台本概要
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タイトル | この気持ちを伝えるのが愛ならば |
---|---|
作者名 | めぶき (@mebuki_motobe) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(女2、不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
ある日、何者かに夢の中で「愛の言葉を封じる」と言われた春香。起きてみると、使えない言葉がいくつかあって、不便な会話を強いられる。理解者のサクラが春香をサポートしながら、その謎の声の主は消えていった…。 ※ご連絡は、ご利用後の事後報告でもかまいません。 393 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
春香 |
女 ![]() |
50 | 芯が通っていて、人との繋がりを大切にしている女性。一人称は「春」 |
サクラ |
女 ![]() |
34 | 春香の理解者。春香との時間を大切にしながら、毎日を過ごしている。一人称は「私」 |
語り人 | 不問 | 19 | 謎の声の主。春香へ淡々と話しかける |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
春香:ん…ここなに?自分で、夢だと分かっているのに起きられない…ここ、鍾乳洞みたいで、ヒンヤリしてるけど…
語り人:「愛とは、どこにあるものだ?」
春香:え?どこから声が…?
語り人:「おまえの頭脳に直接響かせている。先に進めろ」
春香:愛…それは、それぞれの人の心にあります
語り人:「では、愛を与えるということは、何を意味している?」
春香:相手を慈しみ、思いやり、穏やかに過ごします
語り人:「おまえは、何かを分け与え、愛を降り注ぎ、相手の身になって行動ができるか?」
春香:春は、そんなに立派な人ではありません。みなさんからたくさんの愛をいただいて、私はみなさんに笑顔になれる時間をプレゼントして、楽しんでもらっています。みなさんからの愛情を受け、私はここまで来ることができました
語り人:「では、おまえに試練を与えよう」
春香:試練…?
語り人:「おまえから《みんなへの愛という感情》を、一時的に封印する」
春香:そんな!困ります!
語り人:「今からおまえは、愛の言葉を使うことができん」
春香:なぜそんなことをするのですか…?私はなぜ、そんな試練を受けなければいけないのでしょうか?
語り人:「それは、おまえがどれだけの人に愛されているのか試すためだ」
春香:人の愛を試すことこそ、不穏なことではないですか?
語り人:「…時(とき)は動き始めた。愛の言葉を取り戻せるとき、おまえは更に愛を大切にするだろう」
春香:待って!一方的です!
語り人:「さぁ、行け。もう、ここは不要だ…」
春香:待って!
語り人:「……」
春香:声が聞こえなくなってしまった…愛の言葉が使えない?…どういうこと…?
0:数日が過ぎ、春香のカフェにサクラが訪れる
サクラ:春香さん、こんにちは。今日も来ちゃいました
春香:あぁ、サクラちゃん。いらっしゃい。今日も元気だね。何、飲む?
サクラ:オレンジジュースください。元気ですよ!春香さんも、元気ですか?
春香:元気だよ!ただ、ちょっとこの前、不思議なことがあったんだよね
サクラ:不思議なこと?
春香:うん。なんか、夢なのに妙にリアリティがあってね
サクラ:どうしたんですか?
春香:「愛の言葉を使えない」って言われて、起きてもそれが鮮明にイメージに残ってるの
サクラ:そうなんですね…「愛の言葉」って、具体的になんですか?
春香:わらかない。ただ「好…」あれ?言葉にできない
サクラ:「す」?
春香:ごめんね、言葉がでてこない。ちょっと待ってね。試しにもうひと言…「大好…」あれ?
サクラ:「だいす」?
春香:サクラちゃんは、春のこと、好…ダメだ。単語が言えない
サクラ:「す」ってなんですか?
春香:伝えたいのに、単語が言えないの
サクラ:あ、もしかして、「好き」とか「大好き」ですか?
春香:そうそう!
サクラ:逆の言葉は言えますか?「嫌い」とか
春香:「嫌い」…あ、言えた
サクラ:どうしちゃったんでしょう?
春香:変な夢を見てから言えなくて…
サクラ:何をすれば、元に戻るんですか?
春香:わからないの。ただ夢で《みんなへの愛の感情を封印する》って言われて、目が覚めたら言えなくなったの
サクラ:そうなんですね…でも、春香さんのことを好きな人はたくさんいるから、「いま、こんなことになってます」って言ったら伝わりますよ
春香:会う度に、一人ひとりに言ってたら大変だなぁ…
サクラ:私も手伝います!
春香:ありが…、サクラちゃん!優し…え?これもダメ?
サクラ:大丈夫です!「ありがとう」と「優しいね」ですね!
春香:そうそう!助かる!でも、不便だなぁ…
語り人:「順調の様子、なによりだ。理解者がいて、良かったなぁ」
春香:また、あの声!夢じゃなかったの?
サクラ:どうしたんですか?
春香:いま、夢で見た声が聞こえたの。サクラちゃんは聞こえない?
サクラ:私には聞こえないです
語り人:「春香。おまえにだけ波長を送っている。他の人には聞こえん」
春香:もう、春にしゃべりかけないで!じゃない!本当に、どうやったら元に戻るのか、教えて!
語り人:「相手からの愛情を感じれば、その内、元に戻る」
春香:私から気持ちを伝えるのが難しいのに、どうやって相手に気持ちを伝えられるの?
サクラ:あの、春香さん?
春香:あ、ごめんね、サクラちゃん。いま、声が聞こえて…なんか、私から気持ちを伝えなくても、相手から気持ちが届けば治るって言われた
サクラ:じゃあ、大丈夫ですよ!春香さんのお手伝い、私、しますから!
春香:サクラちゃん、ありが…、大好…!…はぁ、ボロボロだ…
サクラ:大丈夫です!私は春香さんのこと、大好きですから!
春香:ありが…ん〜、もう!サクラちゃん、よろしくね
サクラ:はい!
0:一週間後
春香:ん〜、一週間たってるのに、まだ使いこなせないな、愛の言葉を避けた言い方。でも、なんで愛の感情を伝えたら、いけないんだろう?みんな大せ…で、大好…、なのに。一人で考えるだけでも言葉が浮かんでこないと、焦れったいなぁ。好…と、大好…、がダメなら、愛し…も、もちろん言えない…なんで素直に好…って言ったらダメなの?
サクラ:春香さん!はい!最近、春香さんが落ち込んでるので、気分転換に、お花を買ってきました!紫のお花!
春香:あ〜、ありが…、サクラちゃん!紫の花、大好…!
サクラ:ん〜、まだダメなようですね
春香:本当に難関だよ、愛の言葉使用禁止の会話
語り人:「まだまだの様だな」
春香:また出てきた。今度は何?
語り人:「おまえに寄り添っている彼女は、おまえにとって素晴らしい人材だ」
春香:彼女をモノの様に言わないで。大せ…な子なんだから
サクラ:また、あの声ですか?
春香:うん
サクラ:「大せ…」は、「大切」ですか?
春香:そう
語り人:「ほら、愛の言葉を使わなくても、着々と気持ちが通じあっている」
春香:あ、本当だ…
サクラ:春香さん?
春香:春にとってサクラちゃんは、大せ…な人だって話をしてた
サクラ:「大切」…そうなんですか?
春香:うん。ありが…、サクラちゃん。サクラちゃんが居てくれたから、この一週間、頑張れた
サクラ:「ありがとう」ですね。なら、良かったです
語り人:「そろそろ、おまえを開放してやろう」
春香:当たり前でしょ。もうこんな茶番劇、やめて欲しい。人の心を試すなんて、愛じゃないからね
サクラ:でも、その気持ちを伝えるのは、愛ですよ、春香さん
春香:サクラちゃん…そうだね。好きも、大好きも、大切な言葉。言わなきゃ伝わらないね
サクラ:春香さん!言えてますよ、大切な言葉!
春香:あ、本当だ。ありがとう、サクラちゃん。今まで、春の傍(そば)にいてくれて、本当にありがとう…
サクラ:泣かないでください、春香さん。春香さんの気持ちが通じて、私は嬉しいです。私、本当に春香さんを応援してますから!
春香:ありがとう…サクラちゃん…大好きだよ…
サクラ:私も春香さんのこと、大好きです。ありがとうございます
語り人:「さて。これで終わりだ。もう会うことはあるまい。その気持ち、伝えるのは愛の言葉だ。それを忘れるな」
春香:…声が消えた…
サクラ:春香さん…?
春香:元通りだよ、サクラちゃん。…ううん。元通りじゃないね。一歩進んだ。これからも、よろしくね、サクラちゃん
サクラ:はい。よろしくお願いします
春香:ん…ここなに?自分で、夢だと分かっているのに起きられない…ここ、鍾乳洞みたいで、ヒンヤリしてるけど…
語り人:「愛とは、どこにあるものだ?」
春香:え?どこから声が…?
語り人:「おまえの頭脳に直接響かせている。先に進めろ」
春香:愛…それは、それぞれの人の心にあります
語り人:「では、愛を与えるということは、何を意味している?」
春香:相手を慈しみ、思いやり、穏やかに過ごします
語り人:「おまえは、何かを分け与え、愛を降り注ぎ、相手の身になって行動ができるか?」
春香:春は、そんなに立派な人ではありません。みなさんからたくさんの愛をいただいて、私はみなさんに笑顔になれる時間をプレゼントして、楽しんでもらっています。みなさんからの愛情を受け、私はここまで来ることができました
語り人:「では、おまえに試練を与えよう」
春香:試練…?
語り人:「おまえから《みんなへの愛という感情》を、一時的に封印する」
春香:そんな!困ります!
語り人:「今からおまえは、愛の言葉を使うことができん」
春香:なぜそんなことをするのですか…?私はなぜ、そんな試練を受けなければいけないのでしょうか?
語り人:「それは、おまえがどれだけの人に愛されているのか試すためだ」
春香:人の愛を試すことこそ、不穏なことではないですか?
語り人:「…時(とき)は動き始めた。愛の言葉を取り戻せるとき、おまえは更に愛を大切にするだろう」
春香:待って!一方的です!
語り人:「さぁ、行け。もう、ここは不要だ…」
春香:待って!
語り人:「……」
春香:声が聞こえなくなってしまった…愛の言葉が使えない?…どういうこと…?
0:数日が過ぎ、春香のカフェにサクラが訪れる
サクラ:春香さん、こんにちは。今日も来ちゃいました
春香:あぁ、サクラちゃん。いらっしゃい。今日も元気だね。何、飲む?
サクラ:オレンジジュースください。元気ですよ!春香さんも、元気ですか?
春香:元気だよ!ただ、ちょっとこの前、不思議なことがあったんだよね
サクラ:不思議なこと?
春香:うん。なんか、夢なのに妙にリアリティがあってね
サクラ:どうしたんですか?
春香:「愛の言葉を使えない」って言われて、起きてもそれが鮮明にイメージに残ってるの
サクラ:そうなんですね…「愛の言葉」って、具体的になんですか?
春香:わらかない。ただ「好…」あれ?言葉にできない
サクラ:「す」?
春香:ごめんね、言葉がでてこない。ちょっと待ってね。試しにもうひと言…「大好…」あれ?
サクラ:「だいす」?
春香:サクラちゃんは、春のこと、好…ダメだ。単語が言えない
サクラ:「す」ってなんですか?
春香:伝えたいのに、単語が言えないの
サクラ:あ、もしかして、「好き」とか「大好き」ですか?
春香:そうそう!
サクラ:逆の言葉は言えますか?「嫌い」とか
春香:「嫌い」…あ、言えた
サクラ:どうしちゃったんでしょう?
春香:変な夢を見てから言えなくて…
サクラ:何をすれば、元に戻るんですか?
春香:わからないの。ただ夢で《みんなへの愛の感情を封印する》って言われて、目が覚めたら言えなくなったの
サクラ:そうなんですね…でも、春香さんのことを好きな人はたくさんいるから、「いま、こんなことになってます」って言ったら伝わりますよ
春香:会う度に、一人ひとりに言ってたら大変だなぁ…
サクラ:私も手伝います!
春香:ありが…、サクラちゃん!優し…え?これもダメ?
サクラ:大丈夫です!「ありがとう」と「優しいね」ですね!
春香:そうそう!助かる!でも、不便だなぁ…
語り人:「順調の様子、なによりだ。理解者がいて、良かったなぁ」
春香:また、あの声!夢じゃなかったの?
サクラ:どうしたんですか?
春香:いま、夢で見た声が聞こえたの。サクラちゃんは聞こえない?
サクラ:私には聞こえないです
語り人:「春香。おまえにだけ波長を送っている。他の人には聞こえん」
春香:もう、春にしゃべりかけないで!じゃない!本当に、どうやったら元に戻るのか、教えて!
語り人:「相手からの愛情を感じれば、その内、元に戻る」
春香:私から気持ちを伝えるのが難しいのに、どうやって相手に気持ちを伝えられるの?
サクラ:あの、春香さん?
春香:あ、ごめんね、サクラちゃん。いま、声が聞こえて…なんか、私から気持ちを伝えなくても、相手から気持ちが届けば治るって言われた
サクラ:じゃあ、大丈夫ですよ!春香さんのお手伝い、私、しますから!
春香:サクラちゃん、ありが…、大好…!…はぁ、ボロボロだ…
サクラ:大丈夫です!私は春香さんのこと、大好きですから!
春香:ありが…ん〜、もう!サクラちゃん、よろしくね
サクラ:はい!
0:一週間後
春香:ん〜、一週間たってるのに、まだ使いこなせないな、愛の言葉を避けた言い方。でも、なんで愛の感情を伝えたら、いけないんだろう?みんな大せ…で、大好…、なのに。一人で考えるだけでも言葉が浮かんでこないと、焦れったいなぁ。好…と、大好…、がダメなら、愛し…も、もちろん言えない…なんで素直に好…って言ったらダメなの?
サクラ:春香さん!はい!最近、春香さんが落ち込んでるので、気分転換に、お花を買ってきました!紫のお花!
春香:あ〜、ありが…、サクラちゃん!紫の花、大好…!
サクラ:ん〜、まだダメなようですね
春香:本当に難関だよ、愛の言葉使用禁止の会話
語り人:「まだまだの様だな」
春香:また出てきた。今度は何?
語り人:「おまえに寄り添っている彼女は、おまえにとって素晴らしい人材だ」
春香:彼女をモノの様に言わないで。大せ…な子なんだから
サクラ:また、あの声ですか?
春香:うん
サクラ:「大せ…」は、「大切」ですか?
春香:そう
語り人:「ほら、愛の言葉を使わなくても、着々と気持ちが通じあっている」
春香:あ、本当だ…
サクラ:春香さん?
春香:春にとってサクラちゃんは、大せ…な人だって話をしてた
サクラ:「大切」…そうなんですか?
春香:うん。ありが…、サクラちゃん。サクラちゃんが居てくれたから、この一週間、頑張れた
サクラ:「ありがとう」ですね。なら、良かったです
語り人:「そろそろ、おまえを開放してやろう」
春香:当たり前でしょ。もうこんな茶番劇、やめて欲しい。人の心を試すなんて、愛じゃないからね
サクラ:でも、その気持ちを伝えるのは、愛ですよ、春香さん
春香:サクラちゃん…そうだね。好きも、大好きも、大切な言葉。言わなきゃ伝わらないね
サクラ:春香さん!言えてますよ、大切な言葉!
春香:あ、本当だ。ありがとう、サクラちゃん。今まで、春の傍(そば)にいてくれて、本当にありがとう…
サクラ:泣かないでください、春香さん。春香さんの気持ちが通じて、私は嬉しいです。私、本当に春香さんを応援してますから!
春香:ありがとう…サクラちゃん…大好きだよ…
サクラ:私も春香さんのこと、大好きです。ありがとうございます
語り人:「さて。これで終わりだ。もう会うことはあるまい。その気持ち、伝えるのは愛の言葉だ。それを忘れるな」
春香:…声が消えた…
サクラ:春香さん…?
春香:元通りだよ、サクラちゃん。…ううん。元通りじゃないね。一歩進んだ。これからも、よろしくね、サクラちゃん
サクラ:はい。よろしくお願いします