台本概要

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タイトル グリムスイーパー
作者名 芥川ドラ之介
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男2、女3)
時間 60 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 有料無料に関わらず全て自由にお使いください。
過度のアドリブ、内容や性別、役名の改編も好きにしてください。
わたしへの連絡や、作者名の表記なども特に必要ありません。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
レオ 183 裏の世界最強の男、グリムスイーパーの通り名を持つ。
ソラ 111 レオにボディガードを依頼する。ヒロインポジ。
キヨカ 103 天真爛漫な私立銃術学園高等部の射撃ランク第二位。
イサミ 142 冷静沈着な私立銃術学園高等部の射撃ランク第一位。
ゼロ 100 狂気。依頼の仲介人であり、最強にヤバ~いオカマ。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:私立銃術学園高等部。 キヨカ:「やっぱりここにいた」 イサミ:「ここにいた?」 キヨカ:「イサミは、昼休み、いつも屋上でご飯を食べている。一人で」 イサミ:「悪い?」 キヨカ:「悪くはないけど、友だちと一緒に食べたほうが良くない?」 イサミ:「どうして?」 キヨカ:「どうしてって・・・。うーん・・・。一人でご飯食べてると、陰キャ扱いされるから?」 イサミ:「別に、誰に何と思われようと良くない?卒業したら、仕事で敵同士になって殺し合うかもしれないでしょ?その時に、非情になれなかったり、戦う時の微妙な癖とかバレてたら、それが弱点になって、最悪の場合、命を落とすことになる」 キヨカ:「確かに、そうかもしれないけど」 イサミ:「ここは、普通の学校じゃない。アサシンを育成する学校。誰かと仲良くなるメリットはないし、逆にデメリットのほうが大きい」 キヨカ:「デメリットか・・・」 イサミ:「あんたも、他人との関わりは、ほどほどにしといたほうがいいよ。あとできっと後悔することになるから・・・」 キヨカ:「それでも私は、イサミと友達になりたい!」 イサミ:「・・・は?」 キヨカ:「私は、イサミと友達になりたい!」 イサミ:「馬鹿なの?私は、あんたと友達になる気はない」 キヨカ:「どうして?」 イサミ:「それは、今、話したでしょ?わざわざ自分の弱点を作る気はない」 キヨカ:「私は、イサミの弱点にはならない!ねぇ、友だちになってよ!」 イサミ:「はぁ・・・。友達になりたい理由は?あなた、一体何が目的なの?」 キヨカ:「学園トップの射撃の腕をお持ちのイサミと友達になっておけば、将来、ピンチになった時に、助けてもらえるかな~」 イサミ:「は?」 キヨカ:「ってのは冗談で・・・。ちょっと、手伝ってほしいことがあるんだよね」 イサミ:「手伝ってほしいこと?」 キヨカ:「グリムスイーパーに会いたい」 イサミ:「・・・グリムスイーパーって、あの都市伝説の?」 キヨカ:「そう!マフィアのヤサに一人で乗り込んで、頭(かしら)の首だけ取って帰ったとか」 イサミ:「20人のSATを相手に、丸腰(まるごし)で勝ったとか?」 キヨカ:「そうそう!狙った獲物は必ず仕留める最強のヒットマン」 イサミ:「無駄な殺しはしないから、ターゲット以外は、気絶させられるか、半殺しって噂もあるよね」 キヨカ:「うんうん!しかも、超イケメンって話でしょ!」 イサミ:「あーね・・・」 キヨカ:「会ってみたい!」 イサミ:「・・・」 キヨカ:「イサミも会ってみたいでしょ?」 イサミ:「そりゃあ、この道で生きて行くって決めたからには、最強の顔を一度は拝んでおきたいとは思うけど・・・」 キヨカ:「だったら、会いに行くしかない!」 イサミ:「つまり、グリムスイーパーが拠点として活動しているって噂の九頭竜街(くずりゅうがい)に行くってこと?」 キヨカ:「その通り!あそこって、もはや治外法権(ちがいほうけん)の無法地帯(むほうちたい)って話でしょ?」 イサミ:「そうね。殺しをしても罪に問われないし、死んでも、そのまま放置される。学園で一番最初に教わる。絶対に近づいたらいけない危険な場所」 キヨカ:「だからこそ、行ってみたいって思わない?」 イサミ:「・・・」 キヨカ:「本物のグリムスイーパーに会ってみたくない?」 イサミ:「九頭竜街(くずりゅうがい)に行っても、グリムスイーパーに会える保証はなくない?」 キヨカ:「でも、九頭竜街に行かなければ、グリムスイーパーに会えないでしょ?」 イサミ:「そりゃあ、そうだけど・・・」 キヨカ:「こう見えても私、射撃の腕は、イサミに次いで、学園二位なんだよ」 イサミ:「そうだったんだ」 キヨカ:「『そうだったんだ』って、知らなかったんかい!」 イサミ:「興味ないから・・・」 キヨカ:「フフフ。学園1位と2位が手を組めば、九頭竜街でも、きっと何とかなる!グリムスイーパーに会える!」 イサミ:「うーん・・・。あんたに背中を預けるのか・・・」 キヨカ:「どう?不満ですか?私、学園2位!学園2位ですよ!」 イサミ:「そんな2位を主張されても・・・」 キヨカ:「行こ行こ!二人だけの社会見学!」 イサミ:「う~ん・・・」 キヨカ:「もしかして、怖いの?」 イサミ:「は!?」 キヨカ:「そうか・・・。やっぱり怖いよね~。学園1位でも、本物の殺し屋とかマフィアと鉢会(はちあ)うかもしれない場所に行くのは、怖いよね~」 イサミ:「そんなことない!」 キヨカ:「先生からも口を酸っぱくして教えられてるもんね~。危険な場所だから近づくなって~。そりゃあ、学園一位でも怖いよね~」 イサミ:「だ・か・ら!怖くないって!わかった!行ってやろうじゃないの!」 キヨカ:「ほんと?やったーっ!」 イサミ:「もう・・・」 キヨカ:「それと、私、『あんた』って名前じゃないから」 イサミ:「え?」 キヨカ:「私は、キヨカ。今からコンビを組むパートナーなんだから、きちんと名前で呼んでよね!」 イサミ:「・・・パートナー?」 キヨカ:「うん!名前、呼んで!」 イサミ:「はぁ・・・。き、キヨカ・・・」 キヨカ:「なーに?イサミ!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】九頭竜街、レオのアジト。 0:SE【着信音】 レオ:「・・・はぁ・・・。やっと切れた」 0:SE【着信音】 レオ:「ん!?またか!エジソンみたいにしつこい奴だな・・・」 0:SE【着信音】 レオ:「はいはい。出ます。出ますよっと・・・。えっと、こちら、普通のコンビニ。二十五歳以上の巨乳美女の依頼しか受け付けま~せん。てことで、電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「切らないで!あたしよ~。あなたの恋人、仲介人(ちゅうかいにん)のゼロよ。レオちゃ~ん!」 レオ:「・・・。てことで、電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「待って待って待って~!」 レオ:「・・・。あのぉ。当店は、二十五歳以上の巨乳美女の依頼しか受け付けていないので」 ゼロ:「二十五歳以上ではないけど、巨乳美女よ!巨乳美女からの依頼よ!」 レオ:「・・・。電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「待ちなさいって!」 レオ:「二十五歳以上ではないんだろう?」 ゼロ:「二十五歳以上では・・・ない、けど・・・」 レオ:「てことで、電話を」 ゼロ:(さえぎって)「待って!せめて!写真だけでも見なさいって!」 レオ:「・・・」 ゼロ:「レオちゃんのPCに写真、送るわね」 0:SE【レオがPCを操作する音】 レオ:「・・・は!?ふざけんな!テメェのキモい下着写真じゃねぇか!」 ゼロ:「あ~ら!間違えて私のお色気写真送っちゃったwてへっ♪」 レオ:「『てへっ♪』じゃねぇだろ!」 ゼロ:(さえぎって)「あぁ~、こっちが本物よ!」 レオ:「・・・ん?」 ゼロ:「どう?巨乳美人でしょ?」 レオ:「若いな・・・。学生か?」 ゼロ:「学生ではないわよ。現在20歳」 レオ:「20歳か・・・。依頼内容は?」 ゼロ:「あら?25歳以上じゃなくても、巨乳美女の依頼だったら受けちゃうのね」 レオ:「内容による」 ゼロ:「ボディガードよ。ボディガード。この子、命を狙われてるの」 レオ:「命を?薬の取引現場とか、何か見たらいけないものでも見てしまったのか?」 ゼロ:「それは、本人の口から直接聞いてちょうだい」 レオ:「・・・。ちなみに、この子の名前は?」 ゼロ:「名前?名前は、新村ソラ(にいむらそら)よ」 レオ:「新村・・・?」 ゼロ:「どうしたの?」 レオ:「あ?いや、なんでもない」 ゼロ:「それで?今回の依頼は、受けてくれるのかしら?」 レオ:「・・・。受ける」 ゼロ:「そう!良かったわ!」 レオ:「この子、命を狙われてんだろ?今は、どこに身を隠してるんだ?」 ゼロ:「九頭竜街よ」 レオ:「は?」 ゼロ:「The best place to hide a leaf is in a forest」 レオ:「木を隠すなら、森の中、か・・・。それにしても、危険すぎるだろ」 ゼロ:「大丈夫よ。今、私のアジトで匿(かくま)ってるから」 レオ:「余計に危険な気がするんだが・・・」 ゼロ:「あ~ら!失礼ね!あたしは、イイ男にしか興味ないわよ!」 レオ:「そういう意味で言ったんじゃない。お前は、ただの仲介人で、戦闘スキルが高いわけではないだろう?」 ゼロ:「どーせ!どーせ!あたしは、依頼を持ってくるだけの『ただの』『か弱い』仲介人ですよーだ!」 レオ:「とりあえず、依頼人に会いたい。待ち合わせ場所と時間は、そちらで指定してくれ」 ゼロ:「オーケー牧場!」 レオ:(さえぎって)「待った!」 ゼロ:「なによ?」 レオ:「今夜、22時~24時の間は、避けてほしい」 ゼロ:「ははぁ~ん。どーせまた、ゲームのイベントの降臨時間とかぶってるとかでしょ?」 レオ:「・・・」 ゼロ:「オーケーオーケー、オーケー牧場よ。それじゃあ、明日のAM10時とか、どうかしら?」 レオ:「了解。場所は?」 ゼロ:「喫茶エデン」 レオ:「了解」 ゼロ:「それじゃ、チャーオ!会うの楽しみにしてるわね~!」 0: 0:【間】 0: レオ:【M】にしても、アイツが女性の依頼を持ってくるなんて・・・。どういう風の吹き回しだ・・・? 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】喫茶エデン、店内。 ゼロ:「レオちゃん、遅いわね~」 ソラ:「・・・」 ゼロ:「緊張してる?」 ソラ:「あっ、はい・・・」 ゼロ:「大丈夫よ。ソラちゃんなら、絶対に大丈夫。なにしろ、レオは、巨乳美女には、すっごく弱いから・・・」 ソラ:「・・・」 0:SE【鈴の音】 ゼロ:「きたわね・・・。彼がミスター都市伝説、グリムスイーパーの通り名で有名なレオよ」 ソラ:「・・・」 レオ:「・・・悪い。メロスのように急いだんだが、ポケストのデイリークエストに手間取って、少し遅れた」 ゼロ:「も~う!10分も遅刻よ!恋人を待たせるなんて、最低!一体どういうつもりかしら?」 レオ:「恋人?」 ゼロ:「キラン♪キラン♪」 レオ:「その子が依頼人の?」 ソラ:「あ・・・」 ゼロ:「も~う!乙女の熱視線を無視しないでよ!そうよ!その子がソラちゃん!どう?美人でしょ?」 レオ:「・・・初めまして。レオです」 ソラ:「初めまして。ソラです」 レオ:「えっと・・・」 ソラ:「あ・・・」 ゼロ:「も~う!なによなによ!いきなりの桃色お花畑?二人だけのメルヘンワールドに入らないでよ!」 レオ:「ん?なんだそれ?」 ゼロ:「あたしのようなイイ~女がいるのに、無視しないでって言ってんの!」 レオ:「あぁ・・・。このオカマに何かされなかったか?」 ソラ:「なにもされてません」 レオ:「そうか・・・。それなら、良かった。ここだと誰に話を聴かれているかわからない。まずは、店を出ようか」 ソラ:「はっ、はい」 ゼロ:「え・・・。もう、出るの?」 レオ:「ん?ゼロは、ここにいていいぞ」 ゼロ:「どういうこと?」 レオ:「俺と依頼人だけで店を出るって意味だ」 ゼロ:「え~!なによなによ!あたしだけ置いてけぼりにする気?」 レオ:「置いてけぼりって・・・。ゼロは、ただの仲介人だろ?」 ゼロ:「そうだけど・・・。なによなによ!今日までソラちゃんのこと守っていたのは、誰だと思ってんのよ!あたしだって、その気になれば、そこらの半グレにも負けないんだからね!」 レオ:「はぁ・・・。少し、依頼人と二人だけで話したいことがあってだな」 ゼロ:「え?ま・さ・か!も~う、口説く気?ほんっと!下半身は猛獣ね!発情期のゴジラよ!25歳以上にしか興味ないって設定は、どうしたのよ?急にロリコンに目覚めちゃったってわけ?全く・・・巨乳美女だと見境ないんだから!」 レオ:「口説くつもりはないし、発情期のゴジラでもない。ただ、少し確認したことがあってだな・・・。すまない」 ゼロ:「ウルトラチョコレートパフェ」 レオ:「ん?」 ゼロ:「ウルトラチョコレートパフェ、おごりなさい」 レオ:「わかった。これで好きなものを、好きなだけ注文してくれ」 0:レオは、財布から札束を取り出し、ゼロの前に置く。 ゼロ:「あ~ら!これはこれは!随分と太っ腹だこと!」 レオ:「じゃあ、俺たちは、いくぞ」 ソラ:「あっ、はい・・・」 ゼロ:「ソラちゃんのこと、ちゃあんと、守ってみせなさいよね」 レオ:「・・・了解」 0:レオとソラは、店を出る。 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】桜花商店街。 イサミ:「ねぇ、どこが九頭竜街の入り口なの?」 キヨカ:「確かネットの情報では、桜花商店街(おうかしょうてんがい)の裏路地(うらろじ)から入れるって・・・」 イサミ:「桜花商店街の裏路地って言われても、たくさんあるけど、どこの裏路地?」 キヨカ:「う~ん・・・」 イサミ:「まさかとは思うけど、きちんと下調べをしてこなかったっていうオチ?」 キヨカ:「それは・・・。はははw」 イサミ:「『はははw』じゃないでしょ!あ~あ・・・。なんで、私、今、こんなおバカと一緒にいるんだろう」 キヨカ:「バカじゃないもん!学園二位ですから!」 イサミ:「それは、射撃の成績ね。座学は?」 キヨカ:「座学も、学園二位だよ!」 イサミ:「そうだったの?意外と頭良かったんだね」 キヨカ:「後ろから数えて、学園二位!」 イサミ:「は!?なにを偉そうに胸を張って言ってんのよ!やっぱりおバカだったんじゃないの!」 キヨカ:「テヘペロ♪」 イサミ:「『テヘペロ♪』って、もう古いから!カワイコぶっても無駄だから!」 キヨカ:「こうなったら・・・」 イサミ:「こうなったら?え?なにか考えでもあるの?」 キヨカ:「作戦Bで行く!」 イサミ:「作戦B?え?だったら、今まで無作為(むさくい)に歩き回っていたのは、作戦Aってこと?」 キヨカ:「・・・見つけた!話しかけやすそうなカップル!」 0:キヨカは、レオとソラに向かって走って行く。 イサミ:「え?嘘でしょ!?」 キヨカ:「すみませ~ん!」 レオ:「あ・・・。はい」 イサミ:(小声で)「ちょっと!なにやってんのよ!」 キヨカ:「九頭竜街には、どうやって行けばいいんですか?」 イサミ:(小声で)「直球?直球で知らない人にそんな質問する?やっぱりおバカ!」 レオ:「九頭竜街?ちょっと、わからないです。君も知らないよね?」 ソラ:「あっ、はい。知らないです。 キヨカ:「そうですか・・・。急に呼び止めたりして、すみません」 レオ:「いえ・・・」 0: 0:【間】 0: イサミ:「も~う!あんた、何やってんのよ!」 キヨカ:「何って、作戦B」 イサミ:「はぁ・・・」 キヨカ:「イサミ、今の人を追跡するよ!」 イサミ:「どういうこと?」 キヨカ:「乙女の勘!あのカップル、あやしいニオイがプンプンなのです!」 イサミ:「まぁ、チビの冴えないオッサンと若い巨乳美女って点では、あやしさ満載ね」 キヨカ:「犯罪のニオイ、即(すなわ)ち九頭竜街!」 イサミ:「はぁ・・・」 0: 0:【間】 0: ソラ:「今の女子高生、九頭竜街を探してましたね」 レオ:「あぁ・・・。みたいだね」 ソラ:「止めなくていいんですか?」 レオ:「どうして?」 ソラ:「九頭竜街は、多くの犯罪者が身を隠している危険な場所でしょ?あの二人、可愛かったし、絶対に犯罪に巻き込まれますよ」 レオ:「・・・だろうね」 ソラ:「『だろうね』って、無責任じゃないですか?」 レオ:「無責任?どうして?」 ソラ:「どうしてって、大人として、子どもを守るっていう義務が」 レオ:「君だって、まだ、子どもだろ?」 ソラ:「私は、もう、成人しています。立派な大人です」 レオ:「ほんとに?」 ソラ:「どういう意味ですか?」 レオ:「免許証か保険証はある?」 ソラ:「え?」 レオ:「あるなら、出してほしいな」 ソラ:「・・・。今は、ないですけど・・・」 レオ:「今は、ないんだね。だったら、君が年齢詐称をしている可能性を排除できないな」 ソラ:「そうですか・・・」 レオ:「君、家族は?」 ソラ:「・・・殺されました」 レオ:「殺された・・・?どうして?」 ソラ:「・・・わかりません」 レオ:「なるほど・・・。家族は殺されたってことは真実で、殺された理由がわからないってことと成人しているってのは、嘘なんだね」 ソラ:「えっ!?」 レオ:「ビンゴ!」 ソラ:「もしかして、ハメました?」 レオ:「あははwごめんね。ただ、裏の世界に長くいるとね。人の真実と嘘を見抜く力に長けてしまうものなんだよ」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「でも、話したくないことは、無理に話さなくていいし、俺の前では大人ぶらなくてもいい。君は、見た目よりもずっと若いってことは、なんとなくだけど、分かるから」 ソラ:「・・・」 レオ:「この角を曲がった先が九頭竜街だ。これをかけてくれ」 ソラ:「これは?」 レオ:「サングラスだよ」 ソラ:「サングラス?」 レオ:「こっから先は治外法権の無法地帯。視線がぶつかっただけで、相手の力量がわかる輩もいるし、弱いと判断されれば、すべてを奪いにくる好戦的な輩も多くいる」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「君は、とても優しい目をしている。だから、闇を引き寄せる」 ソラ:「闇を・・・」 レオ:「身を守るためだと思って、かけていてほしい。そのほうが俺も、君を守りやすいからね」 ソラ:「わかりました。あなたは、かけないんですか?サングラス」 レオ:「あぁ・・・。俺は逆にかけていないほうが牽制(けんせい)になるっていうか、なんというか・・・」 ソラ:「ん?」 レオ:「まぁ、一応、俺、最強だから・・・」 ソラ:「そう、なんですか?」 レオ:「そうなんです。んっ?」 ソラ:「どうかしましたか?」 レオ:「いや、ビルの上の方にハチがいたから」 ソラ:「ハチですか・・・」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「イサミ!今の見た?」 イサミ:「見たよ。物凄い早撃ち。私たちじゃなきゃ見逃しちゃうね」 キヨカ:「ビルの屋上から狙ってきたスナイパーを、発砲音のしない特殊銃でズドン!」 イサミ:「『ズドン!』って、音はしなかったでしょ!」 キヨカ:「音はしなかったけど、やっぱり、ただ者じゃなかったわ。あの援助交際チビおじさん」 イサミ:「え?援助交際チビおじさんって呼び方、ちょっと長すぎない?」 キヨカ:「じゃあ、エロチビおじ?エビチリ?うん。エビチリだ!」 イサミ:「エビチリ?まぁ、それでいいんじゃない?それと、どうやらここからが九頭竜街みたいね」 キヨカ:「そうだね。急に空気が変わった。なんていうか、まとわりつくような重い感じ?それに、いきなりスナイパーが狙ってくるなんて、普通じゃないよ!」 イサミ:「だね」 0: 0:【間】 0: レオ:「ちなみに、命を狙われてるってことだけど、犯人の目星とかは、付いてるの?」 ソラ:「それは・・・」 レオ:「見たらいけないものを見てしまったとか、何か心当たりはない?」 ソラ:「・・・。あれは、そう、薬の取引現場だったんだと思います」 レオ:「そうか・・・。薬のね。にしては、人数がちと多いな」 ソラ:「え?」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「イサミ!今の見た?」 イサミ:「・・・見た」 キヨカ:「物凄い早撃ち。ビルの屋上や中から狙ってきたスナイパーを5人まとめて~ズドドドドドン!私たちじゃなきゃ見逃しちゃうよね!ね!」 イサミ:「あのさ・・・」 キヨカ:「ん?」 イサミ:「今、エビチリがやった早撃ちが九頭竜街じゃ、常識、なのよね?だったら、九頭竜街の射撃レベルって、めちゃくちゃ高くない?」 キヨカ:「高いね!これは、負けてらんないなぁ~」 イサミ:「私、自信なくしちゃったな」 キヨカ:「もう!学園一位がそんな弱気なこと言わないでよ!」 イサミ:「でもさ・・・。今の見せられたら、私たちが学校で学んでる暗殺技術って、なんなんだろうなって・・・」 キヨカ:「仕方ないよ。私たちは、まだ学生でしょ?」 イサミ:「学生だけど、確実にあの人、私たちの先生より強いと思うよ」 キヨカ:「そりゃあ、九頭竜街の人なんだから、仕方ないよ!」 イサミ:「仕方ない、のかな?」 キヨカ:「うんうん。イサミと私なら、すぐあのレベルに追いつけるって!」 イサミ:「そうかなぁ・・・」 0: 0:【間】 0: ソラ:「どうかしたんですか?」 レオ:「あぁ・・・。うん。五匹のハチが飛んでいたから、刺されたくないな~って・・・」 ソラ:「飛んでたんですか?気づかなかったです」 レオ:「気づかない方がいいよ。怖いものは、見ないに越したことはない。だけど・・・うーん・・・。そうは言ってられないみたいだね。あ~ぁ、もうすぐアジトなのに」 ソラ:「そっ、装甲車!?」 レオ:「突っ込んでくる。ちょっと、失礼」 0:レオは、ソラを抱きかかえ、横に飛ぶ。そして、その刹那の間に、装甲車のタイヤ目掛けて弾丸を六発放つ。装甲車は、ビルに激突し、中から武装したヒットマンが一斉に飛び出してくる。 ソラ:「わっ!えっ?後ろからも!」 レオ:「う~ん・・・。これはこれは・・・。どうやら、取り囲まれちゃったみたいだね」 ソラ:「・・・」 レオ:「大丈夫。安心して。君のことは、命に代えても、俺が絶対に守るから」 ソラ:「え?」 レオ:「なにしろ俺は、君のボディーガードだからね」 ソラ:「はい・・・」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「どうする?やばいよ!これは、さすがにあのエビチリでも死んじゃうって!」 イサミ:「どうするって、助けるに決まってるでしょ!」 キヨカ:「助ける?助けるって、どっちを?」 イサミ:「そりゃあもちろん、エビチリ!」 キヨカ:「ちょっと、ちょっと~っ!」 0:イサミは、二丁に拳銃を構え、走りながらヒットマンに向かって発砲する。 キヨカ:「もう!仕方ないなぁ!」 0:キヨカもイサミのあとに続き、ヒットマンに向かって発砲する。 ソラ:「あれは?さっきの・・・」 レオ:「ふふ~ん。あの二人、やるじゃん!」 ソラ:「どうして嬉しそうなんですか!女子高生が拳銃なんて!」 レオ:「こっちも負けてらんないなぁ・・・。よっと!」 ソラ:「え?ええ~っ!」 0:レオは、ソラを上空に投げ飛ばす。ヒットマンたちは、レオ目掛けて発砲するが、レオはそれを紙一重でかわして行く。 レオ:「悪党の放つ銃弾は、この俺には当たらない。よっと!」 0:レオは、ヒットマンの武器だけを狙って銃弾を放つ。 レオ:「いっちょあがりっと!」 ソラ:「キャッ!」 レオ:「ナイスキャッチでしょ?お姫様」 ソラ:「お姫様?」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「ねぇ見た?エビチリのヤツ、あの数の銃弾を避けて、さらに敵の武器まで・・・」 イサミ:「見た見た!見たけど、こっちも避けなきゃだよ!」 キヨカ:「だね!銃口の射線と人差し指の微妙な動きを見逃さない!」 イサミ:「そう!それさえ注意していれば、銃弾なんて当たらない!」 キヨカ:「かわして、かわして~、撃つ!」 イサミ:「撃つ!」 キヨカ:「やった!ヒット!」 イサミ:「初の実戦にしては、いい感じ!」 レオ:「へぇ~。これが、君たちの初の実戦なんだ」 キヨカ:(同時に)「エビチリ!」 イサミ:(同時に)「エビチリ!」 レオ:「エビチリ?」 イサミ:「いや、それは、キヨカが勝手に言ってるだけで・・・」 キヨカ:「えっ?」 レオ:「キヨカちゃんって言うんだね?」 キヨカ:「あっ、はい」 レオ:「君の名前は?」 イサミ:「ぅわっ!私ですか?」 レオ:「うん。君の名前」 イサミ:「いっ、イサミです!」 レオ:「キヨカちゃんとイサミちゃん、君たち、俺の睨んだ通り、良い腕してるね!てことで、背中を預けるよ!」 キヨカ:「背中を預ける?」 イサミ:「キヨカ!共闘するって意味よ!」 キヨカ:「教頭?教頭先生なの?」 イサミ:「はぁ・・・。一緒に戦おうってこと!」 キヨカ:「あーね!オッケー!」 レオ:「よしっ!では、まかせた!」 イサミ:「って、え!?」 0:レオは、ソラを抱きかかえてジャンプし、ヒットマンの頭を踏んづけて、立ち去って行く。 キヨカ:「もしかして、エビチリのヤツ、逃げた?」 イサミ:「この数のヒットマンを置き去りにして?」 キヨカ:(同時に)「さいてー!」 イサミ:(同時に)「さいてー!」 キヨカ:「でも、なんだかワクワクするね!」 イサミ:「ほんっと、キヨカって、おバカ」 キヨカ:「えへへw」 イサミ:「いくよーっ!」 キヨカ:「うんっ!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 ソラ:「もう!最低!最低です!」 レオ:「そんなに最低?」 ソラ:「あの二人、学生ですよ!」 レオ:「学生だったね」 ソラ:「あのあと、殺されたかもしれませんよ」 レオ:「それはない」 ソラ:「どうして、そんな無責任なことが言えるんですか?」 レオ:「それは俺が、戦いの結末を予測できるタイプのノストラダムスだから?」 ソラ:「なんですかそれ・・・」 レオ:「それよりも、ここは、俺のアジトだ。安心して寛(くつろ)いでくれ。追手はすべて巻いたし、君が命を狙われることはない」 ソラ:「あの子たちを助けに戻らないんですか?」 レオ:「戻ったところで、もう、片付いてるよ。それだけ、あの二人は、規格外の強さを持ってるってことさ」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あの子たちが、どれだけ強かろうが関係ない!子どもを置いて逃げるような真似をしたことが許せません!」 レオ:「でも、才能があるんだから、実戦経験を積ませたほうが」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あなたは、子どもが銃を握るような世の中が正しいと思ってるんですか?」 レオ:「弱い子どもが身を守るための道具として銃を握る。悪いことではないだろう?」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あなたとは、一生分かり合えそうにありません!」 レオ:「生きてきた世界、住んでる世界が違うからね。価値観にズレが生じるのは、仕方のないことさ」 ソラ:「一体、どんな人生を送ってきたら、そんな考え方になってしまうんですか・・・」 レオ:「・・・。母国で地震があったんだ」 ソラ:「地震?」 レオ:「そう、大きな地震。その地震で、家族は、俺以外はみんな、死んでしまった。何も悪いことなんてしてないのにさ」 ソラ:「・・・」 レオ:「それで、俺は、人身売買の車に拉致(らち)されそうになったいたところを、とあるマフィアのおっさんに助けられた」 ソラ:「マフィアに?」 レオ:「『家族を亡くしたのか?すっごく悲しいよな。今日からは、俺がお前の親になってやる!』って、見ず知らずのガキのために涙を流して言ったんだぜ?顔に傷だらけの強面(こわもて)のマフィアのおっさんがだぜ?笑えるだろ?」 ソラ:「それは、自分の盾になる部下を一から育てようとしていただけでは?」 レオ:「確かに、俺は幼い頃から、暗殺技術をみっちりと仕込まれた。自分の身を守るためには、必要だからと・・・。だけどな。おっさんは、仲間に裏切られて、俺を人質に取られた時、ちゃんと助けにきてくれたんだ。血も繋がっていない俺なんかのために、命をかけてくれたんだ・・・」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「その結果、俺を守るために、おっさんは、死んだ・・・。おっさんの最期の言葉を今でも覚えてる・・・。『幸せになれ!』だとよ」 ソラ:「幸せに、なれ・・・」 レオ:「俺は思うんだ。人は、外見じゃない。肩書きじゃないってな。それは、子どもも大人も同じ。誰かの決めたルールに、誰かの価値観に合わせて、周りに流されて生きるのは、楽かもしれない。でもな、自分の目で見ることをやめて、自分自身で考えることをやめちまうと、物事の本質を、本当に大切にしなきゃいけないことを見失っちまうんだよ・・・。さっきの二人は、いい目をしていた。あの若さで、いっぱしの戦士の目だ。だから、あの二人が強くなる未来を想像したら、なんだかワクワクして、あの場を任せたくなった」 ソラ:「・・・」 レオ:「ごめんな。俺の価値観で、あの場の状況判断をしちまって・・・。子どもに、銃を握らせちまってさ・・・」 ソラ:「少し」 レオ:「ん?」 ソラ:「ほんの少しだけ、あなたのことがわかった気がします」 レオ:「そうか・・・。それは・・・。えっと・・・。ありがと」 ソラ:「いえ」 レオ:「あぁ・・・。話は変わるが、まだ、体力に余力はあるか?」 ソラ:「体力?」 レオ:「体力に余力があるなら、ほいっ!」 0:レオは、ソラの手元に向かって拳銃を投げる。 ソラ:「えっ?」 レオ:「ナイスキャッチ!それ、俺からのプレゼント、ベレッタPX4ストーム・サブコンパクト」 ソラ:「銃ですか?」 レオ:「女性でも扱いやすい銃だ。しかも、装弾数も13発と、小型銃にしては多い方だから、慣れていない素人さんにもピッタリ!」 ソラ:「はぁ・・・」 レオ:「下の階に射撃訓練のできる部屋があるから、そこで、少し撃ってみないか?」 ソラ:「自分の身は自分で守れと?」 レオ:「いいや、君のことは、俺が絶対に守る。命に代えてもね。これは、あくまでも保険だよ」 ソラ:「保険・・・」 レオ:「どうする?銃なんて見るのも嫌なら、断ってもいいけど?」 ソラ:「いえ、分かりました。私に、銃の撃ち方を教えて下さい」 レオ:「了解w」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】九頭竜街。 ゼロ:「あら~?あらあらあら~?情けない~。全員、ゼロちゃんにヤラレちゃったのね~!さっすが、愛しのレオちゃん!こんな雑兵(ぞうひょう)に、レオちゃんが負けるなんて、ありえない。う~ん!ありえないっ!で~も、おっかしいわね~。レオちゃんって、こんなにも無駄に殺しをしちゃうタイプだったかしら~?・・・んっ!?」 イサミ:「え?あぁ、どうも?」 キヨカ:「なになに?オカマのおじさん?」 ゼロ:「オカマのおじさんなんて、失礼なガキね!」 イサミ:「キヨカ、下がって!」 キヨカ:「え?」 イサミ:「コイツ、普通じゃない!」 ゼロ:「ウフフwあ~ら!あ~ら!よくわかってるじゃな~い!そうよ!あたしは、普通じゃない!と~っても強いオカマでーす!」 0:ゼロは、目にも止まらぬスピードで銃を抜き、発砲。その銃弾は、イサミの頬を掠める。 イサミ:「うっ、動けなかった・・・。コイツ、本物だ」 キヨカ:「イサミ!」 イサミ:「逃げて!」 キヨカ:「え?」 イサミ:「聞こえないの!逃げてって言ってんの!」 ゼロ:「あ~ら!逃がさないわよ!逃がすわけないでしょ~!」 0:ゼロは、キヨカとの距離を一足飛びで詰めて、その鳩尾に拳を捻じ込む。 キヨカ:「ぐふぁっ!」 0:キヨカは、血反吐を吐き、両手で腹を押さえて地面に蹲る。 イサミ:「キヨカーっ!」 ゼロ:「動かないで!動いたら、この子、今すぐ殺しちゃうわよ?」 0:ゼロは、銃口をキヨカの頭に向ける。 イサミ:「くっ!」 ゼロ:「ねぇ~、ちょっ~と~、答えてほしいことがあるんだけど、いいかしら~?」 イサミ:「・・・」 ゼロ:「『いいかしら?』って聞いてるでしょ!あんたは、『はい』か『はい』で答えなさい!いいかしら?」 イサミ:「はっ、はい!」 ゼロ:「あのさ・・・。ここに倒れているヒットマンさんたち、殺したの、だ~れ?」 イサミ:「え?」 ゼロ:「殺したの、だ~れ?って、あたしが!あなたに!聞いてるの!耳、付いていないのかしら?」 イサミ:「付いて、ます」 ゼロ:「付いてるなら、答えなさいよ~。その耳が、ただの飾りなら、うっかり、この銃で撃ち落としてしまうわよ?」 イサミ:「ひっ!あっ!この人たちを殺したのは、私です」 ゼロ:「そう!あなたなの?イイわねぇ~!ちなみに、あなた一人でやったの?」 イサミ:「えっ?あっ!はい!私、一人でやりました!だから、キヨカは関係ありません!」 ゼロ:「キヨカ!この子、キヨカって言うのね!そう!あなた、一人でやったのね?」 イサミ:「そうです。私一人でやりました」 ゼロ:「そうなの?う~ん!すごいわね。イイ~腕してるわ。あなた」 イサミ:「あっ、ありがとうございます」 ゼロ:「で~も、残念。この人たち、みんな、あたしの家族なのよね」 イサミ:「家族?」 ゼロ:「そう、家族」 イサミ:「全員ですか?」 ゼロ:「全員よ。そう言ってるじゃない?あたしぃ~、あなたに家族を皆殺しにされちゃったみたい・・・。これ、どう責任とってくれるのかしら?」 イサミ:「責任?」 ゼロ:「そう!責任よ?」 イサミ:「・・・。わっ、私一人の命で済むのなら!でも、キヨカだけは、キヨカの命だけは助けてください!」 ゼロ:「はぁ・・・。健気。健気ねぇ。イイわ。あたし、とっ~ても優しいから~、キヨカちゃんだけは、助けてあげるわよ。その代わり・・・」 イサミ:「その、代わり?」 ゼロ:「人を一人、殺してくれない?それで、すべてチャラにしてあげる」 イサミ:「人を、殺せばいいんですか?」 ゼロ:「そうよ。これだけの数のヒットマンを殺すだけの腕を持っているんだから、たった一人を殺すくらい余裕でしょ?」 イサミ:「・・・わかりました」 ゼロ:「それで、ターゲットは・・・?」 0:ゼロは、一足飛びでイサミの目の前に移動し、スマホの画像フォルダを見せる。 ゼロ:「このイケメンよ」 0:ゼロの画像フォルダは、レオの写真で埋め尽くされていた。 イサミ:「この人って・・・」 ゼロ:「あ~ら?レオちゃんを知ってるの?有名人だもんね。グリムスイーパー」 イサミ:「嘘・・・、この人が・・・?」 ゼロ:「もしかして、知らなかったの?」 イサミ:「はい・・・」 ゼロ:「ちなみに、レオちゃんとは、どういう関係?」 イサミ:「共闘を申し込まれて、逃げられました」 ゼロ:「あら~?逃げられたって!?レオちゃん自身は、ターゲット以外は、武器しか狙わず、殺さずを貫いてる癖に、JKには人殺しの役目を押し付けるだなんて!あ~!あ~っ!も~う!な・ん・て可愛いの!も~う!レオちゃん!しゅき!しゅきっ!しゅっきー!!!」 イサミ:「・・・」 ゼロ:「はいっ。こ~れっ!」 0:ゼロは、マップの表示されたスマホをイサミに手渡す。 イサミ:「これは?」 ゼロ:「マップの光っている場所。そこに、レオちゃんの、アジトがある」 イサミ:「このアジトに向かえばいいんですか?」 ゼロ:「そうよ。流石のレオちゃんでも、JK相手なら、油断するでしょ?大丈夫。あなたなら、ヤレるわ」 イサミ:「あのぉ・・・、一つ質問してもいいですか?」 ゼロ:「なーに?」 イサミ:「あなたも、相当な腕を持っているのに、どうして自分でやらないんですか?」 ゼロ:「イイ~質問ね!そんなの決まってるじゃない!乙女って言うものはね、愛しい人の前では、いつでも!どこでも!もちろんベッドの上でも!か弱いレディでいたいものなのよ!」 イサミ:「そうなんですか・・・。それと、そんなに好きなら、どうして殺そうとするんですか?」 ゼロ:「あ~、それは、くだらない質問ね。・・・手に入らないからよ。手に入らないなら、壊すしかないでしょ?」 イサミ:「・・・はい」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 レオ:「疲れたか?」 ソラ:「少し・・・」 レオ:「無理もない。銃なんて、今まで握ったこともないんだろ?」 ソラ:「はい」 レオ:「ハイグリップを心がけること、銃の中心線が手首を通るようにグリップすること、撃つ瞬間までトリガーガードに指を入れないこと。今日は、この3つだけ覚えてくれればいい」 ソラ:「あのっ、どうしてハイグリップを心がけることが大事なんですか?」 レオ:「命中精度向上、速射性向上、作動不良防止に影響するからだ」 ソラ:「そうなんですね」 レオ:「あぁ。今日は、もう、休もう。トイレ、シャワー付きの客室があるから、ソラちゃんは、そこで休んでくれ」 ソラ:「あなたは?」 レオ:「俺?俺には、自分の部屋がある。あぁ、安心しろ。客室は、俺の部屋の隣だ。万が一何かあっても、すぐに助けに駆け付ける」 ソラ:「あぁ!はい・・・。お願いします・・・」 レオ:「どうした?」 ソラ:「・・・いえ!なんでもないです!」 レオ:「あっ、あぁ・・・」 0: 0:【間】 0: レオ:「じゃあ、おやすみ」 ソラ:「おやすみなさい」 0: 0:【間】 0: 0:レオは、ソラが客室に入るのを確認し、自室の扉を開く。 レオ:「ん?コールガールを呼んだつもりはないんだけどな」 0:レオが明かりを付けると、ベッドには、下着姿のイサミの姿があった。 レオ:「ハハハ。これはこれは随分と大胆な・・・」 イサミ:「あなたに、もう一度会いたくて・・・」 レオ:「はぁ・・・。この俺に会いたいだなんて、まったく、物好きなJKもいたもんだな。だけど、悪いね。俺は、25歳以上の巨乳美女にしか欲情しないんだ」 イサミ:「そういうのは試してから言ってくれますか?最近のJKは、そこらのおばさんよりも経験豊富、なんです」 レオ:「そうなんだ。へ~・・・。最近のJKは、火薬の香水を付けてるんだね」 0:レオは、銃口の先をイサミに向ける。イサミは、口パクで、『たすけて』と伝える。 イサミ:「・・・」 0:レオは、背中越しに扉に鍵をかける。 レオ:「あぁ~・・・。ほんとに、いいの?」 イサミ:「私を抱いて下さい!」 レオ:「一度、JKを試してみるのも悪くないのかもしれない。昔、食わず嫌いはやめなさいって、マザーテレサが言ってた気もするし・・・。それじゃあ、遠慮なく!いっただきま~す!」 0:SE【発砲音】 レオ:「ぐふぁっ!」 イサミ:「やった!グリムスイーパーを殺した!」 0:SE【扉を叩く音】 ソラ:「ねぇ!どうしたの?今の音は一体なに?なにがあったの?ねぇ!開けてよレオ!開けて!」 0:SE【扉の鍵が開く音】 0:扉を開けると下着姿のイサミが出てくる。 イサミ:「ごめんなさい・・・」 0:イサミは、走り去って行く。 ソラ:「・・・嘘・・・」 レオ:「あっ!こっ、これには、深い訳が!」 ソラ:「このっ!変態!」 0:ソラは、倒れているレオの頭をスリッパで何度も叩く。 レオ:「話を・・・。話を聞いてくれ~!これは、かくかくしかじかで!」 0: 0:【間】 0: ソラ:「なるほど・・・。あの子、誰かに脅されて、レオを殺しにきたわけですね」 レオ:「あの状況から、推測するとね」 ソラ:「ふ~ん・・・。このアジトは、安全って誰かが言ってなかったですっけ?」 レオ:「おそらくだが、ソラちゃんの持ち物か服に発信機が取り付けられていたんじゃないかと・・・」 ソラ:「え?でも、ここにくるまでに、誰とも接触していませんよ?ずっとあなたと一緒にいましたし」 レオ:「一人だけ、接触した人物がいるだろ?」 ソラ:「それって・・・!?」 レオ:「だから、こちらも、今のJKに発信機を付けさせてもらった。その発信機を辿った先にいる人物を殺せば、きっと、もう、君が命を狙われることはないんじゃないかな」 ソラ:「でも、どうしてあの人が・・・」 レオ:「ん?どうした?なんだか、浮かない顔だね?」 ソラ:「あっ、いや!なんでもない!なんでもないです!」 レオ:「ん?」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】ゼロのアジト。 イサミ:「殺して、きました」 ゼロ:「嘘!」 イサミ:「私に取り付けた盗聴器の音声聴いてたんでしょ?」 ゼロ:「ええ。もちろん。しっ~かり聴いてたわよ」 イサミ:「だったら、早く、キヨカを開放してよ!そういう約束でしょ?」 ゼロ:「約束・・・。約束ね・・・。でも、あなたみたいな小娘に、本当にレオちゃんが殺されちゃったのかしら?」 イサミ:「どういうこと?」 ゼロ:「信じられないのよね!愛しのレオちゃんが殺されるなんて!あたしの!レオちゃんが!テメェみたいなケツの青いガキに殺されるのが信じられないって言ってんのよ!」 イサミ:「え?」 ゼロ:「てことで、あなた、ここで死になさい!」 イサミ:「そんな・・・」 0:ゼロは、銃口の先をイサミに向ける。 0:SE【発砲音】 0:ゼロの銃に銃弾が命中し、弾き飛ぶ。 ゼロ:「ぐふぁっ!も~う!なに!?なんなのよ!!誰よ?」 レオ:「俺だ」 ゼロ:「れっ、レオちゃん!」 レオ:「すべての黒幕は、ゼロ。お前だったんだな」 ゼロ:「黒幕?なんのことかしら?」 レオ:「その1、女性の依頼を絶対に持ってこないはずの仲介人が、女性の依頼を持ってきた」 ゼロ:「・・・」 レオ:「その2、依頼人が俺に向ける不自然な殺気」 ゼロ:「流石レオちゃん!そうよ!ソラちゃんは、家族を、レオちゃんに殺されてるのよ!」 レオ:「新村財閥だな?」 ゼロ:「フフフw殺した相手のことを、ちゃあんと覚えてるなんて、ス・テ・キ。今から10年くらい前だったかしら、レオちゃん、新村財閥の当主を殺したんでしょ?その当主こそ、ソラちゃんの父親だったのよ!」 レオ:「そうだったのか・・・。なら、あの子には、俺を殺すことに協力するだけの理由があったんだな」 ゼロ:「そうよ!それなのに、どうして、レオちゃん、まだ生きてるのよ!保険としてJKまで派遣したのに!」 レオ:「そんなの、決まってんだろ?ゼロ、お前に会うためだ」 ゼロ:「あ~ら!あたしに会うためだなんて、ドキドキすること言ってくれるじゃないのよ!」 レオ:「テメェを殺すためって意味も含まれてるんだけどな!」 0:レオはゼロに向かって発砲するが、ゼロは蝶のようにひらりと身を躱す。 ゼロ:「さっすがレオちゃん!イイ~腕ね!でも、残念でした~!そこまでよ!」 レオ:「ん?」 イサミ:「うわっ!体が勝手に・・・」 0:イサミは、銃口をキヨカに向ける。 イサミ:「キヨカ!目を覚まして!キヨカ!キヨカ―っ!」 キヨカ:「うっ、ううっ・・・。いっ、イサミ?」 イサミ:「逃げて!キヨカ!」 キヨカ:「なに?」 イサミ:「体がっ、勝手に!このままだと私、キヨカを・・・」 レオ:「ゼロっ!お前の仕業か!?」 ゼロ:「すっごいでしょ!催眠術。いつかレオちゃんにかけてみたくて、ものすっごい特訓してたんだけど、こういう形で役に立つなんて!」 レオ:「今すぐ、やめさせろーっ!」 ゼロ:「やめさせろ?いやよ!やめさせるわけないでしょ?でも、そうね~。レオちゃんが、あたしの靴にキスしてくれたら、考えてあげてもいいわよ」 レオ:「わかった!だから、すぐに彼女の催眠術を解け!」 ゼロ:「オッケー!オッケー!オッケー牧場!ほいっ!」 0:SE【ゼロが指を鳴らす音】 イサミ:「がっ、がはっ!はぁ・・・はぁ・・・」 キヨカ:「イサミ!大丈夫?」 イサミ:「私は、大丈夫。キヨカのほうこそ、私がいない間に、酷いことされてなかった?」 キヨカ:「私も、平気。平気だけど、イサミの弱点になっちゃって、ごめん」 イサミ:「そんなことない!」 ゼロ:「あら~!お熱い友情ごっこ!泣けるわね~!ちなみにだけど~、今からレオちゃんがあたしの靴にキスする以外の行動をする素振りを見せた時点で、今度こそ、あのJK二人を殺すわよ」 レオ:「・・・」 ゼロ:「というわけで、足に、熱い、キッス!レオちゃん!早くっ!」 レオ:「・・・」 ソラ:「レオーっ!!!」 0:SE【発砲音】 0:ソラの放った銃弾は、ゼロの眉間を貫く。 ゼロ:「うっ」 0: ゼロ:【M】嘘でしょ嘘でしょ!?今の不意打ちでしょ!?撃ったのは?ソラちゃん!?嘘よ!いやっ!こんなので死んじゃうの?あたしの人生、あまりにもあっけなくない!?いやっ、いやよ!いやーっ!!! 0:ゼロ、絶命。 レオ:「・・・やっぱり保険は、かけておくもんだな」 ソラ:「はぁ・・・はぁ・・・」 レオ:「ありがとな」 ソラ:「わっ・・・私、人。人を殺しちゃった・・・」 レオ:「あぁ、そうだな。でも、そのおかげで、俺は命を拾えた。俺だけじゃない。最悪の場合、あの二人組のJKも殺されてた。ソラちゃんの勇気が、みんなの命を救ったんだ」 ソラ:「・・・でも・・・、でもっ!」 レオ:「武器や力は、扱い方次第で、人を殺すこともできるし、生かすこともできる。だからこそ、扱い方を間違ったらいけない。銃も扱い方ひとつ間違えば、大ケガするのと同じだ」 ソラ:「うん・・・。でも、レオ」 レオ:「お!そういや、いつのまにか俺のこと、『あなた』じゃなくて、『レオ』って」 ソラ:「あ・・・」 キヨカ:「ヒュー!お熱いですな!お二人さん!」 イサミ:「お似合いの二人だね」 キヨカ:「うんうん!」 レオ:「お前たちのほうこそ、お似合いのコンビじゃないか?」 キヨカ:「やっぱりぃ?そう見えますか?ってか、私が気絶している間に、一体なにが?」 イサミ:「色々あったんだよ。色々ね・・・」 キヨカ:「色々かぁ・・・。とりあえず、エビチリはちょい悪オヤジで、そこで死んでるオカマのおっさんは、すっごい悪い人だったってことはわかるよ」 イサミ:「それだけわかってれば、十分だよ。ねぇ、キヨカ、歩ける?」 キヨカ:「なっ、なんとか?」 イサミ:「仕方ないなぁ。今回は、特別に肩を貸してあげるよ」 レオ:「あぁ、桜花商店街までは、俺が護衛しよう」 イサミ:「おっ!それは、助かります」 キヨカ:「エビチリ、また私たちを置いて逃げたりしないでくださいよ?」 レオ:「もう逃げたりしないよ。そして、そのエビチリってのは、どういう意味?」 キヨカ:「なっ、なんの意味もありませ~ん!エビチリは、エビチリで~す!」 レオ:「おっ、そうか・・・」 ソラ:「フフフ」 キヨカ:「あのぉ、お姉さん、つかぬことをお聞きしますが、エビチリのどういうところに惚れたんで?」 ソラ:「惚れた!?えっ?そもそも、私たち、まだ付き合ってません!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】私立銃術学園高等部の屋上。 イサミ:「そう、キヨカがエビチリってイジってたオッサンこそが、ミスター都市伝説、最強の男、グリムスイーパー」 キヨカ:「えっ!?うっ、嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!!!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 レオ:「結局、俺を殺さないんだね」 ソラ:「殺せないです。レオは悪い人じゃないって知ってしまったから」 レオ:「そう?すっごい悪い人かもよ?」 ソラ:「少なくとも、私の父よりは、悪い人ではないです」 レオ:「あぁ・・・」 ソラ:「私の父は、権力を盾に、いつも弱者を甚振(いたぶ)っていました。時々、攫(さら)ってきた浮浪者(ふろうしゃ)を庭に逃がしては、狩りと称して猟銃(りょうじゅう)で撃ち殺す遊びをしたり・・・」 レオ:「知っていたんだね」 ソラ:「えぇ・・・」 レオ:「そういや、ソラちゃんから依頼料貰っていなかったな」 ソラ:「そうだ!依頼料!あなたをボディガードとして雇う依頼料!」 レオ:「ちなみに、俺の依頼料は、破格だぜ?」 ソラ:「いっ、いくらなんですか?」 レオ:「それは・・・、今までの『ソラ』という名前を頂く。そして、今日から『リリー』と名乗ってくれ」 ソラ:「どういうことですか?」 レオ:「この業界で生きて行くには、本名は足枷(あしかせ)にしかならない。だから、リリー」 ソラ:「だから、それはどういう?」 レオ:「俺の相棒になってくれ」 0: 0:―了―

0:私立銃術学園高等部。 キヨカ:「やっぱりここにいた」 イサミ:「ここにいた?」 キヨカ:「イサミは、昼休み、いつも屋上でご飯を食べている。一人で」 イサミ:「悪い?」 キヨカ:「悪くはないけど、友だちと一緒に食べたほうが良くない?」 イサミ:「どうして?」 キヨカ:「どうしてって・・・。うーん・・・。一人でご飯食べてると、陰キャ扱いされるから?」 イサミ:「別に、誰に何と思われようと良くない?卒業したら、仕事で敵同士になって殺し合うかもしれないでしょ?その時に、非情になれなかったり、戦う時の微妙な癖とかバレてたら、それが弱点になって、最悪の場合、命を落とすことになる」 キヨカ:「確かに、そうかもしれないけど」 イサミ:「ここは、普通の学校じゃない。アサシンを育成する学校。誰かと仲良くなるメリットはないし、逆にデメリットのほうが大きい」 キヨカ:「デメリットか・・・」 イサミ:「あんたも、他人との関わりは、ほどほどにしといたほうがいいよ。あとできっと後悔することになるから・・・」 キヨカ:「それでも私は、イサミと友達になりたい!」 イサミ:「・・・は?」 キヨカ:「私は、イサミと友達になりたい!」 イサミ:「馬鹿なの?私は、あんたと友達になる気はない」 キヨカ:「どうして?」 イサミ:「それは、今、話したでしょ?わざわざ自分の弱点を作る気はない」 キヨカ:「私は、イサミの弱点にはならない!ねぇ、友だちになってよ!」 イサミ:「はぁ・・・。友達になりたい理由は?あなた、一体何が目的なの?」 キヨカ:「学園トップの射撃の腕をお持ちのイサミと友達になっておけば、将来、ピンチになった時に、助けてもらえるかな~」 イサミ:「は?」 キヨカ:「ってのは冗談で・・・。ちょっと、手伝ってほしいことがあるんだよね」 イサミ:「手伝ってほしいこと?」 キヨカ:「グリムスイーパーに会いたい」 イサミ:「・・・グリムスイーパーって、あの都市伝説の?」 キヨカ:「そう!マフィアのヤサに一人で乗り込んで、頭(かしら)の首だけ取って帰ったとか」 イサミ:「20人のSATを相手に、丸腰(まるごし)で勝ったとか?」 キヨカ:「そうそう!狙った獲物は必ず仕留める最強のヒットマン」 イサミ:「無駄な殺しはしないから、ターゲット以外は、気絶させられるか、半殺しって噂もあるよね」 キヨカ:「うんうん!しかも、超イケメンって話でしょ!」 イサミ:「あーね・・・」 キヨカ:「会ってみたい!」 イサミ:「・・・」 キヨカ:「イサミも会ってみたいでしょ?」 イサミ:「そりゃあ、この道で生きて行くって決めたからには、最強の顔を一度は拝んでおきたいとは思うけど・・・」 キヨカ:「だったら、会いに行くしかない!」 イサミ:「つまり、グリムスイーパーが拠点として活動しているって噂の九頭竜街(くずりゅうがい)に行くってこと?」 キヨカ:「その通り!あそこって、もはや治外法権(ちがいほうけん)の無法地帯(むほうちたい)って話でしょ?」 イサミ:「そうね。殺しをしても罪に問われないし、死んでも、そのまま放置される。学園で一番最初に教わる。絶対に近づいたらいけない危険な場所」 キヨカ:「だからこそ、行ってみたいって思わない?」 イサミ:「・・・」 キヨカ:「本物のグリムスイーパーに会ってみたくない?」 イサミ:「九頭竜街(くずりゅうがい)に行っても、グリムスイーパーに会える保証はなくない?」 キヨカ:「でも、九頭竜街に行かなければ、グリムスイーパーに会えないでしょ?」 イサミ:「そりゃあ、そうだけど・・・」 キヨカ:「こう見えても私、射撃の腕は、イサミに次いで、学園二位なんだよ」 イサミ:「そうだったんだ」 キヨカ:「『そうだったんだ』って、知らなかったんかい!」 イサミ:「興味ないから・・・」 キヨカ:「フフフ。学園1位と2位が手を組めば、九頭竜街でも、きっと何とかなる!グリムスイーパーに会える!」 イサミ:「うーん・・・。あんたに背中を預けるのか・・・」 キヨカ:「どう?不満ですか?私、学園2位!学園2位ですよ!」 イサミ:「そんな2位を主張されても・・・」 キヨカ:「行こ行こ!二人だけの社会見学!」 イサミ:「う~ん・・・」 キヨカ:「もしかして、怖いの?」 イサミ:「は!?」 キヨカ:「そうか・・・。やっぱり怖いよね~。学園1位でも、本物の殺し屋とかマフィアと鉢会(はちあ)うかもしれない場所に行くのは、怖いよね~」 イサミ:「そんなことない!」 キヨカ:「先生からも口を酸っぱくして教えられてるもんね~。危険な場所だから近づくなって~。そりゃあ、学園一位でも怖いよね~」 イサミ:「だ・か・ら!怖くないって!わかった!行ってやろうじゃないの!」 キヨカ:「ほんと?やったーっ!」 イサミ:「もう・・・」 キヨカ:「それと、私、『あんた』って名前じゃないから」 イサミ:「え?」 キヨカ:「私は、キヨカ。今からコンビを組むパートナーなんだから、きちんと名前で呼んでよね!」 イサミ:「・・・パートナー?」 キヨカ:「うん!名前、呼んで!」 イサミ:「はぁ・・・。き、キヨカ・・・」 キヨカ:「なーに?イサミ!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】九頭竜街、レオのアジト。 0:SE【着信音】 レオ:「・・・はぁ・・・。やっと切れた」 0:SE【着信音】 レオ:「ん!?またか!エジソンみたいにしつこい奴だな・・・」 0:SE【着信音】 レオ:「はいはい。出ます。出ますよっと・・・。えっと、こちら、普通のコンビニ。二十五歳以上の巨乳美女の依頼しか受け付けま~せん。てことで、電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「切らないで!あたしよ~。あなたの恋人、仲介人(ちゅうかいにん)のゼロよ。レオちゃ~ん!」 レオ:「・・・。てことで、電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「待って待って待って~!」 レオ:「・・・。あのぉ。当店は、二十五歳以上の巨乳美女の依頼しか受け付けていないので」 ゼロ:「二十五歳以上ではないけど、巨乳美女よ!巨乳美女からの依頼よ!」 レオ:「・・・。電話を切らせて頂きます」 ゼロ:「待ちなさいって!」 レオ:「二十五歳以上ではないんだろう?」 ゼロ:「二十五歳以上では・・・ない、けど・・・」 レオ:「てことで、電話を」 ゼロ:(さえぎって)「待って!せめて!写真だけでも見なさいって!」 レオ:「・・・」 ゼロ:「レオちゃんのPCに写真、送るわね」 0:SE【レオがPCを操作する音】 レオ:「・・・は!?ふざけんな!テメェのキモい下着写真じゃねぇか!」 ゼロ:「あ~ら!間違えて私のお色気写真送っちゃったwてへっ♪」 レオ:「『てへっ♪』じゃねぇだろ!」 ゼロ:(さえぎって)「あぁ~、こっちが本物よ!」 レオ:「・・・ん?」 ゼロ:「どう?巨乳美人でしょ?」 レオ:「若いな・・・。学生か?」 ゼロ:「学生ではないわよ。現在20歳」 レオ:「20歳か・・・。依頼内容は?」 ゼロ:「あら?25歳以上じゃなくても、巨乳美女の依頼だったら受けちゃうのね」 レオ:「内容による」 ゼロ:「ボディガードよ。ボディガード。この子、命を狙われてるの」 レオ:「命を?薬の取引現場とか、何か見たらいけないものでも見てしまったのか?」 ゼロ:「それは、本人の口から直接聞いてちょうだい」 レオ:「・・・。ちなみに、この子の名前は?」 ゼロ:「名前?名前は、新村ソラ(にいむらそら)よ」 レオ:「新村・・・?」 ゼロ:「どうしたの?」 レオ:「あ?いや、なんでもない」 ゼロ:「それで?今回の依頼は、受けてくれるのかしら?」 レオ:「・・・。受ける」 ゼロ:「そう!良かったわ!」 レオ:「この子、命を狙われてんだろ?今は、どこに身を隠してるんだ?」 ゼロ:「九頭竜街よ」 レオ:「は?」 ゼロ:「The best place to hide a leaf is in a forest」 レオ:「木を隠すなら、森の中、か・・・。それにしても、危険すぎるだろ」 ゼロ:「大丈夫よ。今、私のアジトで匿(かくま)ってるから」 レオ:「余計に危険な気がするんだが・・・」 ゼロ:「あ~ら!失礼ね!あたしは、イイ男にしか興味ないわよ!」 レオ:「そういう意味で言ったんじゃない。お前は、ただの仲介人で、戦闘スキルが高いわけではないだろう?」 ゼロ:「どーせ!どーせ!あたしは、依頼を持ってくるだけの『ただの』『か弱い』仲介人ですよーだ!」 レオ:「とりあえず、依頼人に会いたい。待ち合わせ場所と時間は、そちらで指定してくれ」 ゼロ:「オーケー牧場!」 レオ:(さえぎって)「待った!」 ゼロ:「なによ?」 レオ:「今夜、22時~24時の間は、避けてほしい」 ゼロ:「ははぁ~ん。どーせまた、ゲームのイベントの降臨時間とかぶってるとかでしょ?」 レオ:「・・・」 ゼロ:「オーケーオーケー、オーケー牧場よ。それじゃあ、明日のAM10時とか、どうかしら?」 レオ:「了解。場所は?」 ゼロ:「喫茶エデン」 レオ:「了解」 ゼロ:「それじゃ、チャーオ!会うの楽しみにしてるわね~!」 0: 0:【間】 0: レオ:【M】にしても、アイツが女性の依頼を持ってくるなんて・・・。どういう風の吹き回しだ・・・? 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】喫茶エデン、店内。 ゼロ:「レオちゃん、遅いわね~」 ソラ:「・・・」 ゼロ:「緊張してる?」 ソラ:「あっ、はい・・・」 ゼロ:「大丈夫よ。ソラちゃんなら、絶対に大丈夫。なにしろ、レオは、巨乳美女には、すっごく弱いから・・・」 ソラ:「・・・」 0:SE【鈴の音】 ゼロ:「きたわね・・・。彼がミスター都市伝説、グリムスイーパーの通り名で有名なレオよ」 ソラ:「・・・」 レオ:「・・・悪い。メロスのように急いだんだが、ポケストのデイリークエストに手間取って、少し遅れた」 ゼロ:「も~う!10分も遅刻よ!恋人を待たせるなんて、最低!一体どういうつもりかしら?」 レオ:「恋人?」 ゼロ:「キラン♪キラン♪」 レオ:「その子が依頼人の?」 ソラ:「あ・・・」 ゼロ:「も~う!乙女の熱視線を無視しないでよ!そうよ!その子がソラちゃん!どう?美人でしょ?」 レオ:「・・・初めまして。レオです」 ソラ:「初めまして。ソラです」 レオ:「えっと・・・」 ソラ:「あ・・・」 ゼロ:「も~う!なによなによ!いきなりの桃色お花畑?二人だけのメルヘンワールドに入らないでよ!」 レオ:「ん?なんだそれ?」 ゼロ:「あたしのようなイイ~女がいるのに、無視しないでって言ってんの!」 レオ:「あぁ・・・。このオカマに何かされなかったか?」 ソラ:「なにもされてません」 レオ:「そうか・・・。それなら、良かった。ここだと誰に話を聴かれているかわからない。まずは、店を出ようか」 ソラ:「はっ、はい」 ゼロ:「え・・・。もう、出るの?」 レオ:「ん?ゼロは、ここにいていいぞ」 ゼロ:「どういうこと?」 レオ:「俺と依頼人だけで店を出るって意味だ」 ゼロ:「え~!なによなによ!あたしだけ置いてけぼりにする気?」 レオ:「置いてけぼりって・・・。ゼロは、ただの仲介人だろ?」 ゼロ:「そうだけど・・・。なによなによ!今日までソラちゃんのこと守っていたのは、誰だと思ってんのよ!あたしだって、その気になれば、そこらの半グレにも負けないんだからね!」 レオ:「はぁ・・・。少し、依頼人と二人だけで話したいことがあってだな」 ゼロ:「え?ま・さ・か!も~う、口説く気?ほんっと!下半身は猛獣ね!発情期のゴジラよ!25歳以上にしか興味ないって設定は、どうしたのよ?急にロリコンに目覚めちゃったってわけ?全く・・・巨乳美女だと見境ないんだから!」 レオ:「口説くつもりはないし、発情期のゴジラでもない。ただ、少し確認したことがあってだな・・・。すまない」 ゼロ:「ウルトラチョコレートパフェ」 レオ:「ん?」 ゼロ:「ウルトラチョコレートパフェ、おごりなさい」 レオ:「わかった。これで好きなものを、好きなだけ注文してくれ」 0:レオは、財布から札束を取り出し、ゼロの前に置く。 ゼロ:「あ~ら!これはこれは!随分と太っ腹だこと!」 レオ:「じゃあ、俺たちは、いくぞ」 ソラ:「あっ、はい・・・」 ゼロ:「ソラちゃんのこと、ちゃあんと、守ってみせなさいよね」 レオ:「・・・了解」 0:レオとソラは、店を出る。 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】桜花商店街。 イサミ:「ねぇ、どこが九頭竜街の入り口なの?」 キヨカ:「確かネットの情報では、桜花商店街(おうかしょうてんがい)の裏路地(うらろじ)から入れるって・・・」 イサミ:「桜花商店街の裏路地って言われても、たくさんあるけど、どこの裏路地?」 キヨカ:「う~ん・・・」 イサミ:「まさかとは思うけど、きちんと下調べをしてこなかったっていうオチ?」 キヨカ:「それは・・・。はははw」 イサミ:「『はははw』じゃないでしょ!あ~あ・・・。なんで、私、今、こんなおバカと一緒にいるんだろう」 キヨカ:「バカじゃないもん!学園二位ですから!」 イサミ:「それは、射撃の成績ね。座学は?」 キヨカ:「座学も、学園二位だよ!」 イサミ:「そうだったの?意外と頭良かったんだね」 キヨカ:「後ろから数えて、学園二位!」 イサミ:「は!?なにを偉そうに胸を張って言ってんのよ!やっぱりおバカだったんじゃないの!」 キヨカ:「テヘペロ♪」 イサミ:「『テヘペロ♪』って、もう古いから!カワイコぶっても無駄だから!」 キヨカ:「こうなったら・・・」 イサミ:「こうなったら?え?なにか考えでもあるの?」 キヨカ:「作戦Bで行く!」 イサミ:「作戦B?え?だったら、今まで無作為(むさくい)に歩き回っていたのは、作戦Aってこと?」 キヨカ:「・・・見つけた!話しかけやすそうなカップル!」 0:キヨカは、レオとソラに向かって走って行く。 イサミ:「え?嘘でしょ!?」 キヨカ:「すみませ~ん!」 レオ:「あ・・・。はい」 イサミ:(小声で)「ちょっと!なにやってんのよ!」 キヨカ:「九頭竜街には、どうやって行けばいいんですか?」 イサミ:(小声で)「直球?直球で知らない人にそんな質問する?やっぱりおバカ!」 レオ:「九頭竜街?ちょっと、わからないです。君も知らないよね?」 ソラ:「あっ、はい。知らないです。 キヨカ:「そうですか・・・。急に呼び止めたりして、すみません」 レオ:「いえ・・・」 0: 0:【間】 0: イサミ:「も~う!あんた、何やってんのよ!」 キヨカ:「何って、作戦B」 イサミ:「はぁ・・・」 キヨカ:「イサミ、今の人を追跡するよ!」 イサミ:「どういうこと?」 キヨカ:「乙女の勘!あのカップル、あやしいニオイがプンプンなのです!」 イサミ:「まぁ、チビの冴えないオッサンと若い巨乳美女って点では、あやしさ満載ね」 キヨカ:「犯罪のニオイ、即(すなわ)ち九頭竜街!」 イサミ:「はぁ・・・」 0: 0:【間】 0: ソラ:「今の女子高生、九頭竜街を探してましたね」 レオ:「あぁ・・・。みたいだね」 ソラ:「止めなくていいんですか?」 レオ:「どうして?」 ソラ:「九頭竜街は、多くの犯罪者が身を隠している危険な場所でしょ?あの二人、可愛かったし、絶対に犯罪に巻き込まれますよ」 レオ:「・・・だろうね」 ソラ:「『だろうね』って、無責任じゃないですか?」 レオ:「無責任?どうして?」 ソラ:「どうしてって、大人として、子どもを守るっていう義務が」 レオ:「君だって、まだ、子どもだろ?」 ソラ:「私は、もう、成人しています。立派な大人です」 レオ:「ほんとに?」 ソラ:「どういう意味ですか?」 レオ:「免許証か保険証はある?」 ソラ:「え?」 レオ:「あるなら、出してほしいな」 ソラ:「・・・。今は、ないですけど・・・」 レオ:「今は、ないんだね。だったら、君が年齢詐称をしている可能性を排除できないな」 ソラ:「そうですか・・・」 レオ:「君、家族は?」 ソラ:「・・・殺されました」 レオ:「殺された・・・?どうして?」 ソラ:「・・・わかりません」 レオ:「なるほど・・・。家族は殺されたってことは真実で、殺された理由がわからないってことと成人しているってのは、嘘なんだね」 ソラ:「えっ!?」 レオ:「ビンゴ!」 ソラ:「もしかして、ハメました?」 レオ:「あははwごめんね。ただ、裏の世界に長くいるとね。人の真実と嘘を見抜く力に長けてしまうものなんだよ」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「でも、話したくないことは、無理に話さなくていいし、俺の前では大人ぶらなくてもいい。君は、見た目よりもずっと若いってことは、なんとなくだけど、分かるから」 ソラ:「・・・」 レオ:「この角を曲がった先が九頭竜街だ。これをかけてくれ」 ソラ:「これは?」 レオ:「サングラスだよ」 ソラ:「サングラス?」 レオ:「こっから先は治外法権の無法地帯。視線がぶつかっただけで、相手の力量がわかる輩もいるし、弱いと判断されれば、すべてを奪いにくる好戦的な輩も多くいる」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「君は、とても優しい目をしている。だから、闇を引き寄せる」 ソラ:「闇を・・・」 レオ:「身を守るためだと思って、かけていてほしい。そのほうが俺も、君を守りやすいからね」 ソラ:「わかりました。あなたは、かけないんですか?サングラス」 レオ:「あぁ・・・。俺は逆にかけていないほうが牽制(けんせい)になるっていうか、なんというか・・・」 ソラ:「ん?」 レオ:「まぁ、一応、俺、最強だから・・・」 ソラ:「そう、なんですか?」 レオ:「そうなんです。んっ?」 ソラ:「どうかしましたか?」 レオ:「いや、ビルの上の方にハチがいたから」 ソラ:「ハチですか・・・」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「イサミ!今の見た?」 イサミ:「見たよ。物凄い早撃ち。私たちじゃなきゃ見逃しちゃうね」 キヨカ:「ビルの屋上から狙ってきたスナイパーを、発砲音のしない特殊銃でズドン!」 イサミ:「『ズドン!』って、音はしなかったでしょ!」 キヨカ:「音はしなかったけど、やっぱり、ただ者じゃなかったわ。あの援助交際チビおじさん」 イサミ:「え?援助交際チビおじさんって呼び方、ちょっと長すぎない?」 キヨカ:「じゃあ、エロチビおじ?エビチリ?うん。エビチリだ!」 イサミ:「エビチリ?まぁ、それでいいんじゃない?それと、どうやらここからが九頭竜街みたいね」 キヨカ:「そうだね。急に空気が変わった。なんていうか、まとわりつくような重い感じ?それに、いきなりスナイパーが狙ってくるなんて、普通じゃないよ!」 イサミ:「だね」 0: 0:【間】 0: レオ:「ちなみに、命を狙われてるってことだけど、犯人の目星とかは、付いてるの?」 ソラ:「それは・・・」 レオ:「見たらいけないものを見てしまったとか、何か心当たりはない?」 ソラ:「・・・。あれは、そう、薬の取引現場だったんだと思います」 レオ:「そうか・・・。薬のね。にしては、人数がちと多いな」 ソラ:「え?」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「イサミ!今の見た?」 イサミ:「・・・見た」 キヨカ:「物凄い早撃ち。ビルの屋上や中から狙ってきたスナイパーを5人まとめて~ズドドドドドン!私たちじゃなきゃ見逃しちゃうよね!ね!」 イサミ:「あのさ・・・」 キヨカ:「ん?」 イサミ:「今、エビチリがやった早撃ちが九頭竜街じゃ、常識、なのよね?だったら、九頭竜街の射撃レベルって、めちゃくちゃ高くない?」 キヨカ:「高いね!これは、負けてらんないなぁ~」 イサミ:「私、自信なくしちゃったな」 キヨカ:「もう!学園一位がそんな弱気なこと言わないでよ!」 イサミ:「でもさ・・・。今の見せられたら、私たちが学校で学んでる暗殺技術って、なんなんだろうなって・・・」 キヨカ:「仕方ないよ。私たちは、まだ学生でしょ?」 イサミ:「学生だけど、確実にあの人、私たちの先生より強いと思うよ」 キヨカ:「そりゃあ、九頭竜街の人なんだから、仕方ないよ!」 イサミ:「仕方ない、のかな?」 キヨカ:「うんうん。イサミと私なら、すぐあのレベルに追いつけるって!」 イサミ:「そうかなぁ・・・」 0: 0:【間】 0: ソラ:「どうかしたんですか?」 レオ:「あぁ・・・。うん。五匹のハチが飛んでいたから、刺されたくないな~って・・・」 ソラ:「飛んでたんですか?気づかなかったです」 レオ:「気づかない方がいいよ。怖いものは、見ないに越したことはない。だけど・・・うーん・・・。そうは言ってられないみたいだね。あ~ぁ、もうすぐアジトなのに」 ソラ:「そっ、装甲車!?」 レオ:「突っ込んでくる。ちょっと、失礼」 0:レオは、ソラを抱きかかえ、横に飛ぶ。そして、その刹那の間に、装甲車のタイヤ目掛けて弾丸を六発放つ。装甲車は、ビルに激突し、中から武装したヒットマンが一斉に飛び出してくる。 ソラ:「わっ!えっ?後ろからも!」 レオ:「う~ん・・・。これはこれは・・・。どうやら、取り囲まれちゃったみたいだね」 ソラ:「・・・」 レオ:「大丈夫。安心して。君のことは、命に代えても、俺が絶対に守るから」 ソラ:「え?」 レオ:「なにしろ俺は、君のボディーガードだからね」 ソラ:「はい・・・」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「どうする?やばいよ!これは、さすがにあのエビチリでも死んじゃうって!」 イサミ:「どうするって、助けるに決まってるでしょ!」 キヨカ:「助ける?助けるって、どっちを?」 イサミ:「そりゃあもちろん、エビチリ!」 キヨカ:「ちょっと、ちょっと~っ!」 0:イサミは、二丁に拳銃を構え、走りながらヒットマンに向かって発砲する。 キヨカ:「もう!仕方ないなぁ!」 0:キヨカもイサミのあとに続き、ヒットマンに向かって発砲する。 ソラ:「あれは?さっきの・・・」 レオ:「ふふ~ん。あの二人、やるじゃん!」 ソラ:「どうして嬉しそうなんですか!女子高生が拳銃なんて!」 レオ:「こっちも負けてらんないなぁ・・・。よっと!」 ソラ:「え?ええ~っ!」 0:レオは、ソラを上空に投げ飛ばす。ヒットマンたちは、レオ目掛けて発砲するが、レオはそれを紙一重でかわして行く。 レオ:「悪党の放つ銃弾は、この俺には当たらない。よっと!」 0:レオは、ヒットマンの武器だけを狙って銃弾を放つ。 レオ:「いっちょあがりっと!」 ソラ:「キャッ!」 レオ:「ナイスキャッチでしょ?お姫様」 ソラ:「お姫様?」 0: 0:【間】 0: キヨカ:「ねぇ見た?エビチリのヤツ、あの数の銃弾を避けて、さらに敵の武器まで・・・」 イサミ:「見た見た!見たけど、こっちも避けなきゃだよ!」 キヨカ:「だね!銃口の射線と人差し指の微妙な動きを見逃さない!」 イサミ:「そう!それさえ注意していれば、銃弾なんて当たらない!」 キヨカ:「かわして、かわして~、撃つ!」 イサミ:「撃つ!」 キヨカ:「やった!ヒット!」 イサミ:「初の実戦にしては、いい感じ!」 レオ:「へぇ~。これが、君たちの初の実戦なんだ」 キヨカ:(同時に)「エビチリ!」 イサミ:(同時に)「エビチリ!」 レオ:「エビチリ?」 イサミ:「いや、それは、キヨカが勝手に言ってるだけで・・・」 キヨカ:「えっ?」 レオ:「キヨカちゃんって言うんだね?」 キヨカ:「あっ、はい」 レオ:「君の名前は?」 イサミ:「ぅわっ!私ですか?」 レオ:「うん。君の名前」 イサミ:「いっ、イサミです!」 レオ:「キヨカちゃんとイサミちゃん、君たち、俺の睨んだ通り、良い腕してるね!てことで、背中を預けるよ!」 キヨカ:「背中を預ける?」 イサミ:「キヨカ!共闘するって意味よ!」 キヨカ:「教頭?教頭先生なの?」 イサミ:「はぁ・・・。一緒に戦おうってこと!」 キヨカ:「あーね!オッケー!」 レオ:「よしっ!では、まかせた!」 イサミ:「って、え!?」 0:レオは、ソラを抱きかかえてジャンプし、ヒットマンの頭を踏んづけて、立ち去って行く。 キヨカ:「もしかして、エビチリのヤツ、逃げた?」 イサミ:「この数のヒットマンを置き去りにして?」 キヨカ:(同時に)「さいてー!」 イサミ:(同時に)「さいてー!」 キヨカ:「でも、なんだかワクワクするね!」 イサミ:「ほんっと、キヨカって、おバカ」 キヨカ:「えへへw」 イサミ:「いくよーっ!」 キヨカ:「うんっ!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 ソラ:「もう!最低!最低です!」 レオ:「そんなに最低?」 ソラ:「あの二人、学生ですよ!」 レオ:「学生だったね」 ソラ:「あのあと、殺されたかもしれませんよ」 レオ:「それはない」 ソラ:「どうして、そんな無責任なことが言えるんですか?」 レオ:「それは俺が、戦いの結末を予測できるタイプのノストラダムスだから?」 ソラ:「なんですかそれ・・・」 レオ:「それよりも、ここは、俺のアジトだ。安心して寛(くつろ)いでくれ。追手はすべて巻いたし、君が命を狙われることはない」 ソラ:「あの子たちを助けに戻らないんですか?」 レオ:「戻ったところで、もう、片付いてるよ。それだけ、あの二人は、規格外の強さを持ってるってことさ」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あの子たちが、どれだけ強かろうが関係ない!子どもを置いて逃げるような真似をしたことが許せません!」 レオ:「でも、才能があるんだから、実戦経験を積ませたほうが」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あなたは、子どもが銃を握るような世の中が正しいと思ってるんですか?」 レオ:「弱い子どもが身を守るための道具として銃を握る。悪いことではないだろう?」 0:SE【ソラがレオの頬を打つ音】 レオ:「っ!」 ソラ:「あなたとは、一生分かり合えそうにありません!」 レオ:「生きてきた世界、住んでる世界が違うからね。価値観にズレが生じるのは、仕方のないことさ」 ソラ:「一体、どんな人生を送ってきたら、そんな考え方になってしまうんですか・・・」 レオ:「・・・。母国で地震があったんだ」 ソラ:「地震?」 レオ:「そう、大きな地震。その地震で、家族は、俺以外はみんな、死んでしまった。何も悪いことなんてしてないのにさ」 ソラ:「・・・」 レオ:「それで、俺は、人身売買の車に拉致(らち)されそうになったいたところを、とあるマフィアのおっさんに助けられた」 ソラ:「マフィアに?」 レオ:「『家族を亡くしたのか?すっごく悲しいよな。今日からは、俺がお前の親になってやる!』って、見ず知らずのガキのために涙を流して言ったんだぜ?顔に傷だらけの強面(こわもて)のマフィアのおっさんがだぜ?笑えるだろ?」 ソラ:「それは、自分の盾になる部下を一から育てようとしていただけでは?」 レオ:「確かに、俺は幼い頃から、暗殺技術をみっちりと仕込まれた。自分の身を守るためには、必要だからと・・・。だけどな。おっさんは、仲間に裏切られて、俺を人質に取られた時、ちゃんと助けにきてくれたんだ。血も繋がっていない俺なんかのために、命をかけてくれたんだ・・・」 ソラ:「そうなんですか・・・」 レオ:「その結果、俺を守るために、おっさんは、死んだ・・・。おっさんの最期の言葉を今でも覚えてる・・・。『幸せになれ!』だとよ」 ソラ:「幸せに、なれ・・・」 レオ:「俺は思うんだ。人は、外見じゃない。肩書きじゃないってな。それは、子どもも大人も同じ。誰かの決めたルールに、誰かの価値観に合わせて、周りに流されて生きるのは、楽かもしれない。でもな、自分の目で見ることをやめて、自分自身で考えることをやめちまうと、物事の本質を、本当に大切にしなきゃいけないことを見失っちまうんだよ・・・。さっきの二人は、いい目をしていた。あの若さで、いっぱしの戦士の目だ。だから、あの二人が強くなる未来を想像したら、なんだかワクワクして、あの場を任せたくなった」 ソラ:「・・・」 レオ:「ごめんな。俺の価値観で、あの場の状況判断をしちまって・・・。子どもに、銃を握らせちまってさ・・・」 ソラ:「少し」 レオ:「ん?」 ソラ:「ほんの少しだけ、あなたのことがわかった気がします」 レオ:「そうか・・・。それは・・・。えっと・・・。ありがと」 ソラ:「いえ」 レオ:「あぁ・・・。話は変わるが、まだ、体力に余力はあるか?」 ソラ:「体力?」 レオ:「体力に余力があるなら、ほいっ!」 0:レオは、ソラの手元に向かって拳銃を投げる。 ソラ:「えっ?」 レオ:「ナイスキャッチ!それ、俺からのプレゼント、ベレッタPX4ストーム・サブコンパクト」 ソラ:「銃ですか?」 レオ:「女性でも扱いやすい銃だ。しかも、装弾数も13発と、小型銃にしては多い方だから、慣れていない素人さんにもピッタリ!」 ソラ:「はぁ・・・」 レオ:「下の階に射撃訓練のできる部屋があるから、そこで、少し撃ってみないか?」 ソラ:「自分の身は自分で守れと?」 レオ:「いいや、君のことは、俺が絶対に守る。命に代えてもね。これは、あくまでも保険だよ」 ソラ:「保険・・・」 レオ:「どうする?銃なんて見るのも嫌なら、断ってもいいけど?」 ソラ:「いえ、分かりました。私に、銃の撃ち方を教えて下さい」 レオ:「了解w」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】九頭竜街。 ゼロ:「あら~?あらあらあら~?情けない~。全員、ゼロちゃんにヤラレちゃったのね~!さっすが、愛しのレオちゃん!こんな雑兵(ぞうひょう)に、レオちゃんが負けるなんて、ありえない。う~ん!ありえないっ!で~も、おっかしいわね~。レオちゃんって、こんなにも無駄に殺しをしちゃうタイプだったかしら~?・・・んっ!?」 イサミ:「え?あぁ、どうも?」 キヨカ:「なになに?オカマのおじさん?」 ゼロ:「オカマのおじさんなんて、失礼なガキね!」 イサミ:「キヨカ、下がって!」 キヨカ:「え?」 イサミ:「コイツ、普通じゃない!」 ゼロ:「ウフフwあ~ら!あ~ら!よくわかってるじゃな~い!そうよ!あたしは、普通じゃない!と~っても強いオカマでーす!」 0:ゼロは、目にも止まらぬスピードで銃を抜き、発砲。その銃弾は、イサミの頬を掠める。 イサミ:「うっ、動けなかった・・・。コイツ、本物だ」 キヨカ:「イサミ!」 イサミ:「逃げて!」 キヨカ:「え?」 イサミ:「聞こえないの!逃げてって言ってんの!」 ゼロ:「あ~ら!逃がさないわよ!逃がすわけないでしょ~!」 0:ゼロは、キヨカとの距離を一足飛びで詰めて、その鳩尾に拳を捻じ込む。 キヨカ:「ぐふぁっ!」 0:キヨカは、血反吐を吐き、両手で腹を押さえて地面に蹲る。 イサミ:「キヨカーっ!」 ゼロ:「動かないで!動いたら、この子、今すぐ殺しちゃうわよ?」 0:ゼロは、銃口をキヨカの頭に向ける。 イサミ:「くっ!」 ゼロ:「ねぇ~、ちょっ~と~、答えてほしいことがあるんだけど、いいかしら~?」 イサミ:「・・・」 ゼロ:「『いいかしら?』って聞いてるでしょ!あんたは、『はい』か『はい』で答えなさい!いいかしら?」 イサミ:「はっ、はい!」 ゼロ:「あのさ・・・。ここに倒れているヒットマンさんたち、殺したの、だ~れ?」 イサミ:「え?」 ゼロ:「殺したの、だ~れ?って、あたしが!あなたに!聞いてるの!耳、付いていないのかしら?」 イサミ:「付いて、ます」 ゼロ:「付いてるなら、答えなさいよ~。その耳が、ただの飾りなら、うっかり、この銃で撃ち落としてしまうわよ?」 イサミ:「ひっ!あっ!この人たちを殺したのは、私です」 ゼロ:「そう!あなたなの?イイわねぇ~!ちなみに、あなた一人でやったの?」 イサミ:「えっ?あっ!はい!私、一人でやりました!だから、キヨカは関係ありません!」 ゼロ:「キヨカ!この子、キヨカって言うのね!そう!あなた、一人でやったのね?」 イサミ:「そうです。私一人でやりました」 ゼロ:「そうなの?う~ん!すごいわね。イイ~腕してるわ。あなた」 イサミ:「あっ、ありがとうございます」 ゼロ:「で~も、残念。この人たち、みんな、あたしの家族なのよね」 イサミ:「家族?」 ゼロ:「そう、家族」 イサミ:「全員ですか?」 ゼロ:「全員よ。そう言ってるじゃない?あたしぃ~、あなたに家族を皆殺しにされちゃったみたい・・・。これ、どう責任とってくれるのかしら?」 イサミ:「責任?」 ゼロ:「そう!責任よ?」 イサミ:「・・・。わっ、私一人の命で済むのなら!でも、キヨカだけは、キヨカの命だけは助けてください!」 ゼロ:「はぁ・・・。健気。健気ねぇ。イイわ。あたし、とっ~ても優しいから~、キヨカちゃんだけは、助けてあげるわよ。その代わり・・・」 イサミ:「その、代わり?」 ゼロ:「人を一人、殺してくれない?それで、すべてチャラにしてあげる」 イサミ:「人を、殺せばいいんですか?」 ゼロ:「そうよ。これだけの数のヒットマンを殺すだけの腕を持っているんだから、たった一人を殺すくらい余裕でしょ?」 イサミ:「・・・わかりました」 ゼロ:「それで、ターゲットは・・・?」 0:ゼロは、一足飛びでイサミの目の前に移動し、スマホの画像フォルダを見せる。 ゼロ:「このイケメンよ」 0:ゼロの画像フォルダは、レオの写真で埋め尽くされていた。 イサミ:「この人って・・・」 ゼロ:「あ~ら?レオちゃんを知ってるの?有名人だもんね。グリムスイーパー」 イサミ:「嘘・・・、この人が・・・?」 ゼロ:「もしかして、知らなかったの?」 イサミ:「はい・・・」 ゼロ:「ちなみに、レオちゃんとは、どういう関係?」 イサミ:「共闘を申し込まれて、逃げられました」 ゼロ:「あら~?逃げられたって!?レオちゃん自身は、ターゲット以外は、武器しか狙わず、殺さずを貫いてる癖に、JKには人殺しの役目を押し付けるだなんて!あ~!あ~っ!も~う!な・ん・て可愛いの!も~う!レオちゃん!しゅき!しゅきっ!しゅっきー!!!」 イサミ:「・・・」 ゼロ:「はいっ。こ~れっ!」 0:ゼロは、マップの表示されたスマホをイサミに手渡す。 イサミ:「これは?」 ゼロ:「マップの光っている場所。そこに、レオちゃんの、アジトがある」 イサミ:「このアジトに向かえばいいんですか?」 ゼロ:「そうよ。流石のレオちゃんでも、JK相手なら、油断するでしょ?大丈夫。あなたなら、ヤレるわ」 イサミ:「あのぉ・・・、一つ質問してもいいですか?」 ゼロ:「なーに?」 イサミ:「あなたも、相当な腕を持っているのに、どうして自分でやらないんですか?」 ゼロ:「イイ~質問ね!そんなの決まってるじゃない!乙女って言うものはね、愛しい人の前では、いつでも!どこでも!もちろんベッドの上でも!か弱いレディでいたいものなのよ!」 イサミ:「そうなんですか・・・。それと、そんなに好きなら、どうして殺そうとするんですか?」 ゼロ:「あ~、それは、くだらない質問ね。・・・手に入らないからよ。手に入らないなら、壊すしかないでしょ?」 イサミ:「・・・はい」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 レオ:「疲れたか?」 ソラ:「少し・・・」 レオ:「無理もない。銃なんて、今まで握ったこともないんだろ?」 ソラ:「はい」 レオ:「ハイグリップを心がけること、銃の中心線が手首を通るようにグリップすること、撃つ瞬間までトリガーガードに指を入れないこと。今日は、この3つだけ覚えてくれればいい」 ソラ:「あのっ、どうしてハイグリップを心がけることが大事なんですか?」 レオ:「命中精度向上、速射性向上、作動不良防止に影響するからだ」 ソラ:「そうなんですね」 レオ:「あぁ。今日は、もう、休もう。トイレ、シャワー付きの客室があるから、ソラちゃんは、そこで休んでくれ」 ソラ:「あなたは?」 レオ:「俺?俺には、自分の部屋がある。あぁ、安心しろ。客室は、俺の部屋の隣だ。万が一何かあっても、すぐに助けに駆け付ける」 ソラ:「あぁ!はい・・・。お願いします・・・」 レオ:「どうした?」 ソラ:「・・・いえ!なんでもないです!」 レオ:「あっ、あぁ・・・」 0: 0:【間】 0: レオ:「じゃあ、おやすみ」 ソラ:「おやすみなさい」 0: 0:【間】 0: 0:レオは、ソラが客室に入るのを確認し、自室の扉を開く。 レオ:「ん?コールガールを呼んだつもりはないんだけどな」 0:レオが明かりを付けると、ベッドには、下着姿のイサミの姿があった。 レオ:「ハハハ。これはこれは随分と大胆な・・・」 イサミ:「あなたに、もう一度会いたくて・・・」 レオ:「はぁ・・・。この俺に会いたいだなんて、まったく、物好きなJKもいたもんだな。だけど、悪いね。俺は、25歳以上の巨乳美女にしか欲情しないんだ」 イサミ:「そういうのは試してから言ってくれますか?最近のJKは、そこらのおばさんよりも経験豊富、なんです」 レオ:「そうなんだ。へ~・・・。最近のJKは、火薬の香水を付けてるんだね」 0:レオは、銃口の先をイサミに向ける。イサミは、口パクで、『たすけて』と伝える。 イサミ:「・・・」 0:レオは、背中越しに扉に鍵をかける。 レオ:「あぁ~・・・。ほんとに、いいの?」 イサミ:「私を抱いて下さい!」 レオ:「一度、JKを試してみるのも悪くないのかもしれない。昔、食わず嫌いはやめなさいって、マザーテレサが言ってた気もするし・・・。それじゃあ、遠慮なく!いっただきま~す!」 0:SE【発砲音】 レオ:「ぐふぁっ!」 イサミ:「やった!グリムスイーパーを殺した!」 0:SE【扉を叩く音】 ソラ:「ねぇ!どうしたの?今の音は一体なに?なにがあったの?ねぇ!開けてよレオ!開けて!」 0:SE【扉の鍵が開く音】 0:扉を開けると下着姿のイサミが出てくる。 イサミ:「ごめんなさい・・・」 0:イサミは、走り去って行く。 ソラ:「・・・嘘・・・」 レオ:「あっ!こっ、これには、深い訳が!」 ソラ:「このっ!変態!」 0:ソラは、倒れているレオの頭をスリッパで何度も叩く。 レオ:「話を・・・。話を聞いてくれ~!これは、かくかくしかじかで!」 0: 0:【間】 0: ソラ:「なるほど・・・。あの子、誰かに脅されて、レオを殺しにきたわけですね」 レオ:「あの状況から、推測するとね」 ソラ:「ふ~ん・・・。このアジトは、安全って誰かが言ってなかったですっけ?」 レオ:「おそらくだが、ソラちゃんの持ち物か服に発信機が取り付けられていたんじゃないかと・・・」 ソラ:「え?でも、ここにくるまでに、誰とも接触していませんよ?ずっとあなたと一緒にいましたし」 レオ:「一人だけ、接触した人物がいるだろ?」 ソラ:「それって・・・!?」 レオ:「だから、こちらも、今のJKに発信機を付けさせてもらった。その発信機を辿った先にいる人物を殺せば、きっと、もう、君が命を狙われることはないんじゃないかな」 ソラ:「でも、どうしてあの人が・・・」 レオ:「ん?どうした?なんだか、浮かない顔だね?」 ソラ:「あっ、いや!なんでもない!なんでもないです!」 レオ:「ん?」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】ゼロのアジト。 イサミ:「殺して、きました」 ゼロ:「嘘!」 イサミ:「私に取り付けた盗聴器の音声聴いてたんでしょ?」 ゼロ:「ええ。もちろん。しっ~かり聴いてたわよ」 イサミ:「だったら、早く、キヨカを開放してよ!そういう約束でしょ?」 ゼロ:「約束・・・。約束ね・・・。でも、あなたみたいな小娘に、本当にレオちゃんが殺されちゃったのかしら?」 イサミ:「どういうこと?」 ゼロ:「信じられないのよね!愛しのレオちゃんが殺されるなんて!あたしの!レオちゃんが!テメェみたいなケツの青いガキに殺されるのが信じられないって言ってんのよ!」 イサミ:「え?」 ゼロ:「てことで、あなた、ここで死になさい!」 イサミ:「そんな・・・」 0:ゼロは、銃口の先をイサミに向ける。 0:SE【発砲音】 0:ゼロの銃に銃弾が命中し、弾き飛ぶ。 ゼロ:「ぐふぁっ!も~う!なに!?なんなのよ!!誰よ?」 レオ:「俺だ」 ゼロ:「れっ、レオちゃん!」 レオ:「すべての黒幕は、ゼロ。お前だったんだな」 ゼロ:「黒幕?なんのことかしら?」 レオ:「その1、女性の依頼を絶対に持ってこないはずの仲介人が、女性の依頼を持ってきた」 ゼロ:「・・・」 レオ:「その2、依頼人が俺に向ける不自然な殺気」 ゼロ:「流石レオちゃん!そうよ!ソラちゃんは、家族を、レオちゃんに殺されてるのよ!」 レオ:「新村財閥だな?」 ゼロ:「フフフw殺した相手のことを、ちゃあんと覚えてるなんて、ス・テ・キ。今から10年くらい前だったかしら、レオちゃん、新村財閥の当主を殺したんでしょ?その当主こそ、ソラちゃんの父親だったのよ!」 レオ:「そうだったのか・・・。なら、あの子には、俺を殺すことに協力するだけの理由があったんだな」 ゼロ:「そうよ!それなのに、どうして、レオちゃん、まだ生きてるのよ!保険としてJKまで派遣したのに!」 レオ:「そんなの、決まってんだろ?ゼロ、お前に会うためだ」 ゼロ:「あ~ら!あたしに会うためだなんて、ドキドキすること言ってくれるじゃないのよ!」 レオ:「テメェを殺すためって意味も含まれてるんだけどな!」 0:レオはゼロに向かって発砲するが、ゼロは蝶のようにひらりと身を躱す。 ゼロ:「さっすがレオちゃん!イイ~腕ね!でも、残念でした~!そこまでよ!」 レオ:「ん?」 イサミ:「うわっ!体が勝手に・・・」 0:イサミは、銃口をキヨカに向ける。 イサミ:「キヨカ!目を覚まして!キヨカ!キヨカ―っ!」 キヨカ:「うっ、ううっ・・・。いっ、イサミ?」 イサミ:「逃げて!キヨカ!」 キヨカ:「なに?」 イサミ:「体がっ、勝手に!このままだと私、キヨカを・・・」 レオ:「ゼロっ!お前の仕業か!?」 ゼロ:「すっごいでしょ!催眠術。いつかレオちゃんにかけてみたくて、ものすっごい特訓してたんだけど、こういう形で役に立つなんて!」 レオ:「今すぐ、やめさせろーっ!」 ゼロ:「やめさせろ?いやよ!やめさせるわけないでしょ?でも、そうね~。レオちゃんが、あたしの靴にキスしてくれたら、考えてあげてもいいわよ」 レオ:「わかった!だから、すぐに彼女の催眠術を解け!」 ゼロ:「オッケー!オッケー!オッケー牧場!ほいっ!」 0:SE【ゼロが指を鳴らす音】 イサミ:「がっ、がはっ!はぁ・・・はぁ・・・」 キヨカ:「イサミ!大丈夫?」 イサミ:「私は、大丈夫。キヨカのほうこそ、私がいない間に、酷いことされてなかった?」 キヨカ:「私も、平気。平気だけど、イサミの弱点になっちゃって、ごめん」 イサミ:「そんなことない!」 ゼロ:「あら~!お熱い友情ごっこ!泣けるわね~!ちなみにだけど~、今からレオちゃんがあたしの靴にキスする以外の行動をする素振りを見せた時点で、今度こそ、あのJK二人を殺すわよ」 レオ:「・・・」 ゼロ:「というわけで、足に、熱い、キッス!レオちゃん!早くっ!」 レオ:「・・・」 ソラ:「レオーっ!!!」 0:SE【発砲音】 0:ソラの放った銃弾は、ゼロの眉間を貫く。 ゼロ:「うっ」 0: ゼロ:【M】嘘でしょ嘘でしょ!?今の不意打ちでしょ!?撃ったのは?ソラちゃん!?嘘よ!いやっ!こんなので死んじゃうの?あたしの人生、あまりにもあっけなくない!?いやっ、いやよ!いやーっ!!! 0:ゼロ、絶命。 レオ:「・・・やっぱり保険は、かけておくもんだな」 ソラ:「はぁ・・・はぁ・・・」 レオ:「ありがとな」 ソラ:「わっ・・・私、人。人を殺しちゃった・・・」 レオ:「あぁ、そうだな。でも、そのおかげで、俺は命を拾えた。俺だけじゃない。最悪の場合、あの二人組のJKも殺されてた。ソラちゃんの勇気が、みんなの命を救ったんだ」 ソラ:「・・・でも・・・、でもっ!」 レオ:「武器や力は、扱い方次第で、人を殺すこともできるし、生かすこともできる。だからこそ、扱い方を間違ったらいけない。銃も扱い方ひとつ間違えば、大ケガするのと同じだ」 ソラ:「うん・・・。でも、レオ」 レオ:「お!そういや、いつのまにか俺のこと、『あなた』じゃなくて、『レオ』って」 ソラ:「あ・・・」 キヨカ:「ヒュー!お熱いですな!お二人さん!」 イサミ:「お似合いの二人だね」 キヨカ:「うんうん!」 レオ:「お前たちのほうこそ、お似合いのコンビじゃないか?」 キヨカ:「やっぱりぃ?そう見えますか?ってか、私が気絶している間に、一体なにが?」 イサミ:「色々あったんだよ。色々ね・・・」 キヨカ:「色々かぁ・・・。とりあえず、エビチリはちょい悪オヤジで、そこで死んでるオカマのおっさんは、すっごい悪い人だったってことはわかるよ」 イサミ:「それだけわかってれば、十分だよ。ねぇ、キヨカ、歩ける?」 キヨカ:「なっ、なんとか?」 イサミ:「仕方ないなぁ。今回は、特別に肩を貸してあげるよ」 レオ:「あぁ、桜花商店街までは、俺が護衛しよう」 イサミ:「おっ!それは、助かります」 キヨカ:「エビチリ、また私たちを置いて逃げたりしないでくださいよ?」 レオ:「もう逃げたりしないよ。そして、そのエビチリってのは、どういう意味?」 キヨカ:「なっ、なんの意味もありませ~ん!エビチリは、エビチリで~す!」 レオ:「おっ、そうか・・・」 ソラ:「フフフ」 キヨカ:「あのぉ、お姉さん、つかぬことをお聞きしますが、エビチリのどういうところに惚れたんで?」 ソラ:「惚れた!?えっ?そもそも、私たち、まだ付き合ってません!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】私立銃術学園高等部の屋上。 イサミ:「そう、キヨカがエビチリってイジってたオッサンこそが、ミスター都市伝説、最強の男、グリムスイーパー」 キヨカ:「えっ!?うっ、嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!!!」 0: 0:【間】 0: 0:【場面転換】レオのアジト。 レオ:「結局、俺を殺さないんだね」 ソラ:「殺せないです。レオは悪い人じゃないって知ってしまったから」 レオ:「そう?すっごい悪い人かもよ?」 ソラ:「少なくとも、私の父よりは、悪い人ではないです」 レオ:「あぁ・・・」 ソラ:「私の父は、権力を盾に、いつも弱者を甚振(いたぶ)っていました。時々、攫(さら)ってきた浮浪者(ふろうしゃ)を庭に逃がしては、狩りと称して猟銃(りょうじゅう)で撃ち殺す遊びをしたり・・・」 レオ:「知っていたんだね」 ソラ:「えぇ・・・」 レオ:「そういや、ソラちゃんから依頼料貰っていなかったな」 ソラ:「そうだ!依頼料!あなたをボディガードとして雇う依頼料!」 レオ:「ちなみに、俺の依頼料は、破格だぜ?」 ソラ:「いっ、いくらなんですか?」 レオ:「それは・・・、今までの『ソラ』という名前を頂く。そして、今日から『リリー』と名乗ってくれ」 ソラ:「どういうことですか?」 レオ:「この業界で生きて行くには、本名は足枷(あしかせ)にしかならない。だから、リリー」 ソラ:「だから、それはどういう?」 レオ:「俺の相棒になってくれ」 0: 0:―了―