台本概要
410 views
タイトル | くじらのさざ波 |
---|---|
作者名 | めぶき (@mebuki_motobe) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(男1、女1、不問1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
「くじらのさざ波」、そこは、何か悩みを抱えた者が訪れる秘密の酒場。常連の女性が相変わらず店でママに話を聞いてもらっていた。そして、そこに新しい客が訪れて… ※ご連絡は、ご利用後の事後報告でもかまいません。 410 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ママ | 不問 | 49 | 知っている人だけが訪れる酒場のママ。経験豊かで、店に訪れる子の背中を押してあげている。一人称は「あたし」 |
明日香 |
女 ![]() |
40 | 「くじらのさざ波」の常連客。仕事に追われ、彼氏なしで過ごしてきた。お酒は強くないので、ママがお酒を選んで出している。一人称は「私」 |
友晴 |
男 ![]() |
37 | 路地裏にある「くじらのさざ波」の看板を偶然みつけ、お店に立ち寄る。酒に強く、酔いつぶれることはない。一人称は「俺」 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ママ:(M)それは、不思議な一夜の物語…
明日香:ねぇ、ママ〜。私の話、ちゃんと聞いてるぅ〜?
ママ:聞いてるわよ。そろそろお酒も限界でしょ。何回も同じ話をしてるんだから。新しいお話、聞かせなさいよ
明日香:だって、毎日、仕事ばっかりなんだもん。上司に恵まれず、彼氏もいない私の話、聞いてよぉ
ママ:はいはい。わかったから。もう、何度でも話しなさい。あたしがちゃんと聞いてるから。まったくこの子は本当に。少し、お酒を弱くするわよ?
明日香:まだ大丈夫だもん。明日、仕事はお休みだもん
ママ:そういうことじゃないの。とにかく、お茶を飲みなさい。あたしがご馳走してあげるから
明日香:だったら、フルーツちょうだい。甘いもの、食べたい
ママ:贅沢な子ね。イチゴとパイナップルでいいわね?
明日香:うん。ありがとう、ママ。なんか、ちょっと眠くなってきた…
ママ:ほら、やっぱり飲みすぎ。少し大人しくして、酔いが軽くなったら、しっかり帰るのよ?はしご酒はしないで、まっすぐ家に帰りなさい
明日香:はぁ〜い。ん〜…
ママ:こら、ここで寝ないの。しっかりなさい
明日香:でも、眠い…
ママ:ほら、おしぼり。化粧が落ちようがなんだろうが、顔をおふきなさい
明日香:やだ…お行儀が悪いもん…
ママ:わかってるなら、お酒はストップ
明日香:はぁ〜い…
0:扉が開き、客が訪れる
友晴:こんばんは。初めてなんですけど、いいですか?
ママ:あら、いらっしゃい。珍しいわね、新顔さん。好きな席にどうぞ…って言っても、カウンターしか無いけどね。何を飲むのかしら?
友晴:ありがとうございます。生、もらえますか?つまみはナッツで
ママ:生ね。ちょっと待ってね。あなた、初めてだけど、よくこの店を見つけたわね
友晴:ちょっと気まぐれで路地裏に入ったら、店の看板を見つけて。お店の名前が素敵だったんで、気になったんです
ママ:あら、ありがとう。はい、生とナッツ。どうぞ
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、フルーツ〜
ママ:わかった、わかった。ちょっと待ってなさい。まったく。テーブルに突っ伏して今にも寝そうなのに、手のやける子ね
友晴:あの…失礼ですけど、彼女、大丈夫ですか…?
ママ:この子はいつもこんな感じ。彼氏いない〜、上司が嫌な人だ〜って、たまに来ては飲んでいくの。お酒も強くないから、あたしが話を聞いてるのよ
明日香:ママ〜、個人情報、話しちゃダメ〜…
ママ:あらあら、聞いてたのね
友晴:あ、俺こそ、すみません。初めてきたのに、不躾で
明日香:大丈夫〜。私、いつもこんなんだから〜
友晴:初めまして。俺、友晴(ともはる)です
明日香:初めまして〜、明日香です〜…
友晴:眠そうですね
ママ:今日は、ちょっと飲みすぎちゃったわね
明日香:いいの〜明日、お休みだもん〜
ママ:言いたいことは伝わってるけど、言い方が大丈夫じゃないのよ(笑)
友晴:明日香さんは、このお店の常連さんなんですか?
ママ:そうよ。もう、3年くらいになるかしら
明日香:その頃から、彼氏ほし〜とか上司が嫌い〜とか言ってるの〜
友晴:そうなんですね。お仕事、大変ですね
ママ:この子、広告代理店に務めてるの。だから、毎日が慌ただしくて、彼氏を見つける暇もないんですって
明日香:だから、ママ〜、個人情報〜
ママ:そうね。明日香は大変なお仕事についてて、守秘義務とかいろいろあるもんね。ごめんごめん
明日香:まぁ、いいんだけど〜…ママ、ジャスミン茶飲みたい
ママ:はいはい。ちょっと待ってね…
友晴:明日香さんは、お酒は弱いんですか?
明日香:飲むのは好きだけど、あんまり量は飲めないかも〜
ママ:はい、明日香。ジャスミン茶よ。飲みなさい
明日香:ありがと、ママ〜。で、友晴さん?だっけ?
友晴:そうですよ
明日香:友晴さんは、どのくらい飲めるの?
友晴:俺はザルですね。ちゃんぽんしても、案外ケロッとしてます。酔いつぶれたことは、ほとんどないですね
ママ:あら、凄い。友晴さん、食事は?何か作りましょうか?
友晴:あ、俺、飲み始めると食べなくなる派なんですよ
ママ:あら。それで酔いつぶれないのも凄いわね。でも、良かったらウチのお勧めのおつまみ、出してあげる。ちょっと待ってなさい…
友晴:ありがとうございます。あと、ウーロンハイ、もらえますか?
ママ:ウーロンハイね。じゃあ、先にお酒を出しておくわ。はい、どうぞ
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、なめろう、食べたい〜
ママ:この子は、本当に。ウチのお勧めメニューをバラしちゃって。それと、ジャスミン茶に、なめろうは合わないでしょ(笑)
明日香:じゃあ、ハタハタ〜…
ママ:なんでこの子は、味の濃いおつまみばかり欲しがるのかね。順番に出してあげるから、待ってなさい
友晴:明日香さん、かわいいですね
明日香:私はかわいくない〜。かわいかったら、彼氏できてるもん〜
ママ:また、駄々をこねて。はい、友晴さんには、なめろう。明日香、ハタハタよ
明日香:私も、なめろう〜
ママ:だから、ジャスミン茶に、なめろうは合わないから(笑)
友晴:美味しいですね、このなめろう。ママさんが作ったんですか?
ママ:そうよ。ウチのおつまみは全部あたしが作ってるの
友晴:素敵ですね。なめろうが美味しくて、日本酒が欲しくなりました
ママ:日本酒、あるわよ。利き酒する?
友晴:はい。ぜひ
ママ:じゃあ、「十四代」と「陽乃鳥」と「而今」をどうぞ
友晴:どれも、人気の高いお酒ですね。いただきます
ママ:どうぞ。…で、友晴さんは、なぜこの店に入ってきてくれたのかしら?
友晴:え?だから、路地裏を歩いてたら店の看板を見つけて…
ママ:この店はね、何か悩みのある人だけがたどり着く不思議な酒場なの。何かあるんでしょ?
友晴:…そうですね。実は、俺、今の職場を辞めて、自分で会社を立ち上げようかと悩んでるんです。デザイナーなんですけど、今の場所では、俺のやりたいことができなくて
ママ:そうなのね。それで、どちらを選ぶか悩んでいるのね
明日香:社畜にならなくて良いと思う〜。自分の力を発揮したいなら、苦労しても始めてみればいいよ〜
ママ:明日香、寝てたかと思ったら、しっかり話を聞いていたのね(笑)
明日香:ハタハタ、美味しい〜
ママ:あらやだ。やっぱり酔ってるわ。話が噛み合わない
友晴:でも、いいアドバイスでしたよね。自分の力を信じてって
ママ:そうね
友晴:…確か、明日香さんて広告代理店でしたよね
明日香:そうだよ〜。もう、会社、辞めたいけど〜
友晴:それでしたら、俺と一緒に会社、立ち上げませんか?俺はデザイナーとして集中できるし、明日香さんには、広告代理店のスキルを活かして、俺の作品の売り込みをお願いしたいです
明日香:は?(一気に目が覚める)
ママ:あら、それ素敵じゃない
明日香:いや、言うのは簡単だけど、デザイナーの売り込みって、素人分野なんだけど?
友晴:大丈夫です。今すぐ仕事を辞めるわけじゃないし、これから1ヶ月から2ヶ月くらい水面下で準備して、会社を立ち上げましょう。税理士とか、その辺はまた打ち合わせが必要ですけど
ママ:明日香、やってみな。話を聞く限り、友晴さんは信頼できると思うわよ
明日香:そう?で、友晴さんは、何のデザイナーをしてるの?
友晴:ウェディングドレスです
ママ:あら、素敵。女性が夢見るお話じゃない
友晴:良かったら、明日香さんのウェディングドレスもデザインしてみたい
明日香:だから、私には彼氏がいないの!友晴さん、ケンカ売ってる?
友晴:売ってないですよ。俺の隣でウェディングドレスを着てください
明日香:はぁ??
ママ:また、この子も突然な子ね(笑)
友晴:たぶん、このお店に俺が来たのも、何かの縁なんだと思います。そして、そこにフリーの明日香さんがいらして、仕事を一緒にできるかもしれない。それって、偶然じゃなくて必然なんです
明日香:あの〜、ひとりで先に走っていかないで〜。初めて会ったのに「ウェディングドレスを着て隣にいて」って、もはや秒速のプロポーズなんですけど〜?
友晴:おかしいですか?
明日香:おかしいです!充分!!
ママ:でも、一緒に会社を立てるなら、明日香も今の会社を辞められるでしょう?
明日香:そこは嬉しい…でも、ウェディングドレスの売り込み…
友晴:俺の人脈をすべて明日香さんにお伝えするので、代理店で得たスキルでさらに広げてください。よろしくお願いします
ママ:明日香、いい話よ
明日香:ん〜…わかった!友晴さんのお仕事のサポート、させていただきます!でも、ウェディングドレスで隣には、まだ先の話で…
友晴:わかってます。でも、ママさんが薦めてくださっているのは、仕事の件だけじゃないですよ
ママ:明日香、仕事が落ち着いたら、本格的に友晴さんとのことを考えてみたら?焦らなくていいと思うわよ。まずは、仕事のパートナーとして、友晴さんの仕事を成功させましょうね
明日香:ママがそう言うなら…
ママ:はい、いい子。じゃあ、今日のお酒は、あたしがご馳走してあげるわ。ふたりが実際にお付き合いするのかは、これから先の話ですからね
友晴:わかってます。明日香さん。よろしくお願いします
明日香:はい
ママ:じゃあ、ワインでも開けましょうか。友晴さんはちゃんぽんになるけど、さっき、大丈夫って言っていたしね
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、ありがとう!
ママ:じゃあ、ふたりの門出を祝って、乾杯
友晴:いただきます
明日香:カンパーイ!
ママ:(M)またいつでも、あたしのお店にいらっしゃい。何でも話、聞いてあげるから。この「くじらのさざ波」は、いつでもゆったりした時間を過ごせるように、あなた達を待っているわ。今日も、ご来店、ありがとう。そして、また、会いましょうね。いつでも、あなたを待っているわよ
ママ:(M)それは、不思議な一夜の物語…
明日香:ねぇ、ママ〜。私の話、ちゃんと聞いてるぅ〜?
ママ:聞いてるわよ。そろそろお酒も限界でしょ。何回も同じ話をしてるんだから。新しいお話、聞かせなさいよ
明日香:だって、毎日、仕事ばっかりなんだもん。上司に恵まれず、彼氏もいない私の話、聞いてよぉ
ママ:はいはい。わかったから。もう、何度でも話しなさい。あたしがちゃんと聞いてるから。まったくこの子は本当に。少し、お酒を弱くするわよ?
明日香:まだ大丈夫だもん。明日、仕事はお休みだもん
ママ:そういうことじゃないの。とにかく、お茶を飲みなさい。あたしがご馳走してあげるから
明日香:だったら、フルーツちょうだい。甘いもの、食べたい
ママ:贅沢な子ね。イチゴとパイナップルでいいわね?
明日香:うん。ありがとう、ママ。なんか、ちょっと眠くなってきた…
ママ:ほら、やっぱり飲みすぎ。少し大人しくして、酔いが軽くなったら、しっかり帰るのよ?はしご酒はしないで、まっすぐ家に帰りなさい
明日香:はぁ〜い。ん〜…
ママ:こら、ここで寝ないの。しっかりなさい
明日香:でも、眠い…
ママ:ほら、おしぼり。化粧が落ちようがなんだろうが、顔をおふきなさい
明日香:やだ…お行儀が悪いもん…
ママ:わかってるなら、お酒はストップ
明日香:はぁ〜い…
0:扉が開き、客が訪れる
友晴:こんばんは。初めてなんですけど、いいですか?
ママ:あら、いらっしゃい。珍しいわね、新顔さん。好きな席にどうぞ…って言っても、カウンターしか無いけどね。何を飲むのかしら?
友晴:ありがとうございます。生、もらえますか?つまみはナッツで
ママ:生ね。ちょっと待ってね。あなた、初めてだけど、よくこの店を見つけたわね
友晴:ちょっと気まぐれで路地裏に入ったら、店の看板を見つけて。お店の名前が素敵だったんで、気になったんです
ママ:あら、ありがとう。はい、生とナッツ。どうぞ
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、フルーツ〜
ママ:わかった、わかった。ちょっと待ってなさい。まったく。テーブルに突っ伏して今にも寝そうなのに、手のやける子ね
友晴:あの…失礼ですけど、彼女、大丈夫ですか…?
ママ:この子はいつもこんな感じ。彼氏いない〜、上司が嫌な人だ〜って、たまに来ては飲んでいくの。お酒も強くないから、あたしが話を聞いてるのよ
明日香:ママ〜、個人情報、話しちゃダメ〜…
ママ:あらあら、聞いてたのね
友晴:あ、俺こそ、すみません。初めてきたのに、不躾で
明日香:大丈夫〜。私、いつもこんなんだから〜
友晴:初めまして。俺、友晴(ともはる)です
明日香:初めまして〜、明日香です〜…
友晴:眠そうですね
ママ:今日は、ちょっと飲みすぎちゃったわね
明日香:いいの〜明日、お休みだもん〜
ママ:言いたいことは伝わってるけど、言い方が大丈夫じゃないのよ(笑)
友晴:明日香さんは、このお店の常連さんなんですか?
ママ:そうよ。もう、3年くらいになるかしら
明日香:その頃から、彼氏ほし〜とか上司が嫌い〜とか言ってるの〜
友晴:そうなんですね。お仕事、大変ですね
ママ:この子、広告代理店に務めてるの。だから、毎日が慌ただしくて、彼氏を見つける暇もないんですって
明日香:だから、ママ〜、個人情報〜
ママ:そうね。明日香は大変なお仕事についてて、守秘義務とかいろいろあるもんね。ごめんごめん
明日香:まぁ、いいんだけど〜…ママ、ジャスミン茶飲みたい
ママ:はいはい。ちょっと待ってね…
友晴:明日香さんは、お酒は弱いんですか?
明日香:飲むのは好きだけど、あんまり量は飲めないかも〜
ママ:はい、明日香。ジャスミン茶よ。飲みなさい
明日香:ありがと、ママ〜。で、友晴さん?だっけ?
友晴:そうですよ
明日香:友晴さんは、どのくらい飲めるの?
友晴:俺はザルですね。ちゃんぽんしても、案外ケロッとしてます。酔いつぶれたことは、ほとんどないですね
ママ:あら、凄い。友晴さん、食事は?何か作りましょうか?
友晴:あ、俺、飲み始めると食べなくなる派なんですよ
ママ:あら。それで酔いつぶれないのも凄いわね。でも、良かったらウチのお勧めのおつまみ、出してあげる。ちょっと待ってなさい…
友晴:ありがとうございます。あと、ウーロンハイ、もらえますか?
ママ:ウーロンハイね。じゃあ、先にお酒を出しておくわ。はい、どうぞ
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、なめろう、食べたい〜
ママ:この子は、本当に。ウチのお勧めメニューをバラしちゃって。それと、ジャスミン茶に、なめろうは合わないでしょ(笑)
明日香:じゃあ、ハタハタ〜…
ママ:なんでこの子は、味の濃いおつまみばかり欲しがるのかね。順番に出してあげるから、待ってなさい
友晴:明日香さん、かわいいですね
明日香:私はかわいくない〜。かわいかったら、彼氏できてるもん〜
ママ:また、駄々をこねて。はい、友晴さんには、なめろう。明日香、ハタハタよ
明日香:私も、なめろう〜
ママ:だから、ジャスミン茶に、なめろうは合わないから(笑)
友晴:美味しいですね、このなめろう。ママさんが作ったんですか?
ママ:そうよ。ウチのおつまみは全部あたしが作ってるの
友晴:素敵ですね。なめろうが美味しくて、日本酒が欲しくなりました
ママ:日本酒、あるわよ。利き酒する?
友晴:はい。ぜひ
ママ:じゃあ、「十四代」と「陽乃鳥」と「而今」をどうぞ
友晴:どれも、人気の高いお酒ですね。いただきます
ママ:どうぞ。…で、友晴さんは、なぜこの店に入ってきてくれたのかしら?
友晴:え?だから、路地裏を歩いてたら店の看板を見つけて…
ママ:この店はね、何か悩みのある人だけがたどり着く不思議な酒場なの。何かあるんでしょ?
友晴:…そうですね。実は、俺、今の職場を辞めて、自分で会社を立ち上げようかと悩んでるんです。デザイナーなんですけど、今の場所では、俺のやりたいことができなくて
ママ:そうなのね。それで、どちらを選ぶか悩んでいるのね
明日香:社畜にならなくて良いと思う〜。自分の力を発揮したいなら、苦労しても始めてみればいいよ〜
ママ:明日香、寝てたかと思ったら、しっかり話を聞いていたのね(笑)
明日香:ハタハタ、美味しい〜
ママ:あらやだ。やっぱり酔ってるわ。話が噛み合わない
友晴:でも、いいアドバイスでしたよね。自分の力を信じてって
ママ:そうね
友晴:…確か、明日香さんて広告代理店でしたよね
明日香:そうだよ〜。もう、会社、辞めたいけど〜
友晴:それでしたら、俺と一緒に会社、立ち上げませんか?俺はデザイナーとして集中できるし、明日香さんには、広告代理店のスキルを活かして、俺の作品の売り込みをお願いしたいです
明日香:は?(一気に目が覚める)
ママ:あら、それ素敵じゃない
明日香:いや、言うのは簡単だけど、デザイナーの売り込みって、素人分野なんだけど?
友晴:大丈夫です。今すぐ仕事を辞めるわけじゃないし、これから1ヶ月から2ヶ月くらい水面下で準備して、会社を立ち上げましょう。税理士とか、その辺はまた打ち合わせが必要ですけど
ママ:明日香、やってみな。話を聞く限り、友晴さんは信頼できると思うわよ
明日香:そう?で、友晴さんは、何のデザイナーをしてるの?
友晴:ウェディングドレスです
ママ:あら、素敵。女性が夢見るお話じゃない
友晴:良かったら、明日香さんのウェディングドレスもデザインしてみたい
明日香:だから、私には彼氏がいないの!友晴さん、ケンカ売ってる?
友晴:売ってないですよ。俺の隣でウェディングドレスを着てください
明日香:はぁ??
ママ:また、この子も突然な子ね(笑)
友晴:たぶん、このお店に俺が来たのも、何かの縁なんだと思います。そして、そこにフリーの明日香さんがいらして、仕事を一緒にできるかもしれない。それって、偶然じゃなくて必然なんです
明日香:あの〜、ひとりで先に走っていかないで〜。初めて会ったのに「ウェディングドレスを着て隣にいて」って、もはや秒速のプロポーズなんですけど〜?
友晴:おかしいですか?
明日香:おかしいです!充分!!
ママ:でも、一緒に会社を立てるなら、明日香も今の会社を辞められるでしょう?
明日香:そこは嬉しい…でも、ウェディングドレスの売り込み…
友晴:俺の人脈をすべて明日香さんにお伝えするので、代理店で得たスキルでさらに広げてください。よろしくお願いします
ママ:明日香、いい話よ
明日香:ん〜…わかった!友晴さんのお仕事のサポート、させていただきます!でも、ウェディングドレスで隣には、まだ先の話で…
友晴:わかってます。でも、ママさんが薦めてくださっているのは、仕事の件だけじゃないですよ
ママ:明日香、仕事が落ち着いたら、本格的に友晴さんとのことを考えてみたら?焦らなくていいと思うわよ。まずは、仕事のパートナーとして、友晴さんの仕事を成功させましょうね
明日香:ママがそう言うなら…
ママ:はい、いい子。じゃあ、今日のお酒は、あたしがご馳走してあげるわ。ふたりが実際にお付き合いするのかは、これから先の話ですからね
友晴:わかってます。明日香さん。よろしくお願いします
明日香:はい
ママ:じゃあ、ワインでも開けましょうか。友晴さんはちゃんぽんになるけど、さっき、大丈夫って言っていたしね
友晴:ありがとうございます
明日香:ママ〜、ありがとう!
ママ:じゃあ、ふたりの門出を祝って、乾杯
友晴:いただきます
明日香:カンパーイ!
ママ:(M)またいつでも、あたしのお店にいらっしゃい。何でも話、聞いてあげるから。この「くじらのさざ波」は、いつでもゆったりした時間を過ごせるように、あなた達を待っているわ。今日も、ご来店、ありがとう。そして、また、会いましょうね。いつでも、あなたを待っているわよ