台本概要

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タイトル DISTOPIA BREAK:Second『再会』
作者名 NAOKI  (@NAOKI24480603)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(不問5)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 万和(ばんな)213年。一人の剣士がある力に目覚めた。
伸展と呼ばれるそれは、人でありながら人を超える大いなる力。
その力は解放される事で、更に強大な力を剣士に与えた。
伸展を扱える者は少し、また少しと増えていき、やがて人々は彼らを、尊敬と畏怖の念を込めて『伸展師(しんてんし)』と呼ぶようになる。
 
時を経て。伸展解放に次ぐ上位能力『終伸展(しゅうしんてん)』が現れた頃、世にひとつの組織が生まれた。
名を皇組(すめらぎぐみ)。
恐怖こそが誉れ。奪取の先にこそ、誠(まこと)の自由と正義が存在せしと謳う、紫魂(しこん)の夜叉。
彼らは次第に、持たざる者を支配し始めた。
相次ぐ悲惨な戦闘が頻発し、日夜いとも容易く命が失われていく。
そんな中、皇組(すめらぎぐみ)に立ち向かわんとする者たちが現れた。
名を榊組(さかきぐみ)。
正義の名の下に、希望を抱き、世を常闇(とこやみ)から掬いあげんとする、碧き使徒。
 
異なる思想を掲げた二つの組織は、選ばれし者にのみ許された唯一無二の技=『伸展(しんてん)』を振るい、今時代を動かし始める…。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
野矢(のうや) 不問 32 【男性想定】 二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 おちゃらけており一見不真面目だが、実力もある部下想いの男。 伸展・静空夜血約陣(しんてん・せいくうやけつやくじん)の解放者。
春屋(はるや) 不問 30 【女性想定】 二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 クールで真面目、そこそこ毒舌。目上の野矢にもがっつりつっこむ。 伸展・鷹眼千万(しんてん・たかめせんばん)の解放者。
雨点(うずき) 不問 29 【男性想定】 二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 物腰やわらかで落ち着いた男性。長い間、妹を探している。 伸展・鬼轟(しんてん・きごう)の解放者。
雪奈(せつな) 不問 46 【女性想定】 榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 歯に布を着せないが、どこか品のある女性。家族を恨んでいる。 伸展・代症剰也(しんてん・だいしょうあまつえ)の解放者。
田夜(でんや) 不問 41 【男性想定】 榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 粗雑だがひょうきん、勝気な姉を持つ。 ソリは合わないものの、兄を持つ雪奈を気にかけている。 伸展・一(しんてん・いちもんじ)の解放者。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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DISTOPIA BREAK:Second『再会』  :   :登場人物紹介(マーカー用) 野矢(のうや):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 野矢(のうや):おちゃらけており一見不真面目だが、実力もある部下想いの男。 野矢(のうや):伸展・静空夜血約陣(しんてん・せいくうやけつやくじん)の解放者。 春屋(はるや):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 春屋(はるや):クールで真面目、そこそこ毒舌。目上の野矢にもがっつりつっこむ。 春屋(はるや):伸展・鷹眼千万(しんてん・たかめせんばん)の解放者。 雨点(うずき):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 雨点(うずき):物腰やわらかで落ち着いた男性。長い間、妹を探している。 雨点(うずき):伸展・鬼轟(しんてん・きごう)の解放者。 雪奈(せつな):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 雪奈(せつな):歯に布を着せないが、どこか品のある女性。家族を恨んでいる。 雪奈(せつな):伸展・代症剰也(しんてん・だいしょうあまつえ)の解放者。 田夜(でんや):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 田夜(でんや):粗雑だがひょうきん、勝気な姉を持つ。 田夜(でんや):ソリは合わないものの、兄を持つ雪奈を気にかけている。 田夜(でんや):伸展・一(しんてん・いちもんじ)の解放者。  :   :  0:シナリオスタート  :   :【場面】榊組(さかきぐみ)拠点・中庭に面した一室  :  野矢(のうや):「ねぇねぇ、ハルヤちゃん。この間、男の人と歩いてただろ?」 春屋(はるや):「…はい?そういうの『セクハラ』って言うんですよ」 野矢(のうや):「えぇ!?ちょっと聞いただけじゃん!言いすぎだよ、言いすぎ!」 春屋(はるや):「うるさいですねぇ…私が誰と会っていようが、ノウヤさんには関係ないじゃないですか」 野矢(のうや):「あ、やっぱり会ってたんだ!ねぇ、あの人だぁれ~?」 春屋(はるや):「さぁ…誰でしょーねー?」 野矢(のうや):「もー、ハルヤちゃんてばケチだなー…って、あれ?それネックレス? 野矢(のうや):めっずらし!なになに?もしかして、彼氏!?」 春屋(はるや):「…はいはい、ちゃんと手を動かしてください。あんまりさぼってるとウカイちゃんに言いつけますよ?」 野矢(のうや):「いやいや!?ちゃんとやってるから!あの子口うるさいんだって!勘弁してよ…」 春屋(はるや):「なんてこと言うんですか。上司を気にかけてくれる、出来た後輩じゃないですか」 野矢(のうや):「それはそうだけどさぁ…聞いてよ!こないだなんかさぁ…」  :   :  雪奈(せつな):(タイトルコール) 雪奈(せつな):DISTOPIA BREAK Second『再会』 雪奈(せつな):(でぃすとぴあ ぶれいく せかんど『さいかい』)  :   :  野矢(のうや):「……ってことがあってさぁ~」 春屋(はるや):「それは完全にノウヤさんが悪いです。私はウカイちゃんの味方です」 野矢(のうや):「えぇー!?」 雨点(うずき):「こんにちは」 野矢(のうや):「お!ウズキ君じゃん、久しぶり~」 雨点(うずき):「ご無沙汰してますノウヤさん。何の話をしてたんです?」 野矢(のうや):「あっ、ウズキ君も聞いてよー!こないだウカイちゃんと一緒にね~?」 春屋(はるや):「(被せて)はいはい、無駄話してないで作業進めるー。 春屋(はるや):こんにちは、ウズキさん。お久しぶりです」 雨点(うずき):「ハルヤさんも、お久しぶりです。ここはいつもにぎやかでいいですね」 春屋(はるや):「ノウヤさんがお仕事をしてくれれば、ですけどねー。 春屋(はるや):ウズキさんからも、サボらない様に言ってくださいよ」 野矢(のうや):「あ、酷いなー。僕だってやる時はやるんですぅー。 野矢(のうや):それより…このお仕事、本当に僕がやること?僕なんかより適任がいっぱいいると思うんだけどな~?」 春屋(はるや):「何言ってるんですか。近隣の村々への定期報告書ですよ?ノウヤさんがやらないで、誰がやるって言うんです」 野矢(のうや):「ホウスイとか?」 春屋(はるや):「ホウスイさんはノウヤさんと違って忙しいんですから!無理に決まってるでしょう!」 雨点(うずき):「あはは、お二人は本当に仲が良い。羨ましいですね」 野矢(のうや):「そーお?じゃあウズキ君がハルヤちゃんと仲良しになれる様に、僕のお仕事をウズキ君にあげちゃおーかなー?」 雨点(うずき):「そうして頂けるのなら嬉しいのですが…残念ながら、ハルヤさんの言う通り、そのお仕事はノウヤさん以外には出来ないお仕事ですよ。 雨点(うずき):私は見たことがありませんが、ノウヤさんの伸展の力は凄まじいと聞きました。そんな実力者の貴方が告げる言葉だからこそ、人々は安心出来るのです」 野矢(のうや):「そんな事ないよ~。僕も頑張ってはいたけど、みんなの伸展には遠く及ばないかな~?」 雨点(うずき):「ご謙遜を。本当に力が無いのであれば、貴方が縁(えにし)であることは、どう説明するんです?」 野矢(のうや):「うーん、そんなに褒められると、僕照れちゃうなぁ」 春屋(はるや):「もう…ウズキさん、駄目ですよ?こうやって甘やかすから、お仕事をしなくなるんです、この人は…。 春屋(はるや):あ。ところでウズキさん、今日はどうしたんですか?」 雨点(うずき):「あぁ!そうでした。ノウヤさん、お仕事ですよ」 野矢(のうや):「えぇー?また?」 雨点(うずき):「ホウスイさんが新しい人を連れてきたそうです。新人教育を頼みたいそうですよ?」 春屋(はるや):「新人…てことは、伸展師(しんてんし)ですか?」 雨点(うずき):「ええ。なんでも皇組(すめらぎぐみ)に襲われていたところを、ホウスイさんが助けたんだとか…」 野矢(のうや):「本当にあいつは面倒なことしかしねぇなぁ!」 春屋(はるや):「そういうこと言ってると、また怒られますよ」 雨点(うずき):「ははは。…しかし、最近の皇組は随分と過激ですね…」 野矢(のうや):「そーだねぇ。前々から何かと騒ぎを起こしてはいたけど…。 野矢(のうや):今ほど激しくなったのは、神(かなえ)が崩壊してからかな~」 春屋(はるや):「神(かなえ)?」 野矢(のうや):「あぁ、ハルヤちゃんは知らないのか。 野矢(のうや):今でこそ皇組に階級は一つしか存在しないんだけどね?前はうちみたいに、もう一つ上の階級があったんだよ」 雨点(うずき):「うちでいう縁(えにし)が『神(かなえ)』、下位の椿(つばき)が『聖(ひじり)』ですね」 野矢(のうや):「そうそう。前はそれなりに神(かなえ)のやつらが、下位の聖(ひじり)を制御してたんだけどね? 野矢(のうや):神(かなえ)が崩壊してからやりたい放題みたいでさー。まぁ聖(ひじり)を殲滅しちゃえばいいかー、って話だったんだけど…」 雨点(うずき):「アマツ…ですね」 野矢(のうや):「うん、あいつは別格だ。神(かなえ)が復活するんじゃないかって言われてる」 春屋(はるや):「…最近の騒ぎはアマツのせい、ってことですか……」 野矢(のうや):「さぁね。あっちの動向が全てわかるわけじゃないからさ。 野矢(のうや):まぁでも、直にわかると思うよ。なんたって向こうにはうちの…」  :【SE】爆発音 雨点(うずき):「!? 何の音だ!?」  :  雪奈(せつな):「あぁ…面倒くさい。なんで私が、貴方の尻拭いに付き合わなくちゃいけないのかしら」 田夜(でんや):「しょうがないだろ?姉ちゃんは別件で、ナオエツさんの手伝いに行っちゃったんだから!」 雪奈(せつな):「マリさんの事はいいのよ。組む相手が貴方っていうのが不満なの」 田夜(でんや):「俺だって!姉ちゃんさえいれば、誰がお前なんかと組むかってーの!」 雪奈(せつな):「(溜め息)…ま、ここでそんな事言っててもラチが空かないですし。 雪奈(せつな):新しい伸展師(しんてんし)の排除でしたっけ?早く終わらせましょ」 田夜(でんや):「珍しく意見が合うじゃねぇか。 田夜(でんや):そーしよーぜ、俺も早く帰りて…っ(春屋をみて言葉をとめる)」  :  野矢(のうや):「(溜め息)…新人なんて増やすからこんなことに…」 雨点(うずき):「言ってる場合ですか!」 春屋(はるや):「(田夜をみて驚く)…っ!」 野矢(のうや):「ん?ハルヤちゃん、どうしたの?」 春屋(はるや):「あ…いえ、何も…」 野矢(のうや):「…もしかして、怖くなっちゃった?じゃあハルヤちゃんは、僕と一緒に下がってよーか。 野矢(のうや):代わりにウズキ君が戦かってくれるからさ~」 雨点(うずき):「なぜ、私だけが戦わないといけないんですか…」 野矢(のうや):「だって、ウズキ君の方が強いんだもんっ」 春屋(はるや):「…そう言えば私。ノウヤさんが戦ってるの、見た事ありません」 野矢(のうや):「僕、文系だから」  :  雪奈(せつな):「随分と余裕ですねぇ?」 田夜(でんや):「俺らなんか眼中にないってか?」 雪奈(せつな):「貴方たち程度に舐められてるのはとても遺憾(いかん)ですが…私たちの目的は別にありますので、こんなところで足踏みしている暇はないんですよ。 雪奈(せつな):デンヤ、さっさと終わらせてください」 田夜(でんや):「あ…あぁ…わかってるよ!おらぁ!!」 雨点(うずき):「っさせません!」 田夜(でんや):「おわっ!…あっぶな!?くそ!あいつ遠距離かよ、めんどくせぇ!」 雪奈(せつな):「あら、珍しいですね。加勢しましょうか?」 田夜(でんや):「いるかっつーの!これでもくらえ! 田夜(でんや):伸展解放 一! 田夜(でんや):(しんてんかいほう、いちもんじ)」 雨点(うずき):「くっ、速い…!」 春屋(はるや):「ウズキさん!」 雪奈(せつな):「早く帰りたいんで、邪魔しないでくれません? 雪奈(せつな):伸展解放 代症剰也 雪奈(せつな):(しんてんかいほう、だいしょうあまつえ)」 春屋(はるや):「させません! 春屋(はるや):伸展解放 鷹眼千万! 春屋(はるや):(しんてんかいほう、たかめせんばん)」 野矢(のうや):「二人ともかっこいいねぇ」 春屋(はるや):「文系は黙っててください!」 野矢(のうや):「…理系にしとけば良かったかなぁ?」  :  田夜(でんや):「おらおらぁ!どーした!?当ててみろよぉ!」 雨点(うずき):「言われなくても! 雨点(うずき):伸展解放 鬼轟! 雨点(うずき):(しんてんかいほう、きごう)」 田夜(でんや):「ちっ!こんな…もん!」 0:田夜、雨点の放った伸展を弾き飛ばす。 雪奈(せつな):「きゃっ…、ちょっと!こっちに弾かないでくれる!?」 田夜(でんや):「あん?当たっちまった?わりぃわりぃ!」 雪奈(せつな):「おかげで服が破れたじゃない!帰ったらマリさんに言いつけてやるんだから!」 田夜(でんや):「んなっ!おい、セツナ!姉ちゃんは関係ねぇだろ!?」 0:『雪奈』という呼び名に雨点、反応する。 雨点(うずき):「…セツナ?」 雪奈(せつな):「…何?気安く呼ばないで」 春屋(はるや):「ウズキさん?」 雨点(うずき):「(セツナをまじまじと見つめた後)…っ!その痣(あざ)…っ!」 雪奈(せつな):「だからなんなの?馴れ馴れしくしないで」 雨点(うずき):「お前…セツナなのか?」 春屋(はるや):「セツナって…ウズキさんの妹さんの、ですか?」 雪奈(せつな):「は?」 春屋(はるや):「小さい頃に生き別れた妹がいるって…。名前はセツナ、左腕に雪の結晶のような痣があるって…」 田夜(でんや):「嘘だろ?お前の兄ちゃんなの?」 雪奈(せつな):「私の…お兄、ちゃん…?」 雨点(うずき):「っセツナ!良かった、生きてたんだな!」 雪奈(せつな):「っ!…だから、何?」 雨点(うずき):「…セツナ…?」 雪奈(せつな):「気安く呼ばないでっていってるでしょ!?」 田夜(でんや):「はぁっ!?」 雪奈(せつな):「あんたが私のお兄ちゃん?だから何よ! 雪奈(せつな):父さんも、母さんも…あんただって!私の事を捨てたくせに!!」 春屋(はるや):「え…?」 雪奈(せつな):「知らない人に預けられて!邪魔者にされて!毎日が怖くて、辛くて、ずっと孤独だった…。 雪奈(せつな):あんた達は三人一緒だったのに!私だけ除け者にして!!」 雨点(うずき):「それは違うっ!あの頃は多くの戦いが激化して、私たちはいつ巻き込まれてもおかしくなかった! 雨点(うずき):せめてお前だけでも助かって欲しくて、私たちはあまり戦闘の行われていない地域へ避難させることに決めたんだ!」 雪奈(せつな):「だったら!!なんで迎えにきてくれなかったのよ!? 雪奈(せつな):あんたたちの言葉を信じてた…。またいつか、みんなで暮らせるんだって…。 雪奈(せつな):ハッ…馬鹿みたい。結局、あんた達は迎えに来なかった!!!」 雨点(うずき):「行ったさ!戦いが長引いてみんな散り散りになって…! 雨点(うずき):それでも、やっとお前を迎えに行ける…また一緒に暮らせるんだって!! 雨点(うずき):でもっ…お前はもうそこに、いなかった…」 雪奈(せつな):「…嘘よ…知らない…知らない!私はそんなの信じない!」 田夜(でんや):「! おい!落ち着け!」 雪奈(せつな):「だって!あの人が言ってたもの!!あんた達はいつも一緒だって! 雪奈(せつな):私を捨てて、まるで最初からいなかったみたいに…三人で幸せに暮らしてるって!! 雪奈(せつな):  雪奈(せつな):伸展解放! 代症剰也っ!! 雪奈(せつな):(しんてんかいほう、だいしょうあまつえ)」 春屋(はるや):「ウズキさん!!避けて!」  :  野矢(のうや):「は~い、そこまでにしようね~」 0:雪奈がむしゃらに打ち出した伸展を、野矢が素手で受け止める。 雪奈(せつな):「なに!?」 田夜(でんや):「は?」 雨点(うずき):「ノウヤ…さん…」 野矢(のうや):「僕は事情に詳しいわけじゃないからさ、お節介かも知れないけど。 野矢(のうや):…一回、ちゃんと話し合ったら?」 雪奈(せつな):「くっ!…うるさい…うるさいうるさい!!私はっ、私はあああ!」 田夜(でんや):「っおい!!落ち着けセツナ!伸展もなしに止められてんだぞ! 田夜(でんや):あいつはヤバイ!一旦引こう!!」 雨点(うずき):「っ待て!セツナと話を…!」 春屋(はるや):「(食い気味に)ウズキさん!…今の様子じゃ、きっと無理です…」 雨点(うずき):「…っ、くそ!!」 田夜(でんや):「今日は引かせてもらう…追うなよ」 春屋(はるや):「…わかっています」 田夜(でんや):「行くぞ、セツナ!」 雪奈(せつな):「っ…!絶対殺す!殺してやるからなああああああ!」  :   :【時間経過】皇組拠点・外れ  :  田夜(でんや):「…よぉ、少しは落ち着いたか?」 雪奈(せつな):「……えぇ。悪かったわね、取り乱したりして…」 田夜(でんや):「別に気にしてねぇよ。ただあの状況で、あいつに突っ込むのはやべぇと思ったからさ。 田夜(でんや):伸展を素手で止めるとか、聞いたことねぇ…。アマツさんもやべぇけど…榊組はみんなバケモン揃いかよ…」 雪奈(せつな):「…確か新しい伸展師の排除を邪魔してきたのも、榊組の実力者だったって言ってたわね」 田夜(でんや):「あぁ…ナオエツさんが言ってたからな。間違いないと思うぜ?実際、くっそ強かったしな…」 雪奈(せつな):「そう…」 田夜(でんや):「…なぁ、あのウズキ?ってやつ…。マジでお前の兄ちゃんなのか?」 雪奈(せつな):「…わからない。生きているとは思ってたけど…私の知ってる情報と違いすぎて…。 雪奈(せつな):…面影(おもかげ)がないとは言わないけど…」 田夜(でんや):「んー…そうだな。俺の目から見ても、似てたと思うぜ」 雪奈(せつな):「また適当な事を。貴方、私の事なんてよく知らないでしょう?」 田夜(でんや):「まぁ詳しくは知らないけどさ…。見たり話したりしてるだけでも、わかる事って結構あるぜ?」 雪奈(せつな):「…何、貴方。私の事、見てたの?」 田夜(でんや):「なっ!勘違いすんなよ!?俺はお前を心配してたんだっつーの!」 雪奈(せつな):「心配?」 田夜(でんや):「おう。…お前さ、自分じゃ気付いてないかも知れないけど、俺と姉ちゃんがじゃれ合ってるの見て、たまに寂しそうにしてるだろ。 田夜(でんや):お前に兄ちゃんがいるってのは聞いてたからな。本当は兄ちゃんの事、今でもずっと待ってるんじゃないかな、って思ってさ…」 雪奈(せつな):「…勝手に同情しないでくれる?別にそんなこと思ってないわ」 田夜(でんや):「本当か?お前、兄ちゃんと仲良かったんだろ? 田夜(でんや):…もしウズキってやつが言ってた事が本当なら…。お前、兄ちゃんと一緒にいたいんじゃないか?」 雪奈(せつな):「……そんなこと言っても、本当かどうかなんて…わからないじゃない」 田夜(でんや):「…いや、たぶん本当だぜ」 雪奈(せつな):「え?」 田夜(でんや):「…俺と姉ちゃんさ。ガキの頃、親に捨てられてるんだよ。 田夜(でんや):ガキがたった二人だけで追い出されてさ…周りは争いばっか、おちおち寝てなんかいられねぇ。いきなり知らねぇやつに襲われることだって、何度もあった。 田夜(でんや): 田夜(でんや):…そーゆー時はさ、姉ちゃんが守ってくれたんだよ。自分だってまだガキなのに、何倍もでっけぇ大人相手に、必死に噛み付いてさ。そんで相手を蹴散らした後に言うんだ。 田夜(でんや):『大丈夫か?何も心配しなくていい、姉ちゃんが守ってやるから』ってさ。俺の事が心配で仕方なくて、安心させなきゃ!って、無理してさ…」 雪奈(せつな):「…そう、そんなことがあったの」 田夜(でんや):「でもナオエツさんに拾ってもらってからはさ!姉ちゃんもそういう顔しなくなった!俺も強くなったし?安心したんだろうな!」 雪奈(せつな):「そうね…」 田夜(でんや):「…でさ?さっきのウズキってやつが、お前を説得してた時のあの目。あの頃の姉ちゃんと一緒だったんだ。 田夜(でんや):お前の事が心配で仕方ないし、取り乱したお前を安心させなきゃって、必死だったんだと思う」 雪奈(せつな):「……」 田夜(でんや):「…なぁ。お前はどうなんだよ?お前の本心はさ」 雪奈(せつな):「……それが本当なら、一緒にいたいわよ。当たり前でしょ?…ずっと。ずっと待ってたんだもの、当然じゃない。 雪奈(せつな):でも、今更どうしろって言うの?私は皇にいて、お兄ちゃんは榊組…対立してる組織で、互いに伸展師…。 雪奈(せつな):私が戻りたいって言ったって、どうにもならないじゃない…」 田夜(でんや):「…そんなこと言うなよ。どうにかなるかも知れないじゃん。……いや、どうにかしなきゃダメだろ!」 雪奈(せつな):「ちょ、ちょっと…?」 田夜(でんや):「だって一緒にいたいって思ってるんだろ?それなら一緒にいなきゃおかしいじゃんか! 田夜(でんや):お互いがそう思ってるのに、それが出来ないなんて…そんなこと言ったら、あいつと俺は…っ!」 雪奈(せつな):「…あいつ?」 田夜(でんや):「…ぁ、な…なんでもない…」 雪奈(せつな):「貴方も…大切な人が、あちら側にいるのね…?」 田夜(でんや):「……」 雪奈(せつな):「そう…私たち、どうしたらいいのかしらね…?」 田夜(でんや):「……ナオエツさん」 雪奈(せつな):「え?」 田夜(でんや):「ナオエツさんに相談しよう。ナオエツさんなら…事情を話せば、わかってくれる」 雪奈(せつな):「ちょっと…それ本気?」 田夜(でんや):「あぁ。…正直、最近の皇組、なんか変だ。良くない予感がする…」 雪奈(せつな):「……わかったわ。よろしくね」 田夜(でんや):「おう!任せとけ」  :   :  0:次回予告 春屋(はるや):焦がれる程に求め合い、やっとの思いで巡り合えたウズキとセツナ。 春屋(はるや):しかし二人の立場が、彼らを悩みの渦へと飲みこんでいく。 春屋(はるや):秘めた想いを道連れに、突破口を開こうとするデンヤ。 春屋(はるや):果たして、彼らに明るい未来は訪れるのか…? 春屋(はるや):  春屋(はるや):次回。DISTOPIA BREAK Third『終壁』 春屋(はるや):(でぃすとぴあ ぶれいく さーど『ついへき』) 0:続く

DISTOPIA BREAK:Second『再会』  :   :登場人物紹介(マーカー用) 野矢(のうや):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 野矢(のうや):おちゃらけており一見不真面目だが、実力もある部下想いの男。 野矢(のうや):伸展・静空夜血約陣(しんてん・せいくうやけつやくじん)の解放者。 春屋(はるや):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 春屋(はるや):クールで真面目、そこそこ毒舌。目上の野矢にもがっつりつっこむ。 春屋(はるや):伸展・鷹眼千万(しんてん・たかめせんばん)の解放者。 雨点(うずき):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 雨点(うずき):物腰やわらかで落ち着いた男性。長い間、妹を探している。 雨点(うずき):伸展・鬼轟(しんてん・きごう)の解放者。 雪奈(せつな):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 雪奈(せつな):歯に布を着せないが、どこか品のある女性。家族を恨んでいる。 雪奈(せつな):伸展・代症剰也(しんてん・だいしょうあまつえ)の解放者。 田夜(でんや):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 田夜(でんや):粗雑だがひょうきん、勝気な姉を持つ。 田夜(でんや):ソリは合わないものの、兄を持つ雪奈を気にかけている。 田夜(でんや):伸展・一(しんてん・いちもんじ)の解放者。  :   :  0:シナリオスタート  :   :【場面】榊組(さかきぐみ)拠点・中庭に面した一室  :  野矢(のうや):「ねぇねぇ、ハルヤちゃん。この間、男の人と歩いてただろ?」 春屋(はるや):「…はい?そういうの『セクハラ』って言うんですよ」 野矢(のうや):「えぇ!?ちょっと聞いただけじゃん!言いすぎだよ、言いすぎ!」 春屋(はるや):「うるさいですねぇ…私が誰と会っていようが、ノウヤさんには関係ないじゃないですか」 野矢(のうや):「あ、やっぱり会ってたんだ!ねぇ、あの人だぁれ~?」 春屋(はるや):「さぁ…誰でしょーねー?」 野矢(のうや):「もー、ハルヤちゃんてばケチだなー…って、あれ?それネックレス? 野矢(のうや):めっずらし!なになに?もしかして、彼氏!?」 春屋(はるや):「…はいはい、ちゃんと手を動かしてください。あんまりさぼってるとウカイちゃんに言いつけますよ?」 野矢(のうや):「いやいや!?ちゃんとやってるから!あの子口うるさいんだって!勘弁してよ…」 春屋(はるや):「なんてこと言うんですか。上司を気にかけてくれる、出来た後輩じゃないですか」 野矢(のうや):「それはそうだけどさぁ…聞いてよ!こないだなんかさぁ…」  :   :  雪奈(せつな):(タイトルコール) 雪奈(せつな):DISTOPIA BREAK Second『再会』 雪奈(せつな):(でぃすとぴあ ぶれいく せかんど『さいかい』)  :   :  野矢(のうや):「……ってことがあってさぁ~」 春屋(はるや):「それは完全にノウヤさんが悪いです。私はウカイちゃんの味方です」 野矢(のうや):「えぇー!?」 雨点(うずき):「こんにちは」 野矢(のうや):「お!ウズキ君じゃん、久しぶり~」 雨点(うずき):「ご無沙汰してますノウヤさん。何の話をしてたんです?」 野矢(のうや):「あっ、ウズキ君も聞いてよー!こないだウカイちゃんと一緒にね~?」 春屋(はるや):「(被せて)はいはい、無駄話してないで作業進めるー。 春屋(はるや):こんにちは、ウズキさん。お久しぶりです」 雨点(うずき):「ハルヤさんも、お久しぶりです。ここはいつもにぎやかでいいですね」 春屋(はるや):「ノウヤさんがお仕事をしてくれれば、ですけどねー。 春屋(はるや):ウズキさんからも、サボらない様に言ってくださいよ」 野矢(のうや):「あ、酷いなー。僕だってやる時はやるんですぅー。 野矢(のうや):それより…このお仕事、本当に僕がやること?僕なんかより適任がいっぱいいると思うんだけどな~?」 春屋(はるや):「何言ってるんですか。近隣の村々への定期報告書ですよ?ノウヤさんがやらないで、誰がやるって言うんです」 野矢(のうや):「ホウスイとか?」 春屋(はるや):「ホウスイさんはノウヤさんと違って忙しいんですから!無理に決まってるでしょう!」 雨点(うずき):「あはは、お二人は本当に仲が良い。羨ましいですね」 野矢(のうや):「そーお?じゃあウズキ君がハルヤちゃんと仲良しになれる様に、僕のお仕事をウズキ君にあげちゃおーかなー?」 雨点(うずき):「そうして頂けるのなら嬉しいのですが…残念ながら、ハルヤさんの言う通り、そのお仕事はノウヤさん以外には出来ないお仕事ですよ。 雨点(うずき):私は見たことがありませんが、ノウヤさんの伸展の力は凄まじいと聞きました。そんな実力者の貴方が告げる言葉だからこそ、人々は安心出来るのです」 野矢(のうや):「そんな事ないよ~。僕も頑張ってはいたけど、みんなの伸展には遠く及ばないかな~?」 雨点(うずき):「ご謙遜を。本当に力が無いのであれば、貴方が縁(えにし)であることは、どう説明するんです?」 野矢(のうや):「うーん、そんなに褒められると、僕照れちゃうなぁ」 春屋(はるや):「もう…ウズキさん、駄目ですよ?こうやって甘やかすから、お仕事をしなくなるんです、この人は…。 春屋(はるや):あ。ところでウズキさん、今日はどうしたんですか?」 雨点(うずき):「あぁ!そうでした。ノウヤさん、お仕事ですよ」 野矢(のうや):「えぇー?また?」 雨点(うずき):「ホウスイさんが新しい人を連れてきたそうです。新人教育を頼みたいそうですよ?」 春屋(はるや):「新人…てことは、伸展師(しんてんし)ですか?」 雨点(うずき):「ええ。なんでも皇組(すめらぎぐみ)に襲われていたところを、ホウスイさんが助けたんだとか…」 野矢(のうや):「本当にあいつは面倒なことしかしねぇなぁ!」 春屋(はるや):「そういうこと言ってると、また怒られますよ」 雨点(うずき):「ははは。…しかし、最近の皇組は随分と過激ですね…」 野矢(のうや):「そーだねぇ。前々から何かと騒ぎを起こしてはいたけど…。 野矢(のうや):今ほど激しくなったのは、神(かなえ)が崩壊してからかな~」 春屋(はるや):「神(かなえ)?」 野矢(のうや):「あぁ、ハルヤちゃんは知らないのか。 野矢(のうや):今でこそ皇組に階級は一つしか存在しないんだけどね?前はうちみたいに、もう一つ上の階級があったんだよ」 雨点(うずき):「うちでいう縁(えにし)が『神(かなえ)』、下位の椿(つばき)が『聖(ひじり)』ですね」 野矢(のうや):「そうそう。前はそれなりに神(かなえ)のやつらが、下位の聖(ひじり)を制御してたんだけどね? 野矢(のうや):神(かなえ)が崩壊してからやりたい放題みたいでさー。まぁ聖(ひじり)を殲滅しちゃえばいいかー、って話だったんだけど…」 雨点(うずき):「アマツ…ですね」 野矢(のうや):「うん、あいつは別格だ。神(かなえ)が復活するんじゃないかって言われてる」 春屋(はるや):「…最近の騒ぎはアマツのせい、ってことですか……」 野矢(のうや):「さぁね。あっちの動向が全てわかるわけじゃないからさ。 野矢(のうや):まぁでも、直にわかると思うよ。なんたって向こうにはうちの…」  :【SE】爆発音 雨点(うずき):「!? 何の音だ!?」  :  雪奈(せつな):「あぁ…面倒くさい。なんで私が、貴方の尻拭いに付き合わなくちゃいけないのかしら」 田夜(でんや):「しょうがないだろ?姉ちゃんは別件で、ナオエツさんの手伝いに行っちゃったんだから!」 雪奈(せつな):「マリさんの事はいいのよ。組む相手が貴方っていうのが不満なの」 田夜(でんや):「俺だって!姉ちゃんさえいれば、誰がお前なんかと組むかってーの!」 雪奈(せつな):「(溜め息)…ま、ここでそんな事言っててもラチが空かないですし。 雪奈(せつな):新しい伸展師(しんてんし)の排除でしたっけ?早く終わらせましょ」 田夜(でんや):「珍しく意見が合うじゃねぇか。 田夜(でんや):そーしよーぜ、俺も早く帰りて…っ(春屋をみて言葉をとめる)」  :  野矢(のうや):「(溜め息)…新人なんて増やすからこんなことに…」 雨点(うずき):「言ってる場合ですか!」 春屋(はるや):「(田夜をみて驚く)…っ!」 野矢(のうや):「ん?ハルヤちゃん、どうしたの?」 春屋(はるや):「あ…いえ、何も…」 野矢(のうや):「…もしかして、怖くなっちゃった?じゃあハルヤちゃんは、僕と一緒に下がってよーか。 野矢(のうや):代わりにウズキ君が戦かってくれるからさ~」 雨点(うずき):「なぜ、私だけが戦わないといけないんですか…」 野矢(のうや):「だって、ウズキ君の方が強いんだもんっ」 春屋(はるや):「…そう言えば私。ノウヤさんが戦ってるの、見た事ありません」 野矢(のうや):「僕、文系だから」  :  雪奈(せつな):「随分と余裕ですねぇ?」 田夜(でんや):「俺らなんか眼中にないってか?」 雪奈(せつな):「貴方たち程度に舐められてるのはとても遺憾(いかん)ですが…私たちの目的は別にありますので、こんなところで足踏みしている暇はないんですよ。 雪奈(せつな):デンヤ、さっさと終わらせてください」 田夜(でんや):「あ…あぁ…わかってるよ!おらぁ!!」 雨点(うずき):「っさせません!」 田夜(でんや):「おわっ!…あっぶな!?くそ!あいつ遠距離かよ、めんどくせぇ!」 雪奈(せつな):「あら、珍しいですね。加勢しましょうか?」 田夜(でんや):「いるかっつーの!これでもくらえ! 田夜(でんや):伸展解放 一! 田夜(でんや):(しんてんかいほう、いちもんじ)」 雨点(うずき):「くっ、速い…!」 春屋(はるや):「ウズキさん!」 雪奈(せつな):「早く帰りたいんで、邪魔しないでくれません? 雪奈(せつな):伸展解放 代症剰也 雪奈(せつな):(しんてんかいほう、だいしょうあまつえ)」 春屋(はるや):「させません! 春屋(はるや):伸展解放 鷹眼千万! 春屋(はるや):(しんてんかいほう、たかめせんばん)」 野矢(のうや):「二人ともかっこいいねぇ」 春屋(はるや):「文系は黙っててください!」 野矢(のうや):「…理系にしとけば良かったかなぁ?」  :  田夜(でんや):「おらおらぁ!どーした!?当ててみろよぉ!」 雨点(うずき):「言われなくても! 雨点(うずき):伸展解放 鬼轟! 雨点(うずき):(しんてんかいほう、きごう)」 田夜(でんや):「ちっ!こんな…もん!」 0:田夜、雨点の放った伸展を弾き飛ばす。 雪奈(せつな):「きゃっ…、ちょっと!こっちに弾かないでくれる!?」 田夜(でんや):「あん?当たっちまった?わりぃわりぃ!」 雪奈(せつな):「おかげで服が破れたじゃない!帰ったらマリさんに言いつけてやるんだから!」 田夜(でんや):「んなっ!おい、セツナ!姉ちゃんは関係ねぇだろ!?」 0:『雪奈』という呼び名に雨点、反応する。 雨点(うずき):「…セツナ?」 雪奈(せつな):「…何?気安く呼ばないで」 春屋(はるや):「ウズキさん?」 雨点(うずき):「(セツナをまじまじと見つめた後)…っ!その痣(あざ)…っ!」 雪奈(せつな):「だからなんなの?馴れ馴れしくしないで」 雨点(うずき):「お前…セツナなのか?」 春屋(はるや):「セツナって…ウズキさんの妹さんの、ですか?」 雪奈(せつな):「は?」 春屋(はるや):「小さい頃に生き別れた妹がいるって…。名前はセツナ、左腕に雪の結晶のような痣があるって…」 田夜(でんや):「嘘だろ?お前の兄ちゃんなの?」 雪奈(せつな):「私の…お兄、ちゃん…?」 雨点(うずき):「っセツナ!良かった、生きてたんだな!」 雪奈(せつな):「っ!…だから、何?」 雨点(うずき):「…セツナ…?」 雪奈(せつな):「気安く呼ばないでっていってるでしょ!?」 田夜(でんや):「はぁっ!?」 雪奈(せつな):「あんたが私のお兄ちゃん?だから何よ! 雪奈(せつな):父さんも、母さんも…あんただって!私の事を捨てたくせに!!」 春屋(はるや):「え…?」 雪奈(せつな):「知らない人に預けられて!邪魔者にされて!毎日が怖くて、辛くて、ずっと孤独だった…。 雪奈(せつな):あんた達は三人一緒だったのに!私だけ除け者にして!!」 雨点(うずき):「それは違うっ!あの頃は多くの戦いが激化して、私たちはいつ巻き込まれてもおかしくなかった! 雨点(うずき):せめてお前だけでも助かって欲しくて、私たちはあまり戦闘の行われていない地域へ避難させることに決めたんだ!」 雪奈(せつな):「だったら!!なんで迎えにきてくれなかったのよ!? 雪奈(せつな):あんたたちの言葉を信じてた…。またいつか、みんなで暮らせるんだって…。 雪奈(せつな):ハッ…馬鹿みたい。結局、あんた達は迎えに来なかった!!!」 雨点(うずき):「行ったさ!戦いが長引いてみんな散り散りになって…! 雨点(うずき):それでも、やっとお前を迎えに行ける…また一緒に暮らせるんだって!! 雨点(うずき):でもっ…お前はもうそこに、いなかった…」 雪奈(せつな):「…嘘よ…知らない…知らない!私はそんなの信じない!」 田夜(でんや):「! おい!落ち着け!」 雪奈(せつな):「だって!あの人が言ってたもの!!あんた達はいつも一緒だって! 雪奈(せつな):私を捨てて、まるで最初からいなかったみたいに…三人で幸せに暮らしてるって!! 雪奈(せつな):  雪奈(せつな):伸展解放! 代症剰也っ!! 雪奈(せつな):(しんてんかいほう、だいしょうあまつえ)」 春屋(はるや):「ウズキさん!!避けて!」  :  野矢(のうや):「は~い、そこまでにしようね~」 0:雪奈がむしゃらに打ち出した伸展を、野矢が素手で受け止める。 雪奈(せつな):「なに!?」 田夜(でんや):「は?」 雨点(うずき):「ノウヤ…さん…」 野矢(のうや):「僕は事情に詳しいわけじゃないからさ、お節介かも知れないけど。 野矢(のうや):…一回、ちゃんと話し合ったら?」 雪奈(せつな):「くっ!…うるさい…うるさいうるさい!!私はっ、私はあああ!」 田夜(でんや):「っおい!!落ち着けセツナ!伸展もなしに止められてんだぞ! 田夜(でんや):あいつはヤバイ!一旦引こう!!」 雨点(うずき):「っ待て!セツナと話を…!」 春屋(はるや):「(食い気味に)ウズキさん!…今の様子じゃ、きっと無理です…」 雨点(うずき):「…っ、くそ!!」 田夜(でんや):「今日は引かせてもらう…追うなよ」 春屋(はるや):「…わかっています」 田夜(でんや):「行くぞ、セツナ!」 雪奈(せつな):「っ…!絶対殺す!殺してやるからなああああああ!」  :   :【時間経過】皇組拠点・外れ  :  田夜(でんや):「…よぉ、少しは落ち着いたか?」 雪奈(せつな):「……えぇ。悪かったわね、取り乱したりして…」 田夜(でんや):「別に気にしてねぇよ。ただあの状況で、あいつに突っ込むのはやべぇと思ったからさ。 田夜(でんや):伸展を素手で止めるとか、聞いたことねぇ…。アマツさんもやべぇけど…榊組はみんなバケモン揃いかよ…」 雪奈(せつな):「…確か新しい伸展師の排除を邪魔してきたのも、榊組の実力者だったって言ってたわね」 田夜(でんや):「あぁ…ナオエツさんが言ってたからな。間違いないと思うぜ?実際、くっそ強かったしな…」 雪奈(せつな):「そう…」 田夜(でんや):「…なぁ、あのウズキ?ってやつ…。マジでお前の兄ちゃんなのか?」 雪奈(せつな):「…わからない。生きているとは思ってたけど…私の知ってる情報と違いすぎて…。 雪奈(せつな):…面影(おもかげ)がないとは言わないけど…」 田夜(でんや):「んー…そうだな。俺の目から見ても、似てたと思うぜ」 雪奈(せつな):「また適当な事を。貴方、私の事なんてよく知らないでしょう?」 田夜(でんや):「まぁ詳しくは知らないけどさ…。見たり話したりしてるだけでも、わかる事って結構あるぜ?」 雪奈(せつな):「…何、貴方。私の事、見てたの?」 田夜(でんや):「なっ!勘違いすんなよ!?俺はお前を心配してたんだっつーの!」 雪奈(せつな):「心配?」 田夜(でんや):「おう。…お前さ、自分じゃ気付いてないかも知れないけど、俺と姉ちゃんがじゃれ合ってるの見て、たまに寂しそうにしてるだろ。 田夜(でんや):お前に兄ちゃんがいるってのは聞いてたからな。本当は兄ちゃんの事、今でもずっと待ってるんじゃないかな、って思ってさ…」 雪奈(せつな):「…勝手に同情しないでくれる?別にそんなこと思ってないわ」 田夜(でんや):「本当か?お前、兄ちゃんと仲良かったんだろ? 田夜(でんや):…もしウズキってやつが言ってた事が本当なら…。お前、兄ちゃんと一緒にいたいんじゃないか?」 雪奈(せつな):「……そんなこと言っても、本当かどうかなんて…わからないじゃない」 田夜(でんや):「…いや、たぶん本当だぜ」 雪奈(せつな):「え?」 田夜(でんや):「…俺と姉ちゃんさ。ガキの頃、親に捨てられてるんだよ。 田夜(でんや):ガキがたった二人だけで追い出されてさ…周りは争いばっか、おちおち寝てなんかいられねぇ。いきなり知らねぇやつに襲われることだって、何度もあった。 田夜(でんや): 田夜(でんや):…そーゆー時はさ、姉ちゃんが守ってくれたんだよ。自分だってまだガキなのに、何倍もでっけぇ大人相手に、必死に噛み付いてさ。そんで相手を蹴散らした後に言うんだ。 田夜(でんや):『大丈夫か?何も心配しなくていい、姉ちゃんが守ってやるから』ってさ。俺の事が心配で仕方なくて、安心させなきゃ!って、無理してさ…」 雪奈(せつな):「…そう、そんなことがあったの」 田夜(でんや):「でもナオエツさんに拾ってもらってからはさ!姉ちゃんもそういう顔しなくなった!俺も強くなったし?安心したんだろうな!」 雪奈(せつな):「そうね…」 田夜(でんや):「…でさ?さっきのウズキってやつが、お前を説得してた時のあの目。あの頃の姉ちゃんと一緒だったんだ。 田夜(でんや):お前の事が心配で仕方ないし、取り乱したお前を安心させなきゃって、必死だったんだと思う」 雪奈(せつな):「……」 田夜(でんや):「…なぁ。お前はどうなんだよ?お前の本心はさ」 雪奈(せつな):「……それが本当なら、一緒にいたいわよ。当たり前でしょ?…ずっと。ずっと待ってたんだもの、当然じゃない。 雪奈(せつな):でも、今更どうしろって言うの?私は皇にいて、お兄ちゃんは榊組…対立してる組織で、互いに伸展師…。 雪奈(せつな):私が戻りたいって言ったって、どうにもならないじゃない…」 田夜(でんや):「…そんなこと言うなよ。どうにかなるかも知れないじゃん。……いや、どうにかしなきゃダメだろ!」 雪奈(せつな):「ちょ、ちょっと…?」 田夜(でんや):「だって一緒にいたいって思ってるんだろ?それなら一緒にいなきゃおかしいじゃんか! 田夜(でんや):お互いがそう思ってるのに、それが出来ないなんて…そんなこと言ったら、あいつと俺は…っ!」 雪奈(せつな):「…あいつ?」 田夜(でんや):「…ぁ、な…なんでもない…」 雪奈(せつな):「貴方も…大切な人が、あちら側にいるのね…?」 田夜(でんや):「……」 雪奈(せつな):「そう…私たち、どうしたらいいのかしらね…?」 田夜(でんや):「……ナオエツさん」 雪奈(せつな):「え?」 田夜(でんや):「ナオエツさんに相談しよう。ナオエツさんなら…事情を話せば、わかってくれる」 雪奈(せつな):「ちょっと…それ本気?」 田夜(でんや):「あぁ。…正直、最近の皇組、なんか変だ。良くない予感がする…」 雪奈(せつな):「……わかったわ。よろしくね」 田夜(でんや):「おう!任せとけ」  :   :  0:次回予告 春屋(はるや):焦がれる程に求め合い、やっとの思いで巡り合えたウズキとセツナ。 春屋(はるや):しかし二人の立場が、彼らを悩みの渦へと飲みこんでいく。 春屋(はるや):秘めた想いを道連れに、突破口を開こうとするデンヤ。 春屋(はるや):果たして、彼らに明るい未来は訪れるのか…? 春屋(はるや):  春屋(はるや):次回。DISTOPIA BREAK Third『終壁』 春屋(はるや):(でぃすとぴあ ぶれいく さーど『ついへき』) 0:続く