台本概要
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タイトル | 因果応報 |
---|---|
作者名 | くま@甘党 |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
真実と康介のその後を描きました。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
康介 |
男 ![]() |
231 | 斉藤 康介(さいとう こうすけ) |
真実 |
女 ![]() |
238 | 鈴木 真実(すずき まみ) |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:因果応報
―:
―:稜也とかなえを引き離そうとした事件から約一ヶ月後。
―:真実は事件の日、左手首を切った事で搬送された。
―:動機を今でも黙秘しており、精神科に入院している。
―:*隔離病棟《かくりびょうとう》から一般病棟へ移り、今は気持ちも落ち着いている。
―:
0:5月下旬 竹中総合病院
真実:はぁ…。
康介:……よう。
真実:ん?…あぁ、あんたか。
康介:あんたって…。まぁいいや、元気そうだな。
真実:はw これで元気に見えるんだ?
康介:生きてるだけで十分だろ。あんな事したんだし。
真実:……。
康介:…悪かった。あの日の事…。
真実:…別に、あんたに言われてやったんじゃないし。
康介:……。
真実:てか、何しに来たの?
康介:え…、様子を見に…?
真実:…余計なお世話。
康介:……。いつ、退院するんだ?
真実:明日。
康介:え、明日!?
真実:そう。
康介:そうか…。じゃあ今日会えて良かった。
真実:は?
康介:いや…ちゃんと謝っておこうと思って。
真実:別に謝る事ないじゃん。お互いゲスな作戦立てて、決行したのはもう自己責任でしょ。
康介:…んまぁ、そうだけど。
真実:他に用が無いなら帰ってよ。別にあんたと話すことないし。
康介:あ…あぁ。
真実:さようなら。
康介:…さようなら。
0:1ヶ月後
真実:いらっしゃいませー。
康介:あれ…奇遇だなぁw 今度はファミレスでアルバイトか!
真実:うーわ…。なんでわざわざ私が働いてるファミレスに来るのよ…。
康介:世間は狭いねぇw
真実:はぁ…。こちらへどうぞ。
康介:はーい。
―:
真実:おまたせしましたぁ。
康介:お、ありがとう。なぁ…今日何時まで?
真実:は?なんで?
康介:この後暇だったら飲みにでも行かないかなーって。
真実:本気で言ってんの?行くわけないじゃん。
康介:なんだ、同じ穴の*狢《むじな》なのにつれないねーw
真実:あんたとはもう会いたくないって言ってんのによく誘ってくるわね…。
康介:え?そんな事言われたっけ?
真実:態度で示してんでしょ!?
康介:へぇー?気付かなかったなーw
真実:バカなの?鈍いの?
康介:ふw 女の子の事はよく理解してると思うけどー?
真実:あっそ…てかどうでもいいし。ごゆっくりどうぞ。
―:
康介:お疲れ様!
真実:え…まだ居たの…。あんたストーカー気質あんじゃないの?
康介:目的を遂行する意思が強いだけだよw
真実:目的…?
康介:あー別にそんな警戒されるような事は考えてないからな?勘違いすんなよ?
真実:…だったら何?何がしたい訳?
康介:だから軽く飲みにでもって…
真実:行かないって言ってるでしょ!?
康介:なんでさ?
真実:あんたとはあの件以外に接点も無いし、友達でも無ければ彼氏でもない。だから行く理由が無いの!
康介:ふーん…。
真実:何よ…ふーんって…。
康介:そんな事気にするんだーってw
真実:悪い?
康介:別に?w
真実:私帰る。お腹空いたし。
康介:お!じゃあ俺が回らない寿司屋でも連れてってやろうか?w
真実:間に合ってまーす。
康介:じゃあ肉は?半生で食べる炙り牛とかたまんねぇぞー?
真実:こんな夜遅くににそんなの食べる訳ないでしょ。
康介:えーじゃあ…。
―:
真実:…………はぁ。あんたどこまでついてくんのよ!?
康介:え?
真実:もうそこ家なんだけど。
康介:…は?
真実:ふん…w 散々豪華なご飯を提案してきたけど、これで全部断った理由がわかった?
真実:うち、お金持ちなの。あんたが言った物、全部食べ飽きてるから!
康介:うへぇ…こんなでっかい家のお嬢様だったんだ…。
真実:さようなら、ストーカーさん。
康介:あ…。………マジで入ってった…。
康介:本当にここが自宅なんだ…。*侮《あなど》ってたなぁ…誘い方間違えたかw
0:
真実:(やる気が無さそうに)いらっしゃいませぇ。
真実:
真実:かしこまりましたぁ。少々お待ちくださぁい。
真実:
真実:おまたせしましたぁ。
真実:
真実:ありがとうございましたぁ。またお越しくださいませぇ。
真実:
真実:………よし。
真実:
真実:じゃあ店長、上がりますねぇ。お先に失礼しまぁす。
―:
康介:今日もお疲れ様!
真実:え?…ま…またあんた…。
康介:そうあからさまに喜ぶなよw
真実:誰が!!……何なのよ。私今日はもうグッタリなんですけど?
康介:じゃあ良いとこ連れてってやるよ。
真実:だから…あんたとはどこにも行かないって言ってるでしょ…って……えっ!?
―:いきなり真実をお姫様抱っこする康介
康介:まぁいいからいいからw
真実:ちょ…バカじゃないの!?降ろしてよーー!!
康介:危ないから暴れんなってーw
真実:わかった、行くから!行くから降ろして!!
―:渋々降ろす康介
康介:やれやれ…w
真実:何が「やれやれ」よ!!変態!!
康介:ふふw さぁ行くぞ!
真実:…はぁームカつく……。
0:居酒屋 寄ってけ屋
康介:ちわーっす!
康介:大将、今日は可愛い子連れてきたから目の保養にどうぞーw
真実:ちょっと…何言ってんのよ。
康介:ふふw ここなぁ、俺の行きつけの居酒屋。大将とはもう3年くらいの付き合いかなぁ?
真実:あっそ…。うわ…きったない…。
康介:あははw お前みたいな金持ちは絶対来ないだろ?こんな店w
真実:当然でしょ…。
康介:あ、ビール飲めるか?
真実:…ん。
康介:へぇ…w
真実:何よ?
康介:別にw じゃあ大将、生2つねー!あと串盛りも!
康介:このお金持ちのお嬢様に、庶民の至福の味を教えてやってよw
真実:そのいちいちお金持ちって言うのやめてもらえる?ムカつくんだけど。
康介:あーごめんごめんw あ、ビールきた!……はい、乾杯!
真実:(無視して飲む)………はああぁぁぁ。
康介:…っぷww おっさんくさww
真実:うるさい…。疲れた時にはビールでしょ。
康介:間違いないなw けどな、串食べながらのビールが1番効くんだぞー?w
真実:……こんな汚い店の、あんな汚い厨房で焼かれた串なんて…食べる気失せる。
康介:まぁそう言うなってw
康介:てか大将!散々な言われようなのに、笑ってないでたまには掃除したらー?w
真実:……大将も下品な人…。
康介:あっはははw 目の保養にする代償はでかいなこりゃw
康介:大将のメンタルが*脆《もろ》かったら泣いてるか、もしくは激怒してるだろうなw
真実:そうやって言われるような店と人柄が悪いんじゃないの。
真実:周りからの印象が自分にとって最もリアルなんだから…。
康介:……。
真実:(ビールを飲む)………だぁぁ。
康介:ペース早くない?
真実:私、酒強いので。酔わせて持ち帰ろうとか考えても無駄だから。
康介:思ってないってそんな事…。
真実:どうだか…。あんたみたいにチャラい奴はみんな体目的だって知ってるし。
康介:お前…。…過去に何があったかは知らないけど、男がみんなそうとは限らないんだからな。
真実:知ってるよそれくらい。でも私に近付いてくる男はみんなそうなの!
康介:決めつけんなよ。今まではそうだったのかもしれないけど、
康介:これから新しく出会う男はわかんないだろ!?
真実:……売れ残りの男なんてみんな同じよ…。
真実:良い男にはもう良い女がついてるの。残り物には*欲《よく》しかないの。
康介:…やれやれw
真実:………てかお腹空いたんだけど?
康介:んーー、良い匂いしてきたもんなぁw もうちょいでくるよ!
真実:ビールおかわり。
康介:はいはいw
―:焼き鳥が山盛りの大皿が運ばれてくる
康介:た…大将!?………いやいや、いくら可愛いからってサービスし過ぎだろ…。
真実:……ゴクッ。
康介:…あ、食べて食べてw 量はともかく…味は最高だから!
真実:(ちょっと警戒しながら食べる)…………。
康介:……どうよ?
真実:……お、美味しい…。
康介:だろーー!?w
真実:なにこれ…めっちゃ美味しい!
康介:あっははw どうだ、庶民の居酒屋も悪くないだろ?w
真実:(両手に持ってガツガツ食べる)やば…止まんない…。
康介:…き、聞いてないしw
―:一瞬で串が無くなる
真実:全然足りない!大将、ビールおかわり!
真実:あと…だし巻き卵と、シーザーサラダと、たこわさと、この刺身盛り合わせも!
康介:おま……大丈夫かよ!?
真実:ん?あんた食べないの?
康介:いや…食べるけど…。
真実:大将!早く作って!
康介:……ははw
0:帰り道
真実:ふあーー…。
康介:最初あんな文句言ってたのに、よくもまぁあそこまで食ったなw 満足か?w
真実:ん…無理矢理連れて行かれたのは解せないけど、お店はまぁ良しとするレベルかな。
康介:素直じゃねーなーw あんな食っといてw
真実:うるさいなぁ、*今時《いまどき》女子だってあれくらい食べるし!
康介:いや絶対食わねぇだろw お前の胃袋がおかしいんだよw
真実:……。
康介M:あれ…怒ったかな…?
真実:ねぇ、なんで私にこんな付きまとう訳?
康介:え?
真実:だって、私と一緒に居たって楽しくないでしょ。
康介:あぁー…うん。
真実:うんって…やっぱあんたムカつく。
康介:ふw
真実:何笑ってんのよ。
康介:いや、俺達似た者同士だから…なーんか放っておけなくてさ。
真実:はぁ!?どこが似た者同士なのよ!?バッカじゃないの?
康介:…お前、本当の友達って居ないだろ?
真実:は?居るし。
康介:じゃあ自分が本気で悩んだ時とか、助けてほしい時に頼れる人は?
真実:……。
康介:ほらなw
真実:…別に、そんな事にならないし。
康介:*虚《むな》しいねぇ…w
真実:はぁ?全然虚しくないし!!
真実:私は今でも、呼べばすぐ来る男も居るし、その辺の男なら簡単に落とせる*LJD《えるじぇーでぃー》だし!!
康介:LJDって……w
真実:私の人気は高校時代から変わってないの!あと1年して学生ブランドが無くなったって、これからも変わらずアイドル級よ!!
康介:…アイドルねぇ。
真実:……。あんただってどうせ、その無駄なイケメン*面《づら》で女の子たくさん泣かせてんじゃないの?
康介:お?よくわかってんじゃんw
真実:は?最低…。クズじゃん。
康介:お前も同じだろ。
真実:ち…違うし!!何も知らないくせに適当な事言わないで!!
康介:……。
真実:帰る。さようなら。
康介:…あぁ、またな。
真実:……。
0:真実 自宅
真実M:
真実M:………あームカつく!! 何が「またな」よ!もう会わないし…。
真実M:
真実M:……私はもう、遊んでなんかない。
真実M:
真実M:ちゃんと人を好きになって…ちゃんと恋愛がしたいだけ…。
真実M:
真実M:あんなチャラ男とは全然似てないし…。
真実M:
真実M:………。「本気で悩んだ時とか、助けてほしい時に頼れる人」…か。
真実M:
真実M:そんな人、高校でも大学でも出会った事ないし…仕方ないじゃん……。
真実M:
真実M:………そっか…、私から遠ざけてたんだ…。
真実M:
真実M:もしかしたら…居たのかな。そんな友達になってくれる人も…。
真実M:
0:1ヶ月後
康介:あー、やっと仕事終わったー!これで繁忙期も終わったかなぁ。
康介:
康介:…そうだ、あいつの顔でも見に行くか。
―:
真実:いらっしゃ……。
康介:よう!
真実:いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。
康介:……?あぁ。
真実:ご注文は?
康介:んー、どうしよっかなー。
真実:(ボソッと)軽めにしておきなよ。
康介:え…?
真実:…私あと1時間もしないで上がるから。どうせまた*攫《さら》われるんでしょ?
康介:…何言ってんの?お前…。
真実:(ボソボソと)ま…前の…居酒屋に……その。
康介:ん? …あーー!寄ってけ屋? …なに、行きたいの?w
真実:ち…ちが…! どうせまた無理矢理連れて行くんでしょ?
真実:だったらあんたもそこで食べる事になるんだから、ここでは軽めにしておきなさいって言ってんの!!
康介:…っぶw あっははははww
真実:(顔を真っ赤にして)な……なに笑ってんのよ……。
康介:わかったわかったww じゃードリンクバーと、フライドポテトくださいw
真実:(恥ずかしそうに)……かしこまりました!!
康介:………っぷww あんな可愛い一面もあるんだなぁw
0:居酒屋 寄ってけ屋
康介:大将!久しぶり!
真実:大将!前の焼き鳥盛り合わせ!大至急!!あとビールも!
康介:お前…そんなに飢えてたのか?w
真実:ち…違うし!ここの焼き鳥が悪いんでしょ!? 大将、焼くとき中毒性のある粉でも使ってんじゃないの!?
康介:ばっかだなぁーw 大将良かったじゃん!(真実を見ながら)常連がまた1人増えたなぁw
真実:ジ…ジロジロ見てんじゃないわよ!別に常連になんかなってないし!
康介:あははw 素直になればいいのにw
真実:そ、そもそも、あんたがあれから全然現れないからでしょ!?
康介:おー?俺が店に来るの待ってたんだ?w
真実:ま…待ってないし!!
康介:悪かったよw ちょっと仕事が繁忙期を迎えててな。
康介:でも今日でようやくピークも過ぎたし、一旦落ち着いたかな。
真実:ふぅん…。別に興味無いけど、あんたって仕事何してんの?
康介:興味ないのに聞くんだw
真実:うるさいなー、スッと答えなさいよ!
康介:ふふw 今は経営コンサルタントしてる。
真実:コンサル?あぁ…うちのパパの店にもそんなの居たかも。
康介:へぇ。お前のお父さんって何してる人なの?
真実:さぁ?色々やり過ぎててわかんない。
康介:例えば?
真実:うーん…、飲食店が数軒、アパレル会社、化粧品会社、あとキャンプ用品のお店もやってたかな?
康介:す…すっげぇ実業家じゃん…。
真実:興味なーい。
康介:お母さんは?
真実:今言ったアパレル会社の社長。自分のデザインを形にしたいとか言って、パパに会社作ってもらったんだっけかなー。
康介:なるほどねぇ…。それであんな大きな家を…納得。
真実:家なんて大きくてもなーんにも良い事無いけど。
康介:金持ちの子供がよく言うセリフだなw
真実:また言った…。
康介:あ…ごめんってw
真実:……。
康介:狭い家だとその分家族の顔が見れて、贅沢なんてしなくても幸せだーって…よくある話だよな。
真実:うちの家族は顔を合わせても幸せなんて感じないけどね。
真実:…ま、弟くらいかなぁ、家族に会いたいって未だに言ってるのは。
康介:弟居るんだ?何歳?
真実:まだ小学生。最近じゃ家に誰も居ない事が多いから、おばあちゃんの家で暮らしてる。
康介:へぇ。
真実:てか……私の話なんていいの!大将、焼き鳥まだー!?ビールもー!!
康介:どんだけ食いたかったんだよww
0:帰り道
真実:ふうー、食った食った♪
康介:お気に召したようで何よりです、お嬢様w
真実:やめて!
康介:あははw だって俺、お前の事なんて呼べばいいかわかんねーもん。
真実:別に良くない?私だってあんたの名前知らないし。
康介:康介。斉藤康介だよ。
真実:……興味ない。
康介:おいおいw そこは自分も名乗るだろ普通!
真実:……鈴木真実。
康介:真実か!よろしくな、真実!俺の事は「康介さん」でいいぞ?w
真実:はぁ?いきなり呼び捨てにされるのも、あんたに「さん」付けるのも納得いかないんだけど?
康介:しっかし、何度も会ってるのに今更名前を教え合うとかw ちょっと面白いなw
真実:聞いてないし…。
康介:前にLINE交換した時も、お互い名前で登録してなかったもんなー。
康介:あ、そういえば俺のLINEってまだあるの?
真実:ある訳ないでしょ。スマホ新しくしたし。
康介:そうなんだ?じゃあ改めて交換しようぜ!
真実:はぁ?なんでよ…。
康介:寄ってけ屋に行きたい時、連絡くれればいつでも行けるぞ?w
真実:うっ……。
康介:ふふw はい、QRコード。読み取って。
真実:……ん。
康介:んー…あ、きた。名前を真実にして……よし、登録完了!
真実:…はぁ。こうすけって字どう書くの。送って。
康介:お?ちゃんと登録してくれるんだ?w
真実:イニシャルだけじゃわからないでしょ!!
康介:あははw はいはい、送ったよ。
真実:…ん。
康介:さて…、これからどうする?
真実:は? …食べるもん食べたし、帰るよ。
康介:おこちゃまじゃないんだから、もうちょっと夜を楽しんでもいいんじゃない?
真実:……。
康介:ま、俺相手じゃそんな気分にもなれないかw
真実:……別に、いいけど。明日休みだし…。
康介:おぉ!じゃあボーリングでも行きますか!w
真実:え…酒飲んでボーリングするの!?
康介:酒飲んでる方がスコア悪くても良い訳できんじゃん!w
真実:……私、酒飲んでも変わらないし。
康介:じゃあいいじゃん!w
真実:……。
0:ボーリング場
康介:おー懐かしい!ボーリングなんて何年振りだろう?久しぶりに来たなー。
真実:…私は半年ぶりかなぁ。
康介:へぇ?割とこういうところ来るんだ?
真実:いや…いつもママに強制連行されてるだけ。
康介:え?お母さん、ボーリング好きなんだ?
真実:ん…。
康介:へぇ。よーし、じゃあやりますかぁ!
―:1G 10投目
真実:……フンッ!
康介:…ま……マジかよ…。
真実:あー…、1本残った…最悪…。
康介:……スコア…271…?
真実:…ふうっ!疲れた。
康介:お前…何者?
真実:んー?別に。ママに練習させられてきただけ。
真実:いつもなら280はいくんだけどねー。てかいかないと怒られるし…。
康介:プロでも目指してんのか…。
真実:あぁ、ママはプロだよ。
康介:マジで!?
康介:……あれ、もしかして……プロボウラーの*鈴木舞佳《すずきまいか》って…。
真実:よく知ってるじゃん。
康介:はぁ…なるほどなぁ。
真実:次のゲームやる?
康介:お、おう!ちょっとコツとか教えてくれよ!
真実:やーだ。自分で考えて。
康介:えーいいじゃんちょっとくらい!
真実:うるさいなー…、ほら立って。いつもどこ狙って投げてる?
0:帰り道
康介:あーーー楽しかったぁ!なぁ、俺の実力どう!?
真実:…なかなかいいスジしてんじゃない?
康介:マジ!?w 真実のおかげで人生初の230超えだもんなーw
真実:たまたまでしょ。アベレージで200超えないと意味ないのよ。
康介:俺は選手候補かってw
真実:実力聞いてくるから答えただけだし…。
康介:あははw 今日はありがとうな!
真実:…別に。
康介:……。
真実:帰る。
康介:おう…。
真実:じゃあ…さようなら。
―:1人で歩いてく真実
康介:お前さー!
真実:……?
康介:もっと素直に笑えよ!せっかく可愛い顔してんだし、いつまでもふてくされてんなよなー!
真実:べ…別にふてくされてなんか…。
康介:またな!
真実:…………また。
康介:…ふふw
0:次の日
真実:んん…、今何時…、11時か。…あ。
康介(LINE):おはよう!起きたら連絡くれ!
真実:…何なのよ、昨日の今日で…。
真実(LINE):起きた
真実:(あくび)…ふぁ…あーーぁ。眠たぁ。
康介(LINE):寝過ぎ!w 準備しろ!
真実:…はぁ?
真実(LINE):準備って何の?
康介(LINE):夏といえば海だろ!!行くぞ!!
真実:…海ぃ……?昨日ボーリングに行って今日は海って…。フッ*軽《かる》過ぎだろこいつ…。
康介(LINE):13時に迎えに行くから!それまでに軽く飯食って準備しとけ!
康介(LINE):
康介(LINE):あ、水着とかはいらないぞ!
康介(LINE):
康介(LINE):今日も猛暑日だからな!日焼けしたくなかったら対策してこいよ!
真実:うるっさいなー朝からポンポンポンポン!!水着なんて持っていくわけないし!
真実:日焼け対策なら毎日してるわ!!
康介(LINE):じゃあ後で迎えに行くから!ちゃんと準備しとけよ!
真実(LINE):うるさい!!何通も送ってくるな!!
真実(LINE):てか、準備しとけって、私行くなんて言ってないんだけど!?
真実:……既読つかないし…。何なのよこいつ…!
―:13時過ぎ
真実:……結局来ないのかよ!!女待たせるとか最低!!
―:ピーンポーン
真実:あぁ?今更来たか…追い返してやる!
康介:(ドアが開いた瞬間)…あ!やべ!!
真実:え…きゃああっ!?
―:急に荷物が崩れ落ちてくる
康介:…悪い悪いw 大丈夫か…?w
真実:な…な…なんなのよこの荷物はー!!
康介:いやー…ははw
康介:真実が夏バテしてないかなーって思ってお土産も持ってきたんだけど…多かったかなw
真実:…よ、余計なお世話だって言ってんでしょー…いたた…。
康介:ごーめーんってw お、ちゃんと準備してたんだw
真実:あ…違う!それは…。
康介:よーし、これ後で片付けておいて!早速行くぞー、車乗って!この荷物運んでおくから!
真実:あ、ちょ…勝手に…!………もう。
0:海
康介:うっひゃー…さすがにこの時期の海は混んでるなぁ…w
真実:うわぁ…めっちゃ人混み…。帰ろうかな…。
康介:おいおい待てよ、今来たばっかだろ?
真実:冗談じゃない!何が悲しくてこんなゴミゴミした所にいなきゃいけないのよ…。
康介:大丈夫だって!俺達の目的地には人が居ないから。
真実:…はぁ?
康介:あ、居た居た。おーーい! …俺の友達が船持っててさ、近くの島に連れてってくれるんだ。
真実:え…島?
康介:あぁ。そんなに離れてないし、その友達の爺さんの土地らしいから好きに使って問題なし!
真実:島を持ってるって…どんな人脈よ…。あんたこそ何者なの?
康介:俺?俺はただ顔が広いだけだよw
真実:……。
0:離れ小島
康介:じゃあまた後で、お迎えよろしくなー!
真実:………綺麗…。
康介:そうだろー?w さ、まずは火をおこしてバーベキューでもするかー!
真実:え?
康介:ほーら、寄ってけ屋の大将からお前の大好きな串もらってきてやったぞ!
真実:え…本当!?(ハッと我に返る)……あ、あっそう。
康介:……相変わらず素直じゃないねぇw
真実:……うるさい。
―:
康介:よし、焼けた!ほらよ!
真実:…ん。ありがとう…。
康介:………美味いか?
真実:……美味い。
康介:そっか!良かったw
真実:……本当に誰も居ないんだね…この島。
康介:あぁ、今日は俺達の貸し切り!いつもは観光客の為に使ってるみたいだけどな。
真実:…へぇ。
康介:よーし焼けた焼けた!焼き鳥もそれ以外にも色々焼いたから、いっぱい食えよ!
真実:…ん。
0:夜 空には無数の星が輝いている
康介:はぁー食った食った!
真実:んー、お腹いっぱい!
康介:寄ってけ屋の串にも満足したか?w
真実:…うんw
康介:おぉ、ようやく笑えるようになったなw
真実:あ……。
康介:もういいじゃんw
真実:……。
康介:おぉ!真実!ちょっとこっち来て寝そべってみろよ!
真実:はぁ!?いきなり何言うのよ変態!
康介:ちーがーうってw 空見てみろ!
真実:……あ…星…。
康介:……すっげー。
真実:……。
―:康介の隣に行き、並んで寝そべる真実
康介:……ふふw
真実:…変な事したら許さないから。
康介:はいはいw
康介:……お前さ、いつまでも過去に縛られてないで、割り切って前に進めよ。
真実:……。
康介:過去に何があったとしても、俺達は「今」を生きていかなきゃなんないんだぞ?
真実:……。
康介:ずっとそうやって生きてても、時間がもったいないだろ?
康介:人生は有限なんだし。死ぬまで思いっきり楽しんだ方がいいじゃん。
真実:…簡単に言うね。
康介:そんな事ねぇよ…。
真実:……私はね、親にも相手にされず、周りの人にも恵まれず、
真実:ずっとバカな男共に媚び売って生きてきたの。
康介:……。
真実:おかげで犯されるわ、尻軽女のレッテル貼られるわ、
真実:好きな人にも敵視されて、焦って行動して取り返しのつかない事までして…。
康介:あれは…俺が悪いから。
真実:…ふw 私の人生ってなんなんだろう…。……あのまま死んでも良かったのに…。
康介:…ふざけんな。
真実:は?
康介:ふざけんなって言ってんだよ。
真実:別にふざけてなんか…
康介:ふざけてんだろ!自分の命簡単に捨てやがって…。
真実:……こんな女、誰が好きになってくれるのよ…。
康介:俺がなる。
真実:はw 同情?別にいらないし…。
康介:てかもうなってる。
真実:……。
康介:俺達はやっぱり似た者同士だよ。
真実:…どこがよ。
康介:周りから人気があっても、それは表面上の関係ばっかりで…。
康介:
康介:心から「この人と一緒に居たい!」って思う相手とは結ばれない。
康介:
康介:というか…そう思った事もそんなに多くないんだけどなw
真実:……。
康介:俺達はやり方を間違えたんだよ。
康介:
康介:俺も稜也とかなえさんに酷い事をした…。
康介:
康介:今まで遊んできた女の子達にも…。
康介:
康介:だけど今は、もうそんな自分が嫌になって捨てたんだ。
真実:…捨てた?
康介:あぁ。もうチャラいと言われていた軽い俺は居ない。
康介:
康介:仕事だって真面目にやってるし、女の子をとっかえひっかえして遊んでもいない。
康介:
康介:正直…お前だけだ、今プライベートでこうやって会ってるの。
真実:……へぇ。
康介:俺も虚しい生き方してたんだよ、お前と同じでw
真実:……。
康介:だからこれからは改心して、人と深い繋がりを持てるような、そんな人間になろうって思ってる。
真実:……私だって…。
康介:え?
真実:私だって…遊んでない。
康介:…そうなのか?
真実:さすがに私も気付いてるよ…。このままじゃいけないって事くらい…。
康介:……。
真実:退院してからスマホを変えて、家族以外誰とも連絡がつかないようにした。
真実:
真実:1人で生きていくだけの貯金を作る為に、新しいアルバイトも見つけた。
真実:
真実:でも…もう遅いのかな…。全然生きる気力がわかない…。
真実:
真実:アルバイト中も…何度も怒られる…。やる気出せって。
真実:
真実:…そりゃw あんな接客態度じゃね…当然だよ…。
真実:
真実:だからもう…人生に目的も無いし、いっそのこと転生したい。ほら、今転生*流行《はや》ってるし。
康介:それはアニメの話だろw
真実:…はぁ。アニメの世界に行きたいなぁ…。
真実:
真実:こんな私でも、最後はハッピーエンドになるストーリーの…。
康介:俺達が一緒になれば、ハッピーエンドになるんじゃない?
真実:……前から聞きたかったんだけどさ。
康介:なに?
真実:あんたのその自信はどこから来るの?
康介:え?
真実:散々私に拒絶されてるのに…、居酒屋にボーリングに海って…。
真実:
真実:なんでこんなに私に構うの。
康介:んー、実は俺ちょいちょい見てたんだよ、退院した後の真実の事。
真実:…え?
康介:あ、たまたまだよ?なんか俺の活動範囲内によく現れるんだよなぁ、お前w
真実:…そうなんだ。
康介:で、いつ見ても覇気がないっていうか…、昔の勢いが無いから気になってさ。
真実:……。
康介:俺もちょっと責任感じてたし。…あ、だけど同情じゃないぞ?
真実:同情じゃん…。
康介:違うって。俺真実の笑った顔好きだよ。
真実:……チャラ。
康介:おい、マジで言ってんの。
真実:……。
康介:結局、俺達のこの虚しい現実って、今まで自分達でやってきた事が原因だろ?
康介:人生が満たされていないのも、いざという時に助けてくれるような友達が周りに居ないのも、
康介:全部自業自得。因果応報じゃん。
真実:……言われなくてもわかってる。
康介:だから、一緒に再スタートしようぜ!
真実:…は?
康介:1人じゃ心細いだろ?だから2人で、これから先の人生を変えていこう、お互いに。
真実:な…何言ってんの。
康介:真実は素直になれば可愛いと思うんだよなぁw
真実:はぁ…?
康介:美味しい物を美味しいと言えて、嬉しい時は嬉しいと笑って、
真実:……。
康介:…泣きたい時は我慢せずに泣いてさ。
真実:べ…別に泣きたい時なんてないし…。
康介:ふw 試しに俺に素を出してみ?w
真実:だ…誰があんたなんかに…!
康介:俺はもう素で絡むよ。お前にも、周りにも。
真実:か、勝手にすればいいじゃん。
康介:真実。
真実:な…なによ?
康介:大丈夫だ。
真実:な、なにが。
康介:俺達、まだまだ大丈夫!いくらでもやり直せるよ!
真実:……。
康介:頼りたい時は、いつでも頼ってこい。
真実:……。
康介:また寄ってけ屋にも行こうな!w
真実:……グズ(泣)。
康介:……ふふw
―:
康介M:泣いている真実に気付かないフリをして、
康介M:
康介M:そのまましばらく星空を眺めていた。
康介M:
康介M:次の日から、真実とは毎日連絡を取っている。
康介M:
康介M:少しずつ心を開いてくれるようになった真実は、
康介M:
康介M:そのうち俺の仕事を手伝うようになり、
康介M:
康介M:今では2人で活動している。
康介M:
康介M:え?付き合ってるのかって?
康介M:
康介M:まぁ…正直まだそこまでには至ってない。
康介M:
康介M:けど、もうすぐ同居の話も出ているから、時間の問題かな?
康介M:
康介M:まぁ、その話はまた別の機会にw
0:
0:
0:
0:~完~
0:
0:
0:
0:因果応報
―:
―:稜也とかなえを引き離そうとした事件から約一ヶ月後。
―:真実は事件の日、左手首を切った事で搬送された。
―:動機を今でも黙秘しており、精神科に入院している。
―:*隔離病棟《かくりびょうとう》から一般病棟へ移り、今は気持ちも落ち着いている。
―:
0:5月下旬 竹中総合病院
真実:はぁ…。
康介:……よう。
真実:ん?…あぁ、あんたか。
康介:あんたって…。まぁいいや、元気そうだな。
真実:はw これで元気に見えるんだ?
康介:生きてるだけで十分だろ。あんな事したんだし。
真実:……。
康介:…悪かった。あの日の事…。
真実:…別に、あんたに言われてやったんじゃないし。
康介:……。
真実:てか、何しに来たの?
康介:え…、様子を見に…?
真実:…余計なお世話。
康介:……。いつ、退院するんだ?
真実:明日。
康介:え、明日!?
真実:そう。
康介:そうか…。じゃあ今日会えて良かった。
真実:は?
康介:いや…ちゃんと謝っておこうと思って。
真実:別に謝る事ないじゃん。お互いゲスな作戦立てて、決行したのはもう自己責任でしょ。
康介:…んまぁ、そうだけど。
真実:他に用が無いなら帰ってよ。別にあんたと話すことないし。
康介:あ…あぁ。
真実:さようなら。
康介:…さようなら。
0:1ヶ月後
真実:いらっしゃいませー。
康介:あれ…奇遇だなぁw 今度はファミレスでアルバイトか!
真実:うーわ…。なんでわざわざ私が働いてるファミレスに来るのよ…。
康介:世間は狭いねぇw
真実:はぁ…。こちらへどうぞ。
康介:はーい。
―:
真実:おまたせしましたぁ。
康介:お、ありがとう。なぁ…今日何時まで?
真実:は?なんで?
康介:この後暇だったら飲みにでも行かないかなーって。
真実:本気で言ってんの?行くわけないじゃん。
康介:なんだ、同じ穴の*狢《むじな》なのにつれないねーw
真実:あんたとはもう会いたくないって言ってんのによく誘ってくるわね…。
康介:え?そんな事言われたっけ?
真実:態度で示してんでしょ!?
康介:へぇー?気付かなかったなーw
真実:バカなの?鈍いの?
康介:ふw 女の子の事はよく理解してると思うけどー?
真実:あっそ…てかどうでもいいし。ごゆっくりどうぞ。
―:
康介:お疲れ様!
真実:え…まだ居たの…。あんたストーカー気質あんじゃないの?
康介:目的を遂行する意思が強いだけだよw
真実:目的…?
康介:あー別にそんな警戒されるような事は考えてないからな?勘違いすんなよ?
真実:…だったら何?何がしたい訳?
康介:だから軽く飲みにでもって…
真実:行かないって言ってるでしょ!?
康介:なんでさ?
真実:あんたとはあの件以外に接点も無いし、友達でも無ければ彼氏でもない。だから行く理由が無いの!
康介:ふーん…。
真実:何よ…ふーんって…。
康介:そんな事気にするんだーってw
真実:悪い?
康介:別に?w
真実:私帰る。お腹空いたし。
康介:お!じゃあ俺が回らない寿司屋でも連れてってやろうか?w
真実:間に合ってまーす。
康介:じゃあ肉は?半生で食べる炙り牛とかたまんねぇぞー?
真実:こんな夜遅くににそんなの食べる訳ないでしょ。
康介:えーじゃあ…。
―:
真実:…………はぁ。あんたどこまでついてくんのよ!?
康介:え?
真実:もうそこ家なんだけど。
康介:…は?
真実:ふん…w 散々豪華なご飯を提案してきたけど、これで全部断った理由がわかった?
真実:うち、お金持ちなの。あんたが言った物、全部食べ飽きてるから!
康介:うへぇ…こんなでっかい家のお嬢様だったんだ…。
真実:さようなら、ストーカーさん。
康介:あ…。………マジで入ってった…。
康介:本当にここが自宅なんだ…。*侮《あなど》ってたなぁ…誘い方間違えたかw
0:
真実:(やる気が無さそうに)いらっしゃいませぇ。
真実:
真実:かしこまりましたぁ。少々お待ちくださぁい。
真実:
真実:おまたせしましたぁ。
真実:
真実:ありがとうございましたぁ。またお越しくださいませぇ。
真実:
真実:………よし。
真実:
真実:じゃあ店長、上がりますねぇ。お先に失礼しまぁす。
―:
康介:今日もお疲れ様!
真実:え?…ま…またあんた…。
康介:そうあからさまに喜ぶなよw
真実:誰が!!……何なのよ。私今日はもうグッタリなんですけど?
康介:じゃあ良いとこ連れてってやるよ。
真実:だから…あんたとはどこにも行かないって言ってるでしょ…って……えっ!?
―:いきなり真実をお姫様抱っこする康介
康介:まぁいいからいいからw
真実:ちょ…バカじゃないの!?降ろしてよーー!!
康介:危ないから暴れんなってーw
真実:わかった、行くから!行くから降ろして!!
―:渋々降ろす康介
康介:やれやれ…w
真実:何が「やれやれ」よ!!変態!!
康介:ふふw さぁ行くぞ!
真実:…はぁームカつく……。
0:居酒屋 寄ってけ屋
康介:ちわーっす!
康介:大将、今日は可愛い子連れてきたから目の保養にどうぞーw
真実:ちょっと…何言ってんのよ。
康介:ふふw ここなぁ、俺の行きつけの居酒屋。大将とはもう3年くらいの付き合いかなぁ?
真実:あっそ…。うわ…きったない…。
康介:あははw お前みたいな金持ちは絶対来ないだろ?こんな店w
真実:当然でしょ…。
康介:あ、ビール飲めるか?
真実:…ん。
康介:へぇ…w
真実:何よ?
康介:別にw じゃあ大将、生2つねー!あと串盛りも!
康介:このお金持ちのお嬢様に、庶民の至福の味を教えてやってよw
真実:そのいちいちお金持ちって言うのやめてもらえる?ムカつくんだけど。
康介:あーごめんごめんw あ、ビールきた!……はい、乾杯!
真実:(無視して飲む)………はああぁぁぁ。
康介:…っぷww おっさんくさww
真実:うるさい…。疲れた時にはビールでしょ。
康介:間違いないなw けどな、串食べながらのビールが1番効くんだぞー?w
真実:……こんな汚い店の、あんな汚い厨房で焼かれた串なんて…食べる気失せる。
康介:まぁそう言うなってw
康介:てか大将!散々な言われようなのに、笑ってないでたまには掃除したらー?w
真実:……大将も下品な人…。
康介:あっはははw 目の保養にする代償はでかいなこりゃw
康介:大将のメンタルが*脆《もろ》かったら泣いてるか、もしくは激怒してるだろうなw
真実:そうやって言われるような店と人柄が悪いんじゃないの。
真実:周りからの印象が自分にとって最もリアルなんだから…。
康介:……。
真実:(ビールを飲む)………だぁぁ。
康介:ペース早くない?
真実:私、酒強いので。酔わせて持ち帰ろうとか考えても無駄だから。
康介:思ってないってそんな事…。
真実:どうだか…。あんたみたいにチャラい奴はみんな体目的だって知ってるし。
康介:お前…。…過去に何があったかは知らないけど、男がみんなそうとは限らないんだからな。
真実:知ってるよそれくらい。でも私に近付いてくる男はみんなそうなの!
康介:決めつけんなよ。今まではそうだったのかもしれないけど、
康介:これから新しく出会う男はわかんないだろ!?
真実:……売れ残りの男なんてみんな同じよ…。
真実:良い男にはもう良い女がついてるの。残り物には*欲《よく》しかないの。
康介:…やれやれw
真実:………てかお腹空いたんだけど?
康介:んーー、良い匂いしてきたもんなぁw もうちょいでくるよ!
真実:ビールおかわり。
康介:はいはいw
―:焼き鳥が山盛りの大皿が運ばれてくる
康介:た…大将!?………いやいや、いくら可愛いからってサービスし過ぎだろ…。
真実:……ゴクッ。
康介:…あ、食べて食べてw 量はともかく…味は最高だから!
真実:(ちょっと警戒しながら食べる)…………。
康介:……どうよ?
真実:……お、美味しい…。
康介:だろーー!?w
真実:なにこれ…めっちゃ美味しい!
康介:あっははw どうだ、庶民の居酒屋も悪くないだろ?w
真実:(両手に持ってガツガツ食べる)やば…止まんない…。
康介:…き、聞いてないしw
―:一瞬で串が無くなる
真実:全然足りない!大将、ビールおかわり!
真実:あと…だし巻き卵と、シーザーサラダと、たこわさと、この刺身盛り合わせも!
康介:おま……大丈夫かよ!?
真実:ん?あんた食べないの?
康介:いや…食べるけど…。
真実:大将!早く作って!
康介:……ははw
0:帰り道
真実:ふあーー…。
康介:最初あんな文句言ってたのに、よくもまぁあそこまで食ったなw 満足か?w
真実:ん…無理矢理連れて行かれたのは解せないけど、お店はまぁ良しとするレベルかな。
康介:素直じゃねーなーw あんな食っといてw
真実:うるさいなぁ、*今時《いまどき》女子だってあれくらい食べるし!
康介:いや絶対食わねぇだろw お前の胃袋がおかしいんだよw
真実:……。
康介M:あれ…怒ったかな…?
真実:ねぇ、なんで私にこんな付きまとう訳?
康介:え?
真実:だって、私と一緒に居たって楽しくないでしょ。
康介:あぁー…うん。
真実:うんって…やっぱあんたムカつく。
康介:ふw
真実:何笑ってんのよ。
康介:いや、俺達似た者同士だから…なーんか放っておけなくてさ。
真実:はぁ!?どこが似た者同士なのよ!?バッカじゃないの?
康介:…お前、本当の友達って居ないだろ?
真実:は?居るし。
康介:じゃあ自分が本気で悩んだ時とか、助けてほしい時に頼れる人は?
真実:……。
康介:ほらなw
真実:…別に、そんな事にならないし。
康介:*虚《むな》しいねぇ…w
真実:はぁ?全然虚しくないし!!
真実:私は今でも、呼べばすぐ来る男も居るし、その辺の男なら簡単に落とせる*LJD《えるじぇーでぃー》だし!!
康介:LJDって……w
真実:私の人気は高校時代から変わってないの!あと1年して学生ブランドが無くなったって、これからも変わらずアイドル級よ!!
康介:…アイドルねぇ。
真実:……。あんただってどうせ、その無駄なイケメン*面《づら》で女の子たくさん泣かせてんじゃないの?
康介:お?よくわかってんじゃんw
真実:は?最低…。クズじゃん。
康介:お前も同じだろ。
真実:ち…違うし!!何も知らないくせに適当な事言わないで!!
康介:……。
真実:帰る。さようなら。
康介:…あぁ、またな。
真実:……。
0:真実 自宅
真実M:
真実M:………あームカつく!! 何が「またな」よ!もう会わないし…。
真実M:
真実M:……私はもう、遊んでなんかない。
真実M:
真実M:ちゃんと人を好きになって…ちゃんと恋愛がしたいだけ…。
真実M:
真実M:あんなチャラ男とは全然似てないし…。
真実M:
真実M:………。「本気で悩んだ時とか、助けてほしい時に頼れる人」…か。
真実M:
真実M:そんな人、高校でも大学でも出会った事ないし…仕方ないじゃん……。
真実M:
真実M:………そっか…、私から遠ざけてたんだ…。
真実M:
真実M:もしかしたら…居たのかな。そんな友達になってくれる人も…。
真実M:
0:1ヶ月後
康介:あー、やっと仕事終わったー!これで繁忙期も終わったかなぁ。
康介:
康介:…そうだ、あいつの顔でも見に行くか。
―:
真実:いらっしゃ……。
康介:よう!
真実:いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。
康介:……?あぁ。
真実:ご注文は?
康介:んー、どうしよっかなー。
真実:(ボソッと)軽めにしておきなよ。
康介:え…?
真実:…私あと1時間もしないで上がるから。どうせまた*攫《さら》われるんでしょ?
康介:…何言ってんの?お前…。
真実:(ボソボソと)ま…前の…居酒屋に……その。
康介:ん? …あーー!寄ってけ屋? …なに、行きたいの?w
真実:ち…ちが…! どうせまた無理矢理連れて行くんでしょ?
真実:だったらあんたもそこで食べる事になるんだから、ここでは軽めにしておきなさいって言ってんの!!
康介:…っぶw あっははははww
真実:(顔を真っ赤にして)な……なに笑ってんのよ……。
康介:わかったわかったww じゃードリンクバーと、フライドポテトくださいw
真実:(恥ずかしそうに)……かしこまりました!!
康介:………っぷww あんな可愛い一面もあるんだなぁw
0:居酒屋 寄ってけ屋
康介:大将!久しぶり!
真実:大将!前の焼き鳥盛り合わせ!大至急!!あとビールも!
康介:お前…そんなに飢えてたのか?w
真実:ち…違うし!ここの焼き鳥が悪いんでしょ!? 大将、焼くとき中毒性のある粉でも使ってんじゃないの!?
康介:ばっかだなぁーw 大将良かったじゃん!(真実を見ながら)常連がまた1人増えたなぁw
真実:ジ…ジロジロ見てんじゃないわよ!別に常連になんかなってないし!
康介:あははw 素直になればいいのにw
真実:そ、そもそも、あんたがあれから全然現れないからでしょ!?
康介:おー?俺が店に来るの待ってたんだ?w
真実:ま…待ってないし!!
康介:悪かったよw ちょっと仕事が繁忙期を迎えててな。
康介:でも今日でようやくピークも過ぎたし、一旦落ち着いたかな。
真実:ふぅん…。別に興味無いけど、あんたって仕事何してんの?
康介:興味ないのに聞くんだw
真実:うるさいなー、スッと答えなさいよ!
康介:ふふw 今は経営コンサルタントしてる。
真実:コンサル?あぁ…うちのパパの店にもそんなの居たかも。
康介:へぇ。お前のお父さんって何してる人なの?
真実:さぁ?色々やり過ぎててわかんない。
康介:例えば?
真実:うーん…、飲食店が数軒、アパレル会社、化粧品会社、あとキャンプ用品のお店もやってたかな?
康介:す…すっげぇ実業家じゃん…。
真実:興味なーい。
康介:お母さんは?
真実:今言ったアパレル会社の社長。自分のデザインを形にしたいとか言って、パパに会社作ってもらったんだっけかなー。
康介:なるほどねぇ…。それであんな大きな家を…納得。
真実:家なんて大きくてもなーんにも良い事無いけど。
康介:金持ちの子供がよく言うセリフだなw
真実:また言った…。
康介:あ…ごめんってw
真実:……。
康介:狭い家だとその分家族の顔が見れて、贅沢なんてしなくても幸せだーって…よくある話だよな。
真実:うちの家族は顔を合わせても幸せなんて感じないけどね。
真実:…ま、弟くらいかなぁ、家族に会いたいって未だに言ってるのは。
康介:弟居るんだ?何歳?
真実:まだ小学生。最近じゃ家に誰も居ない事が多いから、おばあちゃんの家で暮らしてる。
康介:へぇ。
真実:てか……私の話なんていいの!大将、焼き鳥まだー!?ビールもー!!
康介:どんだけ食いたかったんだよww
0:帰り道
真実:ふうー、食った食った♪
康介:お気に召したようで何よりです、お嬢様w
真実:やめて!
康介:あははw だって俺、お前の事なんて呼べばいいかわかんねーもん。
真実:別に良くない?私だってあんたの名前知らないし。
康介:康介。斉藤康介だよ。
真実:……興味ない。
康介:おいおいw そこは自分も名乗るだろ普通!
真実:……鈴木真実。
康介:真実か!よろしくな、真実!俺の事は「康介さん」でいいぞ?w
真実:はぁ?いきなり呼び捨てにされるのも、あんたに「さん」付けるのも納得いかないんだけど?
康介:しっかし、何度も会ってるのに今更名前を教え合うとかw ちょっと面白いなw
真実:聞いてないし…。
康介:前にLINE交換した時も、お互い名前で登録してなかったもんなー。
康介:あ、そういえば俺のLINEってまだあるの?
真実:ある訳ないでしょ。スマホ新しくしたし。
康介:そうなんだ?じゃあ改めて交換しようぜ!
真実:はぁ?なんでよ…。
康介:寄ってけ屋に行きたい時、連絡くれればいつでも行けるぞ?w
真実:うっ……。
康介:ふふw はい、QRコード。読み取って。
真実:……ん。
康介:んー…あ、きた。名前を真実にして……よし、登録完了!
真実:…はぁ。こうすけって字どう書くの。送って。
康介:お?ちゃんと登録してくれるんだ?w
真実:イニシャルだけじゃわからないでしょ!!
康介:あははw はいはい、送ったよ。
真実:…ん。
康介:さて…、これからどうする?
真実:は? …食べるもん食べたし、帰るよ。
康介:おこちゃまじゃないんだから、もうちょっと夜を楽しんでもいいんじゃない?
真実:……。
康介:ま、俺相手じゃそんな気分にもなれないかw
真実:……別に、いいけど。明日休みだし…。
康介:おぉ!じゃあボーリングでも行きますか!w
真実:え…酒飲んでボーリングするの!?
康介:酒飲んでる方がスコア悪くても良い訳できんじゃん!w
真実:……私、酒飲んでも変わらないし。
康介:じゃあいいじゃん!w
真実:……。
0:ボーリング場
康介:おー懐かしい!ボーリングなんて何年振りだろう?久しぶりに来たなー。
真実:…私は半年ぶりかなぁ。
康介:へぇ?割とこういうところ来るんだ?
真実:いや…いつもママに強制連行されてるだけ。
康介:え?お母さん、ボーリング好きなんだ?
真実:ん…。
康介:へぇ。よーし、じゃあやりますかぁ!
―:1G 10投目
真実:……フンッ!
康介:…ま……マジかよ…。
真実:あー…、1本残った…最悪…。
康介:……スコア…271…?
真実:…ふうっ!疲れた。
康介:お前…何者?
真実:んー?別に。ママに練習させられてきただけ。
真実:いつもなら280はいくんだけどねー。てかいかないと怒られるし…。
康介:プロでも目指してんのか…。
真実:あぁ、ママはプロだよ。
康介:マジで!?
康介:……あれ、もしかして……プロボウラーの*鈴木舞佳《すずきまいか》って…。
真実:よく知ってるじゃん。
康介:はぁ…なるほどなぁ。
真実:次のゲームやる?
康介:お、おう!ちょっとコツとか教えてくれよ!
真実:やーだ。自分で考えて。
康介:えーいいじゃんちょっとくらい!
真実:うるさいなー…、ほら立って。いつもどこ狙って投げてる?
0:帰り道
康介:あーーー楽しかったぁ!なぁ、俺の実力どう!?
真実:…なかなかいいスジしてんじゃない?
康介:マジ!?w 真実のおかげで人生初の230超えだもんなーw
真実:たまたまでしょ。アベレージで200超えないと意味ないのよ。
康介:俺は選手候補かってw
真実:実力聞いてくるから答えただけだし…。
康介:あははw 今日はありがとうな!
真実:…別に。
康介:……。
真実:帰る。
康介:おう…。
真実:じゃあ…さようなら。
―:1人で歩いてく真実
康介:お前さー!
真実:……?
康介:もっと素直に笑えよ!せっかく可愛い顔してんだし、いつまでもふてくされてんなよなー!
真実:べ…別にふてくされてなんか…。
康介:またな!
真実:…………また。
康介:…ふふw
0:次の日
真実:んん…、今何時…、11時か。…あ。
康介(LINE):おはよう!起きたら連絡くれ!
真実:…何なのよ、昨日の今日で…。
真実(LINE):起きた
真実:(あくび)…ふぁ…あーーぁ。眠たぁ。
康介(LINE):寝過ぎ!w 準備しろ!
真実:…はぁ?
真実(LINE):準備って何の?
康介(LINE):夏といえば海だろ!!行くぞ!!
真実:…海ぃ……?昨日ボーリングに行って今日は海って…。フッ*軽《かる》過ぎだろこいつ…。
康介(LINE):13時に迎えに行くから!それまでに軽く飯食って準備しとけ!
康介(LINE):
康介(LINE):あ、水着とかはいらないぞ!
康介(LINE):
康介(LINE):今日も猛暑日だからな!日焼けしたくなかったら対策してこいよ!
真実:うるっさいなー朝からポンポンポンポン!!水着なんて持っていくわけないし!
真実:日焼け対策なら毎日してるわ!!
康介(LINE):じゃあ後で迎えに行くから!ちゃんと準備しとけよ!
真実(LINE):うるさい!!何通も送ってくるな!!
真実(LINE):てか、準備しとけって、私行くなんて言ってないんだけど!?
真実:……既読つかないし…。何なのよこいつ…!
―:13時過ぎ
真実:……結局来ないのかよ!!女待たせるとか最低!!
―:ピーンポーン
真実:あぁ?今更来たか…追い返してやる!
康介:(ドアが開いた瞬間)…あ!やべ!!
真実:え…きゃああっ!?
―:急に荷物が崩れ落ちてくる
康介:…悪い悪いw 大丈夫か…?w
真実:な…な…なんなのよこの荷物はー!!
康介:いやー…ははw
康介:真実が夏バテしてないかなーって思ってお土産も持ってきたんだけど…多かったかなw
真実:…よ、余計なお世話だって言ってんでしょー…いたた…。
康介:ごーめーんってw お、ちゃんと準備してたんだw
真実:あ…違う!それは…。
康介:よーし、これ後で片付けておいて!早速行くぞー、車乗って!この荷物運んでおくから!
真実:あ、ちょ…勝手に…!………もう。
0:海
康介:うっひゃー…さすがにこの時期の海は混んでるなぁ…w
真実:うわぁ…めっちゃ人混み…。帰ろうかな…。
康介:おいおい待てよ、今来たばっかだろ?
真実:冗談じゃない!何が悲しくてこんなゴミゴミした所にいなきゃいけないのよ…。
康介:大丈夫だって!俺達の目的地には人が居ないから。
真実:…はぁ?
康介:あ、居た居た。おーーい! …俺の友達が船持っててさ、近くの島に連れてってくれるんだ。
真実:え…島?
康介:あぁ。そんなに離れてないし、その友達の爺さんの土地らしいから好きに使って問題なし!
真実:島を持ってるって…どんな人脈よ…。あんたこそ何者なの?
康介:俺?俺はただ顔が広いだけだよw
真実:……。
0:離れ小島
康介:じゃあまた後で、お迎えよろしくなー!
真実:………綺麗…。
康介:そうだろー?w さ、まずは火をおこしてバーベキューでもするかー!
真実:え?
康介:ほーら、寄ってけ屋の大将からお前の大好きな串もらってきてやったぞ!
真実:え…本当!?(ハッと我に返る)……あ、あっそう。
康介:……相変わらず素直じゃないねぇw
真実:……うるさい。
―:
康介:よし、焼けた!ほらよ!
真実:…ん。ありがとう…。
康介:………美味いか?
真実:……美味い。
康介:そっか!良かったw
真実:……本当に誰も居ないんだね…この島。
康介:あぁ、今日は俺達の貸し切り!いつもは観光客の為に使ってるみたいだけどな。
真実:…へぇ。
康介:よーし焼けた焼けた!焼き鳥もそれ以外にも色々焼いたから、いっぱい食えよ!
真実:…ん。
0:夜 空には無数の星が輝いている
康介:はぁー食った食った!
真実:んー、お腹いっぱい!
康介:寄ってけ屋の串にも満足したか?w
真実:…うんw
康介:おぉ、ようやく笑えるようになったなw
真実:あ……。
康介:もういいじゃんw
真実:……。
康介:おぉ!真実!ちょっとこっち来て寝そべってみろよ!
真実:はぁ!?いきなり何言うのよ変態!
康介:ちーがーうってw 空見てみろ!
真実:……あ…星…。
康介:……すっげー。
真実:……。
―:康介の隣に行き、並んで寝そべる真実
康介:……ふふw
真実:…変な事したら許さないから。
康介:はいはいw
康介:……お前さ、いつまでも過去に縛られてないで、割り切って前に進めよ。
真実:……。
康介:過去に何があったとしても、俺達は「今」を生きていかなきゃなんないんだぞ?
真実:……。
康介:ずっとそうやって生きてても、時間がもったいないだろ?
康介:人生は有限なんだし。死ぬまで思いっきり楽しんだ方がいいじゃん。
真実:…簡単に言うね。
康介:そんな事ねぇよ…。
真実:……私はね、親にも相手にされず、周りの人にも恵まれず、
真実:ずっとバカな男共に媚び売って生きてきたの。
康介:……。
真実:おかげで犯されるわ、尻軽女のレッテル貼られるわ、
真実:好きな人にも敵視されて、焦って行動して取り返しのつかない事までして…。
康介:あれは…俺が悪いから。
真実:…ふw 私の人生ってなんなんだろう…。……あのまま死んでも良かったのに…。
康介:…ふざけんな。
真実:は?
康介:ふざけんなって言ってんだよ。
真実:別にふざけてなんか…
康介:ふざけてんだろ!自分の命簡単に捨てやがって…。
真実:……こんな女、誰が好きになってくれるのよ…。
康介:俺がなる。
真実:はw 同情?別にいらないし…。
康介:てかもうなってる。
真実:……。
康介:俺達はやっぱり似た者同士だよ。
真実:…どこがよ。
康介:周りから人気があっても、それは表面上の関係ばっかりで…。
康介:
康介:心から「この人と一緒に居たい!」って思う相手とは結ばれない。
康介:
康介:というか…そう思った事もそんなに多くないんだけどなw
真実:……。
康介:俺達はやり方を間違えたんだよ。
康介:
康介:俺も稜也とかなえさんに酷い事をした…。
康介:
康介:今まで遊んできた女の子達にも…。
康介:
康介:だけど今は、もうそんな自分が嫌になって捨てたんだ。
真実:…捨てた?
康介:あぁ。もうチャラいと言われていた軽い俺は居ない。
康介:
康介:仕事だって真面目にやってるし、女の子をとっかえひっかえして遊んでもいない。
康介:
康介:正直…お前だけだ、今プライベートでこうやって会ってるの。
真実:……へぇ。
康介:俺も虚しい生き方してたんだよ、お前と同じでw
真実:……。
康介:だからこれからは改心して、人と深い繋がりを持てるような、そんな人間になろうって思ってる。
真実:……私だって…。
康介:え?
真実:私だって…遊んでない。
康介:…そうなのか?
真実:さすがに私も気付いてるよ…。このままじゃいけないって事くらい…。
康介:……。
真実:退院してからスマホを変えて、家族以外誰とも連絡がつかないようにした。
真実:
真実:1人で生きていくだけの貯金を作る為に、新しいアルバイトも見つけた。
真実:
真実:でも…もう遅いのかな…。全然生きる気力がわかない…。
真実:
真実:アルバイト中も…何度も怒られる…。やる気出せって。
真実:
真実:…そりゃw あんな接客態度じゃね…当然だよ…。
真実:
真実:だからもう…人生に目的も無いし、いっそのこと転生したい。ほら、今転生*流行《はや》ってるし。
康介:それはアニメの話だろw
真実:…はぁ。アニメの世界に行きたいなぁ…。
真実:
真実:こんな私でも、最後はハッピーエンドになるストーリーの…。
康介:俺達が一緒になれば、ハッピーエンドになるんじゃない?
真実:……前から聞きたかったんだけどさ。
康介:なに?
真実:あんたのその自信はどこから来るの?
康介:え?
真実:散々私に拒絶されてるのに…、居酒屋にボーリングに海って…。
真実:
真実:なんでこんなに私に構うの。
康介:んー、実は俺ちょいちょい見てたんだよ、退院した後の真実の事。
真実:…え?
康介:あ、たまたまだよ?なんか俺の活動範囲内によく現れるんだよなぁ、お前w
真実:…そうなんだ。
康介:で、いつ見ても覇気がないっていうか…、昔の勢いが無いから気になってさ。
真実:……。
康介:俺もちょっと責任感じてたし。…あ、だけど同情じゃないぞ?
真実:同情じゃん…。
康介:違うって。俺真実の笑った顔好きだよ。
真実:……チャラ。
康介:おい、マジで言ってんの。
真実:……。
康介:結局、俺達のこの虚しい現実って、今まで自分達でやってきた事が原因だろ?
康介:人生が満たされていないのも、いざという時に助けてくれるような友達が周りに居ないのも、
康介:全部自業自得。因果応報じゃん。
真実:……言われなくてもわかってる。
康介:だから、一緒に再スタートしようぜ!
真実:…は?
康介:1人じゃ心細いだろ?だから2人で、これから先の人生を変えていこう、お互いに。
真実:な…何言ってんの。
康介:真実は素直になれば可愛いと思うんだよなぁw
真実:はぁ…?
康介:美味しい物を美味しいと言えて、嬉しい時は嬉しいと笑って、
真実:……。
康介:…泣きたい時は我慢せずに泣いてさ。
真実:べ…別に泣きたい時なんてないし…。
康介:ふw 試しに俺に素を出してみ?w
真実:だ…誰があんたなんかに…!
康介:俺はもう素で絡むよ。お前にも、周りにも。
真実:か、勝手にすればいいじゃん。
康介:真実。
真実:な…なによ?
康介:大丈夫だ。
真実:な、なにが。
康介:俺達、まだまだ大丈夫!いくらでもやり直せるよ!
真実:……。
康介:頼りたい時は、いつでも頼ってこい。
真実:……。
康介:また寄ってけ屋にも行こうな!w
真実:……グズ(泣)。
康介:……ふふw
―:
康介M:泣いている真実に気付かないフリをして、
康介M:
康介M:そのまましばらく星空を眺めていた。
康介M:
康介M:次の日から、真実とは毎日連絡を取っている。
康介M:
康介M:少しずつ心を開いてくれるようになった真実は、
康介M:
康介M:そのうち俺の仕事を手伝うようになり、
康介M:
康介M:今では2人で活動している。
康介M:
康介M:え?付き合ってるのかって?
康介M:
康介M:まぁ…正直まだそこまでには至ってない。
康介M:
康介M:けど、もうすぐ同居の話も出ているから、時間の問題かな?
康介M:
康介M:まぁ、その話はまた別の機会にw
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0:~完~
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