台本概要
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タイトル | 雨の日に咲き誇るキキョウの花 |
---|---|
作者名 | くま@甘党 |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 5人用台本(男3、女2) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
雨シリーズ 完結 ※途中、永野彩希が登場します。セリフは演者が居なければ読まずに、真実の一人芝居として進めてください。 195 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
稜也 |
男 ![]() |
128 | 山田 稜也 |
かなえ |
女 ![]() |
98 | 佐藤 かなえ |
康介 |
男 ![]() |
76 | 斉藤 康介 |
真実 |
女 ![]() |
52 | 鈴木 真実 |
亮介 |
男 ![]() |
17 | 柳 亮介 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
雨の日に咲き誇るキキョウの花
山田 稜也
佐藤 かなえ
斉藤 康介
鈴木 真実
柳 亮介 店員と兼ね役
永野 彩希 (セリフを読まなくても進められます!)
かなえM:私には夢がある。
かなえM:
かなえM:来た人が驚くような激盛りを提供して、お腹いっぱいになって笑顔で帰っていく。そんな定食屋を開く事。
かなえM:
かなえM:高校卒業後は調理の専門学校へ入学し、調理師免許と栄養士の資格を取得した。
かなえM:
かなえM:開業資金を貯めつつ、飲食業の経験を積むために入ったこのお店には、4年間本当にお世話になった。
かなえM:
かなえM:でも私は今日、自己都合で退職する。
かなえM:
かなえM:くだらないミスばかりしている今の状態では、これからもお店に迷惑しか掛けない…。
かなえM:
かなえM:気付けば私の胸には、ぽっかり穴があいている…。
康介:はぁー、本当に辞めちゃうんですか?かなえさん…。
かなえ:…ええ。もう決めた事だから。
康介:そうですか…。じゃあ俺も辞めようかなー。かなえさんが居ないんじゃ俺が居る意味もないし。
かなえ:何バカな事言ってるの?私が抜けた後は、斉藤君がちゃんと皆を引っ張ってってよね。その為に仕事教えたんだから。
康介:…なんとなーく、そんな気がしてましたよ最近。
かなえ:そう。じゃあ…店長に挨拶して帰るわね。今までありがとう。お疲れ様。
康介:あ、かなえさん!
かなえ:…なに?
康介:これ、渡しておきます。
かなえ:…名刺?
康介:俺、これでも多方面に繋がりがあるので、もし次に働く飲食店をお探しなら力になれると思いますよ!
康介:困った時は、いつでも連絡してきてくださいね。
かなえ:あ…ありがとう。
康介:もちろん、何の用事が無くても連絡くださいね!また話聞きますよ。
かなえ:……。お疲れ様。
康介:お疲れ様でした!
0:
稜也:今日からこちらで働かせていただくことになりました、山田稜也です。よろしくお願いいたします!
稜也:
稜也:……はい、Excelは得意です。概況文(がいきょうぶん)の作成ですか、わかりました!勉強させていただきます!
―:
稜也M:この春、俺は新卒でとある研究所に入社した。
稜也M:
稜也M:気象予報士になる為、大学でたくさん勉強して資格を取得した。
稜也M:
稜也M:今まで学んできたことを、仕事として活かせられるこれからが本番だ。
稜也M:
稜也M:そう気持ちを奮い立たせて、空元気だとしても
稜也M:
稜也M:新入社員らしく、ミスを恐れず何事にも挑戦していこうと意気込んでいる。
稜也M:
稜也M:こうして無事に新社会人としてのスタートを切れた訳だが…
稜也M:
稜也M:俺の心には、大きな穴があいている…。
0:夕方
稜也:……懐かしいな、このバス停…。
―:目の前に車が停車する
真実:わあーー!超偶然!!せんぱーーい!!
稜也:え…鈴木?
真実:先輩!お久しぶりですね!
稜也:久しぶりって…卒業した後も飲み会で会っただろう…。
真実:それでもお久しぶりですってー!てか、あの飲み会で一言も喋ってくれなかったじゃないですか!
稜也:当たり前だろ!お前、自分が何したかわかってんのか?
真実:あー…、あれは確かに見事なハリケーンを発生させちゃいましたよねぇ…w
稜也:…ちっ。……もう行けよ。お前と話す事なんて無いんだから。
真実:えー、これからどこ行くんだーとか、車買ったのかーとか、聞きたい事無いんですか?
稜也:なんで俺がお前の事を気にしなきゃなんないんだよ。早く俺の前から消えろ。
真実:ひっっど!w 完全に敵視してるじゃないですかw
稜也:……。
真実:一つだけ言っておきますけど、私、先輩の事まだ諦めてないので!
稜也:…はぁ?
真実:いつか、ちゃんと先輩の事ゲットしに来るので!
稜也:……。
真実:では!これからバイトなので失礼しまーーす!
―:
稜也:………くそ。この場所で会いたくなかったな…。
0:
かなえ:あ……また来てる…。
稜也(LINE):こんばんは。今日は初出勤だった!色々と覚えることがたくさんあって、既に頭パンパンだ…。
稜也(LINE):まぁ新入社員だから当たり前なんだろうけどさ。
稜也(LINE):これから少しずつ勉強して仕事覚えていって、無事に気象予報士として名乗れるようになったら
稜也(LINE):いつかテレビとかに出られたいいなー!朝とか夕方のニュース番組とかさw
稜也(LINE):これ…かなえに直接言ったら「気が早い」って突っ込まれてたかなw
かなえ:…ふふw 突っ込んでたと思うw
稜也(LINE):なぁ…、まだ返事ってもらえないのかな?
稜也(LINE):読んではいるんだよな?
稜也(LINE):俺はいつまでもかなえの返事を待ってるから。
稜也(LINE):あの日の事は、ショックだったのはもちろんわかってる。
稜也(LINE):だけど、あんなの俺からしたら後ろから衝突事故を起こされたもんだと思ってる。
稜也(LINE):俺は、今でもかなえの事しか考えていない。かなえの事が大好きです。
かなえM:………。
かなえM:
かなえM:なんで…返事ができないんだろう…私。
かなえM:
かなえM:稜也の事が大好きなのに…。
かなえM:
かなえM:会いたいのに…。
かなえM:
かなえM:いざ返信を書こうとすると…
かなえM:
かなえM:まだ…
かなえM:
かなえM:手が震える…。
かなえ:ごめん……ごめん、稜也…。
0:真実が働くカフェ
真実:(やる気無さそうに)…いらっしゃいませー。ご注文はお決まりですかぁ?
康介:コーヒーと、…あとガトーショコラ。
真実:はぁい、かしこまりましたぁ。
康介:(独り言)かなえさん…、これからどうするんだろうなぁ…。
―:
真実:お待たせしましたー。コーヒーとガトーショコラです。
康介:ありがとう。……あれ、君…どこかで…。
真実:え…? ………あ、あの時のイケメン風店員!
康介:イケメン風って…w 君は確か、稜也の事が好きな子だよね?
真実:はーい、そーでーす。
康介:…ふw 稜也とは最近どう?仲良くやってる?
真実:うーん、最近先輩就職したからあんまり会えないんですよねー。
康介:あぁ、そうなんだ…。
真実:先輩とは確か高校の同級生でしたっけ?
康介:そうそう、よく知ってるじゃん!
真実:前に先輩から聞いただけです。
康介:そうか。
真実:はぁーあ、早くかなえさんと別れてくれないかなー。
康介:…協力しようか?
真実:は…?
康介:実はさ、俺はかなえさんと付き合いたいんだ。で、君は稜也と付き合いたい。利害関係は一致してると思うんだ。
真実:………ふーん。21時にバイト終わるからその時に詳しく。
康介:…ふふw わかった。のんびり待ってるよ。
真実:…じゃあ仕事戻りますんで。
―:
―:
―:
―:(彩希のセリフは演者が居なければ読まずに、真実の一人芝居として進めてください)
―:
真実:永野先輩、私21時になったら3卓のお客さんのとこ行くので。
彩希:わかったよー!…もしかして、彼氏さん?w
真実:別に彼氏なんかじゃないですよー。というか…、初めて話すし。
彩希:隠さなくってもいいんだよ?w 知ってると思うけど、私も夫との出会いはここだったんだしw
真実:…いやいや、永野先輩みたいにお客さんと恋に落ちたりしませんからw
彩希:偶然にもね、夫がお店に来てた時と同じオーダーなのよねぇ。
真実:え?コーヒーとガトーショコラ?
彩希:そう!私の焼いたガトーショコラが食べたくて、ずっとそれしか頼まなかったのw
真実:へぇ…。旦那さん、毎回同じの頼んでたんですか。もっと色々食べればいいのに。
彩希:本当にねw 色々とメニューあるのに、見てもいなかったんじゃないかな?w
真実:まぁ確かに永野先輩の焼くガトーショコラは美味しいですからねー。
彩希:あら、ありがとうw
真実:昔の常連さんが、永野さんが出戻ったの知ってまた常連になるくらい評判良いとか…、もうケーキ屋さん開いた方が良かったんじゃないですか?
彩希:あはは!本気で考えてみようかなー?w
真実:……あ、21時。じゃあ上がります!お疲れ様でした!私が席に着いたらこのウィンナーコーヒーの提供お願いします!
彩希:はーい!お疲れ様でした!
―:
康介:お疲れ様。
真実:どーも。
康介:ここでアルバイトしてるんだね、もう長いの?
真実:別に。繋ぎで働いてるだけだから。…それより、協力って何してくれる訳?
康介:んー、そうだねぇ…。2人がデートしてるところに俺達が現れて、それぞれを引き離すのは?
真実:引き離す…?どうやって?
康介:そうだなぁ…。例えば……。
真実:……………なるほどねぇ。でも、そんなうまくいく?すっごい単純な作戦だけど。
康介:大丈夫でしょ!まぁ君の演技次第ってとこかな?w
真実:…なんかムカつく。私が失敗したらあんただけ逃げられそう。
康介:そうならないように頑張ってw あ、連絡手段無いとね。LINE教えてくれる?
真実:……仕方ないか。ん…。
康介:…よし、登録した。
真実:じゃあよろしく。さようなら。
―:足早に去る真実
康介:……なんだかなぁ。
彩希:お待たせいたしました。ウインナーコーヒーです。
康介:…え?ウインナーコーヒー?頼んでませんけど…。
彩希:あれ?鈴木さんが後で持ってきてって…。
康介:あぁ、彼女が。…わかりました、俺が頂きます。
康介:あ…このガトーショコラ、とても美味しかったです!ごちそうさまでした。
彩希:ありがとうございます。ふふw また来てくださいね!
0:数日後
稜也:じゃあお先に失礼します!お疲れ様でした!
稜也:…え、雨ですか?うわー…、今日降ると思ってなくて傘持ってこなかったんです…。
稜也:え、余ってる傘? これ、使ってもいいんですか? 良かったぁ…ありがとうございます!
稜也:はい、月末の歓迎会はもちろん出られます!楽しみにしてます! はい、ではお疲れ様でした。
―:
かなえ:…よし、とりあえず当面の食材はこれでいいかなぁ。
かなえ:あっ!やだ、雨…!?また傘無いじゃん。
かなえ:なーんかこの店に来るといつも雨に当たるなぁ…。
かなえ:仕方ない…バス停まで走るか。
―:
稜也:……久しぶりにこのバス停で休んでいくか。
稜也:………はぁ、昔みたいに…ここでかなえが飛び込んで来ないかなー…。
稜也:…はは、来るわけないよな、そんな声劇台本みたいな展開…。
かなえ:(被せて)ひいい…やっと着いたぁ!!
稜也:…だっ!?
かなえ:わぁっ!!??
稜也:…か、かなえ!!
かなえ:りょ…稜也……。
稜也:………嘘だろ。……本当に来た…。
かなえ:え…?
稜也:あ、いや…出逢ったあの日みたいに、かなえが飛び込んで来ないかなぁって思ってたんだよ。
かなえ:……そ、そうなんだ…。
稜也:……。
かなえ:…あの、ごめんね……、全然返信できなくて。
稜也:あぁ…うん。でも既読はつけてくれてたからさ。
稜也:おかげで前みたいに事故にあったんじゃないかっていう不安は無かったから。だから気長に待っていようかなって…。
かなえ:……。
稜也:……LINEでも何度も言ったけどさ…、あれは…
かなえ:(被せて)わかってる!……わかってるんだ。あれに稜也の意思は無かったって…。
稜也:……うん。
かなえ:だけど…、なんだろう……。多分、トラウマになっちゃって……。
稜也:………。
かなえ:…でも……。
稜也:…ん?
かなえ:……でもこうやってバッタリ会えて良かったかも…。
稜也:え?
かなえ:だって…、こういう事でも無いと…まだしばらく稜也と会えなかったと思うから。
稜也:そ…そっか。
かなえ:……うん。
稜也:…ふふw 雨の日のバス停で再会するって、なんか運命感じない?w
かなえ:そうねw ここは私達の出逢った場所だもんね…。(くしゃみ)……っくしゅん!
稜也:あ…、かなえ、これ着なよ。
かなえ:大丈夫大丈夫。ありがとう。
稜也:まだ春なんだし、夜は冷えるから。
かなえ:あー…うん、じゃあ。
稜也:荷物もあるみたいだし、家まで送るよ。
かなえ:え…いいよ、悪いし。
稜也:やっと会えたんだ…、まだ一緒に居たい。
かなえ:……ふふw 寂しがり屋さんなのは相変わらず?w
稜也:そんなんじゃないだろー。
かなえ:ごめんw そうだよね。こんなに待たせちゃってごめんね。
稜也:ううん…。元を正せば…あの事故の原因を作ったのは俺だからさ。
かなえ:……。
稜也:もう俺は誰にも気を許さない。傘もかなえ以外とは入らない!誓う!!
かなえ:……っぷw 誓うってw やっぱり稜也は相変わらずだぁw バカだなぁw
稜也:どうせバカですよーだ!w …あ、バス来た。荷物持つよ。
かなえ:ん、ありがとう!
―:
真実(LINE):バス停で2人を発見。これから追跡する。
康介(LINE):了解。そのバス停なら目的地はかなえさん家だと思うから、車で先に向かっておく。念の為、バスを降りた場所の位置情報を送って。
康介:っと…。よし、じゃあ行きますか、柳さん!
亮介:あぁ。それにしてもタイミング良かったなぁ。これからオープンする店を手伝ってくれそうな子が居るなんて!
康介:接客も調理もかなりオペレーション能力高いですよ、かなえさん。いつか自分のお店を開きたいらしいです。
亮介:へぇー、そうなんだ!期待しちゃうなぁ!
真実(LINE):2人が降りた。位置情報送る。
康介(LINE):予想通り!そのままかなえさん家に向かうはずだ。じゃあ作戦は前に送った通りに。
0:
稜也:ふう…!また随分と買い込んだよなぁ、これ1人で持って帰るつもりだったの?w
かなえ:これくらい気合いよ!w
稜也:ははw さすがw ご家族はみんな元気?
かなえ:うん!弟はもう家を出てて、今妹に料理を教えているの。
稜也:そっか。試作品食べてくれる弟君、もう居ないのか。
かなえ:その代わり、妹とお母さんが食べてくれてるよ!最近お母さんの帰りが早くなったから。
稜也:そうなんだ?
かなえ:うん。やっぱりお母さんってすごいの!試作品を作ってみんなで食べるじゃない?
かなえ:なーんかちょっと足りないなーって思ったら、お母さんが調味料ちょっと入れるだけで味が決まるの!
かなえ:これが長年3人の子供を育てたベテラン母の成せる技なんだなぁって思った!
稜也:へぇー!じゃあかなえの料理は、おふくろの味が受け継がれてる訳だ!いつか食べてみたいなー!
かなえ:そうだね!そのうち晩御飯食べにおいでよ!またみんなでワイワイ食べようよ!
稜也:それいいね!!うわぁーいつにしよう!すっごい楽しみ!!
―:近くに車が停まる
かなえ:………あれ…?あの車…。
稜也:え…?
―:康介が車から降りてくる
康介:こんばんは。
稜也:……康介っ!?
かなえ:なんでここに…?
康介:知り合いとドライブしてたら、たまたま見かけたのでw
稜也:こんな閑静な住宅街をドライブって…、何企んでんだよ?
康介:ふふw 企むだなんて人聞きの悪い…。
かなえ:あの…、今日は斉藤君と話してる時間無いの。ごめんね。
康介:あらー、そう…ですか。紹介したい人が居たんですけどね。
かなえ:紹介?
―:康介の合図で車から亮介が降りてくる
亮介:こんばんは、初めまして。僕、柳 亮介っていいます。
かなえ;こ…こんばんは。
亮介:あなたがかなえさんですか?会えるのを楽しみにしてました!
かなえ:え…?
康介:あーー、かなえさん、ちょっといい?
稜也:おい、どういう事だよ?かなえに何させる気だ?
康介:いやいや、そんな怖い顔するような事じゃないって!w
かなえ:…なに?ここで話してよ。
康介:あー…はい。この柳さんが今度新しく自分のお店を開くんですよ。
康介:で、仕事のできるかなえさんの事を話したら是非お願いしたいって事になって。
かなえ:…はい?
康介:ほら、今かなえさん仕事やめたばかりで、次のとこもまだ決まってないでしょ?だからもし次の職場の候補に良かったらと思って。
稜也:随分勝手だな…。かなえにはかなえの都合ってもんがあるだろうが。
康介:別に無理強いもしてないし、話を持ってきただけだろー?そんな突っかかってくるなよ。
稜也:あぁ?
かなえ:待って…稜也。
稜也:……。
亮介:あれ…なんか、思ってた空気と違うんだけど…?康介君…どうなってるのかな。
康介:え?あーいやいや、全然なんでもないですよ!
康介M:何やってんだよあいつ…もう来てもいいのに…。
―:車が急に飛び出して住宅の塀にぶつかる
稜也:な…なんだ!?
かなえ:え、事故!?
康介:おいおい…あぶねーな。
亮介:は…早く助けに行かないと!
―:走り出そうとする亮介を康介が止める
亮介:こ…康介君?
真実:い…てて…。
稜也:…っ!? す…鈴木…?
真実:せんぱーーい、助けてくださいーー。
かなえ:………。
亮介:え…知り合い?
稜也:……はぁ。おい…康介。
康介:ん?早く助けに行かなくていいの?
稜也:ふざけんな!!こんなのお前らの猿芝居だろうが!!
かなえ:……。
康介:いやいやw なんの事だよ?俺はあの子なんて知らないぞ?
真実:足折れてるかもーー!超痛いーー!!
亮介:康介君、早く助けに!
康介:いやいや、ここは稜也に任せていいんだって。
稜也:はぁ?行くわけねぇだろ!?
かなえ:稜也…、本当に怪我してたら大変だから。見に行くだけ行ってきて?
稜也:な…なんでだよ!?かなえがあんな奴の事心配する事ないだろ!!
かなえ:わかってる!…だけど、一応大人なんだから。ね? …私は大丈夫だから。
稜也:……くそ。わかったよ…。
―:運転席から崩れ落ちてる真実に近づく
真実:……せんぱーーい、助けてください!痛くて立てない…です。
稜也:……。
真実:…先輩?あの…早く手を…
稜也:(被せて)大丈夫そうだな。やばいなら自分で救急車でも呼べよ。じゃあな。
真実:え、…はぁ!?ちょっと何よそれ!!こっちは本当に…
稜也:なんで都合よくここで事故るんだよ?どうせわかってたんだろ?俺達がここで話してるの。
真実:な…何言ってるんですか?そんなのたまたまに決まってるじゃないですか!
稜也:たまたま通るような道じゃねーだろ!
真実:そんなの先輩にわかるわけないじゃないですか!
稜也:じゃあ聞くが、なんでこの時間にここを通った?どこに向かってたんだよ?
真実:そ…それは、…これからこの辺に住んでる友達の家に行くとこだったんです!
稜也:じゃあその友達に今すぐ電話しろ。
真実:え…?
稜也:会う約束してるんだろ?その子に事故ったからちょっと遅れるって電話しろ。
真実:……。
稜也:もちろんスピーカーでな。
真実:…いや……それは…。
稜也:…ふん。くっだらねー!!お前二度と俺の前に現れるな。
真実:……先輩。そんな事言うなら私を殺してくださいよ。
稜也:はぁ!?何言ってんのお前。
―:鞄からカミソリを出す真実
真実:先輩が私を彼女にしてくれないなら…、私今ここで死にますから。
稜也:……勝手にしろ。
―:真実から離れ、かなえの元に戻る稜也
かなえ:……怪我とか、大丈夫だったの?
稜也:あぁ。あれだけ話せるなら大丈夫だろ。
かなえ:え……ちょっと…あれ!
康介:おい…マジか?
稜也:え…何…? ……なっ!?
―:真実が左の手首を切って、大量の血が出ている
かなえ:い……いやああああ!!
稜也:くっそ……!!
―:事態を把握し、稜也と亮介が急いで駆け寄る。
亮介:何をしているんだ!よこしなさい!
真実:あ…。
稜也:お前…マジでバカなんじゃないのか!?こんな事したって…。
真実:………私には、先輩が全てなの……。
稜也:……ちっ。
亮介:すぐに救急車を呼ぶから、君は手当てを。
稜也:…あ、はい。
康介:いくらなんでも…あそこまでするかねぇ…w
かなえ:斉藤君…。あなた、あの子に何を言ったの?あなたがあんな事させたの!?
康介:え?いやいや、まさか!腕を切れなんて一言も!
かなえ:じゃああなたもあの子も、ここに来たのは偶然ではない訳ね?
康介:え、あーいや…それは…。
―:思いっきり康介にビンタするかなえ
かなえ:最低!!
康介:………いってぇ…。
かなえ:二度と…、二度と私の前に現れないで!!
康介:………ちっ。
亮介:…康介君。
康介:あ…柳さん。すいません…今日は……その。
亮介:……君のせいなのか?あの子…。
康介:いや、俺は手首を切るなんて本当に知らなくて!!
亮介:少なくとも、2人はここで意図的に何かをしようとしていたんだね。……そして僕をダシに使った。その点はどう否定する?
康介:え……。
亮介:…はぁ。君とは仲良くやっていけるかなと思っていたんだけどね…。もう金輪際、僕に連絡してこないでくれ。
康介:………。
亮介:かなえさん、今日はこんな事になってしまったので…。良ければ、後日改めてご挨拶させてください。
かなえ:いえ、私はもう…すみません。……お店頑張ってください。
亮介:…そうですか。残念です。ではこれで…。
康介:……送ります。
稜也:待てよ!!
康介:……。
稜也:お前…絶対許さねーぞ。鈴木にこんな事までさせて…。
康介:おいおい、ちょっと待ってくれよ。俺はこんな作戦…。
稜也:作戦?
康介:あ…。
稜也:クソだな、お前。
康介:…どうとでも。
―:車に乗り走り去る
かなえ:………はぁ。
稜也:…かなえ、大丈夫か?
かなえ:…うん。警察と救急車…まだかな。
稜也:全部俺が話すから。かなえは帰って?
かなえ:嫌。
稜也:え…?
かなえ:稜也に変な疑いが掛けられないか、心配だもん。
稜也:かなえ…。
かなえ:あ…、荷物だけ置いてくるね。
稜也:ん、わかった。
かなえ:じゃあ、また後で。
稜也M:その後、5分くらいして真実は救急車に運ばれた。
稜也M:
稜也M:警察には事故処理もある為、俺とかなえで見た事をそのまま説明した。
稜也M:
稜也M:後日、本人からの聴取で「わき見運転」と処理されたそうだ。
稜也M:
稜也M:腕の切り傷に関しては黙秘しており、精神病棟へ*措置入院《そちにゅういん》となった。
稜也M:
稜也M:かなえは更なるトラウマとなってしまい、もう真実の話すらしたくないと言っている。
稜也M:
稜也M:康介の連絡先も全て拒否設定にしたらしく、俺意外とは連絡を取っていないそうだ。
稜也M:
稜也M:かなえには、少し落ち着くまで家でゆっくり休むように伝えた。
0:1ヶ月後 駅前
稜也:ふう…。5月だってのに、真夏みたいに暑いなぁ…。
康介:……よう。
稜也:っ!? …康介。
康介:……。
稜也:よく俺の前に顔出せたな? それとも…殴られにでも来たか?
康介:…あの時は……悪かった…。
稜也:あ…?
康介:それだけ伝えたくてな。…じゃあ。
稜也:おい…ちょっと待てよ。
康介:…?
稜也:お前さ…、なんであの時、俺に張り合ってきたんだよ?
康介:……。
稜也:お前は高校で人気者。対して俺は日陰者…。接点なんて無かっただろ?
康介:……中学の時。
稜也:ん…?
康介:丁度この駅前で、俺の近くに居た男の人が「てんかん」の発作で急に倒れたんだ。
稜也:……。
康介:俺は怖くて動けなかった…。そしたらお前がどこからか駆け寄ってきて、その人の介助をしたり救急車を呼んだりしていた。
康介:俺はその日、彼女と一緒に居たんだ。お前を見てその彼女が「あんな風にすぐに動ける人ってかっこいいよね」って…。
康介:俺は悔しかった。情けなくもなった…。それで高校に入ってお前を見てすぐに気付いた。あの時の奴だって…。
稜也:……くだらねぇ。
康介:あぁ。今思えば本当にくだらない理由だ…。
稜也:そんな事で…社会人になってまで俺に張り合うとか。
康介:……俺はたまたま入ったあの店でかなえさんと出会った。惚れてたんだよ。…そしてその彼氏がお前だと知って。
稜也:(被せて)お前がかなえの名前を口にするな!! ……二度と呼ぶんじゃねぇ。
康介:……あぁ。悪かったよ。
稜也:……。
康介:……。
稜也:…あれから、真実はどうなった?
康介:さぁな…。あれ以来連絡も取ってねぇよ。
稜也:…はぁ。竹中総合病院の精神科だ。行って真実にもちゃんと謝ってこい。
康介:………あぁ。わかった…。
稜也:もう…俺とかなえの前には現れるなよ。
康介:……あぁ。じゃあな。
稜也:………ふぅ。
0:2ヶ月後 ご飯処 山
かなえ:お待たせしましたー。
稜也:おぉ、待ってましたー!
かなえ:商品名は…「特盛焼き肉丼セット」(仮)!
稜也:まだ(仮)なんだw
かなえ:そうw あ、ちゃんと付け合わせのサラダも食べてね!
稜也:ん、これが健康思考のドレッシング?
かなえ:そう!ノンオイル・ノンカロリーの美味しい野菜ドレッシング!
稜也:へぇ!どれどれ…丼には何があるのかなぁ、…カルビに、豚ロースに…これは?
かなえ:それはせせり!
稜也:なるほど!牛・豚・鶏、全部乗ってるって事だ!
かなえ:そぉ!お米は1キロ、お肉とサラダで約1キロ!総重量2キロだよ!
稜也:大食いには嬉しいねぇw じゃ、いただきます!
かなえ:はーい、召し上がれ!
稜也:…………うんんんまい!!!
かなえ:本当!?
稜也:これは米が進む!このタレもかなえが考えたんだろ?めっちゃ美味いよ!にんにくも効いてて絶品!!
かなえ:あはw 良かったー!
稜也:肉が食べたい時、毎回頼んじゃいそう!w
かなえ:んふふw でもちゃんと魚とか野菜とか、バランス良く食べてよねー!最近…、ちょっと太ってきてない?
稜也:あ、気付いた?なんか激盛りの試作をどんどん食べさせてくる彼女が居るんだよねー?w
かなえ:おっかしいなー?量はまぁ仕方ないとして、味付けとか健康に気を付けて調理されてると思うんだけどなー?
稜也:うん、間違いなく量だよなw
かなえ:それは…仕方ない!w だって食べてて「飽き」のこない味付けにしないとリピートされないと思わない?
稜也:まぁ確かになー。今んとこ、どれも食べてて「もういいかな」とはなってないよ?
かなえ:あ、本当?良かったー!これも稜也のお父さんのおかげだー。
かなえ:アルバイトもさせてくれて、閉店後に厨房を貸してもらえるの本当に助かる!
稜也:……んん。
かなえ:…ん?何?
稜也:いやさ…、親父が……。
かなえ:おじさんが?
稜也:………いや、なんでもない!
かなえ:ちょっと!!めっちゃ気になるじゃん!!…え、私何かやらかした!?
稜也:違う違う。そんなんじゃないから。今度ちゃんと話すよ!
かなえ:えーー、そんな気になる言い方しておいて…。
稜也:ごめんごめんw でも本当にすぐ話すから、ちょっと待っててよ!
かなえ:はいはい。あ、全部片付けるから食べた食器持ってきて!
稜也:はーい。ごちそうさまでした!
かなえ:おそまつさまでした!
―:
かなえ:さて、帰ろっかな!
稜也:今日もお疲れ様でした!
かなえ:ありがとう!
稜也:なぁ…、かなえさ。
かなえ:ん?何?
稜也:今度、その……どこか食事に行かないか?
かなえ:…なに?そんな改まってw
稜也:え…そう?
かなえ:そう?ってw いつもなら「どっか飯行かねー?」って聞くじゃんw
稜也:あ…あぁ、そっかw
かなえ:ふふw いいよ、いつでも!
稜也:ありがとう!じ…じゃあ…、今週の日曜日、場所は…。
かなえ:あーーーー言わなくていい!
稜也:…え?
かなえ:あの…ほら、楽しみにしておきたいからさ!どこに連れてってくれるのか!だから、当日の事は時間だけ決めて、迎えに来て?
稜也:…わ、わかった!…じゃあ、日曜日、17時にご自宅へお迎えにあがります…?あれ?
かなえ:…っぷww なーにそのセリフみたいな言い方ww
稜也:いや…w あれ…おっかしいなー?
かなえ:そんなに緊張して誘って、一体その日は何をする気なのかなー?w
稜也:ばっ…!何もねーよ!ただのディナーの誘いだって!
かなえ:…ほーう!w
稜也:な、なんだよ!忘れるなよ?17時に迎えに行くからな!?
かなえ:あははw はーい、しっかり覚えました!日曜日17時、お待ちしております。
稜也:お、おう…。じゃあ…気を付けて。
かなえ:うん!ありがとう!じゃあ稜也もゆっくり休んでね、おやすみなさい!
稜也:おやすみ!
―:
かなえ:………っぷww あっははははw 稜也ってば…
かなえ:
かなえ:「ご自宅へ」、「お迎えに」、「ディナーの」とかww どれも普段絶対使わない言葉だよww
かなえ:
かなえ:………そっかぁ、稜也…遂に決めてくれたんだ。
かなえ:
かなえ:私も…、あれからだいぶ落ち着いたし、もうシャキッとしなきゃね。
かなえ:
かなえ:稜也にはたくさん助けられてきた。
かなえ:
かなえ:うん…。私は真っ直ぐ稜也を見て、信じて、ずっとついていこう。
0:日曜日
稜也M:俺はこの日、かなえにプロポーズした。
かなえM:私はこの日、稜也からプロポーズされた。
稜也M:出逢いから今まで、本当に色々な事があった。
かなえM:私は稜也に人生を変えてもらった。たくさん救われてきた。
稜也M:初めてセリフを読んだかなえに、俺はもう惚れていた。
かなえM:恥ずかしさなんてすぐに無くなった。一気にこの楽しい世界に入り込んだ。
稜也M:辛い目にも合わせてしまった。
かなえM:稜也が居てくれたから、私は立ち直れた。
稜也M:夢を追いかけるかなえを、ずっと傍で応援してきた。
かなえM:いつも寄り添ってくれた稜也。いつも頼りになる稜也。
稜也M:これから先も、俺がかなえを守り続ける。
かなえM:これから先、今度は夫婦として、私も稜也を支えたい。
稜也M:俺はキキョウの花を渡して、プロポーズした。
かなえM:キキョウの花言葉は「変わらぬ愛」。
稜也M:この先何が起きても、俺は変わらぬ愛でかなえを幸せにする。
かなえM:稜也への変わらぬ愛で、世界一幸せな家庭を築く。
0:
稜也M:俺は雨が嫌いだった。外に出るのも億劫だし、憂鬱な気分になる。
稜也M:だけど今は、雨のおかげで出逢えた奇跡で、俺は本当に幸せだ。
稜也M:かなえが居るから。
かなえM:私は雨が嫌いだった。くせっけが目立つし、服も濡れて気分台無し。
かなえM:でもあの日、雨が降っていなければ今の私はない。雨が降る度、この幸せを噛みしめている。
かなえM:稜也が居るから。
稜也M:俺は雨が嫌いだった。
かなえM:私は雨が嫌いだった。
稜也M:けれど今は、
かなえM:あの雨を待っている!
0:
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0:~完~
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雨の日に咲き誇るキキョウの花
山田 稜也
佐藤 かなえ
斉藤 康介
鈴木 真実
柳 亮介 店員と兼ね役
永野 彩希 (セリフを読まなくても進められます!)
かなえM:私には夢がある。
かなえM:
かなえM:来た人が驚くような激盛りを提供して、お腹いっぱいになって笑顔で帰っていく。そんな定食屋を開く事。
かなえM:
かなえM:高校卒業後は調理の専門学校へ入学し、調理師免許と栄養士の資格を取得した。
かなえM:
かなえM:開業資金を貯めつつ、飲食業の経験を積むために入ったこのお店には、4年間本当にお世話になった。
かなえM:
かなえM:でも私は今日、自己都合で退職する。
かなえM:
かなえM:くだらないミスばかりしている今の状態では、これからもお店に迷惑しか掛けない…。
かなえM:
かなえM:気付けば私の胸には、ぽっかり穴があいている…。
康介:はぁー、本当に辞めちゃうんですか?かなえさん…。
かなえ:…ええ。もう決めた事だから。
康介:そうですか…。じゃあ俺も辞めようかなー。かなえさんが居ないんじゃ俺が居る意味もないし。
かなえ:何バカな事言ってるの?私が抜けた後は、斉藤君がちゃんと皆を引っ張ってってよね。その為に仕事教えたんだから。
康介:…なんとなーく、そんな気がしてましたよ最近。
かなえ:そう。じゃあ…店長に挨拶して帰るわね。今までありがとう。お疲れ様。
康介:あ、かなえさん!
かなえ:…なに?
康介:これ、渡しておきます。
かなえ:…名刺?
康介:俺、これでも多方面に繋がりがあるので、もし次に働く飲食店をお探しなら力になれると思いますよ!
康介:困った時は、いつでも連絡してきてくださいね。
かなえ:あ…ありがとう。
康介:もちろん、何の用事が無くても連絡くださいね!また話聞きますよ。
かなえ:……。お疲れ様。
康介:お疲れ様でした!
0:
稜也:今日からこちらで働かせていただくことになりました、山田稜也です。よろしくお願いいたします!
稜也:
稜也:……はい、Excelは得意です。概況文(がいきょうぶん)の作成ですか、わかりました!勉強させていただきます!
―:
稜也M:この春、俺は新卒でとある研究所に入社した。
稜也M:
稜也M:気象予報士になる為、大学でたくさん勉強して資格を取得した。
稜也M:
稜也M:今まで学んできたことを、仕事として活かせられるこれからが本番だ。
稜也M:
稜也M:そう気持ちを奮い立たせて、空元気だとしても
稜也M:
稜也M:新入社員らしく、ミスを恐れず何事にも挑戦していこうと意気込んでいる。
稜也M:
稜也M:こうして無事に新社会人としてのスタートを切れた訳だが…
稜也M:
稜也M:俺の心には、大きな穴があいている…。
0:夕方
稜也:……懐かしいな、このバス停…。
―:目の前に車が停車する
真実:わあーー!超偶然!!せんぱーーい!!
稜也:え…鈴木?
真実:先輩!お久しぶりですね!
稜也:久しぶりって…卒業した後も飲み会で会っただろう…。
真実:それでもお久しぶりですってー!てか、あの飲み会で一言も喋ってくれなかったじゃないですか!
稜也:当たり前だろ!お前、自分が何したかわかってんのか?
真実:あー…、あれは確かに見事なハリケーンを発生させちゃいましたよねぇ…w
稜也:…ちっ。……もう行けよ。お前と話す事なんて無いんだから。
真実:えー、これからどこ行くんだーとか、車買ったのかーとか、聞きたい事無いんですか?
稜也:なんで俺がお前の事を気にしなきゃなんないんだよ。早く俺の前から消えろ。
真実:ひっっど!w 完全に敵視してるじゃないですかw
稜也:……。
真実:一つだけ言っておきますけど、私、先輩の事まだ諦めてないので!
稜也:…はぁ?
真実:いつか、ちゃんと先輩の事ゲットしに来るので!
稜也:……。
真実:では!これからバイトなので失礼しまーーす!
―:
稜也:………くそ。この場所で会いたくなかったな…。
0:
かなえ:あ……また来てる…。
稜也(LINE):こんばんは。今日は初出勤だった!色々と覚えることがたくさんあって、既に頭パンパンだ…。
稜也(LINE):まぁ新入社員だから当たり前なんだろうけどさ。
稜也(LINE):これから少しずつ勉強して仕事覚えていって、無事に気象予報士として名乗れるようになったら
稜也(LINE):いつかテレビとかに出られたいいなー!朝とか夕方のニュース番組とかさw
稜也(LINE):これ…かなえに直接言ったら「気が早い」って突っ込まれてたかなw
かなえ:…ふふw 突っ込んでたと思うw
稜也(LINE):なぁ…、まだ返事ってもらえないのかな?
稜也(LINE):読んではいるんだよな?
稜也(LINE):俺はいつまでもかなえの返事を待ってるから。
稜也(LINE):あの日の事は、ショックだったのはもちろんわかってる。
稜也(LINE):だけど、あんなの俺からしたら後ろから衝突事故を起こされたもんだと思ってる。
稜也(LINE):俺は、今でもかなえの事しか考えていない。かなえの事が大好きです。
かなえM:………。
かなえM:
かなえM:なんで…返事ができないんだろう…私。
かなえM:
かなえM:稜也の事が大好きなのに…。
かなえM:
かなえM:会いたいのに…。
かなえM:
かなえM:いざ返信を書こうとすると…
かなえM:
かなえM:まだ…
かなえM:
かなえM:手が震える…。
かなえ:ごめん……ごめん、稜也…。
0:真実が働くカフェ
真実:(やる気無さそうに)…いらっしゃいませー。ご注文はお決まりですかぁ?
康介:コーヒーと、…あとガトーショコラ。
真実:はぁい、かしこまりましたぁ。
康介:(独り言)かなえさん…、これからどうするんだろうなぁ…。
―:
真実:お待たせしましたー。コーヒーとガトーショコラです。
康介:ありがとう。……あれ、君…どこかで…。
真実:え…? ………あ、あの時のイケメン風店員!
康介:イケメン風って…w 君は確か、稜也の事が好きな子だよね?
真実:はーい、そーでーす。
康介:…ふw 稜也とは最近どう?仲良くやってる?
真実:うーん、最近先輩就職したからあんまり会えないんですよねー。
康介:あぁ、そうなんだ…。
真実:先輩とは確か高校の同級生でしたっけ?
康介:そうそう、よく知ってるじゃん!
真実:前に先輩から聞いただけです。
康介:そうか。
真実:はぁーあ、早くかなえさんと別れてくれないかなー。
康介:…協力しようか?
真実:は…?
康介:実はさ、俺はかなえさんと付き合いたいんだ。で、君は稜也と付き合いたい。利害関係は一致してると思うんだ。
真実:………ふーん。21時にバイト終わるからその時に詳しく。
康介:…ふふw わかった。のんびり待ってるよ。
真実:…じゃあ仕事戻りますんで。
―:
―:
―:
―:(彩希のセリフは演者が居なければ読まずに、真実の一人芝居として進めてください)
―:
真実:永野先輩、私21時になったら3卓のお客さんのとこ行くので。
彩希:わかったよー!…もしかして、彼氏さん?w
真実:別に彼氏なんかじゃないですよー。というか…、初めて話すし。
彩希:隠さなくってもいいんだよ?w 知ってると思うけど、私も夫との出会いはここだったんだしw
真実:…いやいや、永野先輩みたいにお客さんと恋に落ちたりしませんからw
彩希:偶然にもね、夫がお店に来てた時と同じオーダーなのよねぇ。
真実:え?コーヒーとガトーショコラ?
彩希:そう!私の焼いたガトーショコラが食べたくて、ずっとそれしか頼まなかったのw
真実:へぇ…。旦那さん、毎回同じの頼んでたんですか。もっと色々食べればいいのに。
彩希:本当にねw 色々とメニューあるのに、見てもいなかったんじゃないかな?w
真実:まぁ確かに永野先輩の焼くガトーショコラは美味しいですからねー。
彩希:あら、ありがとうw
真実:昔の常連さんが、永野さんが出戻ったの知ってまた常連になるくらい評判良いとか…、もうケーキ屋さん開いた方が良かったんじゃないですか?
彩希:あはは!本気で考えてみようかなー?w
真実:……あ、21時。じゃあ上がります!お疲れ様でした!私が席に着いたらこのウィンナーコーヒーの提供お願いします!
彩希:はーい!お疲れ様でした!
―:
康介:お疲れ様。
真実:どーも。
康介:ここでアルバイトしてるんだね、もう長いの?
真実:別に。繋ぎで働いてるだけだから。…それより、協力って何してくれる訳?
康介:んー、そうだねぇ…。2人がデートしてるところに俺達が現れて、それぞれを引き離すのは?
真実:引き離す…?どうやって?
康介:そうだなぁ…。例えば……。
真実:……………なるほどねぇ。でも、そんなうまくいく?すっごい単純な作戦だけど。
康介:大丈夫でしょ!まぁ君の演技次第ってとこかな?w
真実:…なんかムカつく。私が失敗したらあんただけ逃げられそう。
康介:そうならないように頑張ってw あ、連絡手段無いとね。LINE教えてくれる?
真実:……仕方ないか。ん…。
康介:…よし、登録した。
真実:じゃあよろしく。さようなら。
―:足早に去る真実
康介:……なんだかなぁ。
彩希:お待たせいたしました。ウインナーコーヒーです。
康介:…え?ウインナーコーヒー?頼んでませんけど…。
彩希:あれ?鈴木さんが後で持ってきてって…。
康介:あぁ、彼女が。…わかりました、俺が頂きます。
康介:あ…このガトーショコラ、とても美味しかったです!ごちそうさまでした。
彩希:ありがとうございます。ふふw また来てくださいね!
0:数日後
稜也:じゃあお先に失礼します!お疲れ様でした!
稜也:…え、雨ですか?うわー…、今日降ると思ってなくて傘持ってこなかったんです…。
稜也:え、余ってる傘? これ、使ってもいいんですか? 良かったぁ…ありがとうございます!
稜也:はい、月末の歓迎会はもちろん出られます!楽しみにしてます! はい、ではお疲れ様でした。
―:
かなえ:…よし、とりあえず当面の食材はこれでいいかなぁ。
かなえ:あっ!やだ、雨…!?また傘無いじゃん。
かなえ:なーんかこの店に来るといつも雨に当たるなぁ…。
かなえ:仕方ない…バス停まで走るか。
―:
稜也:……久しぶりにこのバス停で休んでいくか。
稜也:………はぁ、昔みたいに…ここでかなえが飛び込んで来ないかなー…。
稜也:…はは、来るわけないよな、そんな声劇台本みたいな展開…。
かなえ:(被せて)ひいい…やっと着いたぁ!!
稜也:…だっ!?
かなえ:わぁっ!!??
稜也:…か、かなえ!!
かなえ:りょ…稜也……。
稜也:………嘘だろ。……本当に来た…。
かなえ:え…?
稜也:あ、いや…出逢ったあの日みたいに、かなえが飛び込んで来ないかなぁって思ってたんだよ。
かなえ:……そ、そうなんだ…。
稜也:……。
かなえ:…あの、ごめんね……、全然返信できなくて。
稜也:あぁ…うん。でも既読はつけてくれてたからさ。
稜也:おかげで前みたいに事故にあったんじゃないかっていう不安は無かったから。だから気長に待っていようかなって…。
かなえ:……。
稜也:……LINEでも何度も言ったけどさ…、あれは…
かなえ:(被せて)わかってる!……わかってるんだ。あれに稜也の意思は無かったって…。
稜也:……うん。
かなえ:だけど…、なんだろう……。多分、トラウマになっちゃって……。
稜也:………。
かなえ:…でも……。
稜也:…ん?
かなえ:……でもこうやってバッタリ会えて良かったかも…。
稜也:え?
かなえ:だって…、こういう事でも無いと…まだしばらく稜也と会えなかったと思うから。
稜也:そ…そっか。
かなえ:……うん。
稜也:…ふふw 雨の日のバス停で再会するって、なんか運命感じない?w
かなえ:そうねw ここは私達の出逢った場所だもんね…。(くしゃみ)……っくしゅん!
稜也:あ…、かなえ、これ着なよ。
かなえ:大丈夫大丈夫。ありがとう。
稜也:まだ春なんだし、夜は冷えるから。
かなえ:あー…うん、じゃあ。
稜也:荷物もあるみたいだし、家まで送るよ。
かなえ:え…いいよ、悪いし。
稜也:やっと会えたんだ…、まだ一緒に居たい。
かなえ:……ふふw 寂しがり屋さんなのは相変わらず?w
稜也:そんなんじゃないだろー。
かなえ:ごめんw そうだよね。こんなに待たせちゃってごめんね。
稜也:ううん…。元を正せば…あの事故の原因を作ったのは俺だからさ。
かなえ:……。
稜也:もう俺は誰にも気を許さない。傘もかなえ以外とは入らない!誓う!!
かなえ:……っぷw 誓うってw やっぱり稜也は相変わらずだぁw バカだなぁw
稜也:どうせバカですよーだ!w …あ、バス来た。荷物持つよ。
かなえ:ん、ありがとう!
―:
真実(LINE):バス停で2人を発見。これから追跡する。
康介(LINE):了解。そのバス停なら目的地はかなえさん家だと思うから、車で先に向かっておく。念の為、バスを降りた場所の位置情報を送って。
康介:っと…。よし、じゃあ行きますか、柳さん!
亮介:あぁ。それにしてもタイミング良かったなぁ。これからオープンする店を手伝ってくれそうな子が居るなんて!
康介:接客も調理もかなりオペレーション能力高いですよ、かなえさん。いつか自分のお店を開きたいらしいです。
亮介:へぇー、そうなんだ!期待しちゃうなぁ!
真実(LINE):2人が降りた。位置情報送る。
康介(LINE):予想通り!そのままかなえさん家に向かうはずだ。じゃあ作戦は前に送った通りに。
0:
稜也:ふう…!また随分と買い込んだよなぁ、これ1人で持って帰るつもりだったの?w
かなえ:これくらい気合いよ!w
稜也:ははw さすがw ご家族はみんな元気?
かなえ:うん!弟はもう家を出てて、今妹に料理を教えているの。
稜也:そっか。試作品食べてくれる弟君、もう居ないのか。
かなえ:その代わり、妹とお母さんが食べてくれてるよ!最近お母さんの帰りが早くなったから。
稜也:そうなんだ?
かなえ:うん。やっぱりお母さんってすごいの!試作品を作ってみんなで食べるじゃない?
かなえ:なーんかちょっと足りないなーって思ったら、お母さんが調味料ちょっと入れるだけで味が決まるの!
かなえ:これが長年3人の子供を育てたベテラン母の成せる技なんだなぁって思った!
稜也:へぇー!じゃあかなえの料理は、おふくろの味が受け継がれてる訳だ!いつか食べてみたいなー!
かなえ:そうだね!そのうち晩御飯食べにおいでよ!またみんなでワイワイ食べようよ!
稜也:それいいね!!うわぁーいつにしよう!すっごい楽しみ!!
―:近くに車が停まる
かなえ:………あれ…?あの車…。
稜也:え…?
―:康介が車から降りてくる
康介:こんばんは。
稜也:……康介っ!?
かなえ:なんでここに…?
康介:知り合いとドライブしてたら、たまたま見かけたのでw
稜也:こんな閑静な住宅街をドライブって…、何企んでんだよ?
康介:ふふw 企むだなんて人聞きの悪い…。
かなえ:あの…、今日は斉藤君と話してる時間無いの。ごめんね。
康介:あらー、そう…ですか。紹介したい人が居たんですけどね。
かなえ:紹介?
―:康介の合図で車から亮介が降りてくる
亮介:こんばんは、初めまして。僕、柳 亮介っていいます。
かなえ;こ…こんばんは。
亮介:あなたがかなえさんですか?会えるのを楽しみにしてました!
かなえ:え…?
康介:あーー、かなえさん、ちょっといい?
稜也:おい、どういう事だよ?かなえに何させる気だ?
康介:いやいや、そんな怖い顔するような事じゃないって!w
かなえ:…なに?ここで話してよ。
康介:あー…はい。この柳さんが今度新しく自分のお店を開くんですよ。
康介:で、仕事のできるかなえさんの事を話したら是非お願いしたいって事になって。
かなえ:…はい?
康介:ほら、今かなえさん仕事やめたばかりで、次のとこもまだ決まってないでしょ?だからもし次の職場の候補に良かったらと思って。
稜也:随分勝手だな…。かなえにはかなえの都合ってもんがあるだろうが。
康介:別に無理強いもしてないし、話を持ってきただけだろー?そんな突っかかってくるなよ。
稜也:あぁ?
かなえ:待って…稜也。
稜也:……。
亮介:あれ…なんか、思ってた空気と違うんだけど…?康介君…どうなってるのかな。
康介:え?あーいやいや、全然なんでもないですよ!
康介M:何やってんだよあいつ…もう来てもいいのに…。
―:車が急に飛び出して住宅の塀にぶつかる
稜也:な…なんだ!?
かなえ:え、事故!?
康介:おいおい…あぶねーな。
亮介:は…早く助けに行かないと!
―:走り出そうとする亮介を康介が止める
亮介:こ…康介君?
真実:い…てて…。
稜也:…っ!? す…鈴木…?
真実:せんぱーーい、助けてくださいーー。
かなえ:………。
亮介:え…知り合い?
稜也:……はぁ。おい…康介。
康介:ん?早く助けに行かなくていいの?
稜也:ふざけんな!!こんなのお前らの猿芝居だろうが!!
かなえ:……。
康介:いやいやw なんの事だよ?俺はあの子なんて知らないぞ?
真実:足折れてるかもーー!超痛いーー!!
亮介:康介君、早く助けに!
康介:いやいや、ここは稜也に任せていいんだって。
稜也:はぁ?行くわけねぇだろ!?
かなえ:稜也…、本当に怪我してたら大変だから。見に行くだけ行ってきて?
稜也:な…なんでだよ!?かなえがあんな奴の事心配する事ないだろ!!
かなえ:わかってる!…だけど、一応大人なんだから。ね? …私は大丈夫だから。
稜也:……くそ。わかったよ…。
―:運転席から崩れ落ちてる真実に近づく
真実:……せんぱーーい、助けてください!痛くて立てない…です。
稜也:……。
真実:…先輩?あの…早く手を…
稜也:(被せて)大丈夫そうだな。やばいなら自分で救急車でも呼べよ。じゃあな。
真実:え、…はぁ!?ちょっと何よそれ!!こっちは本当に…
稜也:なんで都合よくここで事故るんだよ?どうせわかってたんだろ?俺達がここで話してるの。
真実:な…何言ってるんですか?そんなのたまたまに決まってるじゃないですか!
稜也:たまたま通るような道じゃねーだろ!
真実:そんなの先輩にわかるわけないじゃないですか!
稜也:じゃあ聞くが、なんでこの時間にここを通った?どこに向かってたんだよ?
真実:そ…それは、…これからこの辺に住んでる友達の家に行くとこだったんです!
稜也:じゃあその友達に今すぐ電話しろ。
真実:え…?
稜也:会う約束してるんだろ?その子に事故ったからちょっと遅れるって電話しろ。
真実:……。
稜也:もちろんスピーカーでな。
真実:…いや……それは…。
稜也:…ふん。くっだらねー!!お前二度と俺の前に現れるな。
真実:……先輩。そんな事言うなら私を殺してくださいよ。
稜也:はぁ!?何言ってんのお前。
―:鞄からカミソリを出す真実
真実:先輩が私を彼女にしてくれないなら…、私今ここで死にますから。
稜也:……勝手にしろ。
―:真実から離れ、かなえの元に戻る稜也
かなえ:……怪我とか、大丈夫だったの?
稜也:あぁ。あれだけ話せるなら大丈夫だろ。
かなえ:え……ちょっと…あれ!
康介:おい…マジか?
稜也:え…何…? ……なっ!?
―:真実が左の手首を切って、大量の血が出ている
かなえ:い……いやああああ!!
稜也:くっそ……!!
―:事態を把握し、稜也と亮介が急いで駆け寄る。
亮介:何をしているんだ!よこしなさい!
真実:あ…。
稜也:お前…マジでバカなんじゃないのか!?こんな事したって…。
真実:………私には、先輩が全てなの……。
稜也:……ちっ。
亮介:すぐに救急車を呼ぶから、君は手当てを。
稜也:…あ、はい。
康介:いくらなんでも…あそこまでするかねぇ…w
かなえ:斉藤君…。あなた、あの子に何を言ったの?あなたがあんな事させたの!?
康介:え?いやいや、まさか!腕を切れなんて一言も!
かなえ:じゃああなたもあの子も、ここに来たのは偶然ではない訳ね?
康介:え、あーいや…それは…。
―:思いっきり康介にビンタするかなえ
かなえ:最低!!
康介:………いってぇ…。
かなえ:二度と…、二度と私の前に現れないで!!
康介:………ちっ。
亮介:…康介君。
康介:あ…柳さん。すいません…今日は……その。
亮介:……君のせいなのか?あの子…。
康介:いや、俺は手首を切るなんて本当に知らなくて!!
亮介:少なくとも、2人はここで意図的に何かをしようとしていたんだね。……そして僕をダシに使った。その点はどう否定する?
康介:え……。
亮介:…はぁ。君とは仲良くやっていけるかなと思っていたんだけどね…。もう金輪際、僕に連絡してこないでくれ。
康介:………。
亮介:かなえさん、今日はこんな事になってしまったので…。良ければ、後日改めてご挨拶させてください。
かなえ:いえ、私はもう…すみません。……お店頑張ってください。
亮介:…そうですか。残念です。ではこれで…。
康介:……送ります。
稜也:待てよ!!
康介:……。
稜也:お前…絶対許さねーぞ。鈴木にこんな事までさせて…。
康介:おいおい、ちょっと待ってくれよ。俺はこんな作戦…。
稜也:作戦?
康介:あ…。
稜也:クソだな、お前。
康介:…どうとでも。
―:車に乗り走り去る
かなえ:………はぁ。
稜也:…かなえ、大丈夫か?
かなえ:…うん。警察と救急車…まだかな。
稜也:全部俺が話すから。かなえは帰って?
かなえ:嫌。
稜也:え…?
かなえ:稜也に変な疑いが掛けられないか、心配だもん。
稜也:かなえ…。
かなえ:あ…、荷物だけ置いてくるね。
稜也:ん、わかった。
かなえ:じゃあ、また後で。
稜也M:その後、5分くらいして真実は救急車に運ばれた。
稜也M:
稜也M:警察には事故処理もある為、俺とかなえで見た事をそのまま説明した。
稜也M:
稜也M:後日、本人からの聴取で「わき見運転」と処理されたそうだ。
稜也M:
稜也M:腕の切り傷に関しては黙秘しており、精神病棟へ*措置入院《そちにゅういん》となった。
稜也M:
稜也M:かなえは更なるトラウマとなってしまい、もう真実の話すらしたくないと言っている。
稜也M:
稜也M:康介の連絡先も全て拒否設定にしたらしく、俺意外とは連絡を取っていないそうだ。
稜也M:
稜也M:かなえには、少し落ち着くまで家でゆっくり休むように伝えた。
0:1ヶ月後 駅前
稜也:ふう…。5月だってのに、真夏みたいに暑いなぁ…。
康介:……よう。
稜也:っ!? …康介。
康介:……。
稜也:よく俺の前に顔出せたな? それとも…殴られにでも来たか?
康介:…あの時は……悪かった…。
稜也:あ…?
康介:それだけ伝えたくてな。…じゃあ。
稜也:おい…ちょっと待てよ。
康介:…?
稜也:お前さ…、なんであの時、俺に張り合ってきたんだよ?
康介:……。
稜也:お前は高校で人気者。対して俺は日陰者…。接点なんて無かっただろ?
康介:……中学の時。
稜也:ん…?
康介:丁度この駅前で、俺の近くに居た男の人が「てんかん」の発作で急に倒れたんだ。
稜也:……。
康介:俺は怖くて動けなかった…。そしたらお前がどこからか駆け寄ってきて、その人の介助をしたり救急車を呼んだりしていた。
康介:俺はその日、彼女と一緒に居たんだ。お前を見てその彼女が「あんな風にすぐに動ける人ってかっこいいよね」って…。
康介:俺は悔しかった。情けなくもなった…。それで高校に入ってお前を見てすぐに気付いた。あの時の奴だって…。
稜也:……くだらねぇ。
康介:あぁ。今思えば本当にくだらない理由だ…。
稜也:そんな事で…社会人になってまで俺に張り合うとか。
康介:……俺はたまたま入ったあの店でかなえさんと出会った。惚れてたんだよ。…そしてその彼氏がお前だと知って。
稜也:(被せて)お前がかなえの名前を口にするな!! ……二度と呼ぶんじゃねぇ。
康介:……あぁ。悪かったよ。
稜也:……。
康介:……。
稜也:…あれから、真実はどうなった?
康介:さぁな…。あれ以来連絡も取ってねぇよ。
稜也:…はぁ。竹中総合病院の精神科だ。行って真実にもちゃんと謝ってこい。
康介:………あぁ。わかった…。
稜也:もう…俺とかなえの前には現れるなよ。
康介:……あぁ。じゃあな。
稜也:………ふぅ。
0:2ヶ月後 ご飯処 山
かなえ:お待たせしましたー。
稜也:おぉ、待ってましたー!
かなえ:商品名は…「特盛焼き肉丼セット」(仮)!
稜也:まだ(仮)なんだw
かなえ:そうw あ、ちゃんと付け合わせのサラダも食べてね!
稜也:ん、これが健康思考のドレッシング?
かなえ:そう!ノンオイル・ノンカロリーの美味しい野菜ドレッシング!
稜也:へぇ!どれどれ…丼には何があるのかなぁ、…カルビに、豚ロースに…これは?
かなえ:それはせせり!
稜也:なるほど!牛・豚・鶏、全部乗ってるって事だ!
かなえ:そぉ!お米は1キロ、お肉とサラダで約1キロ!総重量2キロだよ!
稜也:大食いには嬉しいねぇw じゃ、いただきます!
かなえ:はーい、召し上がれ!
稜也:…………うんんんまい!!!
かなえ:本当!?
稜也:これは米が進む!このタレもかなえが考えたんだろ?めっちゃ美味いよ!にんにくも効いてて絶品!!
かなえ:あはw 良かったー!
稜也:肉が食べたい時、毎回頼んじゃいそう!w
かなえ:んふふw でもちゃんと魚とか野菜とか、バランス良く食べてよねー!最近…、ちょっと太ってきてない?
稜也:あ、気付いた?なんか激盛りの試作をどんどん食べさせてくる彼女が居るんだよねー?w
かなえ:おっかしいなー?量はまぁ仕方ないとして、味付けとか健康に気を付けて調理されてると思うんだけどなー?
稜也:うん、間違いなく量だよなw
かなえ:それは…仕方ない!w だって食べてて「飽き」のこない味付けにしないとリピートされないと思わない?
稜也:まぁ確かになー。今んとこ、どれも食べてて「もういいかな」とはなってないよ?
かなえ:あ、本当?良かったー!これも稜也のお父さんのおかげだー。
かなえ:アルバイトもさせてくれて、閉店後に厨房を貸してもらえるの本当に助かる!
稜也:……んん。
かなえ:…ん?何?
稜也:いやさ…、親父が……。
かなえ:おじさんが?
稜也:………いや、なんでもない!
かなえ:ちょっと!!めっちゃ気になるじゃん!!…え、私何かやらかした!?
稜也:違う違う。そんなんじゃないから。今度ちゃんと話すよ!
かなえ:えーー、そんな気になる言い方しておいて…。
稜也:ごめんごめんw でも本当にすぐ話すから、ちょっと待っててよ!
かなえ:はいはい。あ、全部片付けるから食べた食器持ってきて!
稜也:はーい。ごちそうさまでした!
かなえ:おそまつさまでした!
―:
かなえ:さて、帰ろっかな!
稜也:今日もお疲れ様でした!
かなえ:ありがとう!
稜也:なぁ…、かなえさ。
かなえ:ん?何?
稜也:今度、その……どこか食事に行かないか?
かなえ:…なに?そんな改まってw
稜也:え…そう?
かなえ:そう?ってw いつもなら「どっか飯行かねー?」って聞くじゃんw
稜也:あ…あぁ、そっかw
かなえ:ふふw いいよ、いつでも!
稜也:ありがとう!じ…じゃあ…、今週の日曜日、場所は…。
かなえ:あーーーー言わなくていい!
稜也:…え?
かなえ:あの…ほら、楽しみにしておきたいからさ!どこに連れてってくれるのか!だから、当日の事は時間だけ決めて、迎えに来て?
稜也:…わ、わかった!…じゃあ、日曜日、17時にご自宅へお迎えにあがります…?あれ?
かなえ:…っぷww なーにそのセリフみたいな言い方ww
稜也:いや…w あれ…おっかしいなー?
かなえ:そんなに緊張して誘って、一体その日は何をする気なのかなー?w
稜也:ばっ…!何もねーよ!ただのディナーの誘いだって!
かなえ:…ほーう!w
稜也:な、なんだよ!忘れるなよ?17時に迎えに行くからな!?
かなえ:あははw はーい、しっかり覚えました!日曜日17時、お待ちしております。
稜也:お、おう…。じゃあ…気を付けて。
かなえ:うん!ありがとう!じゃあ稜也もゆっくり休んでね、おやすみなさい!
稜也:おやすみ!
―:
かなえ:………っぷww あっははははw 稜也ってば…
かなえ:
かなえ:「ご自宅へ」、「お迎えに」、「ディナーの」とかww どれも普段絶対使わない言葉だよww
かなえ:
かなえ:………そっかぁ、稜也…遂に決めてくれたんだ。
かなえ:
かなえ:私も…、あれからだいぶ落ち着いたし、もうシャキッとしなきゃね。
かなえ:
かなえ:稜也にはたくさん助けられてきた。
かなえ:
かなえ:うん…。私は真っ直ぐ稜也を見て、信じて、ずっとついていこう。
0:日曜日
稜也M:俺はこの日、かなえにプロポーズした。
かなえM:私はこの日、稜也からプロポーズされた。
稜也M:出逢いから今まで、本当に色々な事があった。
かなえM:私は稜也に人生を変えてもらった。たくさん救われてきた。
稜也M:初めてセリフを読んだかなえに、俺はもう惚れていた。
かなえM:恥ずかしさなんてすぐに無くなった。一気にこの楽しい世界に入り込んだ。
稜也M:辛い目にも合わせてしまった。
かなえM:稜也が居てくれたから、私は立ち直れた。
稜也M:夢を追いかけるかなえを、ずっと傍で応援してきた。
かなえM:いつも寄り添ってくれた稜也。いつも頼りになる稜也。
稜也M:これから先も、俺がかなえを守り続ける。
かなえM:これから先、今度は夫婦として、私も稜也を支えたい。
稜也M:俺はキキョウの花を渡して、プロポーズした。
かなえM:キキョウの花言葉は「変わらぬ愛」。
稜也M:この先何が起きても、俺は変わらぬ愛でかなえを幸せにする。
かなえM:稜也への変わらぬ愛で、世界一幸せな家庭を築く。
0:
稜也M:俺は雨が嫌いだった。外に出るのも億劫だし、憂鬱な気分になる。
稜也M:だけど今は、雨のおかげで出逢えた奇跡で、俺は本当に幸せだ。
稜也M:かなえが居るから。
かなえM:私は雨が嫌いだった。くせっけが目立つし、服も濡れて気分台無し。
かなえM:でもあの日、雨が降っていなければ今の私はない。雨が降る度、この幸せを噛みしめている。
かなえM:稜也が居るから。
稜也M:俺は雨が嫌いだった。
かなえM:私は雨が嫌いだった。
稜也M:けれど今は、
かなえM:あの雨を待っている!
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0:~完~
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