台本概要
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タイトル | 【荒野の太陽】 |
---|---|
作者名 | ハルヒコ (@kyotaro0625) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(男1、不問2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
【あらすじ】 とある旅人と少年との出会い。 二人が憶えたのは荒野に沈む太陽のぬくもり。 【台本利用規約】 基本的に盗作や自作発言など著作権を侵害されるような事がなければ、どの媒体で使っていただいても構いません。 アイテム等が投げられる場でもOKです。 男女逆転、アドリブ等も周りの迷惑にならない範疇では可とします。 セリフの一部抜粋、サンプルボイスに使用等も可能です。 ボイドラや舞台などで使われる際は、ご一報くださると嬉しいです。 204 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
セルデス |
男 ![]() |
59 | 30~40代。旅人。腕が鉛で出来ている。 |
アレン | 不問 | 73 | 無実の罪で村を追い出された少年。活発で天真爛漫。 |
N | 不問 | 17 | ナレーション。衛兵兼任。 |
衛兵 | 不問 | 9 | セルデスを追っている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
N:いつか、旅人が一人、どこまでも続く砂の平野を進んでいた。
N:セルデスという名のこの旅人の両腕は鉛でできており、関節の間に砂が入り込む度にキシ、キシ……と耳障りな音を立てた。
N:ふと、前方にいやに砂の盛り上がった箇所がある。
N:旅人はそれが気になり、その砂の山をかき分けようとした。
N:砂の盛り上がりに手を入れると、表面の砂がさらさらと崩れ、その下からボロ布の塊が出てきた。
N:旅人がその塊をゴロンと転がすと、人間の顔がかいま出た。
N:死んでいるのか、目を固く閉ざしている。
N:慌てた旅人がその頬を叩くと、ピクリと微かに反応があった。
N:そこで旅人が浴びせるように水を飲ませると、むせ返って水を吐き出した。
アレン:ゲッホ!ゲホゲホゲッホ……ケホ……あ。
セルデス:大丈夫か?
アレン:……あ、ありがとう……。
アレン:俺もうダメかと思ってた……へへ。
N:その気楽な笑みを見て一安心した旅人は、砂漠の中に在るとある街に、どうやらまだ年端もいかなそうな少年を案内した。
セルデス:街だ。もう大丈夫だな。
セルデス:命拾いして良かったな。じゃあ。
アレン:あ!ちょっと待って、お礼!
アレン:……て、俺一文無しだった!どうしよう!?
N:少年が慌てふためく、お礼と言いつつすっとんきょうなことを言い出した少年に対し、旅人はどうしたもんかと頭をかくしかなかった。
セルデス:おまえ、小間使いの途中かなんかじゃねえのか。
セルデス:小遣いをなくしちまったのか?
アレン:ちっげえよ!オレは……オレは村を追い出されたんだ……。
セルデス:ワケありってやつか。おっとワケは言わなくていい。
セルデス:あんまり他人と関わりたくないんだ。
セルデス:だが、何しろ乗りかかっちまった船だからな。
セルデス:駄賃をやるからそれで後はなんとか頑張ってくれ。
アレン:え!?嫌だよ、待ってくれよ!どうしても礼がしたいんだよ!
アレン:関わるななんて言わないで何かさせてくれよ!
セルデス:(即答し)いい。
アレン:いくない!
セルデス:あのなぁ……頼む。
セルデス:金をやるから、それで元気にやってくれ。
アレン:嫌だ!
N:しばし同じような押し問答が続いた末、ついに根負けした旅人が切り出した。
セルデス:はぁ……。じゃあ何をして恩返しするって?金は無いんだろ?
アレン:あー……うーん……どうしよ?
セルデス:……話になんねえな。
アレン:あ!待って!わかった!
アレン:あんた、腕がそれだろ?
アレン:それじゃ何かと不便だろうからオレをそばに置いてくれよ!
アレン:やりづらいことは何だって手伝ってやるから!
セルデス:いや、だから俺はそういう馴れ合いは嫌いなんだよ……。
セルデス:金をタダでくれてやるってんだ、そう悪い話じゃねえだろ。
セルデス:一体何だってそんな食い下がるんだ?
アレン:あ?ワケ聞いてくれる!?おっと二言は無しだぜ。
アレン:とにかく、話を聞いてくれよ!
アレン:そしたら少しはオレと関わる気にもなるかもしれねえじゃん!?なあ、頼むよ!
N:激しい剣幕で、少年がまくし立てる。
N:少年の強引な態度になすすべなく、旅人は折れる他なかった。
セルデス:……チッ、わかったよ。
セルデス:で、どんなワケでオマエはあんな砂漠のど真ん中でぶっ倒れてたんだ?
アレン:さっきも言った通り、村を追い出されたんだ……親を殺した罰で。
セルデス:親殺しって……オマエそんなことしたのか?
アレン:(被せるように)やってない!オレが母さんや親父のこと殺すワケがねえよ!
アレン:……ただ帰ったら、帰ったら……。(ポロポロと泣き出す)
N:突然泣き出した少年に旅人が慌てふためく。
セルデス:あー泣くな泣くな!
セルデス:悪かったな、疑うようなこと言って。
セルデス:んで、帰ったらどうしたんだ?
アレン:母さんも親父も血まみれになって倒れてて、オレ、そこから記憶あんまなくて……。
アレン:遠くでオレを責める声が、聞こえて……そんで、気づいたらどっか知らない場所を一人で歩いてた……。
アレン:オレ、一人ぼっちで、ここがどこかも知らなくて……うううー!
セルデス:わかった、わかった!泣くな!泣くなって!
アレン:うぅー……オレ、オレぇ、どうしたら……。
セルデス:……くっそ、あーチクショー、わかったよ……。
セルデス:少しだけ……少しだけ手伝いをさせてやるよ。
:
アレン:(M)その時、オレの頭を撫でた手は、太陽みたいにピカピカ輝いていて、冷たくて、温かかった。
0:
N:数年後、アレンと言う名の少年は十八の歳を迎え、旅人はまだ少年と共に旅を続けていた。
アレン:おい!セルデス!見ろよアレ、ジープだぜ!
アレン:へへっ、乗ってみて~。
セルデス:あ?オマエ運転なんてしたことねえじゃねえか。
アレン:セルデスがやればいいじゃん!
セルデス:できるかよ。
アレン:ヘヘッ!
N:ふと、少年が足を止める。
セルデス:?……どうした?
アレン:この先の村には行きたくない……。
セルデス:あ?急になんだ?
アレン:行きたくない……っていうか、行けない。
アレン:……この先にある村は、オレが追い出された村だ。
セルデス:……口添えしてやってもいいんだぞ。
セルデス:親殺しの疑いをかけられたのは、まだガキの頃だっただろ。
セルデス:俺が行って証言してやる。そうすりゃまた故郷に……
アレン:(被せるように)いい!
セルデス:……なんでだ。
アレン:母ちゃんも親父も、俺の味方が誰もいない場所なんてどうでもいい。
アレン:……へへッ、そんなとこよりセルデスと一緒の方がずっと居心地よくて、いい!(にへらと笑う)
セルデス:……ヘッ、オマエってもの好き。
セルデス:変なガキになつかれちまったな。
アレン:おい!誰が変なガキだよ!
セルデス:やれやれだな、おい水筒開けてくれ。
:
アレン:(M)最近セルデスの腕が前よりよく動かなくなってきた。
アレン:度々油をさしてはいるけど、細かい動きはやりづらいみたいだ。
アレン:そういえば、セルデスはなんで旅をしてるんだろう?
:
アレン:セルデス。
セルデス:なんだ?
アレン:セルデスはどこを目指して旅してるんだ?
セルデス:なんだ?いきなり改まって。
アレン:そういえば聞いてなかったなーって。
セルデス:なんだそりゃ。
セルデス:……別にどこってワケじゃねえよ、ひとところに留まるのが性に合わないだけだ。
アレン:ふーん、そうなんだ。
N:そう言うと旅人は、腕をガチガチと鳴らしながら進路を変えると、少年の質問をどこかはぐらかすように、足早に歩みを進めた。
0:
アレン:ふぁ~……朝だ朝だ。
アレン:アレ?めずらしー、セルデスもまだ寝てんじゃん。
アレン:セルデスー!朝だぜー!起きろって。
セルデス:うぅ……うぅん。
セルデス:……(動悸を発症し)!……はっはっ……!
アレン:セルデス!?おい大丈夫かよ!?どうしたんだよ、おい!
セルデス:うるせ……おめーがでかい声、出すから、だろ……寝てりゃ、治る。
アレン:そんなワケないだろ!絶対おかし……
セルデス:(被せて)ほっといてくれ!ぐッ……うぅ、はぁはぁ……!
アレン:ほら!やっぱり医者を……
N:旅人が少年の腕を掴む。
セルデス:待、て……医者は呼ぶな……そうすると、オマエといられなくな、る……。
セルデス:とにかく、眠らせてくれ……。
N:そう言うと旅人は意識を落とし、少年を掴んだ腕もボトリと落ちた。
アレン:な……オレといられなくなるって……なんだよ、それ。
アレン:オレにはオマエしかいないのになんなんだよぉ……今さらオレに隠し事なんてやめろよぉ!
:
アレン:(M)不安で、でもどうしようもなくて、セルデスのベッドに突っ伏して、そのまま俺は眠ってしまっていた。
0:
N:夕方。鉛の擦れる音だけが部屋に響く。
アレン:……あ……。
セルデス:起きたか。
アレン:……セルデス、もう大丈夫なのか?
アレン:それにオレといられなくなるって……!
セルデス:あー、ありゃあ、嘘だ。
アレン:は?
セルデス:どうも旅の疲れが溜まっちまったみたいでな。
セルデス:それでちょっと体調を崩しただけなのに、オマエがギャーギャー騒ぐから黙らしただけだ。
アレン:なんだよそれ!?オレ……オレがどんだけ心配したか、わかってねーだろ!
:
アレン:(M)オレの陽だまりはオマエの隣だけなんだよ……。
アレン:悔しくって、恐くて、気づいたら涙が溢れていた。
:
アレン:うっ……ひっ……うぅ……。
セルデス:おい、また泣いてんのか?
セルデス:おめーはいつまでたっても意気地ねぇなあ。
アレン:うるせえな!じゃあセルデスはどうなんだよ!
アレン:もし、俺が死んだら悲しく……え?悲し、くならない……のか……?
セルデス:おいおい、もう、早合点するなよ。
セルデス:もう何年も一緒にやってんだ。
セルデス:おかげさんで、うるせえのがそばにいなきゃ物足りないようになっちまったよ。
セルデス:それにオマエがいなきゃコイツ。(手記を取り出す)
セルデス:この日誌だって書けやしねえ。
アレン:じゃあ!そこに書いて約束しろよ!今日の日誌!
セルデス:あん?なにをだ?
アレン:オレと一緒にずっとず~っと旅をする!
セルデス:……ぷっ。(吹き出す)
アレン:なんだよ!
セルデス:じゃあ付け足しとけ。
セルデス:俺が動けなくなったら、腕だけじゃなくて足の代わりもオマエがするってな。
アレン:うぇ!?何それ超大変じゃんか!
セルデス:若い奴がそんなもんで音を上げるなよ。
セルデス:……まかせたぜ。
アレン:ちぇっ、しゃーねーなー!(ニッカリと笑う)
:
セルデス:(M)俺はこいつの陽だまりみてぇなこの笑顔をあと何回見れるだろう……。
セルデス:心の臓のこの鉛、こいつが止まる前にあと何回……。
0:
:(数ヵ月後、とある村)
衛兵:おい、止まれ!
セルデス:!
アレン:?
衛兵:その鉛の腕、王城から捕えよとのふれが出ている『ブリキの兵隊』ではないか?
セルデス:チッこんな所にまで追っ手が……アレン!逃げるぞ!
アレン:えっ?え!?
衛兵:そうやすやすと逃げられると思うな。
衛兵:ブリキの兵隊が現れたぞー!囲め!逃すな!
:(衛兵たちに包囲される2人)
アレン:(M)ブリキの、兵隊……?
セルデス:ッ……くそ!
アレン:な、なんなんだよオマエら!
衛兵:王都直属の高貴なる衛兵に向かってその口の利き方か、ガキ。
衛兵:その男を庇うつもりなら子供とて容赦せんぞ。
アレン:だからなんだよ!セルデスを捕まえるつもりなら、全力でオマエらをぶちのめす!
アレン:容赦しないってのはコッチのセリフだ!
セルデス:お、おいオマエ……!
アレン:セルデス!
セルデス:!
アレン:オマエを守るのは俺の役目だ!
アレン:武器を持つのは腕だ!俺は!セルデスの腕だ!
セルデス:アレン……。
アレン:(ニカっと笑って)心配すんなって!旅の途中で意外と鍛えてるからよ!
衛兵:歯向かう気なのだな、ガキ!
衛兵:ふん、気が変わった。
衛兵:ブリキの兵隊は生きて捕えよとの命令だったが、めんどうだ。
衛兵:ガキもろとも葬って、亡骸だけ王都に届けてやろうぞ!
アレン:やってみろよ!死んでも守りきってやる!
衛兵:ぬかせ。かかれぇ!
:(取り囲んだ兵士達がアレンとセルデスに次々に襲い来る)
:(それを一人ずつアレンのダガーが薙いでいく)
アレン:てぇりゃあ!(斬りつけながら)セルデスに!近づく!奴は!みんな!ぶち殺す!
アレン:それでもかかってきたい奴は来やがれぇえ!
:(次々に倒れる仲間たちを目の当たりにし、そして少年の気迫に圧され、兵士たちが一人、また一人と尻込んでいく)
衛兵:何をしている!?退がるな!
衛兵:相手はガキ一人だぞ!何を怖気づいている!
:(ゆらりゆらりとアレンが衛兵に近づいていく)
アレン:はぁ……はぁ……。
衛兵:おい!貴様ら何をしている!早く殺せ!
衛兵:……おい……おい!
衛兵:……はっはっ、や、やめろ、来るな……来るなああ!
:(半狂乱になった衛兵が大振りでアレンに斬りかかる)
アレン:(衛兵の刃を受け流し)ッ……おめぇにオレとセルデスの旅を邪魔する資格は、(衛兵を斬る)ねェ!
衛兵:(切られて)ぐぼぁ!
N:今まで司令塔だった衛兵が倒されたことで、隊列は一気に崩れ、他の兵士たちはバラバラに逃げ帰っていった。
セルデス:おい!血だらけじゃねえか!ケガは!?
アレン:ほとんど俺の血じゃ、ねえよ……ッ。(大の字に仰向けに倒れる)
セルデス:!?どうした!?
アレン:へへ……オレちゃんとセルデスの腕になれたような気がして、さ……それで、嬉しくて、そんで……。(意識を失う)
セルデス:おい!?
アレン:スースー……。(寝息を立てる)
セルデス:……なんだよ。
セルデス:ハァー……心配させんなよ……。
セルデス:……こんなことしなくてもずっと前から、立派にオマエは俺の腕で……。
セルデス:(胸を抑え)くは!はっはっ、もう少し、もう少しだけ一緒にいさせてくれッ……。
セルデス:……なぁ、アレン。お前は俺の太陽だ。
0:
N:村の宿屋の一室、少年が目覚める。
アレン:ん……。
セルデス:おう、かすり傷だけだったみたいだがよ、痛まねえか?
アレン:ん……平気……。
アレン:オマエは大丈夫なのか?
セルデス:……ああ、平気だ。
アレン:なぁ、セルデス、思い出したんだけどさ『ブリキの兵隊』って……?
セルデス:……そうだな。
セルデス:そろそろ話さなきゃならねえよな……。
アレン:?
セルデス:二十年前に戦争があった。ここからずっと先の国と国でな。
セルデス:その戦争は結局五年で終わっちまったが……一方の国で長期戦を見越して、ある実験が行われたんだ。
アレン:……。
セルデス:その実験はな、兵士を再利用する計画を立てるためのものでな……恐ろしい実験だ。
セルデス:手足がもげたり体に鉄砲玉を受けた兵士を連れてきて、機械の手足や内蔵を取り付けたんだ。
アレン:え?それって……。
セルデス:そう、俺はその時に鉛の腕と心臓を付けられた、言わば実験体だな。
セルデス:意識が戻って自分のこの鉛の腕を見た時、一瞬で悟ったよ。
セルデス:軍内でまことしやかに囁かれていた噂だったが本当に行われていたんだってな。
セルデス:そして俺は逃げ出した、軍から、国から、実験体としての人生から。
セルデス:俺が旅をするのはそういうことさ。
セルデス:さっきみたいな連中から逃げ回るために旅をしている。
セルデス:くだらねぇ理由だろ、がっかりしたか?
アレン:……いや。(ポリポリと頭をかいて)……俺さ、全然よくわかんねえけど……。
アレン:どんな理由だって、たとえ行き先なんて無くたって、セルデスの隣で、セルデスの腕として旅することが心地よくて、しゃーねえんだ。
アレン:だからさセルデス、これからもこうやって……
セルデス:(胸を抑えながら苦しんで)……はっはっ!くはっ!
アレン:セルデス!
N:最後の命をしぼり出すように、旅人が苦しみに悶えながらもポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ。
セルデス:(息を切らしながら)はっはっ……俺、俺な……昔、心臓に弾を……くらって……だからよ、ホントはそこで死んでるハズで……。
セルデス:……無いハズの人生だったんだ……それなのに、オマエと出会って……。
セルデス:オマエと一緒で、心地よかったの、は、俺だよ……。
セルデス:オマエの笑顔が、温かくて、眩しくて……はっ、そんなオマエが本当に愛おしくて……。
セルデス:実験で繋がれた……命でも、こんなイイ思いさせて、もら、えるなんてよ……こんな幸せなこと、ねえぜ……。
アレン:もうしゃべんな!
アレン:セルデスぅ!死ぬな!死ぬなよ!
セルデス:はっはっ……ありがと、ありがとなぁ……。
セルデス:……なあ、アレン。
アレン:なっなに!?
セルデス:(囁くように)オマエは俺の太陽だ。
N:そう言ったきり、旅人は目を閉ざした。
アレン:なあおい……ウソだろ?なぁセルデス?目ぇ開けてくれよぉ!
アレン:嫌だ!嫌だぁ!うああああ!
N:少年の涙と叫びは天窓を伝い、鮮やかな夕暮れの空へと溶けていった。
0:
アレン:(M)セルデス。オレはまだ旅を続けているよ。
アレン:いつかの日誌に書いたよな?オレはオマエの腕であり足にもなると。
アレン:オマエの心臓、悪いけど取り出してもらってきたよ。本当にタダの鉛玉って感じなのな。
アレン:オマエの心を抱いて俺はまた旅に出る。俺の足で色んなところにオマエを連れて行くよ。
アレン:たくさんの景色をまたオレと見よう。
アレン:あのな、最後にもう一つだけ言わせてくれ。
アレン:セルデス、オマエは俺の太陽だ。これからもずっと。
:Fin.
N:いつか、旅人が一人、どこまでも続く砂の平野を進んでいた。
N:セルデスという名のこの旅人の両腕は鉛でできており、関節の間に砂が入り込む度にキシ、キシ……と耳障りな音を立てた。
N:ふと、前方にいやに砂の盛り上がった箇所がある。
N:旅人はそれが気になり、その砂の山をかき分けようとした。
N:砂の盛り上がりに手を入れると、表面の砂がさらさらと崩れ、その下からボロ布の塊が出てきた。
N:旅人がその塊をゴロンと転がすと、人間の顔がかいま出た。
N:死んでいるのか、目を固く閉ざしている。
N:慌てた旅人がその頬を叩くと、ピクリと微かに反応があった。
N:そこで旅人が浴びせるように水を飲ませると、むせ返って水を吐き出した。
アレン:ゲッホ!ゲホゲホゲッホ……ケホ……あ。
セルデス:大丈夫か?
アレン:……あ、ありがとう……。
アレン:俺もうダメかと思ってた……へへ。
N:その気楽な笑みを見て一安心した旅人は、砂漠の中に在るとある街に、どうやらまだ年端もいかなそうな少年を案内した。
セルデス:街だ。もう大丈夫だな。
セルデス:命拾いして良かったな。じゃあ。
アレン:あ!ちょっと待って、お礼!
アレン:……て、俺一文無しだった!どうしよう!?
N:少年が慌てふためく、お礼と言いつつすっとんきょうなことを言い出した少年に対し、旅人はどうしたもんかと頭をかくしかなかった。
セルデス:おまえ、小間使いの途中かなんかじゃねえのか。
セルデス:小遣いをなくしちまったのか?
アレン:ちっげえよ!オレは……オレは村を追い出されたんだ……。
セルデス:ワケありってやつか。おっとワケは言わなくていい。
セルデス:あんまり他人と関わりたくないんだ。
セルデス:だが、何しろ乗りかかっちまった船だからな。
セルデス:駄賃をやるからそれで後はなんとか頑張ってくれ。
アレン:え!?嫌だよ、待ってくれよ!どうしても礼がしたいんだよ!
アレン:関わるななんて言わないで何かさせてくれよ!
セルデス:(即答し)いい。
アレン:いくない!
セルデス:あのなぁ……頼む。
セルデス:金をやるから、それで元気にやってくれ。
アレン:嫌だ!
N:しばし同じような押し問答が続いた末、ついに根負けした旅人が切り出した。
セルデス:はぁ……。じゃあ何をして恩返しするって?金は無いんだろ?
アレン:あー……うーん……どうしよ?
セルデス:……話になんねえな。
アレン:あ!待って!わかった!
アレン:あんた、腕がそれだろ?
アレン:それじゃ何かと不便だろうからオレをそばに置いてくれよ!
アレン:やりづらいことは何だって手伝ってやるから!
セルデス:いや、だから俺はそういう馴れ合いは嫌いなんだよ……。
セルデス:金をタダでくれてやるってんだ、そう悪い話じゃねえだろ。
セルデス:一体何だってそんな食い下がるんだ?
アレン:あ?ワケ聞いてくれる!?おっと二言は無しだぜ。
アレン:とにかく、話を聞いてくれよ!
アレン:そしたら少しはオレと関わる気にもなるかもしれねえじゃん!?なあ、頼むよ!
N:激しい剣幕で、少年がまくし立てる。
N:少年の強引な態度になすすべなく、旅人は折れる他なかった。
セルデス:……チッ、わかったよ。
セルデス:で、どんなワケでオマエはあんな砂漠のど真ん中でぶっ倒れてたんだ?
アレン:さっきも言った通り、村を追い出されたんだ……親を殺した罰で。
セルデス:親殺しって……オマエそんなことしたのか?
アレン:(被せるように)やってない!オレが母さんや親父のこと殺すワケがねえよ!
アレン:……ただ帰ったら、帰ったら……。(ポロポロと泣き出す)
N:突然泣き出した少年に旅人が慌てふためく。
セルデス:あー泣くな泣くな!
セルデス:悪かったな、疑うようなこと言って。
セルデス:んで、帰ったらどうしたんだ?
アレン:母さんも親父も血まみれになって倒れてて、オレ、そこから記憶あんまなくて……。
アレン:遠くでオレを責める声が、聞こえて……そんで、気づいたらどっか知らない場所を一人で歩いてた……。
アレン:オレ、一人ぼっちで、ここがどこかも知らなくて……うううー!
セルデス:わかった、わかった!泣くな!泣くなって!
アレン:うぅー……オレ、オレぇ、どうしたら……。
セルデス:……くっそ、あーチクショー、わかったよ……。
セルデス:少しだけ……少しだけ手伝いをさせてやるよ。
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アレン:(M)その時、オレの頭を撫でた手は、太陽みたいにピカピカ輝いていて、冷たくて、温かかった。
0:
N:数年後、アレンと言う名の少年は十八の歳を迎え、旅人はまだ少年と共に旅を続けていた。
アレン:おい!セルデス!見ろよアレ、ジープだぜ!
アレン:へへっ、乗ってみて~。
セルデス:あ?オマエ運転なんてしたことねえじゃねえか。
アレン:セルデスがやればいいじゃん!
セルデス:できるかよ。
アレン:ヘヘッ!
N:ふと、少年が足を止める。
セルデス:?……どうした?
アレン:この先の村には行きたくない……。
セルデス:あ?急になんだ?
アレン:行きたくない……っていうか、行けない。
アレン:……この先にある村は、オレが追い出された村だ。
セルデス:……口添えしてやってもいいんだぞ。
セルデス:親殺しの疑いをかけられたのは、まだガキの頃だっただろ。
セルデス:俺が行って証言してやる。そうすりゃまた故郷に……
アレン:(被せるように)いい!
セルデス:……なんでだ。
アレン:母ちゃんも親父も、俺の味方が誰もいない場所なんてどうでもいい。
アレン:……へへッ、そんなとこよりセルデスと一緒の方がずっと居心地よくて、いい!(にへらと笑う)
セルデス:……ヘッ、オマエってもの好き。
セルデス:変なガキになつかれちまったな。
アレン:おい!誰が変なガキだよ!
セルデス:やれやれだな、おい水筒開けてくれ。
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アレン:(M)最近セルデスの腕が前よりよく動かなくなってきた。
アレン:度々油をさしてはいるけど、細かい動きはやりづらいみたいだ。
アレン:そういえば、セルデスはなんで旅をしてるんだろう?
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アレン:セルデス。
セルデス:なんだ?
アレン:セルデスはどこを目指して旅してるんだ?
セルデス:なんだ?いきなり改まって。
アレン:そういえば聞いてなかったなーって。
セルデス:なんだそりゃ。
セルデス:……別にどこってワケじゃねえよ、ひとところに留まるのが性に合わないだけだ。
アレン:ふーん、そうなんだ。
N:そう言うと旅人は、腕をガチガチと鳴らしながら進路を変えると、少年の質問をどこかはぐらかすように、足早に歩みを進めた。
0:
アレン:ふぁ~……朝だ朝だ。
アレン:アレ?めずらしー、セルデスもまだ寝てんじゃん。
アレン:セルデスー!朝だぜー!起きろって。
セルデス:うぅ……うぅん。
セルデス:……(動悸を発症し)!……はっはっ……!
アレン:セルデス!?おい大丈夫かよ!?どうしたんだよ、おい!
セルデス:うるせ……おめーがでかい声、出すから、だろ……寝てりゃ、治る。
アレン:そんなワケないだろ!絶対おかし……
セルデス:(被せて)ほっといてくれ!ぐッ……うぅ、はぁはぁ……!
アレン:ほら!やっぱり医者を……
N:旅人が少年の腕を掴む。
セルデス:待、て……医者は呼ぶな……そうすると、オマエといられなくな、る……。
セルデス:とにかく、眠らせてくれ……。
N:そう言うと旅人は意識を落とし、少年を掴んだ腕もボトリと落ちた。
アレン:な……オレといられなくなるって……なんだよ、それ。
アレン:オレにはオマエしかいないのになんなんだよぉ……今さらオレに隠し事なんてやめろよぉ!
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アレン:(M)不安で、でもどうしようもなくて、セルデスのベッドに突っ伏して、そのまま俺は眠ってしまっていた。
0:
N:夕方。鉛の擦れる音だけが部屋に響く。
アレン:……あ……。
セルデス:起きたか。
アレン:……セルデス、もう大丈夫なのか?
アレン:それにオレといられなくなるって……!
セルデス:あー、ありゃあ、嘘だ。
アレン:は?
セルデス:どうも旅の疲れが溜まっちまったみたいでな。
セルデス:それでちょっと体調を崩しただけなのに、オマエがギャーギャー騒ぐから黙らしただけだ。
アレン:なんだよそれ!?オレ……オレがどんだけ心配したか、わかってねーだろ!
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アレン:(M)オレの陽だまりはオマエの隣だけなんだよ……。
アレン:悔しくって、恐くて、気づいたら涙が溢れていた。
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アレン:うっ……ひっ……うぅ……。
セルデス:おい、また泣いてんのか?
セルデス:おめーはいつまでたっても意気地ねぇなあ。
アレン:うるせえな!じゃあセルデスはどうなんだよ!
アレン:もし、俺が死んだら悲しく……え?悲し、くならない……のか……?
セルデス:おいおい、もう、早合点するなよ。
セルデス:もう何年も一緒にやってんだ。
セルデス:おかげさんで、うるせえのがそばにいなきゃ物足りないようになっちまったよ。
セルデス:それにオマエがいなきゃコイツ。(手記を取り出す)
セルデス:この日誌だって書けやしねえ。
アレン:じゃあ!そこに書いて約束しろよ!今日の日誌!
セルデス:あん?なにをだ?
アレン:オレと一緒にずっとず~っと旅をする!
セルデス:……ぷっ。(吹き出す)
アレン:なんだよ!
セルデス:じゃあ付け足しとけ。
セルデス:俺が動けなくなったら、腕だけじゃなくて足の代わりもオマエがするってな。
アレン:うぇ!?何それ超大変じゃんか!
セルデス:若い奴がそんなもんで音を上げるなよ。
セルデス:……まかせたぜ。
アレン:ちぇっ、しゃーねーなー!(ニッカリと笑う)
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セルデス:(M)俺はこいつの陽だまりみてぇなこの笑顔をあと何回見れるだろう……。
セルデス:心の臓のこの鉛、こいつが止まる前にあと何回……。
0:
:(数ヵ月後、とある村)
衛兵:おい、止まれ!
セルデス:!
アレン:?
衛兵:その鉛の腕、王城から捕えよとのふれが出ている『ブリキの兵隊』ではないか?
セルデス:チッこんな所にまで追っ手が……アレン!逃げるぞ!
アレン:えっ?え!?
衛兵:そうやすやすと逃げられると思うな。
衛兵:ブリキの兵隊が現れたぞー!囲め!逃すな!
:(衛兵たちに包囲される2人)
アレン:(M)ブリキの、兵隊……?
セルデス:ッ……くそ!
アレン:な、なんなんだよオマエら!
衛兵:王都直属の高貴なる衛兵に向かってその口の利き方か、ガキ。
衛兵:その男を庇うつもりなら子供とて容赦せんぞ。
アレン:だからなんだよ!セルデスを捕まえるつもりなら、全力でオマエらをぶちのめす!
アレン:容赦しないってのはコッチのセリフだ!
セルデス:お、おいオマエ……!
アレン:セルデス!
セルデス:!
アレン:オマエを守るのは俺の役目だ!
アレン:武器を持つのは腕だ!俺は!セルデスの腕だ!
セルデス:アレン……。
アレン:(ニカっと笑って)心配すんなって!旅の途中で意外と鍛えてるからよ!
衛兵:歯向かう気なのだな、ガキ!
衛兵:ふん、気が変わった。
衛兵:ブリキの兵隊は生きて捕えよとの命令だったが、めんどうだ。
衛兵:ガキもろとも葬って、亡骸だけ王都に届けてやろうぞ!
アレン:やってみろよ!死んでも守りきってやる!
衛兵:ぬかせ。かかれぇ!
:(取り囲んだ兵士達がアレンとセルデスに次々に襲い来る)
:(それを一人ずつアレンのダガーが薙いでいく)
アレン:てぇりゃあ!(斬りつけながら)セルデスに!近づく!奴は!みんな!ぶち殺す!
アレン:それでもかかってきたい奴は来やがれぇえ!
:(次々に倒れる仲間たちを目の当たりにし、そして少年の気迫に圧され、兵士たちが一人、また一人と尻込んでいく)
衛兵:何をしている!?退がるな!
衛兵:相手はガキ一人だぞ!何を怖気づいている!
:(ゆらりゆらりとアレンが衛兵に近づいていく)
アレン:はぁ……はぁ……。
衛兵:おい!貴様ら何をしている!早く殺せ!
衛兵:……おい……おい!
衛兵:……はっはっ、や、やめろ、来るな……来るなああ!
:(半狂乱になった衛兵が大振りでアレンに斬りかかる)
アレン:(衛兵の刃を受け流し)ッ……おめぇにオレとセルデスの旅を邪魔する資格は、(衛兵を斬る)ねェ!
衛兵:(切られて)ぐぼぁ!
N:今まで司令塔だった衛兵が倒されたことで、隊列は一気に崩れ、他の兵士たちはバラバラに逃げ帰っていった。
セルデス:おい!血だらけじゃねえか!ケガは!?
アレン:ほとんど俺の血じゃ、ねえよ……ッ。(大の字に仰向けに倒れる)
セルデス:!?どうした!?
アレン:へへ……オレちゃんとセルデスの腕になれたような気がして、さ……それで、嬉しくて、そんで……。(意識を失う)
セルデス:おい!?
アレン:スースー……。(寝息を立てる)
セルデス:……なんだよ。
セルデス:ハァー……心配させんなよ……。
セルデス:……こんなことしなくてもずっと前から、立派にオマエは俺の腕で……。
セルデス:(胸を抑え)くは!はっはっ、もう少し、もう少しだけ一緒にいさせてくれッ……。
セルデス:……なぁ、アレン。お前は俺の太陽だ。
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N:村の宿屋の一室、少年が目覚める。
アレン:ん……。
セルデス:おう、かすり傷だけだったみたいだがよ、痛まねえか?
アレン:ん……平気……。
アレン:オマエは大丈夫なのか?
セルデス:……ああ、平気だ。
アレン:なぁ、セルデス、思い出したんだけどさ『ブリキの兵隊』って……?
セルデス:……そうだな。
セルデス:そろそろ話さなきゃならねえよな……。
アレン:?
セルデス:二十年前に戦争があった。ここからずっと先の国と国でな。
セルデス:その戦争は結局五年で終わっちまったが……一方の国で長期戦を見越して、ある実験が行われたんだ。
アレン:……。
セルデス:その実験はな、兵士を再利用する計画を立てるためのものでな……恐ろしい実験だ。
セルデス:手足がもげたり体に鉄砲玉を受けた兵士を連れてきて、機械の手足や内蔵を取り付けたんだ。
アレン:え?それって……。
セルデス:そう、俺はその時に鉛の腕と心臓を付けられた、言わば実験体だな。
セルデス:意識が戻って自分のこの鉛の腕を見た時、一瞬で悟ったよ。
セルデス:軍内でまことしやかに囁かれていた噂だったが本当に行われていたんだってな。
セルデス:そして俺は逃げ出した、軍から、国から、実験体としての人生から。
セルデス:俺が旅をするのはそういうことさ。
セルデス:さっきみたいな連中から逃げ回るために旅をしている。
セルデス:くだらねぇ理由だろ、がっかりしたか?
アレン:……いや。(ポリポリと頭をかいて)……俺さ、全然よくわかんねえけど……。
アレン:どんな理由だって、たとえ行き先なんて無くたって、セルデスの隣で、セルデスの腕として旅することが心地よくて、しゃーねえんだ。
アレン:だからさセルデス、これからもこうやって……
セルデス:(胸を抑えながら苦しんで)……はっはっ!くはっ!
アレン:セルデス!
N:最後の命をしぼり出すように、旅人が苦しみに悶えながらもポツリ、ポツリと言葉を紡ぐ。
セルデス:(息を切らしながら)はっはっ……俺、俺な……昔、心臓に弾を……くらって……だからよ、ホントはそこで死んでるハズで……。
セルデス:……無いハズの人生だったんだ……それなのに、オマエと出会って……。
セルデス:オマエと一緒で、心地よかったの、は、俺だよ……。
セルデス:オマエの笑顔が、温かくて、眩しくて……はっ、そんなオマエが本当に愛おしくて……。
セルデス:実験で繋がれた……命でも、こんなイイ思いさせて、もら、えるなんてよ……こんな幸せなこと、ねえぜ……。
アレン:もうしゃべんな!
アレン:セルデスぅ!死ぬな!死ぬなよ!
セルデス:はっはっ……ありがと、ありがとなぁ……。
セルデス:……なあ、アレン。
アレン:なっなに!?
セルデス:(囁くように)オマエは俺の太陽だ。
N:そう言ったきり、旅人は目を閉ざした。
アレン:なあおい……ウソだろ?なぁセルデス?目ぇ開けてくれよぉ!
アレン:嫌だ!嫌だぁ!うああああ!
N:少年の涙と叫びは天窓を伝い、鮮やかな夕暮れの空へと溶けていった。
0:
アレン:(M)セルデス。オレはまだ旅を続けているよ。
アレン:いつかの日誌に書いたよな?オレはオマエの腕であり足にもなると。
アレン:オマエの心臓、悪いけど取り出してもらってきたよ。本当にタダの鉛玉って感じなのな。
アレン:オマエの心を抱いて俺はまた旅に出る。俺の足で色んなところにオマエを連れて行くよ。
アレン:たくさんの景色をまたオレと見よう。
アレン:あのな、最後にもう一つだけ言わせてくれ。
アレン:セルデス、オマエは俺の太陽だ。これからもずっと。
:Fin.