台本概要

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タイトル さよなら金八先生
作者名 ヒロタカノ  (@hiro_takano)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男1、不問3)
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 金八先生をリスペクトする空回り先生の話

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どこかなにかで使っていただけたら幸いです。

「使ったよ」とでもコメントいただけたらありがたいです。

いつかどこかで誰かのお役に立ちますように。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
内村 28 3年B組の担任
加藤 不問 13 3年B組の生徒
宮沢 不問 6 3年B組の生徒
浅井 不問 3 3年B組の生徒
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
○:3年B組 教室 0:学生服やセーラー服を着た生徒達が席に座り、皆うつむいている。 0:教壇からジャージ姿の内村輝雄が生徒達を見下ろす。 0:壁の時計は3時を差す。 内村:「先生はな…お前らをそんな生徒に育てたつもりはない…そう思ってる…。だが人間、誰にも過ちというものがあるな?」 0:内村は生徒を見回し、 内村:「正直に言いなさい。加藤の財布を盗んだのは、誰だ?」 0:うつむいたままの生徒達。生徒の中の一人、加藤雪生が顔を上げ、 加藤:「ウッチャン、いいよ、もう」 内村:「なに?」 加藤:「きっと間がさしたんだよ。あんま金入ってなかったし、帰ってテレビ見たいし、もういいよ」 0:ダンッと教壇を叩く内村。ビクッと生徒達。 内村:「馬鹿野郎!これはお前だけの問題じゃないんだ!…腐ったミカン方程式って知ってるか?昔あるテレビで先生が感動した言葉だ!俺が担任を持ったからには間違った生徒は作らん!一人もだ!絶対にだ!」 0:加藤が小声で、 加藤:「…暑苦しい…」 内村:「よぉし!じゃあ先生にも考えがある!名乗り出るまで誰一人帰さないからな!」 0:ええ!?と声を上げる生徒達。 内村:「うるさい!お前らもクラスに泥棒がいて良いのか!?他人に無関心?それでいいのか?先生はそれも許せない!先生が過ちを正してやる!誰一人、間違った大人にさせるものか!」 0:内村はムスッと隣にあった椅子を手に取るとドカッっと座る。座った拍子にジャージが椅子にひっかかり、ポケットからドサッと物が教壇の下に落ちる。 内村:「…ん?」 0:床を見下ろす内村。床にはチョークケース、小銭、自転車の鍵、使用済みの楊枝、歯ブラシセット、赤いボールペンなど。その中に財布がひとつ。財布をポカンと見る内村。 ○:(回想)3年B組 教室 0:廊下から教室の扉を開ける内村。教室を見回し、 内村:「おいおい…移動教室の時には鍵をかけろと。日直は誰だ…ん?」 0:机の上に財布が置いてある。 内村:「誰だぁ?無用心だぞ?しょうがない、放課後まで預かっておくか」 0:ポケットに財布を入れる内村。 ○:3年B組 教室 0:内村わなわなと肩を震わし、あんぐりと口を開けて大声で、 内村:「これかー!!」 0:生徒一同、内村に注目。視線に気づき慌てて財布を踏んで隠し、 内村:「こっ、これかーらじっくり考えるんだぞ。自分と向き合って…いいな、うん」 0:床に散らばった物を拾いながらそっと靴の裏の財布をポケットにしまう内村。 ○:3年B組 教室(夕) 0:壁の時計は6時を差す。校庭から部活動の掛け声がする。 0:うつむいたままの生徒達。 0:椅子に座ってポケットに手を突っ込んでいる内村。 0:静かな教室に時計の針がコチコチと響く。 内村:「(心の声)前略…金八先生…ピンチです。僕はどうしたらよかとですか?先生ならこんなとき、どうしますとか?大人として正直に打ち明けたほうが良かとですか?」 0:内村は生徒を見回し顔を伏せ首を振る。 内村:「いやいや…それは自分には無理とです。教師の面目丸つぶれとです。明日から3年B組うっかり先生キャラでいきますか?それじゃ即効学級崩壊とです。ああ…こんなことならすぐ言えば良かったなぁ。こんなの金八先生も教えてくれなかったとじゃないとですか?…ああ、僕は…どうしたら…」 0:ガタッと椅子がなる。顔を上げる内村。加藤が席を立ち隣の席に座っている浅井保を見て、 加藤:「…お前じゃねえの?浅井」 0:加藤を見上げる浅井。 浅井:「はっ?」 加藤:「ウッチャン、きっとこいつだよ。こいつが俺の財布を盗んだんだよ」 浅井:「はっ?ちょっ、お前なに言ってんの?」 0:立ち上がって加藤と向かい合う浅井。 加藤:「だってお前、坂本達と俺のこと前からむかつくって言ってんだろ?知ってるぜ?嫌がらせだろ?」 浅井:「ああ?っざけんなよ?…あのなぁ…だから前からそういう一方的なとこが気に入らないんだよ」 0:加藤の胸倉を掴む浅井。 加藤:「んだよ?やんのか!?」 0:胸倉をつかみ合う二人。女子生徒のやめなよという声が飛び交う。ゆっくり天井を見上げる内村。 内村:「(心の声)ああ…とうとう僕のせいで生徒が争いを始めました。…どうやら僕…ここまでとです。あなたのようになれませんでした。さよなら!金八先生!」 0:内村は口を開け息を吸い、 内村:「ごめん、」 宮沢:「ごめんなさい!」 内村:「んなはぁあいいい!?」 0:内村と宮沢優の声がはもる。ガタッと宮沢は立ち上がり、 宮沢:「ごめんなさい!ウッチャン、僕が加藤君の財布を盗みました!」 0:ポケットから財布を出して両手で前に突き出す宮沢。口を開けたままの内村、自分の足元と宮沢の財布を交互に見て、 内村:「はぁいい!?」 0:うつむいて震える宮沢。加藤が宮沢に駆け寄り肩を押す。 加藤:「ってめぇ、ざっけんなよ、早く言えよ!おっせえよ!」 宮沢:「だって…だって加藤君がいつも僕のことからかって…やめてって言えなくて。だから困らせてやろうと」 加藤:「馬鹿かよ!?そんなくだらないことでみんな迷惑したんだぞ!?」 宮沢:「言おうとしたんだよ、言おうとしたんだ!でも怖くって、ごめんなさい!」 加藤:「ごめんじゃすまねえよ!どうすんだよ?お前がすぐ言わないから何時間も…テレビ見れねえし、ふざけんなよっ」 0:宮沢の胸倉をつかむ加藤。宮沢はごめんなさいを繰り返し泣き出す。 0:二人を見ていた内村は顔伏せ目をつぶる。 内村:「(心の声)…金八先生…僕は…僕は…悪い大人ですっ!宮沢、ごめん!」 0:内村はカッと目を開くと黒板をダンッと叩き、 内村:「やめろぉお!!宮沢を責めるなぁ!!」 0:ピタリと止まる加藤。生徒は内村に注目する。内村は教壇に両手をつき、うつむくと、 内村:「…宮沢…つらかったろう…言い出すのはすごい勇気がいったろう…痛いほどわかるぞ、気持ちが」 宮沢:「…先生?」 内村:「先生、宮沢のその勇気に感動した。だが、人のものをとってはいかんぞ?」 0:うつむく宮沢。内村は加藤を見て、 内村:「そして…お前も悪い、加藤」 加藤:「ええ?俺?」 内村:「お前はちょっと先生と似てるな。夢中になったら周りが見えなくなるところがあるだろう?…ポケットの中とか!」 加藤:「…うん…え?ポケット?」 内村:「どうして宮沢はお前の財布を盗んだかわかるな?お前に気づいてほしかったんだよな?気づいていたか?」 0:目を伏せる加藤。二人を交互に見てうなずく内村。生徒を見回し、 内村:「みんな。つきあわせてすまなかったな。…でもな、先生、どうしてもみんなで一緒に学んでもらいたかったんだ」 0:内村は微笑み、 内村:「いいか?大人になったらな、だあれも間違いを指摘してくれないんだぞ?自分で考えて決めなきゃならん。だから今だけは、みんなで考え、悩んで、学んで欲しい。どうか、弱い大人にならないで欲しい…弱い大人にならない…くっ」 0:涙が頬をつたい、すすりなく内村。 宮沢:「…先生…ごめん。泣かないで、ごめんなさい」 加藤:「…ウッチャン…なんかこっぱずかしいけど、そこまで真剣にやってくれて…ごめん…ありがとうな」 0:パチパチと生徒から拍手がおこる。 内村:「…うっ」 0:内村は顔を伏せ駆け出す。ドアを勢いよく開け廊下へ飛び出す。ぴしゃりと閉まるドア。 ○:廊下(夕) 0:ドアに寄りかかる内村。ずるずると地べたに座るとポケットからサイフを取り出す。両手で財布を握り大声で、 内村:「あああああ!金八先生!ぼくぅわぁ!弱い人間です!生徒を騙してずるい大人になりましたぁ!教師としてぇ!このままで良かとですかぁ!教えてください!金八先生ー!この財布、誰のですかー!」 0:窓の外には夕日。 0: 0:子どもは大人から教わり、ときに子どもは大人から教わることもある。 0:そんな教科書通りにいかないホームルーム。

○:3年B組 教室 0:学生服やセーラー服を着た生徒達が席に座り、皆うつむいている。 0:教壇からジャージ姿の内村輝雄が生徒達を見下ろす。 0:壁の時計は3時を差す。 内村:「先生はな…お前らをそんな生徒に育てたつもりはない…そう思ってる…。だが人間、誰にも過ちというものがあるな?」 0:内村は生徒を見回し、 内村:「正直に言いなさい。加藤の財布を盗んだのは、誰だ?」 0:うつむいたままの生徒達。生徒の中の一人、加藤雪生が顔を上げ、 加藤:「ウッチャン、いいよ、もう」 内村:「なに?」 加藤:「きっと間がさしたんだよ。あんま金入ってなかったし、帰ってテレビ見たいし、もういいよ」 0:ダンッと教壇を叩く内村。ビクッと生徒達。 内村:「馬鹿野郎!これはお前だけの問題じゃないんだ!…腐ったミカン方程式って知ってるか?昔あるテレビで先生が感動した言葉だ!俺が担任を持ったからには間違った生徒は作らん!一人もだ!絶対にだ!」 0:加藤が小声で、 加藤:「…暑苦しい…」 内村:「よぉし!じゃあ先生にも考えがある!名乗り出るまで誰一人帰さないからな!」 0:ええ!?と声を上げる生徒達。 内村:「うるさい!お前らもクラスに泥棒がいて良いのか!?他人に無関心?それでいいのか?先生はそれも許せない!先生が過ちを正してやる!誰一人、間違った大人にさせるものか!」 0:内村はムスッと隣にあった椅子を手に取るとドカッっと座る。座った拍子にジャージが椅子にひっかかり、ポケットからドサッと物が教壇の下に落ちる。 内村:「…ん?」 0:床を見下ろす内村。床にはチョークケース、小銭、自転車の鍵、使用済みの楊枝、歯ブラシセット、赤いボールペンなど。その中に財布がひとつ。財布をポカンと見る内村。 ○:(回想)3年B組 教室 0:廊下から教室の扉を開ける内村。教室を見回し、 内村:「おいおい…移動教室の時には鍵をかけろと。日直は誰だ…ん?」 0:机の上に財布が置いてある。 内村:「誰だぁ?無用心だぞ?しょうがない、放課後まで預かっておくか」 0:ポケットに財布を入れる内村。 ○:3年B組 教室 0:内村わなわなと肩を震わし、あんぐりと口を開けて大声で、 内村:「これかー!!」 0:生徒一同、内村に注目。視線に気づき慌てて財布を踏んで隠し、 内村:「こっ、これかーらじっくり考えるんだぞ。自分と向き合って…いいな、うん」 0:床に散らばった物を拾いながらそっと靴の裏の財布をポケットにしまう内村。 ○:3年B組 教室(夕) 0:壁の時計は6時を差す。校庭から部活動の掛け声がする。 0:うつむいたままの生徒達。 0:椅子に座ってポケットに手を突っ込んでいる内村。 0:静かな教室に時計の針がコチコチと響く。 内村:「(心の声)前略…金八先生…ピンチです。僕はどうしたらよかとですか?先生ならこんなとき、どうしますとか?大人として正直に打ち明けたほうが良かとですか?」 0:内村は生徒を見回し顔を伏せ首を振る。 内村:「いやいや…それは自分には無理とです。教師の面目丸つぶれとです。明日から3年B組うっかり先生キャラでいきますか?それじゃ即効学級崩壊とです。ああ…こんなことならすぐ言えば良かったなぁ。こんなの金八先生も教えてくれなかったとじゃないとですか?…ああ、僕は…どうしたら…」 0:ガタッと椅子がなる。顔を上げる内村。加藤が席を立ち隣の席に座っている浅井保を見て、 加藤:「…お前じゃねえの?浅井」 0:加藤を見上げる浅井。 浅井:「はっ?」 加藤:「ウッチャン、きっとこいつだよ。こいつが俺の財布を盗んだんだよ」 浅井:「はっ?ちょっ、お前なに言ってんの?」 0:立ち上がって加藤と向かい合う浅井。 加藤:「だってお前、坂本達と俺のこと前からむかつくって言ってんだろ?知ってるぜ?嫌がらせだろ?」 浅井:「ああ?っざけんなよ?…あのなぁ…だから前からそういう一方的なとこが気に入らないんだよ」 0:加藤の胸倉を掴む浅井。 加藤:「んだよ?やんのか!?」 0:胸倉をつかみ合う二人。女子生徒のやめなよという声が飛び交う。ゆっくり天井を見上げる内村。 内村:「(心の声)ああ…とうとう僕のせいで生徒が争いを始めました。…どうやら僕…ここまでとです。あなたのようになれませんでした。さよなら!金八先生!」 0:内村は口を開け息を吸い、 内村:「ごめん、」 宮沢:「ごめんなさい!」 内村:「んなはぁあいいい!?」 0:内村と宮沢優の声がはもる。ガタッと宮沢は立ち上がり、 宮沢:「ごめんなさい!ウッチャン、僕が加藤君の財布を盗みました!」 0:ポケットから財布を出して両手で前に突き出す宮沢。口を開けたままの内村、自分の足元と宮沢の財布を交互に見て、 内村:「はぁいい!?」 0:うつむいて震える宮沢。加藤が宮沢に駆け寄り肩を押す。 加藤:「ってめぇ、ざっけんなよ、早く言えよ!おっせえよ!」 宮沢:「だって…だって加藤君がいつも僕のことからかって…やめてって言えなくて。だから困らせてやろうと」 加藤:「馬鹿かよ!?そんなくだらないことでみんな迷惑したんだぞ!?」 宮沢:「言おうとしたんだよ、言おうとしたんだ!でも怖くって、ごめんなさい!」 加藤:「ごめんじゃすまねえよ!どうすんだよ?お前がすぐ言わないから何時間も…テレビ見れねえし、ふざけんなよっ」 0:宮沢の胸倉をつかむ加藤。宮沢はごめんなさいを繰り返し泣き出す。 0:二人を見ていた内村は顔伏せ目をつぶる。 内村:「(心の声)…金八先生…僕は…僕は…悪い大人ですっ!宮沢、ごめん!」 0:内村はカッと目を開くと黒板をダンッと叩き、 内村:「やめろぉお!!宮沢を責めるなぁ!!」 0:ピタリと止まる加藤。生徒は内村に注目する。内村は教壇に両手をつき、うつむくと、 内村:「…宮沢…つらかったろう…言い出すのはすごい勇気がいったろう…痛いほどわかるぞ、気持ちが」 宮沢:「…先生?」 内村:「先生、宮沢のその勇気に感動した。だが、人のものをとってはいかんぞ?」 0:うつむく宮沢。内村は加藤を見て、 内村:「そして…お前も悪い、加藤」 加藤:「ええ?俺?」 内村:「お前はちょっと先生と似てるな。夢中になったら周りが見えなくなるところがあるだろう?…ポケットの中とか!」 加藤:「…うん…え?ポケット?」 内村:「どうして宮沢はお前の財布を盗んだかわかるな?お前に気づいてほしかったんだよな?気づいていたか?」 0:目を伏せる加藤。二人を交互に見てうなずく内村。生徒を見回し、 内村:「みんな。つきあわせてすまなかったな。…でもな、先生、どうしてもみんなで一緒に学んでもらいたかったんだ」 0:内村は微笑み、 内村:「いいか?大人になったらな、だあれも間違いを指摘してくれないんだぞ?自分で考えて決めなきゃならん。だから今だけは、みんなで考え、悩んで、学んで欲しい。どうか、弱い大人にならないで欲しい…弱い大人にならない…くっ」 0:涙が頬をつたい、すすりなく内村。 宮沢:「…先生…ごめん。泣かないで、ごめんなさい」 加藤:「…ウッチャン…なんかこっぱずかしいけど、そこまで真剣にやってくれて…ごめん…ありがとうな」 0:パチパチと生徒から拍手がおこる。 内村:「…うっ」 0:内村は顔を伏せ駆け出す。ドアを勢いよく開け廊下へ飛び出す。ぴしゃりと閉まるドア。 ○:廊下(夕) 0:ドアに寄りかかる内村。ずるずると地べたに座るとポケットからサイフを取り出す。両手で財布を握り大声で、 内村:「あああああ!金八先生!ぼくぅわぁ!弱い人間です!生徒を騙してずるい大人になりましたぁ!教師としてぇ!このままで良かとですかぁ!教えてください!金八先生ー!この財布、誰のですかー!」 0:窓の外には夕日。 0: 0:子どもは大人から教わり、ときに子どもは大人から教わることもある。 0:そんな教科書通りにいかないホームルーム。