台本概要

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タイトル ようこそ猫の手霊障事務所へ
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男2、女2、不問1)
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 悪鬼羅刹に
魑魅魍魎
お困りの方に、猫の手お貸しいたします

※ようこそ ねこのて れいしょうじむしょへ

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※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡ください。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や、語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
175 木花臣(きのはな おみ)16~18歳 これといった特徴の無い普通の高校生。優しく穏やかで喧嘩は苦手。
愛美 88 桜木愛美(さくらぎ めぐみ)16~18歳 オカルト大好きな高校生。臣とは同級生。毎日のネットサーフィンは欠かせない。
猫又 不問 95 左目を失っている尻尾が4本ある、隻眼の黒猫の妖怪。口調は荒いが、心配性で素直ではない。尻尾に霊力を纏って攻撃する。 ツナマヨが大好物。
ココ 82 普段は栗色をした長い髪が特徴の女性の姿をしている、管狐(くだぎつね)の妖怪。 テレパシーや千里眼を用いてサポートをする。 可愛い物が好き。
サンズイ 64 普段はキャップを被った青年の恰好をした、河童の妖怪。 非常に明るく陽気で、それは常に崩さない。 水を用いた多様な攻撃をする。 冷凍されたキュウリが大好物。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:夜道を走る少年とそれを追いかける黒い化け物 臣:「ハア!ハア!なんだよ!なんなんだよ!あの化け物! 臣:どこまで追いかけてくるんだよ!どわっ!!」 0:つまづいて地面へとダイブする少年 臣:「ハア…ハア……おい、やめてくれよ…なぁ?僕を食べても美味しくないぞ…? 臣:な?やめ…やめてくれえええええ!!!」 0:  0:  0:  0:数時間前 愛美:「臣ー!臣ってばー!!」 臣:「ん?愛美。おつかれー。」 愛美:「おつかれーじゃないよ!なんで先に帰っちゃうの!」 臣:「え?なんでって…放課後だから?」 愛美:「今日、面白い話があるから待っててって言ったじゃん!」 臣:「あれ?そうだったっけ?」 愛美:「そうだよ!酷いなー!」 臣:「ごめんごめん。でもさ、愛美の面白い話ってどうせアレ系でしょ?」 愛美:「アレって?」 臣:「オカルト。」 愛美:「当たり前じゃない!私がオカルト以外に興味があると思ってるの?」 臣:「だよねー…もう聞き飽きたよオカルト話は…」 愛美:「そんなこと言わないでさ、ほら歩きながらでいいから話聞いてよ。」 臣:「…はいはい。で?今日はどんな話なの?いつにも増してテンション高めだけど。」 愛美:「良く聞いてくれましたー!前にさ、猫又の話ってしたよね?」 臣:「猫又…?うん、尻尾が2本に分かれてる猫の妖怪だよね?」 愛美:「そう!その猫又の目撃情報があったんだ!しかもこの近くで!」 臣:「へー。」 愛美:「うっわ、興味なさげー。」 臣:「どうせただの猫を見間違えただけでしょ?」 愛美:「そんなことないよ!しかもね、その猫又は尻尾が4本もあったんだって!すごくない!?」 臣:「尻尾が多いとなんかあるの?」 愛美:「う…それはぁ……分かんないけどさ…?でもほら、猫又と言えば2本の尻尾なのに4本もあるんだよ?」 臣:「うーん…」 愛美:「それにそれに、その猫又は黒いナニかを食べてたんだって!」 臣:「ナニかってナニ?」 愛美:「分かんないけど気にならない!?ワクワクしない!?」 臣:「うーん…ごめん、全然。」 愛美:「んもー。臣ってば全然夢が無いんだからー。男ってこういうのにワクワクするもんじゃないの?」 臣:「なんかごめん。」 愛美:「ま、いいけどね。臣は昔から私のオカルト話を聞いてくれる数少ない友達だし。」 臣:「オカルトにはあまり興味はないけど、愛美の話を聞くのは好きだからね。」 愛美:「嬉しい事言ってくれるじゃん臣のくせにぃー!」 臣:「ちょ、つつくなよ!」 愛美:「えへへ、あ、じゃあ私こっちだから!」 臣:「あ、うん。気を付けてね愛美。」 愛美:「うん、話聞いてくれてありがと、また明日学校でね臣!」 臣:「また明日。」 0:愛美を見送った後、歩き出す臣 臣:「すっかり暗くなっちゃったな…早く帰ろ。」 臣:「…………。」 臣:「なんだろ…空気が生暖かい気がする…変な感じだ…それに…誰かに見られているような………気味が悪い、早くこんな小道から出よう…!」 0:しばらく道を歩き続ける臣 臣:「ハア…ハア…ハア…あれ…!おかしいな、進んでも進んでも同じ道を通ってるような…?何がどうなってるんだ?…あの!誰かいませんか!誰か!!」 0:声に呼応するかのように大きな黒い塊の化け物が物陰から襲い掛かってくる 臣:「っ!?なんだ!?あの化け物…こっちに向かってくる!?くそ…何がどうなってるんだよ!!」 0:全力で走る臣と追いかけてくる化け物 臣:「ハア!ハア!なんだよ!なんなんだよ!あの化け物! 臣:どこまで追いかけてくるんだよ!どわっ!!」 0:つまづいて地面へとダイブする臣 臣:「ハア…ハア……おい、やめてくれよ…なぁ?僕を食べても美味しくないぞ…? 臣:な?やめ…やめてくれえええええ!!!」 猫又:「伏せろ。」 臣:「え…?」 猫又:「たく、悪霊が出現したって連絡があって来て見りゃ…まさか人間のガキが迷い込んでるなんてな。」 臣:「…猫…?」 猫又:「んなっ!オレは猫じゃねえ!猫又だ!見ろ!このしなやかで美しい4本の尻尾を!」 臣:「猫…又……?4本の尻尾…?」 猫又:「ああ?なんだコイツ?混乱してんのか?ま、無理もねえか。アイツはオレが仕留め(てやった)……」 臣:「っ…」 0:臣が気絶する 猫又:「って、おい!大丈夫か!おい!?」 0:  臣:【N】遠のく意識の中で、黒猫さんが焦った顔をしているのを見た 0: 0: 0: 臣:「っ!!」 ココ:「おや、目を覚ましたようだ。」 臣:「え、あ、あの…」 ココ:「見慣れない部屋に見慣れない人、ここはどこですか?ってとこだろうね。」 臣:「…は、はい…すみません…」 ココ:「ふふ、何を謝ってるんだよ。さて、さっそくだけどまずは自己紹介をしようか。私はココと名乗らせてもらっている。この事務所のスタッフの1人さ。」 臣:「事務所…?」 ココ:「事務所については後ほど話すとしようか。キミの名前は?」 臣:「あ、えと…臣です。木花臣です。」 ココ:「臣くんだね、よろしく。」 臣:「あ、はい。よろしく…」 サンズイ:「どーーーーーん!!」 臣:「っ!!??」 0:ドアを勢いよく開け放して青年が入ってくる サンズイ:「おほ?ホントに起きてるじゃーん!よう少年!目覚めの具合はどうだ!」 臣:「え?え?えっと??」 ココ:「こら、サンズイ。まだ起きて間もないんだ、いきなり捲し立てられても追いついていけるわけがないだろう?それにドアもまた壊して…ちゃんと直しなさいよ?」 サンズイ:「ココ、そんなプリプリしてるとシワが増えるぞー?」 ココ:「アンタの皿、割るよ?」 サンズイ:「冗談じゃーん…」 臣:「あ、あの…」 ココ:「あ、ごめんね臣くん。このうるさいのは…」 サンズイ:「臣っていうのか!じゃあ、おみっちだな!!俺は河童のサンズイってんだ!よろしくなーー!」 臣:「え、はいよろしくお願いします…え?河童?」 サンズイ:「あ?ココまだ言ってないのか?」 ココ:「まだ起きたばかりだし、そんなの言う必要もないだろう?」 サンズイ:「おん?おみっち、きょろきょろしてどうしたんだ?」 臣:「え、あ、あのすみません。」 ココ:「どうしたの臣くん?」 臣:「多分、僕が倒れていた所に黒猫さんが居たと思うんですが…どこにいるか知りませんか?」 ココ:「黒猫…?」 臣:「はい、喋る猫なんですけど…」 サンズイ:「ああ、そいつなら…」 0:壊れたドアの影を指さすサンズイ 猫又:「んな!?バラしやがるな河童!」 臣:「あ!!黒猫さん!やっぱり夢じゃなかったんだ!」 猫又:「だから黒猫じゃねえ!猫又だっての!!」 臣:「黒猫さんも無事でよかった…!」 猫又:「ハア…お前、急に倒れやがってよ。ここまで運んでくるの大変だったんだからな。」 臣:「え、黒猫さんが運んでくれたの…?ありがとうございます!」 猫又:「なっ!そ、そのまま放置にはできねーから仕方なくだ!」 臣:「それに、あの化け物からも助けてくれたし…ホントにありがとう…」 猫又:「別に助けてやったわけじゃねぇ!!勘違いすんな!ターゲットがたまたまあの悪霊だっただけで!」 臣:「それでも、命があるのは黒猫さんのおかげだもん。ありがとうございます。」 猫又:「…だー、くそ、調子狂う…」 ココ:「ふふ、ここまで狂わされてる又くんは珍しいかもね。」 サンズイ:「又っちおもしれー。」 猫又:「おいお前ら後で覚えておけよ…」 ココ:「ふふふ、さて、全員そろった所で1回部屋を移動しようか?臣くん、動ける?」 臣:「え、あ、はい…大丈夫です。」 0:部屋を移動し、大きな部屋へと入る ココ:「好きな所にへ座って。」 臣:「あ、ありがとうございます。」 ココ:「さて、改めて臣くん。キミはここに来る前に何かに追われていなかったかな?」 臣:「…はい、急に黒い大きな化け物に…」 ココ:「うん、その化け物はね。我々の間では『悪霊』と呼んでいるモノだ。」 臣:「あく…りょう…」 サンズイ:「悪霊ってのはな、おみっち。妬み、憎悪した黒い感情が魂を汚し形を成した異形のモノなんだ。 サンズイ:アイツらはヒトの心の隙間を餌場として入り込んで、どんどんと成長していずれ…その宿主となるヒトを取り込んじまうんだ。」 臣:「…じゃあ……あの化け物は…」 猫又:「喰われたヒトだ。」 臣:「っ!?」 ココ:「又くんが1足遅かったら、臣くんも危なかっただろうね。」 サンズイ:「又っちナイスじゃーん!」 猫又:「だから別に助けたわけじゃねえ!」 サンズイ:「またまた~」 猫又:「クソ河童が…」 臣:「あのココさん…あの化け物…悪霊ってまた現れるんでしょうか?」 ココ:「それなんだけどね。1度襲われた人からはしばらく恐怖の香りが魂から出ているらしく、その香りを目印に悪霊が現れやすくなるんだ。」 臣:「恐怖の香り…僕、どうしたらいいんでしょうか…?」 ココ:「安心して臣くん。うちからしばらく、優秀なボディーガードを1人派遣しよう。」 サンズイ:「おっ?」 猫又:「…おいまさかココ?」 ココ:「さすが又くんだね。そう、又くんキミが臣くんのボディーガードしてくれ。」 臣:「え、黒猫さんが…?」 猫又:「おいココ!オレはそんな暇じゃねえぞ!この河童に任せておけばいいじゃねえか!」 サンズイ:「俺は俺でこの事務所の維持の為にやることがあんだよ~」 ココ:「尻尾の本数をごまかしてしまえば又くんはただの猫にしか見えない、キミのが社会へのカモフラージュとしては適任だろう? ココ:それに、サンズイより又くんの方が強いだろう?頼りになるじゃないか。」 サンズイ:「そーそー!」 猫又:「くそ…」 ココ:「というわけだ、臣くん。」 臣:「え、あ、はい!?」 ココ:「これからしばらくの間、キミに猫の手をお貸しするよ。」 臣:「猫の手…?」 ココ:「困っている人に、猫の手を差し伸べる。それが我々の仕事なんだ。」 臣:「困っている人に、差し伸べる…ココさん達って一体…」 ココ:「ふふ、改めて自己紹介をしよう。私は管狐のココ。」 サンズイ:「河童のサンズイだ!」 猫又:「…猫又だ。」 ココ:「ようこそ臣くん。『猫の手霊障事務所』へ。」 0: 0: 0:次の日 愛美:「臣!ねえ臣ってばぁ!」 臣:「あ、な、なに?愛美」 愛美:「なに?じゃないよ。さっきからお弁当に手つけないでボーってしてるからさ、どうしたのかなって。」 臣:「え?あ、ごめん。」 愛美:「熱ある?大丈夫?」 臣:「あ、うん大丈夫だよ。心配かけてごめん。」 愛美:「…何かあった?」 臣:「…少し不思議な事があってさ。」 愛美:「不思議な事?」 猫又:『おい、オレらの事は他言厳禁だぞ。』 臣:「うわあああ!?」 愛美:「え!?なに!?どうしたの臣!?」 猫又:「にゃー」 愛美:「な、なんだ猫か…驚かさないでよ…」 臣:「ご、ごめん…急に出てきたからさ……」 愛美:「それで?不思議な事ってなんなの?」 臣:「え?ああいやぁ…」 猫又:「……。」 臣:「夢がすっごく変な夢でさ、不思議だったなあって…へへへ…」 愛美:「なぁんだ。でも臣らしいね。」 臣:「そっかなー?」 愛美:「あ、ねえねえ!今ので思い出したんだけどさ!最近ニュースにもなってる失踪してる人たちの噂なんだけどね!」 臣:「失踪…?」 愛美:「なに?知らないの?」 臣:「ニュース見てなくて…」 愛美:「もう、見なさいよ。ここ2か月の間に年齢性別関係なく10人が失踪してるの。しかも遺体も目撃情報も無いの。」 臣:「え…それってもしかして……」 猫又:『まあ、そういう事だろうな。』 臣:「…っ」 愛美:「臣…?大丈夫?顔色悪いよ?」 臣:「ううん、大丈夫。その話の続き聞かせて。」 愛美:「ホントに大丈夫?無理はしないようにね?」 臣:「うん、ありがとう。」 愛美:「えっと…その失踪した人達にはある共通点があって、失踪した数日前にうなされるほどの悪夢を見ていたそうなの。」 臣:「悪夢…?」 愛美:「うん、これはネットで調べただけの情報だから確証はないけどね。皆、黒い化け物に追われる悪夢を見てたらしいの。」 臣:「黒い…化け物…」 0:昼休憩の終わりを告げるチャイムが鳴り響く 愛美:「あ、昼休み終わりだね、この続きはまた後で!」 臣:「あ、うん。ありがとう愛美。」 猫又:「興味深い話だな、今のは。」 臣:「…気になるね。」 猫又:「ああ…気になる、な…」 臣:「ん?どうしたの黒猫さん?さっきからお弁当の中を…」 猫又:「あ?い、いや別にツナマヨを見てるわけじゃないぞ!」 臣:「ツナマヨ?黒猫さんツナマヨ好きなの?」 猫又:「んな!?べべべ別に好きじゃねーよ舐めんな!」 臣:「食べる?」 猫又:「い、いいのか?」 臣:「うん、いいよ?」 猫又:「じゃあ…って、いらん!好きじゃねえって言ってんだろ!」 臣:「そう?とりあえずここに置いておくから、食べ終わったら適当にベンチの下に隠しておいて?授業終わったら回収に来るから。」 猫又:「あ、おい!!行っちまった……ゴクッ」 0:弁当箱のツナマヨを食べる猫又 猫又:「~~!!うめぇ…!」 0: 0: 0:事務所に帰宅するサンズイ サンズイ:「たーーーだいまっとおおおお!」 ココ:「お帰り、サンズイ。」 サンズイ:「つっかれたああああ!」 ココ:「いつもお疲れ様。はい、冷凍キュウリ。」 サンズイ:「おほおお、気が利くぅう!もぐ、うめえええ!」 ココ:「それで?何かわかった?」 サンズイ:「やっぱここ数か月でこの街の霊障被害は多くなってるねえ、小さなモノから大きなモノまでね。」 ココ:「しかも悪霊の出現件数も多くなってる…」 サンズイ:「困ったもんだよ、本来悪霊化はそこまで多くないはずなんだけどな…もしかしたら誰かが操作してるかもー?」 ココ:「…その可能性はありそうだよね…」 サンズイ:「ちょ、ちょっとココ?冗談のつもりだったんだけど…?」 ココ:「でもその線を疑うレベルで悪霊化が多発しているのは事実。誰かが意図して引き起こしてると考えるのが自然だよ。」 サンズイ:「それはそうだけどさぁ…でも誰がそんなバカげた事をするんだ?そもそも悪霊をどうやって意図的に動かして心の隙間に入れるんだ?」 ココ:「それは分からない、けどなんらかの方法で出来るのだとしたら…放置はできないよね…」 サンズイ:「んー…ま、こっちは引き続き調査を続けるよ。」 ココ:「うん、お願いサンズイ。」 猫又:「帰ったぞ。」 サンズイ:「又っちおかーーりーー!」 猫又:「そのバカでかい声をどうにかしてから来い河童。」 サンズイ:「あーん、又っちが酷いよココぉ~」 ココ:「ふふ、又くんお帰りなさい。サンズイ?又くんは大好物のツナマヨを食べてご機嫌なんだ。仕方ないさ。」 猫又:「んな!?誰がそんなもん食べるか!」 ココ:「おや?じゃあその口の周りに付いている白いのは何かな?」 サンズイ:「あらら、ホントだ。ごめーんなー又っちー?」 猫又:「だ、だから!食べてねぇし好きじゃねえ!」 ココ:「夕食はツナマヨにしようかと思っていたんだけど…要らないようだからサンズイと2人で食べるとするね?」 猫又:「ぐっ…!オ、オレにも寄越せバカキツネ!」 0:  0:  愛美:「…すーすー……うっ…やだ…こないで…こないでっ!」 0: 0: 0:数日後 猫又:「またあの女は居ないのか。」 臣:「うん…今日でもう3日も欠席してる…」 猫又:「嫌な香りがするな。」 臣:「…もしかして愛美……悪霊に…?」 猫又:「…さあな。それはまだわからん。ココが千里眼で女を探している。お前にできる事は待つことだけだ。」 臣:「でもただじっとしてるなんてできないよ…僕の友達なんだ。何かできる事はないの?」 猫又:「お前はただの人間のガキだ。しかも恐怖の香り付きと来た。悪霊に狙われるだけのガキができる事なんか無い。」 臣:「っ…」 猫又:「……大人しくココとサンズイを信じて待ってろ。」 臣:「…うん。」 0:突然脳内にココの声がしてくる ココ:『又くん!臣くん!聞こえる!?悪霊が第3公園に出現!現在サンズイが交戦中!又くんは至急向かって!しかもこの悪霊…』 猫又:「どうした!」 ココ:『ヒトの形を残したまま…悪霊化してる…それにこの姿…』 猫又:「…なんだ…どうした?」 ココ:『臣くんは事務所に残って、又くんだけ向かって。』 臣:「なんでですか!」 ココ:『キミは私達の保護対象で、危険な目に合わせるわけには行かないの。』 臣:「いやです…」 ココ:『臣くん!?何言ってるの、とても危険なんだよ?それに…この状況は臣くんに見せるわけにはいかないんだ!』 臣:「ココさん…その悪霊…愛美なんじゃないですか?だから行かないようにしたいんじゃないんですか?」 ココ:『っ!……分かってるなら尚の事行かせられない!大切な人の最後を見る事になるんだよ!?』 臣:「もしかしたら僕の声は届いて悪霊化が治まるかもしれないじゃないですか!」 ココ:『悪霊化した魂は理性を失って、言葉は届かないんだよ…』 臣:「そんなの…分からないじゃないですか…!」 猫又:「ココ。このバカを連れてく。」 ココ:『又くん!?何言って…』 猫又:「身をもって体験させた方が、こういうバカは理解するんだ。死なないようにオレが見てるから安心しろ。」 臣:「黒猫さん…ありがとう…」 猫又:「…別にお前の為じゃねえ。あまりにもお前がうるさいから仕方なくだ。」 ココ:『……ああ…もう!分かったよ!ただし、危険だと思ったら臣くんは直ぐに離脱する事!分かったね!?』 臣:「はいっ!ありがとうございます!」 0: 0: 0:第3公園、サンズイが交戦中 サンズイ:「うっひゃーー!あっぶねええ!」 愛美:「……っ!」 サンズイ:「おっと!お兄さんさぁ、触手プレイより水攻めが好きなんだよねー!!いけ!!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 0:無数の水の弾が愛美に放たれる 愛美:「……。」 サンズイ:「あちゃー、そう簡単に全部防がれるとちょっと悲しいわぁー。」 愛美:「…っ!」 サンズイ:「ぬっ!?しまっ!!足に触手が絡みついて!?どわぁああああ!!がはっ!」 サンズイ:「たははぁ…しくっちゃったねぇ…」 猫又:「サンズイ!」 臣:「サンズイさん!大丈夫ですか!」 サンズイ:「おろ、ようやく助っ人参上か。こりゃ助かるねぇ。」 愛美:「……。」 臣:「…あの悪霊……やっぱり…」 サンズイ:「おみっちのお友達ちゃん…で合ってるかな?」 臣:「……はい…。」 猫又:「よし、やるか。」 サンズイ:「たはー、躊躇ないのさすが又っち。」 臣:「え、で、でも愛美は僕の友達で…!」 猫又:「ガキは死にたくなきゃ下がってろ。」 臣:「…っ……はい。」 サンズイ:「ごめんねおみっち、できるだけ遠くにね!」 猫又:「行くぞサンズイ…!」 サンズイ:「ほいさ!!」 0:猫又の尻尾が4本になり、サンズイは帽子を取ると姿が河童へと変身する 愛美:「…っ!!」 猫又:「そんな攻撃当たらねえよ!」 サンズイ:「触手攻撃は相変わらずお好きみたいだねぇ!」 猫又:「サンズイ!動きを封じてくれ!その隙に叩き込む!」 サンズイ:「あいよー!捕らえちゃうぜー!湖仙水縛(こせんすいばく)!!」 0:掌から生み出された高圧の水が無数の触手のように伸び愛美を捕らえる 愛美:「…!?」 サンズイ:「長くは持ちそうにないよ!やっちゃって又っち!」 猫又:「良くやった!!くらいやがれ!仙狸(せんり)!!」 0:4本の尻尾がエネルギー体になり愛美へ放射される 愛美:「がぁ…!!」 臣:「愛美!!」 猫又:「バカ!近づくな!!」 愛美:「…臣……」 臣:「え?うぐっ!?」 サンズイ:「おみっち!どうするよ又っち!おみっちが捕まっちまった!」 猫又:「あのバカ…!どうするもなにもねえだろ!」 臣:「まって、黒猫さん…サンズイさん…」 猫又:「ああ?」 サンズイ:「おみっち…?」 臣:「うぐ…愛美…?聞こえてるんだろ…愛美…?」 愛美:「……臣…臣…」 臣:「愛美…良かった…」 愛美:「臣…臣…臣おみ臣臣オミおみオみおみおミおみオミおみおミオミオみおみおみぉみオミオミオミおミ…」 臣:「め…めぐみ……?」 愛美:「臣は私の…臣は私の…渡さない…!!!」 猫又:「なっ…なんだこの霊力…!!」 サンズイ:「すっげぇ…力…おみっち愛されてんねぇ…」 愛美:「私は臣の…臣は私の…」 臣:「愛美、落ち着いて…!愛美!愛美!」 猫又:「どうだガキ!悪霊には声は届かねえ!この女は見た目こそヒトを保っているが魂は支配されてんだ!もうこれ以上何をしたって無駄だ!分かっただろ!」 臣:「…そんなの……まだわからない!まだ…まだ…なにか…」 猫又:「分かりきってる事だ、悪霊になったヒトは帰ってこねえ!!何年、何十年、何百年も前から分かりきってんだ!! 猫又:オレらができる事はこれ以上苦しませねえ為に、無関係なヒトを襲わせねえ為に浄化する事だけだ!! 猫又:これ以上吠えるってんなら、その女諸共お前を喰ってやるだけだ!!」 サンズイ:「…又っち…」 臣:「黒猫さん…」 猫又:「もういい、構わねえ…サンズイやるぞ。」 サンズイ:「ええ!?おみっちは!?」 猫又:「構わねえ!!仙狸(せんり)!!!」 サンズイ:「ええ!!?ああもう!ごめんねおみっち!水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 臣:「っ!うああああああああああ!!!?」 0: 猫又:「がああああぁぁあ!!」 サンズイ:「ぬぅうあああああ!!」 0:攻撃が弾かれ吹き飛ぶ2人 臣:「…え?黒猫さん!?サンズイさん!?」 愛美:「臣…には手出しさせない…私の臣…」 臣:「愛美…?」 愛美:「殺す…臣に手を出すヤツら殺す…」 臣:「っ!?ダメだよ愛美!んんああっ!!」 0:愛美の拘束から抜け出し猫又の元へと駆け寄る 臣:「黒猫さん、サンズイさん大丈夫!?」 サンズイ:「ぬううう…」 猫又:「畜生…とんでもねぇ…霊力だ…こんな奴久しぶりだ…」 愛美:「臣…おいで…おいで臣…」 臣:「愛美ダメだ!これ以上はダメだ!傷つけるのはやめようよ!」 愛美:「……臣…」 臣:「無意味だよ、こんなの!いつもの愛美に戻ってよ!」 愛美:「……うう…臣…臣…」 臣:「愛美…泣いてる…?」 愛美:「臣……助け…て……私を…タス…けて…」 臣:「っ!!」 愛美:「あああああ!!!」 臣:「うっ…!!?すごい圧…」 臣:「黒猫さん!!黒猫さん!愛美はまだ自我が残ってる!抗ってるんだ!助けられるかもしれないんだ!どうしたらいい!?」 猫又:「……どうするったって…」 臣:「猫の手…貸してください…!!!」 猫又:「っ…」 ココ:『臣くん!臣くん!!聞こえる!?』 臣:「ココさん!」 ココ:『又くんの手…前足を握って!』 臣:「え?」 ココ:『いいから!早く!』 臣:「え、あ、はい!」 ココ:『そして、臣くんと又くんの精神を同調させるんだ。』 臣:「え、同調ってどうやって…」 猫又:「おい、ココまさかこれ…オレは嫌だぞ!」 ココ:『今そんな事言ってられる状況じゃないでしょ!助けられる命があるかもしれないのに躊躇してらんない!』 猫又:「くそ…」 臣:「あの…どうやってやれば…」 猫又:「……。」 臣:「黒猫さん!!」 猫又:「だー、くそ……!共通の目的を思考すれば行けるはず…だ…!」 臣:「共通の…」 ココ:『早くしないと愛美ちゃんが!』 愛美:「ああああああ!!!」 サンズイ:「くっ!俺が足止めしとくからお気になさらずーーー!!」 愛美:「うああああっ!」 サンズイ:「おっと、ちょっと待っててねお嬢ちゃーん!!そーれっ!瀑流喝破ぁぁああ(ばくりゅうかっぱ)!!」 0:大きく開けた口から超高圧の水が噴射される 愛美:「ぐううううう!!」 ココ:『サンズイが足止めしてくれている、今のうちに…』 臣:「共通の…」 猫又:「………。」 臣:「……。」 ココ:『今キミ達は何を目的にしている?』 臣:「………。」 猫又:「………。」 0:繋いでいる臣の手と猫又の前足が淡く輝き始め、次第に2人を包み込む 臣:「…これは…」 ココ:『リンク…成功だね。』 猫又:「…くそ……」 ココ:『そんな風に言いながら少し安堵してるんでしょ?失敗すると臣くんの精神を汚染しかねないから。』 猫又:「そ、そんな事ねぇ!」 臣:「リンクって…なんですか…?」 ココ:『一時的に又くんの霊力の一部を臣くんに供給している状態だよ、キミは気づいてないけど、元々霊力を保持しているんだ。』 臣:「え…?」 ココ:『又くんの霊力とキミの霊力を合わせたキミは今ここにいる誰よりも、強い力を持っている事になる。』 猫又:「…扱えればの話だがな…」 ココ:『愛美ちゃんを救えるかはキミにかかっているよ、臣くん。』 臣:「っ!やれるだけやってみます!」 サンズイ:「ぬうあああ!!っいてて…お取込みは終わりましたかね?」 臣:「すみません、お待たせしました。僕も戦います!」 サンズイ:「へへ、頼もしいねぇー。お兄さんもうヘトヘトだから任せちゃうかも。」 臣:「大丈夫です、ここからは僕が愛美を止めます!」 サンズイ:「頼んだぜおみっち…!」 臣:「はい!」 愛美:「臣…臣いいい!」 臣:「愛美…!今助ける!!」 0:愛美に向かって駆け出す臣、黒い触手を生やし応戦する愛美 愛美:「おみ!!臣!!」 臣:「くっ!!」 愛美:「うう…臣…おみぃ…!」 臣:「うっ愛美…辛いよな、楽にしてあげるからもう少し待ってて…」 愛美:「ああああ!!」 臣:「ぐっ、あああ!!」 ココ:『臣くん!』 サンズイ:「もろに食らった…戦闘経験のないおみっちにはやっぱキチィか…」 臣:「うう…くそ…」 愛美:「臣…」 サンズイ:「させないっつーの!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 愛美:「…っじゃま…」 サンズイ:「ぐっ!!くそ…弾かれちまった…」 臣:「サンズイさん!」 ココ:『このままじゃ……』 臣:「愛美…」 猫又:「っおいガキ!!お前の救いたいって気持ちはその程度なのか!」 臣:「黒猫さん…」 猫又:「オレの力まで貸してそのザマでいいと思ってんのか!救うって決めたんなら諦めんじゃねえぞ!」 ココ:『又くん…』 猫又:「お前の気持ちを…その女に叩き込んでやれ…クソガキ…!」 臣:「…っ!!はい…ありがとうございます!」 ココ:『ほんと、素直じゃないよね。又くん。』 猫又:「うるせえ。」 臣:「愛美…今度こそ助けるから。」 愛美:「…臣…臣…う、うああああああ!!」 臣:「くっ、愛美…」 愛美:「来るな…来るな…臣…来ないで……」 臣:「助ける、愛美!」 愛美:「ダメ…来ないで……来ちゃ、ダメ…」 0:触手を臣に叩きつけ続ける 臣:「大丈夫、大丈夫だか…ら…くっ」 愛美:「臣…臣…臣……」 臣:「やっと、手が届く所まで来れた。」 愛美:「臣…はな、れて…」 臣:「離れない。」 0:愛美を抱きしめる臣 愛美:「…っ!!」 臣:「大丈夫、必ず助けるから。」 愛美:「…う、ぐす…うん…臣…タスケテ……」 ココ:『愛美ちゃんの胸の黒い塊(かたまり)から青いコアが出てきた!』 猫又:「臣!!そのコアを破壊しろ!!そこからどす黒い霊力が漏れてやがる!」 臣:「…うん。愛美。今解放する。」 愛美:「うん…お願い臣…」 0:臣を猫のようなエネルギーが纏い、拳を握りコアに向かって拳を振る 臣:「………仙狸(せんり)!!」 0: 0: 0: 0: 0:夜が更けた事務所 臣:「ん…んん……?」 ココ:「おはよう臣くん、いやこんばんはだったね。」 臣:「ココさん…ここは事務所…?」 ココ:「正解だよ。そしてキミは無事生還した。」 臣:「ってことは…?愛美は…」 ココ:「ああ…」 愛美:「…臣……」 臣:「愛美…!!」 愛美:「臣!!」 0:臣にダイブする愛美 臣:「おわっ!?いったたたた!!」 ココ:「あーこらこら愛美ちゃん、臣くんはまだ…ってしょうがないか。」 愛美:「臣…ごめん、ごめんね…それと…本当にありがとう…私を助けてくれてありがとう…」 臣:「ううん、いいんだよ。無事でよかったよ。僕1人じゃ助けることは出来なかった、ココさん達のお陰だよ。」 愛美:「ココさん…ありがとうございました…あと…」 ココ:「又くんとサンズイかな?それならほら、ここにいるよ。」 0:ドアの裏を指さすココ サンズイ:「ありゃー、バレちゃった。」 猫又:「なんでオレまで隠れにゃならんのだ…」 サンズイ:「えええー?又っちが気まずいって言ったから一緒に隠れたんだろー?」 猫又:「んなっ!?い、言ってないぞオレは!」 愛美:「ふふ…面白いね。」 猫又:「んなっ、面白いだと…!?」 臣:「黒猫さん、サンズイさん。怪我はもういいんですか?」 サンズイ:「んっふふん、バッチリおーけーよ!」 猫又:「まあ、な。」 臣:「良かった…」 愛美:「あの!!皆さん本当に、ありがとうございました…それと沢山傷つけちゃってごめんなさい…」 サンズイ:「なははは、いーよいーよ!まさか悪霊化から助かるなんて思ってなかったから驚いてるよ!」 猫又:「全くだ、前代未聞だ。」 ココ:「愛美ちゃん。キミは悪霊になっていた時の記憶は全て覚えているの?」 愛美:「…全て、ではないですが…少しだけ覚えています。臣の言葉が次第に聞こえて来て…少しずつ視界と耳がハッキリしてきた…のは記憶にあります。」 ココ:「ってことは、悪霊にも言葉は届く…と…」 猫又:「…なぜヒトの形を保っていられた?」 愛美:「それは…分かりません…でも、臣に会いたい気持ちを強く持っていたことだけは覚えています。」 猫又:「…。」 臣:「愛美…」 ココ:「ごめんね愛美ちゃん、これが最後の質問。悪霊になるときに何があったか覚えてる?」 愛美:「すごくボヤっとしていますけど…夢の中で…黒い化け物が私を食べて…そこから…これ以上は何も……すみません。」 臣:「夢…それって愛美が教えてくれたニュースの…」 ココ:「ありがとう愛美ちゃん。ごめんね、嫌な事思い出させて。」 愛美:「いえ、少しでも力になれたなら。」 サンズイ:「なにはともあれ、めぐみん生還記念って事でさ?パーッとパーティーしよーよー!」 愛美:「め、めぐみん!?」 臣:「ごめんね、サンズイさんはこういう人…河童さん?なんだ。」 サンズイ:「おーっとおみっちー?正解だー!!はははは!」 ココ:「生還パーティーも兼ねてもう1つあるんだけど…臣くん、愛美ちゃん。」 臣:「はい?」 愛美:「はい…」 ココ:「もしよかったら、キミ達2人共…この事務所に入らない?」 臣:「え?」 愛美:「ええ!?」 サンズイ:「おほっ!」 猫又:「んなっ!!?何考えてやがるココ!こいつらは人間だぞ!?」 ココ:「でも、臣くんはなぜか知らないけど元々霊力持ってて、リンクをしてから又くんの霊力も保持できるようになったし ココ:愛美ちゃんは悪霊化の影響か、霊力を持てるようになってるみたいだ。それに、絶賛人手不足なんだよ?我々としては1人でも欲しいんだよ。」 猫又:「しかしだなぁ…」 臣:「黒猫さん達とこれからも一緒に居ていいんですか!?」 猫又:「うおっ!?」 愛美:「お、お邪魔じゃなければ!!」 サンズイ:「おおー!」 ココ:「ふふ、私達は歓迎するよ。又くん?どうかな?」 猫又:「~~っ!!勝手にしろ!」 ココ:「態度と口は素直じゃないけど、尻尾は素直なんだよね。」 愛美:「ほんとだー!可愛いです!」 猫又:「んなっ!可愛いって言うなガキ!!」 臣:「あ、そうだ!黒猫さん!1回だけ僕の事名前で呼んでくれましたよね!臣って!」 猫又:「そ、そんなの言ってない!知らん!」 ココ:「言っていたねぇ。」 猫又:「し、知らんものは知らん!!それにオレは猫じゃなくて猫又だ!!」 臣:「じゃあ、僕が猫又さんって呼んだら、臣って呼んでくれますか?」 猫又:「呼ばん!!」 臣:「えー!」 ココ:「ふふ、さてさて。2人共。それはさておきだ。2人の歓迎パーティー、そして愛美ちゃんの生還パーティーも兼ねてパーッとしようか。」 0:  臣:【N】僕の日常は知的な管狐のココさんと、陽気な河童のサンズイさんと、ツンデレな黒猫の猫又さん…そして 臣:友達の愛美と共に非日常になっていく 臣:これから僕の生活は、不思議な出来事できっと楽しくて素敵なものになっていくんだと思う 0:  ココ:「改めて自己紹介をしよう。私は管狐のココ。」 サンズイ:「河童のサンズイ!!」 猫又:「…猫又だ。」 ココ:「ようこそ2人共、『猫の手霊障事務所』へ」 0:

0:夜道を走る少年とそれを追いかける黒い化け物 臣:「ハア!ハア!なんだよ!なんなんだよ!あの化け物! 臣:どこまで追いかけてくるんだよ!どわっ!!」 0:つまづいて地面へとダイブする少年 臣:「ハア…ハア……おい、やめてくれよ…なぁ?僕を食べても美味しくないぞ…? 臣:な?やめ…やめてくれえええええ!!!」 0:  0:  0:  0:数時間前 愛美:「臣ー!臣ってばー!!」 臣:「ん?愛美。おつかれー。」 愛美:「おつかれーじゃないよ!なんで先に帰っちゃうの!」 臣:「え?なんでって…放課後だから?」 愛美:「今日、面白い話があるから待っててって言ったじゃん!」 臣:「あれ?そうだったっけ?」 愛美:「そうだよ!酷いなー!」 臣:「ごめんごめん。でもさ、愛美の面白い話ってどうせアレ系でしょ?」 愛美:「アレって?」 臣:「オカルト。」 愛美:「当たり前じゃない!私がオカルト以外に興味があると思ってるの?」 臣:「だよねー…もう聞き飽きたよオカルト話は…」 愛美:「そんなこと言わないでさ、ほら歩きながらでいいから話聞いてよ。」 臣:「…はいはい。で?今日はどんな話なの?いつにも増してテンション高めだけど。」 愛美:「良く聞いてくれましたー!前にさ、猫又の話ってしたよね?」 臣:「猫又…?うん、尻尾が2本に分かれてる猫の妖怪だよね?」 愛美:「そう!その猫又の目撃情報があったんだ!しかもこの近くで!」 臣:「へー。」 愛美:「うっわ、興味なさげー。」 臣:「どうせただの猫を見間違えただけでしょ?」 愛美:「そんなことないよ!しかもね、その猫又は尻尾が4本もあったんだって!すごくない!?」 臣:「尻尾が多いとなんかあるの?」 愛美:「う…それはぁ……分かんないけどさ…?でもほら、猫又と言えば2本の尻尾なのに4本もあるんだよ?」 臣:「うーん…」 愛美:「それにそれに、その猫又は黒いナニかを食べてたんだって!」 臣:「ナニかってナニ?」 愛美:「分かんないけど気にならない!?ワクワクしない!?」 臣:「うーん…ごめん、全然。」 愛美:「んもー。臣ってば全然夢が無いんだからー。男ってこういうのにワクワクするもんじゃないの?」 臣:「なんかごめん。」 愛美:「ま、いいけどね。臣は昔から私のオカルト話を聞いてくれる数少ない友達だし。」 臣:「オカルトにはあまり興味はないけど、愛美の話を聞くのは好きだからね。」 愛美:「嬉しい事言ってくれるじゃん臣のくせにぃー!」 臣:「ちょ、つつくなよ!」 愛美:「えへへ、あ、じゃあ私こっちだから!」 臣:「あ、うん。気を付けてね愛美。」 愛美:「うん、話聞いてくれてありがと、また明日学校でね臣!」 臣:「また明日。」 0:愛美を見送った後、歩き出す臣 臣:「すっかり暗くなっちゃったな…早く帰ろ。」 臣:「…………。」 臣:「なんだろ…空気が生暖かい気がする…変な感じだ…それに…誰かに見られているような………気味が悪い、早くこんな小道から出よう…!」 0:しばらく道を歩き続ける臣 臣:「ハア…ハア…ハア…あれ…!おかしいな、進んでも進んでも同じ道を通ってるような…?何がどうなってるんだ?…あの!誰かいませんか!誰か!!」 0:声に呼応するかのように大きな黒い塊の化け物が物陰から襲い掛かってくる 臣:「っ!?なんだ!?あの化け物…こっちに向かってくる!?くそ…何がどうなってるんだよ!!」 0:全力で走る臣と追いかけてくる化け物 臣:「ハア!ハア!なんだよ!なんなんだよ!あの化け物! 臣:どこまで追いかけてくるんだよ!どわっ!!」 0:つまづいて地面へとダイブする臣 臣:「ハア…ハア……おい、やめてくれよ…なぁ?僕を食べても美味しくないぞ…? 臣:な?やめ…やめてくれえええええ!!!」 猫又:「伏せろ。」 臣:「え…?」 猫又:「たく、悪霊が出現したって連絡があって来て見りゃ…まさか人間のガキが迷い込んでるなんてな。」 臣:「…猫…?」 猫又:「んなっ!オレは猫じゃねえ!猫又だ!見ろ!このしなやかで美しい4本の尻尾を!」 臣:「猫…又……?4本の尻尾…?」 猫又:「ああ?なんだコイツ?混乱してんのか?ま、無理もねえか。アイツはオレが仕留め(てやった)……」 臣:「っ…」 0:臣が気絶する 猫又:「って、おい!大丈夫か!おい!?」 0:  臣:【N】遠のく意識の中で、黒猫さんが焦った顔をしているのを見た 0: 0: 0: 臣:「っ!!」 ココ:「おや、目を覚ましたようだ。」 臣:「え、あ、あの…」 ココ:「見慣れない部屋に見慣れない人、ここはどこですか?ってとこだろうね。」 臣:「…は、はい…すみません…」 ココ:「ふふ、何を謝ってるんだよ。さて、さっそくだけどまずは自己紹介をしようか。私はココと名乗らせてもらっている。この事務所のスタッフの1人さ。」 臣:「事務所…?」 ココ:「事務所については後ほど話すとしようか。キミの名前は?」 臣:「あ、えと…臣です。木花臣です。」 ココ:「臣くんだね、よろしく。」 臣:「あ、はい。よろしく…」 サンズイ:「どーーーーーん!!」 臣:「っ!!??」 0:ドアを勢いよく開け放して青年が入ってくる サンズイ:「おほ?ホントに起きてるじゃーん!よう少年!目覚めの具合はどうだ!」 臣:「え?え?えっと??」 ココ:「こら、サンズイ。まだ起きて間もないんだ、いきなり捲し立てられても追いついていけるわけがないだろう?それにドアもまた壊して…ちゃんと直しなさいよ?」 サンズイ:「ココ、そんなプリプリしてるとシワが増えるぞー?」 ココ:「アンタの皿、割るよ?」 サンズイ:「冗談じゃーん…」 臣:「あ、あの…」 ココ:「あ、ごめんね臣くん。このうるさいのは…」 サンズイ:「臣っていうのか!じゃあ、おみっちだな!!俺は河童のサンズイってんだ!よろしくなーー!」 臣:「え、はいよろしくお願いします…え?河童?」 サンズイ:「あ?ココまだ言ってないのか?」 ココ:「まだ起きたばかりだし、そんなの言う必要もないだろう?」 サンズイ:「おん?おみっち、きょろきょろしてどうしたんだ?」 臣:「え、あ、あのすみません。」 ココ:「どうしたの臣くん?」 臣:「多分、僕が倒れていた所に黒猫さんが居たと思うんですが…どこにいるか知りませんか?」 ココ:「黒猫…?」 臣:「はい、喋る猫なんですけど…」 サンズイ:「ああ、そいつなら…」 0:壊れたドアの影を指さすサンズイ 猫又:「んな!?バラしやがるな河童!」 臣:「あ!!黒猫さん!やっぱり夢じゃなかったんだ!」 猫又:「だから黒猫じゃねえ!猫又だっての!!」 臣:「黒猫さんも無事でよかった…!」 猫又:「ハア…お前、急に倒れやがってよ。ここまで運んでくるの大変だったんだからな。」 臣:「え、黒猫さんが運んでくれたの…?ありがとうございます!」 猫又:「なっ!そ、そのまま放置にはできねーから仕方なくだ!」 臣:「それに、あの化け物からも助けてくれたし…ホントにありがとう…」 猫又:「別に助けてやったわけじゃねぇ!!勘違いすんな!ターゲットがたまたまあの悪霊だっただけで!」 臣:「それでも、命があるのは黒猫さんのおかげだもん。ありがとうございます。」 猫又:「…だー、くそ、調子狂う…」 ココ:「ふふ、ここまで狂わされてる又くんは珍しいかもね。」 サンズイ:「又っちおもしれー。」 猫又:「おいお前ら後で覚えておけよ…」 ココ:「ふふふ、さて、全員そろった所で1回部屋を移動しようか?臣くん、動ける?」 臣:「え、あ、はい…大丈夫です。」 0:部屋を移動し、大きな部屋へと入る ココ:「好きな所にへ座って。」 臣:「あ、ありがとうございます。」 ココ:「さて、改めて臣くん。キミはここに来る前に何かに追われていなかったかな?」 臣:「…はい、急に黒い大きな化け物に…」 ココ:「うん、その化け物はね。我々の間では『悪霊』と呼んでいるモノだ。」 臣:「あく…りょう…」 サンズイ:「悪霊ってのはな、おみっち。妬み、憎悪した黒い感情が魂を汚し形を成した異形のモノなんだ。 サンズイ:アイツらはヒトの心の隙間を餌場として入り込んで、どんどんと成長していずれ…その宿主となるヒトを取り込んじまうんだ。」 臣:「…じゃあ……あの化け物は…」 猫又:「喰われたヒトだ。」 臣:「っ!?」 ココ:「又くんが1足遅かったら、臣くんも危なかっただろうね。」 サンズイ:「又っちナイスじゃーん!」 猫又:「だから別に助けたわけじゃねえ!」 サンズイ:「またまた~」 猫又:「クソ河童が…」 臣:「あのココさん…あの化け物…悪霊ってまた現れるんでしょうか?」 ココ:「それなんだけどね。1度襲われた人からはしばらく恐怖の香りが魂から出ているらしく、その香りを目印に悪霊が現れやすくなるんだ。」 臣:「恐怖の香り…僕、どうしたらいいんでしょうか…?」 ココ:「安心して臣くん。うちからしばらく、優秀なボディーガードを1人派遣しよう。」 サンズイ:「おっ?」 猫又:「…おいまさかココ?」 ココ:「さすが又くんだね。そう、又くんキミが臣くんのボディーガードしてくれ。」 臣:「え、黒猫さんが…?」 猫又:「おいココ!オレはそんな暇じゃねえぞ!この河童に任せておけばいいじゃねえか!」 サンズイ:「俺は俺でこの事務所の維持の為にやることがあんだよ~」 ココ:「尻尾の本数をごまかしてしまえば又くんはただの猫にしか見えない、キミのが社会へのカモフラージュとしては適任だろう? ココ:それに、サンズイより又くんの方が強いだろう?頼りになるじゃないか。」 サンズイ:「そーそー!」 猫又:「くそ…」 ココ:「というわけだ、臣くん。」 臣:「え、あ、はい!?」 ココ:「これからしばらくの間、キミに猫の手をお貸しするよ。」 臣:「猫の手…?」 ココ:「困っている人に、猫の手を差し伸べる。それが我々の仕事なんだ。」 臣:「困っている人に、差し伸べる…ココさん達って一体…」 ココ:「ふふ、改めて自己紹介をしよう。私は管狐のココ。」 サンズイ:「河童のサンズイだ!」 猫又:「…猫又だ。」 ココ:「ようこそ臣くん。『猫の手霊障事務所』へ。」 0: 0: 0:次の日 愛美:「臣!ねえ臣ってばぁ!」 臣:「あ、な、なに?愛美」 愛美:「なに?じゃないよ。さっきからお弁当に手つけないでボーってしてるからさ、どうしたのかなって。」 臣:「え?あ、ごめん。」 愛美:「熱ある?大丈夫?」 臣:「あ、うん大丈夫だよ。心配かけてごめん。」 愛美:「…何かあった?」 臣:「…少し不思議な事があってさ。」 愛美:「不思議な事?」 猫又:『おい、オレらの事は他言厳禁だぞ。』 臣:「うわあああ!?」 愛美:「え!?なに!?どうしたの臣!?」 猫又:「にゃー」 愛美:「な、なんだ猫か…驚かさないでよ…」 臣:「ご、ごめん…急に出てきたからさ……」 愛美:「それで?不思議な事ってなんなの?」 臣:「え?ああいやぁ…」 猫又:「……。」 臣:「夢がすっごく変な夢でさ、不思議だったなあって…へへへ…」 愛美:「なぁんだ。でも臣らしいね。」 臣:「そっかなー?」 愛美:「あ、ねえねえ!今ので思い出したんだけどさ!最近ニュースにもなってる失踪してる人たちの噂なんだけどね!」 臣:「失踪…?」 愛美:「なに?知らないの?」 臣:「ニュース見てなくて…」 愛美:「もう、見なさいよ。ここ2か月の間に年齢性別関係なく10人が失踪してるの。しかも遺体も目撃情報も無いの。」 臣:「え…それってもしかして……」 猫又:『まあ、そういう事だろうな。』 臣:「…っ」 愛美:「臣…?大丈夫?顔色悪いよ?」 臣:「ううん、大丈夫。その話の続き聞かせて。」 愛美:「ホントに大丈夫?無理はしないようにね?」 臣:「うん、ありがとう。」 愛美:「えっと…その失踪した人達にはある共通点があって、失踪した数日前にうなされるほどの悪夢を見ていたそうなの。」 臣:「悪夢…?」 愛美:「うん、これはネットで調べただけの情報だから確証はないけどね。皆、黒い化け物に追われる悪夢を見てたらしいの。」 臣:「黒い…化け物…」 0:昼休憩の終わりを告げるチャイムが鳴り響く 愛美:「あ、昼休み終わりだね、この続きはまた後で!」 臣:「あ、うん。ありがとう愛美。」 猫又:「興味深い話だな、今のは。」 臣:「…気になるね。」 猫又:「ああ…気になる、な…」 臣:「ん?どうしたの黒猫さん?さっきからお弁当の中を…」 猫又:「あ?い、いや別にツナマヨを見てるわけじゃないぞ!」 臣:「ツナマヨ?黒猫さんツナマヨ好きなの?」 猫又:「んな!?べべべ別に好きじゃねーよ舐めんな!」 臣:「食べる?」 猫又:「い、いいのか?」 臣:「うん、いいよ?」 猫又:「じゃあ…って、いらん!好きじゃねえって言ってんだろ!」 臣:「そう?とりあえずここに置いておくから、食べ終わったら適当にベンチの下に隠しておいて?授業終わったら回収に来るから。」 猫又:「あ、おい!!行っちまった……ゴクッ」 0:弁当箱のツナマヨを食べる猫又 猫又:「~~!!うめぇ…!」 0: 0: 0:事務所に帰宅するサンズイ サンズイ:「たーーーだいまっとおおおお!」 ココ:「お帰り、サンズイ。」 サンズイ:「つっかれたああああ!」 ココ:「いつもお疲れ様。はい、冷凍キュウリ。」 サンズイ:「おほおお、気が利くぅう!もぐ、うめえええ!」 ココ:「それで?何かわかった?」 サンズイ:「やっぱここ数か月でこの街の霊障被害は多くなってるねえ、小さなモノから大きなモノまでね。」 ココ:「しかも悪霊の出現件数も多くなってる…」 サンズイ:「困ったもんだよ、本来悪霊化はそこまで多くないはずなんだけどな…もしかしたら誰かが操作してるかもー?」 ココ:「…その可能性はありそうだよね…」 サンズイ:「ちょ、ちょっとココ?冗談のつもりだったんだけど…?」 ココ:「でもその線を疑うレベルで悪霊化が多発しているのは事実。誰かが意図して引き起こしてると考えるのが自然だよ。」 サンズイ:「それはそうだけどさぁ…でも誰がそんなバカげた事をするんだ?そもそも悪霊をどうやって意図的に動かして心の隙間に入れるんだ?」 ココ:「それは分からない、けどなんらかの方法で出来るのだとしたら…放置はできないよね…」 サンズイ:「んー…ま、こっちは引き続き調査を続けるよ。」 ココ:「うん、お願いサンズイ。」 猫又:「帰ったぞ。」 サンズイ:「又っちおかーーりーー!」 猫又:「そのバカでかい声をどうにかしてから来い河童。」 サンズイ:「あーん、又っちが酷いよココぉ~」 ココ:「ふふ、又くんお帰りなさい。サンズイ?又くんは大好物のツナマヨを食べてご機嫌なんだ。仕方ないさ。」 猫又:「んな!?誰がそんなもん食べるか!」 ココ:「おや?じゃあその口の周りに付いている白いのは何かな?」 サンズイ:「あらら、ホントだ。ごめーんなー又っちー?」 猫又:「だ、だから!食べてねぇし好きじゃねえ!」 ココ:「夕食はツナマヨにしようかと思っていたんだけど…要らないようだからサンズイと2人で食べるとするね?」 猫又:「ぐっ…!オ、オレにも寄越せバカキツネ!」 0:  0:  愛美:「…すーすー……うっ…やだ…こないで…こないでっ!」 0: 0: 0:数日後 猫又:「またあの女は居ないのか。」 臣:「うん…今日でもう3日も欠席してる…」 猫又:「嫌な香りがするな。」 臣:「…もしかして愛美……悪霊に…?」 猫又:「…さあな。それはまだわからん。ココが千里眼で女を探している。お前にできる事は待つことだけだ。」 臣:「でもただじっとしてるなんてできないよ…僕の友達なんだ。何かできる事はないの?」 猫又:「お前はただの人間のガキだ。しかも恐怖の香り付きと来た。悪霊に狙われるだけのガキができる事なんか無い。」 臣:「っ…」 猫又:「……大人しくココとサンズイを信じて待ってろ。」 臣:「…うん。」 0:突然脳内にココの声がしてくる ココ:『又くん!臣くん!聞こえる!?悪霊が第3公園に出現!現在サンズイが交戦中!又くんは至急向かって!しかもこの悪霊…』 猫又:「どうした!」 ココ:『ヒトの形を残したまま…悪霊化してる…それにこの姿…』 猫又:「…なんだ…どうした?」 ココ:『臣くんは事務所に残って、又くんだけ向かって。』 臣:「なんでですか!」 ココ:『キミは私達の保護対象で、危険な目に合わせるわけには行かないの。』 臣:「いやです…」 ココ:『臣くん!?何言ってるの、とても危険なんだよ?それに…この状況は臣くんに見せるわけにはいかないんだ!』 臣:「ココさん…その悪霊…愛美なんじゃないですか?だから行かないようにしたいんじゃないんですか?」 ココ:『っ!……分かってるなら尚の事行かせられない!大切な人の最後を見る事になるんだよ!?』 臣:「もしかしたら僕の声は届いて悪霊化が治まるかもしれないじゃないですか!」 ココ:『悪霊化した魂は理性を失って、言葉は届かないんだよ…』 臣:「そんなの…分からないじゃないですか…!」 猫又:「ココ。このバカを連れてく。」 ココ:『又くん!?何言って…』 猫又:「身をもって体験させた方が、こういうバカは理解するんだ。死なないようにオレが見てるから安心しろ。」 臣:「黒猫さん…ありがとう…」 猫又:「…別にお前の為じゃねえ。あまりにもお前がうるさいから仕方なくだ。」 ココ:『……ああ…もう!分かったよ!ただし、危険だと思ったら臣くんは直ぐに離脱する事!分かったね!?』 臣:「はいっ!ありがとうございます!」 0: 0: 0:第3公園、サンズイが交戦中 サンズイ:「うっひゃーー!あっぶねええ!」 愛美:「……っ!」 サンズイ:「おっと!お兄さんさぁ、触手プレイより水攻めが好きなんだよねー!!いけ!!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 0:無数の水の弾が愛美に放たれる 愛美:「……。」 サンズイ:「あちゃー、そう簡単に全部防がれるとちょっと悲しいわぁー。」 愛美:「…っ!」 サンズイ:「ぬっ!?しまっ!!足に触手が絡みついて!?どわぁああああ!!がはっ!」 サンズイ:「たははぁ…しくっちゃったねぇ…」 猫又:「サンズイ!」 臣:「サンズイさん!大丈夫ですか!」 サンズイ:「おろ、ようやく助っ人参上か。こりゃ助かるねぇ。」 愛美:「……。」 臣:「…あの悪霊……やっぱり…」 サンズイ:「おみっちのお友達ちゃん…で合ってるかな?」 臣:「……はい…。」 猫又:「よし、やるか。」 サンズイ:「たはー、躊躇ないのさすが又っち。」 臣:「え、で、でも愛美は僕の友達で…!」 猫又:「ガキは死にたくなきゃ下がってろ。」 臣:「…っ……はい。」 サンズイ:「ごめんねおみっち、できるだけ遠くにね!」 猫又:「行くぞサンズイ…!」 サンズイ:「ほいさ!!」 0:猫又の尻尾が4本になり、サンズイは帽子を取ると姿が河童へと変身する 愛美:「…っ!!」 猫又:「そんな攻撃当たらねえよ!」 サンズイ:「触手攻撃は相変わらずお好きみたいだねぇ!」 猫又:「サンズイ!動きを封じてくれ!その隙に叩き込む!」 サンズイ:「あいよー!捕らえちゃうぜー!湖仙水縛(こせんすいばく)!!」 0:掌から生み出された高圧の水が無数の触手のように伸び愛美を捕らえる 愛美:「…!?」 サンズイ:「長くは持ちそうにないよ!やっちゃって又っち!」 猫又:「良くやった!!くらいやがれ!仙狸(せんり)!!」 0:4本の尻尾がエネルギー体になり愛美へ放射される 愛美:「がぁ…!!」 臣:「愛美!!」 猫又:「バカ!近づくな!!」 愛美:「…臣……」 臣:「え?うぐっ!?」 サンズイ:「おみっち!どうするよ又っち!おみっちが捕まっちまった!」 猫又:「あのバカ…!どうするもなにもねえだろ!」 臣:「まって、黒猫さん…サンズイさん…」 猫又:「ああ?」 サンズイ:「おみっち…?」 臣:「うぐ…愛美…?聞こえてるんだろ…愛美…?」 愛美:「……臣…臣…」 臣:「愛美…良かった…」 愛美:「臣…臣…臣おみ臣臣オミおみオみおみおミおみオミおみおミオミオみおみおみぉみオミオミオミおミ…」 臣:「め…めぐみ……?」 愛美:「臣は私の…臣は私の…渡さない…!!!」 猫又:「なっ…なんだこの霊力…!!」 サンズイ:「すっげぇ…力…おみっち愛されてんねぇ…」 愛美:「私は臣の…臣は私の…」 臣:「愛美、落ち着いて…!愛美!愛美!」 猫又:「どうだガキ!悪霊には声は届かねえ!この女は見た目こそヒトを保っているが魂は支配されてんだ!もうこれ以上何をしたって無駄だ!分かっただろ!」 臣:「…そんなの……まだわからない!まだ…まだ…なにか…」 猫又:「分かりきってる事だ、悪霊になったヒトは帰ってこねえ!!何年、何十年、何百年も前から分かりきってんだ!! 猫又:オレらができる事はこれ以上苦しませねえ為に、無関係なヒトを襲わせねえ為に浄化する事だけだ!! 猫又:これ以上吠えるってんなら、その女諸共お前を喰ってやるだけだ!!」 サンズイ:「…又っち…」 臣:「黒猫さん…」 猫又:「もういい、構わねえ…サンズイやるぞ。」 サンズイ:「ええ!?おみっちは!?」 猫又:「構わねえ!!仙狸(せんり)!!!」 サンズイ:「ええ!!?ああもう!ごめんねおみっち!水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 臣:「っ!うああああああああああ!!!?」 0: 猫又:「がああああぁぁあ!!」 サンズイ:「ぬぅうあああああ!!」 0:攻撃が弾かれ吹き飛ぶ2人 臣:「…え?黒猫さん!?サンズイさん!?」 愛美:「臣…には手出しさせない…私の臣…」 臣:「愛美…?」 愛美:「殺す…臣に手を出すヤツら殺す…」 臣:「っ!?ダメだよ愛美!んんああっ!!」 0:愛美の拘束から抜け出し猫又の元へと駆け寄る 臣:「黒猫さん、サンズイさん大丈夫!?」 サンズイ:「ぬううう…」 猫又:「畜生…とんでもねぇ…霊力だ…こんな奴久しぶりだ…」 愛美:「臣…おいで…おいで臣…」 臣:「愛美ダメだ!これ以上はダメだ!傷つけるのはやめようよ!」 愛美:「……臣…」 臣:「無意味だよ、こんなの!いつもの愛美に戻ってよ!」 愛美:「……うう…臣…臣…」 臣:「愛美…泣いてる…?」 愛美:「臣……助け…て……私を…タス…けて…」 臣:「っ!!」 愛美:「あああああ!!!」 臣:「うっ…!!?すごい圧…」 臣:「黒猫さん!!黒猫さん!愛美はまだ自我が残ってる!抗ってるんだ!助けられるかもしれないんだ!どうしたらいい!?」 猫又:「……どうするったって…」 臣:「猫の手…貸してください…!!!」 猫又:「っ…」 ココ:『臣くん!臣くん!!聞こえる!?』 臣:「ココさん!」 ココ:『又くんの手…前足を握って!』 臣:「え?」 ココ:『いいから!早く!』 臣:「え、あ、はい!」 ココ:『そして、臣くんと又くんの精神を同調させるんだ。』 臣:「え、同調ってどうやって…」 猫又:「おい、ココまさかこれ…オレは嫌だぞ!」 ココ:『今そんな事言ってられる状況じゃないでしょ!助けられる命があるかもしれないのに躊躇してらんない!』 猫又:「くそ…」 臣:「あの…どうやってやれば…」 猫又:「……。」 臣:「黒猫さん!!」 猫又:「だー、くそ……!共通の目的を思考すれば行けるはず…だ…!」 臣:「共通の…」 ココ:『早くしないと愛美ちゃんが!』 愛美:「ああああああ!!!」 サンズイ:「くっ!俺が足止めしとくからお気になさらずーーー!!」 愛美:「うああああっ!」 サンズイ:「おっと、ちょっと待っててねお嬢ちゃーん!!そーれっ!瀑流喝破ぁぁああ(ばくりゅうかっぱ)!!」 0:大きく開けた口から超高圧の水が噴射される 愛美:「ぐううううう!!」 ココ:『サンズイが足止めしてくれている、今のうちに…』 臣:「共通の…」 猫又:「………。」 臣:「……。」 ココ:『今キミ達は何を目的にしている?』 臣:「………。」 猫又:「………。」 0:繋いでいる臣の手と猫又の前足が淡く輝き始め、次第に2人を包み込む 臣:「…これは…」 ココ:『リンク…成功だね。』 猫又:「…くそ……」 ココ:『そんな風に言いながら少し安堵してるんでしょ?失敗すると臣くんの精神を汚染しかねないから。』 猫又:「そ、そんな事ねぇ!」 臣:「リンクって…なんですか…?」 ココ:『一時的に又くんの霊力の一部を臣くんに供給している状態だよ、キミは気づいてないけど、元々霊力を保持しているんだ。』 臣:「え…?」 ココ:『又くんの霊力とキミの霊力を合わせたキミは今ここにいる誰よりも、強い力を持っている事になる。』 猫又:「…扱えればの話だがな…」 ココ:『愛美ちゃんを救えるかはキミにかかっているよ、臣くん。』 臣:「っ!やれるだけやってみます!」 サンズイ:「ぬうあああ!!っいてて…お取込みは終わりましたかね?」 臣:「すみません、お待たせしました。僕も戦います!」 サンズイ:「へへ、頼もしいねぇー。お兄さんもうヘトヘトだから任せちゃうかも。」 臣:「大丈夫です、ここからは僕が愛美を止めます!」 サンズイ:「頼んだぜおみっち…!」 臣:「はい!」 愛美:「臣…臣いいい!」 臣:「愛美…!今助ける!!」 0:愛美に向かって駆け出す臣、黒い触手を生やし応戦する愛美 愛美:「おみ!!臣!!」 臣:「くっ!!」 愛美:「うう…臣…おみぃ…!」 臣:「うっ愛美…辛いよな、楽にしてあげるからもう少し待ってて…」 愛美:「ああああ!!」 臣:「ぐっ、あああ!!」 ココ:『臣くん!』 サンズイ:「もろに食らった…戦闘経験のないおみっちにはやっぱキチィか…」 臣:「うう…くそ…」 愛美:「臣…」 サンズイ:「させないっつーの!水泡連弾(すいほうれんだん)!」 愛美:「…っじゃま…」 サンズイ:「ぐっ!!くそ…弾かれちまった…」 臣:「サンズイさん!」 ココ:『このままじゃ……』 臣:「愛美…」 猫又:「っおいガキ!!お前の救いたいって気持ちはその程度なのか!」 臣:「黒猫さん…」 猫又:「オレの力まで貸してそのザマでいいと思ってんのか!救うって決めたんなら諦めんじゃねえぞ!」 ココ:『又くん…』 猫又:「お前の気持ちを…その女に叩き込んでやれ…クソガキ…!」 臣:「…っ!!はい…ありがとうございます!」 ココ:『ほんと、素直じゃないよね。又くん。』 猫又:「うるせえ。」 臣:「愛美…今度こそ助けるから。」 愛美:「…臣…臣…う、うああああああ!!」 臣:「くっ、愛美…」 愛美:「来るな…来るな…臣…来ないで……」 臣:「助ける、愛美!」 愛美:「ダメ…来ないで……来ちゃ、ダメ…」 0:触手を臣に叩きつけ続ける 臣:「大丈夫、大丈夫だか…ら…くっ」 愛美:「臣…臣…臣……」 臣:「やっと、手が届く所まで来れた。」 愛美:「臣…はな、れて…」 臣:「離れない。」 0:愛美を抱きしめる臣 愛美:「…っ!!」 臣:「大丈夫、必ず助けるから。」 愛美:「…う、ぐす…うん…臣…タスケテ……」 ココ:『愛美ちゃんの胸の黒い塊(かたまり)から青いコアが出てきた!』 猫又:「臣!!そのコアを破壊しろ!!そこからどす黒い霊力が漏れてやがる!」 臣:「…うん。愛美。今解放する。」 愛美:「うん…お願い臣…」 0:臣を猫のようなエネルギーが纏い、拳を握りコアに向かって拳を振る 臣:「………仙狸(せんり)!!」 0: 0: 0: 0: 0:夜が更けた事務所 臣:「ん…んん……?」 ココ:「おはよう臣くん、いやこんばんはだったね。」 臣:「ココさん…ここは事務所…?」 ココ:「正解だよ。そしてキミは無事生還した。」 臣:「ってことは…?愛美は…」 ココ:「ああ…」 愛美:「…臣……」 臣:「愛美…!!」 愛美:「臣!!」 0:臣にダイブする愛美 臣:「おわっ!?いったたたた!!」 ココ:「あーこらこら愛美ちゃん、臣くんはまだ…ってしょうがないか。」 愛美:「臣…ごめん、ごめんね…それと…本当にありがとう…私を助けてくれてありがとう…」 臣:「ううん、いいんだよ。無事でよかったよ。僕1人じゃ助けることは出来なかった、ココさん達のお陰だよ。」 愛美:「ココさん…ありがとうございました…あと…」 ココ:「又くんとサンズイかな?それならほら、ここにいるよ。」 0:ドアの裏を指さすココ サンズイ:「ありゃー、バレちゃった。」 猫又:「なんでオレまで隠れにゃならんのだ…」 サンズイ:「えええー?又っちが気まずいって言ったから一緒に隠れたんだろー?」 猫又:「んなっ!?い、言ってないぞオレは!」 愛美:「ふふ…面白いね。」 猫又:「んなっ、面白いだと…!?」 臣:「黒猫さん、サンズイさん。怪我はもういいんですか?」 サンズイ:「んっふふん、バッチリおーけーよ!」 猫又:「まあ、な。」 臣:「良かった…」 愛美:「あの!!皆さん本当に、ありがとうございました…それと沢山傷つけちゃってごめんなさい…」 サンズイ:「なははは、いーよいーよ!まさか悪霊化から助かるなんて思ってなかったから驚いてるよ!」 猫又:「全くだ、前代未聞だ。」 ココ:「愛美ちゃん。キミは悪霊になっていた時の記憶は全て覚えているの?」 愛美:「…全て、ではないですが…少しだけ覚えています。臣の言葉が次第に聞こえて来て…少しずつ視界と耳がハッキリしてきた…のは記憶にあります。」 ココ:「ってことは、悪霊にも言葉は届く…と…」 猫又:「…なぜヒトの形を保っていられた?」 愛美:「それは…分かりません…でも、臣に会いたい気持ちを強く持っていたことだけは覚えています。」 猫又:「…。」 臣:「愛美…」 ココ:「ごめんね愛美ちゃん、これが最後の質問。悪霊になるときに何があったか覚えてる?」 愛美:「すごくボヤっとしていますけど…夢の中で…黒い化け物が私を食べて…そこから…これ以上は何も……すみません。」 臣:「夢…それって愛美が教えてくれたニュースの…」 ココ:「ありがとう愛美ちゃん。ごめんね、嫌な事思い出させて。」 愛美:「いえ、少しでも力になれたなら。」 サンズイ:「なにはともあれ、めぐみん生還記念って事でさ?パーッとパーティーしよーよー!」 愛美:「め、めぐみん!?」 臣:「ごめんね、サンズイさんはこういう人…河童さん?なんだ。」 サンズイ:「おーっとおみっちー?正解だー!!はははは!」 ココ:「生還パーティーも兼ねてもう1つあるんだけど…臣くん、愛美ちゃん。」 臣:「はい?」 愛美:「はい…」 ココ:「もしよかったら、キミ達2人共…この事務所に入らない?」 臣:「え?」 愛美:「ええ!?」 サンズイ:「おほっ!」 猫又:「んなっ!!?何考えてやがるココ!こいつらは人間だぞ!?」 ココ:「でも、臣くんはなぜか知らないけど元々霊力持ってて、リンクをしてから又くんの霊力も保持できるようになったし ココ:愛美ちゃんは悪霊化の影響か、霊力を持てるようになってるみたいだ。それに、絶賛人手不足なんだよ?我々としては1人でも欲しいんだよ。」 猫又:「しかしだなぁ…」 臣:「黒猫さん達とこれからも一緒に居ていいんですか!?」 猫又:「うおっ!?」 愛美:「お、お邪魔じゃなければ!!」 サンズイ:「おおー!」 ココ:「ふふ、私達は歓迎するよ。又くん?どうかな?」 猫又:「~~っ!!勝手にしろ!」 ココ:「態度と口は素直じゃないけど、尻尾は素直なんだよね。」 愛美:「ほんとだー!可愛いです!」 猫又:「んなっ!可愛いって言うなガキ!!」 臣:「あ、そうだ!黒猫さん!1回だけ僕の事名前で呼んでくれましたよね!臣って!」 猫又:「そ、そんなの言ってない!知らん!」 ココ:「言っていたねぇ。」 猫又:「し、知らんものは知らん!!それにオレは猫じゃなくて猫又だ!!」 臣:「じゃあ、僕が猫又さんって呼んだら、臣って呼んでくれますか?」 猫又:「呼ばん!!」 臣:「えー!」 ココ:「ふふ、さてさて。2人共。それはさておきだ。2人の歓迎パーティー、そして愛美ちゃんの生還パーティーも兼ねてパーッとしようか。」 0:  臣:【N】僕の日常は知的な管狐のココさんと、陽気な河童のサンズイさんと、ツンデレな黒猫の猫又さん…そして 臣:友達の愛美と共に非日常になっていく 臣:これから僕の生活は、不思議な出来事できっと楽しくて素敵なものになっていくんだと思う 0:  ココ:「改めて自己紹介をしよう。私は管狐のココ。」 サンズイ:「河童のサンズイ!!」 猫又:「…猫又だ。」 ココ:「ようこそ2人共、『猫の手霊障事務所』へ」 0: