台本概要

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タイトル 地平線物語~finience  histria~ 第1話~英傑~
作者名 神風雷神  (@populight)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 剣と魔法の世界のシナリオです。Twitter(現X)で、様々な知り合いをキャラ化させてもらいまして、それでストーリーを創ったらどうなるだろうと思い、途方もないシナリオを創ろうとしています。よかったら、お付き合いください。誤字脱字あれば、教えてください。
シナリオを使っていただけるとなれば、大変喜びます。声掛けしてくれたら嬉しいです。
※少し長いですが、下記が世界観の説明です。前書きとして読んでいただけたらと思います。



剣と魔法が激しく混ざり合う世界、イデアコリス。
それぞれの国が均衡を保ち、平和を尊重して過ごしてきた。
しかし、セークルス歴147年、大陸の半分近くを占める帝国、モスクリーナ帝国皇帝が崩御すると同時に、とある噂が広まり始める。
「皇帝は暗殺された」と。
嘘か信か、この事が引き金となり、モスクリーナ帝国では「このままでは世界は崩壊の一途を辿る。世界をあるべき姿に還すべきだ。」という考えが広まり、軍部をエクリプス軍と名乗って、他国へと戦争を開始する。ある者は正義を謳い、ある者は戦いを愛し、またある者は、冷徹な笑みを浮かべる。
エクリプス軍の兵力に為す術もなく呑まれていく小国の様を見た国々が、次々と手を取り合う。それらの国が、連合軍となってエクリプス軍に立ち向かう。
皇帝の暗殺は誰か、何のためか、エクリプス軍の狙いは。また、連合軍の同盟は、生き残るためか、仲間の救済か、それとも・・・。
そして、連合軍とは別の勢力も暗躍し、セークルス歴は終わりを告げ、新たな時代が誕生する。
それぞれの国や人の思惑が錯綜する中、この戦争は激化していく。大国の平定か、連合による復権か、それとも、分け目を狙う漁夫の利か。
時代の中で、それぞれの力を持ちし者達が、刹那の煌めきを放った時代。人々はその時代を、「フィニエンス」と呼んだ。

地平線物語~finience histria~

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
イルミナーレ 42 キャラ名:イルミナーレ=バレッタ 属性:火 立位置:連合軍幹部(ローム軍総大将) 職業:魔法騎士 武器:両手剣 性格:ロームの町の全ての民の思いに応えようと奮闘する総大将。誰に対しても優しく、ただし、正義の芯を貫く。魔法の才能に長け、魔力を乗せて剣を振るうと、一面が塵と化す。
ガタエナ 49 キャラ名:ガタエナ=マンドラピアス 属性:火 立位置:連合軍幹部(アデルタ軍大将) 職業:魔法戦士 武器:槍等 性格:アデルタ国の総指揮者。特に女性からの支持が厚い。実力もさることながらで、多種多様な武器を亜空間魔法で収納し、任意の場所から隕石のように撃ち落とすことができる。
ケントニス 55 キャラ名:ケントニス=シュバイツァー 属性:風 立位置:連合軍幹部(アルブール軍大将) 職業:魔法剣士 武器:双剣 性格:軍の大将だが、飄々としていて、軍議にも参加せず、都を彷徨き回っている。しかし戦闘になれば、独特な指揮で圧勝を繰り返す、唯一無二の知恵者。
リズマード 37 キャラ名:リズマード=ヴィニシウス 属性:水 立位置:連合軍(リスブノ軍中将) 職業:結界師&軍師 武器:短刀&札&素手 性格:外出できない大将の代わりに内政や外交を務める。誰とでも友好的だが、自分の周りには常に結界を張っている。本当はかなりの好戦的だが、普段は抑えている。
フローテル 55 キャラ名:フローテル=フォトプロス 属性:火 立位置:連合軍(アデルタ軍少将) 職業:近衛兵長 武器:大剣 性格:アデルタの周りでは魔獣の出現が多い。その魔獣を掃討し、国の治安を守る近衛兵の長。大将に対する忠義が熱く、あつすぎるが故に、自分を責めてしまうことも。男性と肩を並べるほどの怪力を持つ。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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イルミナーレ:フィニエンス歴2年 2月17日 イルミナーレ:モスクリーナ帝国軍が、ヴァルサ帝国軍と交戦して1週間が過ぎた。陥落が迫っていたバルトリア王国は、ヴァルサ帝国の援助により、滅亡は免れた。しかし、民、住処、生きるためのありとあらゆるものを失い、途方にくれていた。 ケントニス:このバルトリア王国を立て直すため、ヴァルサ帝国は援助を申し出た。同時に、アデルタ共和国、ローム皇国も手を挙げ、バルトリア王国は窮地を脱した。 ケントニス:同時に、モスクリーナ帝国に対抗するため、5つの国が大将会議を開くことになった。・・・しかし・・・ーーーーー。 0:2月20日 14時 アデルタ共和国本部アテカ 軍部室 イルミナーレ:・・・・・ガタエナ公。 ガタエナ:何だい、イルミナーレ将? イルミナーレ:本日、14時より会議開始だったと、お聴きしたと思うのですが・・・。 ガタエナ:そうだね。今日は5人の大将で会議をすると、話していたはずだけどなぁ。 イルミナーレ:なんですか?この集まり様は・・・我々二人だけではないですか・・・。 ガタエナ:まあ、仕方がない。本来大将格は忙しい。ヴァルサ軍はバルトリア王国での紛争に手を焼いていて、その合間を縫ってこちらに来ようとしている。 イルミナーレ:私も、国民たちを置いてここに来ているんですよ。早く終わらせて帰らなければならないんですが・・・。 ガタエナ:まあそう焦らずに。お茶でも飲んで落ち着きましょう。 イルミナーレ:・・・・・。 0:(ドアをノックする音) ガタエナ:入りたまえ。 リズマード:失礼する。 イルミナーレ:貴方は・・・? リズマード:会議の遅刻、誠に申し訳ない。私は、リスブノ軍中将、リズマード=ヴィニシウス。 イルミナーレ:リスブノ皇国・・・超強固な魔法結界のため、安定した国力を維持し続けている統治国家。しかし、大将はどちらに? リズマード:私共の大将、ネーヴル=バティスタは、保護結界のために国に留まらねばならない。故に、私がここまで来た。 イルミナーレ:ということは・・・まさか、あの皇国の結界は、大将が一人で張っているというのですか?! リズマード:そうとも。大将は常に結界を張り続けている。 ガタエナ:ほう・・・。 イルミナーレ:あ、あり得ない・・・!あれだけの膨大な魔力!一体どうやってーーー ガタエナ:マギアクリスタル、か。 イルミナーレ:な、何ですって? リズマード:御名答。大将の身体には、絶えずマギアクリスタルの加護がある。だからこそ、大将が国から出るわけにはいかないのだ。 ガタエナ:なるほど。まずは、歓迎しよう。遠路はるばるよくここまで来られた。 リズマード:いえ、会合の場を設けてもらい、感謝する。だが・・・集まりは悪そうだな。 ガタエナ:そうなんだよ。それでこちらのイルミナーレ将が、しびれを切らしている、ということだ。 イルミナーレ:し、仕方ないではないですか!こうしている間にも、帝国軍は着実に力を蓄えています!いち早く国へ戻り、国民達を束ねることこそ、私の務め! リズマード:・・・なるほど。とても血気盛んな女性将軍なんだな。 イルミナーレ:・・・リズマード公。血気盛んとは、どういうことでしょうか? リズマード:これは失敬。もっと言葉を選ぶべきでした。お詫びいたします。 イルミナーレ:貴様・・・ーーー ガタエナ:まあまあ。ゆっくり落ち着きましょうーーー。 リズマード:ーーーそう言いながら・・・我々に幻惑魔法を放ち続けるのを止めてもらえないだろうか、ガタエナ大将。 ガタエナ:これはこれは、ハハハハ・・・。悪く思わないでほしい。これは生まれつきなのだ。 リズマード:・・・なるほど。「魅了騎士」の異名は伊達ではない、か。 ガタエナ:へぇ、そんなあだ名が通ってるんだね。 イルミナーレ:・・・私のことも魅了しようとしていたんですか? ガタエナ:悪く思わないでいただきたい。第一、貴女にそんな技は通用しないことは、分かっていますとも。 イルミナーレ:・・・とにかく、これで3人・・・ヴァルサ帝国の使いはここに来れないとして、あとは・・・ーーー。 リズマード:ローム、リスブノ、アデルタ、ヴァルサ ・・・あとは、アルブール共和国か。 ガタエナ:ハッハッハ!・・・あいつか。 イルミナーレ:・・・ハァ・・・あの人は、いつも定刻に来たためしがないですね・・・。 リズマード:ほぅ・・・どんな人なんだ? イルミナーレ:・・・どんな人、と言われると・・・。 ガタエナ:本当に、頭のキレる男だよ。・・・我々が羨む程にね。 0:同刻 アデルタ共和国本部アテカ 商店通り ケントニス:ふぅ・・・やっぱり外国に来たら、まずは腹ごしらえだよね。アデルタのご飯って、本当に美味しいからね〜。このスブラキなんて、肉の旨味が存分にあってーーーん?なんだか、騒がしいな? フローテル:皆のもの!落ち着け!落ち着いて避難するんだ!西の方へ向かえ! ケントニス:おーい。そこの人、どうしたの? フローテル:ん?あぁ。街の東側から、魔獣が侵入したんだ!お前も早く避難するんだ! ケントニス:ふぅん・・・?なるほどねぇ・・・。ねぇ? フローテル:な、何だ?! ケントニス:今、忙しい? フローテル:み、見れば分かるだろ?! ケントニス:まぁ・・・そうだね。忙しそうだね。 フローテル:お前も早く避難しろ!もたもたしていたらまたーーー、 ケントニス:何人? フローテル:・・・・は? ケントニス:こっちの人員は何人? フローテル:え?あ、か、関係なーーー ケントニス:早く〜。時間無いよ? フローテル:・・・20人だ。 ケントニス:連絡はいつでもできる? フローテル:し、思念伝達で、いつでもーーー ケントニス:なるほど・・・。(目を閉じて)『ユーバーブリック』 フローテル:な・・・なんだ?雰囲気が・・・変わった・・・? ケントニス:・・・東側に大型が一体。でも、北側から中型が二体、大型が二体来ている。東側はフェイクだね。 フローテル:な、何ーーー? ケントニス:あんた、名前は? フローテル:フ、フローテル・・・フローテル・フォトプロスだ。 ケントニス:じゃあフローテルさん。ここの兵は、強い? フローテル:な、ナメるな!我々は、そこらの魔獣程度に負けたりはしない! ケントニス:ま、そうだよね。じゃあ、思念伝達で十三人を東側の魔獣に派遣して? フローテル:な・・・北側が多いんだろう?どうして東側にそんなに派遣するんだ? ケントニス:大丈夫大丈夫。考えがあるし、それに・・・(肉を頬張る)。 フローテル:な、何だ? ケントニス:(咀嚼して飲み込む)・・・僕はケントニス。こういうので、負けたことないんだ。 0:14時15分 アデルタ共和国本部アテカ 軍部室 リズマード:・・・ガタエナ将、どうされました?ずっと目を閉じられて・・・? ガタエナ:・・・どうやら、街に魔獣が入り込んだようだね。 イルミナーレ:な・・・!た、大変ではないですか!?すぐに向かいましょう! ガタエナ:いや・・・私はここにいます。 イルミナーレ:な、何故です?!一般市民にもしものことがあったらーーー! ガタエナ:我が軍は優秀だ。そう簡単には負けはしない。それに・・・。 リズマード:他に、何か? ガタエナ:・・・いや、やっぱり行こうか。どうやら、向こうであの男が動いているようだ。 リズマード:あの男・・・アルブールの大将ですか。それなら、我々が行かなくても大丈夫なのでは? ガタエナ:たしかにそうだが・・・イルミナーレ公もお急ぎでいらっしゃる。早いに越したことは無い。会議は室内でしなければならないこともない。 イルミナーレ:お心遣い、感謝します。では、民たちも心配ですし、行きましょう。 ガタエナ:自国だけでなく、他国の民も気にかけてくださる・・・さすがはローム王国大将ですね。 イルミナーレ:ちゃ、茶化さないでください。 リズマード:・・・直接というほどではないだろうが・・・大将が三人も動く・・・。これは、見ごたえがありそうだ・・・フフフ・・・。 0:2月20日 14時20分 アデルタ共和国アテカ郊外 北部 フローテル:ハァッ!!!(剣で魔獣を一刀両断する) ケントニス:おお、すごいすごい。 フローテル:皆!私に続け!このまま押し切る!ハァッ!! ケントニス:ん〜〜。さすがはアデルタ軍の衛兵。女性なのにすごいパワーだ。中型とはいえ3メートル級の魔獣を一撃で・・・一体どこにそんなパワーが・・・いや、今はそんなことどうでもいいか。 フローテル:ケントニス殿!この後に大型が来るのか?! ケントニス:あぁ、そのはずだよ。 フローテル:だったら・・・せめて中型魔獣は、大型が来る前に始末する! ケントニス:・・・隊長が女性だったからどうなるかと思ったけど・・・なかなかやるねぇ。でも、これは単独の力じゃないな・・・。 フローテル:・・・ッ!!何だ、コイツ・・・!さっきと同じ形の魔獣なのに・・・硬くて斬れない・・・! ケントニス:おや? フローテル:全員!退避!大技が来るぞ! ケントニス:・・・おかしいな。細工があったか? フローテル:ッ・・・クァ・・ッ!(旋回する魔獣に跳ね飛ばされるが、両手剣を挟み、直撃を避けて後ろに飛び退く) ケントニス:おーい、大丈夫? フローテル:私は大丈夫だ!・・・しかし・・・、 ケントニス:あー・・・3人やられたね。なかなか重症だ。 フローテル:クッ・・・この程度の魔獣、いつもなら簡単に倒せるはずなのに、何故・・・? ケントニス:多分、何かしらの裏細工があったと思うよ? フローテル:え? ケントニス:よっと・・・(一気に魔獣の前まで跳ぶ) フローテル:あ、危ない! ケントニス:言ったでしょ?僕・・・負けたことないんだって。責任取るよ?よっと!(魔獣の攻撃や突進を次々に避けていく。) フローテル:・・・な、何だ?あの動き・・・まるで空気のようだ。全く当たる気がしない・・・。 ケントニス:フローテルさーん。早く、っと、体勢を、立て直し、て!後ろに、回って攻撃して、ねっ!(飄々と避けながら伝える) フローテル:・・・皆!立つんだ!この程度の魔獣に、負けるわけにはいかない! ガタエナ:『メリディオプラグマ』 フローテル:・・・!こ、この力、は・・・! ガタエナ:フローテル。大丈夫か? フローテル:が、ガタエナ様・・・! ガタエナ:すまない。私の力が足りなかったようだ。無理をさせたな。 フローテル:め、滅相もございません!お役に立てず、申し訳ありません! ガタエナ:役に立たない?そんなこと・・・いつ、誰が決めた? フローテル:え? ガタエナ:役に立つかどうかを決めるのは、今、そして、私だ。役立ってみよ、フローテル、そして皆のもの。 フローテル:・・・はっ!皆!行くぞ! ケントニス:・・・なるほど。感じていた違和感はこれか。 フローテル:今ならいける!皆と共に!魂の一撃を!『モノリスディアレシー!』せやあぁぁぁぁっ!!! ケントニス:ほぉ~・・・真っ二つ。お見事。 ガタエナ:・・・(拍手)さすがはアデルタ近衛兵長。よく役に立ってくれた。礼を言う。 フローテル:お褒めに預かり、光栄です。 ケントニス:でも、これで終わりじゃないんだよなぁ。  フローテル:え?・・・な、何だ、あれは・・・! ガタエナ:ほぉ・・・10メートル近くありそうだね。 フローテル:ケントニス殿!やはりこの配置は間違いだろう!あんなバカでかいなんて聞いていないぞ! ケントニス:そうだね~言ってないからね〜。 フローテル:い、言ってないってーーー! ケントニス:言う必要ないぐらい、すごいのが来るから。 フローテル:え? リズマード:止まれ。『アディシーヴォバレィラ』 フローテル:っ!結界?!あんなデカい魔獣が、止まった・・・?! リズマード:・・・(ため息)ただデカいだけですか。さあ、手早く終わらせてください、イルミナーレ様。 イルミナーレ:・・・我が前に立ち塞がるもの、それすなわち、民の障害なり。爆ぜなさい。『ウーノ・ラ・スパーダ=エスプロージョン!!!』はあぁぁぁっ!!! 0:大型魔獣が一刀のもとに真っ二つに斬られ、爆散する。 リズマード:お見事です。 ガタエナ:(拍手)さすがはローム皇国の大将、イルミナーレ将。一撃も規格外だね。 フローテル:え、じ、じゃあ、この方々が、今回の会議の・・・? ガタエナ:あぁ。これなら・・・奴等とも渡り合えるかもしれないね。 イルミナーレ:・・・ガタエナ公。私に、何かしましたか? ガタエナ:おや?何のことですか? イルミナーレ:とぼけても無駄です。私は、さほど力を込めませんでした。ですが、思いの外の破壊力・・・身体に力が流れ込んできましたよ。 ガタエナ:・・・これはまた失敬。先程、フローテルにかけさせてもらった技は、近くの女性にもかかってしまうことがあるのです。その影響かもしれませんね。 イルミナーレ:・・・なるほど。そういう話なら、御助力、感謝いたします。 ガタエナ:とんでもない。しかしーーー ケントニス:やあ、皆。遅かったね。 イルミナーレ:っ!ケントニス公!遅かったのはどっちですか!? ケントニス:え?僕はこの街には昨日からいたよ? イルミナーレ:街にいたとしても!私達の会議の場にいなかったことは事実ーーー! ガタエナ:まあまあ、落ち着きたまえよ。ここは、私達の領土だ。 イルミナーレ:・・・・・(イライラした表情) ケントニス:〜〜〜〜〜。(飄々とした表情) フローテル:・・・ケントニス殿は、一体・・・。 リズマード:知らなかったのか?あれがケントニス=ヴァルテック。アルブール王国の大将だよ。 フローテル:あ、あれが・・・大将?! リズマード:無理もないですね。・・・あれは・・・。 フローテル:どうか、しましたか? リズマード:・・・いえ、何も。 リズマード:(あのケントニスという男・・・マギアの気配が全く無い・・・何故だ?) フローテル:あ、そ、そしたら、貴方様も? リズマード:あぁ。私はリズマード。リスブノ皇国の中将です。 フローテル:え?、や、やっぱり・・・ご無礼を! リズマード:ハハハ・・・何とも思ってないですよ。ただの大将の代役、ですから。 フローテル:た、だとしても!中将とは、格の高い・・・っ!?この咆哮は・・! ガタエナ:ケントニス将。あと何体大型がいるんだい? ケントニス:あと一体だね〜。 イルミナーレ:ならば、すぐに断ち切るまでです。 ケントニス:まあ、待ちなよ。 イルミナーレ:・・・? ケントニス:・・・どうやら、さっきの咆哮・・・ありゃりゃ、死んじゃったみたいだね。 フローテル:っ?!一体、何が・・・!? ガタエナ:はっはっはっは!なるほど・・・ヴァルサの大将、か。 フローテル:え? ケントニス:いや〜残念残念〜。せっかく僕が最後にかっこよく決めようと思ったのにな〜。 ガタエナ:そんなことを言って・・・分かってたのでは?御自慢の、俯瞰視魔術で。 ケントニス:何のことかな〜?僕にはさっぱり〜。 イルミナーレ:白々しい方ですね・・・。とにかく、これでもうすぐ、各国の代表が集まれそうですね。 ケントニス:ところでガタエナさん?今回は何で集まったの?もう話しても良くない? リズマード:・・・なかなか、自由奔放な方ですね。 イルミナーレ:ケントニス公!貴方という人は・・・! ガタエナ:まあまあ。・・・呼んだのは、他でもない。モスクリーナ帝国に対抗するため、協力しないかという提案さ。 ケントニス:ほう・・・。 リズマード:なるほど。 イルミナーレ:そういうことですね。私も賛成です。このところ、モスクリーナ帝国の動きが活発で、協力を要請していたところです。 ガタエナ:ありがとう。他の二人は、どうかな? ケントニス:僕もいいよ〜。何だか色々発見がありそうだし〜。 ガタエナ:フッ・・・相変わらずだねぇ。そして・・・君はどうする? リズマード:・・・一概に、イエス、とは言えませんね。我々リスブノ皇国は、モスクリーナ帝国から、今回の会合の国の中で一番遠い。手を取り合わずとも、こちらが攻撃される可能性は低い。 ガタエナ:・・・たしかに、そうだね。 リズマード:それに、こちらには強力な結界があります。人の手で壊すことなど、容易ではない。 ガタエナ:随分と自信があるんだね。先の戦いでは、魔法が掻き消されたという噂だよ? リズマード:第一、魔獣ごときに侵入を許す国となど、もっての外かと。 イルミナーレ:リズマード公!いい加減にーーー ケントニス:魔獣ごときに、かぁ。ふふっ。 イルミナーレ:・・・ケントニス公? ケントニス:もしこれが・・・仕組まれたものだとしたら? リズマード:何? ケントニス:見て?この魔獣達の額にあるもの・・・。 イルミナーレ:・・・綺麗な宝石ですね。透明度のある緑色だ。 ケントニス:そうだね~。これはーーー、 ガタエナ:ウルリアンナイト。 ケントニス:・・・さすが。知っていましたか。 ガタエナ:当然。なかなか希少価値のある宝石だということも。それが・・・モスクリーナ帝国原産だということも。 フローテル:ッ?! イルミナーレ:ということは・・・。 ケントニス:ウルリアンナイトは、マギアを溜め込み、緑色に輝く。この緑色の輝きからして、凄い量だ。 フローテル:・・・モスクリーナ帝国の・・・差し金・・・? リズマード:ウルリアンナイトを埋め込むことで、魔獣を操り暴走させた、ということですか? ガタエナ:ま、そういうことになるね。 フローテル:・・・許すまじ・・・帝国・・・っ!! リズマード:・・・なるほど。そうなると、ただ対人関係というわけでもない、ということですね。 ケントニス:さあ、どうする〜?リズマード中将? リズマード:・・・・・一度国に持ち帰り、話をさせてください。数日中には結果を報告します。 ケントニス:お硬いね〜。ま、慎重なのはいいけど〜。 フローテル:では、後はヴァルサの大将を待つのみですね。 ガタエナ:そうでも無さそうだね。 イルミナーレ:・・・ですね。 フローテル:え?ん?何か飛んできて・・・うわぁっ!! リズマード:・・・これは・・・矢文の類ですか? イルミナーレ:それにしては、随分と大きな矢文ですね。 ケントニス:これは・・・魔獣の角だね。そこに・・・ふふっ、血で文字を書いたのか。 イルミナーレ:相変わらず、野蛮というか・・・なんというか・・・。 リズマード:で?何と書かれてるんですか? ガタエナ:・・・『参戦に、協力する』と。 ケントニス:アハハハ〜地獄耳〜。 イルミナーレ:・・・少々変わった形ですが・・・大筋で合意、ですね。 ガタエナ:そうだね。後に、正式承認といこう。リズマード将、良き返答を、待っていますよ。 リズマード:・・・あなた方にとって、良い返答になればよいですが・・・。 0:――――――――――― ガタエナ:この後、会合にヴァルサ軍の大将、ドゥラスが合流。これにより、アデルタ共和国、アルブール共和国、ローム皇国、ヴァルサ帝国の4カ国が同盟を結び、侵略を続けるモスクリーナ帝国に対抗すべく、連合軍が誕生した。 リズマード:そんな中、リスブノ皇国は保守的な立場を崩さず、この会合では調印しなかった。リスブノ皇国にとって、この出来事が、後の大きな試練へと発展する。 フローテル:そして、時を同じくして、モスクリーナ帝国も、大将格の兵達が集結しようとしていた。次回、地平線物語(フィニエンス ヒストリア)第2話〜圧倒〜 フローテル:物語は続く。誰も知らない、地平線の、その先へーーー。

イルミナーレ:フィニエンス歴2年 2月17日 イルミナーレ:モスクリーナ帝国軍が、ヴァルサ帝国軍と交戦して1週間が過ぎた。陥落が迫っていたバルトリア王国は、ヴァルサ帝国の援助により、滅亡は免れた。しかし、民、住処、生きるためのありとあらゆるものを失い、途方にくれていた。 ケントニス:このバルトリア王国を立て直すため、ヴァルサ帝国は援助を申し出た。同時に、アデルタ共和国、ローム皇国も手を挙げ、バルトリア王国は窮地を脱した。 ケントニス:同時に、モスクリーナ帝国に対抗するため、5つの国が大将会議を開くことになった。・・・しかし・・・ーーーーー。 0:2月20日 14時 アデルタ共和国本部アテカ 軍部室 イルミナーレ:・・・・・ガタエナ公。 ガタエナ:何だい、イルミナーレ将? イルミナーレ:本日、14時より会議開始だったと、お聴きしたと思うのですが・・・。 ガタエナ:そうだね。今日は5人の大将で会議をすると、話していたはずだけどなぁ。 イルミナーレ:なんですか?この集まり様は・・・我々二人だけではないですか・・・。 ガタエナ:まあ、仕方がない。本来大将格は忙しい。ヴァルサ軍はバルトリア王国での紛争に手を焼いていて、その合間を縫ってこちらに来ようとしている。 イルミナーレ:私も、国民たちを置いてここに来ているんですよ。早く終わらせて帰らなければならないんですが・・・。 ガタエナ:まあそう焦らずに。お茶でも飲んで落ち着きましょう。 イルミナーレ:・・・・・。 0:(ドアをノックする音) ガタエナ:入りたまえ。 リズマード:失礼する。 イルミナーレ:貴方は・・・? リズマード:会議の遅刻、誠に申し訳ない。私は、リスブノ軍中将、リズマード=ヴィニシウス。 イルミナーレ:リスブノ皇国・・・超強固な魔法結界のため、安定した国力を維持し続けている統治国家。しかし、大将はどちらに? リズマード:私共の大将、ネーヴル=バティスタは、保護結界のために国に留まらねばならない。故に、私がここまで来た。 イルミナーレ:ということは・・・まさか、あの皇国の結界は、大将が一人で張っているというのですか?! リズマード:そうとも。大将は常に結界を張り続けている。 ガタエナ:ほう・・・。 イルミナーレ:あ、あり得ない・・・!あれだけの膨大な魔力!一体どうやってーーー ガタエナ:マギアクリスタル、か。 イルミナーレ:な、何ですって? リズマード:御名答。大将の身体には、絶えずマギアクリスタルの加護がある。だからこそ、大将が国から出るわけにはいかないのだ。 ガタエナ:なるほど。まずは、歓迎しよう。遠路はるばるよくここまで来られた。 リズマード:いえ、会合の場を設けてもらい、感謝する。だが・・・集まりは悪そうだな。 ガタエナ:そうなんだよ。それでこちらのイルミナーレ将が、しびれを切らしている、ということだ。 イルミナーレ:し、仕方ないではないですか!こうしている間にも、帝国軍は着実に力を蓄えています!いち早く国へ戻り、国民達を束ねることこそ、私の務め! リズマード:・・・なるほど。とても血気盛んな女性将軍なんだな。 イルミナーレ:・・・リズマード公。血気盛んとは、どういうことでしょうか? リズマード:これは失敬。もっと言葉を選ぶべきでした。お詫びいたします。 イルミナーレ:貴様・・・ーーー ガタエナ:まあまあ。ゆっくり落ち着きましょうーーー。 リズマード:ーーーそう言いながら・・・我々に幻惑魔法を放ち続けるのを止めてもらえないだろうか、ガタエナ大将。 ガタエナ:これはこれは、ハハハハ・・・。悪く思わないでほしい。これは生まれつきなのだ。 リズマード:・・・なるほど。「魅了騎士」の異名は伊達ではない、か。 ガタエナ:へぇ、そんなあだ名が通ってるんだね。 イルミナーレ:・・・私のことも魅了しようとしていたんですか? ガタエナ:悪く思わないでいただきたい。第一、貴女にそんな技は通用しないことは、分かっていますとも。 イルミナーレ:・・・とにかく、これで3人・・・ヴァルサ帝国の使いはここに来れないとして、あとは・・・ーーー。 リズマード:ローム、リスブノ、アデルタ、ヴァルサ ・・・あとは、アルブール共和国か。 ガタエナ:ハッハッハ!・・・あいつか。 イルミナーレ:・・・ハァ・・・あの人は、いつも定刻に来たためしがないですね・・・。 リズマード:ほぅ・・・どんな人なんだ? イルミナーレ:・・・どんな人、と言われると・・・。 ガタエナ:本当に、頭のキレる男だよ。・・・我々が羨む程にね。 0:同刻 アデルタ共和国本部アテカ 商店通り ケントニス:ふぅ・・・やっぱり外国に来たら、まずは腹ごしらえだよね。アデルタのご飯って、本当に美味しいからね〜。このスブラキなんて、肉の旨味が存分にあってーーーん?なんだか、騒がしいな? フローテル:皆のもの!落ち着け!落ち着いて避難するんだ!西の方へ向かえ! ケントニス:おーい。そこの人、どうしたの? フローテル:ん?あぁ。街の東側から、魔獣が侵入したんだ!お前も早く避難するんだ! ケントニス:ふぅん・・・?なるほどねぇ・・・。ねぇ? フローテル:な、何だ?! ケントニス:今、忙しい? フローテル:み、見れば分かるだろ?! ケントニス:まぁ・・・そうだね。忙しそうだね。 フローテル:お前も早く避難しろ!もたもたしていたらまたーーー、 ケントニス:何人? フローテル:・・・・は? ケントニス:こっちの人員は何人? フローテル:え?あ、か、関係なーーー ケントニス:早く〜。時間無いよ? フローテル:・・・20人だ。 ケントニス:連絡はいつでもできる? フローテル:し、思念伝達で、いつでもーーー ケントニス:なるほど・・・。(目を閉じて)『ユーバーブリック』 フローテル:な・・・なんだ?雰囲気が・・・変わった・・・? ケントニス:・・・東側に大型が一体。でも、北側から中型が二体、大型が二体来ている。東側はフェイクだね。 フローテル:な、何ーーー? ケントニス:あんた、名前は? フローテル:フ、フローテル・・・フローテル・フォトプロスだ。 ケントニス:じゃあフローテルさん。ここの兵は、強い? フローテル:な、ナメるな!我々は、そこらの魔獣程度に負けたりはしない! ケントニス:ま、そうだよね。じゃあ、思念伝達で十三人を東側の魔獣に派遣して? フローテル:な・・・北側が多いんだろう?どうして東側にそんなに派遣するんだ? ケントニス:大丈夫大丈夫。考えがあるし、それに・・・(肉を頬張る)。 フローテル:な、何だ? ケントニス:(咀嚼して飲み込む)・・・僕はケントニス。こういうので、負けたことないんだ。 0:14時15分 アデルタ共和国本部アテカ 軍部室 リズマード:・・・ガタエナ将、どうされました?ずっと目を閉じられて・・・? ガタエナ:・・・どうやら、街に魔獣が入り込んだようだね。 イルミナーレ:な・・・!た、大変ではないですか!?すぐに向かいましょう! ガタエナ:いや・・・私はここにいます。 イルミナーレ:な、何故です?!一般市民にもしものことがあったらーーー! ガタエナ:我が軍は優秀だ。そう簡単には負けはしない。それに・・・。 リズマード:他に、何か? ガタエナ:・・・いや、やっぱり行こうか。どうやら、向こうであの男が動いているようだ。 リズマード:あの男・・・アルブールの大将ですか。それなら、我々が行かなくても大丈夫なのでは? ガタエナ:たしかにそうだが・・・イルミナーレ公もお急ぎでいらっしゃる。早いに越したことは無い。会議は室内でしなければならないこともない。 イルミナーレ:お心遣い、感謝します。では、民たちも心配ですし、行きましょう。 ガタエナ:自国だけでなく、他国の民も気にかけてくださる・・・さすがはローム王国大将ですね。 イルミナーレ:ちゃ、茶化さないでください。 リズマード:・・・直接というほどではないだろうが・・・大将が三人も動く・・・。これは、見ごたえがありそうだ・・・フフフ・・・。 0:2月20日 14時20分 アデルタ共和国アテカ郊外 北部 フローテル:ハァッ!!!(剣で魔獣を一刀両断する) ケントニス:おお、すごいすごい。 フローテル:皆!私に続け!このまま押し切る!ハァッ!! ケントニス:ん〜〜。さすがはアデルタ軍の衛兵。女性なのにすごいパワーだ。中型とはいえ3メートル級の魔獣を一撃で・・・一体どこにそんなパワーが・・・いや、今はそんなことどうでもいいか。 フローテル:ケントニス殿!この後に大型が来るのか?! ケントニス:あぁ、そのはずだよ。 フローテル:だったら・・・せめて中型魔獣は、大型が来る前に始末する! ケントニス:・・・隊長が女性だったからどうなるかと思ったけど・・・なかなかやるねぇ。でも、これは単独の力じゃないな・・・。 フローテル:・・・ッ!!何だ、コイツ・・・!さっきと同じ形の魔獣なのに・・・硬くて斬れない・・・! ケントニス:おや? フローテル:全員!退避!大技が来るぞ! ケントニス:・・・おかしいな。細工があったか? フローテル:ッ・・・クァ・・ッ!(旋回する魔獣に跳ね飛ばされるが、両手剣を挟み、直撃を避けて後ろに飛び退く) ケントニス:おーい、大丈夫? フローテル:私は大丈夫だ!・・・しかし・・・、 ケントニス:あー・・・3人やられたね。なかなか重症だ。 フローテル:クッ・・・この程度の魔獣、いつもなら簡単に倒せるはずなのに、何故・・・? ケントニス:多分、何かしらの裏細工があったと思うよ? フローテル:え? ケントニス:よっと・・・(一気に魔獣の前まで跳ぶ) フローテル:あ、危ない! ケントニス:言ったでしょ?僕・・・負けたことないんだって。責任取るよ?よっと!(魔獣の攻撃や突進を次々に避けていく。) フローテル:・・・な、何だ?あの動き・・・まるで空気のようだ。全く当たる気がしない・・・。 ケントニス:フローテルさーん。早く、っと、体勢を、立て直し、て!後ろに、回って攻撃して、ねっ!(飄々と避けながら伝える) フローテル:・・・皆!立つんだ!この程度の魔獣に、負けるわけにはいかない! ガタエナ:『メリディオプラグマ』 フローテル:・・・!こ、この力、は・・・! ガタエナ:フローテル。大丈夫か? フローテル:が、ガタエナ様・・・! ガタエナ:すまない。私の力が足りなかったようだ。無理をさせたな。 フローテル:め、滅相もございません!お役に立てず、申し訳ありません! ガタエナ:役に立たない?そんなこと・・・いつ、誰が決めた? フローテル:え? ガタエナ:役に立つかどうかを決めるのは、今、そして、私だ。役立ってみよ、フローテル、そして皆のもの。 フローテル:・・・はっ!皆!行くぞ! ケントニス:・・・なるほど。感じていた違和感はこれか。 フローテル:今ならいける!皆と共に!魂の一撃を!『モノリスディアレシー!』せやあぁぁぁぁっ!!! ケントニス:ほぉ~・・・真っ二つ。お見事。 ガタエナ:・・・(拍手)さすがはアデルタ近衛兵長。よく役に立ってくれた。礼を言う。 フローテル:お褒めに預かり、光栄です。 ケントニス:でも、これで終わりじゃないんだよなぁ。  フローテル:え?・・・な、何だ、あれは・・・! ガタエナ:ほぉ・・・10メートル近くありそうだね。 フローテル:ケントニス殿!やはりこの配置は間違いだろう!あんなバカでかいなんて聞いていないぞ! ケントニス:そうだね~言ってないからね〜。 フローテル:い、言ってないってーーー! ケントニス:言う必要ないぐらい、すごいのが来るから。 フローテル:え? リズマード:止まれ。『アディシーヴォバレィラ』 フローテル:っ!結界?!あんなデカい魔獣が、止まった・・・?! リズマード:・・・(ため息)ただデカいだけですか。さあ、手早く終わらせてください、イルミナーレ様。 イルミナーレ:・・・我が前に立ち塞がるもの、それすなわち、民の障害なり。爆ぜなさい。『ウーノ・ラ・スパーダ=エスプロージョン!!!』はあぁぁぁっ!!! 0:大型魔獣が一刀のもとに真っ二つに斬られ、爆散する。 リズマード:お見事です。 ガタエナ:(拍手)さすがはローム皇国の大将、イルミナーレ将。一撃も規格外だね。 フローテル:え、じ、じゃあ、この方々が、今回の会議の・・・? ガタエナ:あぁ。これなら・・・奴等とも渡り合えるかもしれないね。 イルミナーレ:・・・ガタエナ公。私に、何かしましたか? ガタエナ:おや?何のことですか? イルミナーレ:とぼけても無駄です。私は、さほど力を込めませんでした。ですが、思いの外の破壊力・・・身体に力が流れ込んできましたよ。 ガタエナ:・・・これはまた失敬。先程、フローテルにかけさせてもらった技は、近くの女性にもかかってしまうことがあるのです。その影響かもしれませんね。 イルミナーレ:・・・なるほど。そういう話なら、御助力、感謝いたします。 ガタエナ:とんでもない。しかしーーー ケントニス:やあ、皆。遅かったね。 イルミナーレ:っ!ケントニス公!遅かったのはどっちですか!? ケントニス:え?僕はこの街には昨日からいたよ? イルミナーレ:街にいたとしても!私達の会議の場にいなかったことは事実ーーー! ガタエナ:まあまあ、落ち着きたまえよ。ここは、私達の領土だ。 イルミナーレ:・・・・・(イライラした表情) ケントニス:〜〜〜〜〜。(飄々とした表情) フローテル:・・・ケントニス殿は、一体・・・。 リズマード:知らなかったのか?あれがケントニス=ヴァルテック。アルブール王国の大将だよ。 フローテル:あ、あれが・・・大将?! リズマード:無理もないですね。・・・あれは・・・。 フローテル:どうか、しましたか? リズマード:・・・いえ、何も。 リズマード:(あのケントニスという男・・・マギアの気配が全く無い・・・何故だ?) フローテル:あ、そ、そしたら、貴方様も? リズマード:あぁ。私はリズマード。リスブノ皇国の中将です。 フローテル:え?、や、やっぱり・・・ご無礼を! リズマード:ハハハ・・・何とも思ってないですよ。ただの大将の代役、ですから。 フローテル:た、だとしても!中将とは、格の高い・・・っ!?この咆哮は・・! ガタエナ:ケントニス将。あと何体大型がいるんだい? ケントニス:あと一体だね〜。 イルミナーレ:ならば、すぐに断ち切るまでです。 ケントニス:まあ、待ちなよ。 イルミナーレ:・・・? ケントニス:・・・どうやら、さっきの咆哮・・・ありゃりゃ、死んじゃったみたいだね。 フローテル:っ?!一体、何が・・・!? ガタエナ:はっはっはっは!なるほど・・・ヴァルサの大将、か。 フローテル:え? ケントニス:いや〜残念残念〜。せっかく僕が最後にかっこよく決めようと思ったのにな〜。 ガタエナ:そんなことを言って・・・分かってたのでは?御自慢の、俯瞰視魔術で。 ケントニス:何のことかな〜?僕にはさっぱり〜。 イルミナーレ:白々しい方ですね・・・。とにかく、これでもうすぐ、各国の代表が集まれそうですね。 ケントニス:ところでガタエナさん?今回は何で集まったの?もう話しても良くない? リズマード:・・・なかなか、自由奔放な方ですね。 イルミナーレ:ケントニス公!貴方という人は・・・! ガタエナ:まあまあ。・・・呼んだのは、他でもない。モスクリーナ帝国に対抗するため、協力しないかという提案さ。 ケントニス:ほう・・・。 リズマード:なるほど。 イルミナーレ:そういうことですね。私も賛成です。このところ、モスクリーナ帝国の動きが活発で、協力を要請していたところです。 ガタエナ:ありがとう。他の二人は、どうかな? ケントニス:僕もいいよ〜。何だか色々発見がありそうだし〜。 ガタエナ:フッ・・・相変わらずだねぇ。そして・・・君はどうする? リズマード:・・・一概に、イエス、とは言えませんね。我々リスブノ皇国は、モスクリーナ帝国から、今回の会合の国の中で一番遠い。手を取り合わずとも、こちらが攻撃される可能性は低い。 ガタエナ:・・・たしかに、そうだね。 リズマード:それに、こちらには強力な結界があります。人の手で壊すことなど、容易ではない。 ガタエナ:随分と自信があるんだね。先の戦いでは、魔法が掻き消されたという噂だよ? リズマード:第一、魔獣ごときに侵入を許す国となど、もっての外かと。 イルミナーレ:リズマード公!いい加減にーーー ケントニス:魔獣ごときに、かぁ。ふふっ。 イルミナーレ:・・・ケントニス公? ケントニス:もしこれが・・・仕組まれたものだとしたら? リズマード:何? ケントニス:見て?この魔獣達の額にあるもの・・・。 イルミナーレ:・・・綺麗な宝石ですね。透明度のある緑色だ。 ケントニス:そうだね~。これはーーー、 ガタエナ:ウルリアンナイト。 ケントニス:・・・さすが。知っていましたか。 ガタエナ:当然。なかなか希少価値のある宝石だということも。それが・・・モスクリーナ帝国原産だということも。 フローテル:ッ?! イルミナーレ:ということは・・・。 ケントニス:ウルリアンナイトは、マギアを溜め込み、緑色に輝く。この緑色の輝きからして、凄い量だ。 フローテル:・・・モスクリーナ帝国の・・・差し金・・・? リズマード:ウルリアンナイトを埋め込むことで、魔獣を操り暴走させた、ということですか? ガタエナ:ま、そういうことになるね。 フローテル:・・・許すまじ・・・帝国・・・っ!! リズマード:・・・なるほど。そうなると、ただ対人関係というわけでもない、ということですね。 ケントニス:さあ、どうする〜?リズマード中将? リズマード:・・・・・一度国に持ち帰り、話をさせてください。数日中には結果を報告します。 ケントニス:お硬いね〜。ま、慎重なのはいいけど〜。 フローテル:では、後はヴァルサの大将を待つのみですね。 ガタエナ:そうでも無さそうだね。 イルミナーレ:・・・ですね。 フローテル:え?ん?何か飛んできて・・・うわぁっ!! リズマード:・・・これは・・・矢文の類ですか? イルミナーレ:それにしては、随分と大きな矢文ですね。 ケントニス:これは・・・魔獣の角だね。そこに・・・ふふっ、血で文字を書いたのか。 イルミナーレ:相変わらず、野蛮というか・・・なんというか・・・。 リズマード:で?何と書かれてるんですか? ガタエナ:・・・『参戦に、協力する』と。 ケントニス:アハハハ〜地獄耳〜。 イルミナーレ:・・・少々変わった形ですが・・・大筋で合意、ですね。 ガタエナ:そうだね。後に、正式承認といこう。リズマード将、良き返答を、待っていますよ。 リズマード:・・・あなた方にとって、良い返答になればよいですが・・・。 0:――――――――――― ガタエナ:この後、会合にヴァルサ軍の大将、ドゥラスが合流。これにより、アデルタ共和国、アルブール共和国、ローム皇国、ヴァルサ帝国の4カ国が同盟を結び、侵略を続けるモスクリーナ帝国に対抗すべく、連合軍が誕生した。 リズマード:そんな中、リスブノ皇国は保守的な立場を崩さず、この会合では調印しなかった。リスブノ皇国にとって、この出来事が、後の大きな試練へと発展する。 フローテル:そして、時を同じくして、モスクリーナ帝国も、大将格の兵達が集結しようとしていた。次回、地平線物語(フィニエンス ヒストリア)第2話〜圧倒〜 フローテル:物語は続く。誰も知らない、地平線の、その先へーーー。