達は、お前の特徴を言われていたんだ。そして、話しかけろと言われていた。違うか?
セイファ:うん!そうだよ!
カイファ:だって、教えてあげないとって言われたんだ。
セイファ:私達がしている事を教えてあげたらいいよって!
カイファ:お兄さんに言ってもらったから、教えてあげようと思ったんだ!
オトギリ:なるほど。では、ここからが問題だ。
丹色:問題だぁ?なんだってんだ。
オトギリ:いいか。こんな中でどうやったら、僕たちの居場所を情報を得られたのか。そこが一番重要な所だ。さて、ダリアくん。君はどこでこの情報を得たと言っていた?
ダリア:え、それは…双子さんのように、森で…。
オトギリ:あの双子は結晶をくれた人、とした言っていなかった。でも君は背が高いと言っていたがしかし、それ以上は情報はもっていないとも。その割に『男』が紙を渡してきて、僕達のところに来たらいいと言われたと。
ダリア:はい…。
オトギリ:ここまででおかしい点が二つある。
丹色:なんだってぇんだ。さっさと要点言いやがれ。
オトギリ:今から言おうとしていた。うるさい奴だな。君は自分で言ってしまったことに気がついていないと思うがまずは一つ目。双子は知らない人としか言っていなかったが、君は背の高い人という情報を持っていた。
オトギリ:もう一つは君は誰だか分からないと言った割に、おじさんに言われてと行っていた事、後ろから男に渡されたと言った。おかしいだろう?覚えてないと言ったのに、なぜか男だと断定していたんだ。それだけだではない。最初にはおじさんとも言っていた。
丹色:確かに…言われてみりゃあそうじゃねぇか。
オトギリ:そういうことだ。これら二つを組み合わせると、君が何故、この情報を知っていたのかを問いたださなければいけない。まず、君は一体何者だ?
ダリア:僕は、この島で暮らしている…だけで…。
オトギリ:では、この矛盾点については、どう説明してくれるのか教えてくれないか?それとも…言えない理由でもあるのか?
ダリア:それは…。
オトギリ:そうだな…。例えば…君が少年ではなく、その男本人であるとか。
丹色:は!?本人だとぉ!?んな訳…
ダリア:ふ、ふふ…あはははは!!さすがです!そうでなければ面白くない!!いやぁ、小さくなっていればバレないと思ったのですが…だめでしたか…。こんなに頑張ったというのに!!
オトギリ:黙れ。貴様のせいで、僕がしてきた島の研究を邪魔されるところだったんだ。誰かに情報を*漏《も》らすつもりはないのでね。
ダリア:先ほどのは漏らして良かったのかね?
オトギリ:あの情報は貴様も知っているだろうが。だから、言ってもいいと判断した。
ダリア:そこまでバレていましたかぁ!驚きました!でも、もっと知りたいことがあるのでは?
オトギリ:これ以上は僕の自分で研究する。貴様の力など、必要ない。
ダリア:あらあら、フラれちゃったなぁ。にしても…もう一人は黙っちゃって、どうしての?
丹色:クソが…テメェ…許されねぇことしやがってよ!!ガキの気持ちを*弄《もてあそ》ぶんじゃねぇや!!何考えてやがる!!
ダリア:いや、それは違うなぁ。これは元々彼らがしたかったんじゃないか。違うかい?君達。
セイファ:うん、したかった。
カイファ:そうだよ。したかったの。
丹色:…なんてぇ奴らだ。*揃《そろ》いも*揃《そろ》って頭おかしいんじゃねぇかよ。
セイファ:なんで?何も問題ないよね。
カイファ:だって、こんな島なんていらないでしょ?
セイファ:全部をすぐ消そうとする島なんて。
カイファ:消えちゃえばいいよね。
セイファ:本当だよ。消しちゃお。
丹色:んな事していいわけねぇだろうが!!確かに意味がわからねぇ事が多いが、人が住んでんだよ!生き物がいんだよ!テメェの言ってることは狂ってる以外の何もんでもねぇってことだ!!
ダリア:君達の考えこそがおかしい。こんな島達なんて、消してしまっていいんだよ。だって人を消していける世界なんて、変だと思わないのか?だからこそ、壊す。当たり前じゃないですか。
丹色:こんのクソやろぉが!!テメェの頭がおかしいってことに気がつきやがれ!!
オトギリ:丹色。こんな奴らに何を言っても意味がない。
丹色:でもよぉ!こんなガキまで巻き込みやがって…!
オトギリ:何度も言いますが、巻き込んでないですとも!誘ったら来てくれたんだよ。
セイファ:うん!この人大好きなんだ!
カイファ:うん!だから、私達好きだよ!!
丹色:テメェら…!!
ダリア:さて、君達はあそこのデカいのを、消さなくていいのかな?じゃないと、島自体が壊れてしまうよ?
オトギリ:僕は消し方を知っているから問題はない。さっさと消えろ。貴様の顔をもう見ていたくない。
ダリア:悲しいなぁ。では一つ、面白いことを教えてあげよう。
丹色:テメェの言葉なんぞ誰が…!
オトギリ:聞かせてもらおう。
丹色:おい!オトギリ!!
オトギリ:気持ちはわかる。しかし、聞いてやってもいいだろう。
ダリア:ははは!上から目線で結構なことだ。まぁ、いいでしょう。これは隠された島々の*伝承《でんしょう》。島の人間たちも知らないからこそ、行われている排除申請。それはこの島の下に広がっている深く黒き*海溝《かいこう》に落とす事を意味している。落ちた者は*沈《し》ずみ消えていくと言われています。ここで*鬼門《きもん》なのが、それを行なっているのは一体誰かという事です。意味は…オトギリさん、貴方ならわかりますよね?
オトギリ:…つまり下に落とされているものたちは、どう*足掻《あが》いても戻れる事はなく、黒い海溝の中で消え去って行くようにしているのを誰が行なっているのかは不明。ここが難点なのだと言いたいのだな?
ダリア:その通りです!やはり貴方とは気が合いそうだ。
オトギリ僕は全く気が合いそうにはないがな。
ダリア:それは残念。これ以上話していても*不毛《ふもう》でしょうし、私たちはこれで消えるとしよう。さ、二人とも行こうか。
セイファ:うん、行く。
カイファ:一緒に行くね。私達、ずっと着いてくね。
セイファ:バイバイ、またね。二人とも。
カイファ:またね。会えたらいいね。
ダリア:ここに用意してある飛行船に乗って移動しようか。
オトギリ:いつの間に飛行船を用意していた…。
丹色:*用意周到《よういしゅうとう》なこって。
ダリア:それでは皆さま、さようなら。また会う日まで…。
丹色:うるっせぇ!誰がテメェなんぞに会いたいか!さっさと消えちまえ!
オトギリ:貴様のした事を許す気なんぞ、全くもってない。さっさと行け。
0:
0:飛行船が飛び立つ
0:
オトギリ:おい、丹色。あんな奴らの事よりもこちらの方を優先するぞ。
丹色:くっそ!だー!!しゃーねーな!!んで、どうやってやるんでい!
オトギリ:いいか、黒い結晶なんてものはない。
丹色:そんなこたぁわかってらぁ!!
オトギリ:つまり、あれは作り出されたという事だ。そして、*封《ふう》じる方法もある。
丹色:作り出して?*封《ふう》じる…あぁー!わっかんねぇ!!どうすんでい!!
オトギリ:お前は覚えてないかもしれないが、僕は研究者だ。色結晶について調べていると見つけたことがある。透明色結晶だ。この中にあいつを閉じ込めてしまえばいい。
丹色:なるほどなぁ…って、んな事言われて、簡単にできるわけねぇだろうが!
オトギリ:とりあえずは、あの黒いデカいのをこちらに連れてこい。お前はそれだけでいい。さっさとしろ。
丹色:そんな事でなんとかなるってぇのか!?
オトギリ:いいからさっさとしろ!!
丹色:くそ!わぁーたよ!!連れていってやっから、ちゃんとやれよ!!
オトギリ:当たり前だ。誰にものを言っている。
丹色:へいへい、天才研究者様だったな!!おら!失敗すんなよぉ!
オトギリ:うるさい。早くしろ。
丹色:こんのやろぉ!さっさとしてやるから待ってろや!
丹色:おい!デカブツ!!俺んとこ来い!俺の色結晶、たくさんくれてやるよ!喰らいてぇだろぉ!?喰らいてぇなら、こっち着いてきやがれってんだ!!
0:
0:結晶喰いが丹色の近くまでくる。
0:
丹色:その調子だ!こっち着いてきなぁ!!眼鏡オラァ、連れてきたぞ!テメェの出番だろぉがよぉ、オトギリ!ちゃんとやりやがんねぇ!
オトギリ:誰にものを言っている。『吸収しろ。*蛍石《ほたるいし》!』
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0:黒い塊が吸い込まれていく。
0:
丹色:あー!つっっかれたぜぇ…。あいつら、掃除もしねぇで消えやがて…ふざけていやがらぁな。
オトギリ:それには同意だ。
丹色:にしても…なんだぁあれ。どうやったんだ?
オトギリ:元々結晶はただ色があるだけではない。透明な結晶もあるんだ。よく考えろ。僕たちの中からは色のない結晶が出ていると思わないか?
丹色:あー…おぉ、そういやそうだったなぁ。
オトギリ:だろうが。これはまだ*憶測《おくそく》の段階にしか過ぎんが。結晶には結晶自身の意味があるのかもしれない。色がない状態から人の感情に合わせて色が着いていると考えられるんだ。しかし、その他にも意味があるのかも知れん。*海溝《かいこう》の事も気になる。何故島が浮いているのか。海溝を作ってまで、いらなくなった島や人を消さないといけないのか。それを誰が決めたのか。これら全てを*検証《けんしょう》しなければならない。
丹色:ほぉん…。なるほどなぁ。
オトギリ:はぁ、全然わかってないな。
丹色:あっちゃー。バレちまったかい。
オトギリ:当たり前だ。とにかく、ここから僕たちがする事は、たった一つだ。
丹色:なんだぁ?
オトギリ:この透明な結晶を集めて作った蛍石が、黒いモノを吸収できるのならば、これで『*結晶島喰《けっしょうじまぐ》い』を吸収する事で止めることができるんだ。やらないという選択肢はない。
丹色:そんな簡単にもの言ってんじゃねぇやい。にしてもよく作れたなぁ、その蛍石とやらをよぉ。あいつが近くにいたんだろう?
オトギリ:簡単だ。もっと前から研究していたからな。後はそれを仕上げるだけだったから、適当に何かを研究しているように見せかけつつ、これを作り上げたというわけだ。
丹色:ははぁ、なるほどねぇ。お前さんも悪いやつだねぇ。
オトギリ:黙れ。お前のすぐ*沸騰《ふっとう》してキレる癖をどうにかしろ。
丹色:ウルセェやい。テメェに言われたかねぇわ。切れ眼鏡。
オトギリ:やかましい。このクソ野郎が。
丹色:お口が悪いよぉで。まぁ、今回の事はこれで終わりだが…。
オトギリ:次が確実に起こるだろうな。それに*備《そな》えなくてはいけないからこそ、『蛍石』の*解析《かいせき》を急がなくてはいけない。という事でだ、丹色。
丹色:なんでい。
オトギリ:何かしてこい。
丹色:は?
オトギリ:適当に何か思う事をして、透明な結晶を作ってこい。
丹色:無茶を言うもんじゃねぇや!!テメェでしてこねぇか!
オトギリ:僕は研究者だ。筋肉ダルマと一緒にするな。
丹色:こんの…!あぁ言えばこう言いやがって!!あーあーやりゃあいいんだろうが、クソッタレ!!
オトギリ:ぐだぐだ言ってないで、さっさとしてこい。集めろ。それで研究は進む。
丹色:テメェ、いつがぶっ飛ばしてやっからなぁ!!
0:
0:場面転換(飛行船内)
0:
ダリア:今回は失敗に終わってしまったねぇ。
セイファ:寂しい。
カイファ:もっと壊したかった。
ダリア:そうですね。でも彼らと会うのは楽しみではないかな?
セイファ:うん!私も会いたい!
カイファ:私も!!もっと会って話したいなぁ。
セイファ:ねぇ、次はどんな遊びをするの?
カイファ:知りたい!何するの?
ダリア:秘密ですよ。
セイファ:えーずるいよね、カイファ。
カイファ:そうだよね、セイファ。
ダリア:そう言わずに、待っているといいよ。きっと、もっともっと楽しい事が待っていますからね…。