台本概要
186 views
タイトル | DISTOPIA BREAK:Final『激闘』 |
---|---|
作者名 | NAOKI (@NAOKI24480603) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 5人用台本(不問5) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
万和(ばんな)213年。一人の剣士がある力に目覚めた。 伸展と呼ばれるそれは、人でありながら人を超える大いなる力。 その力は解放される事で、更に強大な力を剣士に与えた。 伸展を扱える者は少し、また少しと増えていき、やがて人々は彼らを、尊敬と畏怖の念を込めて『伸展師(しんてんし)』と呼ぶようになる。 時を経て。伸展解放に次ぐ上位能力『終伸展(しゅうしんてん)』が現れた頃、世にひとつの組織が生まれた。 名を皇組(すめらぎぐみ)。 恐怖こそが誉れ。奪取の先にこそ、誠(まこと)の自由と正義が存在せしと謳う、紫魂(しこん)の夜叉。 彼らは次第に、持たざる者を支配し始めた。 相次ぐ悲惨な戦闘が頻発し、日夜いとも容易く命が失われていく。 そんな中、皇組(すめらぎぐみ)に立ち向かわんとする者たちが現れた。 名を榊組(さかきぐみ)。 正義の名の下に、希望を抱き、世を常闇(とこやみ)から掬いあげんとする、碧き使徒。 異なる思想を掲げた二つの組織は、選ばれし者にのみ許された唯一無二の技=『伸展(しんてん)』を振るい、今時代を動かし始める…。 186 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
望(もち) | 不問 | 76 | 【男性想定】二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 海貝を追い、包水と共に悪間憑の元へ。鬼沙羅と関係がある。 榊組にて過ごすうちに、伸展・梵(しんてん・そよぎ)を解放するに至った。 |
包水(ほうすい) | 不問 | 43 | 【女性想定】二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 榊組の筆頭。正義を地でいく、勇敢な人。 伸展・水浅葱(しんてん・みずあさぎ)の解放者。 |
海貝(うかい) | 不問 | 34 | 【女性想定】二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。 前回討たれた野矢の仇を取る為、悪間憑の元へやってきた。 まだ未熟だが、野矢が認める実力者。 伸展・薔(しんてん・みずたで)の解放者。 |
悪間憑(あまつ) | 不問 | 47 | 榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 【女性想定】皇組の筆頭と思われていた、凶悪な人。 伸展・赤凛一擲(しんてん・せきりんいってき)の解放者。 |
鬼沙羅(きさら) | 不問 | 47 | 【男性想定】榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。 悪間憑の下についていた謎の人物。望と関係がある。 伸展・狼狽黒罰(しゅうしんてん・ろうばいこくばち)の解放者。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
DISTOPIA BREAK:Final『激闘』
:
:登場人物紹介(マーカー用)
望(もち):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
望(もち):海貝を追い、包水と共に悪間憑の元へ。鬼沙羅と関係がある。
望(もち):榊組にて過ごすうちに、伸展・梵(しんてん・そよぎ)を解放するに至った。
包水(ほうすい):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
包水(ほうすい):榊組の筆頭。正義を地でいく、勇敢な人。
包水(ほうすい):伸展・水浅葱(しんてん・みずあさぎ)の解放者。
海貝(うかい):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
海貝(うかい):前回討たれた野矢の仇を取る為、悪間憑の元へやってきた。
海貝(うかい):まだ未熟だが、野矢が認める実力者。
海貝(うかい):伸展・薔(しんてん・みずたで)の解放者。
悪間憑(あまつ):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。
悪間憑(あまつ):皇組の筆頭と思われていた、凶悪な人。
悪間憑(あまつ):伸展・赤凛一擲(しんてん・せきりんいってき)の解放者。
鬼沙羅(きさら):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。
鬼沙羅(きさら):悪間憑の下についていた謎の人物。望と関係がある。
鬼沙羅(きさら):伸展・狼狽黒罰(しゅうしんてん・ろうばいこくばち)の解放者。
:
:
0:シナリオスタート
:
:【場面】榊組拠点・包水の部屋
:
望(もち):「そんな…ノウヤさん…」
包水(ほうすい):「…ノウヤが…」
望(もち):「…ホウスイさん、言ってましたよね…?ノウヤさんは縁(えにし)の一人だって…。
望(もち):アマツってやつは、そんなにも強いんですか!?」
包水(ほうすい):「…強いなんてものではない…!
包水(ほうすい):榊組・縁(えにし)が誇る鉄壁の守護者・ナオエツの摩利支天(まりしてん)を砕き、歴代随一の戦闘力と謳われたノウヤの静空夜血約陣(せいくうやけつやくじん)を受けてなお、立ち上がる…。
包水(ほうすい):そんなもの…化け物と呼ぶ以外、なんと呼べばいいのだ…!」
海貝(うかい):「……後から来る、って…言ったんです…」
望(もち):「ウカイさん…」
海貝(うかい):「…約束したんだって…嘘ついたこと、ないだろって…だから私っ、邪魔にならない様に…!
海貝(うかい):こんなことなら残ればよかった!!私…私がっ!ノウヤさんを見殺しにしたんです…っ!!」
望(もち):「(食い気味に)ウカイさんのせいじゃない!」
海貝(うかい):「! …モチ、くん…」
望(もち):「絶対にウカイさんのせいなんかじゃない!
望(もち):だって…だって、ノウヤさん言ってました!ウカイさんはすごいんだって!」
海貝(うかい):「…え?」
望(もち):「『ウカイは強いよ』『僕だって敵うかわからない』『きっとあいつは縁(えにし)になる』『真面目で優しい、自慢の後輩だ』」
海貝(うかい):「っ…!」」
望(もち):「僕はノウヤさんに色々教わってましたから…。僕が悩んだり手こずった時は、いつもウカイさんの話をするんです…。とっても嬉しそうに、誇らしげに…ウカイさんのこと、話してたんですよ…」
海貝(うかい):「…そんなのっ、一度も…!私には言ってくれなかったじゃ…ないですか…っ」
望(もち):「…だから、ウカイさんのせいなんてこと…絶対っ、ないですっ…!」
海貝(うかい):「っっ…!うぁ…うああああああああああああああああ!」
:
:
包水(ほうすい):(タイトルコール)
包水(ほうすい):DISTOPIA BREAK Final『激闘』
包水(ほうすい):(でぃすとぴあ ぶれいく ふぁいなる『げきとう』)
:
:
:【時間経過】包水の部屋
:
0:部屋で一人。遠くを見つめ、ボソリと呟く。
包水(ほうすい):「…これで縁(えにし)は私ひとりか…皆、私よりも先に逝ってしまう…」
包水(ほうすい):「…なぁ。フユネ、ノウヤ、ナオエツ…私一人で抱えるには重たすぎるぞ…。
包水(ほうすい):私がそっちに行ったときには、盛大にもてなしてくれよ…?」
:
0:苦悶しているところに、望が飛び込んでくる。
望(もち):「ホウスイさん!!」
包水(ほうすい):「! どうした?」
望(もち):「大変です!ウカイさんが!!」
包水(ほうすい):「ウカイ…?…まさか!?」
望(もち):「はい…っ!一人でアマツのところへ…!」
包水(ほうすい):「くっ…無謀すぎる!…っ行くぞ、モチ!!」
望(もち):「はい!!」
:
:【場面変更】皇組・領地
:
0:野矢との戦闘で負傷し、一人歩く悪間憑。
悪間憑(あまつ):「…チッ…忌々しい。左腕が動かぬ…腐っても縁(えにし)ということか…」
海貝(うかい):「…見つけた」
悪間憑(あまつ):「…ほう?お前…わざわざ死にに来たのか?」
海貝(うかい):「死にに来たわけじゃありません」
悪間憑(あまつ):「ハッ!逃げ出した小物風情が、何をほざく?」
海貝(うかい):「もう逃げません。貴方を殺す剣士の名を、その脳裏に焼き付けなさい!!
海貝(うかい):私はウカイ!随一の使い手と謳われたノウヤの志(こころざし)を継ぐもの!」
悪間憑(あまつ):「はは、はははっ!貴様が私に勝てると、本気で思っているのか?」
海貝(うかい):「勝てるかどうかじゃなく!私は立ち向かわなくてはならない!
海貝(うかい):あの人が信じてくれた!その私を裏切らない為に!!っやあぁぁぁぁぁあああぁぁあぁ!」
悪間憑(あまつ):「っ、何!?」
海貝(うかい):「そこだぁ!」
:
海貝(うかい):(M)へらへらしていて、やる気のない不真面目そうな人。それがあの人の第一印象だった。
:
悪間憑(あまつ):「ぐ…!くそっ、小賢しいっ!」
海貝(うかい):「くっ!…まだ!まだだあぁ!」
:
海貝(うかい):(M)なのに空気を読むのが上手くて、不思議とまわりを和ませるつかみどころのない人。そんな人が私の先輩だった。
:
悪間憑(あまつ):「がはぁっ!!」
海貝(うかい):「次は…そこだ!!」
:
海貝(うかい):(M)あんなに強いなんて知らなかった。そんな過去があるなんて知らなかった。そんなに認めてくれていたなんて…。
:
悪間憑(あまつ):「く…っ何故だ…?何故、私の一振りにすら耐えられなかった貴様ごときが!」
海貝(うかい):「はああああああああ!」
:
海貝(うかい):(M)ならば私がやることはただひとつ。
:
悪間憑(あまつ):「調子に乗るな!
悪間憑(あまつ):「伸展解放 赤凛一擲!!
悪間憑(あまつ):(しんてんかいほう、せきりんいってき)」
:
海貝(うかい):(M)私の全力を持ってコイツを仕留めること…!
:
海貝(うかい):「伸展解放 薔!
海貝(うかい):(しんてんかいほう、みずたで)」
悪間憑(あまつ):「なに!?この技を貴様のような小娘が止めるだと!?」
海貝(うかい):「てやぁ!!」
悪間憑(あまつ):「がっ…貴様!この短期間で、何故そこまで強くなった…!?」
海貝(うかい):「違う!!」
:
:【SE】刀を構える音
海貝(うかい):「(詠唱)『間違っています。私が強いのではなく、貴方が弱いのですよ?』
海貝(うかい):
海貝(うかい):終伸展解放 風華狂乱撃 薔!
海貝(うかい):(しゅうしんてんかいほう、ふうか きょうらんげき、みずたで)」
悪間憑(あまつ):「ぐうっ…足、が…っ!」
海貝(うかい):「っはぁ…はぁ…」
悪間憑(あまつ):「…ふ…ふふふふふ…くはっ、くはははっはははは!!」
海貝(うかい):「!? …何が、おかしい…!」
悪間憑(あまつ):「確かに…貴様を見くびっていた様だ…。ならば!それ相応に相手をしてやろう!!」
海貝(うかい):「…きゃぁ!?」
悪間憑(あまつ):「喜べ。あやつと同じ技で屠ってくれる」
海貝(うかい):「…っそんな…」
悪間憑(あまつ):「(詠唱)『恐怖こそ自由、我れこそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』
悪間憑(あまつ):
悪間憑(あまつ):終伸展解放 恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲!
悪間憑(あまつ):(しゅうしんてんかいほう、きょうめいいきいだとら、せきりんいってき)」
海貝(うかい):「か…は…」
悪間憑(あまつ):「貴様らの様な慣れ合いをみると、本当に反吐(へど)が出る…。
悪間憑(あまつ):絆?仲間?はは、笑わせるな!…そんなもの、何の役にも立たない!」
海貝(うかい):「…う、ぁ…」
悪間憑(あまつ):「この世で信じられるものは!絶望のみだ!!」
0:悪間憑、海貝に向け剣を振りかぶる。
包水(ほうすい):「そこまでだ!アマツううううううううう!!」
悪間憑(あまつ):「貴様はっ…!」
:
望(もち):「っ、ウカイさん!しっかりして下さい!」
海貝(うかい):「…モチ、くん……」
望(もち):「なんで…どうして、一人で…!」
海貝(うかい):「わかって、ます…。これは、私の…わがまま、ですね…。
海貝(うかい):…でも…どうして、も…あの人の期待に…応えたかった…」
望(もち):「ウカイさん…!ウカイ…さん…死んじゃダメだ!!」
海貝(うかい):「モチくん…ダメな先輩で…ごめ、んな…さ……」
望(もち):「っ…ウカイ、さん…」
:
悪間憑(あまつ):「…邪魔を、するな…!」
包水(ほうすい):「断る」
悪間憑(あまつ):「なぜ…貴様らはそんなにも抗う?
悪間憑(あまつ):力を持つ者には、器(うつわ)が必要だ。その器を持たない弱者が、分不相応にも技を振るうから、世は荒れ、世界は破滅する。
悪間憑(あまつ):力とは、持つべき者が持ってこそ、初めて真価を得る。それがわからぬ貴様ではあるまい」
包水(ほうすい):「では器(うつわ)が育たぬうちに、力を得た者はどうすればいい?
包水(ほうすい):力を持つからこそ、力を振るう意味と己の信じる正義を考え、律するべきなのだ」
悪間憑(あまつ):「器が育つまでにどれほどの時間をかける?世の中はそんなに利口ばかりではあるまい。悠長に器を育ている間に失われる命は多かろう?」
包水(ほうすい):「今!命を奪い続けているのは、お前ではないか!!」
悪間憑(あまつ):「力を持たぬものを排除して何が悪い」
包水(ほうすい):「選民思想がすぎると言っているのだ!力の有無は本人の意思で決まるものではない!持たざる者が淘汰される世界など混沌にしかならない!」
悪間憑(あまつ):「ははは!甘すぎる考えだな!反吐が出る。所詮、貴様も弱者なのだな。我の思想が理解できなくても無理はあるまい。」
包水(ほうすい):「相容れぬか…。剣をとれ、アマツ。
包水(ほうすい):榊組・縁(えにし)筆頭、ホウスイ!いざ…参る!!」
悪間憑(あまつ):「ならば相手をしてやろう!!我はアマツ…皇組、アマツ!!」
包水(ほうすい):「(同時に)はあああああああああああ!!!!」
悪間憑(あまつ):「(同時に)はあああああああああああ!!!!」
:
望(もち):「…すごい……」
:
悪間憑(あまつ):「ふはははははは!!!その程度で、我が取れると思っているのか!?」
包水(ほうすい):「なめるなぁ!!」
悪間憑(あまつ):「ふっ!さすがは縁(えにし)筆頭!ならば、これは受けきれるか!?」
包水(ほうすい):「受けてみせる!今まで抱えてきたものの重みに比べれば!!」
悪間憑(あまつ):「ならば、その重さごと潰れてしまえ!」
包水(ほうすい):「潰れるのは!貴様だあああアマツ!!!」
:
望(もち):「…これが…筆頭同士の、戦い…」
:
悪間憑(あまつ):「これは…どうだぁ!!!」
包水(ほうすい):「くっ…!」
0:交戦中の二人の影から現れる鬼沙羅。
鬼沙羅(きさら):「……」
望(もち):「!? あれは…!」
鬼沙羅(きさら):「死ね」
包水(ほうすい):「なっ…!?」
0:鬼沙羅、包水に切りかかる。
望(もち):「やめろ!!!」
:【SE】剣の交わる音
望(もち):「手出しはさせない!!」
鬼沙羅(きさら):「……」
望(もち):「お前は…誰だっ!」
鬼沙羅(きさら):「…あぁ、なんだ…。忘れてしまったのか?」
望(もち):「なに!?」
鬼沙羅(きさら):「あんなに俺の後ばかりついて来ていたのに…。大きくなったな、モチ」
望(もち):「!? な、なんで僕の名を…」
鬼沙羅(きさら):「今度は…大切な者を巻き込まないといいな?俺たちの母の時の様に…」
望(もち):「…!?」
:
0:回想(幼少期)
:
望(もち):(幼少期)
望(もち):「わぁ…!兄ちゃん、すごい!あーんな大きな岩が、半分になっちゃった!」
鬼沙羅(きさら):(幼少期)
鬼沙羅(きさら):「俺は選ばれて生まれてきたからな。このくらいの事、なんでもないさ」
望(もち):「ねぇ、兄ちゃん!あれ、やってよ!」
鬼沙羅(きさら):「あれって…伸展か?」
望(もち):「うん!僕、兄ちゃんの伸展、大好きだ!」
鬼沙羅(きさら):「ダメだよ?あれは無闇に打つと危ないんだ。また今度見せてやるよ」
望(もち):「えー?じゃあ、僕にも剣を教えてよ」
鬼沙羅(きさら):「モチに?」
望(もち):「うん!僕も兄ちゃんみたいに強くなりたい!!」
鬼沙羅(きさら):「そうだなぁ…」
望(もち):「へへへ…そしたら僕も、伸展師になれるかなぁ…?」
鬼沙羅(きさら):「はは、それは諦めろ。伸展は選ばれた者にしか使えないんだ」
:
:回想続き・後日
:
0:望を探す鬼沙羅。望は母と話している。
鬼沙羅(きさら):「モチー!モチ、どこだ?」
望(もち):「お母さん、みてみて!僕すっごく上手に使える様になったんだよ?」
鬼沙羅(きさら):「モチ?…あいつ、どこに行ったんだ?」
望(もち):「いくよ?見ててね!」
0:鬼沙羅、望を見つける。
鬼沙羅(きさら):「…っ!モチ!!やめろ!!」
望(もち):「伸展! ほら、すごいでしょ!?僕にも大きい岩が切れる様になったんだぁ!」
鬼沙羅(きさら):「モチ!もういい!止めろ!」
望(もち):「あ、兄ちゃん!兄ちゃんも見てー!僕も兄ちゃんみたいに…」
鬼沙羅(きさら):「(被せて)やりすぎだ!早く止めろ!!」
望(もち):「…え?あれ……と、止まらない…」
鬼沙羅(きさら):「っくそ!だから俺がいないところで使うなって言ったろ!?」
望(もち):「兄ちゃん!…あ、つい…怖いよう…!」
鬼沙羅(きさら):「待て!今、兄ちゃんがなんとかしてやる!諦めるな!!」
望(もち):「あ…あ、ぁ…うわああああああああ!!!」
鬼沙羅(きさら):「くっ…伸展解放(しんてんかいほう)!」
望(もち):「ううぅぅぅぅぅ!!体がっ、あついよぅ!!」
鬼沙羅(きさら):「ぐうぅぅ…くそっ、なんで…!」
望(もち):「…兄ちゃん…助け、て……」
鬼沙羅(きさら):「っ!…うわああああああああああああああああ!!!」
:
0:間。
:
鬼沙羅(きさら):「…う、うぅ…っは!モチ!?モチ、大丈夫か!?」
望(もち):「…ひっく…ひっく…」
鬼沙羅(きさら):「! モチっ……か、あさん…?」
望(もち):「うぇ…うえぇ…」
鬼沙羅(きさら):「…嘘でしょ…?母さん…なんで、そんな…血が…」
望(もち):「お母さぁん…僕、ただ…力を見せたくて…」
鬼沙羅(きさら):「…っく…」
望(もち):「…僕のせいだ…。僕が、こんな力を使えるから…っ!」
鬼沙羅(きさら):「…モチ…」
望(もち):「こんな力…っ、なければよかった!!!」
:
0:回想終わり
:
鬼沙羅(きさら):「お前は…またその力を使っているのか…」
望(もち):「兄、ちゃん…?」
:
:【視点変更】包水と悪間憑
:
悪間憑(あまつ):「うおおおおおおお!」
包水(ほうすい):「はあああああああ!」
0:互いに衝突。弾き飛ばされる。
悪間憑(あまつ):「(同時に)がふっ…」
包水(ほうすい):「(同時に)ぐはっ…」
0:互いに満身創痍の状態。※息切れや咳込みなどを交え、演じてください。
悪間憑(あまつ):「その左腕では…満足に剣も振るえないのではないか…?」
包水(ほうすい):「…それは、っ貴様も…同じだろう…」
悪間憑(あまつ):「ふふふ…この程度、ハンデにもならんわ…!」
包水(ほうすい):「奇遇だな…っ、私もちょうど…そう思っていた、ところだ…」
悪間憑(あまつ):「ぬかせ…!先ほどから、足がふらついているぞ…?」
包水(ほうすい):「それはお互い様だろう…!そろそろ…決着といこうではないか…」
悪間憑(あまつ):「よかろう…いくぞ?」
包水(ほうすい):「来い…っ!」
:
悪間憑(あまつ):(M)私はずっと考えていた。なぜ弱者が存在するのか。
包水(ほうすい):(M)戦え。後悔があろうと、悔恨(かいこん)に打たれようと、戦え。
悪間憑(あまつ):それは強者がいるからだ。では強者とは誰だ?
包水(ほうすい):やつらに抗うのだと。己にそう定めたのであれば、全身全霊で戦え。
悪間憑(あまつ):力に選ばれ、それを使いこなすことのできる選ばれた存在。
包水(ほうすい):道半ばで散った想いを全て抱えて、一秒も一瞬も刹那(せつな)も諦めず、貪欲に喰らいつけ。
悪間憑(あまつ):ならば強者であり続けるためにはどうすればいい?…簡単だ。
包水(ほうすい):まだ立てるのならば、まだ指が動くのならば、まだ牙が折れていないのならば。
悪間憑(あまつ):勝って、勝って、勝ち続けろ。
包水(ほうすい):立って、立って、ただ戦え。
:
悪間憑(あまつ):「(詠唱)『恐怖こそ自由、我こそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』」
包水(ほうすい):「(詠唱)『希望を失うな。立ちなさい、行きなさい。誰かの為じゃない、自分の為に。』」
悪間憑(あまつ):「(同時に)終伸展解放(しゅうしんてんかいほう)」
包水(ほうすい):「(同時に)終伸展解放(しゅうしんてんかいほう)」
悪間憑(あまつ):「恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲
悪間憑(あまつ):(きょうめいいき いだとら、せきりんいってき)」
包水(ほうすい):「靁包光神撃一閃 水浅葱
包水(ほうすい):(らいほうこう しんげきいっせん、みずあさぎ)」
:
望(もち):「ホウスイさん!!!!!!!!」
:
0:長い間。
:
0:鬼沙羅、無言で悪間憑の元へ。
鬼沙羅(きさら):「……無様だな」
悪間憑(あまつ):「……私を殺すか?」
鬼沙羅(きさら):「弱者は必要ない…だったか?」
悪間憑(あまつ):「ははっ、私が、弱者…だったか…」
鬼沙羅(きさら):「…そうだな」
:
:【SE】狼の遠吠え
鬼沙羅(きさら):「(詠唱)『全てを壊してやる、そして新たに与えよう。異存のない、完全なる世界を。』
鬼沙羅(きさら):
鬼沙羅(きさら):終伸展解放 滅心混常闇 狼狽黒罰
鬼沙羅(きさら):(しゅうしんてんかいほう、げんしんろん とこやみ、ろうばいこくばち)」
望(もち):「!? …何を!」
:【SE】一閃の音
0:鬼沙羅、悪間憑の首を落とす。
:
望(もち):「何…を…」
鬼沙羅(きさら):「……」
0:鬼沙羅、無言で望に向き直る。
望(もち):「…やめろ…来るな…!」
鬼沙羅(きさら):
鬼沙羅(きさら):(詠唱)『恐怖こそ自由、我こそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』」
望(もち):「それは…アマツの…!」
鬼沙羅(きさら):「終伸展解放 恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲
鬼沙羅(きさら):(しゅうしんてんかいほう、きょうめいいき いだとら、せきりんいってき)」
望(もち):「くっ…間に合わない…!っうわあああああ!!」
:
0:間。
:
望(もち):「…え?」
鬼沙羅(きさら):「まだ、動けたか」
包水(ほうすい):「がはっ!」
望(もち):「…ホウスイ…さん…?」
0:望を庇い、赤凜一擲を受けた包水が倒れる。
望(もち):「っ!!ホウスイさん!!嘘だっ、ホウスイさん!!」
鬼沙羅(きさら):「…興が削がれたな」
望(もち):「っっ…キサラああぁぁぁぁぁぁ!!」
鬼沙羅(きさら):「(食い気味に)結局。また大切な者を巻き込んだな、モチ」
望(もち):「!?」
鬼沙羅(きさら):「力を使うから、そういうことになるんだ。またお前のせいで、人が死んだ」
望(もち):「…僕の、せい…?」
鬼沙羅(きさら):「そうだ。お前のせいだ」
望(もち):「…あ…あぁ、ぁぁぁ…」
鬼沙羅(きさら):「分かったら大人しくしているんだな」
0:鬼沙羅、立ち去る。
:
望(もち):「僕の…せい…?僕が、力を使った、から…僕が…」
包水(ほうすい):「ごほっ!!」
望(もち):「!! ホウスイさん!」
包水(ほうすい):「…何を、泣いてる…モチ…」
望(もち):「ごめんなさい…僕のせいです…。僕が…僕の力が…っ!
望(もち):…やっぱりあの時、大人しく…殺されておけば…」
包水(ほうすい):「顔をあげろ…!モチ…っ!」
望(もち):「っ!!」
包水(ほうすい):「…お前は弱いんじゃない」
望(もち):「…ホウスイさん…」
包水(ほうすい):「(咳込みながら)瞳が曇れば、魂は翳(かげ)る。それは未来を閉ざし、生きる意味を見失うという事だ…」
望(もち):「ホウスイさん!もう喋らないでください!!」
包水(ほうすい):「(食い気味に)聞くんだ、モチ…。己の正しきに従う時…下を向いて行う者に、どれほどの事が出来る…?」
望(もち):「それは…でも…」
包水(ほうすい):「顔をあげろ。前を向き、手を伸ばせ!
包水(ほうすい):泣いてもいい、立ち止まってもいい…ただ、信じるんだ。
包水(ほうすい):その先にこそ、希望があるのだから!!」
望(もち):「…希望」
包水(ほうすい):「後は任せたぞ…モチ…」
望(もち):「…ホウスイさん?ホウス、イさ…っ、うぅ…うああああああああああああああ!!」
:
0:長い間。
:
鬼沙羅(きさら):(M)「結局。また大切な者を巻き込んだな、モチ」
望(もち):「…そうだ」
鬼沙羅(きさら):(M)「力を使うから、そういうことになるんだ」
望(もち):「僕はまた、この力を使っている…」
鬼沙羅(きさら):(M)「またお前のせいで、人が死んだ」
望(もち):「僕がいつまでも、未熟だったせいだ」
鬼沙羅(きさら):(M)「お前のせいだ」
望(もち):「…わかってる」
鬼沙羅(きさら):(M)「分かったら大人しくしているんだな」
望(もち):「(食い気味に)分かっているからこそっ!僕はたつんだ!!
望(もち):『誰かの為じゃない、自分の為に』!!
望(もち):僕は!お前を倒してみせる!!!!!」
:
:
0:次回予告
望(もち):憧れた人の思いに応える為に戦い、儚く散ったウカイ。
望(もち):ホウスイとアマツも、互いの信念に思いを馳せて、散っていった。
望(もち):折れかけた心を奮い立たせ、兄であり真の強敵に立ち向かうことを決めたモチ。
望(もち):彼らの正義が今、激しく音をたててぶつかる…!
望(もち):
望(もち):次回。DISTOPIA BREAK Real Final『絶望』
望(もち):(でぃすとぴあ ぶれいく りある ふぁいなる『ぜつぼう』)
:
望(もち):「キサラアアアアアアアアア!」
0:続く
DISTOPIA BREAK:Final『激闘』
:
:登場人物紹介(マーカー用)
望(もち):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
望(もち):海貝を追い、包水と共に悪間憑の元へ。鬼沙羅と関係がある。
望(もち):榊組にて過ごすうちに、伸展・梵(しんてん・そよぎ)を解放するに至った。
包水(ほうすい):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
包水(ほうすい):榊組の筆頭。正義を地でいく、勇敢な人。
包水(ほうすい):伸展・水浅葱(しんてん・みずあさぎ)の解放者。
海貝(うかい):二大勢力の一つ・榊組(さかきぐみ)に属する伸展師。
海貝(うかい):前回討たれた野矢の仇を取る為、悪間憑の元へやってきた。
海貝(うかい):まだ未熟だが、野矢が認める実力者。
海貝(うかい):伸展・薔(しんてん・みずたで)の解放者。
悪間憑(あまつ):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。
悪間憑(あまつ):皇組の筆頭と思われていた、凶悪な人。
悪間憑(あまつ):伸展・赤凛一擲(しんてん・せきりんいってき)の解放者。
鬼沙羅(きさら):榊組と対立する二大勢力の一つ・皇組(すめらぎぐみ)に属する伸展師。
鬼沙羅(きさら):悪間憑の下についていた謎の人物。望と関係がある。
鬼沙羅(きさら):伸展・狼狽黒罰(しゅうしんてん・ろうばいこくばち)の解放者。
:
:
0:シナリオスタート
:
:【場面】榊組拠点・包水の部屋
:
望(もち):「そんな…ノウヤさん…」
包水(ほうすい):「…ノウヤが…」
望(もち):「…ホウスイさん、言ってましたよね…?ノウヤさんは縁(えにし)の一人だって…。
望(もち):アマツってやつは、そんなにも強いんですか!?」
包水(ほうすい):「…強いなんてものではない…!
包水(ほうすい):榊組・縁(えにし)が誇る鉄壁の守護者・ナオエツの摩利支天(まりしてん)を砕き、歴代随一の戦闘力と謳われたノウヤの静空夜血約陣(せいくうやけつやくじん)を受けてなお、立ち上がる…。
包水(ほうすい):そんなもの…化け物と呼ぶ以外、なんと呼べばいいのだ…!」
海貝(うかい):「……後から来る、って…言ったんです…」
望(もち):「ウカイさん…」
海貝(うかい):「…約束したんだって…嘘ついたこと、ないだろって…だから私っ、邪魔にならない様に…!
海貝(うかい):こんなことなら残ればよかった!!私…私がっ!ノウヤさんを見殺しにしたんです…っ!!」
望(もち):「(食い気味に)ウカイさんのせいじゃない!」
海貝(うかい):「! …モチ、くん…」
望(もち):「絶対にウカイさんのせいなんかじゃない!
望(もち):だって…だって、ノウヤさん言ってました!ウカイさんはすごいんだって!」
海貝(うかい):「…え?」
望(もち):「『ウカイは強いよ』『僕だって敵うかわからない』『きっとあいつは縁(えにし)になる』『真面目で優しい、自慢の後輩だ』」
海貝(うかい):「っ…!」」
望(もち):「僕はノウヤさんに色々教わってましたから…。僕が悩んだり手こずった時は、いつもウカイさんの話をするんです…。とっても嬉しそうに、誇らしげに…ウカイさんのこと、話してたんですよ…」
海貝(うかい):「…そんなのっ、一度も…!私には言ってくれなかったじゃ…ないですか…っ」
望(もち):「…だから、ウカイさんのせいなんてこと…絶対っ、ないですっ…!」
海貝(うかい):「っっ…!うぁ…うああああああああああああああああ!」
:
:
包水(ほうすい):(タイトルコール)
包水(ほうすい):DISTOPIA BREAK Final『激闘』
包水(ほうすい):(でぃすとぴあ ぶれいく ふぁいなる『げきとう』)
:
:
:【時間経過】包水の部屋
:
0:部屋で一人。遠くを見つめ、ボソリと呟く。
包水(ほうすい):「…これで縁(えにし)は私ひとりか…皆、私よりも先に逝ってしまう…」
包水(ほうすい):「…なぁ。フユネ、ノウヤ、ナオエツ…私一人で抱えるには重たすぎるぞ…。
包水(ほうすい):私がそっちに行ったときには、盛大にもてなしてくれよ…?」
:
0:苦悶しているところに、望が飛び込んでくる。
望(もち):「ホウスイさん!!」
包水(ほうすい):「! どうした?」
望(もち):「大変です!ウカイさんが!!」
包水(ほうすい):「ウカイ…?…まさか!?」
望(もち):「はい…っ!一人でアマツのところへ…!」
包水(ほうすい):「くっ…無謀すぎる!…っ行くぞ、モチ!!」
望(もち):「はい!!」
:
:【場面変更】皇組・領地
:
0:野矢との戦闘で負傷し、一人歩く悪間憑。
悪間憑(あまつ):「…チッ…忌々しい。左腕が動かぬ…腐っても縁(えにし)ということか…」
海貝(うかい):「…見つけた」
悪間憑(あまつ):「…ほう?お前…わざわざ死にに来たのか?」
海貝(うかい):「死にに来たわけじゃありません」
悪間憑(あまつ):「ハッ!逃げ出した小物風情が、何をほざく?」
海貝(うかい):「もう逃げません。貴方を殺す剣士の名を、その脳裏に焼き付けなさい!!
海貝(うかい):私はウカイ!随一の使い手と謳われたノウヤの志(こころざし)を継ぐもの!」
悪間憑(あまつ):「はは、はははっ!貴様が私に勝てると、本気で思っているのか?」
海貝(うかい):「勝てるかどうかじゃなく!私は立ち向かわなくてはならない!
海貝(うかい):あの人が信じてくれた!その私を裏切らない為に!!っやあぁぁぁぁぁあああぁぁあぁ!」
悪間憑(あまつ):「っ、何!?」
海貝(うかい):「そこだぁ!」
:
海貝(うかい):(M)へらへらしていて、やる気のない不真面目そうな人。それがあの人の第一印象だった。
:
悪間憑(あまつ):「ぐ…!くそっ、小賢しいっ!」
海貝(うかい):「くっ!…まだ!まだだあぁ!」
:
海貝(うかい):(M)なのに空気を読むのが上手くて、不思議とまわりを和ませるつかみどころのない人。そんな人が私の先輩だった。
:
悪間憑(あまつ):「がはぁっ!!」
海貝(うかい):「次は…そこだ!!」
:
海貝(うかい):(M)あんなに強いなんて知らなかった。そんな過去があるなんて知らなかった。そんなに認めてくれていたなんて…。
:
悪間憑(あまつ):「く…っ何故だ…?何故、私の一振りにすら耐えられなかった貴様ごときが!」
海貝(うかい):「はああああああああ!」
:
海貝(うかい):(M)ならば私がやることはただひとつ。
:
悪間憑(あまつ):「調子に乗るな!
悪間憑(あまつ):「伸展解放 赤凛一擲!!
悪間憑(あまつ):(しんてんかいほう、せきりんいってき)」
:
海貝(うかい):(M)私の全力を持ってコイツを仕留めること…!
:
海貝(うかい):「伸展解放 薔!
海貝(うかい):(しんてんかいほう、みずたで)」
悪間憑(あまつ):「なに!?この技を貴様のような小娘が止めるだと!?」
海貝(うかい):「てやぁ!!」
悪間憑(あまつ):「がっ…貴様!この短期間で、何故そこまで強くなった…!?」
海貝(うかい):「違う!!」
:
:【SE】刀を構える音
海貝(うかい):「(詠唱)『間違っています。私が強いのではなく、貴方が弱いのですよ?』
海貝(うかい):
海貝(うかい):終伸展解放 風華狂乱撃 薔!
海貝(うかい):(しゅうしんてんかいほう、ふうか きょうらんげき、みずたで)」
悪間憑(あまつ):「ぐうっ…足、が…っ!」
海貝(うかい):「っはぁ…はぁ…」
悪間憑(あまつ):「…ふ…ふふふふふ…くはっ、くはははっはははは!!」
海貝(うかい):「!? …何が、おかしい…!」
悪間憑(あまつ):「確かに…貴様を見くびっていた様だ…。ならば!それ相応に相手をしてやろう!!」
海貝(うかい):「…きゃぁ!?」
悪間憑(あまつ):「喜べ。あやつと同じ技で屠ってくれる」
海貝(うかい):「…っそんな…」
悪間憑(あまつ):「(詠唱)『恐怖こそ自由、我れこそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』
悪間憑(あまつ):
悪間憑(あまつ):終伸展解放 恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲!
悪間憑(あまつ):(しゅうしんてんかいほう、きょうめいいきいだとら、せきりんいってき)」
海貝(うかい):「か…は…」
悪間憑(あまつ):「貴様らの様な慣れ合いをみると、本当に反吐(へど)が出る…。
悪間憑(あまつ):絆?仲間?はは、笑わせるな!…そんなもの、何の役にも立たない!」
海貝(うかい):「…う、ぁ…」
悪間憑(あまつ):「この世で信じられるものは!絶望のみだ!!」
0:悪間憑、海貝に向け剣を振りかぶる。
包水(ほうすい):「そこまでだ!アマツううううううううう!!」
悪間憑(あまつ):「貴様はっ…!」
:
望(もち):「っ、ウカイさん!しっかりして下さい!」
海貝(うかい):「…モチ、くん……」
望(もち):「なんで…どうして、一人で…!」
海貝(うかい):「わかって、ます…。これは、私の…わがまま、ですね…。
海貝(うかい):…でも…どうして、も…あの人の期待に…応えたかった…」
望(もち):「ウカイさん…!ウカイ…さん…死んじゃダメだ!!」
海貝(うかい):「モチくん…ダメな先輩で…ごめ、んな…さ……」
望(もち):「っ…ウカイ、さん…」
:
悪間憑(あまつ):「…邪魔を、するな…!」
包水(ほうすい):「断る」
悪間憑(あまつ):「なぜ…貴様らはそんなにも抗う?
悪間憑(あまつ):力を持つ者には、器(うつわ)が必要だ。その器を持たない弱者が、分不相応にも技を振るうから、世は荒れ、世界は破滅する。
悪間憑(あまつ):力とは、持つべき者が持ってこそ、初めて真価を得る。それがわからぬ貴様ではあるまい」
包水(ほうすい):「では器(うつわ)が育たぬうちに、力を得た者はどうすればいい?
包水(ほうすい):力を持つからこそ、力を振るう意味と己の信じる正義を考え、律するべきなのだ」
悪間憑(あまつ):「器が育つまでにどれほどの時間をかける?世の中はそんなに利口ばかりではあるまい。悠長に器を育ている間に失われる命は多かろう?」
包水(ほうすい):「今!命を奪い続けているのは、お前ではないか!!」
悪間憑(あまつ):「力を持たぬものを排除して何が悪い」
包水(ほうすい):「選民思想がすぎると言っているのだ!力の有無は本人の意思で決まるものではない!持たざる者が淘汰される世界など混沌にしかならない!」
悪間憑(あまつ):「ははは!甘すぎる考えだな!反吐が出る。所詮、貴様も弱者なのだな。我の思想が理解できなくても無理はあるまい。」
包水(ほうすい):「相容れぬか…。剣をとれ、アマツ。
包水(ほうすい):榊組・縁(えにし)筆頭、ホウスイ!いざ…参る!!」
悪間憑(あまつ):「ならば相手をしてやろう!!我はアマツ…皇組、アマツ!!」
包水(ほうすい):「(同時に)はあああああああああああ!!!!」
悪間憑(あまつ):「(同時に)はあああああああああああ!!!!」
:
望(もち):「…すごい……」
:
悪間憑(あまつ):「ふはははははは!!!その程度で、我が取れると思っているのか!?」
包水(ほうすい):「なめるなぁ!!」
悪間憑(あまつ):「ふっ!さすがは縁(えにし)筆頭!ならば、これは受けきれるか!?」
包水(ほうすい):「受けてみせる!今まで抱えてきたものの重みに比べれば!!」
悪間憑(あまつ):「ならば、その重さごと潰れてしまえ!」
包水(ほうすい):「潰れるのは!貴様だあああアマツ!!!」
:
望(もち):「…これが…筆頭同士の、戦い…」
:
悪間憑(あまつ):「これは…どうだぁ!!!」
包水(ほうすい):「くっ…!」
0:交戦中の二人の影から現れる鬼沙羅。
鬼沙羅(きさら):「……」
望(もち):「!? あれは…!」
鬼沙羅(きさら):「死ね」
包水(ほうすい):「なっ…!?」
0:鬼沙羅、包水に切りかかる。
望(もち):「やめろ!!!」
:【SE】剣の交わる音
望(もち):「手出しはさせない!!」
鬼沙羅(きさら):「……」
望(もち):「お前は…誰だっ!」
鬼沙羅(きさら):「…あぁ、なんだ…。忘れてしまったのか?」
望(もち):「なに!?」
鬼沙羅(きさら):「あんなに俺の後ばかりついて来ていたのに…。大きくなったな、モチ」
望(もち):「!? な、なんで僕の名を…」
鬼沙羅(きさら):「今度は…大切な者を巻き込まないといいな?俺たちの母の時の様に…」
望(もち):「…!?」
:
0:回想(幼少期)
:
望(もち):(幼少期)
望(もち):「わぁ…!兄ちゃん、すごい!あーんな大きな岩が、半分になっちゃった!」
鬼沙羅(きさら):(幼少期)
鬼沙羅(きさら):「俺は選ばれて生まれてきたからな。このくらいの事、なんでもないさ」
望(もち):「ねぇ、兄ちゃん!あれ、やってよ!」
鬼沙羅(きさら):「あれって…伸展か?」
望(もち):「うん!僕、兄ちゃんの伸展、大好きだ!」
鬼沙羅(きさら):「ダメだよ?あれは無闇に打つと危ないんだ。また今度見せてやるよ」
望(もち):「えー?じゃあ、僕にも剣を教えてよ」
鬼沙羅(きさら):「モチに?」
望(もち):「うん!僕も兄ちゃんみたいに強くなりたい!!」
鬼沙羅(きさら):「そうだなぁ…」
望(もち):「へへへ…そしたら僕も、伸展師になれるかなぁ…?」
鬼沙羅(きさら):「はは、それは諦めろ。伸展は選ばれた者にしか使えないんだ」
:
:回想続き・後日
:
0:望を探す鬼沙羅。望は母と話している。
鬼沙羅(きさら):「モチー!モチ、どこだ?」
望(もち):「お母さん、みてみて!僕すっごく上手に使える様になったんだよ?」
鬼沙羅(きさら):「モチ?…あいつ、どこに行ったんだ?」
望(もち):「いくよ?見ててね!」
0:鬼沙羅、望を見つける。
鬼沙羅(きさら):「…っ!モチ!!やめろ!!」
望(もち):「伸展! ほら、すごいでしょ!?僕にも大きい岩が切れる様になったんだぁ!」
鬼沙羅(きさら):「モチ!もういい!止めろ!」
望(もち):「あ、兄ちゃん!兄ちゃんも見てー!僕も兄ちゃんみたいに…」
鬼沙羅(きさら):「(被せて)やりすぎだ!早く止めろ!!」
望(もち):「…え?あれ……と、止まらない…」
鬼沙羅(きさら):「っくそ!だから俺がいないところで使うなって言ったろ!?」
望(もち):「兄ちゃん!…あ、つい…怖いよう…!」
鬼沙羅(きさら):「待て!今、兄ちゃんがなんとかしてやる!諦めるな!!」
望(もち):「あ…あ、ぁ…うわああああああああ!!!」
鬼沙羅(きさら):「くっ…伸展解放(しんてんかいほう)!」
望(もち):「ううぅぅぅぅぅ!!体がっ、あついよぅ!!」
鬼沙羅(きさら):「ぐうぅぅ…くそっ、なんで…!」
望(もち):「…兄ちゃん…助け、て……」
鬼沙羅(きさら):「っ!…うわああああああああああああああああ!!!」
:
0:間。
:
鬼沙羅(きさら):「…う、うぅ…っは!モチ!?モチ、大丈夫か!?」
望(もち):「…ひっく…ひっく…」
鬼沙羅(きさら):「! モチっ……か、あさん…?」
望(もち):「うぇ…うえぇ…」
鬼沙羅(きさら):「…嘘でしょ…?母さん…なんで、そんな…血が…」
望(もち):「お母さぁん…僕、ただ…力を見せたくて…」
鬼沙羅(きさら):「…っく…」
望(もち):「…僕のせいだ…。僕が、こんな力を使えるから…っ!」
鬼沙羅(きさら):「…モチ…」
望(もち):「こんな力…っ、なければよかった!!!」
:
0:回想終わり
:
鬼沙羅(きさら):「お前は…またその力を使っているのか…」
望(もち):「兄、ちゃん…?」
:
:【視点変更】包水と悪間憑
:
悪間憑(あまつ):「うおおおおおおお!」
包水(ほうすい):「はあああああああ!」
0:互いに衝突。弾き飛ばされる。
悪間憑(あまつ):「(同時に)がふっ…」
包水(ほうすい):「(同時に)ぐはっ…」
0:互いに満身創痍の状態。※息切れや咳込みなどを交え、演じてください。
悪間憑(あまつ):「その左腕では…満足に剣も振るえないのではないか…?」
包水(ほうすい):「…それは、っ貴様も…同じだろう…」
悪間憑(あまつ):「ふふふ…この程度、ハンデにもならんわ…!」
包水(ほうすい):「奇遇だな…っ、私もちょうど…そう思っていた、ところだ…」
悪間憑(あまつ):「ぬかせ…!先ほどから、足がふらついているぞ…?」
包水(ほうすい):「それはお互い様だろう…!そろそろ…決着といこうではないか…」
悪間憑(あまつ):「よかろう…いくぞ?」
包水(ほうすい):「来い…っ!」
:
悪間憑(あまつ):(M)私はずっと考えていた。なぜ弱者が存在するのか。
包水(ほうすい):(M)戦え。後悔があろうと、悔恨(かいこん)に打たれようと、戦え。
悪間憑(あまつ):それは強者がいるからだ。では強者とは誰だ?
包水(ほうすい):やつらに抗うのだと。己にそう定めたのであれば、全身全霊で戦え。
悪間憑(あまつ):力に選ばれ、それを使いこなすことのできる選ばれた存在。
包水(ほうすい):道半ばで散った想いを全て抱えて、一秒も一瞬も刹那(せつな)も諦めず、貪欲に喰らいつけ。
悪間憑(あまつ):ならば強者であり続けるためにはどうすればいい?…簡単だ。
包水(ほうすい):まだ立てるのならば、まだ指が動くのならば、まだ牙が折れていないのならば。
悪間憑(あまつ):勝って、勝って、勝ち続けろ。
包水(ほうすい):立って、立って、ただ戦え。
:
悪間憑(あまつ):「(詠唱)『恐怖こそ自由、我こそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』」
包水(ほうすい):「(詠唱)『希望を失うな。立ちなさい、行きなさい。誰かの為じゃない、自分の為に。』」
悪間憑(あまつ):「(同時に)終伸展解放(しゅうしんてんかいほう)」
包水(ほうすい):「(同時に)終伸展解放(しゅうしんてんかいほう)」
悪間憑(あまつ):「恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲
悪間憑(あまつ):(きょうめいいき いだとら、せきりんいってき)」
包水(ほうすい):「靁包光神撃一閃 水浅葱
包水(ほうすい):(らいほうこう しんげきいっせん、みずあさぎ)」
:
望(もち):「ホウスイさん!!!!!!!!」
:
0:長い間。
:
0:鬼沙羅、無言で悪間憑の元へ。
鬼沙羅(きさら):「……無様だな」
悪間憑(あまつ):「……私を殺すか?」
鬼沙羅(きさら):「弱者は必要ない…だったか?」
悪間憑(あまつ):「ははっ、私が、弱者…だったか…」
鬼沙羅(きさら):「…そうだな」
:
:【SE】狼の遠吠え
鬼沙羅(きさら):「(詠唱)『全てを壊してやる、そして新たに与えよう。異存のない、完全なる世界を。』
鬼沙羅(きさら):
鬼沙羅(きさら):終伸展解放 滅心混常闇 狼狽黒罰
鬼沙羅(きさら):(しゅうしんてんかいほう、げんしんろん とこやみ、ろうばいこくばち)」
望(もち):「!? …何を!」
:【SE】一閃の音
0:鬼沙羅、悪間憑の首を落とす。
:
望(もち):「何…を…」
鬼沙羅(きさら):「……」
0:鬼沙羅、無言で望に向き直る。
望(もち):「…やめろ…来るな…!」
鬼沙羅(きさら):
鬼沙羅(きさら):(詠唱)『恐怖こそ自由、我こそが勝者、それ以外何もない、滅びるが良いぞ。』」
望(もち):「それは…アマツの…!」
鬼沙羅(きさら):「終伸展解放 恐鳴域韋駄虎 赤凛一擲
鬼沙羅(きさら):(しゅうしんてんかいほう、きょうめいいき いだとら、せきりんいってき)」
望(もち):「くっ…間に合わない…!っうわあああああ!!」
:
0:間。
:
望(もち):「…え?」
鬼沙羅(きさら):「まだ、動けたか」
包水(ほうすい):「がはっ!」
望(もち):「…ホウスイ…さん…?」
0:望を庇い、赤凜一擲を受けた包水が倒れる。
望(もち):「っ!!ホウスイさん!!嘘だっ、ホウスイさん!!」
鬼沙羅(きさら):「…興が削がれたな」
望(もち):「っっ…キサラああぁぁぁぁぁぁ!!」
鬼沙羅(きさら):「(食い気味に)結局。また大切な者を巻き込んだな、モチ」
望(もち):「!?」
鬼沙羅(きさら):「力を使うから、そういうことになるんだ。またお前のせいで、人が死んだ」
望(もち):「…僕の、せい…?」
鬼沙羅(きさら):「そうだ。お前のせいだ」
望(もち):「…あ…あぁ、ぁぁぁ…」
鬼沙羅(きさら):「分かったら大人しくしているんだな」
0:鬼沙羅、立ち去る。
:
望(もち):「僕の…せい…?僕が、力を使った、から…僕が…」
包水(ほうすい):「ごほっ!!」
望(もち):「!! ホウスイさん!」
包水(ほうすい):「…何を、泣いてる…モチ…」
望(もち):「ごめんなさい…僕のせいです…。僕が…僕の力が…っ!
望(もち):…やっぱりあの時、大人しく…殺されておけば…」
包水(ほうすい):「顔をあげろ…!モチ…っ!」
望(もち):「っ!!」
包水(ほうすい):「…お前は弱いんじゃない」
望(もち):「…ホウスイさん…」
包水(ほうすい):「(咳込みながら)瞳が曇れば、魂は翳(かげ)る。それは未来を閉ざし、生きる意味を見失うという事だ…」
望(もち):「ホウスイさん!もう喋らないでください!!」
包水(ほうすい):「(食い気味に)聞くんだ、モチ…。己の正しきに従う時…下を向いて行う者に、どれほどの事が出来る…?」
望(もち):「それは…でも…」
包水(ほうすい):「顔をあげろ。前を向き、手を伸ばせ!
包水(ほうすい):泣いてもいい、立ち止まってもいい…ただ、信じるんだ。
包水(ほうすい):その先にこそ、希望があるのだから!!」
望(もち):「…希望」
包水(ほうすい):「後は任せたぞ…モチ…」
望(もち):「…ホウスイさん?ホウス、イさ…っ、うぅ…うああああああああああああああ!!」
:
0:長い間。
:
鬼沙羅(きさら):(M)「結局。また大切な者を巻き込んだな、モチ」
望(もち):「…そうだ」
鬼沙羅(きさら):(M)「力を使うから、そういうことになるんだ」
望(もち):「僕はまた、この力を使っている…」
鬼沙羅(きさら):(M)「またお前のせいで、人が死んだ」
望(もち):「僕がいつまでも、未熟だったせいだ」
鬼沙羅(きさら):(M)「お前のせいだ」
望(もち):「…わかってる」
鬼沙羅(きさら):(M)「分かったら大人しくしているんだな」
望(もち):「(食い気味に)分かっているからこそっ!僕はたつんだ!!
望(もち):『誰かの為じゃない、自分の為に』!!
望(もち):僕は!お前を倒してみせる!!!!!」
:
:
0:次回予告
望(もち):憧れた人の思いに応える為に戦い、儚く散ったウカイ。
望(もち):ホウスイとアマツも、互いの信念に思いを馳せて、散っていった。
望(もち):折れかけた心を奮い立たせ、兄であり真の強敵に立ち向かうことを決めたモチ。
望(もち):彼らの正義が今、激しく音をたててぶつかる…!
望(もち):
望(もち):次回。DISTOPIA BREAK Real Final『絶望』
望(もち):(でぃすとぴあ ぶれいく りある ふぁいなる『ぜつぼう』)
:
望(もち):「キサラアアアアアアアアア!」
0:続く